説明

両面粘着テープ

【課題】本発明の目的は、剥離ライナーを有したままの状態で被着体(光学部材等)に貼り付けられ、該剥離ライナー越しに被着体の外観検査を行った場合にも、検査性が良好な両面粘着テープを提供することにある。さらに、本発明の他の目的は、光学部材の貼り合わせや、粘着型光学部材を製造する際に好適に使用できる光学部材用両面粘着テープを提供することにある。
【解決手段】本発明の両面粘着テープは、ヘーズが5.0%以下の剥離ライナーを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部材等に使用される両面粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な分野で、液晶ディスプレイ(LCD)などの表示装置や、タッチパネルなどの前記表示装置と組み合わせて用いられる入力装置が広く用いられるようになってきた。これらの表示装置や入力装置の製造等においては、光学部材を貼り合わせる用途に透明な粘着テープが使用されている。例えば、タッチパネルと各種表示装置や光学部材(保護板等)の貼り合わせには、透明な両面粘着テープが使用されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
上記の両面粘着テープを介して二つの部材を貼り合わせる際には、まず、両面粘着テープの両粘着面に設けられた二枚の剥離ライナー(セパレータ)のうち片側の剥離ライナーが剥がされ、一方の部材に貼り付けられる。次に、残された剥離ライナーが剥がされ、ここに他方の部材が貼り付けられる方法が一般的である。従来は、このようにして二つの部材が貼り合わされた段階で出荷されるのが通例であり、出荷時の外観検査の際には両面粘着テープに設けられた剥離ライナーは既に取り除かれていたため、使用される剥離ライナーについては特に制約がなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−238915号公報
【特許文献2】特開2003−342542号公報
【特許文献3】特開2004−231723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年、光学部材の用途や製造工程によっては、両面粘着テープが一方の部材に貼り付けられた段階で出荷される場合が増えてきた。かかる場合、部材に貼付された両面粘着テープの一方の粘着面には剥離ライナーが設けられたままの状態で、部材の外観検査が実施される。その際、剥離ライナーを通して部材の外観検査を行わなければならないため、剥離ライナー上の傷や汚れ、その他の要因によって、部材の外観検査が阻害されてしまうという問題が生じてきている。これに対して、剥離ライナーを有したままの状態で被着体の外観検査が行われた場合であっても、このような検査に悪影響(部材の欠陥の見落とし等)を及ぼすことのない両面粘着テープが求められているのが現状である。
【0006】
従って、本発明の目的は、剥離ライナーを有したままの状態で被着体の外観検査が行われた場合であっても、被着体(光学部材等)の外観検査を阻害せず、検査性が良好な両面粘着テープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ヘーズが5.0%以下の剥離ライナーを有する両面粘着テープとすることにより、前記剥離ライナーを有したままの状態で被着体の外観検査が行われた場合であっても、被着体の外観検査を阻害することのない両面粘着テープが得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、ヘーズが5.0%以下の剥離ライナーAを有することを特徴とする粘着テープを提供する。
【0009】
さらに、光学部材用粘着テープである前記の粘着テープを提供する。
【0010】
さらに、前記剥離ライナーAの180°剥離試験における剥離力が1.0N/50mm以下である前記の粘着テープを提供する。
【0011】
さらに、前記剥離ライナーAの厚さが25〜200μmである前記の粘着テープを提供する。
【0012】
さらに、180°剥離試験における剥離力が0.03N/50mm以上である剥離ライナーBを有する前記の粘着テープを提供する。
【0013】
さらに、前記剥離ライナーAの180°剥離試験における剥離力と、剥離ライナーBの180°剥離試験における剥離力との差[(剥離ライナーAの剥離力)−(剥離ライナーBの剥離力)]が、0.05〜0.90N/50mmである前記の粘着テープを提供する。
【0014】
さらに、下記で定義される全面厚さムラが0.030μm以下である粘着剤層を有する前記の粘着テープを提供する。
粘着剤層の全面厚さムラ : レーザー干渉計にて得られた干渉縞をフリンジスキャン法(縞走査法)にて粘着剤層厚さhiに変換し、30mmφの範囲において得られたhiから下記式(1)により計算した値
【数1】

(iは1〜Nの整数であり、Nはサンプリング数である。)
【0015】
さらに、前記粘着剤層が、アルキル基の炭素数が1〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステル及び芳香族環含有(メタ)アクリル酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも1つのモノマー成分から構成されたアクリル系ポリマーを含む粘着剤組成物から形成された粘着剤層であって、前記粘着剤層の、酢酸エチル抽出における可溶分(ゾル分)の重量平均分子量が5万〜50万である請求項7に記載の粘着テープを提供する。
【0016】
さらに、前記の粘着テープの片面に、光学部材を貼着した光学製品を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の両面粘着テープは、前記構成を有しているので、前記剥離ライナーを有したままの状態で被着体の外観検査が行われた場合であっても、被着体の外観検査を阻害することがない。従って、光学部材を貼り合わせる用途等に好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0019】
本発明の両面粘着テープは、光学部材を貼り合わせる用途等に好適に使用される両面粘着テープである。
【0020】
本発明の両面粘着テープは、ヘーズが5.0%以下の剥離ライナー(「剥離ライナーA」と称する場合がある)を有することを特徴とする両面粘着テープである。本発明の両面粘着テープは、両側の表面が粘着面(粘着剤層表面)となっている粘着体(両面粘着体)の少なくとも一方の粘着面が、上記剥離ライナーAにより保護された構造を有している。なお、本発明においては、「両面粘着テープ」という場合には、原則的には「剥離ライナー」を含んだものを指すこととし、「両面粘着テープから剥離ライナーを剥離した残りの部分」を「粘着体」と称する場合がある。また、粘着体の粘着剤層表面を「粘着面」と称する場合がある。本発明において「両面粘着テープ」という場合には、シート状のもの、即ち、「両面粘着シート」も含むものとする。
【0021】
本発明の両面粘着テープは、例えば、粘着体の両側の粘着面上にそれぞれ剥離ライナーが設けられた形態のいわゆるダブルセパレータタイプの両面粘着テープであってもよいし、粘着体の一方の粘着面上に剥離ライナーが設けられ、これを巻回することによって、粘着体の他方の粘着面も前記剥離ライナーにより保護されるシングルセパレータタイプの両面粘着テープであってもよい。
【0022】
本発明の両面粘着テープがダブルセパレータタイプの両面粘着テープである場合、粘着体の一方の粘着面には剥離ライナーAが設けられ、他方の粘着面にも剥離ライナー(「剥離ライナーB」と称する場合がある)が設けられる。すなわち、両面粘着テープは、「剥離ライナーA/粘着体/剥離ライナーB」の構成を有する。本発明の両面粘着テープがダブルセパレータタイプである場合の剥離ライナーA及び剥離ライナーBは、それぞれ一方のみの表面が剥離層(剥離処理層)となっている剥離ライナーであることが好ましい。また、剥離ライナーは、剥離層が粘着面と接触するようにして設けられる。なお、上記剥離ライナー(剥離ライナーA及び剥離ライナーB)の両表面のうち、粘着体と接する側とは反対側の表面のことを、剥離ライナーの「背面」と称する場合がある。
【0023】
また、本発明の両面粘着テープがダブルセパレータタイプの両面粘着テープである場合、通常、剥離ライナーBの方が先に使用(貼付)される粘着面(「1面側」ともいう)に対して用いられ、剥離ライナーAの方が後に使用(貼付)される粘着面(「2面側」ともいう)に対して用いられる。従って、本発明の両面粘着テープにおいては、通常、剥離ライナーAは粘着体から剥離するのにより大きな力(剥離力)を要する「重剥離側」の剥離ライナーとして、剥離ライナーBはより小さな力(剥離力)で剥離が可能な「軽剥離側」の剥離ライナーとして使用される。
【0024】
本発明の両面粘着テープがシングルセパレータタイプの両面粘着テープである場合、粘着体の一方の粘着面に剥離ライナーAが設けられ、これを巻回することによって粘着体の他方の粘着面も該剥離ライナーAによって保護される。すなわち、両面粘着テープは、粘着体の両粘着面が一枚の剥離ライナーAにより保護された構造を有する。本発明の両面粘着テープがシングルセパレータタイプである場合には、剥離ライナーAの表面はどちらも剥離層(剥離処理層)となっていることが好ましい。また、前記剥離ライナーAの両剥離層のうち、巻回することによって粘着面と接触する側の剥離層のことを、特に「背面剥離層」と称する場合がある。通常、剥離ライナーAの背面剥離層側の方が、両面粘着テープの「1面側」に対して用いられる。
【0025】
[剥離ライナーA]
本発明の両面粘着テープにおける剥離ライナーAのヘーズは、5.0%以下であり、好ましくは3.0%以下、より好ましくは1.5%以下である。また、剥離ライナーAのヘーズの下限値については、特に制限されず、0%であることが好ましいが、製造上0.3%以上となることが一般的である。
【0026】
剥離ライナーAのヘーズが5.0%を超えると、該剥離ライナーを有する両面粘着テープが貼付された被着体(光学部材等)の外観検査において、該剥離ライナーの透明性が不足しているために、被着体の傷や汚れ等の欠陥を見落とす等の悪影響が生じる。本発明の両面粘着テープにおける剥離ライナーAのヘーズは5.0%以下であるため、例えば、貼付された両面粘着テープが剥離ライナーAを有したままで被着体(光学部材等)の外観検査が行われた場合であっても、該剥離ライナーAは透明性に優れるため、被着体の欠陥等の見落とし等がなく、検査性に優れる。さらに、剥離ライナーAのヘーズが3.0%以下であると、より透明性に優れているために、より薄い傷や汚れ等の欠陥の検出が可能になる。
【0027】
前記剥離ライナーAの可視光波長領域における全光線透過率は、上記検査性の観点から、85.0%以上(例えば、85.0〜92.0%)であることが好ましく、より好ましくは88.0%以上(例えば、88.0〜92.0%)である。
【0028】
上記剥離ライナーAのヘーズ及び全光線透過率は、JIS K 7361に準じる方法にて測定することが可能である。例えば、ヘーズメータ(村上色彩技術研究所製、商品名「HM−150」)を用いて測定することができる。なお、ヘーズは下記の式により算出することができる。
ヘーズ(%)= 拡散光線透過率/全光線透過率 × 100
【0029】
本発明の両面粘着テープにおける剥離ライナーAのヘーズを制御するための因子としては、剥離ライナーAを構成する剥離ライナー基材のヘーズを下げること、剥離処理を低ヘーズとすることなどが挙げられる。
