説明

中敷き

【課題】焼結磁石を用いることなく、また、中敷きSを厚くすることもなく、足裏の全体に効果的に磁力を作用できるようにする。
【解決手段】中敷きSを、マグネットシートからなる二枚の中敷き材Sa、Saを接着貼り合わせてなり、二枚の中敷き材Sa、Saはそれぞれ、N極とS極とを交互に縞状に配するように少なくともその一面に多極着磁されてなると共に、一方の中敷き材Saの前記縞の向きF1に対し他方の中敷き材Saの前記縞の向きF2が交叉するようになっているものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、靴内に敷き込まれて使用者の足裏に磁気を効果的に作用させる中敷きに関する。
【背景技術】
【0002】
靴の中敷き(インソール)に、足のつぼが位置される箇所に合わせて、焼結磁石を埋め込ませるなどして、使用者の足裏に磁気を作用させるようにしたものが知られている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
このような中敷きにあっては、それが薄い場合には備えられた磁石が突起物として足裏に当たるところであり、それを避けようとすると中敷き自体を厚く構成させることを余儀なくさせるものであった。また、かかる中敷きでは、靴のサイズに合わせて中敷きをカッティングなどすると特定のつぼに相応しない位置に焼結磁石を位置させてしまう場合もあり、一枚の中敷きでサイズの異なる靴に利用しがたい場合も少なくない。また、このような手法では、足裏の全体に効果的に磁気を作用させるような中敷きは構成しがたいところである。
【特許文献1】特開2007−61235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、この種の中敷きにおいて、焼結磁石を用いることなく、また、中敷きを厚くすることもなく、足裏の全体に効果的に磁力を作用できるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、中敷きを、マグネットシートからなる二枚の中敷き材を接着貼り合わせてなり、
二枚の中敷き材はそれぞれ、N極とS極とを交互に縞状に配するように少なくともその一面に多極着磁されてなると共に、
一方の中敷き材の前記縞の向きに対し他方の中敷き材の前記縞の向きが交叉するようになっているものとした。
【0006】
かかる中敷きにあっては、接着張り合わされる二枚の中敷き材の前記多極着磁による前記縞の交叉により、中敷き上に磁束密度の密な箇所と疎な箇所を形成させることができ、磁束密度の密な箇所によって使用者の足裏の深い箇所まで磁力を作用させることができる。中敷きは薄く、かつ、平坦に構成させることができ、また、靴のサイズに合わせたカッティングを任意に施すこともできる。
【発明の効果】
【0007】
この発明にかかる中敷きは、薄く、平坦に構成でき、通常の中敷きと形態を異ならせることがないにもかかわらず、足裏の全体に効果的に磁力を作用させることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図1〜図6に基づいて、この発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0009】
なお、ここで図1はこの発明を適用して構成された中敷きSの一例をその表面側から見て、図2はこれを構成する二枚の中敷き材Sa、Saを分離させた状態として、図3は分離させた中敷き材Saの要部を拡大して、図4は中敷きSの要部を拡大して、それぞれ示している。図5および図6は中敷きSをマグネットビュワーで観察したときに視認できる模様を表している。
【0010】
この実施の形態にかかる中敷きS、すなわちインソールは、使用者の足裏に効果的に磁気を作用させ得るものである。
【0011】
かかる中敷きSは、マグネットシートからなる二枚の中敷き材Sa、Saを接着貼り合わせてなる。マグネットシートとしては、典型的にはゴム磁石を用いることができる。二枚の中敷き材Sa、Saはそれぞれ、靴内に敷き込める形に成形されている。図示の例では、この二枚の中敷き材Sa、Saの一方のつま先側1に、中敷き材Saのかかと側2を湾曲内側とする複数のカッティング用線分3が中敷き材Saの長さ方向において隣り合うカッティング用線分3との間に間隔を開けて印刷などにより記されていると共に、各カッティング用線分3の頂部の内方にサイズ表示4が記されており、敷き込む靴のサイズに合ったカッティング用線分3に沿って中敷きSのつま先側1を切断することで中敷きSの大きさを敷き込むべき靴に合わせることができるようになっている。
