説明

不良インレットシートのマーキング方法

【課題】 機能不良のインレットシートを間違ってICタグとして出荷することを防止する、不良インレットシートのマーキング方法を提供する。
【解決手段】 本発明の不良インレットシート1のマーキング方法は、インレット用ベースフィルムに形成されたアンテナパターンに送受信機能、処理機能および記憶機能を備えるICチップ3が装着された非接触ICタグ用インレットシートの製造工程において、アンテナパターン2に前記ICチップ3を装着した後、または装着前の段階において、ウェブ状に連続しているインレット1の単位インレット毎に検査を行い、不合格の判定がされた場合は、当該検出された不合格インレット単位のインレットシート毎に導電性材料によるマーク付けをすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不良インレットシートのマーキング方法に関する。詳しくは、非接触ICタグの製造過程において、一度不良が検出されたインレットを誤ってICタグに加工して正常品として出荷することのないように、不良インレットシートに対するマーキングを確実に行う方法に関する。従って、本発明の技術分野はインレットシートや非接触ICタグの製造や利用の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触ICタグは、情報を記録して保持し非接触で外部装置と情報交換できるので、運送や物流等における認識媒体として、あるいは商品の品質管理、在庫管理等の各種目的に多用されるようになってきている。
しかし、このように非接触ICタグが広範に使用されるようになると、出荷した非接触ICタグの中に機能不良の製品が混入した場合には、情報の書き込みや読み取りが不可能になる事態が生じ、却って非接触ICタグ使用システムの信頼を失う結果となる。
【0003】
非接触ICタグを製造する場合、非接触ICチップとアンテナを接合してインレットシートを製造した後、必要な最終製品形態に合わせた加工を施すが、このインレットシートを製造した後の加工工程において、一度不良としてチェックされたインレットが、その後の工程で何らかの理由で機能を回復する場合がある。しかし、このように一度は不良が検出されたインレットは、構造的な欠陥を残しており市場での使用過程において不具合を再発することが多い。本発明はこのような不良品の混入を防止するものである。
なお、インレットシートは一般的には、アンテナシートということもある。また、本発明では、アンテナパターンを形成し非接触ICチップを装着した後のみならず、装着前の状態をもインレットシートというものとする。
【0004】
インレットシートの段階では、回路が露出しているので画像検査や導通試験等により直接形状や回路特性をチェックできるが、ラベル加工により表面保護材をラミネートした後では、パターン形状が隠れてしまうので通信検査のみが可能となる。一度付した不良マークも隠れることになるから、後工程で機能回復したインレットを検出し難くなる問題がある。このような場合は、一度不良とされたものも最終の通信検査で良品と判断されれば、正常品として出荷されてしまうおそれがある。
【0005】
非接触ICタグが一個一個の単品の製造物である場合は、不良が検出された時点で除去すれば問題が生じないが、連続したウェブ状で製造される非接触ICタグの場合は、不良品検出の都度、切断して除去する処置を行うと工程が不連続になり、あるいは中断されて円滑な生産ができなくなる問題がある。そこで、本発明では生産工程の妨げとならない方法で不良インレットを確実にマーキングする方法を提案するものである。
【0006】
関連する先行技術文献として、特許文献1は、半導体パッケージの製造工程において、回路基板の不良個所に不良識別マークを付与する工程と、当該不良識別マークを付与した部分を除いた箇所にICチップを実装する工程、を含む製造工程を提案している。しかし、特許文献1では、第2のマークを付与するので手間がかかる問題がある。
また、特許文献2は、ICカードの製造方法においてICチップの製造時にICが正常に動作するか否かを検査し、検査結果が正常であるICのメモリに特定データの書き込みを行い、最終工程でICチップ内部メモリの内容を読み出して、NG(No Good)品であるか否かの判定を行うことを記載している。しかし、メモリに記録されていても視覚では直ちに判別できないので、最終製品として出荷されてしまったり、NG品を良品として使用してしまうことが考えられる。
