説明

不飽和ヒドロフルオロカーボンの使用

フォーム発泡、溶剤洗浄、冷凍のための、半導体エッチングまたはチャンバ洗浄のためのエッチングガスとしての、熱伝達、消火およびエアロゾルの製造のための、特定のヒドロフルオロアルケンの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年3月6日に出願された欧州特許出願第09003296.2号明細書に対する優先権を主張し、この出願は、すべての目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、フォーム発泡、溶剤洗浄、冷凍のための、半導体エッチングまたはチャンバクリーニングのためのエッチングガスとしての、熱伝達、消火、およびエアロゾルの製造のための、特定の不飽和ヒドロフルオロカーボンの使用に関する。さらに、本発明は、特定の不飽和ヒドロフルオロカーボンを含む組成物を上述の用途に使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(特許文献1)には、フォーム発泡、溶剤洗浄、および冷凍、半導体エッチングまたはチャンバ洗浄のためのエッチングガスとしての、熱伝達、消火、およびエアロゾルの製造などの有用な用途のために、とりわけ、ヒドロフルオロカーボンを含む、特定の化合物を使用する方法が記載されている。
【0004】
フォームは、様々な異なる用途で広範に商業的に使用されてきた。一般に、フォームの製造では、最終構造への膨張に必要な、いわゆる発泡剤の使用が必要とされる。
【0005】
歴史的に、クロロフルオロカーボン(いわゆるCFC、例えば、CFC−11としても知られるトリフルオロメタン)またはヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC、例えば、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタンまたはHCFC−141bとしても知られる)は、例えば、ポリウレタンフォーム用のフォーム発泡剤として広範に使用された。ポリスチレンフォーム用の公知の発泡剤は、ジクロロジフルオロメタン(CFC−12)またはクロロジフルオロメタン(HCFC−22)もしくは種々のHCFCのブレンドである。他のCFCまたはHCFCは、それぞれ、フェノールフォーム、または独立気泡フォームもしくは連続気泡フォームまたはマルチモーダル(multimodal)フォームのような他の特別の種類のフォームの製造で使用されてきた。
【0006】
一般に、CFCは、良好な断熱性、低い燃焼性および良好な寸法安定性を示すフォームを生成する。しかし、成層圏オゾン層の破壊におけるCFCおよびHCFCのような塩素含有分子の関与のために、CFCおよびHCFCの製造および使用は、いわゆるモントリオール議定書によって規制されてきた。
【0007】
最近になって、ヒドロフルオロカーボン、いわゆるHFCが、CFCおよびHCFCの代替物として使用されてきた。これらの化合物は、成層圏オゾン層に有害な影響を与えないが、それらの温室効果への寄与による懸念があり、すなわち、それらは、地球温暖化の一因となっている。その結果として、HFCも監視されてきており、それらの広範囲に及ぶ使用は、将来制限されるかもしれない。
【0008】
(特許文献2)には、不飽和フルオロカーボンを含む発泡剤を使用してフォームを製造する方法が開示されており、かなりの数の異なる種類の不飽和ヒドロフルオロカーボンが適切であると開示されている。好ましい不飽和ヒドロフルオロカーボンは、式RCH=CHR(式中、RおよびRは、独立して、CからCのペルフルオロアルキル基である)を有する。場合によって、異なる種類の不飽和ヒドロフルオロカーボンの混合物を用いることができる。
【0009】
(特許文献3)には、フルオロブテンおよびそれを製造する方法が記載されている。フルオロブテンの中で特に言及されたものは、ハロゲン化炭化水素に一般に用いられる命名法に従ってHFC−1354とも命名される、2,4,4,4−テトラフルオロブテンならびに(E)−および(Z)−1,1,1,3−テトラフルオロブト−2−エンである。これらの化合物を製造する様々な方法が記載されている;しかし、これらの新規な化合物の有用性に関する指摘はない。
【0010】
(特許文献4)には、金属フッ化物触媒、特に高い特異的表面および高いルイス酸性度を有する特定の型の金属フッ化物触媒上での、ハロゲンおよび水素を含有するアルケンの調製が開示されている。上述のHFC−1354異性体は、好ましい生成物として明示的に記載されており、実施例9は、これらの化合物の製造に言及している。これらの化合物が商業的に使用され得る具体的な用途の開示はない。
【0011】
上記を考慮して、フォーム発泡、溶剤洗浄、および冷凍のために、半導体エッチングまたはチャンバ洗浄のためのエッチングガスとして、熱伝達、消火、およびエアロゾルの製造のために有用な新規な組成物に対する継続した要求がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2009/019219号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2007/053674号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2004/096737号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2009/010472号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、特定のヒドロフルオロアルケンについて新規な使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、フォーム発泡、溶剤洗浄、および冷凍のための、半導体エッチングもしくはチャンバ洗浄のためのエッチングガスとしての、熱伝達、消火またはエアロゾルの製造のための、(Z)−1,1,1−3−テトラフルオロブト−2−エン、(E)−1,1,1,3−テトラフルオロブト−2−エンもしくは2,4,4,4−テトラフルオロブト−1−エン(一般にHFC−1354と称される)またはそれらの混合物、あるいは1種または複数のこれらの化合物とヘキサフルオロブテン(一般にHFC1336と称される)の混合物の使用によって達成される。
