説明

中継システム

【課題】同期信号に関する送信データ量を削減することができ、かつ、ハードウェア回路使用による再生クロックの誤差を抑制することのできる中継システムを得る。
【解決手段】受信側300の同期信号計算部302は、中継装置200からの同期信号に基づいてスレーブ送信タイミング信号を補正し、かつ、同期信号とのずれ時間を求め、ずれ時間が前回と比べて変化した場合は、前回時刻と現在時刻との時間差を時間データとして出力する。送信部304は、補正されたスレーブ送信タイミング信号に基づいて、データと時間データとを中継装置200に送信する。中継装置200は、受信側300への同期信号の前回送信時刻からの経過時間が時間データ以上になった場合は同期信号を受信側300に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信側から中継装置を介して送られる同期信号に基づいて受信側の送信タイミングを同期させる中継システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
信号の送受信が同じ伝送路上で行われる半二重の通信を行う場合、送受信のタイミングを決める信号である同期信号が必要である。マスタ/中継装置/スレーブ間で同期が取れていないと、送受信のタイミングがずれてしまい、複数の受信側(スレーブ)が同時にデータを送信するなどして、データの衝突が発生してしまう。そのため、マスタ/中継装置/スレーブ間で同期を取るため、例えば、特許文献1〜3に示すように、同期を取る方法が提案されている。
【0003】
特許文献1では、ビット同期保持のためにVCO(電圧制御発信器)を利用して再生クロックを発生させるものが開示されている。このような装置では、同期を保持するため、同期信号と再生クロックの誤差を示す誤差信号を制御電圧とし、その電圧により内蔵するVCOの発信周波数を制御して再生クロックを発生し、ノードを同期させる。
【0004】
特許文献2では、あるノードに対して送信データがない場合、同期信号のみを送信し、同期を保持させるものが開示されている。このような装置では、ノード間で同期を保持するため、データがある通信を行う際に同期信号を送る送信間隔のN倍(Nは自然数)で、送信側から受信側に同期信号を送信する。
【0005】
特許文献3では、再同期要因が発生しても、同期補正部が同期のずれを解消することで同期を保持するものが開示されている。再同期要因とは、一定期間送信がない場合や、同期情報の更新がない状態を言う。ずれを測る方法としては、ずれの測定用信号を作成し、それにより同期タイミングずれ量を算出する。その同期ずれの補正量を指示された同期補正部が補正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−46158号公報
【特許文献2】特開2007−110759号公報
【特許文献3】特開2010−11477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、従来では、(1)送信側から受信側へ同期信号やずれ測定用データ系列を送信する方法、(2)ノード内部でVCO(電圧制御発信器)によりタイミングを調節して同期するという方法、もしくはそれらの組み合わせによりノード間で同期を保持している。しかしながら、従来、(I)必要でないタイミングであっても同期信号やずれ測定用データ系列が送信される、(II)ずれ測定用データ系列を作成しなければならない、(III)VCOはハードウェア回路であるため内部抵抗や電流・電圧値になどの個体差があり、それが起因となり誤差が発生しやすい、という点については考慮されていなかった。そのため、従来では、送信データの増大や、ずれ測定専用のデータ系列の作成が必須であったり、また、ハードウェア回路の個体差により誤差が発生し易い、という問題があった。
【0008】
この発明は、上記のような問題を解決するためになされたもので、ノード間での同期保持において、同期信号に関する送信データ量を削減することができ、かつ、ハードウェア回路使用による再生クロックの誤差を抑制することのできる中継システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る監視制御装置の中継システムは、送信側から中継装置を介して送られる同期信号に基づいて受信側の送信タイミングを同期させる中継システムにおいて、受信側は、同期信号に基づく送信タイミングと、受信側の内部クロックに基づく送信タイミングとのずれ時間を計算し、ずれ時間に基づく補正を行ったスレーブ送信タイミング信号を送出すると共に、ずれ時間が前回と比べて変化した場合