説明

中間転写体および製造方法

【課題】デジタル式、多重現像式などを含む電子写真の画像形成装置に有用な新規な層を提供する。
【解決手段】画像形成システムとともに用いるのに適した転写体を作成する方法であり、塩素化ポリエステル樹脂と、反応性希釈剤と、導電性種と、光開始剤とを含む紫外線(UV)硬化可能な混合物を基板にコーティングすることを含む。UV硬化可能な混合物を、紫外線エネルギーを用いて硬化させる。次いで、硬化した混合物を基板から取り外す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、同一出願人による同時係属中の出願番号(Docket 20100888−US−NP、XRX−0031)、SEAMLESS INTERMEDIATE TRANSFER PROCESSに関する(本出願と同時に出願、本明細書に参考として組み込まれる)。
【0002】
本開示は、一般的に、デジタル式、多重現像式などを含む電子写真の画像形成装置に有用な新規な層に関する。
【背景技術】
【0003】
電子写真印刷では、中間転写体に用いられる材料は、典型的には、ポリイミド樹脂に分散した導電性粉末で構成される。中間転写体は、典型的には、ベルトであり、このベルトは、つなぎ目があってもよく、つなぎ目がなくてもよい(グンゼ株式会社(綾部、日本)から、米国特許第6,139,784号)。ポリイミド樹脂は、熱可塑性ポリイミド樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、例えば、ポリイミド、ポリイミドの前駆体、ポリアミドイミドを含む。導電性粉末は、カーボンブラック、アセチレンブラック、酸化スズ、酸化インジウム、チタン酸カリウム、使用可能なその他の種類の導電性粉末および半導電性粉末を含む。
【0004】
しかし、中間転写体にポリイミドを用いる場合、特定の課題が生じる。これらの課題としては、製造中の環境への排出物、複雑な製造プロセスに起因する高コストが挙げられる。さらに、染み、摩耗、耐溶媒性に関する中間転写体の性能を向上させることができる。優れた靱性および高い光沢といった性質も、中間転写体に必要である。上述の要求を満たす材料が望ましいだろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、画像形成システムとともに用いるのに適した転写体を作成する方法が記載される。この方法は、塩素化ポリエステル樹脂と、反応性希釈剤と、導電性種と、光開始剤とを含む紫外線(UV)硬化可能な混合物を基板にコーティングすることを含む。UV硬化可能な混合物を、紫外線エネルギーを用いて硬化させる。次いで、硬化した混合物を基板から取り外す。
【0006】
別の実施形態によれば、分散した導電性種を有する、紫外線硬化した塩素化ポリエステルを含む、中間転写ベルト(ITB)が記載される。
【0007】
別の実施形態によれば、塩素化ポリエステル樹脂と、反応性希釈剤と、導電性種と、光開始剤とを含む、紫外線(UV)硬化可能な混合物の混合物を含むコーティング組成物が記載される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、画像装置の概略図である。
【図2】図2は、本明細書に開示した実施形態の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1を参照すると、画像形成装置は、以下に詳細に記載するような中間転写体を備えている。この画像形成装置は、一次転写によって、像保持体で作成されたトナー画像を中間転写体に転写するための第1転写ユニットと、二次転写によって、中間転写体に転写されたトナー画像を転写材料に転写するための第2転写ユニットとを備える、中間転写式の画像形成装置である。また、この画像形成装置において、中間転写体は、トナー画像を転写材料に転写するための転写領域内に転写材料を運ぶための転写搬送体として与えられてもよい。高品質の画像を転写し、長期間にわたって安定なままである中間転写体を有することが必要である。
【0010】
