説明

乗客コンベアのステップ清掃装置

【課題】ステップ溝内に付着した汚れを確実に掻き出して除去することができるステップ清掃装置を簡易な構成で安価に提供する。
【解決手段】回転軸10S回りに可動可能に取り付けられた可動レバー10,10と、可動レバー10,10の先端側に設けられ、ステップ100Sと略同等の幅を有して、その先端がステップ溝100Saと接触するように配設されたブラシ部材20と、乗客コンベア100に対して、可動レバー10,10の回転軸10Sの相対位置を固定すると共に、ステップ溝100Saに対するブラシ部材20の相対位置を位置決めする位置決め固定手段10F,10Fと、ブラシ部材20をステップ溝100Saに押圧する押圧力を付与する押圧手段30とを備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレーターや電動道路等の乗客コンベアに係り、そのステップ上面の溝内の汚れを除去するステップ清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、エスカレーターのステップ上面に設けられた溝の清掃に関しては、エスカレーターの運転を停止させた状態で手作業にて清掃を行うことが通例となっている。しかしながら、かかる手作業による清掃は、多数のステップに渡って順次移動しながらの清掃作業が必要となるため作業効率が悪く、清掃保守のために長時間を要し、利用者の利便性を損なっていた。そこで、上記ステップを循環移動させながらブラシ部材により清掃するステップ清掃装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、特許文献1には、エスカレーターのステップ上面に回転ブラシを接触させて、かかる回転ブラシによりステップ上面の塵埃を掃き出して、掃き出された塵埃を吸引除去するように構成した清掃装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−133656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術は、次のような問題点を有していた。すなわち、上記先行技術文献に係る清掃装置では、ステップ上面に回転ブラシを乗せて、ステップの移動に伴って接触面の塵埃を除去しているため、ステップと回転ブラシとが相対的に移動して(ステップ溝に対して、回転ブラシが位置ずれして)、回転ブラシの接触圧力が不安定となり易く、清掃性能を安定して維持することが困難であった。特に、ステップ上面の溝内に付着した汚れは、エスカレーター利用者の靴底に付着した土、ごみ等や、衣服に付着した毛埃等に、エスカレーターのステップ駆動用チェーンに常時滴下しているオイル等が混じり合って溝内に強固に付着している場合が多く、このように固着した汚れを、上記先行技術に係る清掃装置のように吸引により除去することはそもそも困難であり、さらに、ステップ上面に対して位置ずれし易く接触圧力が不安定となり易い上記回転ブラシでは、溝内の汚れを十分に除去できないといった問題が生じていた。
【0006】
また、回転ブラシの移動に伴って、清掃装置とステップの周辺部材とが接触して、周辺部材に対して傷等の損傷を与えるといった問題も生じていた。特に、ステップの幅方向両端部に立設されたサイドガード(以下、スカートガードとも称する)には、利用者に対する安全性の向上という観点から、その表面に滑り止め加工が施されており、清掃装置との接触等により表面の滑り止め加工が剥離した場合には、例えば、ハンドレールを掴もうとする幼児等の靴などがステップとスカートガードとの間に挟まれてしまう等、利用者に対する安全性が損なわれる懸念が生じてしまう。そこで、ステップの両サイドの溝部分については、依然として手作業等による別途の清掃作業を要していた。
【0007】
そこで、本発明は、上述のような従来技術の問題点に鑑みて、ステップ溝内に付着した汚れを確実に掻き出して除去することができるステップ清掃装置を簡易な構成で安価に提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る乗客コンベアのステップ清掃装置は、乗客コンベアのステップ上面に形成されたステップ溝を清掃するステップ清掃装置であって、回転軸回りに可動可能に取り付けられた可動レバーと、前記可動レバーの先端側に設けられ、前記ステップと略同等の幅を有して、その先端が前記ステップ溝と接触するように配設されたブラシ部材と、前記乗客コンベアに対して、前記可動レバーの回転軸の相対位置を固定すると共に、前記ステップ溝に対する前記ブラシ部材の相対位置を位置決めする位置決め固定手段と、前記ブラシ部材をステップ溝に押圧する押圧力を付与する押圧手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0009】
