説明

両面原稿搬送装置および両面原稿搬送装置の原稿搬送方法

【課題】原稿が1対のローラを互いに逆方向に重なって通過する状態でこれらのローラを離間させあるいはローラ同士の圧力を減少させることを機械的に実現できる両面原稿搬送装置および両面原稿搬送装置の原稿搬送方法を得ること。
【解決手段】駆動側排出ローラ12は、画像読取手段11による第1面の画像の読み取りの終了した原稿を装置外に排出する一方、第2面の画像の読み取りを行う際には反転して装置内部に引き込む。引き込みの際の従動側排出ローラ13は駆動側排出ローラ12に対して所定の圧力で押圧される一方、ローラ表面と接触する原稿が及ぼす力によってその回転軸が駆動側排出ローラ12から遠ざかる方向に移動自在としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ、複写機、複合機、スキャナあるいは画像読取機能を備えたプリンタのようにシート状の原稿の両面を読み取る両面原稿搬送装置および両面原稿搬送装置の原稿搬送方法に関する。本発明は特に搬送機構を小型化して原稿の搬送経路が一部重複した装置に好適に適用できる両面原稿搬送装置および両面原稿搬送装置の原稿搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿の両面に印刷あるいは記入された画像情報を原稿の表裏としての第1面および第2面の切り替えを行うことなく自動的に読み取るために使用する両面原稿搬送装置が、ファクシミリ、複写機あるいはスキャナ等の画像読取装置に広く採用されている。これらの両面原稿搬送装置の多くは、小型化の要請から装置内で原稿の第1面を読み取るときの搬送路と、第2面を読み取るときの搬送路を部分的に共通にしていることが多い。
【0003】
このためこのような両面原稿搬送装置では、比較的長尺の原稿を装置内で搬送すると、搬送路を共通にする箇所で搬送方向を違えた同一の原稿がすれ違う場合が発生する。このとき、すれ違いを生じる箇所に位置するローラ同士を離間させたり、隙間を設けるといった工夫が行われている。
【0004】
図13は、本発明の第1の関連技術(たとえば特許文献1参照)における両面原稿搬送装置の要部を示したものである。この両面原稿搬送装置100で、原稿供給トレイ101にセットした図示しない原稿は、ピックローラ102によって1枚ずつピックされ、1対の給紙ローラ103、104のニップ領域に向けて送り出される。1対の給紙ローラ103、104は搬送されてきた原稿をガイド部材105に沿って矢印106方向に送り出す。ガイド部材105の先端の近傍には1対の第1の搬送ローラ107、108が配置されている。原稿はこの1対の第1の搬送ローラ107、108の回転によって、湾曲されたガイド部材109に沿って進行方向を水平方向から矢印111で示す下方向に変化させて、1対の第2の搬送ローラ112、113のニップ領域に導かれる。
【0005】
1対の第2の搬送ローラ112、113の原稿排出側にはプラテンガラス等の透明板114が水平に配置されており、その下方には原稿の主走査方向に沿って1次元イメージセンサや光学系からなる図示しない読取機構が配置されている。したがって、1対の第2の搬送ローラ112、113の回転に伴って原稿は、透明板114とその上部に配置されたガイド部材115の間を通過する。このとき読取機構の原稿読取位置116で原稿の第1面が順次読み取られる。
【0006】
原稿読取位置116で読み取りの終了した原稿は1対の第3の搬送ローラ117、118を通過して、ガイド部材119に導かれて1対の排出・反転ローラ121、122の方向に搬送される。原稿の片面(第1面)のみの読み取りを行う場合、原稿は1対の排出・反転ローラ121、122を通過して矢印123に示すように原稿供給トレイ101の下側に配置されている図示しない原稿排出トレイに排出されることになる。
【0007】
これに対して原稿の第2面の読み取りも行う両面読取モードに設定されている場合、1対の排出・反転ローラ121、122を通過して矢印123方向に搬送される原稿の後端が1対の排出・反転ローラ121、122の手前に配置された原稿検出センサ124によって検知される。この検知のタイミングで1対の排出・反転ローラ121、122が今までと逆方向に回転を開始する。
【0008】
すると、原稿はガイド部材119に沿って今までの後端部分を先端部分として矢印125方向に搬送を開始し、今度は第3の搬送ローラ117の上側に位置するガイド部材126に案内されて1対の第1の搬送ローラ107、108のニップ領域に向けて搬送される。そして、1対の第1の搬送ローラ107、108を通過した後は、今度は第2面を下向きにした状態で透明板114の上方を通過する。このとき、原稿の第2面が順次読み取られる。
【0009】
このようにして両面の読取が終了した原稿は、第1面のみの読み取りを行った場合と同様に1対の排出・反転ローラ121、122を通過して前記した原稿排出トレイに排出されることになる。
【0010】
このような両面原稿搬送装置100では、第2面の読み取りを行う際の原稿は、1対の排出・反転ローラ121、122から一連のガイド部材126、109、115、119を順に経て再び1対の排出・反転ローラ121、122に戻るループ状の経路を搬送される。このため、原稿の長さが搬送方向にこのループ状の経路以上長い場合には、同一の原稿が1対の排出・反転ローラ121、122を同時に互いに逆方向に搬送される事態が発生する。したがって、1対の排出・反転ローラ121、122のローラ表面は、摩擦係数が低いものを採用すると共に、これらのローラを所定のタイミングで互いに離間させて、これらの間に原稿がすれ違うための隙間を設ける必要がある。
【0011】
このため両面原稿搬送装置100は、ソレノイド131のプランジャ132に排出・反転ローラ121の回転軸を上下させる第1〜第3のリンク部材133〜135を備えたリンク機構を取り付けている。この例では第3のリンク部材135は、上側に位置する排出・反転ローラ121の回転軸136を支持している。第1および第2の2つのリンク部材133、134は、プランジャ132の進退によってリンク部材135を介して排出・反転ローラ121を上下動させる働きをする。
【0012】