【0030】
上記剥離ライナーAには、上記ヘーズを満たせば特に制限されないが、例えば、剥離ライナー基材の少なくとも一方の表面に剥離層を有する剥離ライナー、フッ素系ポリマーからなる低接着性の剥離ライナー、無極性ポリマーからなる低接着性の剥離ライナーなどを用いることができる。上記フッ素系ポリマーとしては、特に制限はされないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体などを用いることができる。また、上記無極性ポリマーとしては、特に制限はされないが、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂などを用いることができる。中でも、透明性やコストの観点から、剥離ライナー基材の少なくとも一方の表面に剥離層を有する剥離ライナーを使用することが好ましい。
【0031】
上記剥離ライナー基材としては、特に制限されないが、プラスチックフィルム等が挙げられる。このようなプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);酢酸ビニル系樹脂;ポリカーボネート(PC);ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などから構成されるプラスチックフィルムを使用することができる。中でも、透明性、加工性、入手性、コスト等の観点からポリエステル系樹脂から形成されるプラスチックフィルムが好ましく、さらに好ましくはPETフィルムである。
【0032】
上記剥離ライナー基材のヘーズについては、特に制限されないが、5.0%以下であることが好ましく、より好ましくは3.0%以下、特に好ましくは1.5%以下である。上記剥離ライナー基材のヘーズの下限値については、特に制限されず、0%であることが好ましいが、製造上0.3%以上となることが一般的である。剥離ライナー基材のヘーズが5.0%を超えると、該剥離ライナー基材より構成される剥離ライナーのヘーズを5.0%以下に制御できないため、該剥離ライナーを有した両面粘着テープ越しに被着体の外観検査を行うと、被着体の傷や汚れ等の欠陥を見落とす場合がある。
【0033】
上記剥離ライナー基材の可視光波長領域における全光線透過率は、検査性の観点から、85.0%以上(例えば、85.0〜92.0%)であることが好ましく、より好ましくは88.0%以上(例えば、88.0〜92.0%)である。
【0034】
上記剥離層を構成する剥離処理剤としては、特に制限はされないが、例えば、シリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤、硫化モリブデンなどの剥離処理剤を用いることができ、中でも、剥離コントロールの観点からは、シリコーン系剥離処理剤を使用するのが好ましい。上記剥離処理剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、上記剥離層は単層であってもよいし、本発明の特性を損なわない範囲においては、2層以上が積層された積層構造であってもよい。
【0035】
上記の中でも、本発明の両面粘着テープにおける剥離ライナーAの好ましい具体的構成の一例としては、PETフィルムを剥離ライナー基材として用い、該剥離ライナー基材の少なくとも一方の表面に、シリコーン系剥離処理剤による剥離層が設けられた構成を挙げることができる。
【0036】
本発明の両面粘着テープにおける剥離ライナーAは、公知慣用の方法により製造することができる。また、本発明の両面粘着テープにおける剥離ライナーAは、本発明の効果を損なわない範囲で、他の層(例えば、中間層、下塗り層など)を有していてもよい。
【0037】
上記剥離ライナーAの厚さは、特に制限されないが、例えば、25〜200μmが好ましく、より好ましくは25〜150μm、さらに好ましくは25〜125μmである。上記剥離ライナーAの厚さが200μmを超えると、剥離ライナーAのヘーズを上記範囲に制御できない場合があったり、剥離ライナーAが高価になってコスト面で不利となる場合がある。さらに、両面粘着テープの重量が重くなる場合がある。上記剥離ライナーAの厚さが25μm未満であると、貼り合わせ作業における両面粘着テープのハンドリング性が悪くなる場合がある。さらに、両面粘着テープに打痕(打ち抜き加工時の傷)がつきやすくなる場合がある。
【0038】
本発明の両面粘着テープにおいて、粘着体に対する剥離ライナーAの180°剥離試験における剥離力としては、1.0N/50mm以下(例えば、0.03〜1.0N/50mm)が好ましく、より好ましくは0.6N/50mm以下(例えば、0.03〜0.6N/50mm)である。粘着体に対する剥離ライナーAの180°剥離試験における剥離力が、1.0N/50mmを超える場合には、粘着体から剥離ライナーAを剥離する際に不具合が生じる場合がある。なお、本発明において、「剥離力」とは、JIS Z 0237に準拠した180°剥離試験によって測定される、粘着体に対する剥離ライナーの180°引き剥がし粘着力を意味する。
【0039】
上記剥離力を制御するための因子としては、剥離処理剤の種類、剥離処理剤の塗布量、剥離ライナーの厚さなどが挙げられる。
【0040】
上記剥離ライナーAの背面は、耐スクラッチ性に優れていることが好ましい。耐スクラッチ性とは、擦りに対する傷の入りにくさを表す指標の一つである。剥離ライナーAの背面の耐スクラッチ性は、下記の耐スクラッチ性評価試験による判定において、○であることが好ましい。剥離ライナーAの背面の耐スクラッチ性が不良(下記判定において×である場合)には、剥離ライナーAの背面に傷などがつきやすく、これらが被着体の外観検査において欠陥の見落とし等の阻害要因となる場合がある。剥離ライナーAの背面の耐スクラッチ性は、例えば、以下の方法により評価することができる。
(耐スクラッチ性評価試験)
ラビングテスター(大平理化工業(株)製)を用いて、剥離ライナーAの背面を、250gfの荷重をかけた10円玉で往復10回(ストローク幅:100mm、速度:1往復/1秒)こすった後、剥離ライナーAの背面を目視で観察し、傷が全く観測されない場合を耐スクラッチ性良好(○)、傷が観測された場合を耐スクラッチ性不良(×)として評価した。
【0041】
[剥離ライナーB]
本発明の両面粘着テープがダブルセパレータタイプである場合には、粘着体の一方の粘着面には上記の剥離ライナーAが設けられ、他方の粘着面には剥離ライナーBが設けられる。剥離ライナーBとしては、公知慣用の剥離ライナー等を使用することができ、特に制限されないが、例えば、剥離ライナー基材の少なくとも一方の表面に剥離層を有する剥離ライナー、フッ素系ポリマーからなる低接着性の剥離ライナー、無極性ポリマーからなる低接着性の剥離ライナーなどを用いることができる。剥離ライナー基材の少なくとも一方の表面に剥離層を有する剥離ライナーとしては、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離処理剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙類が挙げられる。また、上記のフッ素系ポリマーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体等が挙げられる。また、上記無極性ポリマーとしては、例えば、オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)等が挙げられる。
【0042】
本発明の両面粘着テープにおける上記剥離ライナーBは、公知慣用の方法により製造することができる。また、本発明の両面粘着テープにおける上記剥離ライナーBは、本発明の効果を損なわない範囲で、他の層(例えば、中間層、下塗り層など)を有していてもよい。
【0043】
本発明の両面粘着テープにおける剥離ライナーBの、ヘーズ及び可視光波長領域における全光線透過率は、特に制限されない。
【0044】
上記の剥離ライナーBの厚さは、特に制限されないが、例えば、25〜200μmが好ましく、より好ましくは25〜150μm、さらに好ましくは25〜75μmである。剥離ライナーBの厚さが200μmを超えると、剥離ライナーが高価になってコスト面で不利となったり、テープ重量が重くなる場合がある。また、剥離ライナーBの厚さが25μm未満であると、貼り合わせ作業における両面粘着テープのハンドリング性が悪くなったり、打痕がつきやすくなる場合がある。
【0045】
本発明の両面粘着テープにおける、粘着体に対する剥離ライナーBの180°剥離試験における剥離力は、0.03N/50mm以上(例えば、0.03〜0.3N/50mm)が好ましく、より好ましくは0.05N/50mm以上(例えば、0.05〜0.3N/50mm)である。粘着体に対する剥離ライナーBの剥離力が0.03N/50mm未満である場合には、剥離ライナーBが浮いてしまう不具合が生じる場合がある。
【0046】
さらに、本発明の両面粘着テープがダブルセパレータタイプである場合、粘着体に対する剥離ライナーAの180°剥離試験における剥離力と、粘着体に対する剥離ライナーBの180°剥離試験における剥離力との差(剥離力差)[(剥離ライナーAの剥離力)−(剥離ライナーBの剥離力)]は、0.05〜0.90N/50mmが好ましく、より好ましくは0.05〜0.60N/50mmである。上記剥離力差が0.05N/50mm未満であると、剥離作業性が低下したり、泣き別れが起こる場合がある。一方、上記剥離力差が0.90N/50mmを超えると、剥離ライナーAの剥離力が大きすぎ、剥離ライナーAを剥がす際に不具合が生じる場合がある。本発明の両面粘着テープにおける剥離力差は上記の範囲を満足するため、例えば、剥離ライナーの選択剥離性に優れ、部材の貼り合わせ作業性が向上する。
【0047】
本発明の両面粘着テープがシングルセパレータタイプである場合、粘着体に対する剥離ライナーAの剥離層表面の180°剥離試験における剥離力と、粘着体に対する剥離ライナーAの背面剥離層表面の180°剥離試験における剥離力との差(剥離力差)[(剥離ライナーAの剥離層表面の剥離力)−(剥離ライナーAの背面剥離層表面の剥離力)]は、0.05〜0.90N/50mmが好ましく、より好ましくは0.05〜0.60N/50mmである。上記剥離力差が0.05N/50mm未満である場合には、剥離作業性が低下したり、泣き別れが起こる場合がある。一方、上記剥離力差が0.90N/50mmを超える場合には、剥離ライナーAの剥離層側の剥離力が大きすぎ、剥離ライナーAを粘着体から剥がす際に不具合が生じる場合がある。本発明の両面粘着テープにおける剥離力差は上記の範囲を満足するため、例えば、選択剥離性に優れ、部材の貼り合わせ作業性が向上する。
【0048】
上記の剥離力及び剥離力差を制御するための因子としては、剥離処理剤の種類、剥離処理剤の塗布量、剥離ライナーの厚さなどが挙げられる。
【0049】
[粘着体]
本発明の両面粘着テープにおける粘着体は、粘着剤層を少なくとも一層有する。上記粘着体は、基材(基材層)を有しない、いわゆる「基材レスタイプの粘着体」であってもよいし、基材(基材層)を有する「基材を有するタイプの粘着体」であってもよい。上記の基材レスタイプの粘着体としては、例えば、粘着剤層のみからなる粘着体が挙げられる。基材を有するタイプの粘着体としては、基材の両面側に粘着剤層を有する粘着体(「粘着剤層/基材/粘着剤層」の構成)が挙げられる。中でも、両面粘着テープの薄膜化、透明性などの光学特性の向上の観点からは、基材レスタイプの粘着体、特に粘着剤層のみからなる基材レスタイプの粘着体であることが好ましい。なお、上記の「基材(基材層)」には、両面粘着テープの使用時(貼付時)に剥離される剥離ライナー(セパレータ)は含まない。