このように構成した場合には、ステップ溝に対する相対位置を位置決めした状態で、ブラシ部材に押圧力を付与することができるので、ステップ溝内に固着した汚れを簡易な構成で安定して除去することが可能となる。
【0010】
また、前記押圧手段は、その押圧方向が設置面に対して常に垂直となるように、その姿勢を調整する姿勢調整機構を備えていてもよい。
【0011】
このように構成した場合には、押圧手段による押圧力が、任意の接地面に対して常に垂直となるように清掃装置を設置することができるので、任意の接地面への安定した据え付けを可能とすると共に、接地面の傾きによらず、先端のブラシ部材に対して常に所定の押圧力を付与することができる。
【0012】
さらに、前記ブラシ部材は、前記ステップの上面と一定の離隔距離を確保して、ステップに対して過度な圧接力が付与されることを防止する過大力防止機構を備えていてもよい。
【0013】
このように構成した場合には、ステップやブラシ部材に対する過度な圧接力に伴うダメージを未然に防止することができる。
【0014】
さらに、前記ブラシ部材は、前記可動レバーに対して可動可能な支持部材に取り付けられており、前記過大力防止機構は、前記支持部材と協働して、前記ブラシ部材の所定の姿勢を維持してもよい。
【0015】
このように構成した場合には、過大力防止機構を姿勢維持機構として兼用することにより、機能複合化に伴う部品点数の削減や小型化に寄与することができる。
【0016】
さらにまた、前記押圧手段は、前記位置決め固定手段を挟んでブラシ部材の反対側に配置されていてもよい。
【0017】
このように構成した場合には、ブラシ部材に付与する押圧力をてこの原理により拡大することができるので、吸引や回転等の動力源の省略を可能として、装置小型化やコストダウン及び騒音の低減に寄与することができる。
【0018】
また、前記位置決め固定手段は、前記回転軸を回転可能に支持する支持部材をステップ溝が出入りする櫛板に締結することにより構成することができる。
【0019】
このように構成した場合には、ステップ溝の安定した清掃を可能とするステップ清掃装置の位置決め固定を、既設の構成部材を流用して容易に実現することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ブラシ部材の接触圧力を一定に維持しつつステップに対する位置ずれを防止して、ステップ溝内に固着した汚れを確実に掻き出して除去することができるステップ清掃装置を簡易な構成で安価に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施の形態に係るエスカレーターの概略構成を示す模式図である。
【図2】本実施の形態に係るステップ清掃装置の概略構成を示す模式的斜視図である。
【図3】本実施の形態に係るステップ清掃装置の取付状態を示す模式図である。
【図4】本実施の形態に係るステップ清掃装置の概略構成を説明するための模式図であり、(a)は模式的側面図、(b)は模式的平面図である。
【図5】本実施の形態に係るブラシ部材の変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。まず、本実施の形態に係るエスカレーターの装置構成について図1を参照して説明する。ここで、図1は、本実施の形態に係るエスカレーターの構成を示す模式的側面図である。
【0023】
乗客コンベアの一例である本実施の形態に係るエスカレーター100は、図1に模式的に示すように、傾斜部の上下両端に略水平部を有する支持フレーム101と、この支持フレーム101の上下の略水平部に設けられた乗降口100U,100Dと、一方の乗降口(例えば、下部乗降口100D)から他方の乗降口(例えば、上部乗降口100U)に渡って循環移動するステップ100Sと、このステップ100Sの移動方向に沿って立設された欄干パネル105と、この欄干パネル105の外周側に配設されステップ100Sと同期して移動するハンドレール107等とを備えている。
【0024】
なお、本実施の形態において、支持フレーム101の上下端に設けられた略水平部の一方(本例では、上部乗降口100U側の水平部)の内部には、エスカレーター100の運転を制御する制御盤等が配設された機械室101Mが設けられている。また、欄干パネル105の下方には、ステップ100Sとの間に、保護部材としてのスカートガード109が配設されている。
【0025】
上記ステップ100Sの表面には、進行方向に沿って複数のステップ溝100Saが形成されていると共に、エスカレーター100の乗降口100D,100Uのそれぞれには、ステップ100Sが出入りする櫛歯状の櫛板110d,110uが配設されている。
【0026】