図14は、1対の排出・反転ローラによる原稿の押圧力の切替機構を具体的に示したものである。ソレノイド131のプランジャ132には、その長さを延長するための第1のリンク部材133の一端が取り付けられている。第1のリンク部材133の他端には回動自在に第2のリンク部材134の一端が取り付けられている。第2のリンク部材134は「への字」状に折れ曲がった形状をしており、その折れ曲がった位置の図示しない不動部材上にピン141が紙面に垂直となるように取り付けられている。
【0013】
第2のリンク部材134の他端には長穴142を他端部に有する第3のリンク部材135の一端部が溶接等で固定されている。第3のリンク部材135の長穴142には、排出・反転ローラ121の回転軸136が摺動自在に配置されている。
【0014】
今、矢印125方向に搬送で原稿144が1対の排出・反転ローラ121、122を通過して矢印125方向に搬送されているものとする。この原稿144の先端が図13に示す1対の第1の搬送ローラ107、108、1対の第2の搬送ローラ112、113および1対の第3の搬送ローラ117、118を通過して、再び1対の排出・反転ローラ121、122のニップ領域に戻ってきたとする。
【0015】
原稿144の先端144Aが1対の第3の搬送ローラ117、118を通過する直前のタイミングで、図3に示した原稿検出センサ124がこの先端箇所の到来を検知する。すると、図示しない励磁回路がソレノイド131を励磁する。これによってプランジャ132が原稿144の排出方向としての矢印方向145に移動する。これにより第2のリンク部材134がピン141を支点として反時計方向に所定角度だけ回転する。この結果、従動側の排出・反転ローラ121は図14における矢印146に示すように斜め上方に移動し、駆動側の排出・反転ローラ122から離間することになる。
【0016】
このようにして、1対の排出・反転ローラ121、122の間を原稿144が「二重(ふたえ)」になった状態で通過している間、これらのローラによる原稿144の押圧力は弱められる。原稿144の後端が、1対の排出・反転ローラ121、122の間を通過してしまうと、図示しない励磁回路がソレノイド131を解磁する。すると、図示しないバネがプランジャ132を元の位置に復帰させ、排出方向に搬送されている「一重(ひとえ)」の状態の原稿144を1対の排出・反転ローラ121、122がその両面から圧接する。これにより、1対の排出・反転ローラ121、122は、それ以後、原稿144を前記した排出トレイ方向に搬送させることになる。
【0017】
以上説明した電気回路を用いた機構では、上側に配置された従動側の排出・反転ローラ121を所定の時間帯だけ上方向に移動させて原稿144の押圧力の切り替えを行ったが、下側に配置された駆動側の排出・反転ローラ122を所定の時間帯だけ下方に移動させることによっても同様の効果を得ることができる。ソレノイド131以外の駆動部品を励磁回路で電気的に制御することによっても、同様に1対の排出・反転ローラ121、122の接離を制御することも可能である。
【0018】
しかしながら、図13に示したこのような第1の関連技術による両面原稿搬送装置100では、ソレノイド131等の駆動部品を実装して、電気回路で1対の排出・反転ローラ121、122を特定の時間帯だけ強制的に離間させる必要がある。たのため、両面原稿搬送装置100はこれら駆動部品やこれを制御する電気回路の実装のために余計なスペースが必要となり、装置の小型化に障害となった。また、これら部品の故障時の交換にも費用が掛かり、コスト削減の妨げとなった。
【0019】
そこで本発明の第2の関連技術として、1対の排出・反転ローラ121、122相互の押圧力を極端に弱めておくことが提案された。この第2の関連技術では、原稿の先端部と後端部がすれ違う際に、原稿のコシの力でローラの間隔を強制的にこじ開ける機構が採用される。これにより、先端部と後端部のすれ違いの際の原稿の「二重」になった状態での相互の摩擦による不具合を軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開平09−086807号公報(第0017段落、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
ところが、この第2の関連技術によれば、原稿が「一重」の状態のとき、1対の排出・反転ローラ121、122がこの原稿に与える搬送力が弱くなる。1対の排出・反転ローラ121、122は、本来的には原稿を排出トレイに強制的に排出する第1の機能と、両面読取モードによる第2面読取時に排出トレイ側に移動した原稿を装置本体内に引き戻す第2の機能を持っている。
【0022】
これら第1および第2の機能が弱まると、1対の排出・反転ローラ121、122が原稿の搬送に関与している間で原稿読取位置116での原稿の搬送速度が一定しない。この結果、画像の副走査方向の読み取りが不安定となって画質を劣化させるという重大な不具合を生じさせる。
【0023】
特に両面原稿搬送装置100を小型化するほど、湾曲されたガイド部材109の湾曲率を高くするパス形状にせざるを得ず、この場合のこの箇所を搬送される原稿の搬送負荷が大きくなる。したがって、1対の排出・反転ローラ121、122の搬送力を下げるという第2の関連技術は、両面原稿搬送装置100の小型化に適さないという問題がある。
【0024】
