説明

不規則な表面構造の早期導入により高収率のバイオイメージングナノ粒子を製造する方法

【課題】粒子間の水素結合の引力による凝集及び沈澱現象を立体的に妨害してナノ粒子の損失なしに無極性有機溶媒または水溶液内で分散性及び安定性に優れたバイオイメージングナノ粒子を高収率で製造する方法及びこれにより製造されたバイオイメージングナノ粒子を提供する。
【解決手段】不規則な表面構造の早期導入によって水溶液内で分散性に優れ、生体適合性及び標的志向性を有するバイオイメージングナノ粒子を高収率で製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不規則な表面構造の早期導入により水溶液内での分散性に優れ、生体適合性及び標的志向性を有する高収率のバイオイメージングナノ粒子を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、界面活性剤を含む有機溶媒内において化学的方法により均一な粒度を有する疎水性無機物ナノ粒子を合成する方法が確立されるにつれ、これを実用化しようとする努力が盛んに行われている。特に、水溶液内で合成したナノ粒子の場合には、その粒度が有機溶媒内で合成したナノ粒子の粒度より遥かに不均一であり、水は、地球上で存在する最も安くて環境親和的で、且つ非常に有用な溶媒であるため、有機溶媒内で合成した粒度が均一な疎水性ナノ粒子を水溶液内で安定に分散できるナノ粒子にその表面を改質させることは、その分だけ重要となり、研究者の注目を浴びている分野である。特に、その中心に単一量子点または単一無機物ナノ粒子を有し、その表面に有用な官能基を備えた有機物質が結合している形態の水溶性量子点または水溶性ナノ粒子は、バイオイメージングの材料のみならず、バイオセンサーや記憶媒体のような特定形態のナノ構造を製造する基礎材料としても非常に有用であるため、これらのナノ粒子の表面改質のための研究が集中的に行われている。
【0003】
かかる表面改質のために最も広く用いられている方法は、疎水性ナノ粒子にチオール(SH)基と親水基が炭化水素鎖により結合された有機配位子を過剰量で反応させることによって、ナノ粒子表面上の全ての界面活性剤の配位子を金属チオラート(M−S)結合で置換し、有機配位子の親水基を外側に向けて親水性ナノ粒子を製造した後、前記ナノ粒子の親水基と標的志向性バイオ分子のような機能性分子との間の共有結合を形成して中心に無機物ナノ粒子のみを含むバイオイメージングナノ粒子を製造することである(図1参照)。かかる共有結合は、主にナノ粒子の親水基と新たな機能性分子とのアミド結合やエステル結合からなる。アミノ(NH)基、カルボキシ(COOH)基、チオール基及びヒドロキシ(OH)基からなる群から選ばれたいずれか親水基とチオール基とが炭化水素鎖により結合された極性有機配位子が主要研究対象であり、かかる有機配位子は表面に金属成分に富む量子点(例:CdSe、ZnS、またはコア/シェル構造のCdSe/CdS、CdSe/ZnSなど)、貴金属ナノ粒子(例:Au,Ag)または酸化鉄磁性ナノ粒子などと金属チオラート(M−S)結合を容易に形成すると知られている。しかし、これらのうち、ヒドロキシ基やアミノ基は、中性または中性に近い溶液内においても容易に凝集及び沈澱されるので、これ以上の研究が進行されていない状況である。一方、カルボキシル基は、中性溶液で相当量がイオン化された状態で存在するので、分散性及び溶液安定性に優れ、アミド結合によって機能性分子をナノ粒子に結合するための親水基として広く用いられている。
【0004】
しかし、前記方法は、弱酸性水溶液でナノ粒子表面のカルボキシル基を活性化させる工程を経なければならないが、当該過程における多くのナノ粒子が凝集及び沈澱し、(WC Chan及びS Nie,Science 281:2016,1998;Wen Jiangなど、Chem.Mater.18:872,2006)、特に、磁性ナノ粒子の場合には、凝集・沈澱現象がより甚だしく発生する。このように凝集及び沈澱したナノ粒子は、次の工程である機能性分子との結合が進行されにくいだけでなく、たとえ、機能性分子との結合が行われても凝集したナノ粒子の表面のみに機能性分子が結合された生成物が主に製造される(図1の段階Bから得られた右側図を参照)。このようにして製造されたナノ粒子は、血管に沿って移動するにはサイズが大きすぎて、且つ分散性が顕著に低下し、量子点の場合には、自己消光(self quenching)によって蛍光が非常に減少する。結局、かかる沈殿物を分離及び除去してよく分散した一部の溶液層のみを用いるようになるので、多量のナノ粒子が損失されるという深刻な問題が発生する。
【0005】
かかる凝集・沈澱現象を解消するために、最近、疎水性の無機物ナノ粒子を、チオール基を含むポリエチレングリコール[poly(ethylene glycol),PEG]高分子と直接反応させて金属チオラート(M−S)結合を有する有・無機錯体のナノ粒子を製造する方法が報告された(米国特許第7,041,371号)。しかし、前記方法は長い鎖により結合された親水性チオール基が界面活性剤で取り囲まれたナノ粒子の表面まで貫通しなければならないので、反応収率が依然として低いという問題点がある。
【0006】
それで、本発明者らは、親水性ナノ粒子が水溶液内で凝集及び沈澱するという従来の技術の問題点を解決するために鋭意研究した結果、凝集及び沈澱の原因が、均一な構造を有する親水性ナノ粒子の表面上にある過剰量の親水基による水素結合の引力に起因しているということを見つけ、かかる粒子間の水素結合の引力を構造的に妨害する方法を工夫し、反応の全過程を通じてナノ粒子の独立性及び個別性を確保することによって、凝集や沈澱現象を誘発せずに中心に単一粒子のみを含み、均一な粒度、溶液内における分散性と安定性、生体適合性、標的志向性などに優れた物性を示すナノ粒子を製造することができることを確認することで本発明を完成するに至った。
【特許文献1】米国特許第7,041,371号
【非特許文献1】WC Chan及びS Nie,Science 281:2016,1998;Wen Jiangなど、Chem.Mater.18:872,2006
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、バイオイメージングナノ粒子を製造することにおいて、部分的な表面改質によりナノ粒子の表面に不規則な構造を導入することによって、粒子間の水素結合の引力による凝集及び沈澱現象を構造的に妨害してナノ粒子を損失させることなく無極性有機溶媒または水溶液で分散性及び安定性に優れたバイオイメージングナノ粒子を高収率で製造する方法を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、前記方法によって製造された分散性及び安定性に優れたバイオイメージングナノ粒子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は、
1)界面活性剤により保護されたコアまたはコア/シェル構造の疎水性無機物ナノ粒子に、炭素数8〜20個の炭化水素鎖によりチオール基と親水基が結合された有機配位子を1〜30当量添加して界面活性剤を部分的に置換し、ナノ粒子の表面に金属チオラート(M−S)結合を形成することによって、一部分だけが親水性に表面改質され、無極性有機溶媒で個別分散性を維持する疎水性ナノ粒子を製造する段階;
2)前記段階1)で製造されたナノ粒子の表面上に導入された親水基に機能性分子を結合させて個別分散性を維持しながら、ナノ粒子の表面に官能性及び不規則な表面構造を付与する段階;及び
3)前記段階2)で製造されたナノ粒子の表面上に残存する残りの界面活性剤を少なくとも2個の親水基が炭素数1〜7個の炭化水素鎖により結合された有機配位子で置換することによって前記ナノ粒子を親水性ナノ粒子に変換させる段階を含む、バイオイメージングナノ粒子の製造方法を提供する。
