説明

乗員検知システムの記憶装置

【課題】乗員検知システムのコントローラの品目数を減少することができる乗員検知システムの記憶装置を提供する。
【解決手段】コントローラ10は、閾値を記憶する、書き換え可能なEEPROM12と、閾値以外の情報を記憶する、EEPROM12に比べて書き換えの困難なROM14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗員検知システムの記憶装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば車両用シートの乗員を保護するためにエアバッグが備えられている場合において、その対象シートの乗員を検知するために、車両用シートには乗員検知システムが設けられている(例えば特許文献1など)。この乗員検知システムは、車両用シートに設けられる荷重センサにより取得される検出荷重値と、マイコン(MCU)の読み出し専用の記憶装置(例えばUV-EPROM)に予め記憶されている所定閾値との大小関係に基づいて乗員を検知するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−207638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、乗員検知システムにおいて、定数である閾値は、車両評価の実施に伴い、変更になることが多い。この閾値が変更になると、ソフトウェアを変更しマイコンの読み出し専用の記憶装置に記憶するプログラムの定数を変更実施している。このプログラムの変更により、図面も変更している。換言すれば、マイコンの読み出し専用の記憶装置に記憶されるプログラムには、定数違いの多種類が存在することになる。従って、乗員検知システムのコントローラ(マイコンを主体とする電子部品)も、その読み出し専用の記憶装置に記憶する異なる閾値(プログラムの定数)の数だけ工場での品目数が増加することになり、管理費の増大を余儀なくされる。
【0005】
本発明の目的は、乗員検知システムのコントローラの品目数を減少することができる乗員検知システムの記憶装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、荷重センサから取得する検出荷重値と閾値との大小関係に基づいて乗員を検知するための情報を記憶する乗員検知システムの記憶装置において、前記閾値又は該閾値を特定するための閾値特定情報を記憶する、書き換え可能な第1ROMと、前記閾値又は前記閾値特定情報以外の情報を記憶する、前記第1ROMに比べて書き換えの困難な第2ROMとを備えたことを要旨とする。
【0007】
同構成によれば、前記第1ROM内で前記閾値又は前記閾値特定情報を書き換え可能にしたことで、工場での調整時にその書き込みを実施できる。従って、乗員検知システムのコントローラは、前記閾値又は前記閾値特定情報の書き込み前であれば全て同一品目となり、管理費を削減することができる。一方、前記第2ROM内で前記閾値又は前記閾値特定情報以外の情報(例えばプログラムなど)の書き換えを困難にしたことで、例えば工場での調整時に誤って書き換えられることを防止できる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の乗員検知システムの記憶装置において、前記第1ROMは、乗員の検知状態の切り替え態様に応じて前記閾値を複数種類で記憶することを要旨とする。
【0009】
同構成によれば、乗員検知システムは、前記検出荷重値と前記複数種類の閾値との大小関係に基づいて、乗員の検知状態の切り替え態様(例えば乗員なしから子供、子供から大人など)を選択することで、より正確に乗員を検知することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の乗員検知システムの記憶装置において、前記第2ROMは、乗員の検知状態の切り替え態様と複数種類の前記閾値とを関連付けたパターンデータを複数記憶しており、前記第1ROMは、前記複数のパターンデータのいずれか一つを特定する符号情報を記憶することを要旨とする。
【0011】
同構成によれば、乗員検知システムは、前記第1ROMから前記符号情報を読み出すとともに、前記第2ROMから当該符号情報に対応するいずれか一つの前記パターンデータを読み出し、前記検出荷重値と当該パターンデータを構成する前記複数種類の閾値との大小関係に基づいて、乗員の検知状態の切り替え態様(例えば乗員なしから子供、子供から大人など)を選択することで、より正確に乗員を検知することができる。この場合、前記第1ROMには、工場での調整時に選択された前記符号情報が記憶されるのみであるため、必要な記憶容量を軽減できる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の乗員検知システムの記憶装置において、前記第1ROMは、前記閾値又は前記閾値特定情報の正常値を多数決で決定させるために、前記閾値又は前記閾値特定情報を3つ以上の記憶領域にそれぞれ記憶することを要旨とする。
