説明

主超伝導磁石、超伝導グラジエント界磁コイル及び冷却状態のRFコイルを有するMRIシステム

磁気共鳴イメージング(MRI)及び/又は磁気共鳴スペクトロスコピー用の方法及び器械が、検査領域に一様な磁場を生じさせるよう動作可能な主超伝導磁石と、それぞれ少なくとも1つの磁場グラジエントを検査領域内に加えるよう動作可能な少なくとも1つの超伝導グラジエント界磁コイルと、高周波信号を検査領域に送信したりこれから受信したりするよう動作可能であると共に冷却可能に構成されている少なくとも1つのRFコイルとを有し、RFコイルは、(i)室温未満の温度への冷却時にその温度での銅の導電率よりも高い導電率を有する非超伝導物質及び(ii)超伝導物質のうちの少なくとも一方から構成される。所与のシステムの主磁石、グラジエントコイル及び少なくとも1つのRFコイルの各々は、それぞれ高温超伝導体(HTS)材料として具体的に構成可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、磁気共鳴イメージング及びスペクトロスコピーに関し、特に、超伝導体コンポーネントを採用した磁気共鳴イメージング(画像化)及びスペクトロスコピー機器並びにかかる機器を製造する方法に関する。
【0002】
(関連出願の説明)
本願は、2009年3月10日に出願された米国特許仮出願第61/159,008号及び2009年4月1日に出願された米国特許出願第12/416,606号の権益主張出願であり、これら出願の各々を参照により引用し、かかる引用による組み込みが許容され又は禁止されてはいない各PCT加盟国及び領域の目的に照らしてその記載内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
磁気共鳴イメージング又は画像化(MRI)技術は、世界全体にわたって大規模医療機関において今日一般的に用いられており、かかる技術により、医療の実務において多大な且つ特有の利益が得られている。MRIは、構造及び解剖学的特徴を画像化する確固たる診断ツールとして開発されたが、かかるMRIは、機能的活動及び他の生物理学的及び生化学的特徴又はプロセス(例えば、血液の流れ、代謝産物/代謝、拡散)を画像化するためにも開発され、これら磁気共鳴(MR)イメージング技術の中には、機能MRI(fMRI)、分光MRI又は磁気共鳴分光イメージング(MRSI)、拡散強調イメージング(DWI)及び拡散テンソルイメージング(DTI)と呼ばれるものが知られている。これら磁気共鳴イメージング技術は、病理学的特徴を突き止めてこれを評価すると共に検査対象の組織の健康状態を判定するためのこれらの医学的診断価値に加えて、広い臨床的及び研究的用途を有している。
【0004】
典型的なMRI検査中、患者の体(又は試料物体)は、検査領域内に配置され、MRIスキャナの患者支持体によって支持され、MRIスキャナでは、実質的に一定且つ一様な一次(主)磁場が一次(主)磁石によって提供される。磁場は、体の中の歳差運動を行っている原子、例えば水素(プロトン)の核磁化を整列させる。磁石内のグラジエントコイル組立体が所与の場所で磁場の僅かな変化を生じさせ、かくして、画像化領域中に共振周波数の符号化をもたらす。高周波(RF)コイルは、コンピュータ制御下において、パルスシーケンスに従って選択的に駆動されて患者の体内に一時的振動横方向磁化信号を生じさせ、この磁化信号は、RFコイルによって検出され、コンピュータ処理によって、患者の空間位置確認された領域にマップ可能であり、かくして検査中の関心領域(region-of-interest)の画像が得られる。
【0005】
よく見受けられるMRI形態では、静的主磁場は、典型的には、ソレノイド磁石装置によって作られ、患者プラットホームは、ソレノイド巻線によって画定された円筒形空間(即ち、主磁石ボア)内に配置される。主磁場の巻線は、典型的には、低温半導体(LTS)物質として具体化され、抵抗を減少させるためにかくして、発生する熱の量及び主磁場を作ってこれを維持するのに必要な電力の大きさを最小限に抑えるために液体ヘリウムで過冷却される。既存のLTS超伝導MRI磁石の大部分は、ニオブ−チタン(NbTi)及び/又はNb3Sn材料で作られ、これは、クライオスタットにより4.2Kの温度まで冷却される。
【0006】
当業者には知られているように、磁場グラジエントコイルは、一般に、空間中の3本の主要なデカルト軸の各々に沿って線形磁場グラジエントを選択的に提供するよう構成されており、その結果、磁場の大きさは、検査領域内の場所で変化し、関心のある領域内の互いに異なる場所からの磁気共鳴信号の特性、例えば信号の周波数及び位相は、この領域内の位置に従って符号化されるようになっている(かくして、空間位置確認が可能になっている)。典型的には、傾斜(グラジエント)磁場は、電流がコイル状サドル(鞍)又はソレノイド巻線を通って流れることにより作られ、ソレノイド巻線は、主磁場の巻線を収容した大径筒体と同心に且つこの中に嵌め込まれた筒体に取り付けられている。主磁場とは異なり、グラジエント磁場を作るために用いられるコイルは、典型的には、共通の室温銅巻線である。グラジエント強度及び磁場の直線性は、得られる画像の細部の精度と組織化学的性質に関する情報の両方にとって基本的に重要なものである(例えば、MRSIにおいて)。
【0007】
MRIが始まって以来、例えば高い空間分解能、高いスペクトル分解能(例えば、MRSIに関して)、高いコントラスト及び迅速な収集速度を提供することによりMRI品質及び能力を向上させる絶え間ない技術的追求が行われている。例えば、画像化(収集)速度の増大は、画像収集中の画像化領域の一時的変化、例えば患者の動き、自然な解剖学的運動及び/又は機能的運動(例えば、心拍動、呼吸、血液の流れ)に起因する変化及び/又は自然な生化学的変化(例えば、MRSI中、代謝によって引き起こされる)により生じる画像化ぶれ又はぼけを最小限に抑える上で望ましい。同様に、例えば分光MRIにおいては、データを収集するパルスシーケンスが空間情報に加えてスペクトル情報を符号化するので、所望のスペクトル分解能及び空間位置確認を提供するのに十分なスペクトル情報及び空間情報を収集するために必要な時間を最小限に抑えることは、分光MRIの臨床的実用性及び有用性を向上させる上で特に重要である。
【0008】
高コントラスト、高分解能及び高収集速度の観点において良好なMRI画像品質には幾つかの要因が寄与する。画像品質及び収集速度に影響を及ぼす重要なパラメータは、信号対雑音比(SNR)である。MRIシステムの前置増幅器前の信号を増大させることによりSNRを向上させることは、画像品質を向上させる観点で重要である。SNRを向上させる一手法は、SNRが磁場の大きさに比例するので、磁石の磁場強度を増大させることである。しかしながら、臨床用途では、MRIには、磁石の磁場強度に関して上限がある(米国食品医薬品局の現行の上限は、3T(テスラ))。SNRを向上させる他の手法では、可能な場合には、視野を減少させ(可能な場合)、試料とRFコイルとの間の距離を減少させると共に/或いはRFコイルノイズを減少させることによって試料ノイズを減少させている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
MRIを改良する絶え間ない技術的努力及び多くの技術的進歩にもかかわらず、例えばコントラストの向上、SNRの向上、収集速度の高速化、空間及び一時的分解能の向上及び/又はスペクトル分解能の向上を可能にするMRIにおける更にこれまで以上の改良が要望され続けている。
【0010】