【0050】
上記粘着体のヘーズは、特に制限されないが、1.5%以下であることが好ましく、より好ましくは1.0%以下である。また、上記粘着体のヘーズの下限値については、特に制限されず、0%であることが好ましいが、製造上及び測定方法から0.4%となることが一般的である。上記粘着体のヘーズが1.5%を超える場合には、貼付した製品(例えば、光学製品等)の透明性が不十分である場合がある。
【0051】
また、上記粘着体の可視光波長領域における全光線透過率は90.0%以上であることが好ましく、より好ましくは91.0%以上、さらに好ましくは92.0%以上である。上記粘着体のヘーズ及び全光線透過率は、JIS K 7361に準じる方法にて測定することが可能である。例えば、スライドガラス(例えば、全光線透過率91.8%、ヘーズ値0.4%のもの)に上記粘着体を貼り合わせ、ヘーズメータ(村上色彩技術研究所製、商品名「HM−150」)を用いて測定することができる。
【0052】
(粘着剤層)
上記粘着体を形成する粘着剤層としては、粘着テープや粘着シートに一般的に用いられる公知慣用の粘着剤層を用いることができ、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤、エポキシ系粘着剤などの公知慣用の粘着剤から形成される粘着剤層を挙げることができる。これらの粘着剤は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、粘着剤は、いずれの形態を有する粘着剤であってもよく、例えば、エマルジョン型粘着剤、溶剤型粘着剤、熱溶融型粘着剤(ホットメルト型粘着剤)、活性エネルギー線硬化型粘着剤(例えば、紫外線硬化型粘着剤等)などが使用できる。
【0053】
上記粘着剤層を形成するための粘着剤としては、上記の中でも、透明性などの光学物性向上等の観点から、アクリル系粘着剤が好ましい。即ち、本発明の両面粘着テープにおける粘着体を形成する粘着剤層は、アクリル系粘着剤層であることが好ましい。上記アクリル系粘着剤層は、アクリル系ポリマーを必須成分として含む粘着剤組成物(アクリル系粘着剤組成物)から形成された粘着剤層(アクリル系粘着剤層)であることが好ましい。なお、上記粘着剤組成物には、アクリル系ポリマーに加えて、必要に応じて、その他の成分(添加剤)などが含まれていてもよい。なお、上記粘着剤組成物中のアクリル系ポリマーの含有量は、特に制限されないが、粘着剤組成物の固形分(100重量%)に対して、65重量%以上(例えば、65〜100重量%)であることが好ましく、より好ましくは70〜99.999重量%である。
【0054】
上記アクリル系ポリマーは、アルキル基の炭素数が1〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(「(メタ)アクリル酸C1-12アルキルエステル」と称する場合がある)、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステル及び芳香族環含有(メタ)アクリル酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも1つのモノマー成分を、主たるモノマー成分(モノマー主成分)として構成される重合体であることが好ましい。なお、上記の「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び/又は「メタクリル」を意味し、他も同様である。
【0055】
また、上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分には、さらに、上記の主たるモノマー成分以外の極性基含有単量体、多官能性単量体やその他の共重合性単量体が共重合性モノマー成分として含まれていてもよい。上記共重合性モノマー成分を用いることにより、たとえば、被着体への接着力を向上させたり、粘着剤層の凝集力を高めたりすることができる。上記共重合性モノマー成分は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0056】
上記の(メタ)アクリル酸C1-12アルキルエステルは、炭素数が1〜12である直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシルなどが挙げられる。中でも、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチルが好ましく、特に、アクリル酸n−ブチル(BA)、アクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)、が好ましい。また、上記(メタ)アクリル酸C1-12アルキルエステルは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0057】
上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸4−エトキシブチルなどが挙げられる。中でも、アクリル酸アルコキシアルキルエステルが好ましく、特に、アクリル酸2−メトキシエチル(2MEA)が好ましい。上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0058】
上記脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、分子内に脂肪族環構造を有する(メタ)アクリル酸エステルであれば、特に制限されないが、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等を挙げることができる。中でも、共重合性の観点で、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニルが好ましい。上記脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。なお、上記「脂肪族環」とは、脂肪族炭化水素により形成された環状構造(脂環)を意味する。
【0059】
上記芳香族環含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、分子内に芳香族環構造を有する(メタ)アクリル酸エステルであれば、特に制限されないが、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル等を挙げることができる。中でも、入手性の観点で、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸ベンジルが好ましい。上記芳香族環含有(メタ)アクリル酸エステルは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。なお、上記「芳香族環」には、芳香族性複素環は含まない。
【0060】
アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分(モノマー成分全量)(100重量%)に対する、上記のモノマー主成分[(メタ)アクリル酸C1-12アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステル及び芳香族環含有(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選ばれた少なくとも1つのモノマー成分]の含有量は、モノマー主成分として用いられるので、50重量%以上が好ましく、より好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは75重量%以上である。なお、上記のモノマー主成分の全モノマー成分に対する含有量の上限としては、特に限定されないが、99.5重量%以下が好ましく、より好ましくは99重量%以下である。なお、モノマー主成分として、(メタ)アクリル酸C1-12アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステル及び芳香族環含有(メタ)アクリル酸エステルからなる群から、2つ以上のモノマー成分が使用されている場合は、これら含有量の合計量(合計含有量)が上記の範囲を満たせばよい。
【0061】
上記の極性基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体又はその無水物(無水マレイン酸など);(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、ビニルアルコール、アリルアルコールなどのヒドロキシル基(水酸基)含有単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのエポキシ基含有単量体;アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;N−ビニル−2−ピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリンの他、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール等の複素環含有ビニル系単量体;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有単量体;2−ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェートなどのリン酸基含有単量体;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有単量体;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有単量体などが挙げられる。極性基含有単量体としては、上記の中でも、カルボキシル基含有単量体又はその酸無水物、ヒドロキシル基含有単量体、アミド基含有単量体が好ましく、特に好ましくはアクリル酸(AA)、アクリル酸4−ヒドロキシブチル(4HBA)、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(2HEA)である。なお、上記の極性基含有単量体は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0062】
上記の極性基含有単量体の含有量は、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量%)に対して、25重量%以下(例えば、0.01〜25重量%)が好ましく、より好ましくは0.5〜20重量%である。含有量が25重量%を超えると、例えば、粘着剤層の凝集力が高くなりすぎ接着力が低下する場合や、極性基は架橋点になるため架橋が密になりすぎる場合がある。また、含有量が0.01重量%未満で少なすぎると、粘着剤層の接着性が低下する場合や架橋反応が極端に遅くなる場合がある。
【0063】
上記の多官能性単量体としては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。
【0064】
上記の多官能性単量体の含有量は、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量%)に対して、1.0重量%以下(例えば、0〜1.0重量%)であり、好ましくは、0〜0.5重量%である。含有量が1.0重量%を超えると、粘着剤層の凝集力が高くなりすぎ、粘着剤層の粘着性が低下する場合がある。
