説明

両面接着テープ

【課題】両面接着テープを厚くした際の被着体への貼付性と、細幅部分を有する両面接着テープを形成する際の加工性との両立を図ることができる技術を提供する。
【解決手段】両面接着テープ10は、非発泡性の熱可塑性フィルムで構成され、厚さが50μm以上である基材20と、基材20の両面に設けられたアクリル系粘着剤層30と、を備える。両面接着テープ10は、50%モジュラスが3.0〜40.0MPaである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面接着テープに関し、特に携帯電子機器の部材固定に用いられる両面接着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、PHS、デジタルカメラ、電子手帳、携帯音楽プレーヤー、携帯型ゲーム機、スマートフォン、タブレット型パソコン等の携帯電子機器においては、画像表示モジュールの表面に設けられる表示パネルやレンズと筐体との接合、LCD部材の接合など、各種部材やモジュールの接着固定に両面接着テープが使用されている。
【0003】
このような携帯電子機器の部材固定用の両面接着テープとして、例えば、特許文献1には、発泡性基材を用い、防水性に優れる両面粘着テープが開示されている。また、特許文献2には、基材にポリエチレンテレフタレート(PET)を用いた両面粘着テープが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−155969号公報
【特許文献2】特開2011−006608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、例えば携帯電話やスマートフォン等では画像表示領域がますます拡大しており、画像表示領域の拡大によって両面接着テープの貼り付け用スペースの狭小化が進んでいる。そのため、少なくとも一部に1mm以下程度の細幅部分を有する両面接着テープが求められている。これに対し、上述の発泡性基材を有する両面接着テープでは、両面接着テープの打ち抜き加工の際に発泡性基材が圧力により変形する。そのため、テープ幅が1mm以下となるよう打ち抜き加工する場合に十分な加工精度が得られず、両面接着テープを所望の形状とすることが困難であった。
【0006】
一方で、例えば厚さ100μm以上の厚手の両面接着テープへの需要がある。両面接着テープを厚くする方法としては、粘着剤層を厚くする方法と基材を厚くする方法とが考えられるが、粘着剤層を厚くした場合は乾燥効率や生産性の低下を招くおそれがある。そのため、厚手の両面接着テープを得るためには、基材を厚くすることが望ましい。これに対し、上述のPET基材を有する両面接着テープでは、基材を厚くすると両面接着テープの剛性が過大となり、両面接着テープを被着体表面に追従させることが困難であった。例えば、被着体の表面が曲面形状である場合、浮きや剥がれなく両面接着テープを被着体表面に密着させることは困難である。
【0007】
すなわち、発泡性基材は、基材の厚層化によるテープ剛性の増大を回避できるため両面接着テープを厚くした際の被着体への貼付性に優れるが、細幅部分を有する両面接着テープを形成する際の加工性が低かった。一方、PET基材は、打ち抜き加工時の圧力による変形が小さいため細幅部分を有する両面接着テープを形成する際の加工性に優れるが、両面接着テープを厚くした際の被着体への貼付性が低かった。
【0008】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、両面接着テープを厚くした際の被着体への貼付性と、細幅部分を有する両面接着テープを形成する際の加工性との両立を図ることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある態様は、両面接着テープである。当該両面接着テープは、非発泡性の熱可塑性フィルムで構成され、厚さが50μm以上である基材と、基材の両面に設けられたアクリル系粘着剤層と、を備え、50%モジュラスが3.0〜40.0MPaであることを特徴とする。
【0010】
この態様の両面接着テープによれば、両面接着テープを厚くした際の被着体への貼付性と、細幅部分を有する両面接着テープを形成する際の加工性との両立を図ることができる。
【0011】
上記態様の両面接着テープにおいて、基材の両面に設けられたアクリル系粘着剤層の厚さの合計が、5〜200μmであってもよい。また、基材およびアクリル系粘着剤層の厚さの合計が100μm以上であってもよい。
【0012】
また、上記態様の両面接着テープにおいて、熱可塑性フィルムは、軟質ポリオレフィン系樹脂、軟質ウレタン系樹脂、軟質アクリル系樹脂、軟質ポリエステル系樹脂および軟質塩化ビニル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1つの樹脂を含有してもよい。また、基材は、ハロゲンを実質的に含有しなくてもよい。上記態様の両面接着テープは、携帯電子機器の部材固定に用いられてもよい。
【0013】
また、上記態様の両面接着テープにおいて、基材は、黒色であってもよい。この場合、両面接着テープは、可視光透過率が15%以下であってもよい。
【0014】
また、上記態様の両面接着テープにおいて、基材は、白色であってもよい。この場合、両面接着テープは、可視光反射率が20%以上であってもよい。
【0015】
なお、上述した各要素を適宜組み合わせたものも、本件特許出願によって特許による保護を求める発明の範囲に含まれうる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、両面接着テープを厚くした際の被着体への貼付性と、細幅部分を有する両面接着テープを形成する際の加工性との両立を図ることができる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態に係る両面接着テープの構成を示す概略断面図である。