そこで本発明の目的は、原稿が1対のローラを互いに逆方向に重なって通過する状態でこれらのローラを離間させあるいはローラ同士の圧力を減少させることを機械的に実現することのできる両面原稿搬送装置および両面原稿搬送装置の原稿搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明では、(イ)原稿としてのシート状部材の搬送を受け、特定の面に存在する画像を読み取る画像読取手段と、(ロ)この画像読取手段による画像の読み取りの終了した前記したシート状部材が搬送されてきた状態で前記した特定の面と転接してこのシート状部材を装置外に排出する方向としての第1の方向に送り出す駆動側排出ローラと、(ハ)この駆動側排出ローラと対向配置され、この駆動側排出ローラとの転接時にその回転方向と逆方向に回転する力を与えられる従動側排出ローラと、(ニ)この従動側排出ローラに予め定めた以上のトルクが掛かったときその回転軸に対する前記した逆方向へ回転する力の伝達を制限するトルクリミッタと、(ホ)前記した従動側排出ローラから見て前記した第1の方向とは逆方向の第2の方向に従動側排出ローラから所定の距離だけ離れた位置に配置され、前記したシート状部材が前記した従動側排出ローラを経て搬送されてきたときこれを前記した画像読取手段に近づく方向へ強制的に搬送する特定方向搬送手段と、(へ)前記した従動側排出ローラと前記した駆動側排出ローラが互いに圧接する方向としての第3の方向に前記した従動側排出ローラに所定の押圧力を常時付与する押圧力付与手段と、(ト)この押圧力付与手段によって押圧力の付与された前記した従動側排出ローラを、前記した特定方向搬送手段によって搬送されている状態の前記したシート状部材が前記した従動側排出ローラの表面との接触によって及ぼす前記した第3の方向と反対方向の力の成分の大きさに応じて、前記した駆動側排出ローラに対して相対的に前記した第3の方向と反対方向に移動可能に配置した移動調整手段とを両面原稿搬送装置が具備する。
【0026】
また、本発明では、(イ)原稿としてのシート状部材の搬送を受け、特定の面に存在する画像を読み取る画像読取ステップと、(ロ)この画像読取ステップによる画像の読み取りの終了した前記したシート状部材を駆動ローラの正転によって装置外に排出する方向としての第1の方向に送り出す排出方向搬送ステップと、(ハ)この排出方向搬送ステップで前記したシート状部材を第1の方向に送り出しているとき前記した駆動ローラの手前の位置に配置したセンサで前記したシート状部材の後端を検出する後端検出ステップと、(ニ)この後端検出ステップで前記したシート状部材の後端を検出した時点で前記した駆動ローラを反転させてこのシート状部材を装置内の別経路に戻すように搬送する逆送ステップと、(ホ)この逆送ステップで逆送される前記したシート状部材を逆送時の搬送速度よりも速い速度で前記した画像読取ステップで画像を読み取った箇所に向けて搬送を開始する両面読取用搬送ステップと、(へ)この両面読取用搬送ステップで搬送する前記したシート状部材が前記した駆動ローラとこれに転接する従動ローラの間を通過している時間帯でこの従動ローラを前記した駆動ローラに向けて押圧する押圧部材の押圧力に逆らい、前記したシート状部材が前記した従動ローラに及ぼす力の大きさに応じてこの従動ローラを移動させることでこの従動ローラと前記した駆動ローラを離間させ、あるいはこれらの間の押圧力を減少させる移動ステップとを両面原稿搬送装置の原稿搬送方法が具備する。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように本発明によれば原稿の排出と、両面読取時の原稿の排出方向と反対方向へ引き込みが同一の原稿について時間的に重なった場合でも、1対のローラを使用して機械的な制御で行うことができる。このため、両面原稿搬送装置の小型化とコストダウンに寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の両面原稿搬送装置のクレーム対応図である。
【図2】本発明の両面原稿搬送装置の原稿搬送方法のクレーム対応図である。
【図3】本発明の実施の形態による両面原稿搬送装置の構成の要部を表わした概略構成図である。
【図4】本実施の形態における1対の排出・反転ローラと押圧機構の要部を拡大して表わした原理図である。
【図5】本実施の形態の両面原稿搬送装置における各ローラの搬送動作時の回転方向を示した説明図である。
【図6】本実施の形態の原稿が原稿供給トレイから送り出され、1対の給紙ローラによって矢印方向に搬送されて1対の第1の搬送ローラのニップ領域にまで搬送された状態を示す両面原稿搬送装置の説明図である。
【図7】原稿が図6に示した位置から更に搬送された状態を示した両面原稿搬送装置の説明図である。
【図8】原稿が図7に示した位置から更に搬送された状態を示した両面原稿搬送装置の説明図である。
【図9】原稿の第1面の読み取りが終了してその後端が両面読取モードで先端として装置本体内部に送り込まれた状態を示した両面原稿搬送装置の説明図である。
【図10】原稿が図9に示した位置から更に搬送された状態を示した両面原稿搬送装置の説明図である。
【図11】本実施の形態の「二重」になって通過する原稿による1対の排出・反転ローラの挙動を示した説明図である。
【図12】本発明の変形例における1対の排出・反転ローラの周辺の構成の要部を表わした原理図である。
【図13】本発明の第1の関連技術における両面原稿搬送装置の要部を示した概略構成図である。
【図14】第1の関連技術における1対の排出・反転ローラによる原稿の押圧力の切替機構を具体的に示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明の両面原稿搬送装置のクレーム対応図を示したものである。本発明の両面原稿搬送装置10は、画像読取手段11と、駆動側排出ローラ12と、従動側排出ローラ13と、トルクリミッタ14と、特定方向搬送手段15と、押圧力付与手段16と、移動調整手段17を備えている。ここで、画像読取手段11は、原稿としてのシート状部材の搬送を受け、特定の面に存在する画像を読み取る。駆動側排出ローラ12は、画像読取手段11による画像の読み取りの終了した前記したシート状部材が搬送されてきた状態で前記した特定の面と転接してこのシート状部材を装置外に排出する方向としての第1の方向に送り出す。従動側排出ローラ13は、駆動側排出ローラ12と対向配置され、この駆動側排出ローラ12との転接時にその回転方向と逆方向に回転する力を与えられるローラである。トルクリミッタ14は、従動側排出ローラ13に予め定めた以上のトルクが掛かったときその回転軸に対する前記した逆方向へ回転する力の伝達を制限する。特定方向搬送手段15は、従動側排出ローラ13から見て前記した第1の方向とは逆方向の第2の方向に従動側排出ローラ13から所定の距離だけ離れた位置に配置され、前記したシート状部材が従動側排出ローラ13を経て搬送されてきたときこれを画像読取手段11に近づく方向へ強制的に搬送する。押圧力付与手段16は、従動側排出ローラ13と駆動側排出ローラ12が互いに圧接する方向としての第3の方向に従動側排出ローラ13の回転軸に所定の押圧力を常時付与する。移動調整手段17は、押圧力付与手段16によって押圧力の付与された従動側排出ローラ13を、特定方向搬送手段15によって搬送されている状態の前記シート状部材が従動側排出ローラ13の表面との接触によって及ぼす前記第3の方向と反対方向の力の成分の大きさに応じて、駆動側排出ローラ12に対して相対的に前記した第3の方向と反対方向に移動可能に配置している。