【0065】
また、上記の極性基含有単量体や多官能性単量体以外の共重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどのアルキル基の炭素数が13〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物(上記の「芳香族環含有(メタ)アクリル酸エステル」は除く);エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレンなどのオレフィン又はジエン類;ビニルアルキルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニルなどが挙げられる。
【0066】
上記のアクリル系ポリマーは、上記のモノマー成分を公知慣用の重合方法により重合して調製することができる。アクリル系ポリマーの重合方法としては、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合法や活性エネルギー線照射による重合方法(活性エネルギー線重合方法)などが挙げられるが、透明性、耐水性、コストなどの点で、溶液重合方法、活性エネルギー線重合方法が好ましい。
【0067】
上記の溶液重合に際しては、各種の一般的な溶剤を用いることができる。このような溶剤としては、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類などの有機溶剤が挙げられる。溶剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0068】
上記のアクリル系ポリマーの重合に際して用いられる重合開始剤などは、特に限定されず、公知乃至慣用のものの中から適宜選択して使用することができる。より具体的には、重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン等の過酸化物系重合開始剤などの油溶性重合開始剤が好ましく例示される。重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。重合開始剤の使用量は、通常の使用量であればよく、例えば、アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分100重量部に対して0.01〜1重量部程度の範囲から選択することができる。
【0069】
上記のアクリル系ポリマーの重量平均分子量は、50万〜120万が好ましく、より好ましくは60万〜100万、さらに好ましくは60万〜90万である。本発明においては、粘着剤層を形成する際に用いる粘着剤組成物(溶液)の固形分濃度を高くし、乾燥時の粘着剤組成物の塗布層(即ち、溶剤を含む層)の膜厚を薄くすることで、乾燥時の塗布層内での対流を抑制すると、後述の粘着剤層の全面厚さムラを低減しやすくなるため好ましい。アクリル系ポリマーの重量平均分子量が高くなると、重量平均分子量が低い場合と比べて、同じ固形分濃度における粘着剤組成物(溶液)の粘度が高くなる。このため、アクリル系ポリマーの重量平均分子量が120万を超えていると、塗工性の観点から粘着剤組成物(溶液)の固形分濃度を高くできず、後述の粘着剤層の全面厚さムラが大きくなる場合がある。一方、重量平均分子量が50万未満である場合、ゾル分の重量平均分子量が低下し、粘着剤層の耐久性が悪化する場合がある。
【0070】
なお、本発明では、アクリル系ポリマー、後述のアクリル系オリゴマーや粘着剤層のゾル分の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定することができる。より具体的には、GPC測定装置として、商品名「HLC−8120GPC」(東ソー株式会社製)を用いて、ポリスチレン換算値により、次のGPCの測定条件で測定して求めることができる。
GPCの測定条件
サンプル濃度:0.2重量%(テトラヒドロフラン溶液)
サンプル注入量:10μl
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流量(流速):0.6mL/min
カラム温度(測定温度):40℃
カラム:商品名「TSKgelSuperHM−H/H4000/H3000/H2000」(東ソー株式会社製)
検出器:示差屈折計(RI)
【0071】
上記アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、重合開始剤の種類やその使用量、重合の際の温度や時間の他、モノマー濃度、モノマー滴下速度などによりコントロールすることができる。
【0072】
上記アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、本発明の両面粘着テープに良好な粘着性を発現させる観点から、−20℃以下(例えば、−70〜−20℃)が好ましく、より好ましくは、−25℃以下である。上記アクリル系ポリマーのガラス転移温度は、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分の種類や含有量などによって制御することができる。
【0073】
上記アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、下記式で表わされるガラス転移温度(理論値)である。また、後述のアクリル系オリゴマーのガラス転移温度も、同様にして求めることができる。
1/Tg = W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wn/Tgn
上記式中、Tgはアクリル系ポリマーのガラス転移温度(単位:K)、Tgiはモノマーiのホモポリマーのガラス転移温度(単位:K)、Wiはモノマーiの全モノマー成分中の重量分率を表す(i=1、2、・・・・n)。なお、上記はアクリル系ポリマーがモノマー1、モノマー2、・・・、モノマーnのn種類のモノマー成分から構成される場合の計算式である。なお、「ホモポリマーのガラス転移温度」は、後述の「ホモポリマーを形成した際のガラス転移温度(Tg)」である。
【0074】
本発明の両面粘着テープにおける粘着体を形成する粘着剤層には、アクリル系オリゴマー(アクリル系オリゴマー成分)を含んでいてもよい。なお、本発明において「オリゴマー」とは、分子量が1万以下の重合体を意味し、「ポリマー」とは、分子量が1万を超える重合体を意味する。上記分子量は、前述のMwと同様のGPC法により測定することができる。
【0075】
上記アクリル系オリゴマーは、ホモポリマーを形成した際のガラス転移温度(Tg)が60〜190℃であり、分子内に環状構造を有する(メタ)アクリル酸エステル(「ホモポリマーのTgが60〜190℃の環含有(メタ)アクリル酸エステル」と称する場合がある。)を主たるモノマー成分(モノマー主成分)として構成されたオリゴマーであることが好ましい。また、上記アクリル系オリゴマーは、上記モノマー主成分の他に、カルボキシル基含有単量体を必須の共重合成分として含むことが好ましい。また、上記アクリル系オリゴマーを構成するモノマー成分としては、上記のホモポリマーのTgが60〜190℃の環含有(メタ)アクリル酸エステル及びカルボキシル基含有単量体以外にも、必要に応じてさらに他のモノマー成分(共重合性モノマー)が用いられていてもよい。
【0076】
上記アクリル系オリゴマーにおける、ホモポリマーのTgが60〜190℃の環含有(メタ)アクリル酸エステルが分子内に有する環状構造(環)としては、芳香族性環、非芳香族性環のいずれであってもよいが、耐発泡剥がれ性がより一層良好となる観点から、非芳香族性環であることが好ましい。上記芳香族性環としては、例えば、芳香族性炭素環(芳香族環)(例えば、ベンゼン環や、ナフタレン環等の縮合炭素環など)や、各種芳香族性複素環などが挙げられる。また、前記非芳香族性環としては、例えば、非芳香族性脂環式環(シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環などのシクロアルカン環;シクロヘキセン環などのシクロアルケン環など)、非芳香族性橋かけ環(例えば、ピナン、ピネン、ボルナン、ノルボルナン、ノルボルネンなどにおける二環式炭化水素環;アダマンタンなどにおける三環式炭化水素環;四環式炭化水素環などの橋かけ式炭化水素環など)等の脂肪族環(脂環)が挙げられる。
【0077】
すなわち、上記のホモポリマーのTgが60〜190℃の環含有(メタ)アクリル酸エステルの、ホモポリマーを形成した際のガラス転移温度(Tg)は、60〜190℃であり、好ましくは65〜180℃である。ホモポリマーを形成した際のTgが60℃未満の(メタ)アクリル酸エステルでは、粘着剤層の接着性が低下し、発泡剥がれが生じやすくなる場合があり、一方、ホモポリマーを形成した際のTgが190℃を超える(メタ)アクリル酸エステルでは、粘着剤層が硬くなり、低温で剥がれが生じやすくなる等の問題が生じる場合がある。
【0078】
なお、本発明における「ホモポリマーを形成した際のガラス転移温度(Tg)」(単に「ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)」と称する場合もある)とは、「当該(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体のガラス転移温度(Tg)」を意味し、具体的には、「Polymer Handbook」(第3版、John Wiley & Sons,Inc,1989年)に数値が挙げられている。なお、上記文献に記載されていない(メタ)アクリル酸エステルのホモポリマーのTgは、例えば、以下の測定方法により得られる値(特開2007−51272号公報参照)をいう。すなわち、温度計、撹拌機、窒素導入管及び還流冷却管を備えた反応器に、モノマー((メタ)アクリル酸エステル)100重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部及び重合溶媒として酢酸エチル200重量部を投入し、窒素ガスを導入しながら1時間撹拌する。このようにして重合系内の酸素を除去した後、63℃に昇温し10時間反応させる。次いで、室温まで冷却し、固形分濃度33重量%のホモポリマー溶液を得る。次いで、このホモポリマー溶液を剥離ライナー上に流延塗布し、乾燥して厚さ約2mmの試験サンプル(シート状のホモポリマー)を作製する。そして、この試験サンプルを直径7.9mmの円盤状に打ち抜き、パラレルプレートで挟み込み、粘弾性試験機(ARES、レオメトリックス社製)を用いて周波数1Hzの剪断歪を与えながら、温度領域−70〜150℃、5℃/分の昇温速度で剪断モードにより粘弾性を測定し、tanδのピークトップ温度をホモポリマーのTgとする。
【0079】
上記のホモポリマーのTgが60〜190℃の環含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、具体的には、メタクリル酸シクロヘキシル(ホモポリマーのTg:66℃)、アクリル酸イソボルニル(ホモポリマーのTg:97℃)、メタクリル酸イソボルニル(ホモポリマーのTg:180℃)などが好ましく例示される。上記の中でも、粘着特性の観点から、メタクリル酸シクロヘキシルが特に好ましい。上記のTgが60〜190℃の環含有(メタ)アクリル酸エステルは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0080】
