説明

両親媒性デンドリマーの製法

一連のAB−タイプの両親媒性樹枝状ポリエステルは分岐的に製造され、その際、2つのハイブリッドが、銅(I)を触媒とするトリアゾールの形成を介して結合された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デンドリマー及びジブロックデンドリマーの製法に関する。更に詳細には、本発明は、ジブロックデンドリマーを製造するためにクリックケミストリーを使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
両親媒性分子には、無数の応用の可能性があり、例えば、ナノキャリア(Joester,D.,et al.,Angew.Chem.,Int.Ed.2003,42,1486;及びStiriba,S.E.,et al.,Angew.Chem.,Int.Ed.2002,41,1329)、ナノ構造形成のための構造指向剤(Sone,E.D.,et al.,Angew.Chem.,Int.Ed.2002,41,1706;Zhao,D.,et al.,Science 1998,279,548;Cha,J.N.,et al.,Nature(London)2000,403,289;Simon,P.F.W.,et al.,Chem.Mater.2001,12,3464;Bagshaw,S.A.,et al.,Science 1995,269,1242;及びHartgerink,J.D.,et al.,Science 2001,294,1684)又は触媒(Piotti,M.E.,et al.,J.Am.Chem.Soc.1999,121,9471;Hecht,S.,et al.,J.Am.Chem.Soc.2001,123,6959;及びBoerakker,M.J.,et al.,Angew.Chem.,Int.Ed.2002,41,4239)等への応用の可能性がある。流動性及びコンパートメント化を含む、これらの分子が所有するユニークな特性は、3次元ネットワークへと集合及び組織化をおこすこれらの両親媒性の性質に基づく。例えば、トリブロック両親媒性コポリマーは、インビボ癌撮像用の量子ドット(QD)の封入ツールとしてNieと共同研究者により開発された(Gao,X.,et al.,Nat.Biotechnol.2004,22,198)。このポリマーは、ポリブチルアクリレートセグメント(疎水性)、ポリエチルアクリレートセグメント(疎水性)、ポリメタクリル酸セグメント(親水性)及び疎水性炭化水素側鎖からなる。自然自己集合プロセスにより、ポリマーは分散し、単一のトリ−n−オクチルホスフィンオキシド(TOPO)−キャップドQDを封入でき、広いpH範囲及び塩条件にわたる保護を提供する。
【0003】
線状ポリマーの他に、特定の構造を有し、単分散であるデンドリマーが、両親媒性及び自己集合物質の構成のための魅力ある対象である。今までの大抵の両親媒性デンドリマーは、分枝に疎水性コイルと親水性のポリ(アミドアミン)(PAMAM)又はポリ(プロピレンイミン)(PPI)を組み合わせて有するコア−シェル構造を有する(Gitsov,I.,et al.,Macromolecules 1993,26,5621;Iyer,J.,et al.,Macromolecules 1998,31,8757;Iyer,J.,et al.,Langmuir 1999,15,1299;及びCameron,J.H.,et al.,Adv.Mater.1997,9,398)。辺縁(periphery)部の親水性及び疎水性官能基で調整された楔状の領域を有するデンドリマーを記載する報告書は少ない(Hawker,C.J.,et al.,J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1 1993,1287〜1297)。このタイプの代表的分子は、保護基の利用によってのみ、分岐的合成法(divergent synthetic approach)を介して製造されるが、これらの手法は、一般には適用できない(Aoi,K.,et al.,Macromolecules 1997,30,8072;Maruo,N.,et al.,Chem.Commun.1999,2057〜2058;及びPan,Y.,et al.,Macromolecules 1999,32,5468〜5470)。収束的(convergent)アプローチは、これらのセグメント化された高分子のより一般的な製造方法を提供する。しかしながら、2つの可能性ある成長部位での反応を制御するために、モノマーを過剰に適用せねばならない(Grayson,S.M.,et al.,Chem.Rev.2001,101,3919〜3967)。
【0004】
必要とされるのは、分岐的アプローチを介してジブロック両親媒性デンドリマーを合成する方法である。必要とされるのは、銅(I)を触媒とする環状付加を使用して、親水性及び疎水性辺縁で修飾された2つのハイブリッドを結合させる方法である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一連のAB−タイプの両親媒性樹枝状ポリエステルは分岐的に製造され、その際、2つのハイブリッドが、銅(I)を触媒とするトリアゾールの形成を介して結合された。この新種のデンドリマーのユニークな性質は、種々の官能基を個々のブロックに順次導入することを可能にした。我々の目標は、生じたセグメント構成された高分子を、バクテリア検出ツールとして発展させることである。炭水化物配位子は、ブロックAの辺縁部上に表示され、例えば大腸菌(Escherichia coli)などの病原体との多価相互作用を可能にする。