本明細書に記載する画像形成装置は、中間転写方式の画像形成装置であれば、特に制限されず、例としては、現像デバイスに単色のみが格納されている通常の単色画像形成装置、像保持体上に保持されているトナー画像を、順次中間転写体に繰り返し一次転写するためのカラー画像形成装置、中間転写体に連続して配置されるそれぞれの色の現像ユニットとともに、複数の像保持体を備えているタンデム型カラー画像形成装置が挙げられる。さらに特定的には、画像形成装置は、適宜、像保持体と、像保持体表面を均一に帯電させる帯電ユニットと、中間転写体表面を露光し、静電潜像を作成する露光ユニットと、現像溶液を用いて、像保持体表面に生成した潜像を現像し、トナー画像を作成する現像ユニットと、トナーユニットを転写材料に定着させる定着ユニットと、像保持体に付着したトナーおよび異物を除去するクリーニングユニットと、像保持体表面に残った静電潜像を除去する静電除去ユニットと、必要な場合には、既知の方法とを備えていてもよい。
【0011】
像保持体として、既知のものを使用してもよい。像保持体の感光層として、有機系のアモルファスシリコン、または他の既知の材料を使用してもよい。円筒形の像保持体の場合、像保持体は、アルミニウムまたはアルミニウムアロイを押出成形し、表面処理を行う既知の方法によって得られる。ベルト形態の像保持体を使用してもよい。
【0012】
帯電ユニットは、特に制限されず、既知の充電器を用いてもよく、例えば、導電性ローラまたは半導体ローラ、ブラシ、フィルム、ゴム製ブレード、コロナ放電を利用するスコロトロン充電器またはコロトロン充電器などを用いた接触型充電器を用いてもよい。中でも、接触型帯電ユニットは、優れた電荷補償能を有する。帯電ユニットは、通常は、直流を電子写真用感光材料に印加するが、交流をさらに重ね合わせてもよい。
【0013】
露光ユニットは、特に制限されず、例えば、半導体レーザービーム、LEDビーム、液晶シャッタービームなどの光源を用いることによって、または、このような光源から多面鏡を通すことによって、電子写真用感光材料の表面に所望の画像を露光する光学系デバイスを用いてもよい。
【0014】
現像ユニットは、適切には、目的に応じて選択されてもよく、例えば、一液型現像溶液または二液型現像溶液を用いることによって現像するための既知の現像ユニットを、ブラシおよびローラを用いて、接触させるか、または接触させずに使用してもよい。
【0015】
第1転写ユニットは、既知の転写充電器、例えば、部材、ローラ、フィルム、ゴム製ブレード、コロナ放電を利用するスコロトロン転写充電器またはコロトロン転写充電器を用いる接触型転写充電器を備えている。中でも、接触型転写充電器は、優れた転写電荷補償能を与える。転写充電器以外に、剥離型の充電器を一緒に使用してもよい。
【0016】
第2転写ユニットは、第1転写ユニットと同じであってもよく、例えば、転写ローラなど、スコロトロン転写充電器およびコロトロン転写充電器を用いた接触転写充電器であってもよい。接触型転写充電器の転写ローラによって強く押すことによって、画像転写段階を維持することができる。さらに、転写ローラまたは接触型転写充電器を、中間転写体を導くためのローラの位置で押すことによって、トナー画像を中間転写体から転写材料へと移動させる操作を行ってもよい。
【0017】
光静電除去ユニットとして、例えば、タングステンランプまたはLEDを用いてもよく、光静電除去プロセスで使用する光質としては、タングステンランプの白色光、LEDの赤色光を挙げることができる。光静電除去プロセスで、照射光の強度として、通常は、出力を、光量の約数倍〜約30倍が、電子写真用感光材料の露光感度の半分を示すように設定する。
【0018】
定着ユニットは、特に制限されず、任意の既知の定着ユニットを使用してもよく、例えば、熱ローラ定着ユニットおよびオーブン定着ユニットを用いてもよい。
【0019】
クリーニングユニットは、特に制限されず、任意の既知のクリーニングデバイスを用いてもよい。
【0020】
一次転写を繰り返すためのカラー画像形成装置を、図1に模式的に示している。図1に示す画像形成装置は、像保持体として感光ドラム1と、転写ベルトなどの中間転写体として転写体2と、転写電極としてバイアスローラ3と、転写材料として紙を供給するためのトレー4と、BK(ブラック)トナーによる現像デバイス5と、Y(イエロー)トナーによる現像デバイス6と、M(マゼンタ)トナーによる現像デバイス7と、C(シアン)トナーによる現像デバイス8と、部材クリーナー9と、剥離爪13と、ローラ21、23および24と、バックアップローラ22と、導電性ローラ25と、電極ローラ26と、クリーニングブレード31と、紙の束41と、ピックアップローラ42と、フィードローラ43とを備えている。
【0021】