【0010】
また、本発明は前記方法によって製造された界面活性剤により保護されたコア及びコア/シェル構造の疎水性無機物ナノ粒子の表面の一部分に炭素数8〜20個の炭化水素鎖によってチオール基と親水基が結合された有機配位子を含み、その部分は親水性を示すが、全体的には疎水性を示し、無極性有機溶媒内で個別分散性を維持するバイオイメージングナノ粒子を提供する。
【0011】
さらに、本発明は前記方法によって製造された、その表面に導入された親水基に機能性分子が結合されることによって機能性と不規則な表面構造とを有し、前記機能性分子が結合された部分は親水性を示すが、全体的には疎水性を示すバイオ−イメージング用ナノ粒子を提供する。
【0012】
最後に、本発明は前記方法によって製造された、その表面に残存する残りの界面活性剤が、炭素数1〜7個の炭化水素鎖により少なくとも2個の親水基が結合された有機配位子で置換することによって親水性に変換され、水溶液内で個別分散性を維持するバイオイメージングナノ粒子を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明のバイオイメージングナノ粒子の製造方法によれば、20nm以下の球形の均一な粒度、化学的安定性、水溶液内での分散性、生体適合性、標的志向性などの物性を有し、磁性または光度及び光安定性などを確保した球形ナノ粒子を100%収率で製造することができ、この方法によって製造されたナノ粒子は、バイオイメージング材料として非常に有用であるのみならず、疾病の診断及び治療用医療用高性能材料としても活用することができる。また、本発明の製造方法は、内部の無機物ナノ粒子の構成成分に関係なくナノ粒子の表面上の金属成分がチオール基を有する有機物と共有結合を形成する限り、同有機物内にある親水基により機能性分子と結合することができるので、多種々の単一ナノ粒子を含む有・無機錯体のナノ粒子の製造に多様に用いられることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明をより詳細に説明する。
従来のバイオイメージングナノ粒子製造のための表面改質方法は、親水性有機配位子を表面に結合することによって製造された親水性ナノ粒子が水溶液内でそれ自体として、又はバイオ分子との結合反応を行う過程で表面に導入された親水基の均一な構造により誘発される水素結合の引力による凝集及び沈澱現象によりその収率が顕著に減少した。
【0015】
これに対し、本発明者らは、水溶液内で均一な粒度分布を有する親水性ナノ粒子が凝集及び沈澱する原因は、親水性有機物の規則的な構造によって発生する粒子間の水素結合の引力によることを突き止め、段階的な部分表面改質によって生体適合性分子、標的志向性分子、これらの錯体または混合物のような機能性有機物の不規則な構造を早期導入することで生体適合性や標的志向性を有する疎水性ナノ粒子を製造した後、該疎水性ナノ粒子を親水性ナノ粒子に変換させることによって機能性有機物の立体障害によって粒子間の水素結合を妨害して水溶液内で個別分散されたバイオイメージングナノ粒子を高収率で製造する方法を開発した。
【0016】
具体的に、本発明によるバイオイメージングナノ粒子の製造方法は、
1)界面活性剤により保護されたコアまたはコア/シェル構造の疎水性無機物ナノ粒子に、炭素数8〜20個の炭化水素鎖によりチオール基と親水基が結合された有機配位子を1〜30当量添加して界面活性剤を部分的に置換し、ナノ粒子の表面に金属チオラート(M−S)結合を形成することによって、一部分だけが親水性に表面改質され、無極性有機溶媒で個別分散性を維持する疎水性ナノ粒子を製造する段階;
2)前記段階1)で製造されたナノ粒子の表面上に導入された親水基に機能性分子を結合させて個別分散性を維持しながら、ナノ粒子の表面に官能性及び不規則な表面構造を付与する段階;及び
3)前記段階2)で製造されたナノ粒子の表面上に残存する残りの界面活性剤を、少なくとも2個の親水基が炭素数1〜7個の炭化水素鎖により結合された有機配位子で置換することによって前記ナノ粒子を親水性ナノ粒子に変換させる段階を含む。
【0017】
前述のように従来の技術では、界面活性剤を含む有機溶媒内で均一な粒度分布を有する疎水性ナノ粒子を合成し、短い炭化水素鎖によりチオール基と親水基とが結合された有機配位子とナノ粒子との間に金属チオラート(M−S)結合を形成すると、親水性官能基が表面に露出してナノ粒子粉末の親水性を確保することができる。しかし、このような親水基が表面に露出した親水性ナノ粒子は、凝集及び沈澱現象が極めて容易に起こるので、他の生体高分子とのアミド結合またはエステル結合形成が成功的に行われることができない。このため中心に単一ナノ粒子を含むバイオイメージングナノ粒子を高収率で製造した例は、未だに報告されていない。
【0018】
本発明者らは、図1に示すようにアミノ基またはカルボキシル基が外側に向けた親水性ナノ粒子を含む多様な親水性ナノ粒子が、粒子表面に規則的に自己集合(self assembly)される過剰量の親水性官能基に起因する粒子間の水素結合の引力により凝集及び沈澱する現象を見つけた。かかる現象を抑制するために、本発明では図2に示すように部分表面改質によりナノ粒子の表面に不規則な構造を導入することにより粒子間の水素結合を全く妨害することによって粒子の凝集・沈澱現象を抑制し得る最適の条件を最初に確立した。前記条件下でナノ粒子は互いに凝集又は沈殿することなく個別的に分散された。まず、ナノ粒子の表面上に存在する一部の界面活性剤のみを、チオール基と親水基が炭素数8〜20個の炭化水素鎖により結合された有機配位子で置換して金属チオラート(M−S)結合を形成し、その後、前記表面上に導入された親水基に生体適合性及び標的志向性を有する機能性分子を結合させることによって官能性及び不規則な構造を付与し、このようにして製造された疎水性機能性ナノ粒子は、それ自体だけで生体外(in vitro)細胞実験のような特殊な目的のバイオ−イミジングに用いられる。その後、置換されない残りの界面活性剤を少なくとも2個の親水基が炭素数1〜7個の炭化水素鎖により結合された有機配位子で置換して親水性ナノ粒子に変換させると、粒子間の水素結合を立体的に妨害するので、中心に単一ナノ粒子を含む水溶液内での分散性及び安定性が改善されたバイオイメージングナノ粒子を高収率で製造することができる。
【0019】
次に、図2を参照しながら、本発明によるバイオイメージングナノ粒子の製造方法をより詳細に説明する。
【0020】
段階1)は、疎水性ナノ粒子の部分的な表面改質の段階(図2Cを参照)であって、界面活性剤14により保護されているコア10またはコア/シェル12構造の無機物ナノ粒子を含んでいる有機溶液に、炭素数8〜20個の炭化水素鎖によりチオール基と親水基とが結合されてナノ粒子表面の金属原素と化学結合を形成する有機配位子20を少量、好ましくは1〜30当量添加する。その後、該混合物を強く攪拌しながら反応させる。この反応によりナノ粒子表面の一部の界面活性剤が前記有機配位子で置換され、前記置換された有機配位子がナノ粒子表面の金属原素と金属チオラート(M−S)共有結合を形成する。
【0021】
前記段階1)において、無機物ナノ粒子はコアまたはコア/シェル構造であって、ナノ粒子の表面は内部より化学量論的に金属成分に富み、前記金属成分は、有機配位子の構成元素であるチオール基と金属チオラート(M−S)との共有結合によって化学的に結合することができる。前記無機物ナノ粒子は、周期律表のII族元素である亜鉛、カドミウム及び鉛のうちいずれか一つの元素と、周期律表のVI族元素である硫黄、セレニウム及びテルリウムのうちいずれか一つの元素からなる半導体ナノ粒子、貴金属ナノ粒子または酸化鉄ナノ粒子であることが好ましい。より好ましくは、前記無機物ナノ粒子としては、例えば、CdSe、ZnS、CdSe/CdS、CdSe/ZnS、PbS、Au、Ag、Fe、Fe等が挙げられるが、これらに限定されず、その他にもチオール基と共有結合を形成することができる物質からなるナノ粒子であれば、いずれも本発明に用いることができる。