【0012】
また、前記二枚の中敷き材Sa、Saはそれぞれ、N極とS極とを交互に縞状に配するように少なくともその一面に多極着磁されてなる。図示の例では、二枚の中敷きSの一面にそれぞれ片面多極着磁を施している。典型的には、中敷き材Saは厚さ1mm未満のものとされ、また、N極とS極との間のピッチは4mm程度とされる。
【0013】
そして、この実施の形態にあっては、一方の中敷き材Saの前記縞の向きF1に対し他方の中敷き材Saの前記縞の向きF2を交叉させるようにして、二枚の中敷き材Sa、Saを接着貼り合わせて中敷きSを構成させている。(図2)
【0014】
図示の例では、一方の中敷き材Saは、その長さ方向に沿ったN極に着磁された不可視の帯状領域5と、S極に着磁された不可視の帯状領域6とを、その幅方向において交互に配するように構成されている。また、他方の中敷き材Saは、その幅方向に沿ったN極に着磁された不可視の帯状領域5と、S極に着磁された不可視の帯状領域6とを、その長さ方向において交互に配するように構成されている。(図3)図示の例では、このように構成される二枚の中敷き材Sa、Saを接着貼り合わせることで、一方の中敷き材Saの帯状領域5、6と他方の中敷き材Saの帯状領域5、6とが略直交するようになっているが、二枚の中敷き材Sa、Saはかかる帯状領域5、6を交叉させるように接着貼り合わされれば足り、中敷き材Saに形成される帯状領域5、6の形成方向、二枚の中敷き材Sa、Saの帯状領域5、6の交叉の角度は必要に応じて適宜変更される。
【0015】
この実施の形態にかかる中敷きSにあっては、接着張り合わされる二枚の中敷き材Sa、Saの前記多極着磁による前記縞の交叉により、中敷きS上に磁束密度の密な箇所と疎な箇所を形成させることができ、磁束密度の密な箇所によって使用者の足裏の深い箇所まで磁力を作用させることができる。中敷きSは薄く、かつ、平坦に構成させることができ、靴のサイズに合わせたカッティングを任意に施すこともできる。
【0016】
片面多極着磁を施した二枚の中敷き材Sa、Saを、その着磁側の表面同士で前記のように貼り合わせてマグネットビュワーで観察すると格子の形が視認でき、格子の目の箇所に磁束密度が密な箇所が形成されていることが認められた。(図5)
【0017】
片面多極着磁を施した二枚の中敷き材Sa、Saの一方の表面に他方の裏面を前記のように貼り合わせてマグネットビュワーで観察すると格子が崩れて隣り合う波形の線と交わらない複数の波形の線形が視認でき、隣り合う波形の線間に磁束密度が密な箇所が形成されていることが認められた。(図6)
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】中敷きSの平面図
【図2】同分離斜視図
【図3】同要部拡大構成図(中敷き材Sa分離状態)
【図4】同要部拡大構成図(中敷き材Sa貼り合わせ状態)
【図5】マグネットビュワーによって観察される模様を示した構成図
【図6】マグネットビュワーによって観察される模様を示した構成図
【符号の説明】
【0019】
S 中敷き
Sa 中敷き材
F1 縞の向き
F2 縞の向き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネットシートからなる二枚の中敷き材を接着貼り合わせてなり、
二枚の中敷き材はそれぞれ、N極とS極とを交互に縞状に配するように少なくともその一面に多極着磁されてなると共に、
一方の中敷き材の前記縞の向きに対し他方の中敷き材の前記縞の向きが交叉するようになっていることを特徴とする中敷き。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−183466(P2009−183466A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−26614(P2008−26614)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(505461441)外山株式会社 (2)
【出願人】(594082420)株式会社大芝 (1)
【Fターム(参考)】