図1に示す画像形成装置において、感光ドラム1は、矢印Aの方向に回転し、帯電デバイス(示していない)の表面を均一に帯電させる。帯電した感光ドラム1に、画像書き込みデバイス(例えば、レーザー書き込みデバイス)によって、第1色(例えば、BK)の静電潜像が作成される。この静電潜像は、現像デバイス5によって、トナーによって現像され、可視性のトナー画像Tが作成される。トナー画像Tは、感光ドラム1が回転することによって、導電性ローラ25を備える一次転写ユニットに移動し、導電性ローラ25から、トナー画像Tに逆極性の電場がかけられる。トナー画像Tは、転写体2に静電的に吸着し、矢印Bの方向に転写体2が回転することによって、一次転写が行われる。
【0022】
同様に、第2色のトナー画像、第3色のトナー画像、第4色のトナー画像が、次々と作成され、転写体2に重ねて配置され、多層トナー画像が作成される。
【0023】
転写体2が回転することによって、転写体2に転写された多層トナー画像が、バイアスローラ3を備える二次転写ユニットに移動する。二次転写ユニットは、転写体2のトナー画像を保持している側の表面に配置されているバイアスローラ3と、転写体2の裏側からバイアスローラ3と向かい合うように配置されているバックアップローラ22と、バックアップローラ22と密に接して回転する電極ローラ26とを備えている。
【0024】
紙41は、ピックアップローラ42によって、紙トレー4に格納されている紙束から1枚ずつ取り出され、特定のタイミングで、フィードローラ43によって、二次転写ユニットの転写体2とバイアスローラ3との間の空間に供給される。供給された紙41は、バイアスローラ3とバックアップローラ22とに押されながら搬送され、転写体2の上に保持されているトナー画像が、転写体2が回転することによって紙41に転写される。
【0025】
トナー画像が転写された紙41は、最後のトナー画像の一次転写が終わるまで、剥離爪13を後退した位置に操作することによって転写体2から剥離され、定着デバイス(示されていない)に搬送される。トナー画像は、圧力や熱を加えることによって定着し、色落ちしない画像が作成される。多層トナー画像を紙41に転写した後、転写体2を、二次転写ユニットの下流に配置されているクリーナー9でクリーニングして残留トナーを除去し、次の転写に備える。バイアスローラ3は、ポリウレタンなどでできているクリーニングブレード31が常に接触していてもよく、転写によって付着したトナー粒子、紙粉、他の異物が除去されるように提供されている。
【0026】
単色画像を転写する場合、一次転写の後、トナー画像Tは、すぐに二次転写プロセスに送られ、定着デバイスに運ばれるが、複数の色を組み合わせて多色画像を転写する場合には、転写体2と感光ドラム1との回転が、一次転写ユニットで複数色のトナー画像の位置が正確に合い、複数色のトナー画像がずれないように同期化される。二次転写ユニットでは、トナーの極性と同じ極性の電力(転写電圧)を、バイアスローラ3および転写体2とは反対側に配置されているバックアップローラ22と密に接触している電極ローラ26に加えることによって、静電反発力によって、トナー画像が紙41に転写される。これにより、画像が作成される。
【0027】
中間転写体2は、任意の適切な形状であってもよい。適切な形状の例としては、シート、フィルム、ウェブ、箔、片、コイル、円筒形、ドラム、終端のないメビウスの輪、円板、終端のないベルトを含むベルト、終端がなく、つなぎ目のある可とう性ベルト、終端がなく、つなぎ目のない可とう性ベルト、パズルカットのつなぎ目がある、終端のないベルトなどが挙げられる。図1では、転写体2はベルトとして示されている。
【0028】
画像転写の場合の画像では、カラートナー画像は、まず、光受容体に蓄積し、次いで、すべてのカラートナー画像が、同時に中間転写体に転写される。タンデム型転写では、トナー画像は、所定の時間に、1つの色が、光受容体から中間転写体の同じ領域に転写される。両実施形態が、本明細書に含まれる。
【0029】
現像した画像を光導電性部材から中間転写体に転写し、この画像を中間転写体から基板に転写することは、電子写真で従来から使用されている任意の適切な技術(例えば、コロナ転写、圧力転写、バイアス転写、およびこれらの転写手段の組み合わせなど)によって行うことができる。
【0030】
中間転写体は、任意の適切な形状であってもよい。適切な形状の例としては、シート、フィルム、ウェブ、箔、片、コイル、円筒形、ドラム、終端のない片、円板、ドレルト(ドラムとベルトの中間)、終端のないベルトを含むベルト、終端がなく、つなぎ目のある可とう性ベルト、終端がなく、つなぎ目のある可とう性作像ベルトが挙げられる。