【0030】
図2は、本発明の両面原稿搬送装置の原稿搬送方法のクレーム対応図を示したものである。本発明の両面原稿搬送装置の原稿搬送方法20は、画像読取ステップ21と、排出方向搬送ステップ22と、後端検出ステップ23と、逆送ステップ24と、両面読取用搬送ステップ25と、移動ステップ26を備えている。ここで、画像読取ステップ21では、原稿としてのシート状部材の搬送を受け、特定の面に存在する画像を読み取る。排出方向搬送ステップ22では、画像読取ステップ21による画像の読み取りの終了した前記したシート状部材を駆動ローラの正転によって装置外に排出する方向としての第1の方向に送り出す。後端検出ステップ23では、排出方向搬送ステップ22で前記したシート状部材を第1の方向に送り出しているとき前記した駆動ローラの手前の位置に配置したセンサで前記したシート状部材の後端を検出する。逆送ステップ24では、後端検出ステップ23で前記したシート状部材の後端を検出した時点で前記した駆動ローラを反転させてこのシート状部材を装置内の別経路に戻すように搬送する。両面読取用搬送ステップ25では、逆送ステップ24で逆送される前記したシート状部材を逆送時の搬送速度よりも速い速度で画像読取ステップ21で画像を読み取った箇所に向けて搬送を開始する。移動ステップ26では、両面読取用搬送ステップ25で搬送する前記したシート状部材が前記した駆動ローラとこれに転接する従動ローラの間を通過している時間帯でこの従動ローラを前記した駆動ローラに向けて押圧する押圧部材の押圧力に逆らい、前記したシート状部材が前記した従動ローラに及ぼす力の大きさに応じてこの従動ローラを移動させることでこの従動ローラと前記した駆動ローラを離間させ、あるいはこれらの間の押圧力を減少させる。
【0031】
<発明の実施の形態>
【0032】
次に本発明の実施の形態を説明する。
【0033】
図3は、本発明の実施の形態による両面原稿搬送装置の構成の要部を表わしたものである。この両面原稿搬送装置200で図13と同一部分には同一の符号を付している。
【0034】
まず、両面原稿搬送装置200の構成の概要を説明する。ピックローラ102は原稿供給トレイ101から図示しない原稿を装置本体内部に1枚ずつピックするために用いられる。ピックローラ102の後方には1対の給紙ローラ103、104が配置されており、原稿を、矢印106で示すように、ガイド部材105に沿って1対の第1の搬送ローラ107、108のニップ領域にまで搬送(ピック)する役割を持つ。1対の第1の搬送ローラ107、108は搬送されてきた原稿を、湾曲されたガイド部材109に沿って矢印111で示すように進行方向を変化させて、1対の第2の搬送ローラ112、113のニップ領域に導く役割を持つ。
【0035】
1対の第2の搬送ローラ112、113の排出側近傍にはプラテンガラス等の透明板114が水平に配置されている。透明板114の下方には原稿の主走査方向に沿って1次元イメージセンサや光学系からなる図示しない読取機構が配置されている。1対の第2の搬送ローラ112、113の回転に伴って原稿は、透明板114とその上部に配置されたガイド部材115の間を通過し、読取機構の原稿読取位置116で原稿の第1面が順次読み取られるようになっている。
【0036】
ガイド部材115の末端側には1対の第3の搬送ローラ117、118が配置されている。原稿読取位置116で画像の読み取りの終了した原稿は1対の第3の搬送ローラ117、118の間を通過してガイド部材219に案内されて、装置本体の排出位置に配置された1対の排出・反転ローラ221、222まで搬送されるようになっている。1対の排出・反転ローラ221、222の直前の位置には原稿検出センサ124が配置されている。
【0037】
1対の排出・反転ローラ221、222のうちの下側に配置された排出・反転ローラ222は駆動ローラであり、これと転接して上側に配置された排出・反転ローラ221は従動ローラである。従動側の排出・反転ローラ221の表面は、高摩擦係数の樹脂やゴム等の材料で構成されている。
【0038】
また従動側の排出・反転ローラ221は押圧スプリング223を用いた押圧機構によって駆動側の排出・反転ローラ222に対して所定の圧力で押圧して搬送力を伝達されるようになっている。排出・反転ローラ221の回転軸224上あるいはこの回転軸と連結する近傍の図示しないギアの回転軸には図示しない電磁クラッチが実装されている。この電磁クラッチのオン・オフによって従動側の排出・反転ローラ221の回転方向の制御を行っている。また、排出・反転ローラ221の回転軸224には図示しないトルクリミッタが実装されている。トルクリミッタは、排出・反転ローラ221にある程度以上の負荷が掛かると空転し、駆動力がローラ側に伝達しないようになっている。
【0039】
図4は、1対の排出・反転ローラと押圧機構の要部を拡大して表わしたものである。上側に配置された従動ローラとしての排出・反転ローラ221の回転軸224は、図示しない不動部材に一端側を固定した軸受部材225に設けられた長穴226内を上下動自在に配置されている。図で破線で示した排出・反転ローラ221は、押圧スプリング223の押圧によってその表面が排出・反転ローラ222の表面に圧接した状態を示しており、実線で示した排出・反転ローラ221は排出・反転ローラ222の表面から離間した状態を示している。軸受部材225は、図で1つのみ示したが、従動ローラとしての排出・反転ローラ221の回転軸224の両端にそれぞれ配置されている。
【0040】
この図4で長穴226の中心を通り長手方向に並行となった線分を第1の線分227とする。また、駆動ローラとしての排出・反転ローラ222の回転軸の中心から排出・反転ローラ221の回転軸224の中心を結ぶ一点鎖線で示す線分を第2の線分228とする。このとき、軸受部材225の長穴226の傾きの方向θは、第2の線分228から図3における1対の第1の搬送ローラ107、108の位置する方向に鋭角をなすようになっている。
