説明

中空木材から成る集成材とその製造方法

【課題】製造工程で強度的なバラツキをなくし、ヤング率の高い集成材を提供するもので、従来の集成材が接着剤による積層断面が見えるのに対して、本発明の集成材は、四方柾、四方板目、並びに二方柾等の美しい木理を有する集成材を提供できる。
【解決手段】木材の乾燥を促進し均一化するために木材の中心部に貫通した中空孔2を設け、該中空孔を有した木材を乾燥機等で十分に乾燥し、該乾燥木材の中空孔に同一木材または他の木材からなる孔埋め用乾燥堅木にて製作した丸棒材3を接着剤と共に嵌挿し接着一体化して集成材を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空乾燥木材を利用して製作される集成材に関するものであり、特に本発明は製造工程で強度的なバラツキをなくし、ヤング率の高い集成材を提供し、該集成材は従来の集成材が接着剤による積層断面が見えるのに対して、本発明の集成材は、四方柾、四方板目、並びに二方柾等の美しい木理を有する集成材とその製造方法を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
建築用木材の中心軸に沿って木材を中空にくり抜き人工的に乾燥させる技術として特許文献1(特許第3602921号公報)が開示されている。中空乾燥木材の特色としては集成材に比べて生産工程が簡単で設備が安価であることや、短時間で木材を気乾状態に乾燥して強度特性にバラツキのない木材を得ることができ、更に四方柾、四方板目、並びに二方柾等の美しい木理を有していることから、天然木の良さをアピールできる高品質の建築用材であることがあげられる。
【0003】
然しながら、中空乾燥木材は人工的な乾燥工程に入る前に木材を中空にくり抜き、木材の表面及び内部を均一に乾燥させてひび割れを防ぎ、気乾状態までの乾燥時間を短縮するものであるから、木材の中心部に中空孔が存在し、同一外径を有した気乾状態の木材に比較して断面積が小さくその分だけ強度が弱いという欠点が生じる。
【0004】
特に、四方板目の中空乾燥木材においては、木材の細胞壁密度の高い心材をくり抜いてしまうことから上記無垢材との強度比較は歴然としたものがある。
【0005】
また、一般的に木材を補強するという考えかたで、特許文献2(特開2005−23724号公報)には、間伐材等の芯をくり抜き中空部に鋼管を補強材として鋼管を挿入するものや、合成樹脂パイプを挿入するもの、或いは金網、ガラス繊維を筒状に偏成した補強材を中空部に挿入しエポキシ樹脂等を注入して遠心力で樹脂を中空部内壁に付着させ硬化するもの、或いは木材の中空部に繊維強化合成樹脂のパイプを形成する複合木材が開示されている。
【0006】
而して、上記特許文献2に開示された補強方法は、金属製の道路防護柵を天然木の外観を有するものに改修する複合木材を提供するものであって、該複合木材は木造建築の木軸用材として用いられる木材としては、甚だ都合の悪いものである。
【0007】
即ち、木造建築用の木材としては、木材の接合部加工が常に伴い、該加工方法は大工職方が接合部に位置を墨付けし、大切に管理されたノコギリやノミで穴を開けたりホゾを作ったりしており、また、最近ではプレカットによる高価な自動加工機による加工がなされており、木材の中に鋼材や、合成樹脂パイプ、金網、ガラス繊維等が内蔵されていることは、道具や加工機を損傷することになり、単なる強度補強のために中空乾燥木材の中空部に金属やプラスチック等のいわゆる工業材料を複合して用いることはできない。
【特許文献1】特許第3602921号公報
【特許文献2】特開2005−23724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