上記アクリル系オリゴマーを構成する全モノマー成分(モノマー成分全量)(100重量%)に対する、ホモポリマーのTgが60〜190℃の環含有(メタ)アクリル酸エステルの含有量は、モノマー主成分として用いられているので、50〜99重量%が好ましく、より好ましくは70〜99重量%、さらに好ましくは80〜97重量%である。ホモポリマーのTgが60〜190℃の環含有(メタ)アクリル酸エステルの含有量が、全モノマー成分に対して50重量%未満であると、発泡剥がれが生じやすくなる場合がある。
【0081】
上記アクリル系オリゴマーには、必須の共重合モノマー成分として、カルボキシル基含有単量体が使用されることが好ましい。このようなカルボキシル基含有単量体としては、前記アクリル系ポリマーにおけるカルボキシル基含有単量体と同様に、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などが挙げられる。また、これらのカルボキシル基含有単量体の酸無水物(例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物基含有モノマー)も、カルボキシル基含有単量体として用いることが可能である。
【0082】
上記アクリル系オリゴマーを構成する全モノマー成分(モノマー成分全量)(100重量%)に対する、カルボキシル基含有単量体の含有量は、1〜10重量%が好ましく、より好ましくは3〜8重量%である。カルボキシル基含有単量体の含有量が1重量%未満であると、両面粘着テープの透明性が低下する傾向がある。一方、10重量%を超えると、粘着剤組成物の粘度上昇を引き起こす場合がある。
【0083】
上記アクリル系オリゴマーには、必要に応じて、ホモポリマーのTgが60〜190℃の環含有(メタ)アクリル酸エステルやカルボキシル基含有単量体に対して共重合が可能な他のモノマー成分(共重合性単量体)が、アクリル系オリゴマーを構成するモノマー成分として併用されていてもよい。なお、アクリル系オリゴマーを構成する全モノマー成分(モノマー成分全量)(100重量%)に対する、上記共重合性単量体の含有量は、共重合性モノマーの種類に応じて適宜選択することができ、特に限定されないが、49.9重量%以下(例えば、0〜49.9重量%)が好ましく、より好ましくは30重量%以下である。
【0084】
上記のアクリル系オリゴマーにおける、共重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのエポキシ基含有アクリル系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチルなどのヒドロキシル基含有単量体;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエンなどのオレフィン、ジエン類;ビニルアルキルエーテルなどのビニルエーテル類等が挙げられる。上記の共重合性単量体は、上記のアクリル系オリゴマーのTgが60℃以上になるように選択することが好ましい。
【0085】
また、上記の共重合性単量体としては、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどの多官能性単量体も挙げられる。
【0086】
なお、上記の共重合性単量体として、窒素原子含有モノマー[例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミドなどの基含有単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基含有単量体など]は、加熱下における粘着剤層の黄変の原因となるため、使用しない方が好ましい。即ち、上記アクリル系オリゴマーを構成する全モノマー成分中には、窒素原子含有モノマーは実質的に含まれないことが好ましい。具体的には、上記アクリル系オリゴマーを構成する全モノマー成分(モノマー成分全量)(100重量%)に対する、上記窒素原子含有モノマーの含有量は、3重量%未満が好ましく、より好ましくは1重量%未満である。
【0087】
上記のアクリル系オリゴマーは、上記のモノマー成分(ホモポリマーのTgが60〜190℃の環含有(メタ)アクリル酸エステル、カルボキシル基含有単量体、必要に応じて他のモノマー(共重合性単量体))を、公知慣用の重合方法で重合することにより調製することができる。上記のアクリル系オリゴマーの重合方法としては、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合方法や紫外線照射による重合方法が挙げられる。中でも、透明性、耐水性、コストなどの点で、溶液重合方法、塊状重合方法が好ましく、より好ましくは溶液重合方法である。
【0088】
なお、上記のアクリル系オリゴマーの重合に際して用いられる重合開始剤、連鎖移動剤などは、特に限定されず、公知慣用のものの中から適宜選択して使用することができる。より具体的には、重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン等の過酸化物系重合開始剤などが挙げられる。なお、溶液重合の場合は、油溶性の重合開始剤を用いることが好ましい。重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。重合開始剤の使用量は、通常の使用量であればよく、例えば、上記アクリル系オリゴマーを構成するモノマー成分100重量部に対して、0.1〜15重量部程度の範囲から選択することができる。
【0089】
また、連鎖移動剤としては、例えば、2−メルカプトエタノール、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、チオグリコール酸、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメチルカプト−1−プロパノール、α−メチルスチレンダイマーなどが挙げられる。連鎖移動剤の使用量は、通常の使用量であればよく、例えば、上記アクリル系オリゴマーを構成する全モノマー成分100重量部に対して0.01〜15重量部程度の範囲から選択することができる。
【0090】
なお、溶液重合では、各種の一般的な溶剤を用いることができる。このような溶剤としては、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類などの有機溶剤が挙げられる。溶剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0091】
また、乳化重合では、公知慣用の乳化剤を用いることができる。乳化剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのアニオン系乳化剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどのノニオン系乳化剤などが挙げられる。
【0092】
上記のアクリル系オリゴマーの重量平均分子量は、3000〜6000が好ましく、より好ましくは3300〜5500であり、さらに好ましくは3500〜5000である。上記アクリル系オリゴマーの重量平均分子量が3000未満では発泡剥がれが生じやすくなる場合があり、6000を超えると透明性が低下する場合がある。
【0093】
上記のアクリル系オリゴマーの重量平均分子量は、重合開始剤や連鎖移動剤の種類やその使用量、重合の際の温度や時間の他、モノマー濃度、モノマー滴下速度などによりコントロールすることができる。
【0094】
上記のアクリル系オリゴマーのガラス転移温度(Tg)は、本発明の両面粘着テープに良好な粘着性を発現させ、耐発泡剥がれ性を向上させる観点から、60〜190℃が好ましく、より好ましくは、60〜180℃である。上記アクリル系オリゴマーのガラス転移温度は、アクリル系オリゴマーを構成するモノマー成分の種類や含有量などによって制御することができる。
【0095】
上記のアクリル系オリゴマーの含有量としては、特に制限されないが、上記アクリル系ポリマー100重量部に対して、10〜35重量部が好ましく、より好ましくは15〜30重量部である。アクリル系ポリマー100重量部に対するアクリル系オリゴマーの含有量が10重量部未満であると、アクリル系オリゴマーの添加による効果が得られにくく、耐発泡剥がれ性が低下する場合があり、一方、35重量部を超えると、透明性が低下する場合がある。
【0096】
本発明の両面粘着テープにおいて、上記粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、架橋剤を含有していてもよい。架橋剤を用いることにより、アクリル系ポリマーを架橋させ、粘着剤層の凝集力を一層大きくすることができる。また、粘着剤層のゾル分の重量平均分子量を調整することができる。架橋剤には従来公知のものが広く包含される。架橋剤としては、特に、多官能性メラミン化合物(メラミン系架橋剤)、多官能性エポキシ化合物(エポキシ系架橋剤)、多官能性イソシアネート化合物(イソシアネート系架橋剤)が好ましい。中でも、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤が好ましい。架橋剤は単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0097】
上記メラミン系架橋剤としては、例えば、メチル化トリメチロールメラミン、ブチル化ヘキサメチロールメラミンなどが挙げられる。
【0098】
上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、1,2−エチレンジイソシアネート、1,4−ブチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネート類;2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート類などが挙げられ、その他、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートL」]、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートHL」]なども用いられる。
【0099】
上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテルの他、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂などが挙げられる。市販品としては、例えば、三菱ガス化学(株)製、商品名「テトラッドC」を用いることができる。
【0100】
上記架橋剤の使用量は、特に限定はされないが、例えば、アクリル系粘着剤層の場合には、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量部)に対して0〜1重量部が好ましく、より好ましくは0〜0.8重量部である。
【0101】
本発明の両面粘着テープにおいて、粘着剤層を形成する粘着剤組成物には、必要に応じて、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂など)、老化防止剤、充填剤、着色剤(顔料や染料など)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、可塑剤、軟化剤、界面活性剤、帯電防止剤などの公知の添加剤や溶剤(前述のアクリル系ポリマー及びアクリル系オリゴマーの溶液重合の際に使用可能な溶剤など)が含まれていてもよい。
【0102】
上記の粘着剤組成物は、アクリル系ポリマー(又はアクリル系ポリマー溶液)、及び、必要に応じてアクリル系オリゴマー(又はアクリル系オリゴマー溶液)、架橋剤、溶剤や他の添加剤を混合することにより、調製することができる。
