説明

中間転写型熱転写印刷装置

【課題】 フィルムの誤装着を認知することができる中間転写型熱転写印刷装置を提供すること。
【解決手段】 この中間転写型熱転写印刷装置1では、当接ローラ31,32がプラテンローラ20側に移動し、当接ローラ31,32がプラテンローラ20に押し当てられた後、プラテンローラ20の回転が停止した状態で、上流側のボビン15によりフィルムFが巻き取られるように制御が行われる。この場合、フィルムFが正しく装着された場合には、フィルムFがプラテンローラ20と当接ローラ31,32とで挟持され、フィルムFが誤って装着された場合には、フィルムFがプラテンローラ20と当接ローラ31,32とで挟持されない。従って、上流側のボビン15によるフィルムFの巻き取り動作によってフィルムFが走行したか否かが判断されることで、フィルムFの誤装着を認知することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム上に画像を一次転写した後、そのフィルム上の画像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写型熱転写印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来におけるこの種の装置として、例えば、特許文献1に記載された間接転写プリンタがある。この間接転写プリンタにおいては、プラテンローラにより送られる中間転写フィルムに対し、サーマルヘッドによりカラーリボンが接触させられて、中間転写フィルム上に画像が一次転写される。続いて、IDカード等の被転写体に対し、ヒートローラにより中間転写フィルムが接触させられて、中間転写フィルム上の画像が被転写体の表面に二次転写される。
【特許文献1】特開2000−127468号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したような間接転写プリンタにあっては、例えば人為的な要因等によって、中間転写フィルムが正常な状態で装着されない場合が想定される。このような場合に印画作業が開始されると、被転写体に対して適切な印画が行われなかったり、最悪の場合には中間転写フィルムが切れてしまったりするおそれがある。そこで、フィルムが誤って装着されてしまった場合に、そのフィルムの誤装着を印画作業の開始前に認知することができる技術が望まれていた。
【0004】
本発明はこのような事情を鑑みてなされたものであり、フィルムの誤装着を認知することができる中間転写型熱転写印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題の解決のため、本発明に係る中間転写型熱転写印刷装置は、プラテンローラにより送られるフィルムに対しサーマルヘッドによりインクリボンを接触させてフィルム上に画像を一次転写した後、記録媒体に対しヒートローラによりフィルムを接触させて記録媒体の表面に画像を二次転写する中間転写型熱転写印刷装置において、サーマルヘッド側とプラテンローラ側とに移動自在であり、プラテンローラ側に移動したときに、画像が一次転写される一次転写位置の上流側及び下流側においてフィルムを介在させてプラテンローラに押し当てられる一対の当接ローラと、当接ローラを移動させる第1の駆動手段と、プラテンローラの上流側に配置され、画像が一次転写される前のフィルムが巻き付けられる上流側ボビンと、プラテンローラの下流側に配置され、画像が二次転写された後のフィルムが巻き付けられる下流側ボビンと、上流側ボビン及び下流側ボビンの一方を回転させる第2の駆動手段と、当接ローラがプラテンローラ側に移動するように第1の駆動手段を制御した後、プラテンローラの回転が停止した状態で、上流側ボビン及び下流側ボビンの一方によりフィルムが巻き取られるように第2の駆動手段を制御して、フィルムが走行したか否かを判断する制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0006】
この中間転写型熱転写印刷装置では、当接ローラがサーマルヘッド側からプラテンローラ側に移動して、一次転写位置の上流側及び下流側において当接ローラがフィルムを介在させてプラテンローラに押し当てられる。これにより、プラテンローラにより送られるフィルムは当接ローラによって確実にプラテンローラに巻き付けられるので、フィルムの走行ずれが抑制され、その結果として印刷品質の向上が図られている。一方で、このような作用効果を奏するためには、フィルムが装置本体に正しく装着される必要がある。すなわち、印画作業を開始する前の初期状態においては、フィルムがプラテンローラと各当接ローラとの間に通されている必要がある。そこで、この中間転写型熱転写印刷装置では、当接ローラがプラテンローラ側に移動した後、プラテンローラの回転が停止した状態で、上流側ボビン及び下流側ボビンの一方によりフィルムが巻き取られるように制御が行われ、フィルムが走行したか否かが判断される。つまり、フィルムが正しく装着された場合には、フィルムがプラテンローラと当接ローラとで挟持されるので、一方のボビンによってフィルムを巻き取らせようとしてもフィルムは殆ど走行しない。また、フィルムが誤って装着された場合(例えば、プラテンローラに対して各当接ローラの外側(サーマルヘッド側)に通された場合)には、フィルムがプラテンローラと当接ローラとで挟持されないので、一方のボビンによるフィルムの巻き取り動作によってフィルムが走行する。従って、上述した制御が行われた際にフィルムが走行したか否かが判断されることで、フィルムの誤装着を認知することができる。