【0007】
特許文献3は、出願人の先願であるが、機能不全が検出されたICタグのICチップ部分またはアンテナを打ち抜き除去することを提案している。しかし、そのようにする場合は、インレットに穴部が形成され、それ以降のラベル加工等におけるテンションにより、その穴部における変形や応力集中による破断が生じやすい問題がある。
【0008】
【特許文献1】特開2001−338933号公報
【特許文献2】特開2002−042093号公報
【特許文献3】特開2007−026239号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の不良インレットやICタグのマーキング方法では、最終的な検品結果が重視され、中間工程の検査結果が確実に出荷製品に反映されない状況があった。しかし、中間工程で不具合が検出されたICタグは構造的な欠陥を残すことが多く、最終製品に含めないことが好ましい。そこで、本発明では非接触ICタグのインレットシートの製造過程の中間検査において機能不良が検出されたインレットは、ICチップの接続部またはアンテナコイルに導電性材料によるマーク付けをして、ICタグの通信機能を完全に不良化させ、また視覚的にも不良品であることを明確化することにより、最終製品に不良品が混入するのを防止して、当該課題を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1は、インレット用ベースフィルムに形成されたアンテナパターンに送受信機能、処理機能および記憶機能を備えるICチップが装着された非接触ICタグ用インレットシートの製造工程において、アンテナパターンに前記ICチップを装着した後の段階において、ウェブ状に連続しているインレットの各インレット単位毎に検査を行い、不合格の判定がされた場合は、当該判定がされた不合格インレット単位毎に導電性材料によるマーク付けをすることを特徴とする不良インレットシートのマーキング方法、にある。
【0011】
本発明の第2は、インレット用ベースフィルムに形成されたアンテナパターンに送受信機能、処理機能および記憶機能を備えるICチップを装着する非接触ICタグ用インレットシートの製造工程において、アンテナパターンに前記ICチップを装着する前の段階において、ウェブ状に連続しているインレットの各インレット単位毎に検査を行い、不合格の判定がされた場合は、当該判定がされた不合格インレット単位毎に導電性材料によるマーク付けをすることを特徴とする不良インレットシートのマーキング方法、にある。
【0012】
上記不良インレットシートのマーキング方法において、導電性材料によるマーク付けが、(1)導電性カーボンインキの塗布によるか、(2)銀、銅、またはアルミ粉のいずれかを含む導電性インキまたは接着剤の塗布によるか、(3)アルミ箔シールの貼り付けによるか、のいずれかの方法、とすることができる。また、導電性材料によるマーク付け箇所は、(1)ICチップの接続部、(2)アンテナパターン部分、(3)非接触ICタグ回路面全体、のいずれかの箇所である、ようにすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の不良インレットシートのマーキング方法(請求項1、請求項2)では、インレットの不良が検出された段階で、当該インレットシートに導電性材料によるマーク付けがされるので、ICチップ接続部、アンテナパターン線間に短絡を生じ、あるいは電磁波を遮断するので、確実に当該インレットの機能が不良状態になるので、通常の検査後のマーク付けのように、その後に機能が復活したインレットまたはICタグを誤って正常品として扱うことがなく、製品の信頼性を高めることができる。
本発明の不良インレットシートのマーキング方法(請求項2)では、ICチップの装着前に検査を行うので、アンテナ自体に不良がある場合にICチップを装着してしまう無駄をも省くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