【図2】図2(A)は、ループ反発性試験の方法を示す概略図である。図2(B)は、図2(A)中の破線で囲まれた領域Aの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0019】
図1は、実施の形態に係る両面接着テープの構成を示す概略断面図である。図1に示すように、本実施の形態に係る両面接着テープ10は、基材20と、基材の両面に設けられたアクリル系粘着剤層30とを備える。両面接着テープ10は、携帯電子機器の部材固定に好適に用いられる。以下に、両面接着テープ10を構成する各部について詳細に説明する。
【0020】
(基材)
基材20は、非発泡性の熱可塑性フィルムで構成されたシート状基材である。基材20を非発泡性の熱可塑性フィルムで構成することで、例えば幅1mm以下の細幅部分を有するか、あるいは全体が幅1mm以下の両面接着テープを形成する際の加工性を確保することができる。
【0021】
基材20を構成する熱可塑性フィルムは、軟質ポリオレフィン系樹脂、軟質ウレタン系樹脂、軟質アクリル系樹脂、ポリブチレンテレフタレート等の軟質ポリエステル系樹脂および軟質塩化ビニル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1つの樹脂を含有することが好ましい。基材20を構成する熱可塑性フィルムに上述の軟質樹脂を含有させることで、両面接着テープ10の50%モジュラスを、3.0〜40.0MPaの範囲内に調整しやすくなる。例えば、基材20としては、軟質ポリオレフィン系樹脂で構成される軟質ポリオレフィン系樹脂シート、軟質ウレタン系樹脂で構成される軟質ウレタン系樹脂シート、軟質アクリル系樹脂で構成される軟質アクリル系樹脂シート、軟質ポリエステル系樹脂で構成される軟質ポリエステル系樹脂シート(軟質ポリエステルフィルム)、または軟質塩化ビニル系樹脂で構成される軟質塩化ビニル系樹脂シートを挙げることができる。
【0022】
基材20を構成する熱可塑性フィルムの具体例としては、EMMA(エチレンとメチルメタクリレートの共重合体)樹脂、あるいはEVA(エチレンと酢酸ビニルの共重合体)樹脂を主原料とするオレフィン系樹脂シート;低密度ポリエチレン、αオレフィン成分を含む直鎖状低密度ポリエチレン等の1種以上を用いてなるポリエチレン系樹脂シート;プロピレン系ポリマー(単独系、ブロック系、ランダム系)、ゴム成分とリアクターブレンドされたプロピレン系ポリマー、エチレン・プロピレン共重合体、プロピレン・αオレフィン共重合体、エチレン・プロピレン・αオレフィン共重合体などのオレフィン系ポリマー等の1種以上を用いてなるポリオレフィン系樹脂シート;塩化ビニル系樹脂シートなどが挙げられる。なお、基材20は、これらの樹脂シートを構成する樹脂の2種類以上を混合して形成したものであってもよい。
【0023】
ポリオレフィン系樹脂シートがポリエチレン系樹脂を含有する場合、ポリオレフィン系樹脂シートにおけるポリエチレン系樹脂の含有量は、好ましくは30質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上であり、更に好ましくは70質量%以上である。ポリエチレン系樹脂の含有量が30質量%未満であると、被着体等との投錨力が低下し、強粘着化した場合や経時にて粘着力が上昇した場合に糊残りが発生しやすくなる。また、樹脂層(支持体)は樹脂を延伸したものであっても無延伸のものでもよい。
【0024】
携帯電子機器の部材に使用される材料は、ハロゲン物質を含まないことが要求されることが多い。そのため、基材20は、ハロゲンを実質的に含有しないことが好ましい。したがって、基材20としては、軟質ポリオレフィン系樹脂シート、または軟質ウレタン系樹脂シートが好ましく、軟質ポリオレフィン系樹脂シートがより好ましい。
【0025】
基材20は、アクリル系粘着剤層30との密着性を高めるために、その表面にコロナ処理や、プライマー塗布による加工を施されることが好ましい。また、基材20は、厚さが50μm(0.050mm)以上であり、好ましくは100μm以上である。また、基材20の厚さは、好ましくは1200μm以下である。基材20の厚さを50μm以上とすることで、厚手の両面接着テープ10を形成する際のアクリル系粘着剤層30の厚さの増大を抑制することができるため、両面接着テープ製造時の乾燥効率や生産性の低下を回避することができる。
【0026】
基材20は、黒色に着色することができる。基材20を黒色にすることで、両面接着テープ10を遮光用途に用いることができる。この場合、基材20は、L表色系で規定されるL(明度)が35以下(0〜35)であることが好ましく、30以下(0〜30)であることがより好ましい。なお、L表色系で規定されるaおよびbは、それぞれLの値に応じて適宜選択することができる。aおよびbとしては、例えば、両方とも−10〜10の範囲であることが好ましく、−5〜5の範囲であることがより好ましく、−2.5〜2.5の範囲であることが更に好ましく、両方とも0であることが最も好ましい。
【0027】
なお、本実施の形態において、L表色系で規定されるL、a、bは、例えば色彩色差計(コニカミノルタ社製、装置名「CR−200」)を用いて測定することができる。なお、L表色系は、国際照明委員会(CIE)が1976年に推奨した色空間であり、CIE1976(L)表色系と称される色空間のことを意味している。また、L表色系は、日本工業規格では、JIS Z 8729に規定されている。
