説明

中継接続ユニット

【課題】ハードウェア化した中継接続ユニットのアプリケーション回路部の動作順序を設定する。
【解決手段】電子制御ユニットを夫々接続しているバス31間に介在させてネットワーク32を形成し、異なるバス31に属する前記電子制御ユニット30間で送受信するメッセージを中継する車載用の中継接続ユニット10であって、少なくともメッセージの中継処理またはネットワークマネジメント機能を実行するネットワークマネジメント処理を含む複数のアプリケーション回路部22と、前記複数の各アプリケーション回路部22に設けられたインターフェース回路23と接続され、これら複数のアプリケーション回路部22の動作順序を制御する制御回路部21と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中継接続ユニットに関し、詳しくは、中継接続ユニットをハードウェアである複数のアプリケーション回路部で構成した場合に、該アプリケーション回路部の動作順序を制御するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載される機器を制御する電子制御ユニット(ECU)を多重通信用のバス同士を中継接続ユニット(ゲートウェイ)を介して接続してネットワークを構築し、異なるバスに属するECU間で送受信されるメッセージを該中継接続ユニットで中継する車載用通信システムが採用されている。
近年では、車両の高機能化および高性能化に伴って車両に搭載される機器が増加しており、中継接続ユニットが中継するメッセージの数も急増している。中継接続ユニットに多数のメッセージが送信された場合には、全てのメッセージを即座に中継処理することができず、中継待ちのメッセージが中継接続ユニット内に滞留することになり、メッセージの中継に遅延が生じてしまう。このため、中継接続ユニットは中継処理を高速に行うことが望まれている。
【0003】
そこで、特開2006−352235号公報(特許文献1)では、中継接続ユニットの中継処理をCPUのソフトウェアによらずにハードウェアにより行う構成が提案されている。中継接続ユニットは中継処理として、メッセージの中継先を特定する宛先検索処理と、メッセージの固定長セルのスイッチングを行うスイッチング処理を行っているが、特許文献1ではCPUで宛先検索処理とスイッチング処理を行うのではなく、ハードウェア化されたサーチエンジンとセルフルーティングモジュールにおいて宛先検索処理とスイッチング処理を行っている。
このため、CPUの処理性能がメッセージの中継速度に影響しなくなり、CPUの処理性能が原因で生じるメッセージの中継遅延の発生を低減することができる。
また、宛先検索処理とスイッチング処理をCPUにおいてソフトウェアで行う場合は、CPUは同時にどちらか1つの処理しか行うことができないが、宛先検索処理とスイッチング処理をハードウェア化することで、同時に両方の処理を並列に行うことができ、中継処理を高速化することができる。
【0004】
【特許文献1】特開2006−352235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したように、中継接続ユニットは、各アプリケーションの処理をハードウェア化したアプリケーション回路で行っており、該アプリケーション回路はそれぞれ並列に動作が可能である。
一方で、中継接続ユニットが所定の処理を行うために、動作順序を定めてアプリケーション回路を動作させることが必要な場合がある。例えば、アプリケーション回路Aが動作して処理を行い、処理結果を受信してアプリケーション回路Bが処理を行う場合、各アプリケーション回路の動作の順序はアプリケーション回路A→アプリケーション回路Bとなり、該順序が逆になると中継接続ユニットは正常な処理を行うことができない。
しかし、特許文献1では、中継接続ユニットの中継処理の各処理をハードウェア化することは記載されているが、各アプリケーション回路の動作順序の設定方法については記載されていない。
【0006】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたもので、ハードウェア化した中継接続ユニットのアプリケーション回路部の動作順序を設定することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、電子制御ユニットを夫々接続しているバス間に介在させてネットワークを形成し、異なるバスに属する前記電子制御ユニット間で送受信するメッセージを中継する車載用の中継接続ユニットであって、