【0041】
また、本実施の形態の両面原稿搬送装置200では、1対の排出・反転ローラ221、222が原稿を排出・反転する方向を基準として、従動ローラ側に配置される。また、1対の第1の搬送ローラ107、108は、1対の排出・反転ローラ221、222よりも単位時間当たりの搬送量が多くなるように設定されている。これにより、原稿が1対の排出・反転ローラ221、222と1対の第1の搬送ローラ107、108の間を同時に通過しながら装置本体内部方向に進行している区間では、これらの間で原稿面が引っ張られる。この結果、従動ローラとしての排出・反転ローラ221の回転軸224は押圧スプリング223の下向きの押圧力に抗して、実線で示すようにその位置を長穴226に沿ってわずかに引き上げられる。この状態で、駆動ローラとしての排出・反転ローラ222に対する排出・反転ローラ221の押圧力が減少するか、1対の排出・反転ローラ221、222が離間する。
【0042】
これに対して、原稿が1対の第1の搬送ローラ107、108と1対の排出・反転ローラ221、222を同時に通過しながら装置本体の排出側に進行している区間では、これらの間で原稿面が弛むことになる。この結果、従動ローラとしての排出・反転ローラ221は押圧スプリング223自体の下向きの押圧力によって、破線で示すように排出・反転ローラ221に圧接する。この状態では、駆動ローラとしての排出・反転ローラ222に対する排出・反転ローラ221の押圧力が増加することになる。
【0043】
図5は、本実施の形態の両面原稿搬送装置における各ローラの搬送動作時の回転方向を示したものである。ただし、ピックローラ102は図示しない原稿を給紙のためにピックするときに図示のように時計方向に回転すればよい。1対の給紙ローラ103、104もピックローラ102がピックした原稿を搬送する時間帯だけ矢印方向に回転すればよい。1対の第1〜第3の搬送ローラ107、108、112、113、117、118は、それぞれ原稿を同一の搬送方向に移動させる方向で矢印方向に回転する。移動する時間帯を、原稿の通過時間に制限してもよいのは、他のローラと同様である。
【0044】
1対の排出・反転ローラ221、222は、両面読取モード以外のモードで原稿が前記した排出トレイ方向に移動するように矢印で示した方向に回転する。両面読取モードで第1面の原稿の読み取りが行われ、原稿が排出トレイ方向に排出されているときも同様である。
【0045】
両面読取モードで第1面の原稿の読み取りが終了して、その原稿の後端が1対の排出・反転ローラ221、222の近傍まで到達すると、このとき原稿検出センサ124がこの後端を検出する。この時点から前記した電磁クラッチのオン・オフ操作の切り替えが行われ、1対の排出・反転ローラ221、222が図5に示す矢印方向と逆方向に回転を開始する。
【0046】
図6〜図10は、比較的長い原稿が両面原稿搬送装置内を順に搬送されていく様子を搬送の各段階別に示したものである。このうち、図6は、原稿144が原稿供給トレイ101から送り出され、1対の給紙ローラ103、104によって矢印106方向に搬送されて1対の第1の搬送ローラ107、108のニップ領域にまで搬送された状態を示している。
【0047】
図7は、原稿が図6に示した位置から更に搬送された状態を示したものである。原稿144の先端は1対の第1および第2の搬送ローラ107、108、112、113を経て原稿読取位置116に到達している。ここで原稿144の第1面についての画像の読み取りが開始される。この例では、原稿144の後端が原稿供給トレイ101上にまだ残っている。
【0048】
図8は、原稿が図7に示した位置から更に搬送された状態を示したものである。原稿144の先端は原稿検出センサ124の検知位置まで到達している。原稿144の後端は1対の給紙ローラ103、104をちょうど通過しようとしている。このとき、原稿読取位置116では原稿144の第1面の読み取りが順次行われている。
【0049】
図9は、原稿の第1面の読み取りが終了してその後端が両面読取モードで先端として装置本体内部に送り込まれた状態を示したものである。1対の排出・反転ローラ221、222は図5に示した回転方向と逆方向に回転しており、原稿144はこの間を矢印151方向に進行している。
【0050】
原稿144の先端が第1の搬送ローラ107、108を通過すると、このタイミングで前記した電磁クラッチがそのオン・オフ操作を反転させて、1対の排出・反転ローラ221、222は図5に示した回転方向に回転を開始しようとする。ところが1対の排出・反転ローラ221、222の駆動方向と第1の搬送ローラ107、108による原稿144の搬送方向は逆である。このため従動側の排出・反転ローラ221に負荷が掛かり前記したトルクリミッタが滑って回転軸224が空転を開始する。これ以後、原稿144は第1の搬送ローラ107、108に引っ張られる形で所定の緊張状態を保ちながら1対の排出・反転ローラ221、222と第1の搬送ローラ107、108の間を通過する。
【0051】
この状態で、原稿144の先端は1対の第1の搬送ローラ107、108から1対の第2の搬送ローラ112、113を経て原稿読取位置116に到達して、図9に示す状態となる。この時点で原稿144の第2面についての画像の読み取りが開始される。このとき原稿144はその第2面が原稿読取位置116と対向しており、第2面の読み取りが行われることになる。図9では比較的長い原稿144の後端はまだ1対の排出・反転ローラ221、222の手前にかなり残っている。
【0052】
図10は、原稿が図9に示した位置から更に搬送された状態を示したものである。原稿144の先端は1対の第3の搬送ローラ117、118を通過して原稿検出センサ124の箇所まで到達してる。この状態で原稿144の第2面についての画像の読み取りが行われている。原稿144の後端はまだ1対の排出・反転ローラ221、222の手前にわずかに残っている。この後、わずかな区間であるが原稿144の長さによっては図14に示したように1対の排出・反転ローラ221、222に原稿144が「二重」になって通過することになる。
【0053】
