説明

乗客コンベアの乗降床の補修方法及び乗客コンベアの乗降床

【課題】
乗降床の化粧板と裏板が剥離して化粧板が浮き上がった場合に多数の固定ねじで浮き上がり部分を固定して化粧板の浮き上がりを抑制して暫定的な修繕をしていたが、多数の固定用のねじが必要になり、補修の工数も多くかかるという課題があった。
【解決手段】
化粧板の浮き上がり部分で化粧板と裏板に固定ねじの取付け用貫通孔を形成し、取付け用貫通孔を介して接着性を有する充填剤を化粧板と裏板の間の浮き上がり部分に充填し、取付け用貫通孔に固定ねじを挿通して化粧板と裏板を一体的に固定することで化粧板が裏板から浮き上がった場合の補修を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエスカレーターや動く歩道などの乗客コンベアに係り、特に乗客コンベアの乗降口に設ける乗降床の補修方法及び新規な乗客コンベアの乗降床に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、乗客コンベアは建築構造物に設置された枠体の長手方向両端部に設けた乗降床間を無端状に連結されて循環移動する踏板、及びこの踏板の移動方向に沿って枠体に立設された欄干に設けた踏板と同期して駆動されるハンドレール等より構成されている。
そして、乗降床は一般的に踏面を形成するため表面に凹凸形状等を施した化粧板と、この化粧板を固定するため裏面に設けられる裏板を備えている。
【0003】
ところで、化粧板は裏板に溶接によって直接固定する構造や、化粧板に溶着されたねじ類で裏板に固定する構造が一般的な技術となっている。
乗客コンベアの利用者は通常では利用者本人や場合によってはスーツケースを引きながら乗降床上を歩行して踏板に移動するが、乗降床の踏面を形成する化粧板はその歩行による局所的な繰返しの負荷等で裏板から剥離して浮き上がる現象が見られる。
【0004】
このような場合は、従来では化粧板表面に皿ねじやリベットを打ち込んで部分的に浮き上がりを抑制して対処しているのが一般的であり、この皿ねじやリベットを打ち込む対処法でも対処し切れない場合は乗降床そのものを新品に交換している。
乗降床の交換については特許文献1に示されているような方法が提案されているが、補修方法等については開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平1−76888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の乗降床は化粧板を裏板に溶接又はねじによって化粧板と裏板を固定する構造のため、この固定部付近では化粧板と裏板は密着するが、その周囲つまりねじ部や溶接部以外では化粧板と裏板の間に隙間が生じて歩行者等の歩行による局所的な繰返し負荷で化粧板が反り返り、化粧板が浮き上がることが懸念される。
【0007】
また、固定用のねじは化粧板に溶着されていることが一般的だが、同様に歩行者からの繰返しの負荷を受けると、このねじの溶着部が疲労剥離して化粧板が浮き上がることが懸念される。
また、上述した特許文献1で述べている従来技術にある化粧板を裏板に溶接して固定するものにおいても、同様に歩行者からの繰返しの負荷を受けると、この溶接部が疲労剥離して化粧板が浮き上がる現象が懸念される。
【0008】
このため、従来では既設乗降床の化粧板と裏板が剥離して化粧板が浮き上がった場合に多数の固定ねじで浮き上がり部分を固定して化粧板の浮き上がりを抑制して暫定的な修繕をしていたが、多数の固定用のねじが必要になり、また、このため補修の工数も多くかかるという課題があった。
【0009】
本発明の目的は、多数の固定用のねじを用いなくても確実に正常な形態まで乗降床の補修が可能な乗客コンベアの乗降床の補修方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、化粧板の浮き上がりを未然に防止できる新規な乗客コンベアの乗降床を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の特徴は、乗降床の化粧板が裏板から浮き上がった場合に、化粧板の浮き上がり部分で化粧板と裏板に固定ねじの取付け用貫通孔を形成し、取付け用貫通孔を介して接着性を有する充填剤を化粧板と裏板の間の浮き上がり部分に充填し、その後に取付け用貫通孔に固定ねじを挿通して化粧板と裏板を一体的に固定することで化粧板が裏板から浮き上がった場合の補修を行う、ことにある。