【0015】
本発明は、
ポリマーフォームが製造されるフォームを発泡させる方法であって、(Z)−1,1,1−3−テトラフルオロブト−2−エン、(E)−1,1,1,3−テトラフルオロブト−2−エンもしくは2,4,4,4−テトラフルオロブト−1−エン(一般にHFC−1354と称される)またはそれらの混合物、あるいは1種または複数のこれらの化合物とヘキサフルオロブテン(一般にHFC1336と称される)の混合物を含むまたはそれらからなる発泡剤が適用される方法、および
洗浄されるべき品目を、(Z)−1,1,1−3−テトラフルオロブト−2−エン、(E)−1,1,1,3−テトラフルオロブト−2−エンもしくは2,4,4,4−テトラフルオロブト−1−エン(一般にHFC−1354と称される)またはそれらの混合物、あるいは1種または複数のこれらの化合物とヘキサフルオロブテン(一般にHFC1336と称される)の混合物を含むまたはそれらからなる溶剤と接触させる、溶剤洗浄する方法、および
(Z)−1,1,1−3−テトラフルオロブト−2−エン、(E)−1,1,1,3−テトラフルオロブト−2−エンもしくは2,4,4,4−テトラフルオロブト−1−エン(一般にHFC−1354と称される)またはそれらの混合物、あるいは1種または複数のこれらの化合物とヘキサフルオロブテン(一般にHFC1336と称される)の混合物を含むまたはそれらからなる冷媒を、冷却されるべき物体の近くで蒸発させ、その後凝縮させる、冷凍する方法、および
(Z)−1,1,1−3−テトラフルオロブト−2−エン、(E)−1,1,1,3−テトラフルオロブト−2−エンもしくは2,4,4,4−テトラフルオロブト−1−エン(一般にHFC−1354と称される)またはそれらの混合物、あるいは1種または複数のこれらの化合物とヘキサフルオロブテン(一般にHFC1336と称される)の混合物を含むまたはそれらからなる組成物を、加熱されるべき物体の近くで凝縮させ、その後蒸発させる、熱を発生させる方法、および
半導体を、(Z)−1,1,1−3−テトラフルオロブト−2−エン、(E)−1,1,1,3−テトラフルオロブト−2−エンもしくは2,4,4,4−テトラフルオロブト−1−エン(一般にHFC−1354と称される)またはそれらの混合物、あるいは1種または複数のこれらの化合物とヘキサフルオロブテン(一般にHFC1336と称される)の混合物を含むまたはそれらからなるエッチング剤と接触させる、好ましくはプラズマによって補助される、半導体をエッチングする方法、および
熱が、(Z)−1,1,1−3−テトラフルオロブト−2−エン、(E)−1,1,1,3−テトラフルオロブト−2−エンもしくは2,4,4,4−テトラフルオロブト−1−エン(一般にHFC−1354と称される)またはそれらの混合物、あるいは1種または複数のこれらの化合物とヘキサフルオロブテン(一般にHFC1336と称される)の混合物を含むまたはそれらからなる熱伝達剤によって伝達される、熱を伝達させる方法、および
(Z)−1,1,1−3−テトラフルオロブト−2−エン、(E)−1,1,1,3−テトラフルオロブト−2−エンもしくは2,4,4,4−テトラフルオロブト−1−エン(一般にHFC−1354と称される)またはそれらの混合物、あるいは1種または複数のこれらの化合物とヘキサフルオロブテン(一般にHFC1336と称される)の混合物を含むまたはそれらからなる消火剤を適用する、消火する方法、ならびに
推進剤が、(Z)−1,1,1−3−テトラフルオロブト−2−エン、(E)−1,1,1,3−テトラフルオロブト−2−エンもしくは2,4,4,4−テトラフルオロブト−1−エン(一般にHFC−1354と称される)またはそれらの混合物、あるいは1種または複数のこれらの化合物とヘキサフルオロブテン(一般にHFC1336と称される)の混合物を含むまたはそれらからなる推進剤で、エアロゾルを製造する方法、を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
好ましいHFC−1354異性体は、(Z)−1,1,1−3−テトラフルオロブト−2−エンおよび2,4,4,4−テトラフルオロブト−1−エンである。
【0017】
これらの化合物は好ましくは、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfcとして知られる)からフッ化水素を脱離させることによって得られる。国際公開第2009/010472号パンフレットに開示された方法は、これらの種々の異性体の混合物を生成し、それらのモル比は、脱フッ化水素プロセスで使用される温度に依存する。このような1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンの脱フッ素化のための好ましい触媒および上に言及された生成物の混合物を得るためのそれぞれの反応条件についての詳細は、国際公開第2009/010472号パンフレットから利用することができ、それらへの参照はこの点で本明細書によってなされる。
【0018】
あるいは、本明細書で使用されるHFC−1354異性体の混合物は、国際公開第2004/096737号パンフレットに開示された様々な方法によって得ることもでき、それらへの参照はさらなる詳細についてなされる。
【0019】
本発明によって使用されるテトラフルオロブテンの沸点(大気圧下)は、(E)−1,1,1,3−テトラフルオロブト−2−エンについて18℃、2,4,4,4−テトラブト−1−エンについて29℃および(Z)−1,1,1,3−テトラフルオロブト−2−エンについて48℃である。
【0020】
国際公開第2004/096737号パンフレットまたは国際公開第2009/010472号パンフレットに開示された方法によって得られる異性体の混合物は、そのまま使用することができるが、例えば、フォーム発泡剤としてのその使用前に蒸留によって、異性体を分離することが好ましい。
【0021】
(Z)−1,1,1,3−テトラフルオロブト−2−エンおよび2,4,4,4−テトラフルオロブト−1−エンまたはそれらの混合物は好ましくは、本発明によって使用され、後者が特に好ましい。
【0022】