さらに、MRI技術のそれ以上の使用に悪影響を及ぼす大きな要因は、購入と保守の両方に関して高価な磁場システムと関連した高いコストにある。かくして、妥当なコストで製造されると共に/或いは維持可能であり、MRI技術をより広く用いることができるようにする高品質MRIイメージングシステムを提供することが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の種々の実施形態は、磁気共鳴イメージング(MRI)及び/又は磁気共鳴スペクトロスコピー用の方法及び機器を提供し、かかる機器は、検査領域に一様な磁場を生じさせるよう動作可能な主超伝導磁石と、それぞれ少なくとも1つの磁場グラジエントを検査領域内に加えるよう動作可能な少なくとも1つの超伝導グラジエント界磁コイルと、高周波信号を検査領域に送信したりこれから受信したりするよう動作可能であると共に冷却可能に構成されている少なくとも1つのRFコイルとを有し、少なくとも1つのRFコイルは、(i)室温よりも低い温度への冷却時にその温度での銅の導電率よりも高い導電率を有する非超伝導物質及び(ii)超伝導物質のうちの少なくとも一方から構成される。
【0012】
本発明の幾つかの実施形態によれば、主超伝導磁石、超伝導グラジエント界磁コイル及びRFコイルは各々、高温超伝導物質を用いた超伝導体として具体化されている。変形形態では、主超伝導磁石及び/又は少なくとも1つの超伝導グラジエント界磁コイルのうちの1つ又は2つ以上及び/又はRFコイルは全て、低温超伝導物質で作られている。
【0013】
本発明の幾つかの観点によれば、少なくとも1つのグラジエントコイル及び少なくとも1つのRFコイルは、検査領域とグラジエントコイルと少なくとも1つのRFコイルとの間に配置された少なくとも1つの非磁性非金属壁を有する少なくとも1つの真空チャンバ内に配置されている。さらに、少なくとも1つのグラジエントコイル及び少なくとも1つのRFコイルは、少なくとも1つの非磁性非金属壁から構成される共通真空チャンバ内に配置されるのがよい。別の真空チャンバを共通真空チャンバと検査領域との間に配置するのがよく、別の真空チャンバは、(i)共通真空チャンバの少なくとも1つの非磁性非金属壁で作られた第1の壁、及び(ii)第1の壁から間隔を隔てた第2の非磁性非金属壁を有する。
【0014】
本発明の幾つかの観点によれば、主磁石は、第1の真空チャンバ内に配置されるのがよく、少なくとも1つのRFコイル及び少なくとも1つのグラジエントコイルは、第2の真空チャンバ内に配置されるのがよい。変形例として、幾つかの実施形態では、主磁石、少なくとも1つのRFコイル及び少なくとも1つのグラジエントコイルは、それぞれの真空チャンバ内に配置されるのがよい。
【0015】
本発明の種々の観点によれば、少なくとも1つのRFコイルは、2次元電子ガス構造体として且つ/或いはカーボンナノチューブ構造体として具体化されるのがよい。幾つかの実施形態では、少なくとも1つのRFコイルは、コイルアレイから構成されるのがよい。
【0016】
種々の実施形態によれば、主磁石、少なくとも1つのグラジエントコイル及び少なくとも1つのRFコイルを冷却するのに1つ又は2つ以上の冷却システムが用いられるのがよい。幾つかの実施形態では、主超伝導磁石は、第1の極低温冷却システムによって冷却可能に構成され、少なくとも1つのRFコイルは、第2の極低温冷却システムによって冷却可能に構成され、少なくとも1つのグラジエントコイルは、第3の極低温冷却システムによって冷却可能に構成されている。幾つかの実施形態では、主超伝導磁石は、第1の極低温冷却システムによって冷却可能に構成され、少なくとも1つのRFコイル及び少なくとも1つのグラジエントコイルは、第2の極低温冷却システムによって冷却可能に構成されている。幾つかの実施形態では、超伝導主磁石、少なくとも1つのRFコイル及び少なくとも1つのグラジエントコイルは、共通の極低温冷却システムによって冷却可能に構成されている。
【0017】
本発明の幾つかの観点によれば、少なくとも1つの超伝導グラジエント界磁コイルは、3つのそれぞれの互いに直交する方向に磁場グラジエントをもたらすよう構成されている3つの超伝導グラジエント界磁コイルから構成され、方向のうちの1つは、検査領域内における一様な磁場の方向に沿っている。
【0018】
本発明の種々の観点によれば、磁気共鳴イメージング方法は、主超伝導磁石を用いて一様な磁場を検査領域に印加するステップと、少なくとも1つのそれぞれの超伝導グラジエント界磁コイルを用いて少なくとも1つの磁場グラジエントを検査領域内に加えるステップと、少なくとも1つのRFコイルを用いて高周波信号を検査領域に送信したりこれから受信したりするステップとを有し、少なくとも1つのRFコイルは、冷却可能に構成され、(i)室温よりも低い温度への冷却時にその温度での銅の導電率よりも高い導電率を有する非超伝導物質及び(ii)超伝導物質のうちの少なくとも一方から構成される。主超伝導磁石、少なくとも1つの超伝導グラジエント界磁コイルの各々、及び少なくとも1つの超伝導RFコイルの各々は全て、HTS物質で作られている。少なくとも1つの超伝導グラジエント界磁コイルは、3つの互いに直交する方向に磁場グラジエントをもたらすよう構成されている3つの超伝導グラジエント界磁コイルから構成され、方向のうちの1つは、検査領域内における一様な磁場の方向に沿っている。
【0019】
当業者であれば理解されるように。上記概要説明及び以下の詳細な説明は、本発明の例示的な説明であり、本発明を制限するものでも本発明によって達成可能な利点を制限するものでもない。さらに、本発明の上記概要説明は、本発明の幾つかの実施形態を表しており、本発明の範囲に含まれる全ての内容及び実施形態を表すものでもなく網羅的に示しているわけでもない。かくして、本明細書において参照され、本明細書の一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を示しており、詳細な説明と一緒になって、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【0020】
構造と作用の両方に関する本発明の実施形態の観点、特徴及び利点は、本発明を添付の図面と関連して行われる以下の説明に照らして考慮すると理解されると共に容易に明らかになろう。なお、種々の図全体にわたり、同一の参照符号は、同一又は類似の部分を示している。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1A】本発明の実施形態による例示の超伝導体MRIシステムの概略断面図である。
【図1B】本発明の実施形態による図1Aに示されている主磁石システムの上側断面部分の詳細図である。
【図2A】本発明の実施形態による図1Aの例示の超伝導体MRIシステムのグラジエントコイル形態の概略詳細斜視図である。
【図2B】本発明の実施形態による図2Aの円筒形x配向グラジエントコイルの概略平面図である。
【図3A】本発明の種々の実施形態によるMRIシステム内に使用できる冷却形態の1つの例を示す略図である。
【図3B】本発明の種々の実施形態によるMRIシステム内に使用できる冷却形態の別の例を示す略図である。
【図3C】本発明の種々の実施形態によるMRIシステム内に使用できる冷却形態の別の例を示す略図である。
【図3D】本発明の種々の実施形態によるMRIシステム内に使用できる冷却形態の別の例を示す略図である。
【図4A】本発明の幾つかの実施形態による円筒形ソレノイド主磁石構造を採用した超伝導MRIシステムと関連した例示のコイル形態の断面図である。