【0011】
本発明の第2の特徴は、化粧板と裏板の突合せ面に接着性を有する充填剤を充填すると共に、化粧板に植立して固定された固定ねじを裏板に形成した貫通孔に挿通してナットにより化粧板と裏板を締め付け固定した、ことにある。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、乗客コンベア乗降床の化粧板の浮き上がりを補修する際に、化粧板と裏板の間の浮き上がり部に補修用の固定ねじ取付け貫通孔から接着性のある充填剤を封入し、且つ補修用の固定ねじ取付け貫通孔を用いて補修用の固定ねじによって化粧板と裏板を一体的に固定することで、固定に必要なねじ数を減らすことができるものである。
【0013】
また、本発明によれば新品の乗降床を製作する場合は、製作の過程で接着性のある充填剤を封入して化粧板と裏板を一体的に固定すれば浮き上がり現象を未然に防止する乗降床が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】エスカレーターの全体構成を示す構成図である。
【図2】エスカレーターの乗降床の構成を示す斜視図である。
【図3】エスカレーターの乗降床の単体を示す斜視図である。
【図4】図3の断面A−Aにおける乗降床の固定部を固定前の断面図である。
【図5】図3の断面A−Aにおける乗降床の固定部の固定後の断面図である。
【図6】エスカレーターの乗降床の化粧板浮き上がりを示す斜視図である。
【図7】エスカレーターの乗降床の化粧板浮き上がりを示す拡大斜視図である。
【図8】エスカレーターの乗降床化粧板を示す平面図である。
【図9】図7の断面B−Bにおける化粧板の浮き上がり現象を示す断面図である。
【図10】エスカレーターの化粧板の溶接による固定方法を示す断面図である。
【図11】エスカレーターの化粧板の溶接による固定方法における浮き上がり現象を示す断面図である。
【図12】エスカレーターの化粧板の溶接による固定方法における別の浮き上がり現象を示す断面図である。
【図13】本発明の一実施例になるエスカレーターの乗降床の補修方法の一例を示し、ドリルによって貫通孔を形成する時の断面図である。
【図14】本発明の一実施例になるエスカレーターの乗降床の補修方法の一例を示し、ドリルによって皿ねじの収納部を形成する時の断面図である。
【図15】本発明の一実施例になるエスカレーターの乗降床の補修方法の一例を示し、貫通孔を塞ぐ塞ぎ材を張り付ける時の断面図である。
【図16】本発明の一実施例になるエスカレーターの乗降床の補修方法の一例を示し、貫通孔に充填する接着剤を準備する時の断面図である。
【図17】本発明の一実施例になるエスカレーターの乗降床の補修方法の一例を示し、貫通孔に接着剤を充填している時の断面図である。
【図18】本発明の一実施例になるエスカレーターの乗降床の補修方法の一例を示し、貫通孔に接着剤を充填し終わった時の断面図である。
【図19】本発明の一実施例になるエスカレーターの乗降床の補修方法の一例を示し、錘によって化粧板を接着している時の断面図である。
【図20】本発明の一実施例になるエスカレーターの乗降床の補修方法の一例を示し、貫通孔に皿ねじを通して化粧板と裏板を固定した状態の断面図である。
【図21】本発明の他の実施例になるエスカレーターの乗降床の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に従って本発明を説明するが、まず、本発明が対象とする乗客コンベアの構成を図1乃至図5を用いて説明する。
本実施例では、乗客コンベアの一種であるエスカレーターに関わるものであり、その全体構成は図1に示す通りである。
【0016】
このエスカレーター装置1では、多数の踏板2を無端状に連結して循環移動させ、上階床3と下階床4との間で乗客を輸送している。
また、このエスカレーター装置1は、建築構造物に設置される枠体5と、乗客の安全ために設けられ踏板2と同期して移動するハンドレール6と、踏板2の幅方向両側に位置してハンドレール6を支持すると共に枠体5の長手方向に沿って(踏板2の移動方向に沿って)立設される欄干7を備えている。
尚、乗降床8、9の幅方向とは、乗降床8、9の長手方向、換言すれば、図1の平面に対して垂直な方向を指すものである。
【0017】
そして、乗降床8、9やハンドレール6及び欄干7等は枠体5に支持され、この枠体5の長手方向両端部に建屋側の乗降口(具体的には、上階乗降床8及び下階乗降床9)が固定されている。