【0103】
本発明の両面粘着テープにおいて、粘着体を形成する粘着剤層の厚さは、特に制限されないが、10〜250μmが好ましく、より好ましくは12〜200μm、特に好ましくは12〜50μmである。粘着剤層の厚さが250μmを超えると、塗工時の巻き取り時にシワが生じる場合がある。粘着剤層の厚さが10μm未満では、粘着剤層が薄いために応力分散できなくなり、剥がれが生じやすくなってしまう場合がある。
【0104】
本発明の両面粘着テープにおいて、粘着体を形成する粘着剤層の全面厚さムラは、0.030μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.025μm以下である。上記粘着剤層の全面厚さムラの下限値は、特に限定されず、0μmが好ましいが、製造上0.005μm以上となることが一般的である。粘着剤層の全面厚さムラは、粘着剤層厚みの微細な変動を表し、大きい場合には凹凸が顕著であり、外観上ゆがみを生じ、小さい場合には平滑で均一な外観となる。両面粘着テープを用いて、基板に平滑な薄層体(例えば、PETフィルム)などを貼付する場合、両面粘着テープの粘着剤層に微細な厚み変動があると、貼付される薄層体が上記粘着剤層の微細な厚み変動に追従してしまい、薄層体表面に微細な凹凸が生じてしまう。ディスプレイ用途などにおいては、そのような表面の凹凸があると、表面で光の反射斑が生じ、例えば、ディスプレイ表面がゆず肌状に見えるなど、製品の外観不良となる。粘着剤層の全面厚さムラが0.030μm以下であると、上記の微細な厚み変動に起因する外観不良が生じないため、製品の品質上好ましく、特に、本発明の両面粘着テープを光学部材用の両面粘着テープとして好ましく使用することができる。
【0105】
本発明における「粘着剤層の全面厚さムラ」は、レーザー干渉計にて得られた干渉縞から、フリンジスキャン法(縞走査法)により30mmφの範囲において算出される粘着剤層厚さの標準偏差である。
さらに、具体的には以下のようにして算出される。
まず、レーザー干渉計(He−Neレーザー使用)を用いて粘着剤層を測定し、得られた干渉縞をフリンジスキャン法(縞走査法)により粘着剤層厚みhに変換する。30mmφの測定範囲において、N個の粘着剤層厚みのデータhi(h1、h2、h3、・・・・、hN)(iは1〜Nの整数)を得て、下記式(1)により、粘着剤層厚さの標準偏差を算出する。
【0106】
【数2】

【0107】
なお、Nは測定点数(サンプリング数)であり、特に限定されないが、例えば、1000〜5万(好ましくは1万〜5万)の任意の整数である。また、式(1)における「Σ」は「i=1〜Nにおける値の総和」を表す。
【0108】
本発明の両面粘着テープにおいて、粘着体を形成する粘着剤層の酢酸エチル抽出における可溶分(ゾル分)(単に「ゾル分」と称する場合がある。)の重量平均分子量は、5万〜50万であることが好ましく、より好ましくは、10万〜50万である。上記のゾル分の重量平均分子量が5万未満では、粘着剤層中に低分子量成分が多く含まれるため、両面粘着テープの耐久性が低下する場合がある。一方、ゾル分の重量平均分子量が50万を超えると、粘着剤組成物(溶液)中のアクリル系ポリマーの重量平均分子量を高くしなければならず、粘着剤組成物(溶液)の固形分濃度が高い場合には、高粘度のため塗工性低下により、粘着剤層の全面厚さムラが大きくなる場合がある。また、塗工性の観点から粘着剤組成物(溶液)の固形分濃度を低くする場合にも、塗布層内の対流の影響で粘着剤層の全面厚さムラが大きくなる場合がある。上記のゾル分の重量平均分子量は、アクリル系ポリマーの重量平均分子量や架橋剤の種類及び使用量などにより、上記の範囲に制御することができる。
【0109】
上記の「酢酸エチル抽出における可溶分(ゾル分)の重量平均分子量」は、以下の測定方法により算出される。
(酢酸エチル抽出における可溶分(ゾル分)の重量平均分子量の測定方法)
本発明の両面粘着テープから粘着剤層:約0.1gを採取し、平均孔径0.2μmの多孔質テトラフルオロエチレンシート(商品名「NTF1122」、日東電工株式会社製)に包んだ後、凧糸で縛る。
次に、上記の粘着剤層をテトラフルオロエチレンシートで包み凧糸で縛ったものを、酢酸エチルで満たした50ml容器に入れ、23℃にて7日間静置する。その後、容器中の酢酸エチル溶液(抽出されたゾル分を含む)を取り出して、減圧乾燥させて、溶媒(酢酸エチル)を揮発させ、ゾル分を得る。
上記ゾル分をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させて、前述のゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法によりゾル分の重量平均分子量を測定する。
【0110】
本発明の両面粘着テープにおいて、粘着体を形成する粘着剤層のゲル分率は、良好な耐発泡剥がれ性を発揮する観点から、30〜80%(重量%)が好ましく、より好ましくは35〜80%である。上記ゲル分率は、酢酸エチル不溶分として求めることができ、具体的には、酢酸エチル中に23℃で7日間浸漬した後の不溶分の浸漬前の試料に対する重量分率(単位:重量%)として求められる。上記ゲル分率は、アクリル系ポリマーのモノマー組成、重量平均分子量、架橋剤の使用量(添加量)等により制御することができる。ゲル分率が30%未満では発泡が生じやすくなる場合があり、80%を超えると剥がれが生じやすくなる場合がある。
【0111】
上記ゲル分率(溶剤不溶分の割合)は、具体的には、例えば、以下の「ゲル分率の測定方法」により算出される値である。
(ゲル分率の測定方法)
本発明の両面粘着テープから粘着剤層:約0.1gを採取し、平均孔径0.2μmの多孔質テトラフルオロエチレンシート(商品名「NTF1122」、日東電工株式会社製)に包んだ後、凧糸で縛り、その際の重量を測定し、該重量を浸漬前重量とする。なお、該浸漬前重量は、粘着剤層(上記で採取した粘着剤層)と、テトラフルオロエチレンシートと、凧糸との総重量である。また、テトラフルオロエチレンシートと凧糸との合計重量も測定しておき、該重量を包袋重量とする。
次に、上記の粘着剤層をテトラフルオロエチレンシートで包み凧糸で縛ったもの(「サンプル」と称する)を、酢酸エチルで満たした50ml容器に入れ、23℃にて7日間静置する。その後、容器からサンプル(酢酸エチル処理後)を取り出して、アルミニウム製カップに移し、130℃で2時間、乾燥機中で乾燥して酢酸エチルを除去した後、重量を測定し、該重量を浸漬後重量とする。
そして、下記の式からゲル分率を算出する。
ゲル分率(重量%)=((A−B)/(C−B))×100
(上記式において、Aは浸漬後重量であり、Bは包袋重量であり、Cは浸漬前重量である。)
【0112】
上記粘着剤層のヘーズは、特に制限されないが、1.5%以下であることが好ましく、より好ましくは1.0%以下である。また、上記粘着剤層のヘーズの下限値については、特に制限されず、0%であることが好ましいが、製造上及び測定上0.4%となることが一般的である。上記粘着剤層のヘーズが1.5%を超える場合には、貼付した製品(例えば、光学製品等)の透明性が不足する場合がある。
【0113】
また、上記粘着剤層の可視光波長領域における全光線透過率は90.0%以上であることが好ましく、より好ましくは91.0%以上、さらに好ましくは92.0%以上である。上記粘着剤層のヘーズ及び全光線透過率は、JIS K 7361に準じる方法にて測定することが可能である。例えば、スライドガラス(例えば、全光線透過率91.8%、ヘーズ値0.4%のもの)に上記粘着剤層を貼り合わせ、ヘーズメータ(村上色彩技術研究所製、商品名「HM−150」)を用いて測定することができる。
【0114】
(基材)
本発明の両面粘着テープにおける粘着体が、基材を有するタイプの粘着体である場合、基材としては、特に制限はされないが、プラスチックフィルム、反射防止(AR)フィルム、偏光板、位相差板などの各種光学フィルムが挙げられる。上記プラスチックフィルムなどの素材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリサルフォン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、商品名「アートン(環状オレフィン系ポリマー;JSR製)」、商品名「ゼオノア(環状オレフィン系ポリマー;日本ゼオン製)」等の環状オレフィン系ポリマーなどのプラスチック材料が挙げられる。なお、プラスチック材料は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、上記の「基材」とは、両面粘着テープを被着体(光学部材等)に使用(貼付)する際には、粘着剤層とともに被着体に貼付される部分である。両面粘着テープの使用時(貼付時)に剥離されるセパレータ(剥離ライナー)は「基材」には含まない。
【0115】
上記の中でも、基材としては、透明基材が好ましい。上記「透明基材」とは、例えば、可視光波長領域における全光線透過率(JIS K 7361に準じる)が85.0%以上である基材が好ましく、さらに好ましくは88.0%以上である基材をいう。また、基材のヘーズ(JIS K 7361に準じる)は、例えば、1.5%以下が好ましく、より好ましくは1.0%以下である。
【0116】
上記基材の厚さは、特に限定されず、例えば、12〜75μmが好ましい。なお、上記基材は単層および複層のいずれの形態を有していてもよい。また、基材表面には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理等の物理的処理、下塗り処理等の化学的処理などの公知慣用の表面処理が適宜施されていてもよい。
【0117】
[両面粘着テープ]
本発明の両面粘着テープは、通常の両面粘着テープの製造方法に従って製造することができる。例えば、基材レスタイプの両面粘着テープの場合には、剥離ライナー(特に制限されないが、通常、剥離ライナーA)上に粘着剤層を形成するための前記粘着剤組成物(溶液)を、乾燥後の厚さが所定の厚さとなるように塗布して、粘着剤組成物(溶液)の塗布層を設けた後、該塗布層を乾燥、必要に応じて硬化して、粘着剤層を形成することにより、両面粘着テープを形成しうる。さらに、上記剥離ライナーを設けた側と反対側の表面(粘着面)上にも、剥離ライナー(特に制限されないが、通常、剥離ライナーB)を設けてもよい(即ち、2枚の剥離ライナーにより両面粘着テープの粘着面が保護された、ダブルセパレータタイプの両面粘着テープであってもよい。)。本発明の両面粘着テープがシングルセパレータタイプの場合には、剥離ライナーAの剥離面に、前記粘着剤組成物(溶液)を所定の厚さになるように塗布して粘着剤層を形成した後、ロール状に巻回することにより、該粘着剤層の表面に剥離ライナーAの背面剥離層が接するようにして、製造することができる。
【0118】
本発明の両面粘着テープが基材付きの両面粘着テープである場合には、上記粘着剤組成物(溶液)を基材表面に直接塗布、乾燥することにより粘着剤層を設けてもよいし(直写法)、上記と同様に剥離ライナー上に粘着剤層を設けた後、基材と転写する(貼り合わせる)ことにより基材上に粘着剤層を設けてもよい(転写法)。さらに、剥離ライナーの設けられていない粘着面上に剥離ライナーを設けてもよい。
【0119】
なお、上記の粘着剤組成物(溶液)の塗布(塗工)には、公知のコーティング法を用いることが可能であり、慣用のコーター、例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、ファウンテンダイコーターなどを用いることができる。