【0031】
本明細書には、塩素化ポリエステルと、UV硬化可能な希釈剤と、導電性種と、光開始剤とを含む組成物が開示されており、カーボンブラック系中間転写体とは異なり、これらの成分を混合することによって均一な溶液が生成し、中間転写体の調製において、さらなる分散プロセスは含まれない。この組成物をUV照射によって硬化させ、中間転写体を製造する。組成物をコーティングし、UV硬化させた後に、機能的な抵抗率、弾性率、印刷品質を有する、UV硬化した中間転写ベルト(ITB)が得られる。
【0032】
図2に示す実施形態では、中間転写体54は、単層構造で、膜の形態である。中間転写体54は、塩素化ポリエステルから作られたポリマー52と、UV硬化可能な希釈剤と、光開始剤とを含む単一の層を備えている。それに加え、導電性種51が、ポリマー52内に分散している。
【0033】
それに加え、ITBの製造中に作られるVOC廃棄物はほぼゼロである。
【0034】
生成する中間転写ベルト(ITB)は、表面抵抗率が、約10Ω/sq〜約1013Ω/sq、または約10Ω/sq〜約1012Ω/sq、または約1010Ω/sq〜約1011Ω/sqの範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、生成するITBコーティングは、機械的なヤング弾性率が、約500MPa〜約10,000MPa、または約1,000MPa〜約5,000MPa、または約1,500MPa〜約3,000MPaの範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、ITBは、つなぎ目がなくてもよい。いくつかの実施形態では、ITBは、全体の厚みが約30ミクロン〜約500ミクロンである。
【0035】
塩素化ポリエステル樹脂は、無水マレイン酸とグリコールとに基づく、改質された脂肪族不飽和ポリエステル樹脂である。塩素化ポリエステル樹脂の例としては、GENOMER(登録商標)6043、6050、6052、6054(すべて、RAHN USA Corp.(オーロラ、IL)から入手可能)が挙げられる。塩素化ポリエステルは、約10〜約50重量%、または約20〜約40重量%、または約25〜約35重量%のマレイン酸と、約5〜約45重量%、または約15〜約35重量%、または約20〜約30重量%のアジピン酸と、約5〜約45重量%、または約15〜約35重量%、または約20〜約30重量%のジエチレングリコールと、約5〜約40重量%、または約10〜約30重量%、または約15〜約25重量%の塩素化芳香族脂肪族ジオールとの反応から作られる。塩素化ポリエステルは、約500〜約5,000、または約700〜約3,000、または約900〜約1,500の数平均分子量(Mn)を有する。塩素化ポリエステルは、約1,000〜約20,000、または約3,000〜約10,000、または約5,000〜約8,000の重量平均分子量(Mw)を有する。
【0036】
UV硬化可能な希釈剤としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、プロキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヘキサメチレンジアクリレートなど、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0037】
開示されている導電性種51は、リン酸エステル、例えば、STEPFAC(登録商標)8180、8181、8182(アルキルポリエトキシエタノールのリン酸エステル)、8170、8171、8172、8173、8175(アルキルフェノキシポリエトキシエタノールのリン酸エステル)、POLYSTEP(登録商標)P−11、P−12、P−13(トリデシルアルコールエトキシレートのリン酸エステル)、P−31、P−32、P−33、P−34、P−35(アルキルフェノールエトキシレートのリン酸エステル)(すべて、Stepan Corporationから入手可能);有機スルホン酸塩、例えば、sec−アルカンスルホン酸ナトリウム(AKZO