【図4B】本発明の幾つかの実施形態による円筒形ソレノイド主磁石構造を採用した超伝導MRIシステムと関連した例示のコイル形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
当業者であれば理解されるように、以下の説明は、患者を検査するために使用できるMRIシステムとの関連で説明するが、本発明の実施形態は、磁気共鳴スペクトロスコピーシステム及び方法を含む。さらに、本明細書で用いられる「MRI」という用語は、磁気共鳴分光イメージングを含む。
【0023】
図1Aは、本発明の実施形態としての例示の超伝導体MRIシステム100の概略断面図である。超伝導体MRIシステム100は、検査領域180、可動患者ベッド190、磁石/コイルハウジング130、主磁石システム(図1Bに詳細に示されている)を有し、この主磁石システムは、(i)超伝導コイル104、超伝導補正コイル106及びコイルフレーム108を含む主磁石、(ii)サーマルシンク(thermal sink)、(iii)極低温容器112、(iv)熱遮蔽体(サーマルシールド)114、(v)主磁石真空チャンバハウジング116及び(vi)極低温システム160を有する。少なくとも、主磁場内に配置されている患者ベッド190の部分は、非金属製且つ非磁性材料、例えばプラスチックで作られている。
【0024】
図1A及び図1Bの実施形態では、超伝導体主磁石システムは、検査領域中に例えば約0.5T(テスラ)〜10Tの実質的に一様な水平磁場を発生させるソレノイド磁石として具体化される。変形実施形態では、主磁石システムは、設計及び/又は用途に応じてソレノイド以外の形態として具体化されると共に/或いは開放磁石、例えば垂直磁石又は2重ドーナツ形磁石として具体化されると共に/或いは弱い磁場(例えば0.1T〜0.5T)を用いて具体化されても良い。しかしながら、代表的には、弱い磁場の方向は、所望の方向、例えば患者ベッドに(例えば、垂直に)差し向けられるのがよく、強い磁場の方向は、通常水平である。
【0025】
上述したように、図1Bは、図1Aに示されている主磁石システムの上側断面部分の細部を概略的に示している。図示のように、真空チャンバ(ハウジング)116が真空空間132を包囲し、この真空空間は、主磁石を包囲していて、真空システム(図示せず)によって例えば10-5トル以下の圧力の真空(即ち、高めの真空)まで排気され、この真空システムは、1つ又は2つ以上のポート、弁及び/又はフィードスルー等を介して真空空間132に結合された1つ又は2つ以上の真空ポンプから構成される。真空チャンバハウジング116は、アルミニウム、ステンレス鋼又は他の金属製若しくは他の非金属製材料、例えばガラス、セラミック、プラスチック又はこれら材料の組み合わせで構成可能である。当業者には理解されるように、真空空間132は、低温主磁石と真空チャンバハウジング116の室温壁との間の断熱手段となる。
【0026】
主磁石コイル104並びに補正コイル106は、低温超伝導体(LTS)又は高温超伝導体(HTS)として具体化可能である。LTS主磁石は、LTS線材を用いて作られるのがよく、かかる線材としては、例えば、NbTi、Nb3Sn、Nb3Al、MgB2及び他の低温超伝導体線材が挙げられる。HTS主磁石は、HTSテープを用いて作られるのがよく、かかるHTSテープとしては、例えば、YBCO、BSCCO及び臨界温度が77Kを超える他の高温超伝導体テープのうちの1つ又は2つ以上が挙げられる。当業者であれば理解されるように、高い磁場一様性を達成する目的で1つ又は2つ以上の組をなす補正コイル106を設けるのがよい。かかる補正コイルは、代表的には、主超伝導コイルによって運ばれる電流のほんの僅かな部分しか運ばず且つ/或いは主超伝導コイルのターン数のほんの僅かな部分を有するよう設計され、補正コイルの磁場に対する寄与は、非一様であるように設計され、従って、主磁場との組み合わせにおいて、補正コイルの磁場は、全体的磁場非一様性を減少させるよう働く。
【0027】
超伝導磁石コイル104並びに超伝導補正コイル106は、主磁石コイルフレーム108に巻き付けられ、このフレームは、1種類又は2種類以上の材料、例えばステンレス鋼、アルミニウム、FR4(例えば自己消炎性可燃性G10)又は他の機械的に強固な材料で作られるのがよい。主磁石コイルフレームは、サーマルシンク110と良好な熱的接触関係をなして設けられ、このサーマルシンクは、極低温システム160に熱的結合されており、従って、熱は、主磁石からサーマルシンク110を介して極低温システム160に伝えられるようになっている。サーマルシンク110を構成するのに適した材料としては、例えば、アルミナ、サファイヤ及び金属が挙げられる。
【0028】
幾つかの実施形態、例えば図1A及び図1Bに示されている実施形態では、極低温システム160は、2段システムとして具体化されるのがよく、2段システムは、冷凍機162、第1段164、第2段168を有し、第1段164は、熱遮蔽体114に結合され、第2段は、サーマルシンク110及び/又は凍結剤容器112内に入っている凍結剤、例えば液体ヘリウムに結合されている。幾つかの実施形態では、凍結剤容器112は、具体化されなくても良い。というのは、冷却は、周りの凍結剤を用いないでサーマルシンク110を介して行えるからである。冷凍機の第1段及び第2段の温度は、例えば、それぞれ、40K及び20K又は77K及び40Kであり、種々の設計上のパラメータ、例えば超伝導磁石に用いられる材料、用いられる極低温システムの形式、熱源又は熱負荷等に応じて所望に応じて種々の他の値の組み合わせである。したがって、熱遮蔽体114は、室温真空壁と低温磁石コイルとの間の温度を有し、かくして、熱遮蔽体は、室温真空壁からの放射線が超伝導主磁石を加熱するのを阻止する。しかしながら、幾つかの実施形態では、2つ以上の熱遮蔽層を採用するのがよく、或いは、変形例として、熱遮蔽体114を使用しなくても良い。
【0029】
種々の実施形態では、極低温システム160は、種々の単一段又は多段冷凍機、例えば、ギフォード・マッハホン(Gifford McMahon:GM)型冷凍機、パルスチューブ(PT)型冷却機、ジュール‐トムソン(JT)型冷却機、スターリング(Stirling)型冷却機又は多の冷却機のうちの任意のものとして具体化されても良い。
【0030】
図4Aに示されているように、磁石/コイルハウジング130は、真空チャンバハウジング116の内側部分、磁石/コイルハウジング130の端壁部分及び内壁150を有する第2の真空チャンバを更に有し、この第2の真空チャンバは、真空空間142、グラジエントコイル103及びRFコイル105を包囲している。真空チャンバ包囲真空空間142は、製造中、低圧(例えば、高真空条件)を確立するよう高真空吸込み排出システムに結合され、高真空に達した後では密封される。RFコイル105及びグラジエントコイル103は各々、共通ヒートシンク110と熱的接触状態にあり、この共通ヒートシンクは、極低温システム170に熱的に結合されており、この極低温システムは、冷凍機172及びヒートシンク110に熱的に結合された一端部及び冷凍機172に熱的に結合された他端部を備える第2の段174を有している。ヒートシンクを作るのに適した例示の材料としては、セラミック、例えばアルミナ、結晶、例えば、サファイヤ及び金属並びにガラスが挙げられる。
【0031】