【0013】
同構成によれば、例えば前記第1ROMの一つの記憶領域で、前記閾値又は前記閾値特定情報が異常値になったとしても、乗員検知システムは、同一値となる記憶領域の数が最多となる場合の前記閾値又は前記閾値特定情報を使用することで、乗員の検知を継続することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、乗員検知システムのコントローラの品目数を減少することができる乗員検知システムの記憶装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態の電気的構成を示すブロック図。
【図2】EEPROMにおける閾値の記憶態様を示す説明図。
【図3】EEPROMにおける閾値の記憶態様を示す説明図。
【図4】(a)〜(d)は、EEPROMに対する閾値の書き込み手順を示す説明図。
【図5】ROMにおけるパターンデータの記憶態様を示す説明図。
【図6】EEPROMにおける符号情報の記憶態様を示す説明図。
【図7】(a)〜(d)は、EEPROMに対する符号情報の書き込み手順を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態について図面に従って説明する。
図1は、本実施形態が適用される乗員検知システムのコントローラ10を示すブロック図である。同図に示すように、このコントローラ10は、荷重センサに電気的に接続されており、該荷重センサの出力する荷重信号から検出荷重値を取得するとともに、該検出荷重値と閾値Tとの大小関係に基づいて乗員を検知する。
【0017】
すなわち、コントローラ10は、マイコン11と、第1ROMとしてのフラッシュ型のEEPROM(Electrically Erasable and ProgrammableROM)12とを備えて構成される。そして、マイコン11は、各種演算及び制御を司るCPU13と、第2ROMとしてのROM14と、RAM15とを備える。
【0018】
ROM14は、例えばUV−EPROMからなり、乗員検知に係るプログラム及びデータ(ただし、閾値Tを除く)を記憶する。特に、ROM14は、閾値Tとし得るデフォルトの値(固定値)を含めて記憶する。つまり、ROM14は、車両の違い等によって変更されることのない固定のデータのみを記憶している。一方、EEPROM12は、車両の違い等によって変更される閾値Tを記憶する。
【0019】
このような構成にあって、CPU13は、イニシャル処理で、ROM14から乗員検知に係るプログラム及びデータ(閾値Tのデフォルトの値を含む)を読み出すとともに、EEPROM12から閾値Tを読み出し、作業領域となるRAM15に書き込む。そして、CPU13は、基本的にEEPROM12から読み出した閾値Tに基づいて、前記した乗員検知を行う。また、CPU13は、EEPROM12から読み出した閾値Tが異常値と判断される場合、ROM14から読み出した閾値Tのデフォルトの値に基づいて、前記した乗員検知を行う。
【0020】
ここで、EEPROM12における閾値Tの記憶態様について説明する。図2に示すように、本実施形態のEEPROM12は、乗員の検知状態の切り替え態様に応じて複数種類の閾値Tを記憶している。すなわち、乗員の検知状態を「乗員なし」から「子供」へと切り替える際の閾値T1(例えば200)、「子供」から「大人」へと切り替える際の閾値T2(例えば250)、「乗員なし」から「大人」へと切り替える際の閾値T3(例えば400)、「子供」から「乗員なし」へと切り替える際の閾値T4(例えば50)及び「大人」から「乗員なし」へと切り替える際の閾値T5(例えば50)をそれぞれ記憶している。
【0021】
また、EEPROM12は、閾値T(T1〜T5)の各々を3つの記憶領域(以下、「エリア1〜3」という)にそれぞれ記憶している。CPU13は、EEPROM12のこれら全てのエリア1〜3の閾値Tを読み出すとともに、その正常値を多数決で決定する。これは、EEPROM12に記憶される閾値Tに異常が生じたとしても、乗員検知に不具合が生じることを抑制するためである。
【0022】