は、前回時刻と現在時刻との時間差を時間データとして出力する同期信号計算部と、同期信号計算部から送出されたスレーブ送信タイミング信号に基づいて、中継装置に対して受信側からのデータと時間データとを送信する送信部とを備え、中継装置は、受信側への同期信号の前回送信時刻からの経過時間が時間データ以上になった場合に同期信号の送信命令を出力する経過時間監視部と、最新の同期信号を保持し、経過時間監視部から送信命令を受けた場合は、最新の同期信号を出力する同期信号保持部と、同期信号保持部から同期信号が出力された場合は、同期信号を受信側に送出するデータ送信部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明の監視制御装置の中継システムは、受信側は、同期信号に基づいてスレーブ送信タイミング信号を補正すると共に、同期信号とのずれ時間を求め、ずれ時間が前回と比べて変化した場合は、前回時刻と現在時刻との時間差を時間データとして出力し、中継装置は、受信側への同期信号の前回送信時刻からの経過時間が時間データ以上になった場合は同期信号を受信側に出力するようにしたので、同期信号に関する送信データ量を削減することができると共に、ハードウェア回路使用による再生クロックの誤差を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1による中継システムを示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による中継システムの中継装置の構成と信号の流れを示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態1による中継システムの受信側の構成と信号の流れを示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態1による中継システムの受信側の動作を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態1による中継システムの同期信号を受信している期間のスレーブ送信タイミング信号の作成を示す説明図である。
【図6】この発明の実施の形態1による中継システムの同期信号が途切れている期間のスレーブ送信タイミング信号の補正を示す説明図である。
【図7】この発明の実施の形態2による中継システムの中継装置の構成と信号の流れを示す説明図である。
【図8】この発明の実施の形態2による中継システムの受信側の構成と信号の流れを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による中継システムを示す構成図である。
図1に示す中継システムは、送信側(マスタ)100、中継装置200、受信側(スレーブ)300、ノード400を備えている。送信側100はマスタとなる装置であり、データと共に同期信号を送出する。受信側300はスレーブとなる装置であり、送信側100から送信された同期信号に基づいて自身の送信タイミングを決定する。また、中継装置200は、送信側100と受信側300間のデータと同期信号を中継する装置である。ノード400は、パーソナルコンピュータといった、受信側300で受信したデータにより各種の処理を行う装置である。
【0013】
中継装置200は、受信データ解析部201、経過時間監視部202、同期信号保持部203、データ送信部204を備えている。図2は、中継装置200における構成と各部の信号を示す説明図である。尚、図中、実線はデータの流れを、破線は同期信号の流れを示している。
受信データ解析部201は、送信側100または受信側300から受信したデータを解析する回路であり、送信側100から受信したデータより同期信号を取り出すと共に、受信側300から受信したデータより時間データを取り出す。経過時間監視部202は、前回同期信号を受信側300へ送信した時刻から現在時刻までの経過時間を監視し、この経過時間が、受信データ解析部201から送られた時間データの値以上となった場合に同期信号保持部203に対して同期信号の送出を指示する。同期信号保持部203は、受信データ解析部201から送られた同期信号を保持するもので、最新の同期信号を保持するよう構成されている。データ送信部204は、送信側100からのデータと同期信号を受信側300に送信するものである。
【0014】
受信側300は、受信部301、同期信号計算部302、記憶部303、送信部304を備えている。図3は、受信側300における構成と各部の信号を示す説明図である。