而して、本発明は、中空乾燥木材を利用した新規な集成材を提供し、また、その製造方法を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、製造工程で強度的なバラツキをなくし、ヤング率の高い集成材を提供することを可能とするものであり、また、該本発明の集成材では、従来の集成材が接着剤による積層断面が見えるのに対して、四方柾、四方板目、並びに二方柾等の美しい木理を有する集成材を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、金属、プラスチック等の工業材料を用いる複合木材ではなく、木材と接着剤の組み合わせによる集成材の構成であり、該集成材は接合部や仕口加工に際して大工道具やプレカットの加工機を損傷せしめる事がない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、木材の乾燥を促進し均一化するために木材の中心部に貫通した中空孔を設け、該中空孔を有した木材を乾燥機等で十分に乾燥し、該中空乾燥木材の中空孔に同一木材または他の木材からなる孔埋め用乾燥木材にて製作した棒材を接着剤と共に嵌挿し接着一体化して集成材を形成することを要旨とする。
【0012】
本発明は、木材の乾燥を促進し均一化するために木材の中心部に貫通した中空孔を設け、該中空孔を有した木材を乾燥機等で十分に乾燥し、該中空乾燥木材の中空孔に同一木材または他の木材からなる孔埋め用乾燥木材にて製作した棒材を接着剤と共に嵌挿し接着一体化して集成材を形成する中空木材から成る集成材の製造方法を要旨とする。
【0013】
また、本発明において、中空乾燥木材の中空孔に嵌挿される穴埋め用木材は、中空孔の形状に合わせて丸棒材や角棒材形状に形成し、該丸棒材や角棒材を接着剤と共に中空孔に嵌挿し接着一体化して集成材を形成することを要旨とする。
【0014】
また、本発明において、中空乾燥木材の中空孔に嵌挿される穴埋め用木材は、中空孔の形状に合わせた単純な丸棒材形状を有し、該丸棒材の表面は表面加工にて平滑に加工されていることを要旨とする。
【0015】
また、本発明は、中空乾燥木材の樹種がスギである場合に前記丸棒材の樹種はカシであることを要旨とする。
【0016】
また、本発明は、中空乾燥木材の樹種がカシである場合に前記丸棒材の樹種はカシであることを要旨とする。
【0017】
また、本発明は、中空乾燥木材の樹種がスギ、ヒノキ、ツガ、アカマツ、ベイマツ、カシ、ケヤキ等である場合、前記穴埋め用木材となる丸棒材はカシ、ケヤキ、ナラ、トチ、チーク等の堅木にて構成されることを要旨とする。
【0018】
また、本発明において、中空乾燥木材の中空孔に嵌挿される穴埋め用丸棒材の表面形状は、その長手方向に線状突起、または、線状凹部を有しており、該線状突起、線状凹部にて接着剤の導入間隙を形成したことを要旨とする。
【0019】
また、本発明において、中空乾燥木材の中空孔に嵌挿される孔埋め用丸棒材の表面形状は、その長手方向に螺旋形状の線状突起、または、螺旋形状の線状凹部を有しており、該螺旋形状の線状突起、線状凹部にて接着剤の導入間隙を形成したことを要旨とする。
【0020】
また、本発明は、中空乾燥木材の中空孔内径部に雌ねじを刻設し、該木材の中空孔に嵌挿される丸棒材には雄ねじを刻設してなり、前記中空孔内径部の雌ねじ部に丸棒材の雄ねじを接着剤を導入しながら螺合して中空孔を穴埋めしたことを要旨とする。
【0021】
また、本発明において、中空乾燥木材の中空孔に嵌挿される孔埋め用木材は、乾燥されたひき板を何枚も積み重ねて積層接着した積層材からなる中空孔の穴埋め材であることを要旨とする。
【0022】
また、本発明は、中空乾燥木材の乾燥を促進し均一化するために木材の中心部に貫通して設けた中空孔の形状が正角孔、または、平角孔形状の中空孔であり、該正角孔または平角孔の中空孔に嵌挿される穴埋め材は、同一木材または他の木材の乾燥堅木にて製作された集成材からなる正角材、または平角材の集成材であることをを要旨とする。
【0023】
更にまた、本発明において、正角孔並びに平角孔形状の中空孔は、製材木取りした木材を組み合わせ接着剤にて接合して集成材を形成し、該集成材の表面を削り前記接着面層が現れた部分には見かけ上の背割り溝を刻設して木材化粧面の意匠とすることを要旨とする。
【発明の効果】
【0024】
而して、本発明は、中空乾燥木材を利用した新規な集成材とその製造方法を提供することができ、該中空乾燥木材から成る集積材は、製造工程で強度的なバラツキをなくし、従来の中空乾燥木材に比較して、ヤング率の高い集成材を提供することができた。
【0025】
また、本発明において、従来の集成材が接着剤による接着面を積層断面として見せてしまうのに対して、本発明の集成材は、四方柾、四方板目、並びに二方柾等の美しい化粧面の木理を有する集成材を提供することができた。