不良インレットシートのマーキング方法に付いて、以下、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の不良インレットシートのマーキング方法を示す図、図2は、連接した非接触ICタグ1の形態を示す図、図3は、1単位の非接触ICタグの断面図、図4は、非接触ICタグの製造工程を示すフローチャート、である。
【0015】
理解の便宜のため、まず、非接触ICタグについて説明することとする。図2は、連接した非接触ICタグ10Rの形態を示す図である。表面保護シートを透視して見た状態である。図2のように、非接触ICタグ10Rは帯状に連続したベースフィルム11に、例えば、一列で定ピッチにアンテナパターン2を連続して形成し、当該アンテナパターン2の端部にICチップ3を装着している。ICチップ3は、送受信機能、処理機能および記憶機能等を備える通常のものである。ブリッジ12は、アンテナの一端をICチップ3に導くため、ベースフィルム11の背面を通して接続する部材である。
【0016】
アンテナパターン2は、図2では平面なコイル状のものを示しているが、2片のパッチアンテナや半波長等のバイポールアンテナからなる場合もある。通常は、ベースフィルム11にラミネートした金属箔をフォトエッチングしたり、導電性インキにより印刷したパターンからなっている。このアンテナパターン2が形成されたフィルムにICチップ3を装着する前後のシートを本発明ではインレットシートと言うことにする。
このインレットシートに、表面保護シートを被覆し、裏面側に粘着剤加工を行うことにより、非接触ICタグ10Rが完成する。切り離し線13は表面保護シート等のラミネート後に設けるもので、インレットシートの段階では形成されていない。
【0017】
図3は、1単位の非接触ICタグ10の概略断面図である。アンテナパターン2とICチップ3の面は、接着剤層5を介して表面保護シート4により被覆されている。表面保護シート4には、ベースフィルム11と同一種の基材や他種のプラスチックフィルムまたは紙基材等が使用される。図3では、ベースフィルム11と接着剤層5間は隙間が空いているように図示されているが実際は密着しているものである。非接触ICタグ10をラベルとして使用する場合は、ベースフィルム11の被着体側となる面には粘着剤層6を設ける。当該粘着剤層6は、離型面を有する剥離紙7に保護されており、使用時は剥離紙7を除去して使用するものである。
【0018】
本発明は不良インレットシートのマーキング方法に関するが、インレットシートは上記非接触ICタグを製造する前段階の形態であるので、加工を容易に行うため、勿論連続した形態にされている。連続した形態とは、単位のインレットシートが1列または2列以上並んで、ウェブ状に連続した形態のことである。表面保護シート4や粘着剤層6、剥離紙7が加工される前の状態であるが、平面形状的には、図2の非接触ICタグの連接体10Rと同様に考えることができる。
【0019】
図1は、本発明の不良インレットシートのマーキング方法を示す図である。
図1(A)は、導電性インキまたは導電性接着剤、例えば、導電性カーボンを含む導電性インキ、銀、銅、またはアルミ粉を含む導電性インキまたは接着剤によるマーク8を、ICチップ3を含むICチップ3の接続部に塗布した例である。ICチップ3の接続部にのみ塗布するものであってもよいが、2本のアンテナ線端部2a,2b間が確実に短絡するように塗布する。この場合は、ICチップ3の2箇所のアンテナ線端部2a,2b間が短絡するので、アンテナの機能が低下し、正常な非接触通信が不可能になる。
【0020】
図1(B)は、同様に導電性カーボンを含む導電性インキ、銀、銅、またはアルミ粉を含む導電性インキまたは接着剤によるマーク8を、アンテナパターン部分に塗布した例である。塗布する位置はアンテナパターン2上であればどの位置でもよい。
図示の場合は、電磁誘導型のコイル状アンテナの線間の全部にわたるように塗布しているが、一部の線間に塗布してもよい。これにより、アンテナのLC回路の共振周波数が変化し、正常な非接触通信が不可能になる。半波長ダイポールアンテナの場合もアンテナ特性が同様に変化する。
【0021】
図1(C)は、金属箔シール、特に粘着剤層を有するアルミ箔シール9(破線の内側)を、インレットシート1の非接触ICタグ回路面全体に貼り付けしたものである。この場合は非接触ICタグ10に到達する電磁波が金属(アルミ)箔で遮断されるので、ICタグ10はリーダライタからの信号を受信できず、電力を得ることもできないので応答しなくなる。アルミ箔の背面には、通常非導電性の粘着剤層があるので、回路の短絡は生じないが、粘着剤層を導電性にすれば、短絡させることもできる。なお、非接触ICタグ回路とはアンテナパターン2とICチップ3とからなる回路をいうものとする。