少なくともメッセージの中継処理及びネットワークマネジメント機能を実行するネットワークマネジメント処理を含む複数のアプリケーション回路部と、
前記複数の各アプリケーション回路部に設けられたインターフェース回路と接続され、これら複数のアプリケーション回路部の動作順序を制御する制御回路部と、
を備えていることを特徴とする車載用中継接続ユニットを提供している。
【0008】
前記構成によれば、中継接続ユニットに制御回路部を設け、該制御回路部に予め設定した各アプリケーション回路部の動作順序を記憶させることで、各アプリケーション回路部を確実に所定の動作順序で動作させているので、各アプリケーション回路部の動作順序が原因の誤動作の発生を防ぐことができる。
【0009】
また、従来より中継接続ユニットはソフトウェアとCPUを用いて実現しており、ソフトウェアではメインループから順番にモジュールを呼び出し、各モジュールを実行している。ソフトウェアの動作の検証を行う場合には、ソフトウェアの動作設計を基に各検証項目を定めている。
一方、本発明においては、中継接続ユニットを構成する前記制御回路部と前記アプリケーション回路部は集積回路からなるハードウェアで形成しており、中継接続ユニットに制御回路部を備えて該制御回路部が順番に各アプリケーション回路部を動作させている。
即ち、本発明の制御回路部がソフトウェアのメインループに相当すると共に本発明の各アプリケーション回路部がソフトウェアの各モジュールに相当し、制御回路部が順番に各アプリケーション回路部を動作させることで、ハードウェアで形成した中継接続ユニットの動作をソフトウェアの処理に近づけることができる。このため、中継接続ユニットをソフトウェアで実現した場合に使用しているソフトウェアの処理検証の項目を、本発明のハードウェアで構成した中継接続ユニットにおいても使用することができ、新たにハードウェア用の検証項目を定める必要がない。
【0010】
また、前記制御回路部と前記アプリケーション回路部は集積回路からなるハードウェアで形成しているため、複数のアプリケーション回路部の動作順序を定める必要がない場合には同時に2以上のアプリケーション回路部が動作する並列動作を行うことが可能となる。このため、中継接続ユニットを同時に1つの処理しか行うことのできないソフトウェアで形成した場合に比べて処理速度を上げることができる。
なお、複数のアプリケーション回路部が並列動作を行う場合には、制御回路部は各アプリケーション回路部への制御を停止してもよい。また、アプリケーション回路部が並列動作を行うよう制御回路部が制御を行ってもよい。
【0011】
さらに、各アプリケーション回路部のデバッグを行う場合に、制御回路部において1つのアプリケーション回路部のみ動作させる制御を行うことができ、アプリケーション回路部のデバッグ作業が容易となる。
さらにまた、あるアプリケーション回路部に故障が発生した場合には、制御回路部が該アプリケーション回路部を動作させない制御を行うことで、該アプリケーション回路部を他のアプリケーション回路部から切り離すことができ、信頼性を向上させることができる。
【0012】
前記制御回路部と前記アプリケーション回路部を形成する集積回路(Integrated Circuit)は、前記制御回路部と前記アプリケーション回路部の動作のために設計製造されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)であってもよい。また、内部の回路構成が変更可能な集積回路であるFPGA(Field Programmable Gate Array)であってもよい。
該ASIC又はFPGAには制御回路部とアプリケーション回路部の処理だけでなく、不揮発性メモリからパラメータを読み込む処理、中継処理、ダイアグ処理、メインループ処理等、中継接続ユニットの処理機能を備えていてもよい。
【0013】
前記各アプリケーション回路部は、
前記各アプリケーション回路に割り当てられた処理を行うモジュール回路を備え、
前記インターフェース回路は、前記制御回路部から処理開始信号を受信すると前記モジュール回路の処理を開始させ、前記モジュール回路の処理が完了すると処理完了信号を前記制御回路部に送信することが好ましい。
【0014】
制御回路部が動作順序の回ってきたアプリケーション回路部に処理開始信号を送信すると、アプリケーション回路部は該処理開始信号をインターフェース回路で受信する。インターフェース回路は処理開始信号を受信してモジュール回路に処理開始の許可を与えてモジュール回路に処理を開始させ、モジュール回路の処理が完了した場合には、処理完了信号を制御回路部に送信している。