【0028】
基材20の黒色化に用いられる黒色着色剤としては、例えばカーボンブラック(ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなど)、グラファイト、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、ペリレンブラック、チタンブラック、シアニンブラック、活性炭、フェライト(非磁性フェライト、磁性フェライトなど)、マグネタイト、酸化クロム、酸化鉄、二硫化モリブデン、クロム錯体、複合酸化物系黒色色素、アントラキノン系有機黒色色素などを挙げることができる。これらの中でも、コスト、入手性の観点から、カーボンブラックが好ましい。
【0029】
黒色着色剤の使用量は、特に制限されず、本実施の形態の両面接着テープ10において所望の光学特性が得られるような量が用いられる。基材20の着色処理は、基材20を構成する熱可塑性フィルムに充填剤、顔料など含有させて着色する手法を用いてもよいし、熱可塑性フィルムの表面に黒色印刷をする手法を用いてもよい。
【0030】
両面接着テープ10を遮光用途に用いる場合、両面接着テープ10の可視光透過率は、15%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、5%以下が更に好ましく、1%以下がまた更に好ましく、0.1%以下が最も好ましい。ここで、可視光透過率とは、波長550nmにおける光透過率を意味する。可視光透過率を15%以下とすることで、両面接着テープ10に良好な隠蔽性を付与することができる。
【0031】
また、基材20は、白色に着色することができる。基材20を白色にすることで、両面接着テープ10を光反射用途に用いることができる。この場合、基材20は、L表色系で規定されるL(明度)が87以上(87〜100)であることが好ましく、87以上(87〜100)であることがより好ましい。なお、L表色系で規定されるaおよびbは、それぞれLの値に応じて適宜選択することができる。aおよびbとしては、例えば、両方とも−10〜10の範囲であることが好ましく、−5〜5の範囲であることがより好ましく、−2.5〜2.5の範囲であることが更に好ましく、特に両方とも0であることが最も好ましい。
【0032】
基材20の白色化に用いられる白色着色剤としては、例えば酸化チタン(ルチル型二酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタンなどの二酸化チタン)、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化スズ、酸化バリウム、酸化セシウム,酸化イットリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウムなど)、炭酸バリウム、炭酸亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、亜鉛華、硫化亜鉛、タルク、シリカ、アルミナ、クレー、カオリン、燐酸チタン、マイカ、石膏、ホワイトカーボン、珪藻土、ベントナイト、リトポン、ゼオライト、セリサイト、加水ハロイサイト等の無機系白色着色剤や、アクリル系樹脂粒子、ポリスチレン系樹脂粒子、ポリウレタン系樹脂粒子、アミド系樹脂粒子、ポリカーボネート系樹脂粒子、シリコーン系樹脂粒子、尿素−ホルマリン系樹脂粒子、メラミン系樹脂粒子等の有機系白色着色剤などを挙げることができる。
【0033】
白色着色剤の使用量は、特に制限されず、本実施の形態の両面接着テープ10において所望の光学特性が得られるような量が用いられる。基材20の着色処理は、基材20を構成する熱可塑性フィルムに充填剤、顔料など含有させて着色する手法を用いてもよいし、熱可塑性フィルムの表面に白色印刷をする手法を用いてもよい。
【0034】
両面接着テープ10を光反射用途に用いる場合、両面接着テープ10の可視光反射率は、20%以上が好ましく、40%以上がより好ましく、60%以上が更に好ましい。ここで、可視光反射率とは、波長550nmにおける光反射率を意味する。光反射率を20%以上とすることで、良好な光反射性を得ることができる。
【0035】
基材20は、一方の主表面を黒色とし、他方の主表面を白色とすることができる。このような基材20は、例えば黒色の基材20の他方の主表面に白色印刷処理を施すことで、もしくは白色の基材20の一方の主表面に黒色印刷処理を施すことで作製することができる。または、透明の基材20の一方の主表面に黒色印刷処理を施し、他方の主表面に白色印刷処理を施すことで作製することができる。
【0036】
(アクリル系粘着剤層)
アクリル系粘着剤層30を構成するアクリル系粘着剤組成物は、いずれの形態を有していてもよく、例えば、エマルジョン型粘着剤、溶剤型粘着剤、無溶剤型粘着剤(UV硬化型粘着剤)、熱溶融型粘着剤(ホットメルト型粘着剤)などを使用することができる。
【0037】
アクリル系粘着剤層30を構成するアクリル系粘着剤組成物としては、特に限定されないが、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを必須の単量体成分(単量体主成分)とし、必要に応じてこの単量体成分と共重合可能な共重合性単量体を重合したアクリル系ポリマーをベースポリマーとする組成物を用いることができる。共重合性単量体としては、例えば後述する極性基含有単量体や多官能性単量体等が挙げられる。重合方法としては、特に限定されず、UV重合法、溶液重合法、エマルジョン重合法等の従来公知の手法を用いることができる。なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとは、アクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルを意味し、「(メタ)・・・」は全て同様の意味である。