本発明の幾つかの実施形態によれば、別の真空空間154を形成するために第2の内壁152が設けられており、真空空間154は、追加の断熱手段となり、かくして、温度に対するユーザの快適さも向上する。真空空間154を真空ポンプに結合するのがよく又は気密封止チャンバとして具体化されるのがよい。真空空間154の半径方向の広がり(例えば、主磁石の全体として円筒形の形に対応した円筒座標に関する半径方向広がり)は、RFコイル105が検査領域の近くに維持されるようにするよう全体として最小限に抑えられる。内壁150,152の例示の構成材料としては、G10ガラス繊維、ガラス、ガラス複合材又はこれら材料の組み合わせが挙げられる。公知のように、これら材料は、非磁性であり、検査領域におけるグラジエント磁場又はRF信号を妨害しない。
【0032】
超伝導RFコイル105と超伝導グラジエントコイル103の両方が通常冷却されるこの形態では、より代表的には、RFコイル105及びグラジエントコイル103は、同種の超伝導体、即ちHTSかLTSかのいずれかとして具体化される(ただし、それにもかかわらず、これら要素のうちの一方をHTSとして具体化し、他方をLTSとして具体化することが可能である。ただし、これらが臨界LTS温度未満に冷却されることを条件とする)。この用途についてHTSRFコイル及びHTSグラジエントコイルの適当な形態は、例えばビスマス・ストロンチウム・銅・酸素(BSCCO)で作られた超伝導体テープである。例えば、HTSRFコイルをHTSテープから製作する詳細な教示は、米国特許第6,943,550号明細書に記載されており、この米国特許を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。変形実施形態では、超伝導体RFコイルは、超伝導体薄膜、例えばHTS材料、例えばイットリウム・バリウム・銅・酸素(YBCO)、タリウム・バリウム・カルシウム・銅・酸素(TBCCO)、MgB2又はMBから構成される超伝導体薄膜として具体化されてもよく、この場合、Mは、Be、Al、Nb、Mo、Ta、Ti、Hf、V及びCrから構成される群から選択される。HTS膜コイルを平坦な基板上に作製する詳細な教示は、マ等(Ma et al),「スーパーコンダクティング・エムアール・サーフェイス・コイルズ・フォー・ヒューマン・イメージング(Superconducting MR Surface Coils for Human Imaging)」,プロク・マグ・レス・メディシン(Proc. Mag. Res. Medicine),1991年,1,171に記載されており、この非特許文献を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。HTSコイルに関する追加の教示は、マ等(Ma et al),「スーパーコンダクティング・アールエフ・コイルズ・フォー・クリニカル・エムアール・イメージング・アット・ロウ・フィールド(Superconducting RF Coils for Clinical MR Imaging at Low Field)」,アカデミック・レジオロジー(Academic Radiology),2003年9月,Vol.10,no.9,pp.978‐987及びミラー等(Miller et al),「パフォーマンス・オブ・ア・ハイ・テンパチャー・スーパーコンダクティング・プローブ・フォー・イン・ビヴォ・マイクロスコピー・アット・2.0T(Performance of a High Temperature Superconducting Probe for In Vivo Microscopy at 2.0T)」,マグネティック・レゾナンス・イン・メディシン(Magnetic Resonance in Medicine),1999年,41:72〜79に記載されており、これら特許文献を参照により引用し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0033】
当業者であれば理解されるように、RFコイル105は、RF送信機及びRF受信機のための別々のコイルとして具体化されるのがよく又は送信機と受信機両方のための共通のコイル(即ち、トランシーバコイル)として具体化されるのがよい。さらに、送信機及び受信機コイルが別々のコイルである幾つかの実施形態では、コイルのうちの一方だけ(例えば、受信機コイル)が超伝導コイルとして具体化されるのがよい(例えば、他方のコイルは、従来型銅コイルとして具体化されるのがよい)。さらに、幾つかの実施形態では、超伝導RFコイル105は、コイルアレイ、例えばHTSコイルアレイとして具体化されるのがよい。
【0034】
本発明の幾つかの変形実施形態では、RFコイルのうちの1つ又は2つ以上(例えば、別々のコイルとして具体化されている場合、送信機コイル又は受信機コイル)は、所与の温度まで冷却されたとき(例えば、凍結剤により冷却されたとき、冷凍されたとき、水で冷却されたとき、熱電作用で冷却されたとき等)その所与の温度での銅の導電率よりも高い導電率をもつ1種類又は2種類以上の材料で形成された非超伝導コイルとして具体化されても良い。かかる非超伝導コイルは、例えば、超伝導体2次元電子ガス(2DEG)材料構造体(例えば、GaAs及び/又はInPを主成分とする)、カーボンナノチューブ及び他の金属で構成されるのがよい。極低温(クライオジェニックス)と冷凍を区別する目的で、本明細書において約−73.3℃(−100°F)にほぼ等しく又はこれ以下の温度を極低温と見なす場合がある。
【0035】
次に図2Aを参照すると、図1A及び図1Bの例示の超伝導体MRIシステムのグラジエントコイル103が本発明の幾つかの実施形態に従って斜視図で詳細に示されている。図2Aに示されているかかる実施形態では、3つの直交する方向に沿って磁場の変化を生じさせる3つの独立したグラジエントコイルは、3つのそれぞれの同軸円筒形支持構造体即ち、xグラジエント支持体258、yグラジエント支持体262及びzグラジエント支持体264の表面上に形成され又は違ったやり方で設けられると共に/或いはこれら表面の中に形成され又は設けられている。典型的な従来方式によれば、x及びyは、主磁場に垂直な2つの直交する方向を示し、zは、主磁場の方向を示している。かくして、xグラジエント支持体258、yグラジエント支持体262及びzグラジエント支持体264は、それぞれx方向、y方向及びz方向に沿って磁場グラジエントを生じさせるそれぞれのグラジエントコイルを支持している。グラジエント支持体258,262,264は、例えばG10又は他の非鉄非導電性(例えば、非金属製、絶縁性)の材料で作られるのがよい。この実施形態では、zグラジエントコイルは、ソレノイドコイルであり、xグラジエントコイル及びyグラジエントコイルは、各々がこれらのそれぞれの円筒形支持体の半部周りに周方向に跨ぐ又は覆うサドル(鞍形)コイルである。xグラジエント支持体262は、xグラジエント支持体258及びzグラジエント支持体264と良好な熱的接触関係をなして設けられ、zグラジエント支持体264は、サーマルシンク110と良好な熱的接触関係をなして設けられている。種々の変形実施形態では、ヒートシンクは、xグラジエント支持体258と接触関係をなして追加的に又は代替的に設けられても良い。xグラジエント支持体258と接触状態にあるかかるヒートシンクは、サーマルシンク110に加えて具体化される場合、冷凍機172(即ち、サーマルシンク110を冷却する同一の冷凍機)か別個の冷凍機かのいずれかによって冷却されるのがよい。サーマルシンク110は、グラジエントコイルを冷却するサーマルシンク110の代替手段として具体化される場合、RFコイル105を冷却するためにRFコイル105に依然として熱的に結合された状態で、zグラジエント支持体264から熱的に結合解除されるのがよい(例えば、空間的に分離されるのがよい)。