図11は、「二重」になって通過する原稿による1対の排出・反転ローラの挙動を説明するためのものである。図4と同一部分には同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。
【0054】
この図で実線で示した排出・反転ローラ221のローラ表面に接触するようにして右から左上に移動するように示した矢印231は、図10で排出トレイ側から両面原稿搬送装置200の装置本体内部に引き込まれている原稿144の進路を示したものである。原稿144の後端が1対の排出・反転ローラ221、222よりも排出トレイ側に残っており、途中の部分が図10における1対の第1の搬送ローラ107、108を通過しているときには、前記したようにこの間の原稿部分は緊張した状態で搬送される。
【0055】
このため、矢印231で示す原稿144の搬送状態が存在すると、従動側の排出・反転ローラ221は、図で矢印232で示すように図4における第2の線分228で示す方向と並行に移動し、駆動側の排出・反転ローラ222と離間するかローラ間の押圧力を弱める。この状態は、原稿144の後端が1対の排出・反転ローラ221、222を通過するまで継続する。
【0056】
一方、駆動側の排出・反転ローラ222の上部と接触するようにして、左下から右水平方向に移動するように示した矢印233は、図10で装置本体内部から排出トレイ側に排出しようとしている原稿144の先端部の進路を示したものである。原稿144の先端は、図10に示す1対の第3の搬送ローラ117、118によって後方から押し出されて図10に示すようにして原稿検出センサ124の箇所まで移動してきて、続いて1対の排出・反転ローラ221、222の間を通過しようとする。
【0057】
このとき、原稿144の長さが比較的短く、その後端がすでに1対の排出・反転ローラ221、222の間を通過し終わっていれば、両ローラは圧接している。このとき1対の排出・反転ローラ221、222は、図5に示したように原稿144を外部に排出する方向に回転している。したがって、原稿144の先端は、1対の排出・反転ローラ221、222のニップ領域でその両面がローラ表面と密着し、この状態で排出トレイの方向に排出する力を受けることになる。
【0058】
一方、原稿144の長さが比較的長く、図11に示すように2つの矢印231、233で示す「二重」になって通過する状態となっていると、従動側の排出・反転ローラ221は駆動側の排出・反転ローラ222と離間するかわずかな圧力で接触している。この状態で、駆動側の排出・反転ローラ222は1対の第3の搬送ローラ117、118の後押しもあって、矢印233で示すように原稿144を1対の排出・反転ローラ221、222の間を通過させて排出トレイ方向に移動させることができる。
【0059】
このように第2面の画像の読み取りが終了した原稿部分が1対の排出・反転ローラ221、222の間を通過して排出されている状態で、矢印231で示す上側の原稿部分の後端がこの1対の排出・反転ローラ221、222を通過し終えたとする。この時点から従動側の排出・反転ローラ221は矢印232で示す方向に持ち上げられる力を受けなくなり、押圧スプリング223の作用で駆動側の排出・反転ローラ222に圧接する力を受ける。これにより、矢印233で示す原稿144は、1対の第3の搬送ローラ117、118からの搬送力に頼ることなく、その後端まで装置本体外部に排出することができる。このようにして第2面の画像の読み取りが終了する。
【0060】
以上説明したように本実施の形態の両面原稿搬送装置200によれば、1対の排出・反転ローラ221、222の間の間隔を開けたりあるいは押圧力を減少させるための機構部品が必要ない。このため、これらの部品コストの削減効果を得ることができる。
【0061】
また、ソレノイド等の電気部品やその駆動のための駆動回路が不要となる。このため、両面原稿搬送装置200全体の温度や安全対策を従来よりも軽減することができる。
【0062】
更に、本実施の形態の両面原稿搬送装置200によれば、実装する部品が減少するので、装置の一層の小型化が可能になる。
【0063】
<発明の変形例>
【0064】
図12は、本発明の変形例における1対の排出・反転ローラの周辺の構成を原理的に表わしたものである。この変形例で図12に示した1対の排出・反転ローラ221A、222Aは、図3に示した実施の形態の両面原稿搬送装置200における1対の排出・反転ローラ221、222の代わりに配置されている。
【0065】
この図12で上側に配置された排出・反転ローラ221Aは従動側のローラであり、これに転接した下側の排出・反転ローラ222Aは駆動側のローラである。排出・反転ローラ221Aの回転軸224Aは軸受け241の円形の穴に嵌合している。
【0066】
1対の排出・反転ローラ221A、222Aの中心軸同士を結ぶ線分を第1の線分227Aとする。軸受け241は、図示しない不動部材に上端側を固定したレール部材242によってそのレール方向としての第2の線分228Aで示す方向に移動自在に取り付けられている。軸受け241は、その上側に配置された押圧スプリング223Aによって第2の線分228Aで示す下方向に押圧されている。
【0067】
この変形例で、第1の線分227Aと第2の線分228Aのなす角度δは、実施の形態の図4で第1の線分227と第2の線分228のなす角度θと同様に鋭角となっている。このため、この変形例でも1対の排出・反転ローラ221A、222Aの間を原稿144が「二重」になって通過すると、従動側の排出・反転ローラ221Aは上向きの力の変化と図示しない電磁クラッチの作用によって実施の形態と同様の挙動を示すことになる。その詳細な説明は省略する。
【0068】
なお、以上説明した実施の形態およびその変形例では、1対の排出・反転ローラ221、222(221A、222A)の上側に従動側の排出・反転ローラ221(221A)を配置したが、装置の部品構成によっては駆動側の排出・反転ローラ222(222A)を上側に配置してもよい。原稿を装置外に排出する方向によっては上下に配置しているこれらのローラを左右等の違う方向に配置してもよいことは当然である。
【0069】
更に本実施の形態では装置本体内に複数組の搬送ローラを配置したが、これらの総数は装置の設計内容に応じて適宜増減することができることは当然である。
【0070】