【0022】
前記無機物ナノ粒子と結合する段階1の有機配位子は、分子内に少なくとも1個のチオール基と少なくとも1個の親水基を含んでいるので、無機物ナノ粒子と少なくとも1個の金属チオラート(M−S)結合を形成することができ、他の生体高分子18、例えば、生体適合性分子、標的志向性分子、これらの錯体(生体適合性−標的志向性分子)または混合物との結合のために少なくとも1個の結合部位を提供することができる。ここで、親水性基は特に限定されないが、例えば、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、またはチオール基が挙げられる。
【0023】
また、前記有機配位子における炭化水素鎖の長さは、ナノ粒子の疎水性を維持するために炭素数8〜20個であることが好ましい。もし、炭化水素鎖の炭素数が8個未満の場合には、ナノ粒子の疎水性が消失する恐れがあり、鎖の長さが短すぎて親水基が界面活性剤に下に埋め込まれるので、このような埋め込まれた親水基は機能性分子との共有結合を形成することが困難であるという問題点が生じ得る。今まで炭化水素鎖の長さが炭素数20個を超える有機配位子が開発されていないが、もし、これが開発されれば、使用可能なことはもちろんである。この時、添加される有機配位子の量は1〜30当量の範囲が好ましいが、1当量未満を添加する場合には、有機配位子が全く置換されないオリジナルのナノ粒子が残されるので、収率減少を招く。また、30当量を超えて添加する場合には、ナノ粒子の表面上に親水基が導入され過ぎて、それによってナノ粒子間の水素結合の引力が強化されるので、ナノ粒子の凝集や沈澱を引き起こす問題点がある。
【0024】
前記無機物ナノ粒子の表面の金属原素とチオール基との間の金属チオラート(M−S)共有結合により化学的に結合することができる有機配位子の数は、粒度によって異なるが、1〜150個の範囲である。しかし、30個以上の金属チオラート(M−S)結合を形成し、これに生体適合性分子を結合させると、粒子同士の凝集が生じてナノ粒子クラスターを形成し、いかなる溶媒にも分散されないことを確認した。従って、無機物ナノ粒子の表面の金属原素とチオール基との間の金属チオラート(M−S)共有結合によって化学的に結合することができる有機配位子の数は、1〜30個が好ましい。ナノ粒子の表面に不規則な構造を形成するために使用可能な有機配位子としては、例えば、メルカプトウンデカン酸(mercaptoundecanoic acid)、メルカプトドデカン酸(mercaptododecanoic acid)及びメルカプトヘキサデカン酸(mercaptohexadecanoic acid)などが挙げられる。
【0025】
この段階において部分的に表面改質された無機物ナノ粒子は、たとえ親水基が外側に向けられていても、親水基が結合された炭化水素鎖の長さが長いので、実質的に親水性を示すことができない。さらに、親水基の数が疎水性界面活性剤より顕著に少なく、ナノ粒子は依然として疎水性を示すので、無極性溶媒に容易に分散されることができる。
【0026】
段階2)は、段階1)で製造されたナノ粒子の親水基に生体適合性分子、標的志向性分子、これらの錯体または混合物のような機能性分子を結合して表面に導入された機能性分子により不規則な構造を有するナノ粒子を製造する段階である。前記段階から製造されたナノ粒子は、依然として疎水性や両親媒性であるので、無極性溶媒内で容易に分散され、生体外(in vitro)細胞実験のような特殊な目的のバイオ−イミジングに用いられることができる。
【0027】
段階3)は段階2)で製造されたナノ粒子に少なくとも2個の親水基が炭素数1〜7個の炭化水素鎖により結合された有機配位子16を添加して前記ナノ粒子の表面上に残っている界面活性剤を置換することによって、親水性ナノ粒子に変換させる段階である。ここで、好ましい親水基としては、アミノ基、アルデヒド基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、またはチオール基などが挙げられる。前記段階3)における好適な有機配位子としては、例えば、メルカプトヘキサン酸(mercaptohexanoic acid)、メルカプト酢酸(mercaptoacetic acid)、メルカプトプロピオン酸(mercaptopropionic acid)、ジメルカプトコハク酸(dimercaptosuccinic acid)、2−メルカプトエタノール(2−mercaptoethanol)、2−アミノエタンチオール(2−aminoethanethiol)、リジン(Lysine)、アルギニン(arginine)及びアミノ吉草酸(aminovaleric acid)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
前記段階1)及び段階2)によりナノ粒子の表面に導入された不規則な構造は、段階3)で発生することができる親水性ナノ粒子同士の水素結合を根本的に阻止して個別分散性を維持させ、段階3)で導入された有機配位子の炭素数1〜7個の短い炭化水素鎖の長さは、有機物の極性を増大させて水に対する分散性を向上させるようになる。
【0029】
本発明における機能性分子は、合成高分子または生体構成物質であって、副作用を伴わず、高い生体適合性及び生分解性を有し、条件によって溶液、ゲル又は膜(membrane)などの多様な物理的状態で用いられ、少なくとも一方の末端にアミノ基、アルデヒド基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、チオール基のいずれか一つの官能基を含み、前記機能性分子はナノ粒子の親水基とアミドまたはエステル結合を行うことができる。かかる機能性分子としては、例えば、生体適合性分子、標的志向性分子、これらの錯体(生体適合性−標的志向性分子)または混合物が挙げられる。
【0030】
前記生体適合性分子は、両末端にアミノ基、アルデヒド基及びカルボキシル基から選ばれた官能基を有するか、一方の末端にはアミノ基、アルデヒド基及びカルボキシル基のうちいずれか一つを有し、他方の末端には、炭素数1〜7個のアルコキシ基またはヒドロキシル基を有することが好ましい。特に好ましい生体適合性分子としては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、デキストラン、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(DL−ラクチド)(PDLLA)、ポリ−DL−ラクチド/グリコリド共重合体(PLGA)、キトサン、アルギン酸、ヒアルロン酸、コラーゲン、ヘパリン及びポリ(ε−カプロラクトン)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
さらに、標的志向性分子は生体内で特異的に認知される物質であって、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基及びチオール基のうちいずれか一つを含んでいるので、前記有機配位子または前記生体適合性分子とアミド結合、エステル結合及びチオエステル結合のうちいずれか一つによって結合されることが好ましい。かかる標的志向性分子としては、葉酸水溶体タンパク質に選択的に反応する葉酸(folic acid)、メトトレキサート(methotrexate,MTX)、特定細胞に選択的なペプチド(例えば、RGDペプチド(RGD peptide)やTatペプチド(tat peptide))、または特異抗原に選択的に反応する抗体(例えば、ストレプトアビジンに対するビオチン、PSAに対するPSA抗体)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