本発明によって使用されるHFC−1354異性体はまた、ヘキサフルオロブテン(一般にHFC−1336と称される)と組み合わせて使用することもできる。
【0023】
したがって、本発明のさらなる態様は、以下の群a)およびb):
a)(Z)−1,1,1,3−テトラフルオロブト−2−エン、(E)−1,1,1,3−テトラフルオロブト−2−エンまたは2,4,4,4−テトラフルオロブト−1−エン、ならびに
b)1,1,1,4,4,4,−ヘキサフルオロブト−2−エン、1,1,2,3,4,4−ヘキサフルオロブト−2−エン、1,1,1,3,4,4−ヘキサフルオロブト−2−エンおよび1,1,1,2,4,4−ヘキサフルオロブト−2−エン
のそれぞれから選択される少なくとも1種の化合物の混合物に関する。
【0024】
群a)の化合物として(Z)−1,1,1,3−テトラフルオロブト−2−エンおよび2,4,4,4−テトラフルオロブト−1−エンを含む混合物が好ましく、後者が特に好ましい。
【0025】
群b)(HFC−1336異性体)の好ましい化合物は、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブト−2−エンである。
【0026】
特定の場合におけるHFC−1354およびHFC−1336の異性体の共沸混合物は、本発明による用途に有利であると判明した。共沸混合物は、液相と気相の組成が同一であり、したがって、それらは、過渡期の液相−気相に関する限り、この点で純粋な生成物(1つの沸点のみを示す)として振る舞い、これは、多くの用途で有益である。
【0027】
しかし、非共沸混合物も好適である。様々なヒドロフルオロカーボンの混合比は、特定の限定を受けず、広く選択され得る。
【0028】
したがって、10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、特に好ましくは30から70重量%のHFC−1354異性体と、それぞれ、10から90重量%、好ましくは20〜80重量%、特に30から79重量%のHFC−1336異性体を含む混合物が使用され得る(パーセントは、ヒドロフルオロアルケンの全重量に基づく重量%で与えられる)。
【0029】
本発明の第1の実施形態によれば、(Z)−1,1,1−3−テトラフルオロブト−2−エン、(E)−1,1,1,3−テトラフルオロブト−2−エンもしくは2,4,4,4−テトラフルオロブト−1−エン(一般にHFC−1354と称される)またはそれらの混合物、あるいは1種または複数のこれらの化合物とヘキサフルオロブテン(一般にHFC1336と称される)の混合物は、フォーム発泡に使用される。
【0030】
言及されたヒドロフルオロブテン、または他の不飽和ヒドロフルオロカーボン、特にヘキサフルオロブテンとのその混合物を用いて製造され得るフォームの種類は、広範囲に及ぶ。
【0031】
第1の群として、ポリウレタンフォームに対して言及がなされ、これは一般に、発泡剤(blowing or expanding agent)、ならびにポリウレタン反応それ自体およびその最終ポリマーの特性の両方を制御および改変するために添加される補助化学物質の存在下で、イソシアネートをポリオールと混合および反応させることによって調製される。処理の便宜のために、これらの2種類の原料は、通常「A側」および「B側」と呼ばれる2つの非反応性部分に予備混合することができる。
【0032】
「B側」という用語は、ポリオールまたはポリオール含有混合物を意味することが意図される。ポリオール含有混合物は通常、ポリオール、発泡剤および補助化学物質(触媒、界面活性剤、安定剤、鎖延長剤、架橋剤、水、難燃剤、防煙剤、顔料、着色材、充填剤などのような)を含む。
【0033】
「A側」という用語は、イソシアネートまたはシソシアネート含有混合物を意味することが意図される。イソシアネート含有混合物は、イソシアネート、発泡剤、および補助化学物質(触媒、界面活性剤、安定剤、鎖延長剤、架橋材、水、難燃剤、防煙剤、顔料、着色材、充填剤などのような)を含み得る。
【0034】
次いで、フォームを調製するために、A側およびB側の適当量を混合して、反応させる。
【0035】
このような方法によってフォームを調製する場合、一般に、フォームが硬化するまで発泡反応混合物を安定化させる少量の界面活性剤を用いることが好ましい。このような界面活性剤は、液体または固体の有機ケイ素化合物を含み得る。好ましさで劣る他の界面活性剤には、長鎖アルコールのポリエチレングリコールエーテル、長鎖アルキル酸性硫酸エステル、アルキルスルホン酸エステルおよびアルキルアリールスルホン酸の第三級アミンまたはアルカノールアミン塩が含まれる。界面活性剤は、崩壊に対して発泡反応混合物を安定化させ、および大きく、不均一な気泡の形成を防止するために十分な量で用いられる。ポリオール100重量部当たり約0.2から約5重量部またはさらにそれ以上の界面活性剤が、通常は十分である。
【0036】
ポリオールとポリイソシアネートとの反応のための1種または複数の触媒も使用され得る。第三級アミン化合物および有機金属化合物を含む、任意の適切なウレタン触媒が使用され得る。このような触媒は、ポリイソシアネートの反応の速度を測定可能な程度に増加させる量で使用される。通常の量は、ポリオール100重量部当たり触媒約0.1から約5重量部である。
【0037】
有用な難燃剤には、例えば、トリ(2−クロロエチル)ホスフェート、トリ(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリ(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリ(1,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、トリエチルホスフェート、エチルジエチルホスフェート、リン酸二アンモニウム、種々のハロゲン化芳香族化合物、酸化アンチモン、アルミニウム三水和物、ポリ塩化ビニル、臭素化ポリオールなどが含まれる。
【0038】