【0036】
図2Bは、平面で示された図2Aの円筒形xグラジエント支持体258を概略的に示しており、xグラジエントコイル268が本発明の実施形態に従ってxグラジエント支持体258で支持されている状態を示している。xグラジエント支持体258の表面は、通常凹んでおり(例えば、エッチングされ又は刻まれており)、個々にグラジエントコイル268(線材)が納められ、グラジエントコイル線材は、固定されると共にこの凹部内に結合されており、従って、この線材は、電流が磁場中のグラジエントコイル線材を通って流れているときに動かない(例えば、結果的にローレンツ力が生じる)。yグラジエント支持体262上に設けられたy配向グラジエントコイルは、x配向グラジエント支持体と比較してyグラジエント支持体の直径が僅かに小さいことを考慮に入れて僅かな寸法の差があることを除き、xグラジエント支持体258上のx配向グラジエントコイル268と本質的に同一の設計及び構成のものである。xグラジエントコイル268の中心260は、図2A及び図2Bに示されているようにx方向に向いており、yグラジエントコイルは、xグラジエントコイルに対して周方向に90°ずらされている。ソレノイドのzグラジエントコイル(詳細には示されていない)は、zグラジエント支持体264の表面上に且つ/或いは表面内に同様に製作されているが、zグラジエントコイルは、zグラジエント支持体264の中心軸線回りに螺旋状に巻かれ、円筒形軸線に沿うコイルの半分は、主磁石巻線と同一方向に巻かれ、その結果、zグラジエントコイルは、この半部内における磁場を強化し、円筒形軸線に沿うコイルの他方の半部は、逆方向に巻かれ、その結果、zグラジエントコイルは、コイルのこの他方の半部内の磁場を弱くしている。
【0037】
幾つかの実施形態では、以下に更に説明するように、グラジエントコイル103及びRFコイル105は、別々に冷却されると共に互いに熱的に隔離されるのがよく、このことは、例えば、グラジエントコイル及びRFコイルについて互いに異なる動作温度を提供する上で望ましい場合がある(例えば、互いに異なる材料がこれら要素に用いられている場合)。かかる変形実施形態では、RFコイル及びグラジエントコイルを共通真空チャンバか別々の真空チャンバかのいずれかの中に配置するのがよい。
【0038】
幾つかの実施形態、例えば図1A及び図1Bと関連して上述した実施形態では、主磁石、グラジエントコイル及びRFコイルは全て、超伝導体として具体化され、これらコンポーネントの各々は、HTSかLTSかのいずれかとして具体化されるのがよく、かくして、グラジエントコイルの全てが同一種類の超伝導体(即ち、HTSかLTSかのいずれか)で具体化されると仮定すると、可能性として8通りの場合が提供される。本発明の幾つかの好ましい実施形態によれば、主磁石、グラジエントコイル及びRFコイルは各々、HTS材料で具体化される。当業者には理解されるように、かかる全てHTSの形態は、費用効果が良く、高品質であり、高性能のMRIシステムを提供するという観点で多くの利点をもたらす。
【0039】
例えば、低温超伝導体で作られた超伝導主磁石は、一般的に極めて嵩張っていて且つ重い。しかしながら、本発明の種々の実施形態に従ってHTSで作られた主磁石は、比較的極めて軽く且つコンパクトである。というのは、例えば、同一の磁場の大きさをLTS線材よりも少ないLTS線材で達成できるからである。さらに、HTS主磁石をLTS磁石の動作温度(例えば、約10〜20K)よりも極めて高い温度(例えば、77K)で動作させることができるので、HTS主磁石は、使用する凍結剤が極めて少なく、従って、費用が実質的に減少する。同様に、グラジエントコイルとRFコイルの両方をHTS材料で具体化することによっても冷却費用が減少すると共にグラジエントコイル及び/又はRFコイルにLTS材料を用いる本発明の実施形態と比較して、熱的隔離及び真空隔離が単純化される。同時に、従来型銅RFコイル及びグラジエントコイルと比較して、全体的MRIシステム性能は、1つにはHTSRFコイルが高い感度を提供し、(例えば、コイルノイズを減少させ、かくしてSNRを高くする)一方で、HTSグラジエントコイルが高い駆動電流を提供すると共に迅速なスイッチングを提供し、しかも熱放散量の著しい減少を可能にするので著しく向上する。
【0040】
次に図3A〜図3Dを参照すると、本発明の種々の実施形態によるMRIシステム内で使用可能な冷却構成例の互いに異なる具体例が概略的に示されている。図3Aに示されているように、超伝導コイル202の各々は、別個の極低温冷却システム204によってこれら自体の冷却チャンバ内で個々に冷却される。主磁石コイル206は、極低温冷却システム208の制御下でHTS又はLTS特性を示すよう冷却される。同様に、グラジエントコイル210は、極低温冷却システム212の制御下でHTS又はLTS特性を示すよう冷却される。また、RFコイル214は、極低温冷却システム216の制御下でHTS又はLTS特性を示すよう冷却される。
【0041】
図3Bに示されているように、主磁石コイル220は、極低温冷却システム222の制御下でHTS又はLTS特性を示すよう冷却される。しかしながら、グラジエントコイル226及びRFコイル228は、共通の極低温冷却システム230の制御下でHTS又はLTS特性を示すよう冷却される。この実施形態では、コイルは、全て、これら自体の個々の冷却チャンバ内で冷却される。
【0042】
図3Cに示されているように、主磁石コイル234は、極低温冷却システム236の制御下でHTS又はLTS特性を示すよう冷却され、それにより、コイル234は、これら自体の冷却チャンバ内で冷却される。しかしながら、グラジエント及びRFコイル238は、共通極低温冷却システム240の制御下でHTS又はLTS特性を示すよう冷却される。この実施形態では、グラジエント及びRFコイル238の両方は、同一冷却チャンバ内で冷却される。
【0043】
図3Dに示されているように、主磁石及びグラジエントコイル244は両方とも、個々の極低温冷却システム246の制御下でHTS又はLTS特性を示すよう冷却され、それにより、コイル244は両方とも、同一の冷却チャンバ内で冷却される。しかしながら、RFコイル248は、個々の極低温冷却システム250の制御下でHTS又はLTS特性を示すよう冷却され、それにより、RFコイル248は、主磁石及びグラジエントコイル244の冷却チャンバとは別個の冷却チャンバ内で冷却される。
【0044】
さらに、上述の内容を考慮して当業者であれば理解されるように、本発明の種々の実施形態は、主磁石、グラジエントコイル及びRFコイルが各々別個の(それぞれの)真空隔離冷却チャンバ内に配置されているかどうかとは無関係に2つの真空隔離冷却チャンバ(例えば、同一チャンバ内にグラジエントコイル及びRFコイル)に配置されているかどうかとは無関係に、或いは、共通の真空隔離冷却チャンバ内に配置されているかどうかとは無関係に、主磁石、グラジエントコイル及びRFコイルが共通冷凍機によって冷却される状態で具体化できる。
【0045】