また、前記生体適合性分子と標的志向性分子をアミド結合やエステル結合によって結合して製造された錯体形態またはこれらの混合物の形態で用いられる。
【0033】
かかる生体適合性分子、標的志向性分子、生体適合性−標的志向性分子の錯体またはこれらの混合物のような機能性分子は、少なくとも分子の一方の末端にアミノ基、アルデヒド基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、及びチオール基のうちいずれか一つを有しているので、段階2)で個別分散されたナノ粒子のカルボキシル基、ヒドロキシル基またはアミノ基とアミド結合またはエステル結合を形成して表面上に不規則な構造を有するナノ粒子を形成することができる。
【0034】
図1の段階Bに示したように、従来のナノ粒子の製造方法は、親水性ナノ粒子が凝集した状態で生体高分子とアミドまたはエステル結合反応を行うので、凝集したナノ粒子の表面にのみ機能性分子が取り囲む形態で結合が形成され、その内部に存在するナノ粒子は機能性分子と接触することができないので、所望する結合が不可能になる。これによりバイオイメージングナノ粒子の製品歩留まりが低下し、且つイミジング機能が減少されるという問題点が発生してきた。
【0035】
しかし、本発明によるナノ粒子の製造方法は、図2の段階Dに示したように、まず、段階的な部分表面改質によってナノ粒子の表面上にある界面活性剤の一部分が炭素数8〜20の炭化水素鎖により結合された有機配位子で置換され、前記有機配位子に機能性分子が結合して不規則な構造を有する疎水性の機能性ナノ粒子を製造する。その後、前記ナノ粒子の表面上に残存する残りの界面活性剤を少なくとも2個の親水基が炭素数1〜7個の炭化水素鎖により結合された有機配位子で置換してナノ粒子の疎水性を親水性に変換させる。かかる本発明の製造方法によれば、粒子間の水素結合による凝集及び沈澱現象がナノ粒子の表面上に導入された不規則な構造により立体的に妨害されるので、量子点を損失することなく中心に単一ナノ粒子を含む有・無機錯体ナノ粒子を100%収率で製造することができるだけでなく、量子効率も維持することができる。
【0036】
本発明の望ましい実施形態によれば、20nm以下の球形で且つ蛍光特性を有するコアまたはコア/シェルナノ粒子、または酸化鉄磁性ナノ粒子を有機溶液内で合成して粒子の均一性を確保した状態において、段階的部分表面改質によって長鎖有機配位子と機能性分子を順次に結合させることによって不規則な構造を有する疎水性機能性バイオイメージングナノ粒子が得られる。また、前記ナノ粒子の表面上に導入された不規則な構造による立体障害によって粒子間の水素結合を阻止し、これにより前記ナノ粒子の疎水性を親水性に変換され、その結果、水溶液内で個別分散性を維持するバイオイメージングナノ粒子を100%収率で製造することができるようになる。
【0037】
また、本発明の製造方法は、無機物ナノ粒子の内部構成成分に関係なくナノ粒子の表面上の金属成分がチオール基を有する有機配位子と共有結合を形成すれば、前記有機配位子内の親水基により機能性分子と結合することができるので、量子点と磁性ナノ粒子だけでなく、多様な種類の単一ナノ粒子を含む有・無機錯体ナノ粒子の製造に有用である。
【0038】
さらに、本発明の製造方法は、無機物ナノ粒子と有機配位子との共有結合が金属チオラート(M−S)結合ではないとしても、段階的な部分表面改質によって導入された有機配位子の末端にアミノ基、カルボキシル基またはヒドロキシル基が露出されていると、親水基が機能性分子と結合し、粒子間の水素結合を立体的に妨害する不規則な構造を形成した後、前記無機物ナノ粒子を親水性に変換させることができるので、親水性ナノ粒子への変換前後において多様な種類の個別分散されたバイオイメージングナノ粒子の製造に有効に適用することができる。
【0039】
また、本発明は、前記方法によって製造される、その中心に単一無機物ナノ粒子を含むバイオイメージングナノ粒子を提供する。
【0040】
本発明によるバイオイメージングナノ粒子は、中心にコア及びコア/シェル構造を有する無機物ナノ粒子の表面の一部分に金属チオラート(M−S)結合された長鎖炭化水素を有する有機配位子を含み、前記有機配位子が結合された部分のみが親水性であり、前記有機配位子が結合されていない残りの大部分は疎水性であるナノ粒子(本発明の製造方法のうち段階1));前記ナノ粒子の親水基にアミドまたはエステル結合により機能性分子が結合されて不規則な表面構造を有する疎水性ナノ粒子(本発明の製造方法のうち段階2));前記ナノ粒子の表面上に残存する残りの界面活性剤が少なくとも2個の親水基を有する短鎖炭化水素鎖の極性有機配位子で置換されて親水性に変換され、粒子間の水素結合が表面上に導入された不規則な構造の立体障害によって阻止されて全工程を通じて個別分散性を維持する親水性ナノ粒子(本発明の製造方法のうち段階3))を含む。
【0041】
本発明による親水性バイオイメージングナノ粒子は、一つのナノ粒子の表面上に水素結合能を持つ多くの親水性有機配位子が存在するが、一部の表面には不規則な構造を提供する長鎖炭化水素の有機配位子に結合された機能性分子が結合されているので、粒子同士の水素結合に立体障害を与えるため、凝集及び沈澱現象によるナノ粒子の損失なしに均一な粒度、高い化学的安定性、水溶液内の分散性、生体適合性及び標的志向性を有し、高い光度と光安定性を確保することができる。
【0042】
従って、本発明によるナノ粒子は、バイオイメージング材料として非常に有用であるだけでなく、疾病の診断や治療などを高性能で行うことができる医療用材料としても活用することができる。
【0043】
以下に、本発明を下記実施例によってより具体的に説明する。但し、これらの実施例は本発明を例示するだけであり、本発明を制限しない。
【0044】
下記の実施例における量子点の出発物質として用いられたコア/シェル構造の疎水性ナノ粒子CdSe/CdS−ODAは、全表面にオクタデシルアミン(octadecylamine,ODA)界面活性剤が配位されており、文献(JJ Liら、Journal of the American Chemical Society 125:12567−12575,2003;WW Yuら、Chemistry of Materials15:2854−2860,2003)に記載された方法を参考してCdSeコアナノ粒子の表面上にCd,S,Cd,S及びCdを、各々0.5層ずつ総2.5層を相互に成長させて製造した。
【0045】
また、下記の実施例における磁性ナノ粒子の出発物質として用いられた疎水性酸化鉄ナノ粒子Fe−OAは、全表面にオレイン酸(oleicacid,OA)界面活性剤が配位されており、文献(K.Wooら、Chemistry of Materials16:2814−2818,2004;K.Wooら、IEEE Transactions on magnetics 41,4137−4139)に記載された方法によってFeまたはFeナノ粒子を合成し、不活性雰囲気下で10モル%の前駆体Fe(CO)を加えた後、還流して表面上に化学量論的に鉄の成分に富む磁性ナノ粒子を製造した。しかし、いずれの方法で製造しても表面に化学量論的に金属成分に富む疎水性ナノ粒子であれば、実施例1〜11に同様に適用されることができることは当業者にとって自明である。
【0046】
また、下記の実施例における(−DA)exまたは(−OA)exは、ナノ粒子の表面上にある過剰量のデシルアミン(DA)またはオレイン酸(OA)を示す略号であって、このうち一部の配位子がチオール基を有する他の配位子で置換されても、その減少効果が微弱で依然として過剰量のDAまたはOAが存在するので、これらを使い分けず(−DA)exまたは(−OA)exで表記する。
【実施例1】
【0047】