【0022】
本発明の不良インレットシートのマーキング方法では、インレットシート1の段階で検査を行い、検出された不良のインレットに対しては、上記のようにマーキングを行い、そのままの状態で後続の加工を行う。従って、導電性インキまたは接着剤の塗布によるマーク8、あるいはアルミ箔シール9の貼り付けは、その後の加工の妨げにならないように薄層に塗布し、金属箔シールも薄層のものを使用するようにする。また、加工途中での剥離を防止する。機能不良インレットシート1はマーキングされた状態で、ICタグ連接体の中に残るが、単位のICタグに切断して納品する場合は除去する。
通常は、機能不良インレットシートの良品に対する割合は極めて小さく、また明瞭なマーキングがされているので、使用段階で除去でき、巻き取り状態で納品しても支障を生じることはない。
【0023】
次に、インレットシートの製造を含む非接触ICタグの製造方法について説明する。
図4は、非接触ICタグの製造工程を示すフローチャートであって、図4(A)は、ICチップの装着後に第1回検査を行う場合、図4(B)は、ICチップの装着前に第1回検査を行う場合、を示している。アンテナをフォトエッチングで形成する工程を説明しているが、導電性インキによるプリント法であってもよいものである。
【0024】
まず、図4(A)のフローチャートから説明する。製造工程のS1は、ベースフィルム11の準備工程である。この工程は、基材としてベースフィルム11に金属箔をラミネートして準備する。ベースフィルム11には後述する各種の材料が使用できるが、20μmから100μm程度の厚みのものが好ましく使用される。金属箔には銅箔やアルミニウム箔の10μmから30μm程度の厚みのもの(粘着剤層付き)が、通常使用される。
【0025】
製造工程のS2は、アンテナパターン2の形成工程である。この工程では、上記ベースフィルム11の金属箔面に感光液を塗布し、フォトマスクを使用して露光し、アンテナのレジストパターンを形成する。次いで、フォトエッチングしてアンテナパターン2を残存させる。アンテナパターン2の両端部2a,2bも同時に形成する。
【0026】
製造工程のS3は、ICチップ3の装着工程である。アンテナパターン2の両端部2a,2bに異方導電性接着剤等を用いてICチップ3を装着する工程である。接続を確実にするため、突起形状を有するバンプを使用しアンテナ端部に突き刺すようにして装着する場合もある。この接続が不完全であると機能不良となる場合が多い。アンテナパターン2の一端をベースフィルム11の背面をブリッジ12を介して、ICチップ3に導く処理も同時に行われる。これによりインレットシート1が完成する。
【0027】
製造工程のS4は、非接触ICタグの第1回の検査工程である。この検査はインレットシートのICチップ3の装着後の状態で行う。検査は、JIS等の基準を満たすこと、その他の製造基準等であるが、一般に実用基準を満たすものであれば不合格とはされない。不合格の典型的な例は、非接触通信が完全に不可能な場合である。
これにはICチップ自体が不良の場合とICチップ3とアンテナパターン2の接続不良に起因することが多い。アンテナパターン2自体の断線の場合も含まれる。断線は、アンテナパターン2の端子間の抵抗値を測定することで検査できる。原因は明らかでないが、一定基準の電磁波を与えても応答しない場合も含まれる。
【0028】
機能不良の他の例は、非接触通信距離が基準を満たさない場合である。動作範囲70cm以下の近傍型のICカード(ICタグも同様)では、最小動作磁界強度(Hmin )は、150mA/m rmsとされている(JISX6323−2、6.2動作磁界強度)。この試験のためには、市販のリーダライタを用いて、30cmの距離で読み取り書き込みが可能なことが試験される。検査用リーダライタを用いてもよい。
近接型ICカード(動作範囲10cm以下)では、より短距離での性能が試験される。
【0029】
また、交流磁界や交流電界、静電気、静磁界を受けた場合の後の動作試験を含めてもよい。この検査基準は、JISX6323−1(近傍型ICカード)に規定されている。