図4Aは、幾つかの実施形態に従って円筒形のソレノイド主磁石構造体を採用した超伝導MRIシステム(例えば、図1Aに示されているMRIシステム100に類似している)と関連した例示のコイル構成例300の第1の断面図である。この構成例300は、第1の真空チャンバ316、第2の真空チャンバ314、1つ又は2つ以上の主磁石コイル302、1つ又は2つ以上のグラジエントコイル304、1つ又は2つ以上のRFコイル306及び壁308,310,312を有する。以下の説明を考慮して理解されるように、種々の実施形態によれば、構成例300の壁308,310,312のうちの1つ又は2つ以上の各々は、気密封止2重壁型構造体として具体化されるのがよく、かかる気密封止2重壁型構造体は、幾つかの実施形態では、2008年9月17日に出願された米国特許出願第12/212,122号明細書及び2008年9月17日に出願された米国特許出願第12/212,147号明細書に記載された気密封止2重壁型構造体(及び真空熱隔離ハウジング)に従って又はこれを類似した状態で具体化でき、これら米国特許出願の各々を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0046】
第1の真空チャンバ316は、超伝導MRI磁石及びその対応の主磁石コイル302を収容している。真空チャンバ316は、気密封止2重壁308,310相互間に形成され、2重壁308,310の各々の中のキャビティは、真空ポンプの作用で排気され、断熱材料(例えば、ガラス繊維)で満たされ(オプションとして)、そして適切に密封されて(例えば、溶接により)高度の真空が維持される。第1の真空チャンバ316と関連したエンクロージャも又、適当な真空ポンプを用いて排気される。第1の真空チャンバ316の外側2重壁308は、従来型真空チャンバ材料、例えばアルミニウム又はステンレス鋼(これらには限定されない)で作られるのがよい。しかしながら、第1の真空チャンバ316の内側2重壁310は、非磁性且つ非金属製の材料、例えばガラス、非導電性セラミック、G10、FR4又はプラスチック(これらには限定されない)で作られるのがよい。
【0047】
上述したように、十分な真空が第1の真空チャンバ316内にいったん作られると、主磁石コイル302の温度を低下させるために極低温冷却システムが用いられる。所要の温度減少は、コイル材料で決まる場合がある。低温超伝導(LTS)物質又は高温超伝導(HTS)物質のいずれかをコイル302の構成に利用することにより、その抵抗は、従来型冷却銅コイルと比較して大幅に減少する。したがって、主磁石コイル302の超伝導巻線は、特定の標的磁場(例えば、1テスラ)を発生させるのに必要な規定電流によって駆動されたときにコイル巻線中に生じる熱発生量/熱放散量を減少させる。また、その結果として、主MRI磁石によって特定の磁場を発生させてこれを維持するのに必要な電力の量が減少する。さらに、将来のMRI用途により、高い磁場の大きさ(例えば、7テスラを超える)の使用が可能になる場合がある。かかる状況下において、超伝導主磁石コイルの使用により、コイル中の高い電流密度の発生が可能であり、かくして、磁場能力が向上する。極低温冷却システムは、例えば、20〜40ケルビン(K)にわたり動作するのがよい。また、幾つかの実施形態によれば、超伝導主磁石コイルは、長さが0.5〜3メートル(m)、であり、外径が1〜3mであり、内径が0.1〜2.5mであり、幾何学的形状が実質的に円筒形である。
【0048】
第2の真空チャンバ314は、グラジエントコイル304とRFコイル306の両方を収容している。真空チャンバ314が気密封止2重壁310,312相互間に形成され、2重壁310,312の各々の中のキャビティも又、真空ポンプの作用で排気され、断熱材料(例えば、ガラス繊維)で満たされ(オプションとして)、そして適切に密封されて(例えば、溶接により)高度の真空が維持される。第2の真空チャンバ314と関連したエンクロージャも又、適当な真空ポンプを用いて排気される。第2の真空チャンバ314の外側2重壁310は、非磁性且つ非金属製の材料、例えばガラス、非導電性セラミック、G10、FR4又はプラスチック(これらには限定されない)で作られている。しかしながら、第2の真空チャンバ314の内側2重壁312は、物質的にRFコイル306により送られたりこれから受け取ったりしたRF信号に対して遮蔽効果を及ぼさないよう構成され、かかる内側2重壁312は、グラジエントコイル304へのグラジエント信号の印加に起因して生じる場合のある渦電流効果を生じさせない。
【0049】
十分な真空が第2の真空チャンバ314内にいったん作られると、グラジエントコイル304及びRFコイル306のいずれか一方又はこれら両方の温度を低下させるよう別の極低温冷却システムが用いられる。上述したように、所要の温度減少は、コイル材料で決まる場合がある。低温超伝導(LTS)物質又は高温超伝導(HTS)物質のいずれかをコイル302の構成に利用することにより、その抵抗は、従来型冷却銅コイルと比較して大幅に減少する。グラジエントコイル304(LTS又はHTS)の超伝導巻線は、グラジエント加熱量を最小限に抑え/減少させると共に高い傾斜にする。かくして、迅速な画像収集(時間的分解能の向上)及びグラジエントコイル発生熱を消散させるための追加の冷却要件の減少が実現される。グラジエントコイル304の冷却と関連した極低温冷却システムは、例えば、40〜60ケルビン(K)の範囲にわたって動作するのがよい。幾つかの実施形態によれば、超伝導グラジエントコイルは、長さが0.2〜2メートル(m)であり、外径が0.1〜2.5mであり、内径が0.02〜2.3mであり、幾何学的形状が円筒形のソレノイド且つサドル(鞍)形である。超伝導RFコイル(HTS)は、長さが0.01〜0.5mであり、外径が0.02〜1.0mであり、内径が0.01〜0.8mであり、幾何学的形状が円筒形ソレノイド且つサドル(鞍)形である。超伝導RFコイル306は、コイルノイズを減少させる。この結果、RF受信機回路内でのS/N性能が向上し(試料ノイズがコイルノイズを上回らないことを条件とする)、それにより迅速な収集及び/又は向上した画像分解の捕捉が可能になる。グラジエントコイル304及びRFコイルの冷却と関連した極低温冷却システムは、例えば、40〜60ケルビン(K)の範囲にわたって動作するのがよい。図4Bは、長手方向に沿って取った例示のコイル構成例300の第2の断面図である。
【0050】
超伝導MRIシステムの構成及び作用において多種多様なHTS及びLTS物質を採用することができる。例えば、グラジエントコイル304は、Bi−223テープで構成可能であり、これは、市販の安価なHTS物質である。幾つかの場合において、Bi−223テープの機械的強度を向上させるためにBi−223テープを純銀(Ag)で外装するのがよい。Bi‐223テープを例えば液体窒素中への浸漬によって冷却する場合、Bi−223テープは、超伝導性を示し、それによりその抵抗がほぼゼロまで減少する。トランシーバか別々の送信機及び受信機かのいずれかとして構成可能な超伝導RFコイル306も又、HTS物質(例えば、YBaCuO、BiSrCaCuO等)並びに高い導電率特性を有する(例えば、GaAs又はInP物質系を利用した化合物を用いた)他の超伝導体、ナノ物質、例えばカーボンナノチューブ及び2次元電子ガス(2DEG)物質/構造体で形成可能である。代替的に又は追加的に、HTSRFコイル306は、各々が例えば約1cm〜30cmの基材直径をもつ薄膜コイルのアレイを有してもよい。超伝導主磁石コイルは、HTS物質かLTS物質かのいずれで構成されても良い。例えば、LTS物質、例えばMgB2(二硼化マグネシウム)を用いて主磁石コイル302を形成することができる。冷却の観点から、超伝導コイルを互いに異なる温度範囲にわたって動作させるのがよい。例えば、超伝導主磁石コイル302を約20〜40Kの範囲にわたって冷却するのがよい。超伝導グラジエントコイル304を約40〜60Kの範囲にわたって冷却するのがよく、超伝導RFコイル306を約40〜60K又は約77Kの高い温度に維持するのがよい。変形例として、超伝導グラジエントコイル304と超伝導RFコイル306の両方を約77Kまで冷却しても良く、他方、超伝導グラジエントコイル304を20〜40Kの範囲にわたって冷却する。数限りないほど多くの互いに異なる動作温度を使用することができる。例えば、幾つかの構成例によれば、超伝導コイル全てを約77Kの温度に維持してもよい。