【0026】
また、本発明は、金属、プラスチック等の工業材料を用いる複合木材ではなく、木材と木材を接着剤で組み合わせた集成材の構成であり、該集成材は接合部や仕口加工に際して大工道具やプレカットの加工機を損傷せしめる事がない集成材を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明は、木材の乾燥を促進し均一化するために木材の中心部に貫通した中空孔を設け、該中空孔を有した木材を乾燥機等で十分に乾燥し、該中空乾燥木材の中空孔に同一木材または他の木材からなる孔埋め用乾燥木材にて製作した棒材を接着剤と共に嵌挿し接着一体化して集成材を形成することが好ましい。
【0028】
本発明は、木材の乾燥を促進し均一化するために木材の中心部に貫通した中空孔を設け、該中空孔を有した木材を乾燥機等で十分に乾燥し、該中空乾燥木材の中空孔に同一木材または他の木材からなる孔埋め用乾燥木材にて製作した棒材を接着剤と共に嵌挿し接着一体化して集成材を形成する中空木材から成る集成材の製造方法であることが好ましい。
【0029】
また、本発明において、中空乾燥木材の中空孔に嵌挿される穴埋め用木材は、中空孔の形状に合わせて丸棒材や角棒材形状に形成し、該丸棒材や角棒材を接着剤と共に中空孔に嵌挿し接着一体化して集成材を形成することが好ましい。
【0030】
また、本発明において、中空乾燥木材の中空孔に嵌挿される穴埋め用木材は、中空孔の形状に合わせた単純な丸棒材形状を有し、該丸棒材の表面は表面加工にて平滑に加工されていることが好ましい。
【0031】
また、本発明は、中空乾燥木材の樹種がスギである場合に前記丸棒材の樹種はカシであることが好ましい。
【0032】
また、本発明は、中空乾燥木材の樹種がカシである場合に前記丸棒材の樹種はカシであることが好ましい。
【0033】
また、本発明は、中空乾燥木材の樹種がスギ、ヒノキ、ツガ、アカマツ、ベイマツ、カシ、ケヤキ等である場合、前記中空孔の穴埋め用木材となる丸棒材は、カシ、ケヤキ、ナラ、トチ、チーク等の堅木にて構成されることが好ましい。
【0034】
また、本発明において、中空乾燥木材の中空孔に嵌挿される穴埋め用丸棒材の表面形状は、その長手方向に線状突起、または、線状凹部を有しており、該線状突起、線状凹部にて接着剤の導入間隙を形成することが好ましい。
【0035】
また、本発明において、中空乾燥木材の中空孔に嵌挿される孔埋め用丸棒材の表面形状は、その長手方向に螺旋形状の線状突起、または、螺旋形状の線状凹部を有しており、該螺旋形状の線状突起、線状凹部にて接着剤の導入間隙を形成することが好ましい。
【0036】
また、本発明は、中空乾燥木材の中空孔内径部に雌ねじを刻設し、該木材の中空孔に嵌挿される丸棒材には雄ねじを刻設してなり、前記中空孔内径部の雌ねじ部に丸棒材の雄ねじを接着剤を導入しながら螺合して中空孔を穴埋めすることが好ましい。
【0037】
また、本発明において、中空乾燥木材の中空孔に嵌挿される孔埋め用木材は、乾燥されたひき板を何枚も積み重ねて積層接着した積層材からなる中空孔の穴埋め材であることが好ましい。
【0038】
また、本発明は、中空乾燥木材の乾燥を促進し均一化するために木材の中心部に貫通して設けた中空孔の形状が正角孔、または、平角孔形状の中空孔であり、該正角孔または平角孔の中空孔に嵌挿される穴埋め材は、同一木材または他の木材の乾燥堅木にて製作された集成材からなる正角材、または平角材の集成材であることが好ましい。
【0039】
更にまた、本発明において、正角孔並びに平角孔形状の中空孔は、製材木取りした木材を組み合わせ接着剤にて接合して集成材を形成し、該集成材の表面を削り前記接着面層が現れた部分には見かけ上の背割り溝を刻設することが好ましい。
【実施例1】
【0040】
斯くして、本発明の実施例1を、図1乃至図3に基づき説明する。図1は、本発明において使用する中空乾燥木材の形状を示す斜視説明図、図2は実施例1の製造工程を示す斜視説明図、図3(a)は実施例1に使用される穴埋め用木材の形状を示す説明図、図3(b)は実施例1の集成材を説明する木口部側面図である。
【0041】