【0007】
また、上流側ボビン及び下流側ボビンの他方には、そのボビンの回転量を検出する検出手段が設けられており、制御手段は、第2の駆動手段を制御した際に、検出手段によって検出された回転量が所定の回転量以上の場合にはフィルムが走行したと判断し、所定の回転量未満の場合にはフィルムが走行しなかったと判断することが好ましい。このような検出手段を設けることで、フィルムの動き自体を直接検出することなく、容易にフィルムが走行したか否かを検出することができる。しかも、所定の回転量を、フィルムが走行したか否かの判断基準に設定することで、機械的な誤差などによる誤検出を排除でき、フィルムが走行したか否かの判断をより正確に行うことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、フィルムの誤装着を認知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明に係る中間転写型熱転写印刷装置の好適な実施形態について説明する。なお、同一要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
【0010】
図1に示す中間転写型熱転写印刷装置1は、厚さ20μm程度の透明なフィルムF上に画像を一旦熱転写(一次転写)した後、このフィルムF上の画像をクレジットカードやICカード等のカード(記録媒体)Sの表面に再熱転写(二次転写)する装置であり、カードプリンタとも呼ばれるものである。
【0011】
同図に示すように、熱転写印刷装置1は、印刷予定のカードSを積層状態でセッティングするためのストック部2を有している。カードSは、繰出し爪3の進退運動によってストック部2の一番下から一枚ずつ繰り出され、繰り出されたカードSは反転部4内に一旦装填される。
【0012】
反転部4内にカードSが装填されると、反転部4は水平状態から90度回転する。そして、送りローラ6によってカードSが上方に送られると、カードSは磁気読み/書き部7内に装填される。この磁気読み/書き部7では、カードSの磁気ストライプ内に所定の情報が書き込まれたり、磁気ストライプ内から所定の情報が読み取られたりする。これに対し、送りローラ6によってカードSが下方に送られると、カードSは非接触IC読み/書き部8内に装填される。この非接触IC読み/書き部8では、カードSのIC内に所定の情報が書き込まれたり、IC内から所定の情報が読み取られたりする。
【0013】
その後、磁気読み/書き部7又は非接触IC読み/書き部8から反転部4内にカードSが再装填されると、反転部4が水平状態に復帰し、カードSは、送りローラ6によってストック部2と反対側に送り出される。反転部4から送り出されたカードSは、着脱自在なクリーニングローラ10を通過した後、ガイド溝12で両側を支持されながら搬送ローラ11により画像印刷される位置の直前まで搬送される。
【0014】
なお、磁気検出や非接触IC検出の必要がない場合には、反転部4は水平に維持される。また、磁気読み/書き部7又は非接触IC読み/書き部8で不適切と判断されたカードSは、反転部4の回転後、送りローラ6によってイジェクトボックス9内に排出される。
【0015】
また、熱転写印刷装置1は、カードSへの画像印刷を可能にするために、フィルムFに画像を熱転写する一次転写部Aと、フィルムF上において画像が熱転写された領域とカードSの表面とを接触させて、カードSの表面に画像を熱転写する二次転写部Bと、画像が熱転写された後のカードSの反りを矯正する反り矯正部Cとを備えている。
【0016】
更に、熱転写印刷装置1は、抜き差しにより交換可能なフィルムカートリッジ13とリボンカートリッジ14とを有している。フィルムカートリッジ13内では、フィルムFが上下一対のボビン15,16に巻かれている。一方、リボンカートリッジ14内では、インクリボンRが上下一対のボビン17,18に巻かれている。このインクリボンRには、溶融性又は昇華性のイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のインクが周期的に塗布されている。
【0017】