【0038】
上記アクリル系ポリマーの単量体主成分として用いられる(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、例えば直鎖状または分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどの(メタ)アクリル酸C1−20アルキルエステル、好ましくは(メタ)アクリル酸C2−14アルキルエステル、更に好ましくは(メタ)アクリル酸C2−10アルキルエステル等が挙げられる。
【0039】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合は、例えば、アクリル系ポリマーを調製するためのモノマー成分全量に対して好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。
【0040】
上記アルキル系ポリマーは、モノマー成分として、極性基含有単量体や多官能性単量体などの各種共重合性単量体を含有してもよい。モノマー成分として共重合性単量体を用いることにより、例えば、被着体への接着力を向上させたり、粘着剤の凝集力を高めたりすることができる。なお、共重合性単量体は、単独で、または2種以上組み合わせて使用することができる。
【0041】
極性基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体またはその無水物(無水マレイン酸など);(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなどの水酸基含有単量体;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのグリシジル基含有単量体;アクリロニトリルやメタアクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;N−ビニル−2−ピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリンの他、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール等の複素環含有ビニル系単量体;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有単量体;2−ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェートなどのリン酸基含有単量体;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有単量体;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有単量体などが挙げられる。
【0042】
極性基含有単量体としては、アクリル酸等のカルボキシル基含有単量体またはその無水物が好適に用いられる。極性基含有単量体の使用量は、アクリル系ポリマーを形成するためのモノマー成分全量に対して好ましくは1〜30質量%であり、より好ましくは1〜15質量%である。極性基含有単量体の使用量をアクリル系ポリマーを形成するためのモノマー成分全量に対して30質量%以下とすることで、アクリル系粘着剤組成物の凝集力が過大となることを回避して、アクリル系粘着剤層30の粘着性の低下を抑制することができる。また、極性基含有単量体の使用量をアクリル系ポリマーを形成するためのモノマー成分全量に対して1質量%以上とすることで、アクリル系粘着剤組成物の凝集力が過小となることを回避して、アクリル系粘着剤層30に良好なせん断力を付与することができる。
【0043】
多官能性単量体としては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。
【0044】
多官能性単量体の使用量は、アクリル系ポリマーを調製するためのモノマー成分全量に対して2質量%以下であることが好ましい。例えば、多官能性単量体の使用量は、アクリル系ポリマーを調製するためのモノマー成分全量に対して0.01〜2質量%であり、好ましくは0.02〜1質量%である。多官能性単量体の使用量をアクリル系ポリマーを調製するためのモノマー成分全量に対して2質量%以下とすることで、アクリル系粘着剤組成物の凝集力が過大となることを回避して、アクリル系粘着剤層30の粘着性の低下を抑制することができる。また、多官能性単量体の使用量をアクリル系ポリマーを調製するためのモノマー成分全量に対して0.01質量%以上とすることで、アクリル系粘着剤組成物の凝集力の低下を抑制することができる。
【0045】
また、共重合性単量体としては、上記極性基含有単量体および多官能性単量体以外に、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の、環式アルコールの(メタ)アクリル酸エステル;その他、(メタ)アクリロニトリル、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニル−2−ピロリドン等のエチレン性不飽和単量体;エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレンなどのオレフィンまたはジエン類;ビニルアルキルエーテルなどのビニルエーテル類等を用いることができる。
【0046】