エスカレーター装置1の枠体5は、利用者が乗降する上階乗降床8及び下階乗降床9と、これらの間を連結する傾斜部10を有している。また、上階乗降床8内の上階機械室11には駆動機12が設置され、駆動スプロケット13を駆動している。
【0018】
他方、下階乗降床9内の下階機械室14には従動スプロケット15が設置され、これら上下の駆動スプロケット13と従動スプロケット14間には無端状のチェーン16が巻き掛けられて連続的に駆動するようになっている。
【0019】
このチェーン16には、等間隔をおいて車軸17が連結されており、この車軸17に各踏板(踏段)2が取り付けられている。
【0020】
次に、図2は乗降床8、9の内、代表して下階床4の乗降床9の構成を示す斜視図であり、乗降床9は建屋側の下階床4と同一面となるように設置され、乗客コンベアを乗り降りする利用者が通行するためのレーンを構成し、乗降床9の表面には踏面を形成し、且つ利用者の転倒を防止するための滑り止めを考慮した凹凸形状の意匠を施したものが一般的である。
またこの乗降床9は下階機械室の保守作業の際に開閉させて、保守員の出入りにも使用する。
【0021】
乗降床9の単体構成を図3に示し、乗降床9は表面に踏面を形成する凹凸形状の意匠を施した化粧板18と、この化粧板18を固定するため裏面に設けられる裏板19を備えており、一般的な乗降床9は裏板19の上面に化粧板18を固定して構成されている。
【0022】
この乗降床9の一般的な構成を図3の断面A−Aを用いて図4、5で説明するが、図4は化粧板18と裏板19を一体化(固定)する前の状態を示し、図5は化粧板18と裏板19を一体化(固定)した後の状態を示している。
【0023】
そして、化粧板18の裏面には固定ねじ20が溶着部20Aで植立して固定されており、一方の裏板19には固定ねじ20を通すための孔21が設けられている。化粧板18を裏板19の上面に載せて、ナット22を締結することで、化粧板18と裏板19が一体の乗降床9を形成するものとしている。
【0024】
以上が乗客コンベアの一例であるエスカレーターの構成であるが、次に本発明が要請される背景等について説明する。
【0025】
図6、7は乗降床9の化粧板18が浮き上がった現象を簡略して示したものであり、乗客コンベアの利用者がこの化粧板18上を通行するが、踏面を形成する化粧板18は、その歩行による繰返し負荷23により、固定ねじ20の溶着部20Aが疲労剥離して化粧板18に隙間寸法gで表すような浮き上がり24が発生する。
【0026】
この浮き上がり24が発生すると、乗客コンベアの利用者が通行する際に躓いて転倒したり、化粧板18が上下に動くために利用者に不快感を与えたり、また意匠上でもよろしくない印象を利用者に与える懸念がある。
【0027】
また、化粧板18を表面から見ると図8に示す通り、複数箇所に固定ねじ20を溶着部20Aで固定するのが一般的であるが、図9に示す通り、固定ねじ20は化粧板18裏面に溶着部20Aで固定されており、繰返し負荷23による疲労剥離を回避し難いのが構造上の課題であり、1箇所剥離すると化粧板18の浮き上がり24による上下振幅25が大きくなるため、連鎖的にその周囲の固定ネジ20の溶着部20Aが剥離してしまう恐れが高くなるのはいうまでもない。
【0028】
以上は一般的な化粧板18と裏板19を固定ねじ20によって固定する構造に関する化粧板18の浮き上がり現象の説明であるが、次に化粧板18を溶接によって固定する構造に関する化粧板18の浮き上がり現象を図10乃至図12で説明する。
【0029】
図10乃至図12に示す構造は化粧板18には孔加工等を施さず裏板19に設けられた直径Dの孔21の中を溶接26することで化粧板18を直接溶着させるものである。
しかしながら、前述したように固定ねじ20の溶着部20Aと同様に乗客コンベアの利用者の歩行による繰返し負荷23により、裏板19から溶着部26が疲労剥離して化粧板18に浮き上がり24が発生する仕組みは同じであることから前述したように乗客コンベアの利用者が通行する際に躓いて転倒したり、化粧板18が上下に動くために利用者に不快感を与えたり、また意匠上でもよろしくない印象を利用者に与える懸念があるといった課題を抱えている。
【0030】
