説明

両親媒性分子膜カプセル及びその製造方法

【課題】
膜タンパク質等を効率よく産生して、その機能のハイスループット解析を行うために、試験管内転写及び翻訳システム全体が人工両親媒性分子膜に封入された両親媒性分子膜カプセルを開発すること。
【解決手段】
本発明は両親媒性分子膜カプセルを提供する。本発明の両親媒性分子膜カプセルは、主流路と、該主流路に開口する複数の微小憩室とを含むマイクロ流路デバイス内に形成され、前記主流路に流される第1の水性溶液に含まれる両親媒性分子膜によって、前記主流路に流される第2の水性溶液が内包され、前記主流路に流される相分離流体によって封止される。本発明の両親媒性分子膜カプセルにおいて、第2の水性溶液は遺伝子の試験管内転写及び翻訳システムを含む場合がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両親媒性分子膜カプセルと、該両親媒性分子膜カプセルを含むマイクロ流路デバイスと、これらの製造方法及び使用方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
ゲノム解析で得られた非常に大量のポリヌクレオチド配列にエンコードされるタンパク質を網羅的に解析するためには、微細加工技術を駆使したマイクロ流路デバイスを用いる遺伝子の試験管内転写及び翻訳システムが有用と考えられている(非特許文献1)。しかし、従来のマイクロ流路デバイスを用いる遺伝子の試験管内転写及び翻訳システムは、水溶性の一般的なタンパク質については機能するが、膜タンパク質や、疎水性アミノ酸が分子表面に露出し、他のタンパク質と会合体を形成するタンパク質(以下、「膜タンパク質等」という。)の場合には、デバイスの壁面への非特異的吸着のために有効ではなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Kinpara,T.ら、J. Biochem.、136:149(2004)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、膜タンパク質等を効率よく産生して、その機能のハイスループット解析を行うために、試験管内転写及び翻訳システム全体が人工脂質膜に封入された両親媒性分子膜カプセルを開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は両親媒性分子膜カプセルを提供する。本発明の両親媒性分子膜カプセルは、主流路と、該主流路に開口する複数の微小憩室とを含むマイクロ流路デバイス内に形成され、前記主流路に流される第1の水性溶液に含まれる脂質膜によって、前記主流路に流される第2の水性溶液が内包され、前記主流路に流される相分離流体によって封止される。
【0006】
本発明両親媒性分子膜カプセルにおいて、両親媒性分子は脂質の場合がある。
【0007】
本発明の両親媒性分子膜カプセルにおいて、第2の水性溶液は遺伝子の試験管内転写及び翻訳システムを含む場合がある。
【0008】
本発明の両親媒性分子膜カプセルにおいて、前記遺伝子は膜タンパク質をエンコードする遺伝子の場合がある。
【0009】
本発明は、主流路と、該主流路に開口する複数の微小憩室とを含むマイクロ流路デバイスを提供する。本発明のマイクロ流路デバイスは、前記微小憩室の内部に両親媒性分子膜カプセルが形成される。
【0010】
本発明のマイクロ流路デバイスにおいて、前記両親媒性分子膜カプセルは遺伝子の試験管内転写及び翻訳システムを含む場合がある。
【0011】
本発明のマイクロ流路デバイスにおいて、前記微小憩室は2次元的に配置される場合がある。
【0012】
本発明のマイクロ流路デバイスにおいて、前記微小憩室は3次元的に配置される場合がある。
【0013】
本発明は、本発明のマイクロ流路デバイスと、該マイクロ流路デバイスの微小憩室のそれぞれに1個だけ収容可能な寸法を有する粒子とを含む、分析用キットを提供する。
【0014】
本発明の分析用キットにおいて、前記粒子は複数の蛍光色素を含み、該蛍光色素の発する蛍光の波長及び強度の組み合わせによって区別できる場合がある。
【0015】
本発明の分析用キットにおいて、前記粒子は表面に転写可能なポリヌクレオチドが結合される場合がある。
【0016】
本発明の分析用キットにおいて、前記粒子の表面には光照射によって遊離可能な被験物質が不動化される場合がある。
【0017】