以上説明した実施の形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されるが、以下の記載に限定されるものではない。
【0071】
(付記1)
原稿としてのシート状部材の搬送を受け、特定の面に存在する画像を読み取る画像読取手段と、
この画像読取手段による画像の読み取りの終了した前記シート状部材が搬送されてきた状態で前記特定の面と転接してこのシート状部材を装置外に排出する方向としての第1の方向に送り出す駆動側排出ローラと、
この駆動側排出ローラと対向配置され、この駆動側排出ローラとの転接時にその回転方向と逆方向に回転する力を与えられる従動側排出ローラと、
この従動側排出ローラに予め定めた以上のトルクが掛かったときその回転軸に対する前記逆方向へ回転する力の伝達を制限するトルクリミッタと、
前記従動側排出ローラから見て前記第1の方向とは逆方向の第2の方向に従動側排出ローラから所定の距離だけ離れた位置に配置され、前記シート状部材が前記従動側排出ローラを経て搬送されてきたときこれを前記画像読取手段に近づく方向へ強制的に搬送する特定方向搬送手段と、
前記従動側排出ローラと前記駆動側排出ローラが互いに圧接する方向としての第3の方向に前記従動側排出ローラに所定の押圧力を常時付与する押圧力付与手段と、
この押圧力付与手段によって押圧力の付与された前記従動側排出ローラを、前記特定方向搬送手段によって搬送されている状態の前記シート状部材が前記従動側排出ローラの表面との接触によって及ぼす前記第3の方向と反対方向の力の成分の大きさに応じて、前記駆動側排出ローラに対して相対的に前記第3の方向と反対方向に移動可能に配置した移動調整手段
とを具備することを特徴とする両面原稿搬送装置。
【0072】
(付記2)
前記移動調整手段は、前記従動側排出ローラと前記駆動側排出ローラの位置関係を規制する部材上に穿たれ、これら従動側排出ローラと駆動側排出ローラの中心同士を結ぶ方向あるいはこれと近似する角度の方向を長手方向とし、その内部に前記従動側排出ローラの回転軸を往復動自在に配置した長穴であることを特徴とする付記1記載の両面原稿搬送装置。
【0073】
(付記3)
前記移動調整手段は、前記従動側排出ローラと前記駆動側排出ローラの位置関係を規制する部材として配置され、これら従動側排出ローラと駆動側排出ローラの中心同士を結ぶ方向あるいはこれと近似する角度の方向に向いたレールと、このレールに対して前記従動側排出ローラを摺動させる前記従動側排出ローラの軸受けとを備えることを特徴とする付記1記載の両面原稿搬送装置。
【0074】
(付記4)
前記特定方向搬送手段は一対の搬送ローラで構成され、前記駆動側排出ローラと前記従動側排出ローラの圧接する位置よりも上部に配置されていることを特徴とする付記1または付記2記載の両面原稿搬送装置。
【0075】
(付記5)
前記従動側排出ローラの表面は高摩擦係数の材料で構成されていることを特徴とする付記1記載の両面原稿搬送装置。
【0076】
(付記6)
前記特定方向搬送手段は前記原稿の第1面の読み取りの際の前記画像読取手段へのシート状部材の搬送と、前記駆動側排出ローラと前記従動側排出ローラを通過して搬送されてきた同一原稿の第2面の読み取りの際の前記画像読取手段へのシート状部材の搬送を兼用することを特徴とする付記1記載の両面原稿搬送装置。
【0077】
(付記7)
前記駆動側排出ローラと前記従動側排出ローラの中心軸を結ぶ第1の線分と、前記長穴の長手方向に沿った第2の線分のなす角度は鋭角であることを特徴とする付記2記載の両面原稿搬送装置。
【0078】
(付記8)
前記駆動側排出ローラと前記従動側排出ローラの中心軸を結ぶ第1の線分と、前記レールによる前記従動側排出ローラの軸受の摺動する方向に沿った第2の線分のなす角度は鋭角であることを特徴とする付記3記載の両面原稿搬送装置。
【0079】
(付記9)
前記第1の線分に対して前記第2の線分は前記特定方向搬送手段の位置する方向に傾斜していることを特徴とする付記7または付記8記載の両面原稿搬送装置。
【0080】
(付記10)
前記特定方向搬送手段の搬送速度は前記駆動側排出ローラの逆転時の搬送速度よりも速いことを特徴とする付記1記載の両面原稿搬送装置。
【0081】
(付記11)
原稿としてのシート状部材の搬送を受け、特定の面に存在する画像を読み取る画像読取ステップと、
この画像読取ステップによる画像の読み取りの終了した前記シート状部材を駆動ローラの正転によって装置外に排出する方向としての第1の方向に送り出す排出方向搬送ステップと、
この排出方向搬送ステップで前記シート状部材を第1の方向に送り出しているとき前記駆動ローラの手前の位置に配置したセンサで前記シート状部材の後端を検出する後端検出ステップと、
この後端検出ステップで前記シート状部材の後端を検出した時点で前記駆動ローラを反転させてこのシート状部材を装置内の別経路に戻すように搬送する逆送ステップと、
この逆送ステップで逆送される前記シート状部材を逆送時の搬送速度よりも速い速度で前記画像読取ステップで画像を読み取った箇所に向けて搬送を開始する両面読取用搬送ステップと、
この両面読取用搬送ステップで搬送する前記シート状部材が前記駆動ローラとこれに転接する従動ローラの間を通過している時間帯でこの従動ローラを前記駆動ローラに向けて押圧する押圧部材の押圧力に逆らい、前記シート状部材が前記従動ローラに及ぼす力の大きさに応じてこの従動ローラを移動させることでこの従動ローラと前記駆動ローラを離間させ、あるいはこれらの間の押圧力を減少させる移動ステップ
とを具備することを特徴とする両面原稿搬送装置の原稿搬送方法。
【0082】
(付記12)
前記移動ステップで前記従動ローラと前記駆動ローラを離間させ、あるいはこれらの間の押圧力を減少させるとき前記従動ローラの回転軸に掛かるトルクを制限するトルク制限ステップを具備することを特徴とする付記9記載の両面原稿搬送装置の原稿搬送方法。
【符号の説明】
【0083】
10、200 両面原稿搬送装置
11 画像読取手段
12 駆動側排出ローラ
13 従動側排出ローラ
14 トルクリミッタ
15 特定方向搬送手段
16 押圧力付与手段
17 移動調整手段
20 両面原稿搬送装置の原稿搬送方法
21 画像読取ステップ
22 排出方向搬送ステップ
23 後端検出ステップ