なお、フィルムFは、フィルムF上への画像の一次転写、及びカードSの表面への画像の二次転写を通じて、ボビン(上流側ボビン)15からボビン(下流側ボビン)16へと巻き取られていく。つまり、プラテンローラ20の上流側に配置されたボビン15には、画像が一次転写される前のフィルムFが巻き付けられ、プラテンローラ20の下流側に配置されたボビン16には、画像が二次転写された後のフィルムFが巻き付けられる。
【0018】
上述した一次転写部Aでは、フィルムF上に画像が一次転写される一次転写位置Pの上流側及び下流側においてフィルムFを介在させてプラテンローラ20に一対の当接ローラ31,32が押し当てられることで、プラテンローラ20の略半周面にフィルムFが巻き付けられている。そして、一次転写位置Pでは、サーマルヘッド21によってプラテンローラ20上のフィルムFにインクリボンRが押し当てられつつ、プラテンローラ20の正転によりフィルムFとインクリボンRとが同一速度で下流側に送られることで、フィルムF上にインクリボンRのイエローのインクが熱転写される。
【0019】
続いて、ラック・ピニオン駆動機構22によってサーマルヘッド21が後退させられ、フィルムFとインクリボンRとが離間する。この状態でプラテンローラ20が逆転し、フィルムFが上流側に戻されて元の位置に復帰する。その後、上述した熱転写動作が繰り返され、フィルムF上にマゼンタ、シアン、ブラックの順にインクが重層されて、所望のカラー画像がフィルムF上に形成される。
【0020】
フィルムF上に画像が形成されると、プラテンローラ20等の正転により、フィルムF上において画像が熱転写された領域がヒートローラ23の手前まで移動する。このとき、カードSの先端は、フィルムF上において画像が熱転写された領域の先端と位置合わせされ、カードSとフィルムFとは、重ね合わされた状態で二次転写部Bに送り込まれる。
【0021】
この二次転写部Bでは、位置合わせされたカードSとフィルムFとが重ね合わされた状態でヒートローラ23と押圧ローラ24とで挟み込まれる。そして、160〜200℃に加熱されたヒートローラ23と押圧ローラ24との協働により、カードS及びフィルムFが加圧搬送されて、フィルムF上の画像がカードSの表面に徐々に熱転写されていく。
【0022】
このとき、フィルムFは、カードSから剥離されながらボビン16に巻き取られていく。また、ヒートローラ23によって加熱されたカードSには反りが発生するため、カードSは、反り矯正部Cに送り込まれて加圧処理された後、真っ直ぐな状態で熱転写印刷装置1外に排出される。
【0023】
次に、フィルムFの走行に関する熱転写印刷装置1の構成について、図2を参照して説明する。図2は、フィルムFの走行に関する熱転写印刷装置1の構成図である。
【0024】
同図に示すように、熱転写印刷装置1は、上流側のボビン15を回転させる駆動モータ(第2の駆動手段)33と、ボビン15の回転軸と駆動モータ33の回転軸との間に接続されたトルクリミッタ34と、下流側のボビン16を回転させる駆動モータ35と、ボビン16の回転軸と駆動モータ35の回転軸との間に接続されたトルクリミッタ36と、ボビン16の回転軸に取り付けられたロータリエンコーダ(検出手段)37とを有している。
【0025】
更に、熱転写印刷装置1は、プラテンローラ20を回転させる駆動モータ38と、当接ローラ31,32をサーマルヘッド21(図示せず)側からプラテンローラ20側とに移動させる駆動モータ(第1の駆動手段)39と、各駆動モータ33,35,38,39を制御する制御部(制御手段)41とを有している。
【0026】
なお、駆動モータ39と当接ローラ31,32とは種々のリンクを介して接続されており、制御部41によって駆動モータ39が正転させられると当接ローラ31,32はプラテンローラ20側に移動し、一方、制御部41によって駆動モータ39が逆転させられると、当接ローラ31,32はサーマルヘッド21側に移動する。
【0027】
そして、当接ローラ31,32がプラテンローラ20側に移動すると、当接ローラ31,32は、上述したようにフィルムFを介在させてプラテンローラ20に押し当てられ、これにより、プラテンローラ20に対してフィルムFが巻き付けられる。一方、当接ローラ31,32がサーマルヘッド側に移動すると、当接ローラ31,32は、プラテンローラ20及びフィルムFから離間し、これにより、プラテンローら20に対するフィルムFの巻き付けが解除され、フィルムFがプラテンローラ20から離間する。
【0028】
ところで、上述した制御部41は、印画作業を開始する前の初期状態において、フィルムFがプラテンローラ20と各当接ローラ31,32との間に通されているか(つまり、正しく装着されているか)、フィルムFがプラテンローラ20に対して各当接ローラ31,32の外側に通されているか(つまり、誤って装着されているか)の確認制御を行う。これは、フィルムカートリッジ13を交換した際に、フィルムFが誤って装着されるおそれがあるからである。