本発明は両親媒性分子膜カプセルの製造方法を提供する。本発明の両親媒性分子膜カプセルの製造方法は、主流路と、該主流路に開口する複数の微小憩室とを含むマイクロ流路デバイスを用意するステップと、前記主流路に両親媒性分子膜カプセルを含む第1の水性溶液を流して、前記複数の微小憩室に導入するステップと、前記主流路に第2の水性溶液を流して、前記複数の微小憩室に導入するステップと、前記主流路に相分離流体を流して、前記第2の水性溶液を前記複数の微小憩室のそれぞれに封止するステップとを含む。
【0018】
本発明の両親媒性分子膜カプセルの製造方法において、前記両親媒性分子は脂質の場合がある。
【0019】
本発明の両親媒性分子膜カプセルの製造方法において、第2の水溶液は遺伝子の試験管内転写及び翻訳システムを含む場合がある。
【0020】
本発明において、両親媒性分子膜カプセルとは、ナノリットルオーダー以下の体積を有し、両親媒性分子膜で覆われた、人工液胞をいう。本発明の両親媒性分子膜は、単分子膜と、2分子膜と、マルチラメラ構造とを含む。本発明の両親媒性分子膜は、前記両親媒性分子膜に油性溶液が含まれない場合には本発明のカプセルの外部が水性溶液の場合には2分子膜をとり、本発明のカプセルの外部が気体又は油性溶液の場合には単分子膜をとる。しかし本発明の両親媒性分子膜は、前記両親媒性分子膜に油性溶液が含まれる場合には、マルチラメラ構造をとる。
【0021】
本発明において両親媒性分子とは、水と油のいずれにも溶解することができる分子であって、分子内に親水性原子団と疎水性原子団とが共存する分子をいう。本発明の両親媒性分子は、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン等のリン脂質と、セレブロシド、ガングリオシド等の糖脂質と、長鎖アルコールと、長鎖カルボン酸と、石鹸と、合成洗剤とを含むが、これらに限られない。
【0022】
本発明の両親媒性分子は脂質の場合がある。本明細書において脂質とは、リン脂質、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン等と、糖脂質、例えば、セレブロシド、ガングリオシド等と、コレステロールその他の化合物とをいい、これらを溶解させることのできる有機溶媒、例えば、ヘキサデカセン、スクアレン等を含む。
【0023】
本発明の両親媒性分子膜調製液は、当業者に周知のいかなるものであってもよい。例えば、100mMのKClと、10ないし50mMのリン酸、Hepes、Tris等でpH7.0に調整された水性溶液中に、1mg/mLの1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルコリン(DOPC)を水和させ、ポリカーボネート膜を通過させることによって、粒径が約100nmのリポソーム懸濁液として調製される場合がある。また、顕微鏡観察のために、1%のローダミン標識された、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルコリン(DOPC)が添加される場合もある。
【0024】
本発明のマイクロ流路デバイスは、例えば、光リソグラフィ、エッチング等の従来の微細加工技術を組合せて、犠牲層の除去により立体的な構造とすることができる(EE Text センサ・マイクロマシン工学、藤田博之編著、オーム社(2005))。代替策として、押印転写法(特願2007−10867号明細書及びOnoe, H.ら、Journal of Micromechanics and Microengineering, 17: 1818−1827 (2007))を利用する場合がある。また、従来の微細加工技術と前記押印転写法とを組み合わせて立体的な形状を有するマイクロ流路デバイスを作成することもできる。
【0025】
本発明のマイクロ流路デバイスは、従来の微細加工技術及び/又は前記押印転写法を、単独で、あるいは、組み合わせて作成された立体的な形状を有する鋳型を使って作成される成形品の場合がある。前記成形品は、カプセル内での所望の反応の進行に影響を与えないことを条件として、プラスチック、セラミック、ガラス及びハイドロゲルと、これらの複合材料とを含むが、これらに限定されない材料を用いて作成される場合がある。ポリジメチルシロキサン(PDMS)の微細加工によって形成されることが好ましい。本発明のマイクロ流路デバイスは、加工の後、親水性を保つために、純水を流路に満たして浸漬させて保存される場合がある。
【0026】