表面配位子の交換による半導体ナノ粒子CdSe/CdS−DAの製造
疎水性CdSe/CdS−ODA量子点溶液(8×10−5M)5mlを真空蒸発させて溶媒を除去してから20mlのクロロホルムに分散させ、1000当量のデシルアミン(decylamine、DA)を加えて暗い不活性雰囲気下で2日間攪拌した。その結果、得られた溶液にアセトンを添加してからその生成沈殿物を遠心分離し、クロロホルムに分散させて20mlのCdSe/CdS−DA溶液(2×10−5M)を製造した。得られたCdSe/CdS−DA試料は赤外線分光光度計及び透過電子顕微鏡(tranmission electron microscope,TEM)で分析し、その結果を図3のbと図4のbに各々示した。TEMイメージからCdSe/CdS−DA量子点間の間隔がCdSe/CdS−ODAより短くなることから配位子の交換が発生したことを確認した。
【実施例2】
【0048】
部分表面改質された半導体ナノ粒子CdSe/CdS(−DA)ex(−MUA)の製造
実施例1で製造した17mlのCdSe/CdS−DA溶液に5当量のメルカプトウンデカン酸(mercaptoundecanoic acid,MUA)を加えて暗い不活性雰囲気下で19時間攪拌した。前記溶液を濃縮させた後、アセトンを添加して生成された沈殿物を遠心分離し、クロロホルムに分散させて17mlのCdSe/CdS(−DA)ex(−MUA)溶液(2×10−5M)を製造した。得られた試料は赤外線分光光度計及びTEMで分析し、その結果を図3のcと図4のcに各々示した。MUAの部分置換により図2の段階3のように均一な構造の破壊に起因して自己集合(self−assembly)構造がこれ以上発生しないということをTEMのイメージから確認した。
【実施例3】
【0049】
標的志向性疎水性半導体ナノ粒子CdSe/CdS(−DA)ex(−MUA−en−FA)の製造
実施例2で製造した2mlのCdSe/CdS(−DA)ex(−MUA)溶液にクロロホルムを添加して最終容量が10mlになるように希釈した。該溶液に5当量のジシクロヘキシルカルボジイミド(dicyclohexylcarbodiimide,DCC)を加えて暗い不活性雰囲気下で3時間攪拌した後、下記のように製造されたen−FAを50当量加え、さらに2時間攪拌した。得られた溶液を濃縮させた後、アセトンを添加して生成された沈殿物を遠心分離してクロロホルムに分散させて10mlのCdSe/CdS(−DA)ex(−MUA−en−FA)溶液(4×10−6M)を製造した。en−FAがMUAに結合されたことを赤外線分光光度計及びTEMで分析し、その結果を図3のdと図4のdに各々示した。
【0050】
標的志向性分子葉酸(folic acid,FA)とエチレンジアミン(en)との錯体en−FAの製造
441mg(1 mmol)の葉酸を乾留した10mlのトルエンに注入してから1時間攪拌した後、真空蒸発によりトルエン及び水分を除去した。その結果、得られた残留物をジメチルホルムアミド(dimethylformamide,DMF)に溶解させた後、当該フラスコを氷浴に浸して10分間攪拌した。前記混合物に226mg(1.1mmol)のDCCを加え、さらに18時間攪拌した。2.5mlのエチレンジアミン(ethylenediamine,en)を20mlのDMFに溶解させ、これに前記混合物を加えてから3時間攪拌した。その結果、得られた前記溶液に水とアセトニトリルを添加して沈殿物を形成し、同一の溶媒で再結晶してen−FA224mgを得た。
【実施例4】
【0051】
生体適合性水溶性半導体ナノ粒子CdSe/CdS(−MPA)ex(−MUA−aPEGa)の製造
実施例2で製造した0.5mlのCdSe/CdS(−DA)ex(−MUA)溶液にクロロホルムを添加して最終容量が2.5mlになるように希釈した。前記溶液に6当量のDCCを加えて暗い不活性雰囲気下で3時間攪拌した後、O,O’−ビス(2−アミノエチル)ポリエチレングリコール(O,O’−Bis(2−aminoethyl)polyethylene glycol,aPEGa,分子量1,000)を7当量加え、さらに16時間攪拌した。得られた溶液を濃縮した後、アセトンの添加により生成された沈殿物を遠心分離し、クロロホルムに分散させて10mlのCdSe/CdS(−DA)ex(−MUA−aPEGa)溶液(1×10−6M)を製造した。
【0052】
次いで、前記CdSe/CdS(−DA)ex(−MUA−aPEGa)溶液に0.05M NaOHと0.05Mメルカプトプロピオン酸(mercaptopropionicacid,MPA)が溶解されているメタノール溶液100当量を添加して攪拌した。得られた溶液に蒸留水を加えて生成物を抽出し、メタノール/酢酸エチル(1/4)混合溶媒を添加して生成された沈殿物を遠心分離した。前記分離した沈殿物をpH7.4であるPBS緩衝溶液に分散させて10mlの1×10−6MのCdSe/CdS(−MPA)ex(−MUA−aPEGa)を製造した。aPEGaがMUAに結合され、且つDAがMPAで置換されたことを赤外線分光光度計及びTEMで分析し、その結果を図3のeと図4のeに各々示した。
【実施例5】
【0053】
標的志向性/生体適合性/水溶性半導体ナノ粒子CdSe/CdS(−MPA)ex(−MUA−aPEGa−FA)の製造及びこれを用いたバイオ−イメージング方法
実施例2で製造した2mlのCdSe/CdS(−DA)ex(−MUA)溶液にクルロロホルムを添加して最終容量が10mlになるように希釈した。前記溶液に6当量のDCCを加えて暗い不活性雰囲気下で3時間攪拌した後、下記のように製造されたaPEGa−FAを15当量加え、さらに16時間攪拌した。得られた溶液を濃縮させた後、アセトン及びメタノールを添加して生成された沈殿物を遠心分離し、クロロホルムに分散させて4mlのCdSe/CdS(−DA)ex(−MUA−aPEGa−FA)溶液(1×10−5M)を製造した。
【0054】
次いで、前記CdSe/CdS(−DA)ex(−MUA−aPEGa−FA)溶液に0.05M NaOHと0.05Mメルカプトプロピオン酸(MPA)が溶解されているメタノール溶液100当量を添加して攪拌した。得られた溶液に蒸留水を加えて生成物を抽出し、メタノール/酢酸エチル(1/4)混合溶媒を添加して生成された沈殿物を遠心分離した。前記分離した沈殿物をpH7.4であるPBS緩衝溶液に分散させて10mlの4×10−6MのCdSe/CdS(−MPA)ex(−MUA−aPEGa−FA)を製造した。aPEGa−FAがMUAに結合され、且つDAがMPAで置換されたことを赤外線分光光度計及びTEMで分析し、その結果を図3のfと図4のfに各々示した。
【0055】
前記で製造したFAが結合されたCdSe/CdS(−MPA)ex(−MUA−aPEGa−FA)量子点が、特定細胞に選択製を示すかどうかを確認してみるために、つまり葉酸受容体を持つKB細胞(ヒト繊維肉腫細胞(Human fibrosarcoma cell),ATCC, Manassas,VA)と葉酸受容体を持たないHT1080細胞(ヒト表皮癌細胞(Human epidermoid carcinoma cell),ATCC, Manassas,VA)をFA(9×10−6M)の存在又は不在下で、FAが結合されたCdSe/CdS(−MPA)ex(−MUA−aPEGa−FA)量子点(2×10−7M)又はFAが結合されないCdSe/CdS(−MPA)ex(−MUA−aPEGa)量子点(2×10−7M)が含まれているPBS溶液に接種し、37℃で15時間培養した。前記培養が完了した後、前記細胞をPBS溶液で3回洗浄し、スライドグラスの表面に固定させた。蛍光顕微鏡で前記細胞を観察し、その結果を図5に示した。
【0056】