そして、上記機械室101M内に設けられた不図示の駆動装置により、ステップ100Sとハンドレール107とが同期して駆動され、複数のステップ100Sは、略水平の乗降口100D,100Uの進行方向上流側の櫛板(例えば、110d)から出現し、下流側の櫛板(例えば、110u)の下面を通過した後、上下反転して循環移動するようになっている。
【0027】
次に、本実施の形態に係るステップ清掃装置1について、図2〜図4参照して説明する。ここで、図2は、本実施の形態に係るステップ清掃装置の概略構成を設明するための模式的斜視図であり、図3は、本実施の形態に係るステップ清掃装置の取付状態を示す模式図である。また、図4は、本実施の形態に係るステップ清掃装置の概略構成を設明するための模式的側面図及び模式的平面図である。
【0028】
図2〜図4に模式的に示すように、本実施の形態に係るステップ清掃装置1は、回転軸10S回りに可動自在に形成された一対の可動レバー10,10と、この可動レバー10,10の先端に設けられたブラシ部材20と、可動レバー10,10の後端に設けられた押圧手段30とを備えている。また、本実施の形態では、可動レバー10,10の機械的強度を補強するために、複数の補強リブ10rが、可動レバー10,10間に渡って配設されている。そして、上記ステップ清掃装置1は、エスカレーター100の櫛板110にボルトにて締結固定されるようになっている。
【0029】
本実施の形態に係る一対の可動レバー10,10は、その略中央部に渡って回転軸10Sが挿通されており、櫛板110に取り付けられた位置決め固定手段としての略L字状の一対の取付ブラケット10F,10Fを介して、回転軸10S回りに可動可能に支持されている。
【0030】
具体的には、櫛板110の所定の位置に設けられた固定用のネジに代えて、同径で長尺の装置固定用ネジ10BをL字状の取付ブラケット10Fの底面に設けられた貫通孔10F0に挿通し、取付ブラケット10Fを介して櫛板110の既設のネジ孔にねじ込んで固定するようになっている。なお、本実施の形態に係る取付ブラケット10Fの上記貫通孔10F0は、既存のエスカレーター100の櫛板110の任意の取付孔位置に対応可能となるように、櫛板110の幅方向(ステップ溝100Saと直交する方向)に沿って延在する長孔として形成されている。
【0031】
そして、このように既設の櫛板110流用して、櫛板110に簡易に固定可能な一対の取付ブラケット10F,10Fを介して一対の可動レバー10,10を可動可能に支持することにより、エスカレーター100に対して、ステップ清掃装置1の回転軸10S(支点)の相対位置を固定すると共に、先端のブラシ部材20の幅方向の位置決め固定が容易に可能となる。これにより、清掃作業中におけるステップ100Sの周辺部材(例えば、幅方向端部に立設されたスカートガード109等)との接触を確実に防止することができる。
【0032】
本実施の形態に係るブラシ部材20は、一対の可動レバー10,10の先端側(ステップ100Sと対向する側)に設けられており、可動レバー10,10に対して回転可能に取り付けられた一対の支持ブラケット20F,20Fを介して可動レバー10,10間に渡って配設されている。具体的には、ステップ100Sと略同等の幅を有する略長方形状の台座部21と、ステップ100Sと対向しステップ溝100Saの間隔と同等の間隔で台座部21に複数列植設されたブラシ毛23とを備え、台座部21と可動レバー10,10とが支持ブラケット20F,20Fを介して接続されている。
【0033】
また、一対の支持ブラケット20F,20F(台座部21)の後方には、過大力防止機構としての複数(一対)のロールストッパ21Rが配設されており、このロールストッパ21Rをステップ100Sの上面に当接させることにより、ステップ100S上面とブラシ部材20との間で一定の離隔距離を確保し、先端のブラシ毛23のステップ溝100Saに対する食い込み量を常に所定の値に維持して、万一、過大な圧接力(押圧力)がブラシ部材20に付与された場合でも、ステップ溝100Saや先端のブラシ毛23に不測のダメージが加わることを未然に防止している。
【0034】
さらに、このロールストッパ21Rは、可動可能に構成された支持ブラケット20Fと相俟って、ステップ100Sに対するブラシ部材20の姿勢を常に所定の姿勢(ステップ100Sの上面に対してブラシ毛23が垂直となる姿勢)に維持することを可能としている。すなわち、本実施の形態に係る過大力防止機構としてのロールストッパ21Rは、ブラシ部材20の姿勢を一定に維持する姿勢維持機構としての機能を兼用している。
【0035】
なお、支持ブラケット20Fとロールストッパ21Rとの協働により、ブラシ部材20の姿勢を安定に維持するという観点からは、一対の支持ブラケット20F,20Fの取付位置(可動レバー10に対する取付位置)と、対応する一対のロールストッパ21R,21Rの配設中心とは、それぞれ略同一直線上(ステップ100Sの進行方向に沿った直線上)に位置するように、支持ブラケット20Fとロールストッパ21Rとを配置することが好ましい。