本発明の第1及び第2の水性溶液は、前記両親媒性分子膜調製液と浸透圧、pH等が大きく異なるものでなければ、いかなる組成であってもよい。本発明の両親媒性分子膜カプセルの中で行わせることを意図する酵素反応系に最適な組成を選択することが望ましい。しかし、第2の水性溶液は、本発明の両親媒性分子膜にはイオンの能動輸送機能を備えていない場合があるので、細胞内の液性環境に近いことが好ましい。また、第2の水性溶液には、粘稠なポリマーや、ゲル化したポリマーを添加することによって、両親媒性分子膜カプセル内での化学反応系が分子クラウディング又は排除体積効果によって効率よく進行する。両親媒性分子膜カプセルの形状を安定に保持するため、生成した両親媒性分子膜カプセルを含むマイクロ流路デバイスを輸送したり、長期保存する際に有用である。その場合には、ポリビニルピロリドンやアルギン酸ナトリウムのような粘稠性ポリマーを添加する。なお、アルギン酸ナトリウムはカルシウムイオン存在下でゲル化する。第2の水性溶液が微小憩室内部に導入された後に、カルシウムのようにポリマーを可逆的にゲル化させる因子を、添加することにより、微小憩室内部をゲル化させることができる。このように、カプセル内での所望の反応の進行に影響を与えないことを条件として、さまざまな物質を必要に応じて添加してもかまわない。
【0027】
本発明のマイクロ流路デバイスに含まれる、主流路と、第1及び第2の水性溶液及び両親媒性分子膜調製液の外部供給源及び/又は外部圧力源と前記デバイスとの接続は添付する図面に示された形状に限定されず、いかなる形状のものであってもかまわない。
【0028】
本発明において第2の水性溶液は、以下の実施例に説明されるとおり、非常に高い効率で両親媒性分子膜カプセル内に封入される。したがって、第2の水性溶液は所望の両親媒性分子膜カプセル内液と同じ組成の溶液を選択できる。例えば、転写、翻訳、呼吸、同化、異化、情報伝達その他の反応系を構成する酵素、補酵素、基質、高エネルギーリン酸化合物、電子供与体等を単独又は任意の組み合わせで選択することができる。転写及び翻訳に必要なRNAポリメラーゼ及び転写因子と、アミノアシルtRNA及びリボソームとを含む無細胞発現系と、プロモーター及び構造遺伝子を含む転写ユニットをコーディングするDNAとが第2の水性溶液に含まれる場合がある。生成されたカプセルを識別するために蛍光標識を行うことが好ましい。
【0029】
本発明に用いられる相分離流体は、気体か、ヘキサデカセン、スクアレン等の有機溶液かの場合がある。
【0030】
本発明のマイクロ流路デバイスの主流路は、該デバイスの外部から供給される水性溶液及び相分離流体を、デバイス内部の全ての微小憩室に導入するように流す。最終的にはデバイスの外部に接続されたドレンに排出される。
【0031】
本発明のマイクロ流路デバイスと、両親媒性分子膜調製液と、第1及び第2の水性溶液とは、必要に応じて、無菌処理を施したり、生体毒性のない素材及び製造方法で製作又は調製される。
【0032】
本発明のマイクロ流路デバイスは、レーザ光を操作したり、カプセル生成過程を観察するための光学顕微鏡と、主流路を通過する液体を送液するためのポンプ、例えば、シリンジポンプと、流路を切り替えるためのバルブと、温度制御装置とを含むが、これらに限られない付属設備を伴う場合がある。
【0033】
本発明において「微小憩室が2次元的に配置される」とは、主流路と微小憩室とが単一の平面上に配置されることをいう。例えば、単一のガラス基板上に作成され、主流路を挟んで相対するように複数の微小憩室が配置される場合をいう。
【0034】
本発明において「微小憩室が3次元的に配置される」とは、主流路と微小憩室とが配置される平面が2個又は3個以上あることをいう。例えば、微小憩室が主流路の流体の流れる方向軸に回転対称となるように配置される場合をいう。
【0035】
本発明の分析キットに含まれる蛍光色素は、該蛍光色素の発する蛍光の波長及び強度の組み合わせによって区別できる。かかる蛍光色素を埋め込んだ粒子には、例えば、xMAP(商標)マイクロスフェア粒子(Luminex Corporation、米国テキサス州、オースチン)がある。これは、蛍光波長の異なる2種類の蛍光色素をそれぞれ10段階の異なる濃度で含むポリスチレン製マイクロビーズ粒子で、1つのグループに100種類の粒子が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明のマイクロ流路デバイス内で両親媒性分子膜カプセルを作製する手順を示す模式図。
【図2】本発明のマイクロ流路デバイスの主流路(main channel)と、微小憩室(microchamber)との配置を示す顕微鏡写真。