受信部301は、中継装置200からデータと同期信号とを受信するインタフェースである。同期信号計算部302は、内部クロックや、その内部クロックの分周した信号を用い、受信部301で受信した同期信号に基づいて、同期信号とのずれ時間や時間データの計算を行い、補正したスレーブ送信タイミング信号と時間データとを送信部304に送出する。ここで、スレーブ送信タイミング信号とは、受信側300自身の送信タイミングである同期信号のことである。また、ずれ時間とは、後述する図5に示すように、受信側300が受信した同期信号と、スレーブ送信タイミング信号がずれている時間である。同期信号とスレーブ送信タイミング信号を、受信側300の内部クロックの周波数でサンプリングし、2つの値が異なれば、カウント値で内部クロックの周期を割ることでずれ時間を求めることができる。
ずれ時間=1/(スレーブ送信タイミング信号カウント値*内部クロックの周波数)
時間データとは、ずれ時間が変化する時間である。最新のずれ時間と前回のずれ時間が異なれば、最新のずれ時間を計算した時刻と、一つ前にずれ時間が変化した時刻の差を計算することで、ずれ時間が変化する時間(時間データ)が分かる。
【0015】
記憶部303は、同期信号計算部302で計算された時間データ、ずれ時間、ずれ時間に関する時刻、スレーブ送信タイミング信号カウント値を保持するための記憶部である。送信部304は、同期信号計算部302で計算されたスレーブ送信タイミング信号に基づいてノード400からのデータと時間データとを送信する機能部である。
尚、図1〜図3の構成は、送信側100から受信側300へのデータ送信と、受信側300から中継装置200へのデータ送信を示しており、中継装置200から送信側100へのデータ送信に関する構成は省略している。また、図2に示す受信側300−1と受信側300−2とは同様の構成であるため、図1及び図3では、単に受信側300として図示している。
【0016】
次に、実施の形態1の中継システムの動作について説明する。
<受信側300への送信データがある場合>
受信側300へ送信データがある場合、先ず、送信側100からデータと同期信号が中継装置200へ送られると、中継装置200の受信データ解析部201で、受信したデータの宛先を解析し、データ送信部204に受信したデータと同期信号を送る。それと同時に、経過時間監視部202に受信データ解析部201で解析した宛先の受信側300に同期信号を送信したことを通知し、経過時間監視部202がその送信した時刻を記憶する。次に、データ送信部204は、受信した送信データと同期信号を所望の受信側300へ送信する。
【0017】
受信側300では、中継装置200からのデータと同期信号を受信部301で受信し、通信データをPCなどのノード400に送る。一方、受信した同期信号は、同期信号計算部302に送信される。
図4は、受信側300の動作を示すフローチャートである。ステップST1,ST2で同期信号とデータとが受信されると、データはノード400に送信される(ステップST3)。同期信号計算部302では、スレーブ送信タイミング信号が同期信号と同じになるように補正を行い、最新のずれ時間を計算する(ステップST4)。このスレーブ送信タイミング信号の補正とずれ時間の計算の詳細については後述する。最新のずれ時間を前回のずれ時間(ただし、初期値は0とする)と比較し(ステップST5)、変化があれば「一つ前にずれ時間が変化した時刻(ただし、初期値は0とする)」を記憶部303から呼び出し、現在時刻との差分をとり、最新の時間データを計算する(ステップST6)。次に、最新の時間データと前回の時間データ(ただし、初期値は0とする)を比較し(ステップST7)、変化があれば最新の時間データを時間データとする(ステップST8)。最新の同期信号を基に、中継装置200へ時間データを送信し(ステップST9)、また所望のマスタやスレーブへ応答データを送信する。記憶部303で、時間データとずれ時間、ずれ時間に関する時刻を更新する(ステップST10)。尚、ステップST5において、ずれ時間の値が前回と変化なしであった場合はそのままステップ1に移行し、ステップST7で時間データの変化がなかった場合は、ステップST10に移行して、ずれ時間に関する時刻を更新する。
【0018】
中継装置200では、受信データ解析部201が受信側300から受信した時間データを経過時間監視部202に送り、経過時間監視部202は時間データを記憶する。
【0019】
<受信側300への送信データがなく、経過時間が時間データ以上になった場合>