【0029】
以下、フィルムFの装着状態の確認制御に関する熱転写装置1の動作について、図3を参照しながら詳細に説明する。図3は、フィルムFの装着状態の確認制御に関する熱転写装置1の動作を示すフローチャートである。なお、適宜、図4〜図7を参照する。
【0030】
まず、制御部41によって駆動モータ39が正転させられて当接ローラ31,32がプラテンローラ20側に移動する(ステップS102)。次に、この状態で、制御部41によって駆動モータ33が所定時間(例えば数秒間)逆転させられる。(ステップS104)。このとき、駆動モータ38は制御部41によって停止させられており、これにより、プラテンローラ20は回転しないように保持されている。
【0031】
ステップS104に続いて、上述した駆動モータ33の逆転に伴ってフィルムFが走行したか否かが判断される(ステップS106)。フィルムFが走行したか否かの判断は、下流側のボビン16の回転量をロータリエンコーダ37で検出することによって行う。ここでは、制御部41は、ロータリエンコーダ37によって検出された下流側のボビン16の回転量が所定の回転量以上の場合にはフィルムFが走行したと判断し、所定の回転量未満の場合にはフィルムFが走行しなかったと判断する。
【0032】
ここで、印画作業を開始する前の初期状態においてフィルムFが正しく装着されている場合、すなわち、一次転写位置PにおいてフィルムFがプラテンローラ20と当接ローラ31,32との間に通されている場合(図4参照)は、ステップS102において当接ローラ31,32がプラテンローラ20に押し当てられると、プラテンローラ20に対してフィルムFが巻き付けられると共に、フィルムFはプラテンローラ20と当接ローラ31,32とによって挟持される。従って、ステップS104において駆動モータ33が逆転してもトルクリミッタ34のクラッチ板が滑るため、フィルムFは殆ど走行せず、ロータリエンコーダ37において下流側のボビン16の回転量は所定の回転量未満しか検出されない(図5参照)。
【0033】
このように、ステップS106においてフィルムFが走行しなかったと判断されるのは、フィルムFが正しく装着されている場合である。この場合には特段の処理は行われず、確認制御が終了する。
【0034】
一方、印画作業を開始する前の初期状態においてフィルムFが誤って装着されている場合、例えば、一次転写位置Pにおいて当接ローラ31,32の外側(サーマルヘッド21側)に通されている場合(図6参照)は、ステップS102において当接ローラ31,32がプラテンローラ20に押し当てられても、フィルムFがプラテンローラ20と当接ローラ31,32とで挟持されない。従って、ステップS104において駆動モータ33が逆転してもトルクリミッタ34のクラッチ板が滑らないので、この逆転によってフィルムFが走行し、ロータリエンコーダ37において下流側のボビン16の回転が所定量以上検出される(図7参照)。なお、ステップS104においては、下流側のボビン16の回転軸と駆動モータ35の回転軸との接続はトルクリミッタ36によって解除されている。
【0035】
このように、ステップS106においてフィルムFが走行したと判断されるのは、フィルムFが誤って装着された場合である。この場合、例えば制御部41によって警告灯を点灯させる等のエラー表示がなされ(ステップS108)、作業者に対してフィルムFが誤って装着されていることが報知される。このエラー表示の後、確認制御が終了する。
【0036】
以上説明したように、中間転写型熱転写印刷装置1では、当接ローラ31,32がサーマルヘッド21側からプラテンローラ20側に移動して、一次転写位置Pの上流側と下流側において当接ローラ31,32がフィルムFを介在させてプラテンローラ20に押し当てられる。これにより、プラテンローラ20により送られるフィルムFは当接ローラ31,32によって確実にプラテンローラ20に巻き付けられるので、フィルムFの走行ずれが抑制され、その結果として印刷品質の向上が図られている。
【0037】
さらに、この中間転写型熱転写印刷装置1は、上記作用効果を奏するために、フィルムFの装着状態の確認制御を行う機能を有している。すなわち、この中間転写型熱転写印刷装置1では、制御部41により、当接ローラ31,32がプラテンローラ20側に移動した後、プラテンローラ20の回転が停止した状態で、上流側のボビン15によりフィルムFが所定時間巻き取られるように制御が行われる。そして、この制御の際に、下流側のボビン16に取り付けられたロータリエンコーダ37が所定以上の回転量を検出したか否かによって、フィルムFが走行したか否かが判断される。この場合、フィルムFが正しく装着された場合には、フィルムFがプラテンローラ20と当接ローラ31,32とで挟持されるので、上流側のボビン15によってフィルムFを巻き取らせようとしてもフィルムFは殆ど走行しない。また、フィルムFが誤って装着された場合には、フィルムFがプラテンローラ20と当接ローラ31,32とで挟持されないので、上流側のボビン15によるフィルムFの巻き取り動作によってフィルムFが走行する。従って、上述した制御が行われた際にフィルムFが走行したか否かが判断されることで、フィルムFの誤装着を認知することができる。