クマリン誘導体は、ブロックBに結合し、共焦点顕微鏡による可視化及びフローサイトメトリーによる定量化を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1態様は、ジブロックデンドリマーの製法を目的とする。ジブロックデンドリマーは、第一樹枝状ブロックと第二樹枝状ブロックとを有するタイプである。第一樹枝状ブロックは、第一ブロックコアを有し、第二樹枝状ブロックは、第二ブロックコアを有する。その製法は、クリックケミストリー反応を用いて、第一ブロックコアを第二ブロックコアにカップリングさせて、ジブロックコアを有するジブロックデンドリマーを形成するステップを使用する。好ましい実施形態では、クリックケミストリー反応は、[1,2,3]−トリアゾールを形成する、末端アセチレンとアジドとの1,3−双極性環状付加である。第一ブロックコアは、末端アセチレンを含んでよく、第二ブロックコアはアジドを含んでよい。もう1つの好ましい態様では、第一樹枝状ブロックは、第一辺縁を含み、第二樹枝状ブロックは、第二辺縁を含み、かつ第一辺縁は、第二辺縁とは異なる。
【0007】
本発明の別の態様は、末端アセチレンを有することを特徴とするブロックコアを有する、改良樹枝状ブロックを対象とする。
【0008】
本発明の別の態様は、アジドを有することを特徴とするブロックコアを有する、改良樹枝状ブロックを対象とする。
【0009】
本発明の他の態様は、第一樹枝状ブロックと、第二樹枝状ブロックと、第一樹枝状ブロックを第二樹枝状ブロックに結合するジブロックコアとを有する改良ジブロックデンドリマーを対象とする。この実施形態では、ジブロックコアは、第一樹枝状ブロックを第二樹枝状ブロックに結合する[1,2,3]−トリアゾール環を特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
分岐的アプローチを、本発明のデンドリマー合成に使用した。アジド及びアセチレンは多様な化学変化に対し、ほぼ不活性なので、焦点への両方の官能基の導入が、合成の冒頭段階で企てられた。枝は、繰り返しのカップリング及び活性化ステップにより、外側に成長し続け、辺縁部に親水基や疎水基を備えた、より高次の世代の樹枝状セグメントが得られた。最終ステップで、銅(I)を触媒とする環状付加により、2つのセグメントが結合され、所望の両親媒性デンドリマーが形成された(図1)。
【0011】
アジド及びアセチレン基は、イソプロピリデン−2,2−ビス(メトキシ)プロピオン酸の無水物を、6−アジドヘキサノール及びプロパルギルアルコールにそれぞれカップリングさせることにより、焦点に導入された(図2)。メタノール中でDOWEX50WX2−200樹脂を使用して、アセトニド保護基を除去後、Malkoch及びHultにより開発された方法を使用して、遊離ヒドロキシル基を無水物と反応させた(Malkoch,M.,et al.,Macromolecules 2002,35,8307〜8314)。ヒドロキシル基に対する、ピリジン5当量、DMAP0.15当量及び無水物1.3当量の割合から、最適の結果が得られた。2ステップの脱保護及びカップリングの順序を繰り返した後、親水性及び疎水性末端基を備えた樹枝状フラグメントが、高い収率及び純度で、第四世代まで得られた。
【0012】
生じた樹枝状フラグメントは、1H−NMRで特有のピークを示した。アセチル性プロトンが、約2.57ppmにダブレットとして現れ、プロパルギル性−CH2は、約4.72ppmでシャープなトリプレットとして、−CH23は、約4.15ppmでシャープなトリプレットとして現れた(図3及び図4)。
【0013】
考察中の半球形デンドロン両方を用いて、銅(I)を触媒とする環状付加の準備をして、2つの半球を結合させた。試験実験として、(OH)8−[G−3]−Az(3.7)及び(An)4−[G−3]−Acet(3.3)をTHF/水(3:1)溶液中で混合した後、CuSO4・5H2O(5mol%)及びアスコルビン酸ナトリウム(15mol%)を添加した(方法A、図5)。確実に全て変換させるために、3.3を2〜5%過剰に使用した。LC−MS分析が示すように、反応は1晩で完了した。
【0014】
フラッシュクロマトグラフィーによる精製後、単離生成物をMALDI−TOFにより分析して、アジド及びアセチレン出発物質が存在しないことが示された。生成物の形成は、1927、1967及び2007(MNa+)に一連のピークが出現することにより確認された。1967及び1927のピークは、微量のルイス酸性銅(II)が存在する水溶液中でのその不安定な性質によるアセトニド保護基1、2個のデンドリマーからの除去に相当した。水性状態との不相溶性を克服するために、塩基としてのN,N−ジイソプロピルエチルアミンと一緒に、触媒として[Cu(PPh33Br]を使用して、無水THF中で、カップリングを実施した(方法B)。クロマトグラフィーによる触媒及び過剰のアセチレンデンドロンの除去後、3.10が、92%の収率で単離された。MALDI分析は1985(MH+)にシングルピークを示し、この変換の高い効率が確認された(図6)。同じ方法を用いて、一連の両親媒性デンドリマーが製造された(図7)。アセトニド保護基をベンジリデンと置換して、デンドリマー3.12と3.13が得られた。MALDI−TOF質量分析法及びゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によるデンドリマーの分析から、構造は単分散であることが示された(図7)。
【0015】