図1乃至図3において、1は中空乾燥木材、2は中空乾燥木材1の略中心部に穿設された中空孔であり、前記中空乾燥木材1は、丸太を挽いて四方板目の木理を有する木材や、大型の木材を挽いて四方柾や、二方柾の木理を有する材木を切り出し、該材木の長手軸方向中心部に中空孔2をなか繰り貫通して設け、該中空孔2を有する木材を、前記特許文献1にて開示した中空木材の乾燥機等に入れて短時間で木材を気乾状態に乾燥して強度特性にバラツキのない中空乾燥木材1を得る。
【0042】
そして、図2に示す如く、前記中空乾燥木材1の中空孔2には、同一木材または他の木材からなる孔埋め用乾燥堅木にて製作した丸棒材3を接着剤4と共に嵌挿し接着一体化して集成材を形成する。
【0043】
また、中空乾燥木材1に正角孔、平角孔を穿設して、該正角孔、平角孔に角棒材を嵌挿することも本発明の要旨であるが、該実施例は後述する。
【0044】
而して、図3(a)は、前記中空孔2の孔埋め用乾燥堅木となる丸棒材3の形状例を示すもので、該中空孔2に嵌挿される丸棒材3の表面形状は、平滑に加工された真円に近い丸棒材3であり、一例として図3(b)に示す四方板目Aの製材木取りAを有した中空乾燥木材1の中空孔2に嵌挿され、該丸棒材3は前記中空孔2に丸棒材3が嵌挿され形成する非常に狭い接着剤導入間隙4に導入された接着剤5にて強固に接着され一体化した集成材6が提供される。
【0045】
また、前記中空乾燥木材1には、通常、含水量の比較的多い針葉樹材であるスギ、ヒノキ等が使用され、該スギ、ヒノキ等の木材は、中空乾燥により、気乾状態に乾燥して強度特性にバラツキのない中空乾燥木材1となる。
【0046】
従って、中空孔2の孔埋め用木材となる丸棒材3は、スギ、ヒノキ等中空乾燥木材1と同一の乾燥材を使用しも良いが、前記丸棒材3は、多分にも集成材としての強度アップが目的となるので、広葉樹材のカシ、ケヤキ等の堅木の乾燥木材の使用が好ましいし、中空乾燥木材1の使用コストにゆとりのある場合には、所謂、カシ、ケヤキ等の堅木の中空乾燥木材1にカシ、ケヤキ等の堅木の丸棒材3を中空孔2の穴埋め用木材として使用することが、ベストである。
【0047】
斯くして、本発明の実施例1は、木材の乾燥を促進し均一化するために木材の中心部に貫通して設けた中空孔2、該中空孔2を有した木材を乾燥機等で十分に乾燥して中空乾燥木材1を形成し、該中空乾燥木材1の中空孔2に同一木材または他の木材からなる孔埋め用乾燥木材にて製作した棒材3を接着剤5と共に嵌挿し接着一体化して集成材を形成することを特徴とする中空木材から成る集成材とその製造方法を提供した。
【0048】
また、実施例1において、中空乾燥木材1の中空孔に嵌挿される穴埋め用木材は、中空孔2の形状に合わせて丸棒材3を形成し、該丸棒材3を接着剤5と共に中空孔2に嵌挿し接着一体化して集成材6を形成する。
【0049】
また、実施例1において、中空乾燥木材1の中空孔2に嵌挿される穴埋め用木材は中空孔の形状に合わせた単純な丸棒材3形状を有し、該丸棒材3の表面は表面加工にて平滑に加工されている。
【0050】
また、実施例1においては、一例として、中空乾燥木材1の樹種がスギである場合に前記丸棒材3の樹種はカシであることを提案している。
同様に、中空乾燥木材1の樹種がカシである場合には、前記丸棒材3の樹種はカシであることを提案している。
【0051】
更にまた、実施例1は、中空乾燥木材1の樹種がスギ、ヒノキ、ツガ、アカマツ、ベイマツ、カシ、ケヤキ等である場合、前記穴埋め用木材となる丸棒材3はカシ、ケヤキ、ナラ、トチ、チーク等の堅木にて構成されることが良いことを提案している。
【0052】
而して、本発明の実施例1は、中空乾燥木材1を利用した新規な集成材6とその製造方法を提供することができ、該中空乾燥木材1から成る集積材6は、製造工程で強度的なバラツキをなくし、従来の中空乾燥木材1に比較して、該中空孔2を孔埋め補強して、ヤング率の高い集成材6を提供することができた。
【0053】
また、本発明の実施例1の構成は、従来の集成材が接着剤5の接着面を積層断面として見せてしまうのに対して、本発明の集成材6は、四方板目A(図3(b)は四方板目を例に説明)、四方柾B、並びに二方柾C等の美しい木理を表面化粧として有する集成材6を提供することができた。
【0054】