中継装置200の経過時間監視部202が、経過時間を監視しており、経過時間が時間データ以上となった場合、中継装置200自身の送信タイミングを作成している同期信号保持部203で保持している同期信号を受信側300へ送信する。経過時間監視部202は、ある受信側300の経過時間が時間データ以上になった場合、同期信号保持部203に該当の受信側300へ同期信号を送信するように命令を出す。その命令を受け取った同期信号保持部203は自身が保持している同期信号をデータ送信部204へ送り、データ送信部204は該当の宛先の受信側300へ同期信号のみを送信する。
【0020】
受信側300では、中継装置200から送られた同期信号を受信部301で受信し(ステップST1)、受信した同期信号は、同期信号計算部302に送信される。同期信号計算部302では、スレーブ送信タイミング信号が同期信号と同じになるように補正を行い、最新のずれ時間を計算する(ステップST4)。このスレーブ送信タイミング信号の補正とずれ時間の計算については後述する。最新のずれ時間を前回のずれ時間と比較し(ステップST5)、変化があれば「一つ前にずれ時間が変化した時刻」を記憶部202から呼び出し、現在時刻との差分をとり最新の時間データを計算する(ステップST6)。最新の時間データと前回の時間データを比較し(ステップST7)、変化があれば最新の時間データを時間データとする(ステップST8)。最新の同期信号を基に、中継装置200へ時間データを送信する(ステップST9)。更に、ステップST5及びST7で前回から変化があった場合は、記憶部303で時間データとずれ時間、ずれ時間に関する時刻を更新する(ステップST10)。
【0021】
中継装置200では、受信データ解析部201が受信した時間データを経過時間監視部202に送り、経過時間監視部202は時間データを記憶する。
【0022】
<スレーブ送信タイミング信号の補正とずれ時間の計算>
<同期信号を受信している期間>
本システムの特徴であるスレーブ送信タイミング信号の補正とずれ時間の計算の詳細な動作を以下に説明する。
図5は、受信側300の同期信号計算部302で、同期信号とスレーブ送信タイミング信号を合わせるタイミングを示す説明図である。先ず、内部クロックを分周し、同期信号とほぼ同じ周波数の信号を生成する。次に、同期信号の立ち上がりを機に、スレーブ送信タイミング信号カウント値のカウントを開始する(図中、Aで示す)。内部クロックの立ち上がりのタイミングで、同期信号とスレーブ送信タイミング信号の値が異なれば、スレーブ送信タイミング信号を反転させる(図中、Bで示す)。また、同時にずれ時間の計算を行う。スレーブ送信タイミング信号が反転したら、スレーブ送信タイミング信号カウント値を記憶し、カウントを再び0からスタートさせる。同期信号が続けてある場合、以上で説明したようにスレーブ送信タイミング信号を反転させることで同期信号と同じ信号を作成する。また、同期信号が途切れた場合でも、スレーブ送信タイミング信号カウント値はカウントを続ける。
【0023】
<同期信号が途切れている期間>
図6は、同期信号が途切れている期間にスレーブ送信タイミング信号を補正するタイミングを示している。同期信号を受信している期間と同様に、内部クロックが同期信号とほぼ同じ周波数の信号を生成する。「ずれ時間×スレーブ送信タイミング信号カウント値」が内部クロックの周期以上になる一つ手前のスレーブ送信タイミング信号カウント値で、スレーブ送信タイミング信号を反転させる。図示例では、スレーブ送信タイミング信号カウント値が3になれば反転し、1からカウントを再開する(図中、Cで示す)。同時に、スレーブ送信タイミング信号カウント値のカウントを0からリスタートさせる。同期信号を受信すれば、同期信号を受信している期間で記したように同期信号の立ち上がりを機にカウントをリスタートさせる。
【0024】
このように、実施の形態1では、電圧で制御するVCOなどを利用することなくスレーブ送信タイミング信号を作成することにより、ハードウェアの個体差による誤差を軽減することができる。また、スレーブ送信タイミング信号の補正は可能な限り受信側300内部で行っており、中継装置から受信側300への同期信号の送信が最小限に抑えられているため、送信データ量が削減されている。さらに、同期のずれを測定するための専用データを使用しておらず、同期信号をそのまま送信すればよいので、中継装置への負荷を小さくすることができる。
【0025】
