説明

中栓付き容器

【課題】中栓の天壁から立設した注出筒をキャップに形成された封止栓で密封する中栓付き容器につき、封止栓による注出筒への嵌合力を高めた場合においても天壁の座屈を防止して良好なシール性を確保する。
【解決手段】中栓付き容器1は、内側に内容物の収容空間を形成する容器本体3と、該容器本体3の口部5に装着され、収容空間内に収容される内容物を注出する注出筒21を有する中栓7と、容器本体3又は中栓7に装着されてその内側に中栓7を収容するとともに、容器本体3又は中栓7に装着された状態にて注出筒21に嵌合して収容空間を密閉する封止栓を有するキャップ9と、を備える。中栓7の、注出筒21を立設する天壁23の裏面には、該注出筒21の周りで放射状に延びる複数の補強板33が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、中栓付き容器に関し、特には、キャップ装着時の良好なシール性を確保しようとするものである。
【背景技術】
【0002】
この種の中栓付き容器として、従来、例えば下記特許文献1に記載されるような、内容物を収容する容器本体と、容器本体の口部に装着され、天壁から注出筒を立設する中栓と、中栓を覆うキャップとを備える容器が知られている。上記キャップの裏面には、中栓の注出筒内に嵌合して容器本体内を密封する封止栓が設けられている。
【0003】
このような中栓付き容器によれば、容器本体の口部に中栓が装着された状態で使用し、口部の径よりも小径の注出筒から内容物を注出することで、内容物を適量注出することができ、また、内容物の注出後には、キャップを装着することで容器内部を密封することができるため、例えば、ソースや醤油、ドレッシングといった液体調味料の容器として多用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−130123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記した従来の中栓付き容器では、キャップの裏面に形成された上記封止栓による上記注出筒のシール性を高めるため、封止栓と注出筒との嵌合(締め代)を強めると、封止栓が注出筒内に適正に挿入されずに、注出筒を立設する天壁の、注出筒の付近が座屈してしまうことがあり、天壁が座屈すると注出筒のシール性が著しく悪化することになる。
【0006】
それゆえ、この発明は、中栓の天壁から立設した注出筒をキャップに形成された封止栓で密封する中栓付き容器につき、封止栓による注出筒への嵌合力を高めた場合においても天壁の座屈を防止して良好なシール性を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、この発明の中栓付き容器は、内側に内容物の収容空間を形成する容器本体と、該容器本体の口部に装着され、前記収容空間内に収容される内容物を注出する注出筒を有する中栓と、前記容器本体又は前記中栓に装着されてその内側に前記中栓を収容するとともに、前記容器本体又は前記中栓に装着された状態にて前記注出筒に嵌合して前記収容空間を密閉する封止栓を有するキャップと、を備える中栓付き容器において、前記中栓の、前記注出筒を立設する天壁の裏面に、該注出筒の周りで放射状に延びる複数の補強板を設けたことを特徴とするものである。
【0008】
なお、この発明の中栓付き容器にあっては、前記中栓は、前記天壁と、該天壁の外縁から垂下する周壁とを有し、前記補強板は、前記天壁の裏面と前記周壁の内面との間に跨って延びることが好ましい。
【0009】
また、この発明の中栓付き容器にあっては、前記補強板の半径方向内側の端部は、前記注出筒の内面まで延出することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
この発明の中栓付き容器にあっては、キャップを外し、容器本体を傾ける等することにより注出筒を通じて内容物を注出することができる。そして、内容物を注出した後、キャップを装着することでキャップに形成された封止栓が注出筒内に嵌合して容器本体の収容空間が密閉されるが、封止栓による密封効果を高めるために封止栓を注出筒に強固に嵌合させる構成を採用しても、天壁の、注出筒の周辺部分の強度を放射状に延びる補強板により効果的に高めて、天壁が、封止栓が注出筒に嵌合する際の抵抗力に負けて座屈するのを防止し、良好なシール性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明に従う第1の実施形態の中栓付き容器を、一部を断面で示す側面図である。
【図2】図1の中栓付き容器の要部を示す、軸方向に沿う断面図である。
【図3】この発明に従う第2の実施形態の中栓付き容器の要部を示す、軸方向に沿う断面図である。
【図4】この発明に従う第3の実施形態の中栓付き容器の要部を示す、軸方向に沿う断面図である。