【0051】
上述の実施形態は、水平磁場を提供する仕方で構成されたコイルを示しているが、他のMRIシステムは、種々の視野(FOV)全体にわたり様々な強度(例えば、0.5T、1.0T等)の垂直磁場の発生を容易にする構造的設計を有してもよい。かかるMRIシステムの例としては、6又は8RFコイルアレイを有する非対称ヘッド‐スキャニングMRI、手又は脚の検査のための整形外科用MRIシステム(ヘルムホルズコイルペア(Helmholtz Coil Pair)を用いた0.2〜0.5Tシステム)又は乳房を走査する開放垂直磁場MRIシステムが挙げられるが、これらには限定されず、RFコイルは、検査用ベッドに組み込まれるのがよい。開放垂直磁場MRIシステム設計思想は又、上述の実施形態としてのMRIシステムは、代表的には、体内組織の水の中の水素原子を検出するのに向いているが、このMRIシステムは、他の核種を検出するよう改造可能である。
【0052】
本発明をその特定の実施形態に関して図示すると共に説明したが、これら実施形態は、本発明の原理の単なる例示であり、網羅的ではなく又は本発明を限定する実施形態でもない。したがって、本発明の例示の実施形態並びにこれらの種々の例示の改造例及び特徴に関する上述の説明は、多くの特徴をもたらすが、これら実施可能要件に関する詳細は、本発明の範囲を限定するものと解されてはならず、当業者には容易に理解されるように、本発明の範囲から逸脱することなく且つその付随する利点を減少しないで本発明は多くの改造例、設計変更例、変形例、省略例、追加例及び均等例で実施できる。例えば、プロセスそれ自体に必要な又は固有の程度までを除き、図を含む本明細書に記載した方法又はプロセスのステップ又は段階の特定の順序が示唆されていない。多くの場合、プロセスステップの順序は様々であって良く、本明細書において説明した方法の目的、作用効果又は意味を変えないで、種々の例示のステップを組み合わせ、変更し又は省くことができる。さらに、用語及び表現は、本発明を限定する用語ではなく、説明のための用語として用いられていることが注目される。図示すると共に説明した特徴の均等例又はその部分を排除するためにこれら用語又は表現を用いる意図はない。さらに、本発明は、本明細書に記載され又は本明細書の開示内容を考慮して理解されると共に/或いはその幾つかの実施形態において実現できる利点のうちの1つ又は2つ以上を必ずしも提供しないで実施できる。したがって、本発明は、開示した実施形態には限定されず、以下の特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0053】
100 超伝導体MRIシステム
103 グラジエントコイル
104 超電導コイル
105 RFコイル
106 超電導補正コイル
108 主磁石コイルフレーム
110 サーマルシンク、共通ヒートシンク
112 極低温容器
114 熱遮蔽体
116 主磁石真空チャンバハウジング
130 磁石/コイルハウジング
132 真空空間
142 真空空間
150、152 内壁
154 真空空間
160 極低温システム
170 極低温システム
172 冷凍機
174 第2の段
180 検査領域
190 可動患者ベッド
202 超電導コイル
204 極低温冷却システム
206 主磁石コイル
208 極低温冷却システム
210 グラジエントコイル
212 極低温冷却システム
214 RFコイル
216 極低温冷却システム
220 主磁石コイル
222 極低温冷却システム
226 グラジエントコイル
228 RFコイル
230 共通極低温冷却システム
244 コイル
246 極低温冷却システム
248 RFコイル
250 極低温冷却システム
258 xグラジエント支持体
262 yグラジエント支持体
264 zグラジエント支持体
268 x配向グラジエントコイル
300 構成例
302 主磁石コイル
304 グラジエントコイル
306 RFコイル
308、310、312 壁
314 第2の真空チャンバ
316 第1の真空チャンバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴イメージング(MRI)及び/又は磁気共鳴スペクトロスコピー用のシステムであって、前記システムは、
検査領域に一様な磁場を生じさせるように動作可能な主超伝導磁石と、
それぞれ少なくとも1つの磁場グラジエントを前記検査領域内に加えるように動作可能な少なくとも1つの超伝導グラジエント界磁コイルと、
高周波信号を前記検査領域に送信したりこれから受信したりするように動作可能であると共に冷却可能に構成された少なくとも1つのRFコイルとを有し、前記少なくとも1つのRFコイルは、(i)室温よりも低い温度への冷却時にその温度での銅の導電率よりも高い導電率を有する非超伝導物質及び(ii)超伝導物質のうちの少なくとも一方から構成される、システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのRFコイルは、前記超伝導物質で作られている、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記主超伝導磁石、前記少なくとも1つの超伝導グラジエント界磁コイルの各々、及び前記少なくとも1つの超伝導RFコイルの各々は全て、高温超伝導(HTS)物質と低温超伝導(LTS)物質の両方ではなく、これらのうちいずれか一方で作られている、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記主超伝導磁石、前記少なくとも1つの超伝導グラジエント界磁コイルの各々、及び前記少なくとも1つの超伝導RFコイルの各々は全て、HTS物質で作られている、請求項3記載のシステム。
【請求項5】
前記主超伝導磁石、前記少なくとも1つの超伝導グラジエント界磁コイルの各々及び前記少なくとも1つの超伝導RFコイルの各々には同一の前記HTS材料が用いられている、請求項4記載のシステム。
【請求項6】
前記HTS材料は、テープとして形成されたビスマス・ストロンチウム・銅・酸素(BSCCO)から構成される、請求項5記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのグラジエントコイル及び前記少なくとも1つのRFコイルは、前記検査領域と前記グラジエントコイルと前記少なくとも1つのRFコイルとの間に配置された少なくとも1つの非磁性非金属壁を有する少なくとも1つの真空チャンバ内に配置されている、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのグラジエントコイル及び前記少なくとも1つのRFコイルは、少なくとも1つの非磁性非金属壁から構成される共通真空チャンバ内に配置されている、請求項7記載のシステム。
【請求項9】