制御回路部は処理完了信号を受信すると、該アプリケーション回路部の処理が完了したと判断して次の動作順序のアプリケーション回路部に処理開始信号を送信する。
【0015】
前記各アプリケーション回路部は、前記インターフェース回路を介して他のアプリケーション回路部と接続され、
動作開始後における前記アプリケーション回路部相互間で連係して行う処理を前記インターフェース回路間で行うことが好ましい。
【0016】
アプリケーション回路部の処理において、他のアプリケーション回路部と制御信号やパラメータ信号などデータ信号の送受信を行う場合には、アプリケーション回路部は制御回路部を介さずに他のアプリケーション回路部に直接データ信号の送受信を行う。このとき、各アプリケーション回路部はインターフェース回路間で接続されているので、該インターフェース回路が連係してデータ信号の送受信の処理を行っている。
【発明の効果】
【0017】
前述したように、本発明の車載用の中継接続ユニットによれば、中継接続ユニットに制御回路部を設け、該制御回路部に予め設定した各アプリケーション回路部の動作順序を記憶させて各アプリケーション回路部を確実に所定の動作順序で動作させているので、各アプリケーション回路部の動作順序が原因の誤動作の発生を防ぐことができる。
また、中継接続ユニットを構成する前記制御回路部と前記アプリケーション回路部は集積回路からなるハードウェアで形成しており、中継接続ユニットに制御回路部を備えて各アプリケーション回路部の動作順序を制御させることで、ソフトウェアの処理に近づけることができる。このため、ソフトウェアの処理検証の項目を、本発明のハードウェアで構成した中継接続ユニットにおいても使用することができ、新たにハードウェア用の検証項目を定める必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図4は本発明の第1実施形態を示す。
本発明の車載用の中継接続ユニット10は、電子制御ユニット(ECU)30を夫々接続しているバス31間に介在させてネットワーク32を形成し、異なるバス31に属する前記ECU30間で送受信するメッセージを中継するものである。
本実施形態では、中継接続ユニット10を2本のバス31A、31Bの間に介在させてネットワーク32を形成している。通信プロトコルはCANである。
【0019】
図1に示すように、中継接続ユニット10は同一基板上に、中継接続ユニット用LSI20と、EEPROM14と、電源11と、ドライバ12と、コネクタ13を備えている。
中継接続ユニット用LSI20(Large scale Integrated Circuit)は集積回路(IC)であり、中継接続ユニット10用に設計されたASICでハードウェアとして構成している。中継接続ユニット用LSI20は後述する制御回路21やアプリケーション回路22を備えて中継接続ユニット10を動作させるLSIである。
【0020】
中継接続ユニット用LSI20は、複数のアプリケーション回路22A〜22Gと制御回路21を備えている。
アプリケーション回路22は中継接続ユニット10の各処理機能を行う回路であって、本実施形態の中継接続ユニット10は、アプリケーション回路22として、中継処理回路22Aと、ネットワークマネジメント処理回路22Bと、ポート処理回路22Cと、ダイアグ処理回路22Dと、メイン処理回路22Eと、パラメタ処理回路22Fと、EEPROM処理回路22Gを備えている。
制御回路21は、図示しないメモリを備えて複数のアプリケーション回路22A〜22Gの動作順序を予め記憶しており、処理開始信号Saを送信して該アプリケーション回路22の処理を行わせる動作順序を制御するものである。
【0021】
中継接続ユニット用LSI20のアプリケーション回路22及び制御回路21は、図1に示すように、処理信号線L1、データ信号線L2、CAN信号線L3を介して接続されている。
制御回路21は処理信号線L1を介して全てのアプリケーション回路22A〜22Gと接続されている。
また、複数のアプリケーション回路22A〜22Gは同一のデータ信号線L2に接続され、全てのアプリケーション回路22A〜22Gが互いに接続されている。
さらに、CAN信号線L3を介して中継処理回路22Aとネットワークマネジメント処理回路22B、ダイアグ処理回路22D、メイン処理回路22Eが接続されている。
【0022】
各アプリケーション回路22はインターフェース回路23とモジュール回路24を備え、インターフェース回路23は、制御回路21から処理信号線L1を介して処理開始信号Saを受信しモジュール回路24に処理を開始させると共に、モジュール回路24の処理が完了すると処理信号線L1を介して処理完了信号Sbを制御回路21に送信している。