例えば図3に閾値T1の例を代表して示したように、エリア1〜3の全ての閾値T1が「200」であった場合、正常値として「200」が決定される。また、エリア1の閾値T1のみが「200」でエリア2〜3の閾値T1が「100」であった場合、正常値として「100」が決定される。あるいは、エリア1〜2の閾値T1が「200」でエリア3の閾値T1のみが「100」であった場合、正常値として「200」が決定される。一方、エリア1〜3の全ての閾値T1が異なり、エリア1の閾値T1が「200」で、エリア2の閾値T1が「100」で、エリア3の閾値T1が「150」であった場合、多数決による正常値の決定が不能となる。この場合、CPU13は、ROM14に予め記憶されている閾値T1のデフォルトの値を使用する。
【0023】
次に、ROM14及びEEPROM12に対するデータ等の書き込み態様について説明する。
図1に併せ示すように、ROM14に対するデータ等の書き込みは、マイコン11にその仕様専用のROMライター21を電気的に接続することで行われる。この書き込み作業は、工場での調整前の段階(例えばコントローラ10が工場に出荷される前の段階)で行われるものである。従って、工場での調整時の段階までは各マイコン11のROM14に書き込まれたデータ等は共通であり、EEPROM12に未だ閾値Tを書き込まれていないコントローラ10は全て同一品目として管理できる。
【0024】
一方、EEPROM12に対する閾値Tの書き込みは、工場での調整時にコントローラ10に工場調整ツール22を電気的に接続することで行われる。この工場調整ツール22は、パソコンを主体に構成されるもので、予めインストールされているライティングソフトウェアの処理に従い、マイコン11のCPU13に対し制御指令を送信して、該CPU13を通じてEEPROM12に閾値Tを書き込む。これにより、EEPROM12には、車両評価に応じた最適な閾値Tが前述の態様で記憶される。
【0025】
図4は、EEPROM12に対する閾値T(T1)の書き込み手順の一例を示す説明図である。同図に示すように、工場調整ツール22において、「乗員なし」から「子供」へと切り替える際の閾値T1として「200」が設定されると、工場調整ツール22は、コントローラ10に対し外部ROM書き込み開始命令を送信する(図4(a))。これに伴い、コントローラ10は、外部ROM(EEPROM12)に「乗員なし」から「子供」へと切り替える際の閾値T1として「200」を書き込む。このとき、エリア1〜3にそれぞれ閾値T1として「200」を書き込むことは既述のとおりである。そして、この書き込みが完了すると、コントローラ10は、工場調整ツール22に対し外部ROM書き込み完了応答を送信する(図4(b))。これにより、工場調整ツール22において、EEPROM12に対する閾値T1の書き込みが完了する。
【0026】
続いて、工場調整ツール22は、正しく書き込めたか否かをチェックすべく、コントローラ10に対し外部ROM読み出し開始命令を送信する(図4(c))。これに伴い、コントローラ10は、外部ROM(EEPROM12)から「乗員なし」から「子供」へと切り替える際の閾値T1(200)を読み出す。そして、この読み出しが完了すると、コントローラ10は、工場調整ツール22に対し外部ROM読み出し完了応答を送信する(図4(d))。これにより、工場調整ツール22において、EEPROM12の閾値T1(200)が確認される。
【0027】
以上の態様で全ての閾値T(T1〜T6)がEEPROM12に正しく書き込まれていることが確認されると、調整後のコントローラ10として出荷される。
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
【0028】
(1)本実施形態では、EEPROM12内で閾値Tを書き換え可能にしたことで、工場での調整時にその書き込みを実施できる。従って、乗員検知システムのコントローラ10は、閾値Tの書き込み前であれば全て同一品目となり、管理費を削減することができる。一方、ROM14内で閾値T以外の情報(例えばプログラムなど)の書き換えを困難にしたことで、例えば工場での調整時に誤って書き換えられることを防止できる。
【0029】
(2)本実施形態では、EEPROM12は、乗員の検知状態の切り替え態様に応じて閾値T(T1〜T5)を複数種類で記憶する。従って、乗員検知システムは、検出荷重値と複数種類の閾値T1〜T5との大小関係に基づいて、乗員の検知状態の切り替え態様(例えば乗員なしから子供、子供から大人など)を選択することで、より正確に乗員を検知することができる。
【0030】
(3)本実施形態では、EEPROM12は、閾値Tの正常値を多数決で決定させるために、該閾値Tを3つの記憶領域(エリア1〜3)にそれぞれ記憶する。従って、例えばEEPROM12の一つの記憶領域で閾値Tが異常値になったとしても、乗員検知システムは、同一値となる記憶領域の数が最多となる場合の閾値Tを使用することで、乗員の検知を継続することができる。
【0031】