加熱及び冷却スキャンを10℃/分の速度で実施した。第二及び第三世代デンドリマーは、分子量及び世代と共に増加する単一のTgを示した。[G−4]の場合には、極性の大きな差が、2相の分離を促進し、その結果、2つのTg(17℃及び34℃)が観察された。これら2つのガラス転移温度は2つの親デンドロンの値、(An)8−[G−4]−Acetについて5℃及び(OH)16−[G−4]−Azについて57℃、の中間値である(樹枝状ブロックコポリマーにおける相分離の例について、Hawker,C.J.,et al.,J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1 1993,1287〜1297を参照)。
【0016】
この新種の高分子のユニークな性質は、種々の官能基を個々のブロックの辺縁部に順次導入することにより、更に変性することができた。デンドリマー(An)16−[G−4]−[G−1]−(OH)2(3.14)の後環状付加の変性により例示されるように、2つのヒドロキシル基をペンタ−4−イノイック無水物(pent-4-ynoic anhydride)と結合させることによりアセチレン基が、デンドリマーの右半球に先ず導入された(図8A、8B及び8C)。左半球上のアセトニド保護基の除去により、デンドリマー3.16が生じた。次いで、7−ジエチルアミノクマリンをベースとするアジド(3.17)を、方法Aを使用して組み込み、右側官能化を完了した。16個のアセチレンを左半球に組み込んだ後、生じたデンドリマーをTHF/水混合物中で2−アジドエチル−α−D−マンノピラノシド(3.20)と反応させて(方法A)、炭水化物コーティングが設けられた。この二官能性樹枝状ナノデバイスは、病原体を標的とする多価結合剤としてのマンノース及び検出モチーフとしてのクマリンを装備している。
【実施例】
【0017】
実験
一般的方法
分析TLCは、シリカゲルGF254で被覆された(0.24mm厚さ)市販のMerck Plate上で遂行した。フラッシュクロマトグラフィー用シリカは、Merck Kieselgel 60(230〜400メッシュ、ASTM)であった。1HNMR(400MHz)及び13CNMR(100MHz)の測定は、Bruker AC400、500又は600分光計で、室温にて遂行した。カップリング定数(J)は、ヘルツで報告し、化学シフトは、内部基準としてのCHCl31Hについては7.26、13Cについては77.2)又はMeOD(1Hについては3.31、13Cについては49.1)に対して、100万分率(ppm)(δ)で報告される。溶離剤としてTHFを使用し(流速:1mL/分)、Waters Styragel(登録商標名)カラム6本(5本は、HR−5μm、1本はHMW−20μm)とWaters410示差屈折計に接続したWatersクロマトグラフを用いて、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を室温で実施した。Waters410示差屈折計及び996フォトダイオードアレイ検出器を使用した。ポリマーの分子量は、線状ポリスチレン標準に対して計算した。非水性銅(I)−触媒環状付加を、Smith Creatorマイクロ波反応器(Personal Chemistry Inc.)を使用して、シールド管中で実施した。変調型示差走査熱量計(MDSC)による測定を、TA機器DSC2920を用い、1分当たり4度の傾斜率で実行した。熱重量分析による測定は、TA機器Hi−Res TGA2950を用いて、窒素パージ下に行い、傾斜率は、1分当たり10度であった。MALDI−TOF質量分析法を、マトリックスとしてのトリフルオロ酢酸銀を併用してジトラノールを用い、PerSeptive Biosystems Voyager DE質量分析計を線形モードで操作して実行した。3.17(Zhu,L.,et al.,Tetrahedron 2004,60,7267〜7275)及び3.20(Arce,E.,et al.,Bioconjugate Chem.2003,14,817〜823)は、記載通りに予め合成した。
【0018】
用語
この章に記載の樹枝状構造に関して使用される用語は、以下の通りである。デンドロンは、(P)n−[G−X]−Fで表し、式中、Pは、外部官能基を示し、ヒドロキシルを表すOH、アセトニドを表すAn、ベンジリデンを表すBzl、アセチレンを表すAcetの何れかであり、nは、鎖末端官能基の数を示し、Xは、樹枝状骨格の世代数を示し、Fは、焦点にある官能基を示し、アセチレンを表わすAcet、又はアジドを表すAzである。トリアゾール連結両親媒性デンドリマーについては、(P)n−[G−X]−[G−X]−(P)nで表し、Pは、外部官能基を表し、Cmは、7−ジエチルアミノクマリンを表し、Mannは、α−D−マンノピラノシドを表す。
【0019】
本明細書で使用される用語「デンドリマー」は、フラクタル性の規則的に分岐した構造を有するポリマーを示す。デンドリマーは、内部の枝がそこから発生するコアを有する。更なる枝が、内部枝等から発生し得る。コアから遠位に末端の枝、即ち、そこからはもはや枝が発生しない枝、がある。辺縁は、そこからもはや枝が発生しない末端の枝に結合した樹枝状ポリマー部分により規定される。辺縁は、末端鎖、即ち、末端枝から遠位で、鎖末端で終わる樹枝状ポリマー部分、の集合からなる。そのフラクタル性の本来の結果として、デンドリマーは、多数の官能基をその鎖末端に有する。デンドリマーの周囲と相互作用し、デンドリマーの特性を与えるのが、鎖末端である。「鎖末端」及び「官能基」という用語は、幾分同意語的である。しかしながら、用語「鎖末端」は、デンドリマーのセクションの物理的位置を強調し、用語「官能基」は、「鎖末端」により賦与された物理特性を強調する。「官能基」は、「鎖末端」として使用するのに矛盾しない任意の化学的部分であってよい。
【0020】
【化1】