【図3】両親媒性分子膜調製液に含まれるリポソームが破裂して主流路及び微小憩室の底面に脂質膜として吸着する様子を示す顕微鏡写真。
【図4】両親媒性分子膜調製液に曝された基質表面にはラムダファージDNAが吸着しないことを示す共焦点顕微鏡写真。
【図5】試験管内転写及び翻訳システムを内包した本発明の両親媒性分子膜カプセルの中でのGFP産生と、両親媒性分子膜の位置関係を示す蛍光顕微鏡写真。左は緑色の発光を検出するフィルターを用いた写真で、右は、赤色の発光を検出するフィルターを用いた写真である。
【図6】GFP遺伝子の有無(a)と、両親媒性分子膜カプセルの有無(b)との対照実験の結果を示すために、緑色の発光を検出するフィルターを用いた写真と、赤色の発光を検出するフィルターを用いた写真とを合成した写真。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に実施例を示すが、これらは実施態様の例示を意図しており本発明の範囲を限定することは意図しない。本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によってのみ限定される。
【実施例1】
【0038】
1.カプセルの生成
図1は、本発明のマイクロ流路デバイス内で両親媒性分子膜カプセルを作製する手順を示す模式図である。図1(a)では、両親媒性分子膜調製液を主流路に流した後、第2の水性溶液に続いて相分離流体が界面を形成しながら流れてくる様子を示す。図1(b)、(c)及び(d)は図1(a)の微小憩室の拡大図である。微小憩室の壁面は全て両親媒性分子の二重膜で覆われており、相分離流体によって微小憩室が封止されると、第2の水性溶液と相分離流体の界面に両親媒性分子の一重膜が形成される。これによって前記微小憩室内部に両親媒性分子膜カプセルが形成される。
【0039】
図2は、本発明のマイクロ流路デバイスの主流路(main channel)と、微小憩室(microchamber)との配置を示す顕微鏡写真である。本実施例のデバイスでは、微小憩室の寸法は、幅15μm、奥行き20μm及び高さ15μmである。主流路が隣接するために、顕微鏡の同一視野内で異なる実験条件の結果を同時に観察することができる。
【0040】
図3は、両親媒性分子膜調製液に含まれるリポソームが破裂して主流路及び微小憩室の底面に脂質膜として吸着する様子を示す、主流路及び微小憩室の底面の共焦点顕微鏡写真である。ここでは1mg/mLのDOPCに1%のローダミン標識されたDOPEを混合して蛍光観察を行った。矢印は、両親媒性分子膜調製液が進入する隣接する2つの微小憩室の開口を示す。図3では45秒おきに撮影された3つのフレームの写真が示される。本実施例の微小憩室は、90秒で底面の全域にわたって脂質膜が吸着した。なお、主流路に吸着した脂質膜について、蛍光退色後回復が観察されたので、本発明のデバイスの表面に吸着した脂質膜には一定の流動性が存在することが示唆された。
【0041】
図4は、両親媒性分子膜調製液に曝された基質表面にはラムダファージDNAが吸着しないことを示す共焦点顕微鏡写真である。ラムダファージDNAは100ng/μLの濃度の液が潅流された。図4(a)は両親媒性分子膜調製液で処理された主流路、図4(b)は両親媒性分子を含まない水性溶液で処理された主流路である。いずれも水性溶液で洗浄後、DNA溶液が流され、水性溶液でさらに洗浄した後、SYBRグリーンで染色し、さらに水性溶液で洗浄した後、共焦点顕微鏡で観察した結果である。図4から明らかなように、両親媒性分子膜調製液処理により、DNAの吸着が著しく阻害された。
【0042】
2.カプセル内でのタンパク質産生
図5は、試験管内転写及び翻訳システムを内包した本発明の脂質膜カプセルの中での緑蛍光タンパク質(GFP)産生と、脂質膜の位置関係を示す蛍光顕微鏡写真である。大腸菌の無細胞発現系と、GFP発現コンストラクトとを含む混合液(RTS500、E. coli HY kit、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社、カタログ番号:3246817)と、リボヌクレオチド及びアミノ酸を含む反応補給液とを第2の水性溶液として潅流させて、微小憩室内に導入した。左は緑色の発光を検出するフィルターを用いた写真で、右は、赤色の発光を検出するフィルターを用いた写真である。インキュベーション開始から20、30及び40分間経過後のフレームを組み合わせた。GFP産生は20分後から検出されるが、30分間経過すると、カプセル内の一カ所に局在する。これは、GFPが凝集するためと考えられる。脂質膜のローダミン蛍光は局所的に蛍光が強い部位がみられた。