更に、本発明の実施例1における集成材6は、金属、プラスチック等の工業材料を芯材として用いる複合木材ではなく、木材と接着剤の組み合わせによる集成材の構成であり、該集成材7は接合部や仕口加工に際して、大工道具やプレカットの加工機を損傷せしめる事がない集成材6を提供することができた。
【実施例2】
【0055】
図4(a)、(b)は、本発明の実施例2の説明図である。図4(a)は、前記中空孔2の孔埋め用乾燥堅木となる丸棒材3の形状例を示すもので、該中空孔2に嵌挿される丸棒材3の表面形状は、その長手方向に線状突起4a、7b、7c・・・が設けられており、該線状突起7a、7b、7c・・・が、一例として図4(b)に示す四方板目Aの製材木取りをした中空乾燥木材1に穿設された中空孔2に嵌挿されると接着剤5の導入間隙4a、4b、4c・・・が形成され強固に接着され一体化した集成材6が提供される。
【実施例3】
【0056】
図5(a)、(b)は、本発明の実施例3を説明するもので、図5(a)は中空乾燥木材1の孔埋め用丸棒材の形状説明図、図5(b)は実施例3の集成材6を説明する木口側面図である。
【0057】
図5において、図1乃至図4と同一符号は同一構成要素を示しており、3は丸棒材、8a、8b、8c・・・は前記丸棒材3の長手軸方向に刻設された線状凹部であり、該線状凹部8a、8b、8c・・・が、一例として図5(b)に示す四方柾Bの製材木取りをした中空乾燥木材1に穿設された中空孔2に嵌挿されると接着剤4の導入間隙4a、4b、4c・・・が形成され強固に接着され一体化した集成材6が提供される。
【実施例4】
【0058】
図6(a)、(b)は、本発明の実施例4を説明するもので、図6(a)は中空乾燥木材1の孔埋め用丸棒材3の形状説明図、図6(b)は実施例4の集成材6を説明する木口側面図である。
【0059】
図6において、図1乃至図5と同一符号は同一構成要素を示しており、3は丸棒材であり、該丸棒材3の円周部には長手方向に螺旋形状の線状突起9a、9b、9c、・・・が連続して刻設されており、該螺旋形状の線状突起9a、9b、9c・・・が、一例として図6(b)に示す二方柾Cの製材木取りをした中空乾燥木材1に穿設された中空孔2に嵌挿されると接着剤5の導入間隙4が形成され該部分は表面積が大きく接着剤が均等に行きわたるので強固に接着され一体化した集成材6が提供される。
【0060】
また、実施例4では、前記螺旋形状の線状突起9a、9b、9c・・・に代わり螺旋形状の線状凹部形状物を刻設することでも、同様の効果を得ることができる。
【実施例5】
【0061】
図7は、本発明の実施例5を説明するもので、図7は中空乾燥木材1の孔埋め用丸棒材3を螺合により嵌挿している状態を示している。
図7において、図1乃至図6と同一符号は同一構成要素を示しており、1は中空乾燥木材、2は該中空乾燥木材に穿設された中空孔、3は中空孔2を孔埋めするための丸棒材である。
【0062】
而して、実施例5においては、前記中空乾燥木材1の中空孔2内径部に雌ねじ10を刻設し、該中空乾燥木材1の中空孔2に嵌挿される丸棒材3には雄ねじ11を刻設しており、前記中空孔2内径部の雌ねじ部10に丸棒材3の雄ねじ11を接着剤5を導入しながら螺合して中空孔2を穴埋めすることで中空乾燥木材1から成る集成材6を提供した。
【実施例6】
【0063】
図8、並びに図9は、本発明の実施例6を説明するものであり、図8は、木口側面図であり、図9は、中空木材1a、1b、1c、1dを接着剤5にて積層し大梁14を形成する状態を示す斜視説明図である。
【0064】
図8、並びに図9において、図1乃至図7と同一符号は同一構成要素を示しており、1は中空乾燥木材、2は該中空乾燥木材に穿設された中空孔、3は中空孔2を孔埋めするための集成材棒から成る丸棒材3である。
【0065】
本発明の実施例6において、中空乾燥木材1の中空孔2に嵌挿される丸棒材3は、乾燥されたひき板12a、12b、12c、12d、12e、12fを何枚も積み重ねて積層接着した積層材棒からなる中空孔2の穴埋め用木材13であり、該穴埋め用木材13を接着剤5を導入しながら嵌挿して中空乾燥木材1と一体化することで、中空乾燥木材1から成る集成材6とその製造方法を提供した。
また、図9は、前記製造工程にて製作された中空乾燥木材1a、1b、1c、1dを接着剤5にて積層し大梁14を形成した。
【0066】