(4)本実施形態では、閾値Tの調整に際しプログラムを作成・変更する必要がなく、図面作成の工数を低減することができる。そして、定数違いのソフトウェア発行による費用(設計、評価、管理)を削減することができる。
【0032】
(第2の実施形態)
以下、本発明を具体化した第2の実施形態について図面に従って説明する。なお、第2の実施形態は、基本的に第1の実施形態のROM14及びEEPROM12に記憶する内容をそれぞれ変更した構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明は省略する。
【0033】
図5に示すように、ROM14は、乗員の検知状態の切り替え態様と複数種類の閾値とを関連付けたパターンデータを複数(4つ)記憶している。例えばパターンデータ(1)として、乗員の検知状態を「乗員なし」から「子供」へと切り替える際の閾値T1、「子供」から「大人」へと切り替える際の閾値T2、「乗員なし」から「大人」へと切り替える際の閾値T3、「子供」から「乗員なし」へと切り替える際の閾値T4及び「大人」から「乗員なし」へと切り替える際の閾値T5をそれぞれ「200」、「250」、「400」、「50」及び「50」に設定した組み合わせを記憶している。パターンデータ(2)〜(4)についても同様である。これらパターンデータ(1)〜(4)は、車両の違い等によって変更されることのない固定のデータである。
【0034】
一方、EEPROM12は、複数のパターンデータ(1)〜(4)のいずれか一つを特定する閾値特定情報としての符号情報(1)〜(4)を記憶している。この符号情報が、車両の違い等によって変更されることはいうまでもない。
【0035】
このような構成にあって、CPU13は、イニシャル処理で、ROM14から乗員検知に係るプログラム及びデータ(閾値Tのデフォルトの値を含む)を読み出すとともに、EEPROM12から符号情報(1)〜(4)を読み出し、作業領域となるRAM15に書き込む。このとき、CPU13は、EEPROM12から読み出した符号情報に一致するいずれか一つのパターンデータ(1)〜(4)を構成する閾値T1〜T5を使用する。そして、CPU13は、基本的にEEPROM12から読み出した符号情報に対応してROM14から読み出したパターンデータ(1)〜(4)の閾値Tに基づいて、前記した乗員検知を行う。また、CPU13は、EEPROM12から読み出した符号情報が異常値と判断される場合、ROM14から読み出した閾値Tのデフォルトの値に基づいて、前記した乗員検知を行う。
【0036】
ここで、EEPROM12における符号情報(1)〜(4)の記憶態様について説明する。図6に示すように、本実施形態のEEPROM12は、符号情報(1)〜(4)を3つの記憶領域(エリア1〜3)にそれぞれ記憶している。CPU13は、EEPROM12のこれら全てのエリア1〜3の符号情報(1)〜(4)を読み出すとともに、その正常値を多数決で決定する。これは、EEPROM12に記憶される符号情報(1)〜(4)に異常が生じたとしても、乗員検知に不具合が生じることを抑制するためである。
【0037】
例えばエリア1〜3の全ての符号情報が(4)であった場合、正常値として(4)が決定される。また、エリア1〜2の符号情報が(4)でエリア3の符号情報のみが(2)であった場合、正常値として(4)が決定される。あるいは、エリア1の符号情報のみが(4)でエリア2〜3の符号情報が(2)であった場合、正常値として(2)が決定される。一方、エリア1〜3の全ての符号情報が異なり、エリア1の符号情報が(1)で、エリア2の符号情報が(2)で、エリア3の符号情報が(4)であった場合、多数決による正常値の決定が不能となる。この場合、CPU13は、ROM14に予め記憶されている閾値T(T1〜T5)のデフォルトの値を使用する。
【0038】
次に、EEPROM12に対する符号情報の書き込み手順の一例について説明する。
図7に示すように、工場調整ツール22において、符号情報として(4)が設定されると、工場調整ツール22は、コントローラ10に対し外部ROM書き込み開始命令を送信する(図7(a))。これに伴い、コントローラ10は、外部ROM(EEPROM12)に符号情報として(4)を書き込む。このとき、エリア1〜3にそれぞれ符号情報として(4)を書き込むことは既述のとおりである。そして、この書き込みが完了すると、コントローラ10は、工場調整ツール22に対し外部ROM書き込み完了応答を送信する(図7(b))。これにより、工場調整ツール22において、EEPROM12に対する符号情報(4)の書き込みが完了する。
【0039】
続いて、工場調整ツール22は、正しく書き込めたか否かをチェックすべく、コントローラ10に対し外部ROM読み出し開始命令を送信する(図7(c))。これに伴い、コントローラ10は、外部ROM(EEPROM12)から符号情報(4)を読み出す。そして、この読み出しが完了すると、コントローラ10は、工場調整ツール22に対し外部ROM読み出し完了応答を送信する(図7(d))。これにより、工場調整ツール22において、EEPROM12の符号情報(4)が確認される。