【0043】
図6は、GFP遺伝子の有無(a)と、両親媒性分子膜カプセルの有無(b)との対照実験の結果を示すために、緑色の発光を検出するフィルターを用いた写真と、赤色の発光を検出するフィルターを用いた写真とを合成した写真である。図6(a)及び(b)の上段はGFP遺伝子を含む完全な転写及び翻訳システムが内包されたカプセルである。(a)の下段はGFP遺伝子を欠く対照実験である。図6(b)の下段は両親媒性分子膜カプセルを欠く対照実験である。図6から明らかなように、両親媒性分子膜で内包された反応液のみでGFP産生が検出された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主流路と、該主流路に開口する複数の微小憩室とを含むマイクロ流路デバイス内に形成される両親媒性分子膜カプセルであって、
前記主流路に流される第1の水性溶液に含まれる両親媒性分子膜によって、前記主流路に流される第2の水性溶液が内包され、
前記主流路に流される相分離流体によって封止されることを特徴とする、両親媒性分子膜カプセル。
【請求項2】
前記両親媒性分子は脂質であることを特徴とする、請求項1に記載の両親媒性分子膜カプセル。
【請求項3】
第2の水性溶液は遺伝子の試験管内転写及び翻訳システムを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の両親媒性分子膜カプセル。
【請求項4】
前記遺伝子は膜タンパク質をエンコードする遺伝子であることを特徴とする、請求項3に記載の両親媒性分子膜カプセル。
【請求項5】
主流路と、該主流路に開口する複数の微小憩室とを含むマイクロ流路デバイスであって、前記微小憩室の内部には両親媒性分子膜カプセルが形成されることを特徴とする、マイクロ流路デバイス。
【請求項6】
前記両親媒性分子膜カプセルは遺伝子の試験管内転写及び翻訳システムを含むことを特徴とする、請求項5に記載のマイクロ流路デバイス。
【請求項7】
前記微小憩室は2次元的に配置されることを特徴とする、請求項5又は6に記載のマイクロ流路デバイス。
【請求項8】
前記微小憩室は3次元的に配置されることを特徴とする、請求項5又は6に記載のマイクロ流路デバイス。
【請求項9】
請求項5ないし8のいずれか1つに記載のマイクロ流路デバイスと、該マイクロ流路デバイスの微小憩室のそれぞれに1個だけ収容可能な寸法を有する粒子とを含むことを特徴とする、分析用キット。
【請求項10】
前記粒子は複数の蛍光色素を含み、該蛍光色素の発する蛍光の波長及び強度の組み合わせによって区別できることを特徴とする、請求項9に記載の分析用キット。
【請求項11】
前記粒子は表面に転写可能なポリヌクレオチドが結合されることを特徴とする、請求項10に記載の分析用キット。
【請求項12】
前記粒子の表面には光照射によって遊離可能な被験物質が不動化されることを特徴とする、請求項9に記載の分析用キット。
【請求項13】
主流路と、該主流路に開口する複数の微小憩室とを含むマイクロ流路デバイスを用意するステップと、
前記主流路に両親媒性分子膜カプセルを含む第1の水性溶液を流して、前記複数の微小憩室に導入するステップと、
前記主流路に第2の水性溶液を流して、前記複数の微小憩室に導入するステップと、
前記主流路に相分離流体を流して、前記第2の水性溶液を前記複数の微小憩室のそれぞれに封止するステップとを含むことを特徴とする、両親媒性分子膜カプセルの製造方法。
【請求項14】
前記両親媒性分子は脂質であることを特徴とする、請求項13に記載の両親媒性分子膜カプセルの製造方法。
【請求項15】
第2の水溶液は遺伝子の試験管内転写及び翻訳システムを含むことを特徴とする、請求項13又は14に記載の両親媒性分子膜カプセルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−92147(P2011−92147A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251538(P2009−251538)
【出願日】平成21年10月31日(2009.10.31)
【出願人】(509304287)サントル ナショナル ドゥラ ルシェルシュ シヤンティフィック (3)
【出願人】(591243103)財団法人神奈川科学技術アカデミー (271)
【Fターム(参考)】