アクリル系粘着剤組成物には、用途に応じて添加剤が含まれてもよい。このような添加剤としては、例えば、架橋剤(例えばポリイソシアネート系架橋剤、シリコーン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン系架橋剤など)、粘着付与剤(例えばロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂等からなる常温で固体、半固体、あるいは液状のもの)、可塑剤、充填剤、老化防止剤、酸化防止剤、着色剤(カーボンブラック等の顔料や染料など)等が挙げられる。
【0047】
アクリル系粘着剤層30を構成するアクリル系粘着剤組成物は、上記ベースポリマーと目的に応じて添加する各種添加剤等とを、公知の手法を用いて混合することで調製することができる。アクリル系粘着剤層30の形成方法は、特に制限されないが、例えば、後述する剥離ライナーや基材20に、アクリル系粘着剤組成物を塗布して形成する方法が挙げられる。この形成方法では、必要に応じて加熱や乾燥等を行ってもよい。
【0048】
基材20の両面に設けられたアクリル系粘着剤層30の厚さの合計は、好ましくは5〜200μmであり、より好ましくは10〜170μmであり、更に好ましくは10〜150μmであり、最も好ましくは20〜100μmである。アクリル系粘着剤層30の合計の厚さを5μm以上とすることで、アクリル系粘着剤層30の粘着特性を確保することができ、200μm以下とすることでアクリル系粘着剤層30の乾燥効率や両面接着テープ10の生産性、あるいは両面接着テープ10の加工性の低下を抑制することができる。なお、2つのアクリル系粘着剤層30の厚さは、同一であっても異なってもよい。各アクリル系粘着剤層30の厚さは、特に限定されないが、例えば2.5〜100μmであり、好ましくは10〜80μm、より好ましくは15〜70μmである。また、各アクリル系粘着剤層30は、単層、多層のいずれの形態であってもよい。
【0049】
(両面接着テープ)
両面接着テープ10は、基材20およびアクリル系粘着剤層30の厚さの合計(総厚)が100μm(0.100mm)以上であることが好ましく、150μm以上であることがより好ましい。また、両面接着テープ10の総厚の上限は、特に限定されないが、例えば1.2mm以下とすることができる。また、両面接着テープ10の総厚の上限は、1mm以下であることが好ましく、800μm以下であることがより好ましく、250μm以下であることが更に好ましい。
【0050】
また、両面接着テープ10は、50%モジュラスが3.0〜40.0MPaであり、好ましくは5.0〜30.0MPaであり、より好ましくは10.0〜20.0MPaである。両面接着テープ10の50%モジュラスを3.0MPa以上とすることで、両面接着テープ10の曲げ強度が過小となることを回避することができ、これにより両面接着テープ10の作業性の低下を抑制することができる。また、両面接着テープ10の50%モジュラスを40.0MPa以下とすることで、テープとしての剛性が過大となることを回避することができ、これにより被着体の曲面部分に両面接着テープ10を貼り付けた場合等に生じうる、テープの反発力に起因した両面接着テープ10の浮きや剥がれ等の不具合を抑制することができる。
【0051】
両面接着テープ10は、使用前の状態、すなわち被着体に接着される前の状態で、アクリル系粘着剤層30の表面に剥離性シート状基材である剥離ライナー(セパレータ)が設けられてもよい。両面接着テープ10は、2枚の剥離ライナーにより両主表面が保護されてもよいし、両面が剥離面となっている1枚の剥離ライナーにより、ロール状に巻回される形態で両主表面が保護されていてもよい。すなわち、両面接着テープ10は、剥離ライナー/アクリル系粘着剤層30/基材20/アクリル系粘着剤層30/剥離ライナーの形態をとる、いわゆるダブルセパレータタイプであってもよいし、アクリル系粘着剤層30/基材20/アクリル系粘着剤層30/剥離ライナーの形態をとる、いわゆるシングルセパレータタイプであってもよい。
【0052】
剥離ライナーは、アクリル系粘着剤層30の保護材として用いられ、両面接着テープ10を被着体に貼り付ける際に剥がされる。剥離ライナーとしては、例えば、グラシン紙、クラフト紙、クレーコート紙、ポリエチレン等のフィルムをラミネートした紙、ポリビニルアルコールやアクリル酸エステル共重合体等の樹脂を塗布した紙、ポリエステルやポリプロピレン等の合成樹脂フィルム等に剥離剤であるフッ素樹脂やシリコーン樹脂等を塗布してなるものを挙げることができる。なお、剥離ライナーは必ずしも設けられなくてもよい。
【0053】
なお、両面接着テープ10のアクリル系粘着剤層30上に剥離ライナーを積層する場合、作業性の向上のために、両面接着テープ10の両面に積層される2枚の剥離ライナーは、それぞれ剥離力が異なるものを選択することが好ましい。例えば、先に剥がされる剥離ライナーは、後に剥がされる剥離ライナーよりも剥離力が小さいことが好ましい。
【0054】
両面接着テープ10は、種々の方法で製造することができる。例えば、基材20の一方の主表面にアクリル系粘着剤組成物を塗布し、乾燥させ、形成されたアクリル系粘着剤層30の主表面に剥離ライナーを貼り付ける。この作業を基材20の他方の主表面についても繰り返すことで、両面接着テープ10を形成することができる。
【0055】
あるいは、剥離ライナーの剥離処理が施された面にアクリル系粘着剤組成物を塗布し、乾燥させ、形成されたアクリル系粘着剤層30の主表面に基材20を貼り付けて、剥離ライナー/アクリル系粘着剤層30/基材20の形態を有する積層体Aを形成する。また、別の剥離ライナーの剥離処理が施された面にアクリル系粘着剤組成物を塗布し、乾燥させ、剥離ライナー/アクリル系粘着剤層30の形態を有する積層体Bを形成する。そして、積層体Bのアクリル系粘着剤層30を積層体Aの基材20に向けて、積層体Aと積層体Bとを重ねることで両面接着テープ10を形成することができる。