フォームを形成する方法は一般に、不飽和ヒドロフルオロブテンを、場合によって他の不飽和ヒドロフルオロブテンと一緒に含む発泡剤組成物を提供する段階、該発泡剤組成物を発泡可能組成物に(直接または間接的に)添加する段階、およびフォームまたは気泡構造を形成するために有効な条件下で該発泡可能組成物を反応させる段階を含む。参照により本明細書に組み込まれる、「Polyurethanes Chemistry and Technology」、第I巻および第2巻、Saunders and Frisch、1962年、John Wiley and Sons、New York,N.Y.に記載されたものなどの当技術分野で周知の任意の方法が、フォームの実施形態に応じて使用され、または使用のために適合され得る。
【0039】
ポリイソシアネート系フォームは、例えば、本明細書で上記される発泡剤組成物の存在下で、少なくとも1種の有機ポリイソシアネートを少なくとも1種の活性水素含有化合物と反応させることによって調製される。
【0040】
イソシアネート反応性組成物は、少なくとも1種の活性水素含有化合物を発泡剤組成物とブレンドすることによって調製され得る。有利には、このブレンドは、活性水素含有化合物および発泡剤組成物の全重量に基づいて、少なくとも1から最大50、好ましくは最大25重量パーセントの発泡剤組成物を含む。
【0041】
活性水素含有化合物には、イソシアネートと反応する活性水素原子を含む2個以上の基を有する物質が含まれる。このような化合物の中で、1分子当たり少なくとも2個のヒドロキシル、第一級もしくは第二級アミン、カルボン酸、またはチオール基を有する物質が好ましい。ポリオール、すなわち、1分子当たり少なくとも2個のヒドロキシル基を有する化合物は、ポリイソシアネートとのそれらの望ましい反応性のために特に好ましい。
【0042】
好適な活性水素含有化合物のさらなる例は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,590,005号明細書に見出すことができる。例えば、好適なポリエステルポリオールには、カルボン酸および/またはその誘導体あるいはポリカルボン酸無水物を多価アルコールと反応させることによって調製されるものが含まれる。ポリカルボン酸は、公知の脂肪族、脂環式、芳香族、および/またはヘテロ環式ポリカルボン酸のいずれであってもよく、ならびに置換されていても(例えば、ハロゲン原子によって)および/または不飽和であってもよい。好適なポリカルボン酸および無水物の例には、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸二無水物、フタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、グルタル酸無水物、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、ならびに二量体および三量体脂肪酸、例えば、単量体脂肪酸と混合されていてもよいオレイン酸のものが含まれる。ポリカルボン酸の単純なエステル、例えば、フタル酸ジメチルエステル、テレフタル酸ビスグリコールおよびそれらの抽出物も使用され得る。ポリエステルポリオールの調製に好適な多価アルコールは、脂肪族、脂環式、芳香族、および/またはヘテロ環式であってもよい。多価アルコールは場合によって、反応中に不活性である置換基、例えば、塩素および臭素の置換基を含んでもよく、ならびに/または不飽和であってもよい。好適なアミノアルコール、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなども使用され得る。好適な多価アルコールの例には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリオキシアルキレングリコール類(ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコールおよびポリプロピレングリコールなど)、グリセロールおよびトリメチロールプロパンが含まれる。
【0043】
好適なさらなるイソシアネート反応性原料には、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリヒドロキシ末端アセタール樹脂、ヒドロキシル末端アミンおよびポリアミンなどが含まれる。これらのさらなるイソシアネート反応性原料には、水素末端ポリチオエーテル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリオレフィン、ポリシロキサン、およびポリマーポリオールが含まれる。
【0044】
他のポリオールには、米国特許第4,704,410号明細書および同第4,704,411号明細書に記載されたとおりの、マンニッヒ縮合物のアルキレンオキシド誘導体、およびアミノアルキルピペラジン開始ポリエーテルが含まれる。スクロースおよびソルビトールなどの炭水化物の開始剤の、低いヒドロキシル価で高い当量のアルキレンオキシド付加物も使用され得る。
【0045】
ポリイソシアネート系フォームを製造する方法において、ポリオール、ポリイソシアネートおよび他の成分を接触させ、完全に混合し、発泡ポリマーに発泡および硬化させる。特別の混合装置は重要ではなく、様々な種類の混合ヘッドおよびスプレー装置が都合よく使用される。ポリイソシアネートと活性水素含有成分とを反応させる前に、いくらかの原料を予備ブレンドすることは、しばしば都合がよいが、必須ではない。例えば、ポリオール、発泡剤、界面活性剤、触媒、およびポリイソシアネートを除く他の成分をブレンドし、次いで、この混合物をポリイソシアネートと接触させることはしばしば有用である。あるいは、成分すべてを、ポリイソシアネートとポリオールが接触している混合ゾーンに個別に導入してもよい。ポリオールの全部または一部をポリイソシアネートと予備反応させて、プレポリマーを形成することも可能である。
【0046】
フォームを調製する際に用いられる発泡剤組成物の量は、フォームに対して所望の密度を与えるために十分なものである。有利には、約10から約500、好ましくは約18から約100kg/mの全体密度を有するポリウレタンフォームを与えるために、十分な発泡剤が用いられる。
【0047】
発泡剤組成物を活性水素含有化合物と予備ブレンドし、その後に得られたブレンドをポリイソシアネートと接触させることがしばしば都合がよい。1回の操作でポリイソシアネート、活性水素含有化合物および発泡剤組成物を一緒に同時にブレンドし、ポリイソシアネート系フォームの生成をもたらすことも可能である。好ましくは、発泡剤組成物は、ポリイソシアネートと接触させる前に、活性水素含有化合物とブレンドされる。