24 逆送ステップ
25 両面読取用搬送ステップ
26 移動ステップ
101 原稿供給トレイ
103、104 給紙ローラ
107、108 第1の搬送ローラ
116 原稿読取位置
124 原稿検出センサ
144 原稿
221 排出・反転ローラ(従動側)
222 排出・反転ローラ(駆動側)
223 押圧スプリング
224 (排出・反転ローラの)回転軸
225 軸受部材
226 長穴
227 第1の線分
228 第2の線分
231〜233 矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿としてのシート状部材の搬送を受け、特定の面に存在する画像を読み取る画像読取手段と、
この画像読取手段による画像の読み取りの終了した前記シート状部材が搬送されてきた状態で前記特定の面と転接してこのシート状部材を装置外に排出する方向としての第1の方向に送り出す駆動側排出ローラと、
この駆動側排出ローラと対向配置され、この駆動側排出ローラとの転接時にその回転方向と逆方向に回転する力を与えられる従動側排出ローラと、
この従動側排出ローラに予め定めた以上のトルクが掛かったときその回転軸に対する前記逆方向へ回転する力の伝達を制限するトルクリミッタと、
前記従動側排出ローラから見て前記第1の方向とは逆方向の第2の方向に従動側排出ローラから所定の距離だけ離れた位置に配置され、前記シート状部材が前記従動側排出ローラを経て搬送されてきたときこれを前記画像読取手段に近づく方向へ強制的に搬送する特定方向搬送手段と、
前記従動側排出ローラと前記駆動側排出ローラが互いに圧接する方向としての第3の方向に前記従動側排出ローラに所定の押圧力を常時付与する押圧力付与手段と、
この押圧力付与手段によって押圧力の付与された前記従動側排出ローラを、前記特定方向搬送手段によって搬送されている状態の前記シート状部材が前記従動側排出ローラの表面との接触によって及ぼす前記第3の方向と反対方向の力の成分の大きさに応じて、前記駆動側排出ローラに対して相対的に前記第3の方向と反対方向に移動可能に配置した移動調整手段
とを具備することを特徴とする両面原稿搬送装置。
【請求項2】
前記移動調整手段は、前記従動側排出ローラと前記駆動側排出ローラの位置関係を規制する部材上に穿たれ、これら従動側排出ローラと駆動側排出ローラの中心同士を結ぶ方向あるいはこれと近似する角度の方向を長手方向とし、その内部に前記従動側排出ローラの回転軸を往復動自在に配置した長穴であることを特徴とする請求項1記載の両面原稿搬送装置。
【請求項3】
前記移動調整手段は、前記従動側排出ローラと前記駆動側排出ローラの位置関係を規制する部材として配置され、これら従動側排出ローラと駆動側排出ローラの中心同士を結ぶ方向あるいはこれと近似する角度の方向に向いたレールと、このレールに対して前記従動側排出ローラを摺動させる前記従動側排出ローラの軸受けとを備えることを特徴とする請求項1記載の両面原稿搬送装置。
【請求項4】
前記特定方向搬送手段は一対の搬送ローラで構成され、前記駆動側排出ローラと前記従動側排出ローラの圧接する位置よりも上部に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の両面原稿搬送装置。
【請求項5】
前記従動側排出ローラの表面は高摩擦係数の材料で構成されていることを特徴とする請求項1記載の両面原稿搬送装置。
【請求項6】
前記駆動側排出ローラと前記従動側排出ローラの中心軸を結ぶ第1の線分と、前記長穴の長手方向に沿った第2の線分のなす角度は鋭角であることを特徴とする請求項2記載の両面原稿搬送装置。
【請求項7】
前記駆動側排出ローラと前記従動側排出ローラの中心軸を結ぶ第1の線分と、前記レールによる前記従動側排出ローラの軸受の摺動する方向に沿った第2の線分のなす角度は鋭角であることを特徴とする請求項3記載の両面原稿搬送装置。
【請求項8】
前記特定方向搬送手段の搬送速度は前記駆動側排出ローラの逆転時の搬送速度よりも速いことを特徴とする請求項1記載の両面原稿搬送装置。
【請求項9】
原稿としてのシート状部材の搬送を受け、特定の面に存在する画像を読み取る画像読取ステップと、
この画像読取ステップによる画像の読み取りの終了した前記シート状部材を駆動ローラの正転によって装置外に排出する方向としての第1の方向に送り出す排出方向搬送ステップと、
この排出方向搬送ステップで前記シート状部材を第1の方向に送り出しているとき前記駆動ローラの手前の位置に配置したセンサで前記シート状部材の後端を検出する後端検出ステップと、
この後端検出ステップで前記シート状部材の後端を検出した時点で前記駆動ローラを反転させてこのシート状部材を装置内の別経路に戻すように搬送する逆送ステップと、
この逆送ステップで逆送される前記シート状部材を逆送時の搬送速度よりも速い速度で前記画像読取ステップで画像を読み取った箇所に向けて搬送を開始する両面読取用搬送ステップと、
この両面読取用搬送ステップで搬送する前記シート状部材が前記駆動ローラとこれに転接する従動ローラの間を通過している時間帯でこの従動ローラを前記駆動ローラに向けて押圧する押圧部材の押圧力に逆らい、前記シート状部材が前記従動ローラに及ぼす力の大きさに応じてこの従動ローラを移動させることでこの従動ローラと前記駆動ローラを離間させ、あるいはこれらの間の押圧力を減少させる移動ステップ
とを具備することを特徴とする両面原稿搬送装置の原稿搬送方法。
【請求項10】
前記移動ステップで前記従動ローラと前記駆動ローラを離間させ、あるいはこれらの間の押圧力を減少させるとき前記従動ローラの回転軸に掛かるトルクを制限するトルク制限ステップを具備することを特徴とする請求項9記載の両面原稿搬送装置の原稿搬送方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2013−10575(P2013−10575A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142498(P2011−142498)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【出願人】(303013763)NECエンジニアリング株式会社 (651)
【Fターム(参考)】