無水物のカップリング反応による樹枝状世代成長のための一般的手順
(An)1−[G−1]−Acet(3.1)
250mL丸底フラスコ中で、プロパルギルアルコール(10.0g、178mmol)及びDMAP(3.26g、26.7mmol)をピリジン(41.8g、535mmol)に溶解させた後、CH2Cl2100mLを添加した。イソプロピリデン−2,2−ビス(メトキシ)プロピオン酸(bis−MPA)の無水物(76.4g,231mmol)をゆっくりと添加した。溶液を室温で一晩撹拌し、反応が完了するまで13CNMRで観測した(過剰の無水物の存在による約169ppmのピークで決定)。反応を、激しい撹拌下に、水5mLでクェンチし、その後、CH2Cl2500mLで希釈し、溶液を、10%NaHSO4(3×200mL)、10%Na2CO3(3×200mL)及びブライン(100mL)で洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物を、ヘキサン(100mL)から始めて、EtOAc:ヘキサン(10:90、700mL)まで徐々に極性を増加させ、その後EtOAc:ヘキサン(15:85)で溶出する、シリカのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、無色油状物として、3.1が得られた。収率:35.9g(95%)。
【0021】
【化2】

DOWEX50W−X2−200樹脂を使用するアセトニド基の一般的脱保護手順
(HO)2−[G−1]−Acet
500mL丸底フラスコ中で、DOWEX50W−X2−200樹脂15gを、メタノール300mL中の3.1(10.0g、47.1mmol)の溶液に添加した。混合物を40℃で撹拌し、かつ脱保護を、アセトニド基に固有のピーク(即ち第四級炭素による〜98ppmのピーク)が完全に消失するまで、13CNMRでフォローした。樹脂を濾別し、濾液を、高真空下に濃縮し、乾燥させて、(HO)2−[G−1]−Acetが、無色油状物として得られた。収率:7.87g(97%)。
【0022】
Cu(PPh33Brを触媒とするアジド/アルキン環状付加のための一般的手順(方法B)
(An)2−[G2]−Acet(3.2)(5.00g、10.3mmol)及び(HO)4−[G2]−N3(3.6)(4.83g、9.83mmol)のTHF溶液50mLに、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.33g、10.3mmol)及びCu(PPh33Br(19.0mg、206(mol)を添加した。次いで、反応混合物を室温で12時間撹拌した。LC−MSは、アジドの完全な消費を示した。溶媒を蒸発させ、粗生成物を、酢酸エチルで溶離させ、MeOH:EtOAc(20:80)への極性を徐々に増加させる、カラムクロマトグラフィーにより精製して、無色固体として、3.9が得られた。収率:8.95g(91%)。
【0023】
CuSO4・5H2O及びアスコルビン酸ナトリウムを触媒とするアジド/アルキン環状付加のための一般的手順(方法A)
(An)2−[G2]−Acet(3.2)(5.00g、10.3mmol)及び(HO)4−[G2]−N3(3.6)(4.83g、9.83mmol)のTHF:H2O(3:1)溶液20mLに、アスコルビン酸ナトリウム(306mg、1.55mmol)及びCuSO4・5H2O(129mg、515(mol)を添加した。次いで、反応混合物を周囲温度で12時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、粗生成物を酢酸エチルで溶離させ、MeOH:EtOAc(20:80)への極性を徐々に増加させる、カラムクロマトグラフィーにより精製して、無色固体として、3.9が得られた。収率:9.33g(95%)。
【0024】
アセチレン無水物カップリング反応による辺縁のアセチレン変性のための一般的手順、(An)2−[G−2]−[G−2]−(OH)4
(An)2−[G−2]−[G−2]−(OH)4(5.00g、5.12mmol)、ピリジン(8.10g、102mmol)及びDMAP(375mg、3.07mmol)のCH2Cl2溶液20mLに、ペンタ−4−イノイック無水物(4.74g、26.6mmol)を添加した。溶液を室温で一晩撹拌し、反応が完了するまで13CNMRで観測した(〜167ppmでの過剰の無水物の存在により決定)。過剰の無水物を、激しい撹拌下に、水2mLでクエンチし、その後、CH2Cl2300mLで希釈し、溶液を、10%NaHSO4(3×500mL)及び10%Na2CO3(3×500mL)で抽出した。有機相を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、濃縮した。これを、ヘキサンから始めて、EtOAc:ヘキサン(80:20)まで徐々に極性を増加させて溶出する、シリカゲルの液体カラムクロマトグラフィーにより精製して、無色油状物として、(Acet)4−[G−2]−[G−2]−(An)2が得られた。収率:6.04g(91%)。
【0025】
【化3】