【0120】
本発明の両面粘着テープを製造する際には、粘着剤組成物(溶液)を塗布した塗布層(乾燥前)の厚みを200μm以下(例えば、20〜200μm)とすることが好ましく、より好ましくは100μm以下である。塗布層厚みが200μmを超えて厚い場合には、塗布層の乾燥工程において塗布層内に強い対流が起こり、それに起因して粘着剤層(乾燥後)に微小な厚み変動が生じて、粘着剤層の全面厚さムラが大きくなる場合がある。
【0121】
本発明においては、上記のように塗布層厚みを薄くしながら、粘着剤層厚みを適切な範囲に制御するために、粘着剤組成物(溶液)の固形分濃度をある程度高くすることが好ましい。粘着剤組成物(溶液)の固形分濃度としては、特に限定されないが、20重量%以上が好ましく、より好ましくは23重量%以上である。固形分濃度が20重量%未満では、塗布層厚みを比較的厚くする必要が生じ、また塗布層内での対流が強く起こりやすいため、粘着剤層の全面厚さムラが大きくなる場合がある。また、固形分濃度の上限は、特に限定されないが、高濃度にするためには、アクリル系ポリマーを低分子量化する必要が生じるため、耐久性の観点から、50重量%が好ましい。
【0122】
本発明の両面粘着テープを製造する際の、塗工する粘着剤組成物(溶液)の粘度(23℃、剪断速度20rpm、BH型粘度計)は、0.5〜7.0Pa・sが好ましく、より好ましくは1.0〜5.0Pa・sである。粘着剤組成物(溶液)の粘度が0.5Pa・s未満では、塗布層が乱れやすくなり、粘着剤層の全面厚さムラが大きくなる場合がある。一方、7.0Pa・sを超えると、粘着剤組成物(溶液)が高粘度となって、塗工性が低下する場合がある。粘着剤組成物(溶液)の粘度は、アクリル系ポリマーの重量平均分子量、粘着剤組成物(溶液)の固形分濃度、溶剤種類などにより制御することができる。
【0123】
本発明の両面粘着テープの製造工程において(粘着剤層の形成工程)において、粘着剤組成物(溶液)を塗工して形成した塗布層を乾燥する際には、比較的低温で乾燥を開始し、その後高温乾燥する乾燥方法が好ましい。通常の両面粘着テープの製造においては、生産効率を高める観点から、塗布層に発泡が生じない程度のできるだけ高温条件で短時間で乾燥させることが一般的であるが、このような乾燥方法では、溶剤の蒸発速度が速く、塗布層内で対流が強く起こるため、粘着剤層の全面厚さムラが大きくなりやすい。このため、乾燥初期の主に溶剤の蒸発が起こる段階では、比較的低温で乾燥を行って溶剤の急激な蒸発を抑制し、その後、高温乾燥して、残存している溶剤及び未反応のモノマー分を除去することが、生産性を維持しながら、粘着剤層の厚み変動を抑制して全面厚さムラを低減する上で効果的である。具体的な乾燥条件は、塗布層厚みや粘着剤組成物の組成、固形分濃度などによっても異なり、特に限定されないが、例えば、20〜80℃(好ましくは30〜70℃)で20〜180秒(好ましくは30〜120秒)乾燥した後、さらに90〜180℃(好ましくは100〜150℃)で30〜180秒(好ましくは30〜120秒)乾燥する方法が挙げられる。なお、乾燥条件は上記2段階の条件に限られず、3段階以上の多段階の条件としてもよい。
【0124】
なお、粘着剤層の全面厚さムラを低減しうる方法としては、上記の多段階の乾燥以外にも、蒸発速度の遅い溶剤を用いることも可能である。蒸発速度の遅い溶剤を用いる場合には、溶剤の急激な蒸発による粘着剤層の厚み変動が生じにくく、全面厚さムラを一層低減できるため好ましい。また、乾燥当初から比較的高い温度で乾燥した場合であっても、溶剤の急激な蒸発による粘着剤層の厚み変動が生じにくいため好ましい。このような蒸発速度の遅い溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンなどが挙げられる。
【0125】
本発明の両面粘着テープは、ヘーズが5.0%以下である剥離ライナーAを有するため、例えば、本発明の両面粘着テープを用いた部材の貼り合わせ作業において、剥離ライナーAを有した状態で両面粘着テープが貼付され、該両面粘着テープ越しに外観検査が行われた場合であっても、検査性が良好である。このため、本発明の両面粘着テープは、光学部材の貼り合わせ用等に使用される、光学部材用両面粘着テープとして好適に使用することができる。また、本発明の両面粘着テープは、剥離ライナーの剥離性に優れるため、部材の貼り合わせ作業時のハンドリング性にも優れる。
【0126】
上記光学部材としては、例えば、液晶表示装置、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置、PDP(プラズマディスプレイパネル)、電子ペーパーなどの表示装置やタッチパネルなどに使用される部材が挙げられる。上記表示装置やタッチパネルは、例えば、携帯電話やスマートフォンなどのモバイル機器、テレビやコンピュータなどに用いられる。
【0127】
さらに具体的には、例えば、本発明の両面粘着テープを介して、プラスチックフィルム(特に、後述の各種の機能性フィルムなど)等を被着体に接着固定することができる。上記被着体としては、特に限定されないが、アクリル樹脂板、ポリカーボネート樹脂板などのプラスチック基板、ガラス、TACフィルム、アートンやゼオノアからなるフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、偏光板、導電性フィルムなどの光学フィルム類などが挙げられる。
【0128】
また、本発明の両面粘着テープの一方の粘着面(片面)に、光学部材を貼着(貼付)することによって、粘着型の光学部材(光学製品)を得ることができる。上記光学部材の例としては、例えば、光学フィルムなどの各種の機能性フィルムを挙げることができ、少なくとも該機能性フィルムの一方の表面に本発明の両面粘着テープによる粘着体が設けられた、粘着型機能性フィルムを得ることができる。具体例を挙げると、PETフィルムの片面にハードコート処理をしたハードコートフィルム(ハードコートPETフィルム)の非ハードコート処理面に本発明の両面粘着テープを積層することにより、「剥離ライナーA/粘着体/ハードコートPETフィルム」の構成の粘着型ハードコートフィルムを得ることができる。上記の粘着型機能性フィルムに使用される両面粘着テープ(本発明の両面粘着テープ)における粘着体は、基材レスタイプの粘着体であってもよいし、基材を有するタイプの粘着体であってもよい。
【0129】
上記の機能性フィルムとしては、特に限定されないが、例えば、光学的機能性(例えば、偏光性、光屈折性、光散乱性、光反射性、光透過性、光吸収性、光回折性、旋光性、視認性など)を有するフィルム、導電性を有するフィルム(ITOフィルムなど)、紫外線カット性を有するフィルム、ハードコート性(耐傷つき性)を有するフィルム等が挙げられる。さらに具体的には、ハードコートフィルム(PETフィルムなどのプラスチックフィルムの少なくとも片面にハードコート処理が施されたフィルム)、偏光フィルム、波長板、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、導光板、反射フィルム、反射防止フィルム、透明導電フィルム(ITOフィルムなど)、意匠フィルム、装飾フィルム、表面保護フィルム、プリズム、カラーフィルターなどが挙げられる。なお、上記の「板」及び「フィルム」は、それぞれ板状、フィルム状、シート状等の形態をも含むものとし、例えば、「偏光板」は「偏光フィルム」、「偏光シート」も含むものとする。
【実施例】
【0130】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0131】
剥離ライナーの製造例
(剥離ライナー1)
剥離ライナー基材としてPETフィルム(東レ(株)製、商品名「ルミラー T−60」、厚み50μm、ヘーズ1.0%)を使用した。剥離処理剤としては、シリコーン系ポリマー離型剤(信越化学工業(株)製、商品名「KS−774」)を使用し、該剥離処理剤100重量部、白金触媒1.0重量部をヘプタンに溶解し、固形分1.0重量%の剥離処理剤のコーティング溶液を作製した。上記剥離ライナー基材の片面に、上記コーティング溶液を流延塗布し、130℃で1分間乾燥させることによって、一方の表面に剥離層(剥離処理剤の塗布量:0.10g/m2)を有する剥離ライナー1を作製した。剥離ライナー1のヘーズは1.0%であった。
【0132】
(剥離ライナー2)
剥離ライナー基材としてPETフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、商品名「G2」、厚み25μm、ヘーズ2.4%)を使用した以外は、剥離ライナー1と同様にして、剥離ライナー2を作製した。剥離ライナー2のヘーズは2.4%であった。
【0133】
(剥離ライナー3)
剥離ライナー基材としてPETフィルム(三菱樹脂(株)製、商品名「T100F」、厚み38μm、ヘーズ3.5%)を使用した以外は、剥離ライナー1と同様にして、剥離ライナー3を作製した。剥離ライナー3のヘーズは3.5%であった。
【0134】
(剥離ライナー4)
剥離ライナー基材としてPETフィルム(東レ(株)製、商品名「ルミラーR75」、厚み75μm、ヘーズ6.3%)を使用し、剥離処理剤の塗布量を0.06g/m2とした以外は、剥離ライナー1と同様にして、剥離ライナー4を作製した。剥離ライナー4のヘーズは6.3%であった。
【0135】
(剥離ライナー5)
剥離ライナー基材としてPETフィルム(東レ(株)製、商品名「ルミラーR75」、厚み38μm、ヘーズ3.2%)を、剥離処理剤としてシリコーン系ポリマー離型剤(信越化学工業(株)製、商品名「KS−772」)を使用し、塗布量を0.06g/m2とした以外は、剥離ライナー1と同様にして、剥離ライナー5を作製した。剥離ライナー5のヘーズは3.2%であった。
【0136】
実施例における重剥離側の剥離ライナー(即ち、剥離ライナー1〜4)は、本発明でいう剥離ライナーAに相当する。また、実施例における軽剥離側の剥離ライナー(即ち、剥離ライナー5)は、本発明でいう剥離ライナーBに相当する。
【0137】
アクリル系ポリマーの調製例
(アクリル系ポリマーA)
モノマー成分として、アクリル酸n−ブチル(BA)97重量部、アクリル酸(AA)3重量部、重合開始剤として、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部、および重合溶媒として、酢酸エチル233.8重量部を、セパラブルフラスコに投入し、窒素ガスを導入しながら、1時間撹拌した。このようにして、重合系内の酸素を除去した後、63℃に昇温し、10時間反応させた後、トルエンを加えて濃度調整し、固形分濃度30重量%のアクリル系ポリマー溶液(「アクリル系ポリマー溶液A」と称する場合がある。)を得た。該アクリル系ポリマー溶液Aにおけるアクリル系ポリマー(「アクリル系ポリマーA」と称する場合がある)の重量平均分子量は70万であった。
【0138】
(アクリル系ポリマーB)
モノマー成分として、アクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)29重量部、アクリル酸2−メトキシエチル(2MEA)70重量部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル(4HBA)1重量部、重合開始剤として、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部 )、および重合溶媒として酢酸エチル185.7重量部を、セパラブルフラスコに投入し、窒素ガスを導入しながら、1時間撹拌した。このようにして、重合系内の酸素を除去した後、63℃に昇温し、10時間反応させた後、トルエンを加えて濃度調整し、固形分濃度30重量%のアクリル系ポリマー溶液(「アクリル系ポリマー溶液B」と称する場合がある。)を得た。該アクリル系ポリマー溶液Bにおけるアクリル系ポリマー(「アクリル系ポリマーB」と称する場合がある)の重量平均分子量は100万であった。