図5に示したように、培養液内に遊離FAのない場合には、標的志向性を示すCdSe/CdS(−MPA)ex(−MUA−aPEGa−FA)量子点が標的志向性を示さないCdSe/CdS(−MPA)ex(−MUA−aPEGa)量子点に比べてFA受容体を持っているKB細胞内へより多い量が選択的に転移された。一方、培養液内に遊離FAが多数存在する場合には、大部分の遊離FAが受容体に結合するので、KB細胞とHT1080細胞との間に選択性のないことを確認した。
【0057】
生体適合性分子aPEGaと標的志向性分子FAとの結合によるaPEGa−FAの製造
441mg(1mmol)のFAを乾留した10mlのトルエンに注入してから1時間攪拌した後、真空蒸発によりトルエン及び水分を除去した。得られた残留物を14mlのジメチルホルムアミドに溶解させた後、当該フラスコを氷浴に浸して10分間攪拌した。前記混合物に226mg(1.1mmol)のDCCを加え、さらに18時間攪拌した後、1mmolのaPEGaを加え、さらに3時間攪拌した。得られた溶液にジメチルエーテルを加えて沈殿物を形成し、同一の溶媒で再結晶してaPEGa−FA179mgを得た。
【実施例6】
【0058】
半導体ナノ粒子CdSe/CdS(−DA)ex(−MUA−aPEGa)(n=5、10または30)の製造
実施例1で製造した0.5mlのCdSe/CdS−DA溶液にクロロホルムを添加して最終容量10mlになるように希釈した3つの希釈剤を準備した。前記各希釈剤に5、10及び30当量のメルカプトウンデカン酸(mercaptoundecanoicacid,MUA)それぞれを加えて暗い不活性雰囲気下で19時間攪拌した。得られた溶液を濃縮させた後、メタノールを添加して生成された沈殿物を遠心分離し、クロロホルムに分散させて2.5mlのCdSe/CdS(−DA)ex(−MUA)(n=5、10または30)溶液(4×10−6M)を各々製造した。
【0059】
前記CdSe/CdS(−DA)ex(−MUA)(n=5、10または30)溶液に各々5.5、11及び33当量のDCCを加えて暗い不活性雰囲気下で3時間攪拌した後、各々の溶液にaPEGaを6、12及び36当量を加え、さらに16時間攪拌した。得られた溶液を濃縮させた後、メタノールを添加して生成された沈殿物を遠心分離し、クロロホルムに分散させて10mlのCdSe/CdS(−DA)ex(−MUA−aPEGa)(n=5、10または30)溶液(1×10−6M)を各々製造した。前記三つの場合、いずれもaPEGaがMUAに結合されたことを赤外線分光光度計により確認し、その結果を図6に示した。
【0060】
また、TEMのイメージからナノ粒子間の水素結合の引力の影響が、CdSe/CdS(−DA)ex(−MUA−aPEG)の場合には微弱なことに比べ、CdSe/CdS(−DA)ex(−MUA−aPEG)10の場合には、強力に作用してナノ粒子の凝集を誘発していることを図7から確認した。前記分子式におけるnが5と10の場合には、クロロホルムによく分散されていたが、nが30の場合には、ナノ粒子間の水素結合の引力が大きすぎて凝集体を形成するようになるが、これを分散させることができる溶媒を見つけることができず、その結果凝集したナノ粒子のTEMのイメージを得ることもできない。前記結果からナノ粒子の表面に均一な構造を有する親水基の数が増加することによって粒子間の水素結合の引力が抑え切れずに増加することを確認した。
【0061】
前記実施例1〜6において、反応後の量子点溶液に不溶性溶媒を加え、遠心分離した後、廃棄する上澄液における蛍光が全く検出されないことから100%収率を意味するということを確認した。
【実施例7】
【0062】
部分表面改質した磁性ナノ粒子SPION(−OA)ex(−MHA)10の製造
粒度8nmの疎水性SPION−OA磁性ナノ粒子溶液(3×10−6M)2mlをエタノールで2回洗浄し、20mlのトルエンに分散させてから得られた溶液を100℃に昇温した。前記溶液に10当量のメルカプトヘキサデカン酸(mercaptohexadecanoic acid,MHA)を加えて1時間還流して冷却させた。得られた溶液の2mlを濃縮した後、小量のエタノールを添加してから磁石を用いて部分的に表面改質された磁性ナノ粒子SPION(−OA)ex(−MHA)10を分離した。前記分離された部分的に表面改質された磁性ナノ粒子を赤外線分光光度計及びTEMで分析して図8のbと図9のbに各々示した。TEMのイメージにおいて、SPION(−OA)ex(−MHA)10の量子点間の間隔がSPION−OAと類似する理由は、OAの一部を炭素鎖の長さがOAより短い2つのMHAで、図2の段階Cに示したように、散発的に置換したからである。さらに、赤外線分光光度計でMHAの置換により3300cm−1の周りのO−Hピークが増加したことを確認した。
【実施例8】
【0063】
標的志向性/生体適合性/疎水性磁性ナノ粒子SPION(−OA)ex(−MHA−aPEGa−MTX)10の製造
実施例7で製造した18mlのSPION(−OA)ex(−MHA)10溶液(3×10−7M)にDCC30当量を加えて3時間攪拌した後、下記のように製造されたaPEGa−MTX30当量を小量のDMFに溶解させて添加してから16時間攪拌した。得られた溶液を濃縮してエタノールを添加した後、磁石を用いてSPION(−OA)ex(−MHA−aPEGa−MTX)10を分離し、9mlのクロロホルムに分散させた。前記分散液の1mlを赤外線分光光度計及びTEMで分析し、その結果を図8のcと図9のcに各々示した。TEMのイメージにおいて、磁性ナノ粒子が自己集合によって得られる六角形の配列を破壊し、ばらばらに散在していることからaPEGa−MTXにより不規則な構造が導入されたことが分かる。また、赤外線分光光度計で1100及び1630cm−1の回りにPEG及びMTXの特性ピークが現れたことを確認した。
【0064】
生体適合性分子aPEGaと標的志向性分子MTXとの結合によるaPEGa−MTXの製造
454mg(1 mmol)のMTX(methotrexate,USP標準参照)を乾留した14mlのジメチルホルムアミドに溶解させ、当該フラスコを氷浴に浸してから10分間攪拌した。前記溶液に226mg(1.1 mmol)のDCCを加えてから18時間攪拌した後、1 mmolのaPEGaを加え、さらに3時間攪拌した。得られた溶液にジエチルエーテルを加えて沈殿物を形成して同一の溶媒で再結晶してaPEGa−MTX138mgを得た。
【実施例9】
【0065】
標的志向性/生体適合性/水溶性磁性ナノ粒子SPION(−MPA)ex(−MHA−aPEGa−MTX)10の製造
実施例8で製造した8mlのSPION(−OA)ex(−MHA−aPEGa−MTX)10溶液(6×10−7M)に0.05M MPAと0.05M NaOHを溶解させたメタノール溶液を150当量添加してから2時間攪拌した。得られた溶液にメタノールを添加し、遠心分離により得られた個体SPION(−MPA)ex(−MHA−aPEGa−MTX)10をpH7.4である16mlのPBS緩衝溶液に分散させた。前記分散液1mlを赤外線分光光度計及びTEMで分析し、その結果を図8のdと図9のdに各々示した。赤外線分光光度計において、OAがMPAで置換されることによって炭素鎖の長さが減少するので、C−Hピークの強度が顕著に減少されたことが分かる。さらに、TEMのイメージにおいて、試料製造の際、水溶液の使用により表面張力に起因した重なり効果(overlap effect)があるにもかかわらず、粒子間の距離が確保されたことを確認した。
【実施例10】
【0066】
標的志向性/生体適合性/水溶性磁性ナノ粒子SPION(−Lys)ex(−MHA−aPEGa−MTX)10の製造