前記共通真空チャンバと前記検査領域との間に配置された別の真空チャンバを更に有し、前記別の真空チャンバは、前記少なくとも1つの非磁性非金属壁で作られた第1の壁と、前記第1の壁から間隔を隔てた第2の非磁性非金属壁とを有する、請求項8記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの真空チャンバは、前記少なくとも1つのグラジエントコイルを収容した第1の真空チャンバと、前記第1の真空チャンバと前記検査領域との間に配置され、かつ前記少なくとも1つのRFコイルを収容した第2の真空チャンバとから構成され、前記少なくとも1つの非磁性非金属壁は、前記検査領域と前記グラジエントコイルとの間に配置された第1の非磁性非金属壁と、前記検査領域と前記少なくとも1つのRFコイルとの間に配置された第2の非磁性非金属壁とから構成される、請求項7記載のシステム。
【請求項11】
前記第2の真空チャンバと前記検査領域との間に配置された別の真空チャンバを更に有し、前記別の真空チャンバは、前記第2の非磁性非金属壁から形成された第1の壁と、前記第1の壁から間隔を隔てた第3の非磁性非金属壁とを有する、請求項10記載のシステム。
【請求項12】
前記主磁石は、第1の真空チャンバ内に配置され、前記少なくとも1つのRFコイル及び前記少なくとも1つのグラジエントコイルは、第2の真空チャンバ内に配置されている、請求項1記載のシステム。
【請求項13】
前記主磁石、前記少なくとも1つのRFコイル及び前記少なくとも1つのグラジエントコイルは、それぞれの真空チャンバ内に配置されている、請求項1記載のシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つのRFコイル及び前記少なくとも1つのグラジエントコイルは、共通真空チャンバ内に配置されている、請求項1記載のシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つのRFコイル及び前記少なくとも1つのグラジエントコイルは、共通ヒートシンクに熱的結合されている、請求項14記載のシステム。
【請求項16】
前記少なくとも1つのRFコイルは、室温未満に冷却されたときに銅よりも高い導電率を有する前記非超伝導物質で作られている、請求項1記載のシステム。
【請求項17】
前記少なくとも1つのRFコイルは、2次元電子ガス構造体である、請求項16記載のシステム。
【請求項18】
前記少なくとも1つのRFコイルは、カーボンナノチューブ構造体である、請求項16記載のシステム。
【請求項19】
前記主超伝導磁石は、前記検査領域を含むボアを有する円筒形ソレノイド磁石である、請求項1記載のシステム。
【請求項20】
前記少なくとも1つのRFコイルは、コイルアレイから構成される、請求項1記載のシステム。
【請求項21】
前記少なくとも1つのRFコイルは、送信機及び受信機の両方として動作可能な単一のRFコイルから構成される、請求項1記載のシステム。
【請求項22】
前記少なくとも1つのRFコイルは、送信機RFコイルと、受信機RFコイルとから構成される、請求項1記載のシステム。
【請求項23】
前記主超伝導磁石は、第1の極低温冷却システムによって冷却可能に構成され、前記少なくとも1つのRFコイルは、第2の極低温冷却システムによって冷却可能に構成され、前記少なくとも1つのグラジエントコイルは、第3の極低温冷却システムによって冷却可能に構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項24】
前記少なくとも1つのRFコイルは、室温未満に冷却されたときに銅よりも高い導電率を有する前記非超伝導物質で作られている、請求項23記載のシステム。
【請求項25】
前記主超伝導磁石は、第1の極低温冷却システムによって冷却可能に構成され、前記少なくとも1つのRFコイル及び前記少なくとも1つのグラジエントコイルは、第2の極低温冷却システムによって冷却可能に構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項26】
前記少なくとも1つの超伝導グラジエント界磁コイルは、3つのそれぞれの互いに直交する方向に磁場グラジエントをもたらすよう構成された3つの超伝導グラジエント界磁コイルから構成され、前記方向のうちの1つは、前記検査領域内における前記一様な磁場の方向に沿っている、請求項1記載のシステム。
【請求項27】
磁気共鳴イメージング方法であって、
主超伝導磁石を用いて一様な磁場を検査領域に印加するステップと、
少なくとも1つのそれぞれの超伝導グラジエント界磁コイルを用いて少なくとも1つの磁場グラジエントを前記検査領域内に加えるステップと、
少なくとも1つのRFコイルを用いて高周波信号を前記検査領域に送信したりこれから受信したりするステップとを有し、前記少なくとも1つのRFコイルは、冷却可能に構成され、(i)室温よりも低い温度への冷却時にその温度での銅の導電率よりも高い導電率を有する非超伝導物質及び(ii)超伝導物質のうちの少なくとも一方から構成される、方法。
【請求項28】
前記少なくとも1つのRFコイルは、前記超伝導物質で作られている、請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記主超伝導磁石、前記少なくとも1つの超伝導グラジエント界磁コイルの各々、及び前記少なくとも1つの超伝導RFコイルの各々は全て、HTS物質で作られている、請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも1つの超伝導グラジエント界磁コイルは、3つの互いに直交する方向に磁場グラジエントをもたらすよう構成された3つの超伝導グラジエント界磁コイルから構成され、前記方向のうちの1つは、前記検査領域内における前記一様な磁場の方向に沿っている、請求項29記載の方法。
【請求項31】
磁気共鳴イメージング及び/又は磁気共鳴分光法のシステムであって、
主超伝導磁石を用いて一様な磁場を検査領域に印加する手段と、
少なくとも1つのそれぞれの超伝導グラジエント界磁コイルを用いて少なくとも1つの磁場グラジエントを前記検査領域内に加える手段と、
少なくとも1つのRFコイルを用いて高周波信号を前記検査領域に送信したりこれから受信したりする手段とを有し、前記少なくとも1つのRFコイルは、冷却可能に構成され、(i)室温よりも低い温度への冷却時にその温度での銅の導電率よりも高い導電率を有する非超伝導物質及び(ii)超伝導物質のうちの少なくとも一方から構成される、システム。
【請求項32】
前記主超伝導磁石、前記少なくとも1つの超伝導グラジエント界磁コイルの各々、及び前記少なくとも1つの超伝導RFコイルの各々は全て、HTS物質で作られている、請求項31記載のシステム。
【請求項33】
前記少なくとも1つの超伝導グラジエント界磁コイルは、3つの互いに直交する方向に磁場グラジエントをもたらすよう構成されている3つの超伝導グラジエント界磁コイルから構成され、前記方向のうちの1つは、前記検査領域内における前記一様な磁場の方向に沿っている、請求項32記載のシステム。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2012−520132(P2012−520132A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−554145(P2011−554145)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【国際出願番号】PCT/US2010/026811
【国際公開番号】WO2010/104940
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(511220784)タイム メディカル ホールディングス カンパニー リミテッド (4)
【Fターム(参考)】