説明

不飽和ポリエステル樹脂組成物

【課題】常温で固体の不飽和ポリエステル樹脂粉末の貯蔵中のブロッキング現象を防止する技術の提供。
【解決手段】常温で固体の不飽和ポリエステル樹脂粉末にハイドロタルサイト、あるいは粒子径100ナノメーター以下の微細酸化ケイ素を存在させた樹脂組成物。ハイドロタルサイトまたは微細酸化ケイ素の添加量は多ければ多いほどブロッキング防止効果は良くなるが不飽和ポリエステル樹脂の性能に悪影響を与えるのでハイドロタルサイトは10%まで、微細酸化ケイ素は5%までが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は不飽和ポリエステル樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
常温で固体の不飽和ポリエステル樹脂粉末は貯蔵中にブロッキングと称する粉末固体がひっつき塊状となる現象が発生し、使用しづらい状態になることがしばしば見られた
【発明の開示】
【0003】
本発明は常温で固体の不飽和ポリエステル樹脂粉末の貯蔵中のブロッキング現象〈粉末の塊状化〉を防止することを目的とする。
【課題を解決するための課題】
【0004】
本発明はかかる課題を解決するため常温で固体の不飽和ポリエステル樹脂粉末にハイドロタルサイト0.1〜10%あるいは100ナノメーター以下の粒子径を有する微細酸化ケイ素を0.01〜5% 存在させることにより不飽和ポリエステル樹脂の性能を損なわずにブロッキング現象を防止し得ることを見出し本発明を完成した。
【0005】
常温で固体の不飽和ポリエステル樹脂はアルコール成分としてエチレングリコール、プロピレングリコール、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール等の2価アルコールであり二塩基性酸成分としてはマレイン酸、フマール酸、アジピン酸、イソフタル酸、テトラクロロ無水フタル酸等公知の2価アルコールと二塩基性であり、これらをエステル化した樹脂である。
【0006】
ハイドロタルサイトは例えば堺化子工業(株)製のHT−1があり、微細酸化ケイ素としては日本アエロジル(株)製のアエロジルR−374、R−200がある。これらは単独でも総合して使用してもよい。
【0007】
エステル化した不飽和ポリエステル樹脂の塊状物を粉砕するときハイドロタルサイト又は微細酸化ケイ素を添加し混合すれば良い
【発明の効果】
【0008】
上記の如くハイドロタルサイトあるいは微細酸化ケイ素を不飽和ポリエステル樹脂に存在させることによりブロッキング現象を防止できる
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
課題を解決するための手段で記載した通りであるがハイドロタルサイト、微細酸化ケイ素の存在量は多ければ多いほどブロッキング防止効果は良くなるが不飽和ポリエステル樹脂の性能に悪影響を与えるのでハイドロタルサイトは10%まで、微細酸化ケイ素は5%までが好適である。
【実施例】
【0010】
不飽和ポリエステル樹脂を使ってテストした。
A(軟化点80°)
B(軟化点90°)
C(軟化点80°)
D(軟化点40°)
結果は表1、表2に示す。
【0011】
<実験1>
1.各種試料の耐ブロッキング性効果の選定
(試験方法−A)
粉砕し300〜150umに篩い分けA樹脂粉5gを20mmφ円筒容器に採取、40g/cm2に加圧し室温で放置、ブロッキング状態を観察。
(試験方法−B)
A同様に試料を採取した円筒容器を50℃、30min.加湿、ブロッキング状態を観察。
2.耐熱水透明性
(試験方法)
軟質樹脂CM−200−Sに各試料を3部添加し均一になるように攪拌、5mm程度の板状になる容器に移し硬化、硬化板を3分割し試験に供する。
【0012】
【表1】

【0013】
<実験2>
1.各種試料の耐ブロッキング性効果の選定
(試験方法−A)
粉砕し300〜150umに篩い分けした樹脂粉5gを20mmφ円筒容器に採取、40g/cm2に加圧し室温で放置、ブロッキング状態を観察。
(試験方法−B)
A同様に試料を採取した円筒容器を50℃、20min.加湿、ブロッキング状態を観察。
2.耐熱水透明性
(試験方法)
軟質樹脂 CM−200−Sに各試料を 3部添加し均一になるように攪拌、硬化剤を添加し5mm程度の板状になる容器に移し硬化、効果版を3分割し試験に供する。
【0014】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
常温で固体の不飽和ポリエステル樹脂粉末にハイドロタルサイトあるいは粒子径100ナノメーター以下の微細酸化ケイ素を存在させた不飽和ポリエステル樹脂組成物
【請求項2】
請求項1においてハイドロタルサイトが不飽和ポリエステル樹脂に対して3%以上、粒子径が100ナノメーター以下の微細酸化ケイ素が0.2%以上である。不飽和ポリエステル樹脂組成物

【公開番号】特開2008−95054(P2008−95054A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−300883(P2006−300883)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【出願人】(000102924)エヌビイエル株式会社 (22)
【Fターム(参考)】