(An)2−[G−2]−Acet(3.2):白色固体として単離。収率:25.6g(91%)。ESI MS:486(MH+)。
【0026】
【化4】

(An)4−[G−3]−Acet(3.3):白色固体として単離。収率:20g(81%)。MALDI MS;C507622に関する計算値:1028.48。測定値:1052(MNa+)。
【0027】
【化5】

(An)8−[G−4]−Acet(3.4):無色ゲルとして単離。収率:25g(92%)。MALDI MS;C10215646に関する計算値:2116.99。測定値:2140(MNa+)。Tg=5℃
【0028】
【化6】

(OH)2−[G−1]−Az(3.5):白色固体として単離。収率:16.5g(83%)。ESI MS:260(MH+)。
【0029】
【化7】

(OH)4−[G−2]−Az(3.6):白色固体として単離。収率:15.0g(92%)。ESI MS:493(MH+)。
【0030】
【化8】

(OH)8−[G−3]−Az(3.7):白色固体として単離。15.2g(91%)。ESI MS:957(MH+)。
【0031】
【化9】

(OH)16−[G−4]−Az(3.8):白色固体として単離。収率:16g(93%)。MALDI MS;C81133346に関する計算値:1883.82。測定値:1907(MNa+)。Tg=57℃
【0032】
【化10】

(An)2−[G−2]−[G−2]−(OH)4(3.9):白色固体として単離。収率:9.93g(95%)。ESI MS:977(MH+)。
【0033】
【化11】

(An)4−[G−3]−[G−3]−(OH)8(3.10):白色固体として単離。収率:4.0g(92%)。MALDI MS;C91145344に関する計算値:1983.92。測定値:1985(MH+)。
【0034】
【化12】