また、インターフェース回路23はデータ信号線L2により他のアプリケーション回路22と接続し、後述するように他のアプリケーション回路22との間で送受信する制御信号やパラメータ信号等のデータ信号を送受信している。
インターフェース回路23はレジスタ25を備えており、レジスタ25は受信した処理開始信号Saを記憶すると共に前記データ信号をレジスタ25に一時的に記憶する。
【0023】
モジュール回路24は、各アプリケーション回路22に割り当てられた処理を行っており、例えばアプリケーション回路22がネットワークマネジメント処理回路22Bであればネットワークマネジメント機能の動作として、遷移・タイマ処理や初期化フェールセーフ処理を行っている。モジュール回路24はインターフェース回路23から処理開始の許可を得て該処理を行う。
【0024】
また、複数のアプリケーション回路22は、アプリケーション回路22の動作開始後に、他のアプリケーション回路22と制御信号やパラメータ信号等のデータ信号の送受信をデータ信号線L2を介して行うなど、アプリケーション回路22相互間で連係して行う動作をインターフェース回路23間で行っている。
【0025】
詳細には、本実施形態の各アプリケーション回路22A〜22Gは以下に示す処理を行うと共に、アプリケーション回路22間でのデータ信号の送受信を行っている。
EEPROM処理回路22GはEEPROM14と接続するためのインターフェースであり、EEPROM14に記憶されたパラメータを読み込んでいる。
パラメタ処理回路22FはEEPROM処理回路22Gから読み込んだパラメータをデータ信号線L2を介してネットワークマネジメント処理回路22B、中継処理回路22Aに送信している。
【0026】
ネットワークマネジメント処理回路22Bは各ECU30と中継接続ユニット10の通信の安全性と信頼性を確保するものであり、具体的には、各ECU30とNMメッセージの送受信を行うことで、ECU30の初期化やネットワーク32の起動、ネットワーク32の設定、ECU30やネットワーク32の動作状態の検知や処理及び信号送信、ECU30等のパラメータの読み込みや設定、遷移・タイマなどの処理を行っている。ネットワークマネジメント処理回路22Bは、EEPROM処理回路22GがEEPROM14から読み出したパラメータをデータ信号線L2よりパラメタ処理回路22Fを介して受け取り、上記処理を行っている。また、中継処理回路22AとCAN信号線L3を介して接続し、NMメッセージを受信している。
なお、NMメッセージとは、中継接続ユニット10の中継処理回路22Aが送受信するメッセージのうち、特にネットワークマネジメント処理回路22Bに送信され、ネットワークマネジメント処理回路22Bが使用するメッセージをいう。
【0027】
メイン処理回路22Eは電源11と接続していると共に、他の全てのアプリケーション回路22と接続しており、中継接続ユニット10に電源11が投入された場合には、メイン処理回路22Eはデータ信号線L2を介して他の全てのアプリケーション回路22に起動信号を出し、各アプリケーション回路22を起動させ、各アプリケーション回路22が制御回路21から処理開始信号Saを受信すればすぐに動作して処理を行うことができる動作待機状態となるようにしている。
【0028】
中継処理回路22Aは各バス31と接続されたドライバ12と接続しており、EEPROM14に記憶したルーティングテーブルを用いてメッセージの中継処理を行っている。また、各バス31A、31B毎にコントローラ26を備え、ドライバ12を介してバス31とのメッセージの送受信を行っている。
ダイアグ処理回路22Dは、中継接続ユニット10に図示しないダイアグノーシスが接続された場合に、ダイアグノーシスとのデータの送受信を行っている。
ポート処理回路22Cはイグニッション(IG)キー(図示せず)と接続し、車両の電源状態(OFF、ACC、IGの状態)を監視している。
【0029】
EEPROM14は、書き換え可能な不揮発性メモリであり、中継接続ユニット用LSI20のEEPROM処理回路22Gと接続し、ネットワークマネジメント処理回路22Bのネットワークマネジメント機能の仕様条件をパラメータ化して記憶している。また中継処理回路22Aで用いるルーティングテーブルもパラメータ化して記憶している。
電源11は集積回路であるLSIで構成し、中継接続ユニット用LSI20と接続して、中継接続ユニット用LSI20を駆動するための電力を供給している。