【0036】
また、本実施の形態において、上記ブラシ毛23は、ステップ溝100Sa内に付着した汚れを確実に掻き出すという観点から、その太さ及び長さを適宜任意に設定することができる(例えば、ステップ溝深さ:11mm、ステップ溝幅:6.0〜8.5mmに対して、ブラシ毛太さ:約φ0.5mm、ブラシ毛長さ:20〜30mm)。
【0037】
さらに、本実施の形態に係るブラシ部材20は、支持ブラケット20F,20Fを介して簡易に着脱可能な構成となっているので、ブラシ毛23の長さや配置間隔等を既存のエスカレーター100のステップ溝100Saの深さや配置間隔等に合せて予め設定した複数種類のブラシ部材20を用意しておくことにより、既存の複数種類のエスカレーター100のステップ100Sの清掃に容易に適用可能となっている。例えば、図5に模式的に示すように、安全性の向上等の観点から、両端部が高くなったステップ100Sに対しては、両端部のブラシ毛231の長さが短いブラシ部材20を用いることにより、周辺部材との接触の虞が生じるステップ100Sの両端部のステップ溝100Sa0の清掃をより効果的に行うことができる。
【0038】
本実施の形態に係る押圧手段30は、一対の可動レバー10,10の後端部に渡って配設された姿勢調整機構としての断面略L字状の姿勢調整アングル31と、この姿勢調整アングル31の上面31aを貫通するように(上面31aと直交するように)螺挿された調整ボルト35と、調整ボルト35の先端にプレート33を介して介装された圧縮スプリング30S等とから構成されている。
【0039】
より詳細には、上記姿勢調整アングル31は、その幅方向(可動レバー10,10間を横断する方向)両端部に端面31cが形成されており(両端部が端面31cにより塞がれており)、この端面31cと可動レバー10とに締結ボルト32を挿通して、端面31cの内側よりナットで固定することにより、姿勢調整アングル31が可動レバー10に対して可動可能なように取り付けられている。また、上記圧縮スプリング30Sは、その上下端部が一対の底部プレート33d及び上部プレート33uにて挟みこまれており、上記調整ボルト35を回転させることにより、上部プレート33uが底部プレート33dに対して上下動して、圧縮スプリング30Sの圧縮力が調整できるようになっている。
【0040】
このように、押圧手段30を構成する圧縮スプリング30Sを姿勢調整アングル31と共に、可動レバー10に対して相対回転可能となるように構成することにより、圧縮スプリング30Sが介装された底部プレート33dを、エスカレーター100の任意の設置面と平行に接触させる(圧縮スプリング30Sを任意の設置面に対して垂直な姿勢にする)ことができる。これにより、任意の傾斜面に対して設置可能とすると共に、予め調整ボルト35により調整した所定の押圧力を、設置面の傾斜によらず可動レバー10を介して先端のブラシ部材20に安定して付与することが可能となる。
【0041】
また、ブラシ部材20と押圧手段30とが、回転軸10Sを挟んで配設されているので、圧縮スプリング30Sによる圧縮力(押圧力)をてこの原理により拡大して利用することができ、ステップ溝100Sa内に固着した汚れを除去するための特別の駆動源(例えば、ブラシ回転や吸引等の電源等)を省略可能として、非常に簡易な構成で装置の小型化やコストダウン及び騒音の低減に寄与することができる。
【0042】
なお、本実施の形態に係るステップ清掃装置1を取り付ける際には、先端のブラシ部材20及びロールストッパ21Rをステップ100Sの上面に接触させると共に、押圧手段30の底部プレート33dを設置面(傾斜面)に対して平行に接触させた後、取付ブラケット10F,10Fを介して、櫛板110にネジ止めすることにより、既設のエスカレーター100に容易に取り付け固定することができる。また、本実施の形態に係るステップ清掃装置1は、上部乗降口100U側の櫛板110u又は下部乗降口100D側の櫛板110dのいずれに設置してもよい。
【0043】
また、清掃時には、エスカレーター100を所定の方向(例えば、上部乗降口100Uから下部乗降口100Dへ向かう方向)に循環運転させる。これにより、ブラシ部材20により掻き出された汚れが、ステップ100Sの移動に伴ってステップ溝100Sa内から浮いた状態で運ばれ、ステップ100Sが反転する箇所にて自重により落下する。この汚れは重いため周辺に散らばり難く、例えば、ステップ100Sの反転箇所の下方に回収容器を設置しておくことにより、容易にステップ溝100Sa内の汚れを除去回収することが可能となる。
【0044】