【0139】
アクリル系オリゴマーの調製例
(アクリル系オリゴマーC)
モノマー成分として、メタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)[ホモポリマー(ポリメタクリル酸シクロヘキシル)のガラス転移温度:66℃]95重量部、アクリル酸5重量部、連鎖移動剤として2−メルカプトエタノール3重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部、および重合溶媒としてトルエン103.2重量部を、セパラブルフラスコに投入し、窒素ガスを導入しながら、1時間撹拌した。このようにして、重合系内の酸素を除去した後、70℃に昇温して3時間反応させ、さらに75℃で2時間反応させて、固形分濃度50重量%のアクリル系オリゴマー溶液(「アクリル系オリゴマー溶液C」と称する場合がある)を得た。該アクリル系オリゴマー溶液Cにおけるアクリル系オリゴマー(「アクリル系オリゴマーC」と称する場合がある)の重量平均分子量は4000であった。
【0140】
以下、アクリル系ポリマーA、アクリル系ポリマーB、アクリル系オリゴマーCの配合量は、固形分換算の配合量(重量部)で表した。また、エポキシ系架橋剤(テトラッドC
)、イソシアネート系架橋剤(コロネートHL)の配合量については、固形分換算ではなく、製品の配合量(重量部)で表した。なお、表1の中の配合量についても、同様に示した。
【0141】
実施例1
表1に示すように、アクリル系ポリマー溶液Aに、アクリル系ポリマーA:100重量部に対して、アクリル系オリゴマーCを20重量部、架橋剤としてテトラッドC(三菱ガス化学製、4官能エポキシ系架橋剤)を0.05重量部加えて、粘着剤組成物溶液を調製した。
上記で得られた粘着剤組成物溶液を、剥離ライナー1の剥離面(離型処理面)上に、乾燥後の厚さが25μmとなるように流延塗布し、常圧下、60℃で1分間及び155℃で2分間加熱乾燥した。次いで、剥離ライナー1に対する反対面側に剥離ライナー5を設けた後、さらに23℃で168時間エージングを行い、両面粘着テープ(基材レス両面粘着テープ)を作製した。
【0142】
実施例2、実施例3、比較例1
表1に示すように、剥離ライナーの種類、アクリル系ポリマーの種類、アクリル系オリゴマーの有無、架橋剤の種類及び配合量を変更した以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物溶液を調製し、両面粘着テープ(基材レス両面粘着テープ)を作製した。
【0143】
(評価)
実施例および比較例により得られた両面粘着テープについて、下記の測定方法又は評価方法により測定又は評価した。なお、粘着剤層のゾル分の重量平均分子量は、前述の「酢酸エチル抽出における可溶分(ゾル分)の重量平均分子量」の方法で測定した。
評価結果は表1に示した。
【0144】
(1)重剥離側の剥離ライナーのヘーズ
実施例、比較例で使用した重剥離側の剥離ライナーのヘーズを、ヘーズメータ(村上色彩技術研究所製、「HM−150」)を用いて測定した。なお、ヘーズ(%)は、「拡散透過率/全光線透過率×100」の式を利用して求めた。
【0145】
(2)粘着剤層の全面厚さムラ
フジノン(株)製レーザー干渉計「F601(平面測定)」を用いて、サンプル形状:「重剥離側の剥離ライナー/粘着剤層/軽剥離側の剥離ライナー」にて、斜め45°で測定を行い、フジノン(株)製干渉縞解析装置「A1」を用いて解析を行い、「RMS値」を全面厚さムラとした。
測定視野 :30mmφ
サンプリング数(N) :35235点
解析のモード :SOFTモード
【0146】
(3)剥離ライナーの剥離力、剥離力差
実施例および比較例で得られた両面粘着テープから、幅50mm、長さ150mmのテープ片を切り出し、これを軽剥離側の剥離ライナーの剥離力測定用サンプルとした。重剥離側の剥離ライナーの剥離力測定用サンプルは、上記テープ片から軽剥離側の剥離ライナーを剥離し、粘着面に厚さ25μmのPETフィルムを貼付(裏打ち)して、作成した。
引張試験機を用いて、JIS Z 0237に準拠して180°剥離試験を行い、剥離ライナーの180°引き剥がし粘着力(N/50mm)を測定し、「剥離ライナーの剥離力」とした。測定は、23℃、50%RHの雰囲気下、剥離角度180°、引張速度300mm/分の条件で行った。試験回数(n数)は3回とし、平均値を算出した。
また、上記で測定した剥離ライナーの剥離力から、下記式により剥離力差を算出した。
剥離力差(N/50mm)=[(重剥離側の剥離ライナーの剥離力)−(軽剥離側の剥離ライナーの剥離力)]
【0147】
(4)耐スクラッチ性
実施例および比較例で使用した重剥離側の剥離ライナーから、幅20mm、長さ150mmの剥離ライナー片を切り出し、耐スクラッチ性評価用サンプルとした。ラビングテスター(大平理化工業製)を用い、上記剥離ライナー片において、剥離層が設けられていない方の表面(剥離ライナー背面)を、250gの荷重をかけた10円玉で、長さ方向に往復10回(ストローク幅:100mm、速度:1往復/1秒)こすった後、該剥離ライナー背面を目視で観察し、傷が全く観測されなかった場合を耐スクラッチ性良好(○)、傷が観測された場合を耐スクラッチ性不良(×)として、耐スクラッチ性を評価した。
【0148】
(5)外観検査
実施例および比較例で得られた両面粘着テープから、幅100mm、長さ100mmのテープ片を切り出した。該テープ片の軽剥離側の剥離ライナーを剥離し、粘着面を、表面に薄い傷及び/又は汚れがあるPETフィルム(厚さ:38μm、東洋紡(株)製、「A4100」)に貼り付け、試験サンプル(「重剥離側の剥離ライナー/粘着体/PETフィルム」の構成を有する)を作成した。次に、該試験サンプルの重剥離側の剥離ライナー側から、黒色の背景に対して、蛍光灯で透過で目視検査した。PETフィルムの傷及び/又は汚れが確認された場合を検査性良好(○)、傷及び/又は汚れが確認されず、欠陥を見落とした場合を検査性不良(×)とし、外観検査性を評価した。
【0149】
(6)外観(ゆず肌)
実施例および比較例で得られた両面粘着テープから、幅50mm、長さ65mmのテープ片を切り出した。該テープ片の一方の粘着面(軽剥離側の剥離ライナー側)を、ソーダライムガラス(松浪硝子工業(株)製、品番S、厚さ1.0mm)に貼り合わせ、他方の粘着面(重剥離側の剥離ライナー側)にアルミ蒸着ポリエステルフィルム(東レ(株)製、「メタルミー #50」)を貼り合わせた。ソーダライムガラス側から蛍光灯の光を反射させて観察し、写り込んだ蛍光灯の像が歪まずに見える場合は貼り合わせ外観良好(○)、歪んで見える場合には貼り合わせ外観不良(×)と判断した。
【0150】
(7)剥離性
実施例および比較例で得られた両面粘着テープから、幅50mm、長さ500mmのテープ片を切り出した。該テープ片から、軽剥離側の剥離ライナー500mm(長さ方向)を2〜3秒で180°方向に引き剥がし、剥離性を評価した。この際、粘着剤が泣き別れしてしまった場合を剥離性不良(×)、粘着剤が泣き別れせず容易に剥離できた場合を剥離性良好(○)として評価した。
【0151】
(8)加工性
実施例および比較例で得られた両面粘着テープから、幅50mm、長さ150mmのテープ片を切り出した。該テープ片から軽剥離側の剥離ライナーを剥離し、重剥離側の剥離ライナーを設けた状態のまま、曲率半径50mmの円弧形状に沿うように粘着面をステンレス板に貼り付けた。貼り付けてから30分間放置後、両面粘着テープの貼付状態を確認した。この際、重剥離側の剥離ライナーに「シワ」が入ったり、粘着体からの「浮き」が生じた場合を加工性不良(×)、これら「シワ」や「浮き」が発生しなかった場合には加工性良好(○)として評価した。
【0152】
【表1】

【0153】
表中の略語は以下の通りである。
BA:アクリル酸n−ブチル
AA:アクリル酸
2EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
2MEA:アクリル酸2−メトキシエチル
4HBA:アクリル酸4−ヒドロキシブチル
CHMA:メタクリル酸シクロヘキシル
テトラッドC:三菱瓦斯化学(株)製、商品名「テトラッドC」(エポキシ系架橋剤)
コロネートHL:日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートHL」(イソシアネート系架橋剤)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘーズが5.0%以下の剥離ライナーAを有することを特徴とする粘着テープ。
【請求項2】
光学部材用粘着テープである請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項3】
前記剥離ライナーAの180°剥離試験における剥離力が1.0N/50mm以下である請求項1又は2に記載の粘着テープ。
【請求項4】
前記剥離ライナーAの厚さが25〜200μmである請求項1〜3のいずれかの項に記載の粘着テープ。
【請求項5】
さらに、180°剥離試験における剥離力が0.03N/50mm以上である剥離ライナーBを有する請求項1〜4のいずれかの項に記載の粘着テープ。
【請求項6】
前記剥離ライナーAの180°剥離試験における剥離力と、剥離ライナーBの180°剥離試験における剥離力との差[(剥離ライナーAの剥離力)−(剥離ライナーBの剥離力)]が、0.05〜0.90N/50mmである請求項5に記載の粘着テープ。
【請求項7】
下記で定義される全面厚さムラが0.030μm以下である粘着剤層を有する請求項1〜6のいずれかの項に記載の粘着テープ。
粘着剤層の全面厚さムラ : レーザー干渉計にて得られた干渉縞をフリンジスキャン法(縞走査法)にて粘着剤層厚さhiに変換し、30mmφの範囲において得られたhiから下記式(1)により計算した値
【数1】

(iは1〜Nの整数であり、Nはサンプリング数である。)
【請求項8】
前記粘着剤層が、アルキル基の炭素数が1〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステル及び芳香族環含有(メタ)アクリル酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも1つのモノマー成分から構成されたアクリル系ポリマーを含む粘着剤組成物から形成された粘着剤層であって、
前記粘着剤層の、酢酸エチル抽出における可溶分(ゾル分)の重量平均分子量が5万〜50万である請求項7に記載の粘着テープ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかの項に記載の粘着テープの片面に、光学部材を貼着した光学製品。

【公開番号】特開2012−184439(P2012−184439A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−123041(P2012−123041)
【出願日】平成24年5月30日(2012.5.30)
【分割の表示】特願2009−167506(P2009−167506)の分割
【原出願日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】