【図5】この発明に従う第4の実施形態の中栓付き容器の要部を示す、軸方向に沿う断面図である。
【図6】この発明に従う他の実施形態の中栓付き容器の要部を示す、軸方向に沿う断面図である。
【図7】この発明を適用していない比較としての中栓付き容器の要部を示す、軸方向に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。なお、この実施形態では、中栓付き容器における軸方向の一方側(図1における上側)を「上方」とし、また、中栓付き容器における軸方向の他方側(図1における下側)を「下方」とする。また、図1に示す符号Xは、中栓付き容器の中心軸線を示し、この中心軸線に沿う方向を軸方向、直交する方向を半径方向というものとする。
【0013】
図1に示すように、中栓付き容器1は概して、内側にソースや醤油、ドレッシングといった液体調味料等の内容物のための収容空間を形成する容器本体3と、該容器本体3の口部5に着脱可能に装着された中栓7と、容器本体3又は中栓7に着脱可能に被せられて中栓7を覆うキャップ9と、を備えている。これらの各部材は合成樹脂で形成することができる。
【0014】
容器本体3は、ここでは、筒状の胴部11と、胴部11の上端から上方に向かうに連れて縮径されたテーパー状の肩部13と、肩部13の内周縁から立設された筒状の上記口部5と、胴部11の下端を閉塞する底部15とからなる自立型の容器であるが、これに限定されず、胴部11の下端を潰すように変形させて接合してなるチューブ状の容器であってもよい(図示省略)。すなわち、容器本体3は、中栓7が取り付けられる口部5を有していればその形態に制限はない。
【0015】
口部5は、下部外面に外向きフランジ17が形成されるとともに、外向きフランジ17よりも上方の口部部分外面には中栓7を係合させるための突条19が形成されている。
【0016】
中栓7は、図2に詳細に示すように、ここでは口部5の上端部の外周に嵌着されるものであり、内容物を注出するための注出筒21が形成されている。詳細には、中栓7は、上記注出筒21をその中央から立設する天壁23と、該天壁23の外縁から垂下して軸方向に延びる周壁25と、周壁25の下端部に外向きに周設され下面が口部突端面に当接するフランジ27と、フランジ27の外縁から垂下し、内面に口部5の外面に形成された上記突条19を乗り越えて係止される突条29を有する係合筒壁31と、を有するものである。なお、この実施形態では、中栓7の係合筒壁31を口部5にアンダーアット係合させる例を示したが、口部5の外周面に雄ねじを形成するとともに、中栓7の係合筒壁31の内周面に雄ねじに対応する雌ねじを形成することにより、中栓7を口部5に螺着してもよい(図示省略)。
【0017】
注出筒21は、天壁23から、内側に内容物の注出通路Pを形成しながら起立し、注出筒21の先端には、内周縁に丸みを有するリップ部35が一体に形成されている。注出筒21は、後述するキャップの封止栓との強い嵌合力を得るため、先端に向かうに連れて径が僅かに漸減している。なお、注出筒21は、必ずしも天壁23の中央に設ける必要はなく、例えば、中栓7を覆うキャップをヒンジを介して中栓に連結した場合には、ヒンジが配置された側を後方側とすると、天壁の前方寄りに配置してもよい(図示省略)。
【0018】
そして、中栓7の、注出筒21を立設する天壁23の裏面には、注出筒21の周りで放射状に延びる複数(この例では8つ)の補強板33が形成されている。補強板33は、この例では略三角形の形状を有し天壁23の裏面と周壁25の内面との間に跨って延びる。補強板33は、中心軸線Xを中心とする周方向に等間隔で配置することが好ましい。また、補強板33は、少なくとも3つ以上設けることが好ましい。
【0019】
キャップ9は、容器本体3又は中栓7(この例では中栓7)に装着されてその内側に中栓7を収納するものであり、天板37の裏面中央部から上記注出筒35内へ嵌合する筒状の封止栓39を垂下するとともに、天板37の封止栓39より半径方向外方で嵌合筒41と外装筒43とを二重筒状に垂下している。嵌合筒41は、中栓7の周壁25に形成された雄ねじ25aに螺合する雌ねじ41aを有するとともに、中栓7のフランジ27まで垂下してキャップ9の過度のねじ込みを防止している。また、外装壁43は、容器本体3の肩部13下端付近まで垂下している。なお、封止栓39は、この例では筒状として説明したがこれに限定されず、中実の円柱状の封止栓としてもよい(図示省略)。
【0020】
上記構成において、図1の状態からキャップ9を外し、容器本体3を傾ける等することにより注出筒21を通じて内容物を適量注出することができる。そして、内容物を注出した後、キャップ9を締め込むことでキャップ9に形成された封止栓39が注出筒21内に嵌合して容器本体3の収容空間が密閉されるが、封止栓39による密封効果を高めるために封止栓39を注出筒21に強固に嵌合させる構成を採用しても、天壁23の、注出筒21の周辺部分の強度を放射状に延びる補強板33により効果的に高めて、天壁23が、封止栓39が注出筒21に嵌合する際の抵抗力に負けて座屈するのを防止することができる。