また、図12に示す通り化粧板18の溶着部26が剥離に至らなくても、溶着部26の間に位置する化粧板18が繰返し負荷23等による変形や反りによる浮き上がり24も確認されており、化粧板18と裏板19を合わせ持つ乗降床の構造としては同様の課題が残っているのが実情である。
【0031】
これらの課題は、新品の乗降床に交換するか、化粧板18と裏板19を一体構造とするべく鋼板を切削したり、エッチングして製作すれば解決することは可能であるが、コスト的、重量的にも好ましいものではなく有効な解決策とは言い難いものであった。
【0032】
次に、本発明の一実施例である化粧板18に生じた浮き上がり24を修復する補修方法をするが、冒頭に説明した図5及び図9の化粧板18と裏板19を固定ねじ20によって固定する構造を用いて図13乃至図20の手順で具体的に説明する。
【0033】
まず、最初に図13のように化粧板18と裏板19を乗降床から取り外し、化粧板18の浮き上がり部27にドリル28を用いて、化粧板18と裏板19を貫通させるように直径Dの貫通孔29の穿孔を行って補修のための固定ねじの貫通孔を形成する。この貫通孔29は化粧板18と裏板19とを固定するために使用される固定用の皿ねじの直径より若干大きくあけられ、皿ねじが挿通できるように構成されている。
【0034】
次に図14の通り、化粧板18側の貫通孔29にドリル28より穿孔径が大きいドリル30を用いて、後に使用する皿ねじの頭部が収容される収容部となる円錐状の収納孔31の穿孔を行って総体として皿ねじの取り付け用貫通孔を形成する。この場合、収納孔31は作業者によって電動ドリルを2回乃至3回化粧板の貫通孔29に押し当てることで形成可能である。
次に、図15の通り裏板19の貫通孔29部に塞ぎ材32を貼り付ける。この塞ぎ部材32は後で説明する充填剤の漏れを防ぐ機能を有するもので、接着剤を展着した金属板やプラスチック板等で構成されている。場合によってはガムテープのような簡略な塞ぎ剤32を用いることも可能である。
【0035】
次に、図16の通り充填器34のピストン35を外して充填剤33を注入し、再びピストンを装着する。充填作業性を考慮すると、充填器34には注射器のようなものを使用することが妥当だが、圧入器や袋状のものでも作業可能である。要は現場での作業性の良い充填器を用いればよいものである。
また、充填剤33は化粧板18と裏板19を接着させることを目的とするため、一般的な金属用接着剤を用いているが、この金属用接着剤でなくても、要は接着性を有し化粧板18と裏板19を強固に接着できればこれに限定されないものである。
【0036】
次に図17の通り、充填器34の先端を収納孔31に挿入し、図18のようにピストン35を押し込んで充填剤33を化粧板18と裏板19の隙間24A部に充填させる。
ここで、充填剤33は化粧板18の収納孔31から充填しているが、裏板19側の貫通孔29から充填しても良く、この場合塞ぎ部材32は化粧板18側に貼り付けられるものである。
【0037】
ただ、この場合は化粧板18の表面には凹凸形状が施されているので塞ぎ部材32はこの凹凸部分から充填剤が漏れでないような構造にすることが肝心である。このためには、化粧板18の凹凸に合わせた形状の塞ぎ材32を準備すればよい。
【0038】
充填剤の充填後は、図19のように化粧板18の表面から錘36、或いは作業者自身での押圧で充填剤33を均一に、且つ広範囲に延ばした後に塞ぎ部材32を剥がして皿ねじが通るように貫通孔29の部分の充填剤をそれ自身が乾燥、固化する前に取り除く。
【0039】
次に、図20に示すように固定用皿ねじ37を化粧板18側から差し込んで裏板19側でナット22を締結して補修作業を完了する。
尚、固定用皿ねじ37は化粧板18の表面にあることから、化粧板18表面の凹凸模様の凹部に配置することが意匠性や利用者の安全性を考慮するとより好ましいものである。
【0040】
そして、本実施例で設けた固定用皿ねじ37は、その取付け用貫通孔が充填剤33の注入口としての注入機能と、且つ充填剤33が固化して接着するまでの化粧板18と裏板19の密着性の維持機能と、固定用皿ねじ37自身による固定機能によって、従来のねじ固定のみの補修のように多数の固定ねじを必要とせず、必要最小限の数に減らすことが出来るものである。
【0041】
また、充填剤33は化粧板18と裏板19の間に接着機能とは別に充填剤として存在するため、化粧板18と裏板19の間の隙間を極力少なくでき、歩行者の繰り返し負荷によっても浮き上がり現象を抑制することが更に期待できる。