このように構成した本発明に係るステップ清掃装置1によれば、エスカレーターに対して位置決め固定した状態で、先端のブラシ部材20をステップ100S表面に一定の接触圧力にて押圧することができるので、清掃作業の際に、ステップ清掃装置1がステップ100S近傍の周辺部材と接触して、かかる周辺部材にダメージを与えることを確実に防止しつつ、ステップ100S表面に形成された溝100Sa内にこびりついた汚れを安定して除去することが可能となる。併せて、ステップ100S上にこびりついた汚れを清掃除去するための、ブラシの回転や吸引等のための駆動源(電源等)を何ら要しないので、省エネ化や騒音の低減に寄与すると共に、非常に簡易な構成に伴う大幅なコストダウンが可能となる。
【0045】
なお、本発明の技術的範囲は上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨に逸脱しない範囲において多様な変更もしくは改良を加え得るものである。例えば、上述した実施の形態では、乗客コンベアの一例として、ステップ100Sが上下方向(傾斜方向)に移動するエスカレーター100に適用したステップ清掃装置を例示したが、本発明に係るステップ清掃装置は、このような形態に限定されるものではなく、例えば、電動道路(動く歩道)等のステップ100Sが水平方向に移動する乗客コンベアに対しても当然に適用可能である。
【符号の説明】
【0046】
1:ステップ清掃装置、10:可動レバー、10B:装置固定用ネジ、10F:取付ブラケット、10F0:貫通孔、10S:回転軸、10r:補強リブ、20:ブラシ部材、20F:支持ブラケット、21:台座部、21R:ロールストッパ、23:ブラシ毛、30:押圧手段、30S:圧縮スプリング、31:姿勢調整アングル、32:締結ボルト、33u:上部プレート、33d:底部プレート、35:調整ボルト、100:エスカレーター、100U:上部乗降口、100D:下部乗降口、100S:ステップ、100Sa:ステップ溝、101:支持フレーム、101M:機械室、105:欄干パネル、107:ハンドレール、109:スカートガード、110:櫛板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客コンベアのステップ上面に形成されたステップ溝を清掃するステップ清掃装置であって、
回転軸回りに可動可能に取り付けられた可動レバーと、
前記可動レバーの先端側に設けられ、前記ステップと略同等の幅を有して、その先端が前記ステップ溝と接触するように配設されたブラシ部材と、
前記乗客コンベアに対して、前記可動レバーの回転軸の相対位置を固定すると共に、前記ステップ溝に対する前記ブラシ部材の相対位置を位置決めする位置決め固定手段と、
前記ブラシ部材をステップ溝に押圧する押圧力を付与する押圧手段と
を備えていることを特徴とする乗客コンベアのステップ清掃装置。
【請求項2】
前記押圧手段は、その押圧方向が設置面に対して常に垂直となるように、その姿勢を調整する姿勢調整機構を備えていることを特徴とする請求項1に記載の乗客コンベアのステップ清掃装置。
【請求項3】
前記ブラシ部材は、前記ステップの上面と一定の離隔距離を確保して、ステップに対して過度な圧接力が付与されることを防止する過大力防止機構を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の乗客コンベアのステップ清掃装置。
【請求項4】
前記ブラシ部材は、前記可動レバーに対して可動可能な支持部材に取り付けられており、前記過大力防止機構は、前記支持部材と協働して、前記ブラシ部材の所定の姿勢を維持することを特徴とする請求項3に記載の乗客コンベアのステップ清掃装置。
【請求項5】
前記押圧手段は、前記位置決め固定手段を挟んでブラシ部材の反対側に配置されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の乗客コンベアのステップ清掃装置。
【請求項6】
前記位置決め固定手段は、前記可動レバーの回転軸を回転可能に支持する支持部材をステップ溝が出入りする櫛板に締結することにより構成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の乗客コンベアのステップ清掃装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−152988(P2011−152988A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15461(P2010−15461)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(391024951)東日本トランスポ−テック株式会社 (24)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【出願人】(393014981)株式会社ニッシン (12)
【Fターム(参考)】