【0056】
アクリル系粘着剤組成物を基材20あるいは剥離ライナーに塗布する際に用いる塗布装置は、通常使用されるものであり特に限定されないが、例えば、ロールナイフコーター、ダイコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、ディッピング、ブレードコーター等を挙げることができる。また、塗布したアクリル系粘着剤組成物の乾燥条件は、乾燥時にアクリル系粘着剤組成物の溶剤や残留モノマーが除去され、かつ、アクリル系共重合体が有する官能基と架橋剤とが反応して架橋構造が形成され得る条件であればよい。アクリル系粘着剤組成物の乾燥条件としては、例えば60〜120℃、1〜5分程度が好ましい。なお、アクリル系粘着剤組成物の乾燥後、剥離ライナーと基材20とでアクリル系粘着剤層30を挟んだ状態でアクリル系粘着剤層30を熟成させて、架橋反応を更に進行させることもできる。
【0057】
本実施の形態の両面接着テープ10は、ロール状、枚葉状等を含む種々の形状に加工することができる。また、両面接着テープ10は、携帯電話、PHS、デジタルカメラ、電子手帳、携帯音楽プレーヤー、携帯型ゲーム機、スマートフォン、タブレット型パソコン等の携帯電子機器の部材固定、具体的には、例えば、液晶表示素子等の表示素子を保護する保護レンズの固定、カメラレンズの固定、筐体同士の固定、筐体とシート状テンキーとの固定、筐体とタッチパネル入力装置との固定、または筐体と装飾用シートとの固定、その他各種部材やモジュールの固定等に好適に用いることができる。
【0058】
以上説明したように、本実施の形態に係る両面接着テープ10は、非発泡性の熱可塑性フィルムで構成され、厚さが50μm以上である基材20と、基材20の両面に設けられたアクリル系粘着剤層30とを備える。そして、両面接着テープ10は、50%モジュラスが3.0〜40.0MPaである。これにより、両面接着テープを厚くした際の被着体への貼付性と、細幅部分を有する両面接着テープを形成する際の加工性との両立を図ることができる。特に、本実施の形態に係る両面接着テープ10は、0.100mm以上の厚さを有する厚手の両面接着テープとした場合であっても、加工性と貼付性との両立が可能である。そのため、携帯電子機器の部材固定に好適に採用することができる。また、基材に非発泡性の材料を用いているため、発泡性材料を用いた場合に比べてコストを低減することができる。
【実施例】
【0059】
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0060】
(アクリル系共重合体の調製)
撹拌機、還流冷却器、温度計、滴下装置および窒素導入管を備えた反応容器に、アクリル酸2.9質量部、酢酸ビニル5質量部、アクリル酸ブチル92質量部、ヒドロキシエチルアクリレート0.1質量部、および重合溶媒として酢酸エチル30質量部、トルエン120質量部を投入し、窒素ガスを導入しながら2時間攪拌した。窒素置換により重合系内の酸素を除去した後、AIBN(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)0.2質量部を加え、60℃に昇温して6時間重合反応を行った。得られたアクリル系共重合体の固形分は40.0質量%、重量平均分子量は50万であった。
【0061】
(アクリル系粘着剤組成物の調製)
得られたアクリル系共重合体100g、ロジン樹脂(荒川化学工業社製、商品名「ペンセルD−125」、固形分100質量%)4g、ロジン樹脂(荒川化学工業社製、商品名「スーパーエステルA−100」、固形分100質量%)4g、ロジン樹脂(イーストマンケミカル社製、商品名「フォーラリン8020F」、固形分100質量%)2g、およびテルペンフェノール樹脂(荒川化学工業社製、商品名「タマノル803L」、固形分100質量%)6gを添加し、樹脂が溶解するまで十分撹拌した。次いで、この溶液に架橋剤として芳香族ポリイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製、商品名「コロネートL」、固形分75質量%)1.1gを添加して十分撹拌した。以上の工程により、溶剤型のアクリル系粘着剤組成物を得た。
【0062】
(実施例1)
厚さ135μmの紙セパレータ(住化加工紙社製、商品名「SLB−80WD」)の内側シリコン処理面に、乾燥塗膜厚さが25μmになるようにアクリル系粘着剤組成物を塗布し、100℃で2分間乾燥させた。そして、得られたアクリル系粘着剤層と、両面コロナ処理を施した厚さ100μmの低密度ポリエチレンからなるフィルム基材(低密度ポリエチレン(東ソー社製、商品名「ペトロセン186R」)をインフレーション成形法により共押出しすることで作製)とを貼り合わせ、紙セパレータ、アクリル系粘着剤層および基材が積層された積層体aを得た。
【0063】
次いで、厚さ135μmの紙セパレータ(住化加工紙社製、商品名「SLB−80WD」)の外面シリコン処理面に、乾燥塗膜厚さが25μmになるようにアクリル系粘着剤組成物を塗布し、100℃で2分間乾燥させて、アクリル系粘着剤層および紙セパレータが積層された積層体bを得た。そして、積層体aの基材面に積層体bのアクリル系粘着剤層面を向けて両者を貼り合わせ、総厚150μmの両面接着テープを作製した。実施例1の両面接着テープは、透明のテープである。
【0064】
(実施例2)
基材として、両面コロナ処理を施した厚さ150μmの低密度ポリエチレンからなるフィルム基材(低密度ポリエチレン(東ソー社製、商品名「ペトロセン225」)をインフレーション成形法により共押出しすることで作製)を用いた点以外は実施例1と同様にして、総厚200μmの両面接着テープを作製した。実施例2の両面接着テープは、透明のテープである。