ドライバ12A、12Bも集積回路であるLSIで構成し、各バス31毎に設けてコネクタ13を介して各バス31と接続している。また、中継接続ユニット用LSI20と接続しており、中継接続ユニット用LSI20が送受信するメッセージをバス31へ送信またはバス31から受信するために、メッセージを構成するデータ信号の電位を調節している。
【0030】
次に、本発明の中継接続ユニット10の動作を図2のシーケンス図及び図3の動作説明図を用いて説明する。
例として、アプリケーション回路22Aを先に動作させて定数A、Bを設定し、次にアプリケーション回路22Bを動作させてC=A+Bの演算を行う処理について説明する。
まず、中継接続ユニット10の電源11を入れると、メイン処理回路22Eが他のアプリケーション回路22に起動信号を出す。アプリケーション回路22A、22Bを含む他のアプリケーション回路22は該起動信号を受信して起動しており、制御回路21からの処理開始信号Saを受信すると動作して処理が開始できる動作待機状態となっている。
【0031】
ステップS1では、制御回路21がアプリケーション回路22Aに処理開始信号Saを送信する。
詳細には、制御回路21は処理開始信号Saとして2ビットを用い、処理信号線L1にアプリケーション回路22Aを動作させるための処理開始信号Saを送信する。アプリケーション回路22A、22Bのインターフェース回路23A、23B共に処理開始信号Saを受信してレジスタ25に記憶し、各インターフェース回路23が受信した処理開始信号Saの値から、自アプリケーション回路22宛の処理開始信号Saか否かを判断する。例えばアプリケーション回路22Aを動作させるための処理開始信号Saが「11」の場合、制御回路21は処理開始信号Sa「11」を送信し、インターフェース回路23Aは受信した処理開始信号Sa「11」から自アプリケーション回路22が動作する順番であると判断する。
【0032】
ステップS2では、インターフェース回路23Aはモジュール回路24Aに定数A、Bの値を設定する処理を開始させる。
ステップS3では、モジュール回路24Aはインターフェース回路23Aのレジスタ25Aに定数A、Bの値を記憶させる。インターフェース回路23Aとインターフェース回路23Bのレジスタ25A、25Bはデータ信号線L2で接続されているので、レジスタ25Aに記憶させた定数A、Bはレジスタ25Bに出力されて記憶される。
ステップS4では、モジュール回路24Aの処理が完了したので、インターフェース回路23Aは制御回路21に処理完了信号Sbを送信する。
【0033】
ステップS5では、制御回路21はアプリケーション回路22Bに処理開始信号Saを送信する。アプリケーション回路22Bを動作させるための処理開始信号Saが「10」の場合、制御回路21は「10」の処理開始信号Saを送信し、該信号を受信したインターフェース回路23Bは自アプリケーション回路22が動作する順番であると判断する。
ステップS6では、インターフェース回路23Bがモジュール回路24Bに処理を開始させる。
ステップS7では、モジュール回路24BがC=A+Bの演算を行い、演算結果Cをレジスタ25Bに記憶させる。
ステップS8では、モジュール回路24Bの処理が完了したので、インターフェース回路23Bは制御回路21に処理完了信号Sbを送信する。
【0034】
本発明の中継接続ユニット10の動作の他の例として、中継処理回路22Aが他のECU30からNMメッセージ1を受信し、ネットワークマネジメント処理回路22Bで処理を行ってNMメッセージ2を他のECU30に送信する場合の中継接続ユニット10の動作について説明する。
中継処理回路22A,ネットワークマネジメント処理回路22Bは動作待機状態となっている。
【0035】
ステップS11では、中継処理回路22Aのコントローラ26は他のECU30からバス31を介してNMメッセージ1を受信し、インターフェース回路23Aのレジスタ25AにNMメッセージ1を記憶させる。中継処理回路22Aのインターフェース回路23Aとネットワークマネジメント処理回路22Bのインターフェース回路23Bのレジスタ25A、25Bはデータ信号線L2で接続されているので、中継処理回路22Aに記憶させたNMメッセージ1はレジスタ25Bに出力されて記憶される。
ステップS12では、中継処理回路22Aのインターフェース回路23Aは制御回路2121に受信完了信号Scを送信する。
【0036】
ステップS13では、制御回路21はネットワークマネジメント処理回路22Bに処理開始信号Sdを送信する。