実施例7及び8で製造した6mlのSPION(−OA)ex(−MHA−aPEGa−MTX)10溶液(6×10−7M)に臭化テトラオクチルアンモニウム(tetraoctylammonium bromide,TOAB)1000当量を加えてから16時間攪拌した。前記混合物に6mlの0.1Mリジン(lysine,Lys)水溶液を加えてから19時間攪拌した。得られた溶液にメタノールを添加し、磁石を用いてSPION(−Lys)ex(−MHA−aPEGa−MTX)10ナノ粒子を分離した後、各々5mlのトルエンとエタノールで洗浄し、pH7.4であるPBS緩衝溶液に分散させた。前記分散液1mlを赤外線分光光度計及びTEMで分析し、その結果を図8のeと図9のeに各々示した。赤外線分光光度計において、OAがリジンで置換されることによって炭素鎖の長さが減少するので、C−Hピークの強度が顕著に減少されたことが分かる。さらに、TEMのイメージにおいて、試料製造の際、水溶液の使用により表面張力に起因した重なり効果があるにもかかわらず、粒子間の距離が確保されたことを確認した。
【実施例11】
【0067】
標的志向性/生体適合性/疎水性磁性ナノ粒子SPION(−OA)ex(−MHA−en−FA)の製造及びバイオ−イミジング方法
粒度11nmの疎水性SPION−OA磁性ナノ粒子溶液(3×10−6M)2mlをエタノールで2回洗浄し、20mlのトルエンに分散させた溶液を100℃に昇温した。前記混合物に5当量のメルカプトヘキサデカン酸(mercaptohexadecanoic acid,MHA)を加えてから1時間還流して冷却した。得られた溶液に15当量のDCCを加えて暗い不活性雰囲気下で3時間攪拌した後、実施例3で製造したen−FA15当量を小量のDMFに溶解させて加えてから16時間攪拌した。得られた溶液を濃縮させてエタノールを添加した後、磁石を用いてSPION(−OA)ex(−MHA−en−FA)を分離して10mlのクロロホルムに分散させた。前記ナノ粒子の赤外線スペクトルを図8のfに示し、1630cm−1の周りにFAの特性ピークを確認した。
【0068】
前記で製造したSPION(−OA)ex(−MHA−en−FA)溶液を最終濃度が1×10−7Mになるように希釈した後、前記1mlの希釈液を培養皿上に均一に塗って自然乾燥した。翌日、培養皿を70%エタノール及び紫外線で消毒した後、ヒトの上皮癌細胞であるKB細胞(ATCC, Manassas,VA)2×10個をその上に接種し、37℃の培養器で16時間培養した。前記培養された細胞を集めて非処理の培養皿でさらに4時間培養した。前記ナノ粒子の標的志向性を比較するために10μg/mlのFAを培養液に添加したことを除いては、前記と同一の実験を行った。前記のように処理されたそれぞれの細胞をMRI(magnetic resonance imaging)で分析し、その結果を図10に示した。MRIのイメージを定量的に分析した結果、共存する過剰量の遊離FAが細胞表面の受容体を占有し、標的志向性磁性ナノ粒子SPION(−OA)ex(−MHA−en−FA)の標的志向性が約10%減少したことを確認した。前記結果から疎水性磁性ナノ粒子のFAによる標的志向性が非常に有意水準であることが分かる。
【0069】
以上、本発明を具体的な実施例により説明したが、本発明の要旨を一脱しない範囲内で当業者が多様に修正又は変形し得ることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】従来の技術によるバイオイメージングナノ粒子の製造過程と各段階のナノ粒子構造を示す図である。
【図2】本発明によるバイオイメージングナノ粒子の製造過程と各段階のナノ粒子構造を示す図である。
【図3】量子点の出発物質と実施例1〜5で製造された量子点の赤外線スペクトルを示す図である。 a)出発物質として用いられたCdSe/CdS−ODA量子点 b)実施例1で製造されたCdSe/CdS−DA量子点 c)実施例2で製造されたCdSe/CdS(−DA)ex(−MUA)量子点 d)実施例3で製造されたCdSe/CdS(−DA)ex(−MUA−en−FA)量子点 e)実施例4で製造されたCdSe/CdS(−MPA)ex(−MUA−aPEGa)量子点 f)実施例5で製造されたCdSe/CdS(−MPA)ex(−MUA−aPEGa−FA)量子点
【図4】量子点の出発物質と実施例1〜5で製造された量子点の透過電子顕微鏡(TEM)のイメージを示す図である。 a)出発物質として用いられたCdSe/CdS−ODA量子点 b)実施例1で製造されたCdSe/CdS−DA量子点 c)実施例2で製造されたCdSe/CdS(−DA)ex(−MUA)量子点 d)実施例3で製造されたCdSe/CdS(−DA)ex(−MUA−en−FA)量子点 e)実施例4で製造されたCdSe/CdS(−MPA)ex(−MUA−aPEGa)量子点 f)実施例5で製造されたCdSe/CdS(−MPA)ex(−MUA−aPEGa−FA)量子点
【図5】実施例4及び5で製造された量子点を阻害剤と標的薬剤用として用いてHT1080細胞とKB細胞に伝達した後、各細胞の蛍光燎微鏡のイメージを示す図である。 QD:阻害剤として用いられたCdSe/CdS(−MPA)ex(−MUA−aPEGa)量子点 QD−FA:標的薬剤用として用いられたCdSe/CdS(−MPA)ex(−MUA−aPEGa−FA)量子点 +FA:過剰量の遊離(free)FAが存在する状態 −FA:遊離FAが存在しない状態
【図6】実施例6で製造された量子点の赤外線スペクトルを示す図である。 a)CdSe/CdS(−DA)ex(−MUA−aPEGa)量子点 b)CdSe/CdS(−DA)ex(−MUA−aPEGa)10量子点 c)CdSe/CdS(−DA)ex(−MUA−aPEGa)30量子点
【図7】実施例6で製造された量子点のTEMのイメージを示す図である。 a)CdSe/CdS(−DA)ex(−MUA−aPEGa)量子点 b)CdSe/CdS(−DA)ex(−MUA−aPEGa)10量子点
【図8】磁性ナノ粒子の出発物質と実施例7〜11で製造された磁性ナノ粒子の赤外線スペクトルを示した図である。 a)出発物質として用いられたSPION−OAナノ粒子 b)実施例7で製造されたSPION(−OA)ex(MHA)10ナノ粒子 c)実施例8で製造されたSPION(−OA)ex(MHA−aPEGa−MTX)10ナノ粒子 d)実施例9で製造されたSPION(−MPA)ex(MHA−aPEGa−MTX)10ナノ粒子 e)実施例10で製造されたSPION(−Lys)ex(MHA−aPEGa−MTX)10ナノ粒子 f)実施例11で製造されたSPION(−OA)ex(MHA−en−FA)ナノ粒子
【図9】磁性ナノ粒子の出発物質と実施例7〜10で製造された磁性ナノ粒子の透過電子顕微鏡(TEM)のイメージを示す図である。 a)出発物質として用いられたSPION−OAナノ粒子 b)実施例7で製造されたSPION(−OA)ex(MHA)10ナノ粒子 c)実施例8で製造されたSPION(−OA)ex(MHA−aPEGa−MTX)10ナノ粒子 d)実施例9で製造されたSPION(−MPA)ex(MHA−aPEGa−MTX)10ナノ粒子 e)実施例10で製造されたSPION(−Lys)ex(MHA−aPEGa−MTX)10ナノ粒子
【図10】実施例11で製造されたSPION(−OA)ex(MHA−en−FA)磁性ナノ粒子を標的とされた実験のKB細胞の磁気共鳴映像(MRI)を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
10…ナノ粒子(コア) 12…ナノ粒子(シェル)
14…界面活性剤
16…少なくとも2つの親水基が炭素数1〜7個の炭化水素鎖により結合された有機配位子
18…機能性分子(例えば、生体適合性分子、標的志向性分子、これらの錯体または混合物)
20…チオール基と親水基が炭素数8〜20個の炭化水素鎖により結合された有機配位子
A…疎水性ナノ粒子の親水性表面改質段階
B…親水性ナノ粒子の機能性分子結合段階
C…疎水性ナノ粒子の部分的な親水性への表面改質段階
D…親水性部分を一部含むが、全体的には疎水性を示すナノ粒子の機能性分子結合段階