【0021】
これに対して、比較として図7に示すように、天壁23の裏面に補強板を設けていない中栓付き容器の場合には、封止栓39による注出筒21のシール性を高めるため、封止栓39と注出筒21との嵌合(締め代)を強めると、封止栓39が注出筒21内に適正に挿入されずに、天壁21の、注出筒21の付近が座屈してシール性が著しく悪化してしまう。
【0022】
図3は、この発明の第2の実施形態に係る中栓付き容器の要部を示している。この実施形態の構成のうち第1実施形態と同様の要素については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0023】
この実施形態に係る中栓付き容器1は、補強板33の形状が第1実施形態のものと若干異なるものであり、その他の構成は第1実施形態と同じである。具体的には、第1実施形態の補強板33は、半径方向内側の端部33aが天壁23と注出筒21との略境界に配置されていたが、第2実施形態の補強板33は、半径方向内側の端部33aが該境界を越えて注出筒21の下端部内面まで延出している。
【0024】
このように、補強板33の半径方向内側の端部33aを注出筒21の内面まで延出させることにより、内容物の注出後に注出筒21内に残った液が補強板33を伝って容器内に戻り易くなり、注出筒21内に内容液が残留したまま固化するといったような問題を解消することができる。
【0025】
この場合、図4及び図5にそれぞれ示す他の実施形態の中栓付き容器1のように、補強板33の、容器本体3の収容空間内を向く辺Sは曲線状としており、このようにすることで、内容物の注出後に注出筒21内に残った液をより一層スムーズに容器本体3の収容空間内に戻すことができる。
【0026】
以上、図示例に基づきこの発明の実施の形態を説明したが、この発明は上記実施形態のものに限定されず、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜に変更、変形することができる。例えば、図1の例では、補強板33は、その半径方向内端が注出筒21と天壁23との境界位置に配置されるものであったが、図6に示すように、補強板33の半径方向内端は、天壁23の半径方向内縁よりも半径方向外側に配置してもよい。また、補強板33の半径方向外端の下端も図1〜図5に示すように、周壁25の下端よりも上方で終端させてもよいし、図6に示すように周壁25の下端まで延在させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
かくして、この発明によれば、中栓の天壁から立設した注出筒をキャップに形成された封止栓で密封する中栓付き容器につき、封止栓による注出筒への嵌合力を高めた場合においても天壁の座屈を防止して良好なシール性を確保することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 中栓付き容器
3 容器本体
5 口部
7 中栓
9 キャップ
21 注出筒
23 天壁
25 周壁
33 補強板
33a 補強板の半径方向内側の端部
39 封止栓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側に内容物の収容空間を形成する容器本体と、該容器本体の口部に装着され、前記収容空間内に収容される内容物を注出する注出筒を有する中栓と、前記容器本体又は前記中栓に装着されてその内側に前記中栓を収容するとともに、前記容器本体又は前記中栓に装着された状態にて前記注出筒に嵌合して前記収容空間を密閉する封止栓を有するキャップと、を備える中栓付き容器において、
前記中栓の、前記注出筒を立設する天壁の裏面に、該注出筒の周りで放射状に延びる複数の補強板を設けたことを特徴とする中栓付き容器。
【請求項2】
前記中栓は、前記天壁と、該天壁の外縁から垂下する周壁とを有し、
前記補強板は、前記天壁の裏面と前記周壁の内面との間に跨って延びる、請求項1に記載の中栓付き容器。
【請求項3】
前記補強板の半径方向内側の端部は、前記注出筒の内面まで延出する、請求項1に記載の中栓付き容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−52878(P2013−52878A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190005(P2011−190005)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】