ステップS14では、ネットワークマネジメント処理回路22Bのインターフェース回路23Bは、処理開始信号Sdから自ネットワークマネジメント処理回路22Bが動作する順番であると判断し、レジスタ25Bに記憶されたNMメッセージ1を用いてモジュール回路24BにNMメッセージ1の処理を開始させる。モジュール回路24Bは他のECU30に送信するためのNMメッセージ2を作成する。
ステップS15では、モジュール回路24BがNMメッセージ2をインターフェース回路23Bのレジスタ25Bに記憶させる。例えば100ms後にNMメッセージ2を他のECU30に送信する場合は、100ms後にNMメッセージ2をインターフェース回路23Bのレジスタ25Bに記憶させる。NMメッセージ2はレジスタ25Aに出力されて記憶される。
【0037】
ステップS16では、インターフェース回路23Bは制御回路21にNMメッセージ送信要求信号Seを送信する。
ステップS17では、制御回路21は中継処理回路22Aに処理開始信号Sfを送信する。
ステップS18では、中継処理回路22Aのインターフェース回路23Aは処理開始信号を受信して自中継処理回路22Aが動作する順番であることを判断し、中継処理回路22Aのモジュール回路24Aに処理をさせる。
ステップS19では、中継処理回路22Aのモジュール回路24AはNMメッセージ2を送信するようインターフェース回路23Aに指示を出す。
ステップS20では、インターフェース回路23Aはコントローラを介して他のECU30にNMメッセージ2を送信する。
【0038】
本発明によれば、中継接続ユニット10に制御回路21を備えることで、アプリケーション回路22の動作順序を設定することができ、各アプリケーション回路22の動作順序が原因の誤動作の発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明である中継接続ユニットの第1実施形態を示す構成図である。
【図2】中継接続ユニットの動作を示すシーケンス図である。
【図3】アプリケーション回路と制御回路の動作説明図である。
【図4】中継処理回路とネットワークマネジメント処理回路の動作を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0040】
10 中継接続ユニット
20 中継接続ユニット用LSI
21 制御回路
22(22A〜22G) アプリケーション回路
23 インターフェース回路
24 モジュール回路
30 電子制御ユニット(ECU)
31 バス
32 ネットワーク
Sa 処理開始信号
Sb 処理完了信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子制御ユニットを夫々接続しているバス間に介在させてネットワークを形成し、異なるバスに属する前記電子制御ユニット間で送受信するメッセージを中継する車載用の中継接続ユニットであって、
少なくともメッセージの中継処理及びネットワークマネジメント機能を実行するネットワークマネジメント処理を含む複数のアプリケーション回路部と、
前記複数の各アプリケーション回路部に設けられたインターフェース回路と接続され、これら複数のアプリケーション回路部の動作順序を制御する制御回路部と、
を備えていることを特徴とする車載用中継接続ユニット。
【請求項2】
前記各アプリケーション回路部は、
前記各アプリケーション回路に割り当てられた処理を行うモジュール回路を備え、
前記インターフェース回路は、前記制御回路部から処理開始信号を受信すると前記モジュール回路の処理を開始させ、前記モジュール回路の処理が完了すると処理完了信号を前記制御回路部に送信する請求項1に記載の車載用中継接続ユニット。
【請求項3】
前記各アプリケーション回路部は、前記インターフェース回路を介して他のアプリケーション回路部と接続され、
動作開始後における前記アプリケーション回路部相互間で連係して行う処理を前記インターフェース回路間で行う請求項1または請求項2に記載の車載用中継接続ユニット。
【請求項4】
前記制御回路部と前記アプリケーション回路部は集積回路で形成している請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車載用中継接続ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−33221(P2009−33221A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−191909(P2007−191909)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】