而して、大梁14は、積層集積材であることから、各、中空乾燥木材1a、1b、1c、1dの接着面層15a、15b、15c、が大梁14の側面に現れるので、該部分に見かけ上の背割り溝16a、16b、16cを刻設することにより意匠性を向上させた。
【実施例7】
【0067】
図10、並びに図11は、本発明の実施例7を説明するものであり、図9は、正角材形状集成材を説明する木口側面図であり、図10は、平角材形状の集成材を説明する斜視図である。
【0068】
図10は、丸太よりフリッチ材17a、17b、17c、17dを挽いて中心部に正角孔18を有した集成材19を製造し、該集成材19の正角孔18に集成材から成る穴埋め用木材20を接着剤5と共に嵌挿し、比較的大きな断面形状を有する正角材21を製作している。
【0069】
また、図11は、丸太よりフリッチ材17a、17b、17c、17dを挽いて中心部に平角孔22を有した集成材23を製造し、該集成材23の平角孔22に集成材から成る穴埋め用木材20を接着剤5と共に嵌挿し、比較的大きな断面形状を有する平角材24を製作している。
【0070】
而して、実施例7は、木材の乾燥を促進し均一化するために木材の中心部に貫通して設けた中空孔の形状が正角孔18、または、平角孔形状の平角孔22であり、該正角孔18または平角孔22の中空孔に嵌挿される穴埋め用木材20は、同一木材または他の木材の乾燥堅木にて製作された集成材からなる正角材、または平角材の集成材である中空木材から成る集成材を提供している。
【0071】
また、前記正角孔18並びに平角孔22の中空孔は製材木取りした木材を組み合わせ接着剤にて接合して集成材を形成し、該集成材の表面を削り前記接着面層が現れた部分には見かけ上の背割り溝16a、16b、16c・・・を刻設して中空乾燥木材化粧面の意匠とする中空木材から成る集成材である。
【産業上の利用可能性】
【0072】
斯くして、本発明においては、中空乾燥木材を利用して製作される集成材を提供するものであり、特に本発明は、製造工程で強度的なバラツキをなくし、ヤング率の高い集成材を提供し、該集成材は、従来の集成材が接着剤による積層断面が見えるのに対して、本発明の集成材は、四方柾、四方板目、並びに二方柾等の美しい木理を有する集成材を提供するものであり、産業上利用の可能性は頗る大きい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明において使用する中空木材の形状を示す斜視説明図である。
【図2】実施例1の製造工程を示す斜視説明図である。
【図3】実施例1の集成材形状説明図である。
【図4】実施例2の集成材形状説明図である。
【図5】実施例3の集成材形状説明図である。
【図6】実施例4の構成説明図である。
【図7】実施例5の説明図である。
【図8】実施例6の説明図である。
【図9】実施例6の構成説明図である。
【図10】実施例7の構成説明図である。
【図11】実施例7の構成説明図である。
【符号の説明】
【0074】
1、1a、1b、1c・・・ 中空乾燥木材
2 中空孔
3 丸棒材
4、4a、4b、4c・・・ 接着剤導入間隙
5 接着剤
6 集成材
7a、7b、7c・・・ 線状突起
8a、8b、8c・・・ 線状凹部
9a、9b、9c・・・ 螺旋形状の線状突起
10 雌ネジ
11 雄ネジ
12a、12b、12c・・・ ひき板
13 孔埋め用木材
14 大梁
15a、15b、15c・・・ 接着面
16a、16b、16c・・・ 見かけ上の背割り溝
17a、17b、17c・・・ フリッチ材
18 正角孔
19 集成材
20 孔埋め用木材
21 正角材
22 平角孔
23 集成材
24 平角材
A 四方板目
B 四方柾
C 二方柾

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材の乾燥を促進し均一化するために木材の中心部に貫通した中空孔を設け、
該中空孔を有した木材を乾燥機等で十分に乾燥し、
該中空乾燥木材の中空孔に同一木材または他の木材からなる孔埋め用乾燥木材にて製作した棒材を接着剤と共に嵌挿し接着一体化して集成材を形成すること、
を特徴とした中空木材から成る集成材。
【請求項2】
木材の乾燥を促進し均一化するために木材の中心部に貫通した中空孔を設け、
該中空孔を有した木材を乾燥機等で十分に乾燥し、