上記の検査で所定の基準を満たさない場合は、機能不良として、前記のように、(1)ICチップの接続部、(2)アンテナパターン部分、(3)非接触ICタグ回路面全体、のいずれかの箇所に対してマーキングを行う。
【0030】
製造工程のS5は、表面保護シートのラミネート工程である。表面保護シート4は、非接触ICタグ1のアンテナパターン2やICチップ3を保護するもので、後述する各種の材料を使用することができる。通常はベースフィルム11と同等かそれよりは厚みの薄い基材をラミネートして使用する。耐水性が求められる場合が多いので、プラスチックフィルムを使用するのが好ましい。
【0031】
製造工程のS6は、粘着剤層6の塗工工程である。この工程では、ベースフィルム11の下面に粘着剤層6を塗工する加工を行う。通常は、剥離紙7に粘着剤を塗工し、ベースフィルム11と一体にする。ただし、下げ札のように、粘着剤を必要としないICタグの用途もある。
【0032】
製造工程のS7は、最終製品としての出荷検査である。第2回の検査を兼ねるものである。インレットシートを最終製品に加工する際の工程でも不具合が発生する場合があるからである。非接触ICタグはICカードの製造過程のように熱圧プレスの強圧を受けることはないが、プレスラミネートの工程や、ウェブ状でローラ間を移動する間に屈曲し、不具合が生じる場合がある。
検査は第1回の検査項目、および必要によりそれに付加する項目について行う。第1回の検査でマーキングがされたインレットは、基本的に不良品であり、第2回の検査対象にはならない。もっとも、対象にしても応答は得られないことになる。
第2回の検査で、新たに検出された不合格の非接触ICタグは、ICチップ3部分またはアンテナパターン2の一部を打ち抜き除去して穿孔を設けてもよい。一群の連接体にする場合の所定単位の切断や切り離し線13の形成は、その後行われる。
【0033】
図4(B)のフローチャートは、図4(A)とは、「ICチップの装着」工程と「第1回検査」の工程が入れ替わっていることの違いがある。ICチップ3が未装着の状態で検査を行うので、リーダライタによる非接触通信機能の検査を行うことはできない。
主として、アンテナやチップ搭載部パターンに対して画像検査を行うことになる。一般に、基準パターンと検査対象パターンとの寸法精度を検査することになる。例えば、チップ搭載部の寸法精度は、±50μm、その他の重要でない部分は、±0.2mm等の基準が採用される。アンテナパターン全体の抵抗値等の接触試験を併用してもよい。
図4(B)のフローチャートのその他の工程は、図4(A)と同様である。
【0034】
材質に関する実施形態
(1)ベースフィルム
プラスチックフィルムを幅広く各種のものを使用でき、以下に挙げる単独フィルムあるいはそれらの複合フィルムを使用できる。
ポリエチレンテレフタレート(PET)、PET−G(テレフタル酸−シクロヘキサンジメタノール−エチレングリコール共重合体)、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリスチレン系、ABS、ポリアクリル酸エステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、等である。
【0035】
(2)表面保護シート
プラスチックフィルムや紙基材を幅広く各種のものを使用できる。プラスチックフィルムとしては、上記ベースフィルムに挙げたものを使用でき、紙基材としては、上質紙、コート紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、ラテックスやメラミン含浸紙、等を使用できる。表面にプリンター印字する場合は、上質紙、コート紙等が特に好ましい。
【0036】
(3)接着剤、粘着剤
本明細書で接着剤という場合は、溶剤型や重合型、紫外線硬化型、エマルジョン型、熱溶融型等の各種のものをいい、いわゆる粘着剤型のものをも含むものとする。いずれであっても、双方の材料間を接着すれば目的を達成できるからである。
また、本明細書で粘着剤という場合は、徐々に粘度が顕著に上昇することなく、いつまでも中間的なタック状態を保つものをいうものとする。
接着剤、粘着剤の樹脂組成物としては、天然ゴム系、ニトリルゴム系、エポキシ樹脂系、酢酸ビニルエマルジョン系、アクリル系、アクリル酸エステル共重合体系、ポリビニルアルコール系、フェノール樹脂系、等の各種材料を使用できる。