尚、これら一連の補修作業は既設の乗降床を対象に説明したが新品の乗降床を製作する場合も応用することが可能である。
【0042】
図21のように新品の乗降床9を製作する際、事前に接着性を有する充填剤33を裏板19に塗布してその上から化粧板18を載せて固定ねじ20と図示しないナットで図5に示すような構成で固定することで、多数の固定ねじ20の締結力に頼らず安定して化粧板18と裏板19の接着効果を得ることが可能である。
また、この実施形態ではエスカレーターを例にとって説明したが、動く歩道等の乗客コンベアにおいても同様の補修作業が実現でき同様の効果を期待できるものである。
【符号の説明】
【0043】
1…エスカレーター装置、2…踏板(踏段)、3…上階床、4…下階床、5…枠体、6…ハンドレール、7…欄干、8…上階乗降床、9…下階乗降床、10…傾斜部、11…上階機械室、12…駆動機、13…駆動スプロケット、14…下階機械室、15…従動スプロケット、16…チェーン、17…車軸、18…化粧板、19…裏板、20…固定ねじ、21…孔、22…ナット、23…繰返し負荷、24…浮き上がり、25…上下振幅、26…溶着部、27…浮き上がり部、28…ドリル、29…穿孔、30…ドリル、31…穿孔、32…塞ぎ材、33…充填剤、34…充填器、35…ピストン、36…錘、37…固定用皿ねじ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築構造物に設置された枠体と、この枠体の長手方向両端部に設けられ表面に凹凸形状を施した化粧板及び前記化粧板を固定する裏板よりなる乗降床と、これらの乗降床間を無端状に連結されて循環移動する踏板と、前記踏板の移動方向に沿って前記枠体に立設された欄干と、前記踏板と同期して駆動されるハンドレールを備えた乗客コンベアにおいて、
前記乗降床の前記化粧板が前記裏板から浮き上がった場合に、
前記化粧板の浮き上がり部分で前記化粧板と前記裏板に固定ねじの取付け用貫通孔を形成し、
前記取付け用貫通孔を介して接着性を有する充填剤を前記化粧板と前記裏板の間の浮き上がり部分に充填し、
前記取付け用貫通孔に前記固定ねじを挿通して前記化粧板と前記裏板を一体的に固定する
ことで前記化粧板が前記裏板から浮き上がった場合の補修を行うことを特徴とする乗客コンベアの乗降床の補修方法。
【請求項2】
請求項1に記載の乗客コンベアの乗降床の補修方法において、前記取付け用貫通孔は、前記化粧板と前記裏板を貫通し前記固定ねじが挿通する貫通孔を穿孔し、その後に前記化粧板の表面側で前記固定ねじの頭部が収納される収納孔を穿孔して形成されることを特徴とする乗客コンベアの乗降床の補修方法。
【請求項3】
請求項2に記載の乗客コンベアの乗降床の補修方法において、前記貫通孔を前記固定ねじより径が大きい第1のドリルで穿孔し、その後に収納孔を前記第1のドリルより径が大きい第2のドリルで穿孔して前記取付け用貫通孔を形成することを特徴とする乗客コンベアの乗降床の補修方法。
【請求項4】
請求項2または3に記載の乗客コンベアの乗降床の補修方法において、前記固定ねじの頭部が収納される前記収納孔は前記化粧板の表面に形成された凹凸部の凹部に形成されることを特徴とする乗客コンベアの乗降床の補修方法。
【請求項5】
請求項1から4の何れかに記載の乗客コンベアの乗降床の補修方法において、前記充填剤は金属用の接着剤であることを特徴とする乗客コンベアの乗降床の補修方法。
【請求項6】
建築構造物に設置された枠体と、前記枠体に沿って無端状に連結されて循環移動する踏板と、前記踏板の移動方向に沿って前記枠体に立設された欄干と、前記踏板と同期して駆動されるハンドレールを備えた乗客コンベアに使用され、表面に凹凸形状を施した化粧板及び前記化粧板を固定する裏板よりなる乗客コンベアの乗降床において、
前記化粧板と前記裏板の突合せ面に接着性を有する充填剤を充填すると共に、前記化粧板に植立して固定された固定ねじを前記裏板に形成した貫通孔に挿通してナットにより前記化粧板と前記裏板を締め付け固定したことを特徴とする乗客コンベアの乗降床。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−1466(P2013−1466A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131024(P2011−131024)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】