Nobel製のARMOSTAT(登録商標)3002)、C10〜C18−アルカンスルホン酸ナトリウム(Clariant製のHOSTASTAT(登録商標)HS1FF);脂肪酸エステル、例えば、Clariant製のHOSTASTAT(登録商標)FE20liq(グリセロール脂肪酸エステル);アンモニウム塩またはホスホニウム塩、例えば、塩化ベンザルコニウム、N−ベンジル−2−(2,6−ジメチルフェニルアミノ)−N,N−ジエチル−2−オキソエタンアミニウムベンゾエート、コカミドプロピルベタイン、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、トリカプリルイルメチルアンモニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド(ドコシルトリメチルアンモニウムクロリド)、テトラデシル(トリヘキシル)ホスホニウムクロリド、テトラデシル(トリヘキシル)ホスホニウムデカノエート、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウム ビス 2,4,4−トリメチルペンチルホスフィネート、テトラデシル(トリヘキシル)ホスホニウムジシアンアミド、トリイソブチル(メチル)ホスホニウムトシレート、テトラデシル(トリヘキシル)ホスホニウム ビストリフラミド、テトラデシル(トリヘキシル)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラデシル(トリヘキシル)ホスホニウムテトラフルオロボレート、エチルトリ(ブチル)ホスホニウムジエチルホスフェートなどを含む群から選択される。導電性種51の重量比は、ITB合計の約5〜約30重量%、または約10〜約25重量%、または約15〜約20重量%の範囲である。中間転写ベルトの表面抵抗率は、約10Ω/sq〜約1013Ω/sq、または約1010Ω/sq〜約1012Ω/sqである。中間転写ベルトの体積抵抗率は、約10ohm−cm〜約1012ohm−cm、または約10ohm−cm〜約1011ohm−cmである。
【0038】
限定されないが、アシルホスフィン、α−ヒドロキシケトン、ベンジルケタール、α−アミノケトン、およびこれらの混合物を含む、任意の適切な光開始剤を用いてもよく、光開始剤は、本明細書に示されているように、種々の適切な量で選択され、例えば、UV硬化した層の成分の約0.1〜約20重量%、または約1〜約10重量%、または約3〜約7重量%、または1〜約5重量%の量で選択される。
【0039】
コーティング混合物またはコーティング溶液を、任意の適切な既知の様式でコーティングする。このような材料を基板層にコーティングする典型的な技術としては、フローコーティング、液体噴霧コーティング、浸漬コーティング、巻き線によるロッドコーティング、流動床コーティング、粉末コーティング、静電噴霧、音波による噴霧、ブレードコーティングなどが挙げられる。
【0040】
開示されているUV硬化可能な混合物を、ドローバーコーティングを経てガラス基板にコーティングされ、次いで、エネルギーが500mJ/cmよりも大きいか、1,000mJ/cmよりも大きいか、または5,000mJ/cmよりも大きいUVで硬化する。固化したITB膜をガラス基板から取り外し、約30〜150ミクロンのUV硬化したITBデバイスを得ることができる。
【実施例】
【0041】
実験的に、約10グラムのSTEPFAC(登録商標)8180、アルキルポリエトキシエタノールのリン酸エステル(Stepan Corporation、ノースフィールド、IL)を、約85グラムのGENOMER(登録商標)6054、プロキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート中の塩素化ポリエステル樹脂(M=1,000、M=7,300、RAHN USA Corp.、オーロラ、IL)と混合する。約5グラムのIRGACURE(登録商標)500(Ciba Specialty Chemicals、タリータウン、NY)を上述の混合物に加えて均一なコーティング溶液を作成し、ここで、IRGACURE(登録商標)500は、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンとベンゾフェノンの1/1混合物である。
【0042】
このコーティング溶液を、ドローバーコーティング方法を用いてガラスプレートにコーティングし、次いで、Hanovia UV機器(フォートワシントン、PA)を用い、約325nmの波長(約250ワット)で約40秒間硬化させた。次いで、UV硬化したコンポジット膜(GENOMER(登録商標)6054/STEPFAC(登録商標)8180/IRGACURE(登録商標)500=85/10/5)をガラスプレートから取り外し、厚みは約100μmであった。