【0037】
(4)マーク付け用導電性材料
導電性カーボンインキの場合は、カーボンブラックの充填量を多くして導電性にしたものを使用する。ケッチェンブラックのような高導電性のカーボンブラックの場合は、充填量を少なくすることができる。
銀、銅、またはアルミ粉を含む導電性インキや接着剤を使用することができる。インクの場合は、粒径0.05〜2μm程度の銀、銅、またはアルミ粉からなる導電性インキを使用する。プリント回路基板用のシルクスクリーン印刷インキを吹き付けしたり、筆塗りするものでもよく、インクジェットインクにしたものをインクジェット印刷してもよい。 アルミ箔シールの場合は、5〜6μmから20μm程度の厚みの銅、鉄、アルミ箔を粘着剤層を介して剥離紙に保持させた状態のシールを使用することができる。予め、所定のインレットサイズに製造したものを使用することが好ましい。
【実施例1】
【0038】
以下、実際の実施形態について実施例を用いて説明する。
インレットシートのベースフィルム11として、厚み38μmの透明2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに18μm厚のアルミニウム箔をドライラミネートした基材を使用し、これに感光性レジストを塗布した後、アンテナパターンを有するフォトマスクを露光して感光させた。露光現像後、フォトエッチングして、図1のようなアンテナパターン2を有するインレットシート1が完成した。なお、1つのアンテナパターン2は外形が、ほぼ45mm×76mmの大きさとなるようにした。
【0039】
上記インレットベースフィルム11のアンテナパターン両端部2a,2bに、平面サイズが1.0mm角、厚み150μmであるICチップ3をフェイスダウンの状態で熱圧をかけて装着した。アンテナパターン2の一端をベースフィルム11の背面を通して、アンテナパターン2の端部2aにブリッジ12を介して導通させる処理も続いて行った。
【0040】
インレットシート1が完成した段階で第1回目の機能検査を行った。これには、市販のICタグリーダライタ(株式会社ウェルトキャット製「RCT−200−01」;13.56MHz)を使用し、当該リーダライタから30cmの距離で対象の非接触ICタグから応答が得られるか否かの検査を行った。インレットシートは巻き取り状であるので、対象の1個から応答が得られるように周囲の非接触ICタグを遮蔽して検査を行った。応答が得られなかった場合は、カーボンブラックによる導電性インキをインクジェットにより塗布してマーキングを施した。
【0041】
次に、ポリエステル系ホットメルト接着剤を介し、厚み20μmの表面保護シート(PETフィルム)4を積層し熱プレスしてラミネートした。最後にベースフィルム11の背面に、厚み20μmの粘着剤層6を介して剥離紙7を積層する粘着剤加工をし、1単位の大きさ54mm×86mmの非接触ICタグが、5単位1列になるように断裁して剥離紙7付き非接触ICタグ製品10Rを完成した。単位の非接触ICタグ間に切り離し線13を設ける加工も行った。
【0042】
最終製品完成後に、インレットシート完成後の第1回目の機能検査と同一条件(接触検査を除く)で第2回目の機能検査を行った。この後の検査で検出した新たな機能不良の非接触ICタグに対して、ICチップ3部分を打ち抜きして穿孔を設けた。
【実施例2】
【0043】
インレットシートのベースフィルム11として、厚み38μmの透明2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに18μm厚のアルミニウム箔をドライラミネートした基材を使用し、これに感光性レジストを塗布した後、アンテナパターンを有するフォトマスクを露光して感光させた。露光現像後、フォトエッチングして、図1のようなアンテナパターン2を有するインレットシート1が完成した。アンテナパターン2の一端をベースフィルム11の背面を通して、アンテナパターン2の端部2aにブリッジ12を介して導通させる処理も続いて行った。なお、1つのアンテナパターン2は外形が、ほぼ45mm×76mmの大きさとなるようにした。
【0044】