以上のように、実施の形態1の中継システムによれば、送信側から中継装置を介して送られる同期信号に基づいて受信側の送信タイミングを同期させる中継システムにおいて、受信側は、同期信号に基づく送信タイミングと、受信側の内部クロックに基づく送信タイミングとのずれ時間を計算し、ずれ時間に基づく補正を行ったスレーブ送信タイミング信号を送出すると共に、ずれ時間が前回と比べて変化した場合は、前回時刻と現在時刻との時間差を時間データとして出力する同期信号計算部と、同期信号計算部から送出されたスレーブ送信タイミング信号に基づいて、中継装置に対して受信側からのデータと時間データとを送信する送信部とを備え、中継装置は、受信側への同期信号の前回送信時刻からの経過時間が時間データ以上になった場合に同期信号の送信命令を出力する経過時間監視部と、最新の同期信号を保持し、経過時間監視部から送信命令を受けた場合は、最新の同期信号を出力する同期信号保持部と、同期信号保持部から同期信号が出力された場合は、同期信号を受信側に送出するデータ送信部とを備えたので、同期信号に関する送信データ量を削減することができると共に、ハードウェア回路使用による再生クロックの誤差を抑制することができる。
【0026】
また、実施の形態1の中継システムによれば、同期信号計算部は、スレーブ送信タイミング信号の補正を、スレーブ送信タイミング信号の値を反転させることで行うようにしたので、簡単で確実な補正を行うことができる。
【0027】
また、実施の形態1の中継システムによれば、受信側は、同期信号を受信しない場合、前回受信した同期信号に基づくずれ時間と、前回補正してからのスレーブ送信タイミング信号のカウント値とに基づいて、その反転タイミングを計算するようにしたので、受信側へ送信するデータがないときでも、受信側を同期させることができる。
【0028】
実施の形態2.
上記の実施の形態1は、送信信号の周波数に関係なく同期を保持するシステムであるが、実施の形態2では、PLC(電力線通信)のように、通信用の信号(データ、同期信号)と電力を分けて取り扱わなければならない場合に、各周波数に分ける機構を持つ例を示すものである。
【0029】
図7は、このような場合の、データ・同期信号・電力の流れを示す中継装置200aの構成図である。尚、図中、実線がデータ、破線が同期信号、点線が電力の流れを示している。
中継装置200aは、実施の形態1の中継装置200の構成に、HPF(ハイパスフィルタ)205a〜205cとLPF(ローパスフィルタ)206a〜206cを加えた構成になっている。図7において、HPF205a〜205cは、入力信号(データ、同期信号、電力)から高周波成分である通信用の信号(データ、同期信号)を出力する回路、LPF206a〜206cは入力信号(データ、同期信号、電力)から低周波成分である電力のみを出力する回路である。それ以外の構成については、実施の形態1と同様であるため、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0030】
図8は、実施の形態2における、データ・同期信号・電力の流れを示す受信側300aの構成図である。図において、受信側300aは、受信部301a、送信部304a、同期信号計算部302、記憶部303で構成されている。実施の形態2の受信側300aでは、受信部301aおよび送信部304aの内部に中継装置200aと同様、HPFとLPF(図示せず)が接続されている。その他の構成については、実施の形態1における受信側300の構成と同様であるため、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。また、実施の形態2においても、図7に示す受信側300a−1と受信側300a−2とは同様の構成であるため、図8では、単に受信側300aとして図示している。
【0031】
次に、実施の形態2の中継システムの動作について説明する。
実施の形態2では、実施の形態1の構成にHPFとLPFが追加された構成となっているが、スレーブ送信タイミング信号の作成方法は実施の形態1と同様であるため、その部分の動作説明は省略する。
送信側100から、通信用の信号(データ、同期信号)と電力が送信されると、先ず中継装置200aのHPF205a、LPF206aに入力される。HPF205aは、入力された信号のうち、高周波成分である通信用の信号を出力する。その通信用の信号は、受信データ解析部201に送られ、実施の形態1と同様に処理される。ただし、データ送信部204の各出力にもHPF205b,205cが接続されているため、電力がデータ送信部204に進入しないようになっている。一方、LPF206aは、入力された信号のうち、低周波成分である電力を出力する。この電力は、中継装置200aの動力源として使用され、また、受信側300aに送信される。
【0032】
受信側300aは、受信したデータ・同期信号・電力を、中継装置200aと同様にHPFとLPFが内蔵された受信部301aで通信用の信号と電力に分ける。分けられた通信用の信号は、実施の形態1と同様に取り扱われ、一方の電力は、受信側300aの動力源として使用される。更に、送信部304aにもHPFとLPFが内蔵されており、受信側300aの内部で通信用の信号と電力が分けられるようになっている。
【0033】
このように、PLCにおいても、実施の形態1と同様に同期信号とスレーブ送信タイミング信号の誤差がないようにすることができる。そのことにより、PLCにおいて、同期信号とスレーブ送信タイミング信号とのずれにより生じるデータ衝突の発生を回避することができる。更に、通信線である電力線上の同期に関するデータ量を削減することができる。
【0034】
以上のように、実施の形態2の中継システムによれば、中継装置は、受信側との入出力部に周波数フィルタを有すると共に、受信側は、中継装置との入出力部に周波数フィルタを有し、中継装置と受信側とのデータと同期信号の送受信を、周波数フィルタを介して行うようにしたので、一本の伝送路で周波数の異なる信号を送受信するようなシステムに対しても実施の形態1の中継システムと同様に適用することができる。
【0035】
また、実施の形態2の中継システムによれば、周波数フィルタは、ハイパスフィルタとローパスフィルタで構成され、高周波の信号と低周波の電力を分離して中継装置と受信側間で送受信を行うようにしたので、電力線通信のように、通信用の信号(データ、同期信号)と電力を分けて取り扱わなければならないようなシステムに適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
100 送信側(マスタ)、200,200a 中継装置、201 受信データ解析部、202 経過時間監視部、203 同期信号保持部、204 データ送信部、205a〜205c HPF、206a〜206c LPF、300,300a 受信側(スレーブ)、301,301a 受信部、302 同期信号計算部、303 記憶部、304,304a 送信部、400 ノード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信側から中継装置を介して送られる同期信号に基づいて受信側の送信タイミングを同期させる中継システムにおいて、
前記受信側は、
前記同期信号に基づく送信タイミングと、当該受信側の内部クロックに基づく送信タイミングとのずれ時間を計算し、当該ずれ時間に基づく補正を行ったスレーブ送信タイミング信号を送出すると共に、前記ずれ時間が前回と比べて変化した場合は、前回時刻と現在時刻との時間差を時間データとして出力する同期信号計算部と、
前記同期信号計算部から送出されたスレーブ送信タイミング信号に基づいて、前記中継装置に対して当該受信側からのデータと前記時間データとを送信する送信部とを備え、
前記中継装置は、
前記受信側への同期信号の前回送信時刻からの経過時間が前記時間データ以上になった場合に同期信号の送信命令を出力する経過時間監視部と、
最新の同期信号を保持し、前記経過時間監視部から送信命令を受けた場合は、前記最新の同期信号を出力する同期信号保持部と、
前記同期信号保持部から同期信号が出力された場合は、当該同期信号を前記受信側に送出するデータ送信部とを備えたことを特徴とする中継システム。
【請求項2】
同期信号計算部は、スレーブ送信タイミング信号の補正を、スレーブ送信タイミング信号の値を反転させることで行うことを特徴とする請求項1記載の中継システム。
【請求項3】
受信側は、同期信号を受信しない場合、前回受信した同期信号に基づくずれ時間と、前回補正してからのスレーブ送信タイミング信号のカウント値とに基づいて、その反転タイミングを計算することを特徴とする請求項2記載の中継システム。
【請求項4】
中継装置は、受信側との入出力部に周波数フィルタを有すると共に、当該受信側は、前記中継装置との入出力部に前記周波数フィルタを有し、前記中継装置と前記受信側とのデータと同期信号の送受信を、前記周波数フィルタを介して行うことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の中継システム。
【請求項5】
周波数フィルタは、ハイパスフィルタとローパスフィルタで構成され、高周波の信号と低周波の電力を分離して中継装置と受信側間で送受信を行うことを特徴とする請求項4記載の中継システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−4634(P2012−4634A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135004(P2010−135004)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】