【0040】
以上の態様で符号情報がEEPROM12に正しく書き込まれていることが確認されると、調整後のコントローラ10として出荷される。
以上詳述したように、本実施形態によれば、前記第1の実施形態における(1)(3)(4)の効果に加えて以下に示す効果が得られるようになる。
【0041】
(1)本実施形態では、乗員検知システムは、EEPROM12から符号情報(1)〜(4)を読み出すとともに、ROM14から当該符号情報に対応するいずれか一つのパターンデータ(1)〜(4)を読み出し、前記検出荷重値と当該パターンデータを構成する複数種類の閾値T1〜T5との大小関係に基づいて、乗員の検知状態の切り替え態様(例えば乗員なしから子供、子供から大人など)を選択することで、より正確に乗員を検知することができる。この場合、EEPROM12には、工場での調整時に選択された符号情報が記憶されるのみであるため、必要な記憶容量を軽減できる。
【0042】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記第1の実施形態において、閾値Tのずれの特性が常に所定の基準閾値から加算側及び減算側のいずれか一方にのみ同一幅で変化する場合、EEPROM12には当該特性から閾値Tを特定し得る補正係数のみの記憶であってもよい。この場合、複数品目のEEPROM12(コントローラ10)をオフセットで表現できる。一方、閾値のずれの特性が同一幅で変化しない場合、近似曲線での設定が可能である。
【0043】
・前記各実施形態において、第1ROM及び第2ROMの種類は、第1ROMに比べて第2ROMの書き換えが困難であればその選択は任意である。
・前記実施形態においては、固定のデータを内部ROM(ROM14)に記憶し、例えば車両ごとに変更される閾値又は該閾値を特定するための閾値特定情報を外部ROM(EEPROM12)に記憶した。これに対し、EEPROM12をマイコン11に内蔵する構成にしてもよい。
【0044】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
・請求項1〜4のいずれか一項に記載の乗員検知システムの記憶装置において、
前記第1ROMは、所定の基準閾値を加算側及び減算側のいずれか一方に同一幅で変化させることを表す補正係数を記憶することを特徴とする乗員検知システムの記憶装置。
【符号の説明】
【0045】
10…コントローラ、11…マイコン、12…EEPROM(第1ROM)、13…CPU、14…ROM(第2ROM)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷重センサから取得する検出荷重値と閾値との大小関係に基づいて乗員を検知するための情報を記憶する乗員検知システムの記憶装置において、
前記閾値又は該閾値を特定するための閾値特定情報を記憶する、書き換え可能な第1ROM(Read Only Memory)と、
前記閾値又は前記閾値特定情報以外の情報を記憶する、前記第1ROMに比べて書き換えの困難な第2ROMとを備えたことを特徴とする乗員検知システムの記憶装置。
【請求項2】
請求項1に記載の乗員検知システムの記憶装置において、
前記第1ROMは、乗員の検知状態の切り替え態様に応じて前記閾値を複数種類で記憶することを特徴とする乗員検知システムの記憶装置。
【請求項3】
請求項1に記載の乗員検知システムの記憶装置において、
前記第2ROMは、乗員の検知状態の切り替え態様と複数種類の前記閾値とを関連付けたパターンデータを複数記憶しており、
前記第1ROMは、前記複数のパターンデータのいずれか一つを特定する符号情報を記憶することを特徴とする乗員検知システムの記憶装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の乗員検知システムの記憶装置において、
前記第1ROMは、前記閾値又は前記閾値特定情報の正常値を多数決で決定させるために、前記閾値又は前記閾値特定情報を3つ以上の記憶領域にそれぞれ記憶することを特徴とする乗員検知システムの記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−52953(P2012−52953A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196791(P2010−196791)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)