【0065】
(実施例3)
基材として、両面コロナ処理を施した厚さ180μmの低密度ポリエチレンからなるフィルム基材(低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、商品名「ノバテックLD LF440HB」)をインフレーション成形法により共押出しすることで作製)を用い、乾燥塗膜厚さが35μmになるように各アクリル系粘着剤層を形成した点以外は実施例1と同様にして、総厚250μmの両面接着テープを作製した。実施例3の両面接着テープは、透明のテープである。
【0066】
(実施例4)
基材として、両面コロナ処理を施した厚さ100μmの黒色の低密度ポリエチレンからなるフィルム基材(低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、商品名「ノバテックLD LF440HB」)100質量部にカーボンブラック(東海カーボン社製、商品名「トーカブラック#8500/F」)20質量部を添加し、インフレーション成形法により共押出しすることで作製)を用いた点以外は実施例1と同様にして、総厚150μmの両面接着テープを作製した。実施例4の両面接着テープは、黒色のテープである。
【0067】
(実施例5)
基材として、両面コロナ処理を施した厚さ100μmの白色の低密度ポリエチレンからなるフィルム基材(低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、商品名「ノバテックLD LF440HB」)100質量部に酸化チタン(堺化学工業社製、商品名「R−21」)30質量部を添加し、インフレーション成形法により共押出しすることで作製)を用いた点以外は実施例1と同様にして、総厚150μmの両面接着テープを作製した。実施例5の両面接着テープは、白色のテープである。
【0068】
(比較例1)
基材として、厚さ100μmのポリエステルからなるフィルム基材(東レ社製、商品名「ルミラー#100S1N」)を用いた点以外は実施例1と同様にして、総厚150μmの両面接着テープを作製した。
【0069】
(比較例2)
基材として、厚さ125μmのポリエステルからなるフィルム基材(東レ社製、商品名「ルミラー#125 E20」)を用いた点以外は実施例1と同様にして、総厚175μmの両面接着テープを作製した。
【0070】
(比較例3)
基材として、厚さ188μmのポリエステルからなるフィルム基材(東レ社製、商品名「ルミラー#188 E20」)を用い、乾燥塗膜厚さが31μmになるように各アクリル系粘着剤層を形成した点以外は実施例1と同様にして、総厚250μmの両面接着テープを作製した。
【0071】
(比較例4)
基材として、厚さ200μmのポリエチレンフォーム基材(積水化学工業社製、商品名「ボラーラXL−H #05002ショリクロ」)を用いた点以外は実施例1と同様にして、総厚250μmの両面接着テープを作製した。
【0072】
各実施例および各比較例の両面接着テープを、50℃雰囲気下で24時間経時させた後、以下の評価試験を行った。
【0073】
(厚さの測定)
各実施例および各比較例の両面接着テープについて、1/1000ダイヤルゲージを用いて厚さを計測した。結果を表1に示す。
【0074】
(50%モジュラスの測定)
JIS Z 0237(1991.6)に準拠して、50%モジュラスを測定した。すなわち、両面接着テープを幅10mm、長さ150mmのサイズにカットして試料片を作製した。そして、試験長を100mmとし、温度23℃、相対湿度50%の測定環境下で引張試験機(島津製作所社製、装置名「テンシロン」)を用いて、引張速度300mm/分で150mmまで引き伸ばし、その時の断面積当たりの強度(N/mm,MPa)を50%モジュラスとした。なお、測定機の能力を超える強度の場合は、測定幅を変えても測定値への影響がないため、試験片の幅を5mm、3mmと細くして測定を行う。
【0075】
(粘着力試験)
各実施例および各比較例の両面接着テープの一方の剥離ライナーを剥がし、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに貼り付けて裏打ちした。この裏打ちされた両面接着テープを幅20mm、長さ100mmのサイズにカットして試料片を作製した。試料片の他方の剥離ライナーを剥がし、試験片を被着体としてのSUS304BA板に貼り合わせ、2kgのローラーを1往復させる方法で両者を圧着した。圧着後、JIS Z 0237(2005)に準拠して、温度23℃、相対湿度50%の測定環境下で20分間放置後、引張試験機(島津製作所社製、装置名「テンシロン」)を使用して、引張速度300mm/分、引張角度180°の条件で粘着力(N/20mm)を測定した。結果を表1に示す。
【0076】
(ループ反発性試験)
図2(A)および図2(B)を参照しながら、ループ反発性試験について説明する。図2(A)は、ループ反発性試験の方法を示す概略図である。図2(B)は、図2(A)中の破線で囲まれた領域Aの拡大図である。
【0077】
まず、各実施例および各比較例の両面接着テープを幅10mm、長さ50mmのサイズにカットして試料片100を作製した。次に、試料片100の一方の剥離ライナーを剥がし、試料片100の一方の端部100bを、被着体としてのポリカーボネート樹脂板200の一方の主表面200bに貼り合わせ、2kgのローラーを1往復させる方法で両者を圧着した。試料片100を貼り合わせる範囲は、ポリカーボネート樹脂板200の一方の主表面200bと試料片100のループ側(ループについては後述する)の側面200cとが接する角部200eから20mmの範囲とした。