アンテナパターン2を形成した段階で第1回目の検査を行った。これは、チップ搭載部とアンテナ形状の画像検査である。チップ搭載部の寸法精度を、±50μm、その他の重要でない部分の寸法精度を、±0.2mmとして、基準値から外れたインレットシートには、アルミ箔シール9をICタグ回路全面に貼り付けした。
上記インレットベースフィルム11の良品アンテナパターン両端部2a,2bに、平面サイズが1.0mm角、厚み150μmであるICチップ3をフェイスダウンの状態で熱圧をかけて装着した。
【0045】
次に、ポリエステル系ホットメルト接着剤を介し、厚み20μmの表面保護シート(PETフィルム)4を積層し熱プレスしてラミネートした。最後にベースフィルム11の背面に、厚み20μmの粘着剤層6を介して剥離紙7を積層する粘着剤加工をし、1単位の大きさ54mm×86mmの非接触ICタグが、5単位1列になるように断裁して剥離紙7付き非接触ICタグ製品10Rを完成した。単位の非接触ICタグ間に切り離し線13を設ける加工も行った。
【0046】
最終製品完成後に、第2回目の機能検査を行った。これには、市販のICタグリーダライタ(株式会社ウェルトキャット製「RCT−200−01」;13.56MHz)を使用し、当該リーダライタから30cmの距離で対象の非接触ICタグから応答が得られるか否かの検査を行った。この後の検査で検出した新たな機能不良の非接触ICタグに対して、アルミ箔シール9を貼着した。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本本発明の不良インレットシートのマーキング方法を示す図である。
【図2】非接触ICタグの一般的形態を示す図である。
【図3】1単位の非接触ICタグの断面図である。
【図4】非接触ICタグの製造工程を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0048】
1 インレットシート
2 アンテナパターン
3 ICチップ
4 表面保護シート
5 接着剤層
6 粘着剤層
7 剥離紙
8 導電性インキまたは導電性接着剤によるマーク
9 アルミ箔シール
10R 非接触ICタグ連接体
11 ベースフィルム
12 ブリッジ
13 切り離し線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インレット用ベースフィルムに形成されたアンテナパターンに送受信機能、処理機能および記憶機能を備えるICチップが装着された非接触ICタグ用インレットシートの製造工程において、アンテナパターンに前記ICチップを装着した後の段階において、ウェブ状に連続しているインレットの各インレット単位毎に検査を行い、不合格の判定がされた場合は、当該判定がされた不合格インレット単位毎に導電性材料によるマーク付けをすることを特徴とする不良インレットシートのマーキング方法。
【請求項2】
インレット用ベースフィルムに形成されたアンテナパターンに送受信機能、処理機能および記憶機能を備えるICチップを装着する非接触ICタグ用インレットシートの製造工程において、アンテナパターンに前記ICチップを装着する前の段階において、ウェブ状に連続しているインレットの各インレット単位毎に検査を行い、不合格の判定がされた場合は、当該判定がされた不合格インレット単位毎に導電性材料によるマーク付けをすることを特徴とする不良インレットシートのマーキング方法。
【請求項3】
導電性材料によるマーク付けが、(1)導電性カーボンインキの塗布によるか、(2)銀、銅、またはアルミ粉のいずれかを含む導電性インキまたは接着剤の塗布によるか、(3)アルミ箔シールの貼り付けによるか、のいずれかの方法であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の不良インレットシートのマーキング方法。
【請求項4】
導電性材料によるマーク付け箇所が、(1)ICチップの接続部、(2)アンテナパターン部分、(3)非接触ICタグ回路面全体、のいずれかの箇所であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の不良インレットシートのマーキング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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