【0048】
ポリオール、発泡剤、および場合によって少なくとも1種の補助化学物質(触媒、界面活性剤、安定剤、鎖延長剤、架橋剤、水、難燃剤(好ましくは有機リン酸塩、特にトリエチルホスフェート)、防煙剤、顔料、着色材、充填剤のような)を含むまたはそれらからなるプレミックスは、本発明の別の態様である。成分の好ましい量は、上に示される。有機リン酸塩は、プレミックスの全重量の約10から20重量%の量でプレミックス中に含まれる。
【0049】
硬質独立気泡の気泡化ポリイソシアネート系フォームは、スプレー断熱において、現場発泡の機器フォーム、硬質断熱ボードストックとして、または積層品において有用である。
【0050】
さらに、特定の実施形態によれば、発泡剤は、低密度ポリエチレンフォーム、またはポリプロピレンフォームを含むポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォームなどの熱可塑性フォームを発泡させるために使用される。このような熱可塑性フォームを発泡させるための広範な従来の方法のいずれもが、本明細書での使用のために適合され得る。
【0051】
別の実施形態では、熱可塑性ポリマー、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン(PE)、好ましくは低密度PE、またはポリプロピレン(PP)などを含む発泡可能組成物が提供される。
【0052】
熱可塑性フォーム体は、押出機、および(1)樹脂を溶融させる;(2)発泡剤組成物を溶融物と均一にブレンドして、非発泡温度および圧力で可塑化された塊を形成する;(3)可塑化された塊を、発泡ゾーン中に、制御された速度、温度および圧力で、所望の形状を有するダイ、例えば、所望の厚さおよび表面積を有するフィームボードの長方形スラブを製造するためのスリットダイを通過させる;(4)適当な温度および低い圧力に維持できる発泡ゾーンで押出し物を発泡させる;(5)このような温度および圧力下で、フォームの気泡の大きさおよび密度が周囲温度;例えば、25℃および周囲圧力で実質的に変化しないままであり、かつ破裂気泡を実質的に含まないように、押出し物の粘度を増加させるために十分な時間、発泡押出し物を維持する;および(6)押出されたフォーム体を回収するための、関連手段を備える、従来の装置を用いることによって都合良く製造される。
【0053】
フォームを調製する場合、その樹脂に核生成剤または他の添加剤を添加することがしばしば望ましい。核生成剤は、フォーム中の気泡数を増加させ、気泡の大きさを減少させるように主として働き、樹脂の100重量部当たり約0.1から約10重量部の量で使用され得る。通常の核形成剤は、とりわけ、タルク、炭酸水素ナトリウム−クエン酸混合物、ケイ酸カルシウム、二酸化炭素からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む。
【0054】
一態様では、発泡剤の発泡量は、樹脂に発泡剤を加えた混合物の全重量に基づいて、約1から約30重量パーセント、通常は約2から20重量パーセント、標準的には約2から約10重量パーセントの範囲である。発泡剤の濃度が低いほど、得られるフォームの密度は大きい。発泡剤の適当量または任意の所望の最終用途のためのフォームの得られる特性は、当業者によって容易に決定される。樹脂は、用いられるグレードに依存して約200から約235℃の温度および約4.1MPa以上の非発泡圧力で溶融させる。可塑化樹脂−発泡剤の混合物は、非発泡圧力下で、約115から約150℃、標準的には130℃の温度に冷却され、周囲温度またはそれ以下および周囲圧力またはそれ以下で発泡ゾーン中に押し出される。
【0055】
本発明によって製造され得る代表的なフォーム製品は、例えば:(1)使い捨て熱変形包装材料の製造のためのポリスチレンフォームシート;例えば、米国特許第A−5,204,169号明細書に開示されたとおりの;(2)住居用および産業用外壁および屋根材料としての使用のための押出しポリスチレンフォームボード;(3)大きなビレットの形態の発泡可能フォームである。このようなフォーム製品は、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering、第16巻、193〜205頁、John Wiley & Sons、1989年にStockdopoleおよびWelshによってより完全に記載されている。
【0056】
本発明による好ましい使用は、ポリウレタンフォーム、特に熱硬化ポリウレタンフォームの製造である。(Z)−1,1,1−3−テトラフルオロブト−2−エン、(E)−1,1,1,3−テトラフルオロブト−2−エンもしくは2,4,4,4−テトラフルオロブト−1−エン(一般にHFC−1354と称される)またはそれらの混合物、あるいは1種または複数のこれらの化合物とヘキサフルオロブテン(一般にHFC1336と称される)との混合物がフォーム発泡剤として使用されるポリウレタンフォーム、特に硬質ポリウレタンフォームを調製することが特に好ましい。
【0057】
本発明は、公知の発泡剤組成物と比較して低い地球温暖化係数(GWP)を有し、一方同時に、良好な断熱特性、低燃焼性および優れた寸法安定性を維持する発泡可能組成物に有用な発泡剤組成物を提供する。
【0058】
本明細書で前に記載されたとおりのHFC−1354異性体およびHFC−1336異性体の混合物は、HFC−1354異性体単独と比較して、燃焼性挙動が改善され、そのブレンドは、その単一成分に比較してより高い発泡効率を示す、すなわち、全体に必要とされる発泡剤がより少ない一部の場合で有利であることが分かった。これは、本明細書で前に記載されたとおりの種類のポリウレタンフォームのフォーム発泡のための使用に特に利用できる。
【0059】
地球温暖化係数(GWP)は、二酸化炭素1キログラムの放出と比較して特定の温室効果ガス1キログラムの大気放出による地球温暖化寄与を評価するための指標である。GWPは、所与のガスに対する大気寿命の効果を示す異なる時間範囲について計算することができる。100年の範囲のGWPが一般に言われる値である。