【0043】
中間転写体について、High Resistivity Meter(三菱化学株式会社から入手可能なHiresta−Up MCP−HT450)を用い、表面抵抗率を測定した(72°F/部屋の湿度65%で、さまざまな点で4〜6回の測定値を平均する)。表面抵抗率は、約4.7×1010Ω/sqであり、約10〜約1013Ω/sqのITBの機能的な範囲内にある。
【0044】
中間転写体について、ASTM D882−97プロセスにしたがってヤング弾性率を測定した。開示した中間転写体のサンプルを測定装置Instron Tensile Testerに置き、次いで、破壊するまで一定の引張速度で伸長させた。この間に、この機器は、サンプルの伸長度に対する、生じた負荷を記録した。弾性率は、この曲線の初期の線形部分に対する接線の任意の点を取り、引張応力を対応する歪みで割ることによって算出された。引張応力は、負荷を、試験標本の平均断面積で割ることによって与えられた。この結果を、抵抗率、硬度とともに表1に示している。
【表1】

【0045】
開示されているUV硬化したITBは、ポリエステル、ポリアミド、PVDFから作られるものを含む、ほとんどの市販されている熱可塑性ITBよりも高い弾性率を示した。ポリイミドITBと比較した場合、開示されているUV硬化したITBは、これよりも低い弾性率を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成システムとともに用いるのに適した転写体を作成する方法であって、
塩素化ポリエステル樹脂と、反応性希釈剤と、導電性種と、光開始剤とを含む紫外線(UV)硬化可能な混合物をコーティングすることと;
前記UV硬化可能な混合物を紫外線エネルギーで硬化させることを含む、方法。
【請求項2】
前記導電性種が、リン酸エステル、有機スルホン酸塩、脂肪酸エステル、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記導電性種が、前記UV硬化可能な混合物の約5〜約30重量%含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記反応性希釈剤が、トリメチロールプロパントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、プロキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヘキサメチレンジアクリレート、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記光開始剤が、アシルホスフィン、α−ヒドロキシケトン、ベンジルケタール、α−アミノケトン、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
分散した導電性種を有する、紫外線硬化した塩素化ポリエステルを含む、中間転写ベルト(ITB)。
【請求項7】
前記塩素化ポリエステルが、約10〜約50重量%のマレイン酸と、約5〜約45重量%のアジピン酸と、約5〜約45重量%のジエチレングリコールと、約5〜約40重量%の芳香族脂肪族ジオールとの反応から作られる、請求項6に記載の中間転写ベルト(ITB)。
【請求項8】
前記塩素化ポリエステルが、約500〜約5,000の数平均分子量(Mn)を有する、請求項6に記載の中間転写ベルト(ITB)。
【請求項9】
前記塩素化ポリエステルが、約1,000〜約20,000の重量平均分子量(Mw)を有する、請求項6に記載の中間転写ベルト(ITB)。
【請求項10】
前記導電性種が、リン酸エステル、有機スルホン酸塩、脂肪酸エステル、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項6に記載の中間転写ベルト(ITB)。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−98727(P2012−98727A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234435(P2011−234435)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】