【0038】
また、フィルムFが走行したか否かの判断基準として下流側のボビン16に取り付けられたロータリエンコーダ37の回転量を用いることで、フィルムFの動き自体を直接検出することなく、容易にフィルムFが走行したか否かを検出することができる。しかも、所定の回転量を、フィルムFが走行したか否かの判断基準に設定することで、機械的な誤差などによる誤検出を排除でき、フィルムFが走行したか否かの判断をより正確に行うことができる。
【0039】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では、プラテンローラ20に対して当接ローラ31,32を押し当てた際に上流側のボビン15によってフィルムFを巻き取るように動作させているが、下流側のボビン16によってフィルムFの巻き取るように動作させるものであってもよい。この場合、上流側のボビン15にロータリエンコーダ37を取り付けることで、上述した効果と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る中間転写型熱転写印刷装置の一実施形態の正面図である。
【図2】フィルムの走行に関する中間転写型熱転写印刷装置の構成図である。
【図3】フィルムの装着状態の確認制御に関する中間転写型熱転写印刷装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】フィルムが正しく装着された状態を示す図である。
【図5】フィルムの装着状態の確認制御において、正しく装着されたフィルムの走行状態を説明するための図である。
【図6】フィルムが誤って装着された状態を示す図である。
【図7】フィルムの装着状態の確認制御において、誤って装着されたフィルムの走行状態を説明するための図である。
【符号の説明】
【0041】
1…中間転写型熱転写印刷装置、15…ボビン(上流側ボビン)、16…ボビン(下流側ボビン)、20…プラテンローラ、21…サーマルヘッド、23…ヒートローラ、31,32…当接ローラ、33…駆動モータ(第2の駆動手段)、37…ロータリエンコーダ(検出手段)、39…駆動モータ(第1の駆動手段)、41…制御部(制御手段)、S…カード(記録媒体)、F…フィルム、R…インクリボン、P…一次転写位置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラテンローラにより送られるフィルムに対しサーマルヘッドによりインクリボンを接触させて前記フィルム上に画像を一次転写した後、記録媒体に対しヒートローラにより前記フィルムを接触させて前記記録媒体の表面に前記画像を二次転写する中間転写型熱転写印刷装置において、
前記サーマルヘッド側と前記プラテンローラ側とに移動自在であり、前記プラテンローラ側に移動したときに、前記画像が一次転写される一次転写位置の上流側及び下流側において前記フィルムを介在させて前記プラテンローラに押し当てられる一対の当接ローラと、
前記当接ローラを移動させる第1の駆動手段と、
前記プラテンローラの上流側に配置され、前記画像が一次転写される前の前記フィルムが巻き付けられる上流側ボビンと、
前記プラテンローラの下流側に配置され、前記画像が二次転写された後の前記フィルムが巻き付けられる下流側ボビンと、
前記上流側ボビン及び前記下流側ボビンの一方を回転させる第2の駆動手段と、
前記当接ローラが前記プラテンローラ側に移動するように前記第1の駆動手段を制御した後、前記プラテンローラの回転が停止した状態で、前記上流側ボビン及び前記下流側ボビンの一方により前記フィルムが巻き取られるように前記第2の駆動手段を制御して、前記フィルムが走行したか否かを判断する制御手段と、を備えることを特徴とする中間転写型熱転写印刷装置。
【請求項2】
前記上流側ボビン及び前記下流側ボビンの他方には、そのボビンの回転量を検出する検出手段が設けられており、
前記制御手段は、前記第2の駆動手段を制御した際に、前記検出手段によって検出された回転量が所定の回転量以上の場合には前記フィルムが走行したと判断し、所定の回転量未満の場合には前記フィルムが走行しなかったと判断することを特徴とする請求項1記載の中間転写型熱転写印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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