【0060】
高いGWP発泡剤は、100年の時間範囲でのGWP約1000以上、あるいは500以上、150以上、100以上、または50以上を有する発泡剤として機能することができる任意の化合物である。
【0061】
本発明によれば、ゼロまたは低いオゾン破壊係数および低い地球温暖化係数(GWP)を有する発泡組成物が提供される。本発明によって使用される、ヒドロフルオロブテンまたはそれらのヘキサフルオロブテンとの混合物は、多くのヒドロフルオロカーボン発泡剤または現在使用中の発泡性組成物より低い地球温暖化係数を有する。通常、約25未満のGWPが期待される。本発明の一態様は、1000未満、好ましくは500未満、より好ましくは150未満もしくはより良くは100未満、または最も好ましくは50未満の地球温暖化係数を有する発泡剤を提供することである。本発明の別の態様は、前記混合物にフルオロオレフィンを添加することによって発泡性組成物の正味GWPを低下させることである。
【0062】
本発明はさらに、連続、独立およびマルチモーダルフォームを製造する方法のGWPを低下させる方法であって、本発明の少なくとも1種のフルオロオレフィンを樹脂(熱可塑性フォームのための)と、またはB側混合物(熱可塑性)中に混合して、好ましくは25未満のGWPを有する発泡可能組成物を製造する方法に関する。化合物の混合物または組合せのGWPは、それのGWPをそれぞれ純粋の化合物についてのGWPの加重平均として計算することができる。
【0063】
本発明による発泡剤を有する発泡可能な組成物はまた、好ましくは0.05以下、より好ましくは0.02以下、さらにより好ましくは約ゼロのオゾン破壊係数(ODP)を有する。本明細書で用いられる場合、「ODP」は、「The Scientific Assesment of Ozone Depletion、2002年、A report of the World Meteorological Association’s Global Ozone Research and Monitoring Projectに定義されたとおりである。
【0064】
フォーム発泡剤は好ましくは、0℃に等しいかそれより高い、好ましくは20℃に等しいかそれより高い大気圧沸点、さらに好ましくは55℃に等しいかまたはそれより低い、好ましくは50℃に等しいかそれより低い大気圧沸点を有する。
【0065】
フォーム発泡剤組成物中で本発明によって使用される化合物の含有量は一般に、フォーム発泡剤の重量に対して10重量%に等しいかそれを超える。この含有量は、30重量%に等しいかそれを超える、好ましくは50重量%に等しいかそれを超えることが多い。一部の実施形態では、フォーム発泡剤中で本発明によって使用される化合物の含有量は、フォーム発泡剤の重量に対して、90重量%に等しいかまたはそれより低いことができる。これらの実施形態における他の典型的な含有量は、80重量%に等しいかそれより低い、またはさらに75重量%に等しいかそれより低い。
【0066】
あるいは、フォーム発泡剤は、本発明によって使用される化合物からなるまたは本質的になることができる。
【0067】
フォーム発泡剤は、非フルオロ有機共発泡剤、特に炭化水素をさらに含み得る。
【0068】
本組成物中に使用され得る好適な炭化水素は、直鎖、分岐鎖または環式であることができ、一般に3、4、5、6、7、8、9、10、11または12個の炭素原子を含み得る。少なくとも5個の炭素原子を含む炭化水素は、使用に好適である。炭化水素は好ましくは、少なくとも6個の炭素原子を含む。アルカンまたはアルケンの中では、5から12個の炭素原子を含む化合物が好ましい。n−ヘキサン、n−ヘプタンおよびn−オクタンが、使用に好適である。好ましい芳香族炭化水素の中では、ベンゼン環上に少なくとも1個のアルキル置換基を含むものである。トルエン、1,2−キシレン、1,3−キシレン、1,4−キシレンまたはそれらの混合物が、最も特に好ましい。
【0069】
本発明の第2の態様によれば、(Z)−1,1,1−3−テトラフルオロブト−2−エン、(E)−1,1,1,3−テトラフルオロブト−2−エンもしくは2,4,4,4−テトラフルオロブト−1−エン(一般にHFC−1354と称される)またはそれらの混合物、あるいは1種または複数のこれらの化合物とヘキサフルオロブテン(一般にHFC1336と称される)の混合物は、溶剤洗浄に使用される。
【0070】
本明細書で使用される溶剤洗浄という用語は、表面を、上記化合物または混合物から選択される少なくとも1種の化合物と接触させることによって、前記表面を洗浄することを含む。
【0071】
溶剤洗浄のための使用において、溶剤は、一般に150未満、好ましくは120に等しいかそれ未満、より好ましくは80に等しいかそれ未満、最も好ましくは50に等しいかそれ未満のGWP100を有する。
【0072】
溶剤洗浄に使用される溶剤は、一般に20℃に等しいかそれより高い、好ましくは25℃に等しいかそれより高い、より好ましくは35℃に等しいかそれより高い大気圧沸点を有する。本発明の第1の態様において、溶剤は、一般に100℃に等しいかそれより低い、好ましくは80℃に等しいかそれより低い、より好ましくは60℃に等しいかそれより低い大気圧沸点を有する。
【0073】
この実施形態では、溶剤中の(Z)−1,1,1−3−テトラフルオロブト−2−エン、(E)−1,1,1,3−テトラフルオロブト−2−エンもしくは2,4,4,4−テトラフルオロブト−1−エン(一般にHFC−1354と称される)またはそれらの混合物、あるいは1種または複数のこれらの化合物とヘキサフルオロブテン(一般にHFC1336と称される)の混合物の含有量は、一般に溶剤の重量に対して1重量%に等しいかそれを超える。この含有量は、10重量%に等しいかそれを超える、好ましくは30重量%に等しいかそれを超えることが多い。一部の実施形態では、溶剤中の本明細書で前に記載された化合物の含有量は、溶剤の重量に対して約100重量%であることができる。これらの実施形態における他の典型的な含有量は、例えば、99重量%に等しいかそれ未満、98重量%に等しいかそれ未満、またはさらに75重量%に等しいかそれ未満である。
【0074】
好ましい実施形態によれば、溶剤は、上に示されたとおりの化合物からなるまたは本質的になることができる。