該中空乾燥木材の中空孔に同一木材または他の木材からなる孔埋め用乾燥木材にて製作した棒材を接着剤と共に嵌挿し接着一体化して集成材を形成すること、
を特徴とした中空木材から成る集成材の製造方法。
【請求項3】
前記中空乾燥木材の中空孔に嵌挿される穴埋め用木材は中空孔の形状に合わせて丸棒材や角棒材形状に形成し、該丸棒材や角棒材を接着剤と共に中空孔に嵌挿し接着一体化して集成材を形成すること、
を特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載された中空木材から成る集成材。
【請求項4】
前記中空乾燥木材の中空孔に嵌挿される穴埋め用木材は中空孔の形状に合わせた単純な丸棒材形状を有し、該丸棒材の表面は表面加工にて平滑に加工されていること、
を特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載された中空木材から成る集成材。
【請求項5】
前記中空乾燥木材の樹種がスギである場合に前記丸棒材の樹種はカシであること、
を特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載された中空木材から成る集成材。
【請求項6】
前記中空乾燥木材の樹種がカシである場合に前記丸棒材の樹種はカシであること、
を特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載された中空木材からなる集成材。
【請求項7】
前記中空乾燥木材の樹種がスギ、ヒノキ、ツガ、アカマツ、ベイマツ、カシ、ケヤキ等である場合、前記穴埋め用木材となる丸棒材はカシ、ケヤキ、ナラ、トチ、チーク等の堅木にて構成されること、
を特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載された中空木材から成る集成材。
【請求項8】
前記中空乾燥木材の中空孔に嵌挿される穴埋め用丸棒材の表面形状はその長手方向に線状突起、または、線状凹部を有しており、該線状突起、線状凹部にて接着剤の導入間隙を形成したこと、
を特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の中空木材から成る集成材。
【請求項9】
前記中空乾燥木材の中空孔に嵌挿される孔埋め用丸棒材の表面形状はその長手方向に螺旋形状の線状突起、または、螺旋形状の線状凹部を有しており、該螺旋形状の線状突起、線状凹部にて接着剤の導入間隙を形成したこと、
を特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の中空木材から成る集成材。
【請求項10】
前記中空乾燥木材の中空孔内径部に雌ねじを刻設し、該木材の中空孔に嵌挿される丸棒材には雄ねじを刻設してなり、前記中空孔内径部の雌ねじ部に丸棒材の雄ねじを接着剤を導入しながら螺合して中空孔を穴埋めしたこと、
を特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の中空木材から成る集成材。
【請求項11】
前記中空乾燥木材の中空孔に嵌挿される孔埋め用木材は乾燥されたひき板を何枚も積み重ねて積層接着した積層材からなる中空孔の穴埋め材であること、
を特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載された中空木材から成る集成材とその製造方法。
【請求項12】
木材の乾燥を促進し均一化するために木材の中心部に貫通して設けた中空孔の形状が正角孔、または、平角孔形状の中空孔であり、該正角孔または平角孔の中空孔に嵌挿される穴埋め材は、同一木材または他の木材の乾燥堅木にて製作された集成材からなる正角材、または平角材の集成材であること、
を特徴とする中空木材から成る集成材。
【請求項13】
前記正角孔並びに平角孔形状の中空孔は製材木取りした木材を組み合わせ接着剤にて接合して集成材を形成し、該集成材の表面を削り前記接着面層が現れた部分には見かけ上の背割り溝を刻設して木材化粧面の意匠とすること、
を特徴とする請求項12記載の中空木材から成る集成材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate