説明

中継システム

【課題】同一VLANグループ又は同一マルチキャストグループに複数VLANを収容する場合のフラッディングによる帯域溢れを低減する。
【解決手段】折り返し通信用多重VLANが設定された中継システムにおいて、ユーザ端末を収容する中継装置203、204と、中継装置を収容する集約装置101との間で、フラッディングフレームを転送するためのフラッディング転送用VLAN(以下専用VLAN)を設定する。集約装置は、専用VLANが設定されていないポートからフラッディングフレームを受信すると、専用VLANを介して中継装置に該フラッディングフレームを転送する。また、専用VLANが設定されているポートからフラッディングフレームを受信すると、専用VLANを介して中継装置に該フラッディングフレームを転送するとともに、専用VLANが設定されていないポートへも該フラッディングフレームを転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中継システムに係り、特に、VLANおよびL2ネットワークのフレーム中継において、フラッディング専用VLANを用いた帯域溢れを低減する中継システムに関する。
【背景技術】
【0002】
L2(Layer 2)のネットワーク通信において、VLAN(Virtual Local Area Network)は物理的なネットワークに依存せず仮想的なL2ネットワークを構成する技術である。VLANの技術では、同一ポートにおいてVLANを多重化し、異なるセグメントのユーザを仮想的に複数収容することができる。また、VLANを利用した技術には、複数のVLANをひとつのVLANグループに所属させることで、VLANグループ内であれば同一ポート内の異なるVLAN間でも通信を行える技術がある。以降、本技術を「折返し通信用多重VLAN」とよぶ。これにより、ユーザ側のスイッチングハブでのみで収容していた通信を、中継網側のスイッチングハブに集約することができ、ユーザ側のスイッチングハブでそれぞれ行っていた帯域制御やフィルタなどの設定を中継網側のスイッチングハブで一括して設定を行うことが出来る。
また、L3のマルチキャスト通信を利用したシステムにおいても、同一のポート内に異なるVLANを収容し、かつ異なるVLANに収容されているユーザが同一のマルチキャストグループに所属している場合がある。マルチキャスト通信では、異なるL2ネットワークに所属するユーザへ情報を一括して配信することが可能である。マルチキャスト通信を利用したシステムとしては、複数検討されており、例えば特許文献1などに開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−15321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図12を例に、折返し通信用多重VLAN技術を利用した場合を説明する。例えば、中継網側にあるスイッチングハブに該当するフレーム中継集約装置にて、ユーザ側のスイッチングハブに該当するフレーム中継装置を集約し、ユーザ側のフレーム中継装置を接続するポートにおいて、複数のユーザのVLANを多重化収容している。図12では、ユーザ1(205)が所属するVLAN−a1(2102)と、ユーザ2(206)が所属するVLAN−a2(2103)と、ユーザ11(208)が所属するVLAN−a11(2105)と、回線(2013)に設定されるVLAN−a4(2106)とが同じVLANグループA(2101)に所属し、また、ユーザN(207)が所属するVLAN−b1(2104)はVLANグループB(2107)に所属するものとする。この場合、フレーム中継集約装置(101)では、ユーザ1(205)から送信されるフレーム(例えばブロードキャストフレーム)は、VLAN−a4(2106)宛の通信(2110)やVLAN−a11(2105)宛の通信(2111)の他、VLAN−a2(2103)宛にも転送される。
VLAN−a1(2102)とVLAN−a2(2103)は同じ物理ポートである回線(2011)上に設定されているが、折返し通信多重VLAN技術により、同一ポート内のVLANへの通信を実現する。
一方、VLAN−a4(2016)が設定された回線(2013)から入力されたフレームは、同じVLANグループA(2101)に所属するVLAN−a1(2102)とVLAN−a2(2103)とVLAN−a11(2105)へフレームが転送される。
上記の技術では、同一VLANグループに複数のVLANが所属するため、1つのVLANから送信されたフレームがマルチキャストやブロードキャスト、アンノウンユニキャストなどのフラッディング系のフレーム(以下、フラッディングフレームと称する場合がある)の場合、同一VLANグループに収容されている全てのVLANドメインにフレームが中継される。そのため、同一ポートに収容されているユーザがNユーザの場合、当該ポートにN倍のトラフィック負荷がかかり、当該ポートにおいて帯域溢れが発生する可能性がある。
【0005】
図13に示す構成例では、ユーザX(201)から送信されたフラッディングフレームT[bps]が、回線(2011)が接続されるポートでの収容ユーザ数分のN倍に増幅してT×N[bps]のトラフィックがフレーム中継集約装置(101)とフレーム中継装置(203)との間の回線(2011)へ流れる。そのため、回線(2011)の帯域容量がT×N[bps]に満たない場合は、回線(2011)にて帯域溢れによるパケットロスが発生する。
本課題は、異なるVLANに所属するユーザが同一のマルチキャストグループに所属していた場合のマルチキャスト通信においても同様に発生する。この場合は、図13において、ユーザX(201)がマルチキャスト配信サーバであり、ユーザ1(205)〜ユーザN(207)が同じマルチキャストグループに所属していた場合、マルチキャスト配信サーバであるユーザX(201)からマルチキャストフレームがN個にコピーされてT×N[bps]のトラフィックが回線(2011)へ流れる。
本発明は、以上の点に鑑み、折返し通信用多重VLAN技術を用いた構成において、フレーム中継装置間の回線の帯域圧迫を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、本発明では以下の機能を備える。
本フレーム中継システムは、折り返し通信を行うフレーム中継装置であって、ネットワークを介してフレームの送受信を行う物理ポートを有するネットワークインタフェースを備え、ネットワークインタフェースにて送受信されるフレームを処理する送受信処理機能部を有する転送処理用プロセッサと、転送情報テーブルおよびVLAN情報テーブルを記憶する転送処理用メモリとを有する転送制御部からなることを特徴とし、さらに、当該装置に設定される情報を管理する設定情報管理機能部を有する装置管理用プロセッサを備え、当該装置に設定される情報を記憶した設定情報テーブルと、設定情報テーブルを記憶する装置管理用メモリを有する装置管理部からなることを特徴とするフレーム中継集約装置と、
本フレーム中継集約装置と同等の機能を備えるが、折り返し通信を行わないことを特徴とするフレーム中継装置とを備える。
上記の機能により、フラッディングフレームとユニキャストフレームが所属するVLANを分離し、フラッディングフレームは1つのVLANグループに所属する全てのVLANに対して共通した1つのVLANのみを使用して転送でき、これまで同一ポートに所属するNユーザ分のVLANに流れていたフラッディングフレームを1/Nに低減することができる。これによって、当該装置および回線の帯域圧迫を低減できる。
【0007】
本発明の解決手段によると、
ユーザ端末を収容するネットワーク中継装置と、前記ネットワーク中継装置を収容するネットワーク中継集約装置とを備え、折り返し通信用多重VLANが設定された中継システムにおいて、
前記ネットワーク中継集約装置と前記ネットワーク中継装置間で、フラッディングフレームを転送するためのフラッディング転送用VLANを設定し、
前記ネットワーク中継集約装置は、
フラッディング転送用VLANが設定されていないポートからフラッディングフレームを受信すると、フラッディング転送用VLANを介して前記ネットワーク中継装置に該フラッディングフレームを転送し、
フラッディング転送用VLANが設定されているポートからフラッディングフレームを受信すると、フラッディング転送用VLANを介して前記ネットワーク中継装置に該フラッディングフレームを転送するとともに、フラッディング転送用VLANが設定されていないポートへも該フラッディングフレームを転送する中継システムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明よると、折返し通信用多重VLAN技術を用いた構成において、フレーム中継装置間の回線の帯域圧迫を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】フレーム中継集約装置101とフレーム中継装置203および204の構成図の例。
【図2】本実施の形態におけるフレーム中継集約装置の構成図である。
【図3】フレーム中継集約装置の設定情報テーブルの例である。
【図4】フレーム中継集約装置の転送情報テーブルの例である。
【図5】フレーム中継集約装置のVLAN情報テーブルの例である。
【図6】フレーム中継装置の設定情報テーブルの例である。
【図7】フレーム中継装置の転送情報テーブルの例である。
【図8】フレーム中継装置のVLAN情報テーブルの例である。
【図9】設定情報管理機能部の動作フローである。
【図10】フレーム中継集約装置の送受信処理機能部の動作フローである。
【図11】フレーム中継装置の送受信処理機能部での動作フローである。
【図12】折返し通信用多重VLAN技術を利用した場合の例。
【図13】本実施の形態のネットワーク構成の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
本実施の形態では、折返し通信用多重VLAN技術を用いた構成において、同一のVLANグループに複数VLANが所属し、かつ、同一ポートに複数VLANが収容されている場合のフレーム中継集約装置101およびフレーム中継装置203、204の例を説明する。ネットワークの全体構成は、例えば、図13に示す構成を用いることが出来る。
図1は、本実施の形態のフレーム中継集約装置101とフレーム中継装置203および204の構成図の例である。
フレーム中継集約装置101は、例えばフレーム中継装置203とフレーム中継装置204と図13のネットワーク202に、それぞれ回線2011と回線2012と回線2013にて接続している。この例では、フレーム中継装置203では、ユーザ1(205)〜ユーザ3(2207)の3ユーザが、それぞれVLAN−a1(2102)、VLAN−a2(2103)、VLAN−a3(2204)にて収容されている。また、フレーム中継装置204では、ユーザ4(2208)が、VLAN−a5(2215)にて収容されている。また、図13のユーザX(201)が、ネットワーク202を介して回線2013にて接続され、VLAN−a4(2106)にて収容されている。なお、ユーザ数、回線数、VLAN数などは適宜の数を用いることができる。また、フレーム中継集約装置101とフレーム中継装置203、204との間には、フラッディング転送用VLAN2210が設定される。
【0011】
図2は、フレーム中継集約装置(101)の構成図である。
フレーム中継集約装置(101)は、装置管理部(102)と、転送制御部(103)と、ネットワークインタフェース(104)とを有する。ネットワークインタフェース(104)は、複数の物理ポートを有する。図示のように、ネットワークインタフェース(104)は複数備えられてもよい。
装置管理部(102)は、設定情報管理機能部(1024)を含む装置管理用プロセッサ(1021)と、設定情報テーブル(1023)が記憶される装置管理用メモリ(1022)を有する。装置管理部(102)では、例えば、設定情報管理機能部(1024)が、フレーム中継集約装置(101)に対してオペレータに操作により入力された設定情報を、装置管理用メモリ(1022)の有する設定情報テーブル(1023)に予め登録する。
転送制御部(103)は、例えば、送受信処理機能部(1036)を含む転送処理用プロセッサ(1031)と、転送情報テーブル(1033)及びVLAN情報テーブル(1034)が記憶される転送処理用メモリ(1032)とを有する。転送処理用プロセッサ(1031)は、転送処理用メモリ(1032)のテーブルを参照してフレームの転送処理を行う。
フレーム中継装置(203、204)についても、フレーム中継集約装置(101)と同様の構成とすることができる。なお、各テーブルに設定される情報は各装置で異なる。
【0012】
(テーブル構成)
図3は、フレーム中継集約装置(101)における設定情報テーブル(1023)の構成例を示す。図6は、フレーム中継装置(203、204)における設定情報テーブル(623)の構成例を示す。各装置(101、203、204)の設定情報テーブルの構成は同様のため、以下、フレーム中継集約装置(101)における設定情報テーブル(1023)について説明する。
設定情報テーブル(1023)は、図3に示すように、例えばポート番号(301)、VLANの識別子(VID、302)、VLANグループの識別子(VLAN−G、303)、フラッディング転送用VLANの識別子(CMN−VID、304)、及び、フラグ(305)が対応して登録される。
ポート番号(301)は、回線が接続されるポートの番号である。番号以外に適宜の識別子を用いてもよい。VID(302)は、ポートに接続されているユーザのVLANを識別する識別子である。VLAN−G(303)は、VID(302)が示すVLANが属するVLANグループの識別子である。CMN−VID(304)は、フラッディング転送用VLANの識別子である。フラッディング転送用VLAN(2210)は、フレーム中継集約装置(101)においては、例えば折り返し通信用VLANとして使用され、かつ、ユーザ側のout方向(出力方向)に設定される。フラグ(305)は、対応するポートにフラッディング転送用VLANが設定されているか否かを示す。
図4に、フレーム中継集約装置(101)における転送情報テーブル1033の構成図を示す。図7に、フレーム中継装置(203、204)における転送情報テーブル6133の構成図を示す。各装置(101、203、204)の転送情報テーブルの構成は同様のため、以下、フレーム中継集約装置(101)における転送情報テーブル1033について説明する。
転送情報テーブル1033は、例えば、MACアドレス(401)と、VID(302)と、ポート番号(301)とが対応して記憶される。例えば、フレーム転送時に更新される。転送情報テーブルの更新については、所定のMACアドレス学習の手法を用いることができる。MACアドレス(401)はフレームを受信した際に該フレームの送信元MACアドレスが登録(学習)される。VID(302)は、VLANの識別子を示す情報であり、フレーム転送時にMACアドレス(401)とともに登録される。また、ポート番号(301)はフレーム受信時の受信ポートを示しており、これもMACアドレス(401)とVID(302)とともに登録される。転送情報テーブル1033は、例えば、ユニキャストフレームを受信した際などに、フレームの転送先のポート、VLANを識別するために参照される。
図5に、フレーム中継集約装置(101)におけるVLAN情報テーブル(1034)の例を示す。図8に、フレーム中継装置(203、204)におけるVLAN情報テーブル(6234)の例を示す。
VLAN情報テーブル(1034、6234)の構成は、上述の設定情報テーブル(1023、623)と同様であり、説明を省略する。
【0013】
(テーブルへの設定)
設定情報テーブル(1023)に設定情報が登録されると、装置管理用プロセッサ(1021)によって、転送制御部(103)の有する転送処理用メモリ(1032)内のVLAN情報テーブル(1034)へ当該設定情報が登録される。
図9に、設定情報管理機能部(1024)における動作の詳細フローを示す。
まず、設定情報管理機能部(1024)は、オペレータの操作により設定情報を入力する。例えば入力画面を表示して、設定情報の入力を促しても良いし、予め設定情報が記憶された媒体から読込んでも良い。ここで、設定情報は、設定情報テーブル1023の各項目の情報を含む。
設定情報管理機能部(1024)に設定情報が入力されると、設定情報管理機能部(1024)は、処理701にて設定情報テーブル1023に同じ設定情報のエントリがあるかを確認し、同じ設定情報のエントリがなければ設定情報テーブル1023に、入力された設定情報を登録する(処理702)。例えば、ポート番号(301)、VID(302)、VLAN−G(303)、CMN−VID(304)及びフラグ(305)を登録する。その後、設定情報管理機能部(1024)は、入力された設定情報にポート番号(301)、VID(302)、VLAN−G(303)、CMN−VID(304)及びフラグ(305)が含まれているか確認し(処理703)、含まれていればVLAN情報テーブル1034に設定情報を登録する(処理704)。含まれていない場合(例えば抜けている情報がある場合など、エラーがある場合)や、処理701にて設定情報テーブル(1023)に既に同じエントリが設定されている場合は、設定情報を登録せずに終了する。このように、設定情報テーブル(1023)に設定情報が登録または更新された場合、転送処理用メモリ(1032)内のVLAN情報テーブル(1034)にも設定情報が反映される。
【0014】
(フレーム中継集約装置の動作)
例えば、図1のフレーム中継集約装置(101)において、回線10(2013)より、フラッディングフレームを受信すると、ネットワークインタフェース104の有する物理ポート105にてフレームを受信し、転送制御部103が有する転送処理用プロセッサ1031の送受信処理機能部1036がフラッディングフレームとユニキャストフレームの送信判定を行う。
図10に、フレーム中継集約装置(101)における、送受信処理機能部1036での送信判定の詳細な動作フローを示す。
送受信処理機能部1036は、フレームを受信すると、フレームがマルチキャスト、ブロードキャスト及びアンノウンユニキャストのいずれかに該当しているか確認する(処理801)。例えば、フレームの宛先MACアドレスを参照し、マルチキャスト及びブロードキャスト用に予め定められたアドレスであるか確認する。また、宛先MACアドレスに基づき転送情報テーブル1033を参照し、宛先MACアドレスが登録されていないことにより、アンノウンユニキャストと判断する。
送受信処理機能部1036は、これらに該当していれば、VLAN情報テーブル1034から、受信したフレームのVLANと、フレームを受信したポートに一致するエントリを抽出し、そのエントリのフラグ305を参照する(処理802)。例えば、送受信処理機能部1036は、受信したフレーム内に含まれるVLANを識別するための識別情報(VID)と、フレームを受信したポートの識別情報(ポート番号)に基づきVLAN情報テーブル1034を検索し、上記エントリを特定する。VLAN情報テーブル1034には、設定情報管理機能部1024の処理702にて、フラグ305が登録されており、フラグ305は該当ポートがフラッディング転送用VLANのVID(CMN−VID)の設定がされているか否かを表現する情報になる。図10の処理802にてフラグを参照した結果、送受信処理機能部1036は、フラグ305がONかOFFかを判定する(処理803)。
【0015】
例えば図1における回線10(2013)を介してユーザXからフレームを受信した場合、図5のテーブルの第1行のエントリが抽出される。回線10は、ネットワーク側の回線であり、折り返しVLANを構成するものではないので、フラッディング転送用VLANのVID(CMN−VID304)が設定されておらず、フラグ305はOFFである。従って、この場合は該当ポートにCMN−VIDが設定されていないことになり、処理804へ移る(図中、丸数字1のケース)。フレーム中継集約装置(101)の送受信処理機能部1036は、VLAN情報テーブル1034より、受信したフレームのVLANとポートに一致するエントリのVLAN−Gと同じVLAN−Gを有するエントリを検索し、該当するエントリのCMN−VIDを選択する(処理804)。例えば、上述のようにVLAN情報テーブル1034が図5の構成であり、図1における回線10(2013)からフレームを受信した場合の例では、VLAN−Gが「1」のエントリが検索され、該当するエントリのCMN−VID「VLAN−aX」が選択される。
次に、送受信処理機能部1036は、処理805にて、選択したCMN−VIDへ当該フレームを送信する。ここでは、CMN−VID「VLAN−aX」であり、フレームはコピーされてポート20及び30に送信される(図1、実線参照)。また、送受信処理機能部1036は、受信したフレーム内の情報及びフレームを受信したポートに従い、転送情報テーブル(1033)を更新する(処理811)。
上述の処理は、ネットワーク202(図13)からフレーム中継装置(203、204)へのフロー(2201)が流れる場合の処理となり、フラッディング転送用VLAN(CMN−VID)が設定されてないVLANから、フラッディング転送用VLAN(CMN−VID)が設定されたVLANへの転送となる。
【0016】
図10の処理803にて、フラグ305がONの場合、例えばフレームを受信したポートがフラッディング転送用VLANが設定されている場合に相当し、例えば図1の例において回線20(2011)のポートからフレームを受信した例に相当する。この場合、当該ポートにCMN−VIDが設定されていることになり、送受信処理機能部1036は、VLAN情報テーブル1034より、受信したフレームのVLANと受信ポートに一致するエントリのVLAN−Gと同じVLAN−Gを有するエントリを検索し、該当するひとつ又は複数のエントリを選択する(処理806)。送受信処理機能部1036は、選択した各エントリのフラグを参照し(処理807)、フラグがONであれば(処理807Yes、図中丸数字3のケース)、該当エントリのCMN−VIDを抽出し、抽出したCMN−VIDへフレームを転送(処理808)する。これは、フレームを折り返し方向(ここではユーザ方向)に転送する場合に相当する。例えば図1のフラッディング転送用VLAN2210「VLAN−ax」にフレームが転送される。ここでは、回線20及び30にフレームが転送される。また、送受信処理機能部1036は、転送情報テーブル(1033)を更新する(処理811)。
【0017】
一方、選択したエントリのフラグがOFFであれば(処理807No、図中丸数字2のケース)、該当エントリのVIDへフレームを転送(809)する、これは、フレームをネットワーク(202)側に転送する場合に相当する。例えば図1のVlan−a4にフレームが転送される。また、送受信処理機能部1036は、転送情報テーブル(1033)を更新する(処理811)。
なお、処理807において、処理806で選択された複数のエントリのうちフラグがONのエントリと、フラグがOFFのエントリの双方がある場合は、双方について処理807〜809をそれぞれ実行する(図1、点線参照)。
処理807の判定において、フラグがONである場合は、フレーム中継集約装置(101)からフレーム中継装置(203、204)へのフロー(2206、2207)が流れる場合の処理となり、フラッディング転送用VLAN(CMN−VID)側から同じくフラッディング転送用VLAN(CMN−VID)への折り返し通信のフレーム転送処理となる。また、フラグがOFFである場合は、フレーム中継集約装置(101)からネットワーク202(図13)へのフロー(2205)が流れる場合の処理となり、フラッディング転送用VLAN(CMN−VID)側からフラッディング転送用VLANでないVLANへの転送処理となる。
図10の処理801にて、フラッディングフレームに該当しない場合は、処理810にて転送情報テーブル1034に基づく通常のフレーム転送を行う。
【0018】
(フレーム中継装置の動作)
図11に、フレーム中継装置(203、204)における、フレーム中継集約装置(101)からフレーム中継装置(203、204)へのフロー(2202、2203)が流れる場合の、フレーム中継装置(203、204)の送受信処理機能部1036での送信判定の詳細な動作フローを示す。
ここでは、フレーム中継装置(203)の送受信処理機能部を例に説明する。送受信処理機能部は、フレームを受信すると、上述と同様にして、フレームがマルチキャスト、ブロードキャスト及びアンノウンユニキャストのいずれかに該当しているか確認する(処理901)。送受信処理機能部は、該当していれば、上述の処理802と同様に、VLAN情報テーブル6234から、受信したフレームのVLANと、フレームを受信したポートに一致するエントリを抽出し、そのエントリのフラグ305を参照する(処理902)。送受信処理機能部は、フラグ305がONかOFFかを判定する(処理903)。
フラグ305がONの場合(処理903Yes)、送受信処理機能部は、受信したフレームのVLANに一致するエントリのVLAN−Gと同じVLAN−Gに所属するエントリをVLAN情報テーブル6234から選択する(処理904)。送受信処理機能部は、選択したエントリからフラグ305がOFFのエントリを抽出する(処理905)。例えば、図8の例では第4行〜第6行のエントリが抽出される。送受信処理機能部は、抽出した各エントリについて、エントリのポートとVIDをもとに、転送情報テーブル6133の対応するMACアドレス401を参照し(処理906)、参照したMACアドレスが受信フレームの送信元MACアドレスに一致しないか判定する。送受信処理機能部は、一致するものは除外し、受信フレームの送信元MACアドレスに一致しないエントリを特定する(処理907)。送受信処理機能部は、特定したエントリのVIDに該当するVLANにフレームを転送し、転送情報テーブルを更新する(処理908)。
【0019】
このように、CMN−VID経由でフレーム中継集約装置(101)から受信したフレームは、同じVLAN−Gに所属するVLAN(ユーザ回線ポートのみ)へ転送される。なお、フラグがOFFのポートはユーザ回線ポートのみである。同じMACがあるポートは、当該フレームを送信したユーザが接続されているので転送しない(転送すると元来た場所にもどりループになる)。図1の例では、フレーム中継装置(203)の送受信処理機能部は、ユーザ1(205)から送信され、フレーム中継集約装置101で折り返されたフレームを、ユーザ2(206)とユーザ3(2207)に送信する(図中丸数字3の動き)。一方、ネットワーク側から送信されたクレームは、ユーザ1(205)、ユーザ2(206)及びユーザ3(2207)に送信される。
なお、ユニキャストフレームを受信した場合など処理901にてNoと判断された場合、また、処理903にて抽出したエントリのフラグがOFFである場合(ユーザ側からフレームを受信した場合に相当)は、送受信処理機能部は、転送情報テーブル(6133)に従いフレームを転送し、転送情報テーブル(6133)を更新する(処理909)。このように、ユーザ回線ポートから受信したフレームやユニキャストフレームは通常転送となる。
上記機能により、図13に示すフレーム中継集約装置(101)からフレーム中継装置(203)やフレーム中継装置(204)向けの通信において、フレームがフラッディングフレームであっても、1つのVLANグループに対して1つのVLANのみの帯域圧迫となり、回線20(2011)や回線30(2012)の帯域溢れが発生することを防止することができる。
【0020】
(構成例)
本システムは、折り返し通信を行うフレーム中継集約装置であって、ネットワークを介してフレームの送受信を行う物理ポートを有するネットワークインタフェースを備え、ネットワークインタフェースにて送受信されるフレームを処理する送受信処理機能部を有する転送処理用プロセッサと、転送情報テーブルおよびVLAN情報テーブルを記憶する転送処理用メモリとを有する転送制御部を有することを特徴とし、さらに、当該装置に設定される情報を管理する設定情報管理機能部を有する装置管理用プロセッサを備え、当該装置に設定される情報を記憶した設定情報テーブルと、設定情報テーブルを記憶する装置管理用メモリを有する装置管理部を有することを特徴とするフレーム中継集約装置と、本フレーム中継集約装置と同等の機能を備えるが、折り返し通信を行わないことを特徴とするフレーム中継装置を備える。
【0021】
上述の設定情報テーブルは、当該装置へ設定される、フレームを送受信するネットワークインタフェースの物理ポートを示すポート番号とVLANを示すVIDと複数のVLANが収容されるVLANグループの識別を示すVLAN−Gとその識別番号を示すCMN−VIDとフラグとを有することを特徴のひとつとする。
上述の設定情報管理機能部は、当該装置に設定された情報を設定情報テーブルに登録し、さらに、転送制御部の転送制御用メモリ内のVLAN情報テーブルに登録および更新する機能を有することを特徴のひとつとする。
上述の送受信処理機能部は、同じく請求項1に記載の設定情報管理機能部によって登録および更新されるVLAN情報テーブルを管理し、ネットワークインタフェースが備える物理ポートから受信または当該物理ポートへ送信するフレームを転送情報テーブルへ記憶し管理する機能、および、転送情報テーブルに従い、ネットワークインタフェースへ転送命令を出す機能を備えることを特徴のひとつとする。
上述のフレーム中継集約装置内送受信処理機能部は、マルチキャストフレームとブロードキャストフレームとアンノウンユニキャストフレームのフラッディングフレームを、ユニキャストフレームが使用するVLANと別に管理し送信する機能、および、ユニキャストフレームとフラッディングフレームを同一に管理し送信する機能を持ち、設定情報管理機能部より設定されたVLAN情報テーブル、および、フレームが当該装置の物理ポートで送受信されることにより情報が更新される転送情報テーブルによって、フラッディング用VLANを使用するか、もしくはフレーム内のVIDを使用して送信先VLANを決定し制御することを特徴のひとつとする。
【0022】
上述のネットワークインタフェースは、具備する物理ポートからフレームを受信し、上記送受信処理機能部の転送命令に従い、上述の送信方法の決定と制御を行うことで、該当物理ポートに送信する機能を有することを特徴のひとつとする。
上述のフラグ情報テーブルは、上記送受信処理機能部においてフラッディングフレームをユニキャストフレームが使用するVLANと別に管理し送信するか、もしくは、ユニキャストフレームとフラッディングフレームを同一に管理し送信するか、の送信方法を決定する情報として使用されるフラグとポート番号を有することを特徴のひとつとする。
上述のフレーム中継装置内送受信処理機能部は、フラッディング用VLANから受信したフレームを転送する際に、同じMACアドレスが登録されていないVLANを抽出し、かつ、同一VLANグループに所属するVLAN宛にフレームを転送する機能を有することを特徴のひとつとする。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、例えば、折り返し通信を行うフレーム中継装置、フレーム中継システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0024】
101 フレーム中継装置
102 装置管理部
103 転送制御部
104 ネットワークインタフェース
105 物理ポート
1021 装置管理用プロセッサ
1022 装置管理用メモリ
1023 設定情報テーブル
1024 設定情報管理機能部
1031 転送処理用プロセッサ
1032 転送処理用メモリ
1033 転送情報テーブル
1034 VLAN情報テーブル
1036 送受信処理機能部
201 ユーザX
202 ネットワーク網
203 フレーム中継装置2
204 フレーム中継装置3
205 ユーザ1
206 ユーザ2
207 ユーザN
208 ユーザ11
209 ユーザ12
2010 フラッディングフレーム
2021 ユーザX(201)とネットワーク網202間の回線
2011 回線20
2012 回線30
2013 回線10
2025 ユーザ1接続回線
2026 ユーザ2接続回線
2027 ユーザN接続回線
2015 ユーザ11接続回線
2101 グループVLAN−A
2102 VLAN−a1
2103 VLAN−a2
2104 VLAN−b1
2105 VLAN−a11
2106 VLAN−a4
2107 グループVLAN−B
2110 フロー1
2111 フロー2
2112 フロー3
2201 ネットワーク202からフレーム中継集約装置101へのフロー
2202 フレーム中継集約装置101からフレーム中継装置203へのフロー
2203 フレーム中継集約装置101からフレーム中継装置204へのフロー
2204 VLAN−a3
2205 フレーム中継集約装置101からネットワーク202へのフロー
2206 フレーム中継装置203からフレーム中継装置203へのフロー
2207 フレーム中継装置203からフレーム中継装置204へのフロー
2208 ユーザ4
2210 CMN−VID
2215 VLAN−a5
2228 ユーザ4接続回線
301 ポート番号
302 VID
303 VLAN−G
304 CMN−VID
305 フラグ
401 MACアドレス
701 設定情報テーブル1023のエントリ重複確認処理
702 設定情報テーブル1023への情報登録処理
703 入力設定情報の確認処理
704 VLAN情報テーブル1034の登録処理
801 フラッディング判定処理(フレーム中継集約装置)
802 VLAN情報テーブルのフラグ参照処理
803 フラグ判定1
804 受信フレームのVLAN一致確認処理(CMN−VID)
805 フレーム送信処理(フラグOFF、CMN−VID)
806 受信フレームのVLAN一致確認処理(VLAN−G)
807 フラグ判定2
808 フレーム送信処理(フラグON、CMN−VID)
809 フレーム送信処理(VID)
810 フレーム送信処理(ユニキャストフレーム)
901 フラッディング判定処理(フレーム中継装置)
902 VLAN情報テーブルのフラグ参照処理
903 フラグ判定3
904 受信フレームのVLAN一致確認処理(VLAN−Gの一致エントリ)
905 フラグOFFのエントリ抽出処理
906 転送情報テーブルのMACアドレス参照処理
907 送信元一致判定
908 VID宛フレーム転送処理および転送情報テーブル更新
909 フレーム転送処理および転送情報テーブル更新

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末を収容するネットワーク中継装置と、前記ネットワーク中継装置を収容するネットワーク中継集約装置とを備え、折り返し通信用多重VLANが設定された中継システムにおいて、
前記ネットワーク中継集約装置と前記ネットワーク中継装置間で、フラッディングフレームを転送するためのフラッディング転送用VLANを設定し、
前記ネットワーク中継集約装置は、
フラッディング転送用VLANが設定されていないポートからフラッディングフレームを受信すると、フラッディング転送用VLANを介して前記ネットワーク中継装置に該フラッディングフレームを転送し、
フラッディング転送用VLANが設定されているポートからフラッディングフレームを受信すると、フラッディング転送用VLANを介して前記ネットワーク中継装置に該フラッディングフレームを転送するとともに、フラッディング転送用VLANが設定されていないポートへも該フラッディングフレームを転送する中継システム。
【請求項2】
前記ネットワーク中継装置は、フラッディング転送用VLANを介して前記ネットワーク中継集約装置からフラッディングフレームを受信すると、フラッディング転送用VLANに対応するポート及び該フラッディングフレームの送信元に対応するポートの双方を除くポートに、該フラッディングフレームを転送する請求項1に記載の中継システム。
【請求項3】
前記ネットワーク中継装置は、接続される複数の前記ユーザ端末のひとつからのフレームを前記ネットワーク中継装置に転送する請求項2に記載の中継システム。
【請求項4】
前記ネットワーク中継集約装置は、回線が接続されるポートのポート識別子と、該ポートに接続されているユーザのVLANを識別するVLAN識別子と、該VLAN識別子が示すVLANが属するVLANグループの識別子と、フラッディング転送用VLANの識別子と、該ポートにフラッディング転送用VLANが設定されているか否かを示すフラグとが対応して記憶される第1VLAN情報テーブルを有する請求項1に記載の中継システム。
【請求項5】
前記ネットワーク中継集約装置は、
前記第1VLAN情報テーブルを参照し、受信したフラッディングフレームのVLAN識別子と、該フレームを受信したポートとが一致する第1エントリを特定して、該第1エントリのフラグを参照し、
該フラグがフラッディング転送用VLANが設定されていないことを示す場合、該第1エントリのVLANグループの識別子と同じVLANグループの識別子を有するひとつ又は複数の第2エントリを特定し、該第2エントリのフラッディング転送用VLANの識別子を選択し、選択したフラッディング転送用VLANの識別子に基づき、受信したフラッディングフレームを送信し、
該フラグがフラッディング転送用VLANが設定されていることを示す場合、該第1エントリのVLANグループの識別子と同じVLANグループの識別子を有するひとつ又は複数の第2エントリを特定し、該第2エントリのうち、対応するフラグがフラッディング転送用VLANが設定されていることを示すエントリについては、該エントリのフラッディング転送用VLANの識別子に基づき、受信したフラッディングフレームを送信し、対応するフラグがフラッディング転送用VLANが設定されていないことを示すエントリについては、該エントリのVLAN識別子に基づき、受信したフラッディングフレームを送信する請求項4に記載の中継システム。
【請求項6】
前記ネットワーク中継装置は、回線が接続されるポートのポート識別子と、該ポートに接続されているユーザのVLANを識別するVLAN識別子と、該VLAN識別子が示すVLANが属するVLANグループの識別子と、フラッディング転送用VLANの識別子と、該ポートにフラッディング転送用VLANが設定されているか否かを示すフラグとが対応して記憶される第2VLAN情報テーブルを有する請求項2に記載の中継システム。
【請求項7】
前記ネットワーク中継装置は、
前記第2VLAN情報テーブルを参照し、受信したフラッディングフレームのVLAN識別子と、該フレームを受信したポートとが一致する第3エントリを特定して、該第3エントリのフラグを参照し、
該フラグがフラッディング転送用VLANが設定されていることを示す場合に、該第3エントリのVLANグループの識別子と同じVLANグループの識別子を有するひとつ又は複数の第4エントリを特定し、
特定した第4エントリから、フラグがフラッディング転送用VLANが設定されていないことを示すひとつ又は複数の第5エントリを抽出し、
該第5エントリのVLAN識別子に基づき、受信したフラッディングフレームを送信する請求項6に記載の中継システム。
【請求項8】
前記ネットワーク中継装置は、
ポート識別子と、VLAN識別子と、MACアドレスとが対応して記憶され、受信されたフレームに従い更新される転送情報テーブル
をさらに有し、
抽出した第5エントリのポート識別子とVLAN識別子に基づき前記転送情報テーブルを参照し、対応するMACアドレスと、受信したフラッディングフレームの送信元MACアドレスが一致する第5エントリを除外する請求項7に記載の中継システム。
【請求項9】
フラッディング転送用VLANは、前記フレーム中継集約装置においては、折り返し通信用多重VLANに所属しており、かつ、ユーザ側の出力方向に設定される請求項1に記載の中継システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−38519(P2013−38519A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171342(P2011−171342)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】