【0075】
さらに、溶剤は、前に記載されたフッ素化化合物のいずれか一つに加えて、例えば、非フルオロ有機溶剤をさらに含み得る。このような種類の好適な化合物は、例えば、それへの参照が本明細書によってなされる、国際公開第2009/019219号パンフレットに開示されている。
【0076】
溶剤洗浄プロセスは、いくつかの洗浄工程を含むプロセスにおける一工程であることができる。例えば、品目は、第1工程において高沸騰の炭化水素、例えば、n−オクタン、トルエンまたはキシレンで処理することができ、さらに、好ましくは第2の工程で、本発明による化合物が適用される。
【0077】
さらなる実施形態では、表面を乾燥させ得る。その場合に、本発明によって使用される化合物または化合物の混合物を含む溶剤は、乾燥剤として機能する。水処理後に対象の固体表面上に吸着された水を除去することが望ましい場合、乾燥剤は、例えば、電子もしくは電気機械工業または場合によって化粧品工業において使用される。水処理は、例えば、場合によって界面活性剤の存在下で、洗浄操作からなることができる。一般に、水処理後に、対象は界面活性剤を含む沸騰状態で乾燥剤中に浸漬され、次いで、対象の表面に付着する界面活性剤は、洗浄浴中で除去される。
【0078】
アルキルベンゼンスルホネート型の界面活性剤は、一般に好ましい。このような界面活性剤はしばしば、4から22、好ましくは10から14個の炭素原子を含むアルキル鎖を含む。ドデシルベンゼンスルホネート塩、特に四級アミンの塩は、良好な結果を与える。イソプロピルアンモニウムドデシルベンゼンスルホネートは、特に好ましい。
【0079】
特定の態様では、本発明によって使用される化合物を含む溶剤は、水置換剤として使用される。
【0080】
別の実施形態では、表面は脱脂される。この場合、溶剤は、脱脂溶剤として機能する。
【0081】
脱脂溶剤は、例えば、特にグリースで機械加工される金属部品上に吸着されたグリースを除去するために、電子または電気機械工業で使用される。一般に、脱脂される部品は、沸騰している脱脂溶剤の浴に浸漬される。高い極性の非フルオロ有機溶剤、例えば、アルカノール、特にメタノールもしくはエタノールおよび/またはクロロヒドロカーボンを含むもの、を含む本発明による組成物は、脱脂溶剤として特に好適である。
【0082】
さらに別の実施形態では、溶剤は、フラックス残留物を除去するために使用され得る。例えば、はんだ付けされた電気部品のフラックス残留物は、脱フラックスされる。
【0083】
本発明の他の実施形態は、冷凍のための、半導体エッチングまたはチャンバ洗浄のためのエッチングガスとしての、熱伝達、消火およびエアロゾルの製造のための(Z)−1,1,1−3−テトラフルオロブト−2−エン、(E)−1,1,1,3−テトラフルオロブト−2−エンもしくは2,4,4,4−テトラフルオロブト−1−エン(一般にHFC−1354と称される)またはそれらの混合物、あるいは1種または複数のこれらの化合物とヘキサフルオロブテン(一般にHFC1336と称される)の混合物の使用に関する。
【0084】
特に半導体エッチングまたはチャンバ洗浄のためのエッチングガスとして使用される場合、本発明によって使用される化合物または化合物の混合物の大気圧沸点は、30℃に等しいかそれより低い。
【0085】
エッチングは、例えば、Applied Materialsから入手できる誘導結合プラズマ源(ICP)エッチング反応器または容量結合プラズマ源(CCP)反応器において行うことができる。一般的なプロセスは、以下のとおり記載することができる:自己整合接触(SAC)は、国際公開第2000/302168号パンフレットの3頁に記載されたとおりに形成される。ポリシリコンゲート層、タングステンシリサイドバリア層およびグルー層、ならびに窒化ケイ素キャップ層が堆積され、間にギャップを有する2つの密接に関係した空間ゲート構造中に光リソグラフィーにより形成される。次いで、窒化ケイ素層が、構造上にCVDを介して堆積され、ドーパントイオンが注入される。誘電性SiO層が、構造上に堆積され、ホトレジスト層が酸化物層の上に堆積され、マスク中に波長193nmの光を用いて写真のように輪郭を定められる。次いで、場合によって混合され、貴ガス、例えば、アルゴン、およびアルゴンでそれぞれ希釈され、プラズマ反応器中へ供給される(Z)−1,1,1−3−テトラフルオロブト−2−エン、(E)−1,1,1,3−テトラフルオロブト−2−エンもしくは2,4,4,4−テトラフルオロブト−1−エン(一般にHFC−1354と称される)またはそれらの混合物、あるいは1種または複数のこれらの化合物とヘキサフルオロブテン(一般にHFC1336と称される)の混合物を使用して、SiO層がエッチングされる。
【0086】
SiO層の代わりに、低k誘電体層または超低k誘電体層も使用され得る。
【0087】
さらなる実施形態では、本発明は、物質層、例えば、有機物質、特に表面上のグリースを除去する担体流体としての、(Z)−1,1,1−3−テトラフルオロブト−2−エン、(E)−1,1,1,3−テトラフルオロブト−2−エンもしくは2,4,4,4−テトラフルオロブト−1−エン(一般にHFC−1354と称される)またはそれらの混合物、あるいは1種または複数のこれらの化合物とヘキサフルオロブテン(一般にHFC1336と称される)の混合物の使用に関する。
【0088】
熱伝達、消火のためのおよびエアロゾルの製造における、(Z)−1,1,1−3−テトラフルオロブト−2−エン、(E)−1,1,1,3−テトラフルオロブト−2−エンもしくは2,4,4,4−テトラフルオロブト−1−エン(一般にHFC−1354と称される)またはそれらの混合物、あるいは1種または複数のこれらの化合物とヘキサフルオロブテン(一般にHFC1336と称される)の混合物の使用は、本発明のさらなる態様である。
【0089】
参照により本明細書に組み込まれる特許、特許出願、および刊行物のいずれかの開示が、用語を不明瞭にさせ得る程度に本明細書と矛盾することがあれば、本明細書が優先されるものとする。
【0090】
以下の実施例は、本発明を、それをさらに限定することなく、説明することが意図される。
【実施例】
【0091】
実施例1
ポリウレタンフォームの製造