【0078】
また、試料片100を、剥離ライナーを剥がした面が内側となるようにループ状に曲げ、試料片100の他方の端部100aを、ポリカーボネート樹脂板200の他方の主表面200aに貼り合わせ、2kgのローラーを1往復させる方法で両者を圧着した。試料片100を貼り合わせる範囲は、ポリカーボネート樹脂板200の他方の主表面200aと側面200cとが接する角部200dから2mmの範囲とした。このとき、ループ状に曲げた試料片100の糊面同士が接着しないように、ポリカーボネート樹脂板に接着させない糊面にベビーパウダーを付着させる処理を行った。試料片100の貼り付け後、試料片100の他方の剥離ライナーを剥がした。
【0079】
上記方法で作製した評価サンプルについて、両面接着テープを貼り合わせた直後(初期状態)の浮き距離をデジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、商品名「VH−500」)で観察した。その後、試料片100の粘着面が接触しないようにして、温度23℃、相対湿度50%の環境下に72時間放置し、続いて評価サンプルを70℃のオーブンに2時間放置した後、再び浮き距離をデジタルマイクロスコープで観察した。その後、初期状態の浮き距離と70℃で2時間放置した後の浮き距離との差(浮き距離差)を計測した。
【0080】
なお、「浮き距離」とは、ポリカーボネート樹脂板200の角部200dから、当該角部200dを通る、主表面200aに対して垂直な直線Lと試料片100の主表面との交点100dまでの距離である。結果を表1に示す。なお、表1における「×」は、試料片100の端部100aがポリカーボネート樹脂板200から完全に剥離したことを示す。
【0081】
(打ち抜き加工誤差の測定)
各実施例および各比較例の両面接着テープについて、40mm×60mmで線幅0.5mmの窓枠状の抜き型を用いて打ち抜き加工を行った。得られた加工テープの線幅をデジタルマイクロスコープを用いて計測し、最小幅または最大幅の箇所のうち線幅0.5mmとの差が大きい方について、下記計算式を用いて打ち抜き加工の誤差(%)を計算した。結果を表1に示す。
誤差(%)=[(0.5−最小幅)または(最大幅−0.5)/0.5×100]
【0082】
【表1】

【0083】
表1に示すように、ポリエステル基材を用いた比較例1〜3では、50%モジュラスが40.0MPaを上回り、そのため浮き距離差が大きかった。すなわち、被着体への貼付性が不良であった。ポリエチレンフォーム基材を用いた比較例4は、50%モジュラスが3.0MPaを下回り、浮き距離差が小さく、被着体への貼付性は良好であったが、打ち抜き加工誤差が大きく加工性が不良であった。これに対し、実施例1〜5の両面接着テープは、50%モジュラスが3.0〜40.0MPaの範囲内にあり、浮き距離差も打ち抜き加工誤差も小さかった。すなわち、被着体への貼付性および加工性がともに良好であった。このことから、実施例1〜5の両面接着テープでは、両面接着テープを厚くした際の被着体への貼付性と、細幅部分を有する両面接着テープを形成する際の加工性との両立を図ることができることを確認できた。
【符号の説明】
【0084】
10 両面接着テープ、 20 基材、 30 アクリル系粘着剤層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非発泡性の熱可塑性フィルムで構成され、厚さが50μm以上である基材と、
前記基材の両面に設けられたアクリル系粘着剤層と、
を備え、
50%モジュラスが3.0〜40.0MPaであることを特徴とする両面接着テープ。
【請求項2】
前記基材の両面に設けられた前記アクリル系粘着剤層の厚さの合計が、5〜200μmである請求項1に記載の両面接着テープ。
【請求項3】
前記基材および前記アクリル系粘着剤層の厚さの合計が100μm以上である請求項1または2に記載の両面接着テープ。
【請求項4】
前記熱可塑性フィルムは、軟質ポリオレフィン系樹脂、軟質ウレタン系樹脂、軟質アクリル系樹脂、軟質ポリエステル系樹脂および軟質塩化ビニル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1つの樹脂を含有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の両面接着テープ。
【請求項5】
前記基材は、ハロゲンを実質的に含有しない請求項1乃至4のいずれか1項に記載の両面接着テープ。
【請求項6】
携帯電子機器の部材固定に用いられる請求項1乃至5のいずれか1項に記載の両面接着テープ。
【請求項7】
前記基材は、黒色である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の両面接着テープ。
【請求項8】
可視光透過率が15%以下である請求項7記載の両面接着テープ。
【請求項9】
前記基材は、白色である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の両面接着テープ。
【請求項10】
可視光反射率が20%以上である請求項9記載の両面接着テープ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−100465(P2013−100465A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−206900(P2012−206900)
【出願日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】