E…親水性部分を一部含むが、全体的には疎水性を示す機能性ナノ粒子の親水性への表面改質段階

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)界面活性剤により保護されたコアまたはコア/シェル構造の疎水性無機物ナノ粒子に、炭素数8〜20個の炭化水素鎖によりチオール基と親水基とが結合された有機配位子を1〜30当量添加して界面活性剤を部分的に置換し、ナノ粒子の表面に金属チオラート(M−S)結合を形成することによって、一部分だけが親水性に表面改質され、無極性有機溶媒で個別分散性を維持する疎水性ナノ粒子を製造する段階;
2)前記段階1)で製造された疎水性ナノ粒子の表面上に導入された親水基に機能性分子を結合させて個別分散性を維持しながら、ナノ粒子の表面に官能性及び不規則な表面構造を付与する段階;及び
3)前記段階2)で製造されたナノ粒子の表面上に残存する残りの界面活性剤を少なくとも2個の親水基が炭素数1〜7個の炭化水素鎖により結合された有機配位子で置換することによって前記ナノ粒子を親水性ナノ粒子に変換させる段階を含む、バイオイメージングナノ粒子の製造方法。
【請求項2】
前記段階1)における疎水性無機物ナノ粒子が周期律表上のII族元素である亜鉛、カドミウム及び鉛からなる群から選ばれるいずれか一つの元素と、周期律表上のVI族元素である硫黄、セレニウム及びテルリウムからなる群から選ばれるいずれか一つの元素からなる半導体ナノ粒子、貴金属ナノ粒子または酸化鉄ナノ粒子であることを特徴とする請求項1に記載のバイオイメージングナノ粒子の製造方法。
【請求項3】
前記疎水性無機物ナノ粒子がCdSe、ZnS、CdSe/CdS、CdSe/ZnS、Au、Ag、Fe及びFeからなる群から選択されることを特徴とする請求項2に記載のバイオイメージングナノ粒子の製造方法。
【請求項4】
前記段階1)における有機配位子が分子内に少なくとも1個のチオール基と少なくとも1個の親水基とを含み、前記親水基はアミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基及びチオール基からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のバイオイメージングナノ粒子の製造方法。
【請求項5】
前記有機配位子がメルカプトウンデカン酸(mercaptoundecanoic acid)、メルカプトドデカン酸(mercaptododecanoic acid)及びメルカプトヘキサデカン酸(mercaptohexadecanoic acid)からなる群から選択されることを特徴とする請求項4に記載のバイオイメージングナノ粒子の製造方法。
【請求項6】
前記段階1)におけるナノ粒子の表面に金属チオラート(M−S)共有結合によって化学的に結合することができる有機配位子の数が1〜30個であることを特徴とする請求項1に記載のバイオイメージングナノ粒子の製造方法。
【請求項7】
前記段階2)における機能性分子が少なくとも一方の末端にアミノ基、アルデヒド基、カルボキシル基、ヒドロキシル基及びチオール基からなる群から選択される親水基が結合された生体適合性分子、標的志向性分子、これらの錯体または混合物であることを特徴とする請求項1に記載のバイオイメージングナノ粒子の製造方法。
【請求項8】
前記段階3)における有機配位子が分子内に少なくとも2個の親水基を含み、前記親水基はアミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基及びチオール基からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のバイオイメージングナノ粒子の製造方法。
【請求項9】
前記有機配位子がメルカプトヘキサン酸(mercaptohexanoic acid)、メルカプト酢酸(mercaptoacetic acid)、メルカプトプロピオン酸(mercaptopropionic acid)、ジメルカプトコハク酸(dimercaptosuccinic acid)、2−メルカプトエタノール(2−mercaptoethanol)、2−アミノエタンチオール(2−aminoethanethiol)、リジン(Lysine)、アルギニン(arginine)及びアミノ吉草酸(aminovaleric acid)からなる群から選択されることを特徴とする請求項8に記載のバイオイメージングナノ粒子の製造方法。
【請求項10】
前記生体適合性分子が両側の末端にアミノ基、アルデヒド基及びカルボキシル基のうち選ばれた親水基を有するか、一方の末端にはアミノ基、アルデヒド基及びカルボキシル基のうち一つを有し、他方の末端には炭素数1〜7個のアルコキシ基またはヒドロキシル基を有することを特徴とする請求項7に記載のバイオイメージングナノ粒子の製造方法。
【請求項11】
前記生体適合性分子がポリエチレングリコール(PEG)、デキストラン、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(DL−ラクチド)(PDLLA)、ポリ−DL−ラクチド/グリコリド共重合体(PLGA)、キトサン、アルギン酸、ヒアルロン酸、コラーゲン、ヘパリン及びポリ(ε−カプロラクトン)からなる群から選択されることを特徴とする請求項10に記載のバイオイメージングナノ粒子の製造方法。
【請求項12】
前記標的志向性分子が生体内で特異的に認知されることができ、アミノ基、アルデヒド基、カルボキシル基、ヒドロキシル基及びチオール基からなる群から選択されるいずれかの基を有しているので、生体適合性分子とアミド結合、エステル結合及びチオエステル結合のうちいずれか一つによって結合されることができることを特徴とする請求項7に記載のバイオイメージングナノ粒子の製造方法。
【請求項13】
前記標的志向性分子が葉酸(folic acid)、メトトレキサート(methotrexate、MTX)、特定細胞に選択的なペプチド、または特異抗原に選択的に反応する抗体であることを特徴とする請求項12に記載のバイオイメージングナノ粒子の製造方法。
【請求項14】
請求項1に記載の製造方法の段階1)によって製造されるナノ粒子であって、界面活性剤により保護されたコア及びコア/シェル構造の疎水性無機物ナノ粒子の表面の一部分に、炭素数8〜20個の炭化水素鎖によってチオール基と親水基が結合された有機配位子を含み、その部分は親水性を示すが、全体的には疎水性を示し、無極性有機溶媒内で個別分散性を維持するバイオイメージングナノ粒子。
【請求項15】
請求項1に記載の製造方法の段階2)によって製造されるナノ粒子であって、請求項14に記載のナノ粒子の表面に導入された親水基に機能性分子が結合されることにより官能性及び不規則な表面構造を有し、前記機能性分子が結合された部分は親水性を示すが、全体的には疎水性を示すバイオ−イメージングナノ粒子。
【請求項16】
請求項1に記載の製造方法の段階3)によって製造されるナノ粒子であって、請求項15に記載のナノ粒子の表面に残存する残りの界面活性剤が、炭素数1〜7個の炭化水素鎖により少なくとも2個の親水基が結合された有機配位子で置換することによって親水性に変換され、水溶液内で個別分散性を維持するバイオイメージングナノ粒子。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−107106(P2009−107106A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−156971(P2008−156971)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(502336265)コリア インスティチュート オブ サイエンス アンド テクノロジー (7)
【Fターム(参考)】