1.1. 2,4,4,4−テトラフルオロブト−1−エンおよび1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブト−2−エンの混合物の製造
50重量部の2,4,4,4−テトラフルオロブト−1−エンおよび50重量部の1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブト−2−エンを混合して、発泡剤混合物を得る。
【0092】
1.2. プレミックスの製造
40重量部のエチレンジアミン/プロピレンオキシドポリエーテル(OH価480)、60重量部のソルビトール/グリセリン/プロピレンオキシドポリエーテル(OH価490)、1重量部の気泡安定剤(Dow Corning Corp.のDC193)および1.5重量部のジメチルシクロヘキシルアミンからなるポリオール成分を、実施例1.1の発泡剤混合物と、ポリオール成分に対して30重量部の量で混合する。
【0093】
1.3. ポリウレタンフォームの製造
実施例1.2のポリオール混合物を、シアネート成分としてジフェニルメタンジイソシアネートと混合する:ジイソシアネートを、化学量論的に必要とされるより10重量%高い量で適用する。
【0094】
ポリウレタンフォームを、約8kg/分の生産量の低圧装置で製造する。混合に動的ミキサー(注入機)を使用する。
【0095】
細かい気泡を含むポリウレタン硬質フォームが製造される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォーム発泡、溶剤洗浄、冷凍のための、半導体エッチングまたはチャンバクリーニングのためのエッチングガスとして、熱伝達、消火およびエアロゾルの製造のための、(Z)−1,1,1−3−テトラフルオロブト−2−エン、(E)−1,1,1,3−テトラフルオロブト−2−エンもしくは2,4,4,4−テトラフルオロブト−1−エンまたはそれらの混合物、あるいは1種または複数のこれらの化合物とヘキサフルオロブテンの混合物の使用。
【請求項2】
請求項1に記載の、2,4,4,4−テトラフルオロブト−1−エン、またはヘキサフルオロブテンとのその混合物の使用。
【請求項3】
発泡剤、溶剤洗浄、冷凍のために、半導体エッチングまたはチャンバクリーニングのためのエッチングガスとして、熱伝達、消火およびエアロゾルの製造のために、(Z)−1,1,1−3−テトラフルオロブト−2−エン、(E)−1,1,1,3−テトラフルオロブト−2−エンもしくは2,4,4,4−テトラフルオロブト−1−エンまたはそれらの混合物、あるいは1種のこれらの化合物とヘキサフルオロブテンの混合物を使用する方法。
【請求項4】
ポリマーフォームを製造するための請求項3に記載の方法であって、発泡剤組成物の成分として、(Z)−1,1,1−3−テトラフルオロブト−2−エン、(E)−1,1,1,3−テトラフルオロブト−2−エンもしくは2,4,4,4−テトラフルオロブト−1−エンまたはそれらの混合物、あるいは1種のこれらの化合物とヘキサフルオロブテンの混合物を含む発泡剤が使用される、方法。
【請求項5】
表面を洗浄するための請求項3に記載の方法であって、前記表面を、(Z)−1,1,1−3−テトラフルオロブト−2−エン、(E)−1,1,1,3−テトラフルオロブト−2−エンもしくは2,4,4,4−テトラフルオロブト−1−エンまたはそれらの混合物、あるいは1種または複数のこれらの化合物とヘキサフルオロブテンの混合物を含む溶剤と接触させる工程を含む、方法。
【請求項6】
2,4,4,4−テトラフルオロブト−1−エン、またはヘキサフルオロブテンとのその混合物が使用される、請求項3から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
以下の群a)およびb):
a)(Z)−1,1,1,3−テトラフルオロブト−2−エン、(E)−1,1,1,3−テトラフルオロブト−2−エンまたは2,4,4,4−テトラフルオロブト−1−エン、ならびに
b)1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブト−2−エン、1,1,2,3,4,4−ヘキサフルオロブト−2−エン、1,1,1,3,4,4−ヘキサフルオロブト−2−エンおよび1,1,1,2,4,4−ヘキサフルオロブト−2−エン
のそれぞれから選択される少なくとも1種の化合物の混合物。
【請求項8】
前記混合物の成分が、共沸混合物を形成することを特徴とする、請求項7に記載の混合物。
【請求項9】
成分a)が、2,4,4,4−テトラフルオロブト−1−エンであることを特徴とする、請求項7または8に記載の混合物。
【請求項10】
成分b)が、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブト−2−エンであることを特徴とする、請求項7から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ポリオール、発泡剤および場合によって少なくとも1種の補助化学物質を含むまたはそれらからなるプレミックス。
【請求項12】
前記少なくとも1種の補助化学物質が、触媒、界面活性剤、安定剤、鎖延長剤、架橋剤、水、難燃剤、防煙剤、顔料、着色材、および充填剤からなる群から選択される、請求項11に記載のプレミックス。

【公表番号】特表2012−519741(P2012−519741A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552463(P2011−552463)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【国際出願番号】PCT/EP2010/052819
【国際公開番号】WO2010/100254
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(592165314)ゾルファイ フルーオル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (55)
【氏名又は名称原語表記】Solvay Fluor GmbH
【住所又は居所原語表記】Hans−Boeckler−Allee 20,D−30173 Hannover,Germany
【Fターム(参考)】