(An)8−[G−4]−[G−4]−(OH)16(3.11):白色固体として単離。収率:5.2g(91%)。MALDI MS;C183289392に関する計算値:4000.8。測定値:4024(MNa+)。
【0035】
【化13】

(Bzl)2−[G−2]−[G−2]−(OH)4(3.12):白色固体として単離。収率:1.2g(94%)。MALDI MS;C15373320に関する計算値:1071.48。測定値:1073(MH+)、1095(MNa+)。
【0036】
【化14】

(Bzl)4−[G−3]−[G−3]−(OH)8(3.13):白色固体として単離。収率:1.0g(85%)。MALDI MS;C107145344に関する計算値:2175.92。測定値:2176(MH+)。
【0037】
【化15】

(An)8−[G−4]−[G−4]−(OH)2(3.14):無色油状物として単離。収率:3.2g(92%)。MALDI MS;C113177350に関する計算値:2376.14。測定値:2399(MNa+)。
【0038】
【化16】

3.18:黄色固体として単離。収率:0.89g(91%)。
【0039】
【化17】

3.19:黄色油状物として単離。収率:0.81g(90%)。MALDI MS;C2132591374に関する計算値:4182.69。測定値:4184(MH+)。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】ジブロック両親媒性デンドリマーを合成する合成戦略スキームを示す。
【図2】辺縁部に親水性官能基を有する樹枝状ジブロック(3.8)と、辺縁部に疎水性官能基を有する樹枝状ジブロック(3.4)の合成スキームを示す。
【図3】デンドロン(An)8−[G−4]−Acet(3.4)のプロトンNMRスペクトルを示す。生じた樹枝状フラグメントは、1H−NMRで特有のピークを示した。
【図4】デンドロン(OH)16−[G−4]−Az(3.8)のプロトンNMRスペクトルを示す。生じた樹枝状フラグメントは、1H−NMRで特有のピークを示した。
【図5】(An)4−[G−3]−[G−3]−(OH)8(3.10)を合成するための反応スキームを示す。
【図6】デンドリマー(An)4−[G−3]−[G−3]−(OH)8(3.10)のMALDIスペクトルを示す。
【図7】表示されたデンドリマーの特性を示す表を示す。
【図8a−8c】両親媒性デンドリマー(An)16−[G−4]−[G−1]−(OH)2(3.14)の後環状付加変性に関する合成スキームを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一樹枝状ブロックと、第二樹枝状ブロックとを有するジブロックデンドリマーの製法であって、前記第一樹枝状ブロックが、第一ブロックコアを有し、前記第二樹枝状ブロックが、第二ブロックコアを有し、前記製法が、クリックケミストリー反応により前記第一ブロックコアを前記第二ブロックコアにカップリングさせて、ジブロックコアを有するジブロックデンドリマーを形成するステップを含む、ジブロックデンドリマーの製法。
【請求項2】
前記クリックケミストリー反応が、[1,2,3]−トリアゾールを形成する、アジドと末端アセチレンの銅(I)を触媒とする1,3−双極性環状付加である請求項1に記載の製法。
【請求項3】
前記第一ブロックコアが、末端アセチレンを含み、前記第二ブロックコアが、アジドを含む請求項1に記載の製法。
【請求項4】
前記第一樹枝状ブロックが、第一辺縁を含み、前記第二樹枝状ブロックが、第二辺縁を含み、前記第一辺縁が、前記第二辺縁とは異なる請求項1に記載の製法。
【請求項5】
末端アセチレンを有することを特徴とするブロックコアを有する改良樹枝状ブロック。
【請求項6】
アジドを有することを特徴とするブロックコアを有する改良樹枝状ブロック。
【請求項7】
第一樹枝状ブロックと、第二樹枝状ブロックと、前記第一樹枝状ブロックを前記第二樹枝状ブロックに結合するジブロックコアとを有する改良ジブロックデンドリマーであって、前記ジブロックコアが、前記第一樹枝状ブロックを前記第二樹枝状ブロックに結合する[1,2,3]−トリアゾール環によって特徴付けられる改良ジブロックデンドリマー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【公表番号】特表2009−506136(P2009−506136A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−522922(P2008−522922)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/028017
【国際公開番号】WO2007/012001
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(501244222)ザ スクリプス リサーチ インスティテュート (33)
【Fターム(参考)】