説明

乗客コンベアの制御装置

【課題】遠隔地からの操作による乗客コンベアの不用意な再起動を有効に防止できるようにする。
【解決手段】エスカレータが非常停止した後、遠隔地の遠隔監視装置30からエスカレータの起動を指示する外部指令信号が送られてきたときに、制御部24が、非常停止時に安全回路22から出力された異常コードを第1コード群および第2コード群と照合して、エスカレータ非常停止の要因となった異常のタイプを判断する。そして、エスカレータ非常停止の要因となった異常が、その状態を遠隔地で正確に確認することが難しく、現場での十分な状況確認が求められる種類の異常である場合には、遠隔監視装置30からの外部指令信号を無効とし、エスカレータの再起動を行わないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレータや動く歩道などの乗客コンベアの動作を制御する制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エスカレータや動く歩道などの乗客コンベアには、一般に、異常発生時に当該乗客コンベアの運転を非常停止させる安全回路が設けられている。安全回路が作動して乗客コンベアが非常停止した場合、通常は、乗客コンベア設置現場の管理者やメンテナンス会社の保守作業員が異常の状態を確認し、再起動しても問題がなければ操作盤に設けられた起動スイッチを操作して乗客コンベアを再起動させるようにしている。
【0003】
しかしながら、乗客コンベアは例えばデパートやスーパー、鉄道の駅舎などの施設内の主の動線を担う設備として設置されている場合が多く、サービスを停止させている時間が長くなると利用者に多大な迷惑をかけてしまうことになる。このため、近年では、遠隔地の監視センタなどから乗客コンベアの状態を確認できるようにし、すぐに再起動しても問題がない状況であれば、遠隔地からの操作により乗客コンベアを再起動できるようにすることで、サービス停止時間の短縮を図る試みもなされている。例えば、特許文献1においては、乗客コンベアおよびその周辺を監視カメラで撮影し、人がいないことが確認された場合に、遠隔地の監視センタから乗客コンベアの起動制御を行えるようにすることが記載されている。
【特許文献1】特開平10−236757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、乗客コンベアの状態を遠隔地で確認するようにした場合には、現場で確認する場合と比べて異常内容を正確に把握することは難しく、誤った判断で乗客コンベアを不用意に再起動させてしまう懸念がある。また、乗客コンベアを再起動させる意思がなくとも、誤操作によって乗客コンベアを不用意に再起動させてしまうことも懸念される。
【0005】
本発明は、以上のような実情に鑑みて創案されたものであって、遠隔地からの操作による乗客コンベアの不用意な再起動を有効に防止することができる乗客コンベアの制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る乗客コンベアの制御装置は、異常発生時に乗客コンベアの運転を停止させるとともに、発生した異常の内容を表す異常コードを出力する安全回路と、遠隔地の外部装置からの指令信号を入力する外部指令入力手段と、異常発生時に安全回路から出力された異常コードを記憶する記憶部を有し、外部指令入力手段が外部装置から乗客コンベアの起動を指示する指令信号を入力したときに、記憶部に記憶した異常コードを予め定められた第1コード群および第2コード群と照合して、記憶部に記憶した異常コードが第1コード群に属する場合は外部装置からの指令信号に応じて乗客コンベアの起動を許可し、記憶部に記憶した異常コードが第2コード群に属する場合は外部装置からの指令信号を無効とする制御手段と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る乗客コンベアの制御装置によれば、異常コードの照合によって乗客コンベアの停止要因となった異常の類別を判断し、当該異常が例えば現場での十分な状況確認が求められる類の異常であると判断される場合には、遠隔地の外部装置からの乗客コンベア起動を指示する指令信号を無効とすることができるので、遠隔地からの操作による乗客コンベアの不用意な再起動を有効に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、乗客コンベアの例として、多数の踏段が上下階に亘って斜めに移動するエスカレータを例示するが、勿論、本発明は、多数の踏段(踏板)が連続して水平方向に移動する動く歩道を制御対象とする場合にも有効に適用可能である。
【0009】
[第1の実施形態]
図1は、本発明を適用したエスカレータ制御装置の概略構成を示す図である。制御対象となるエスカレータは、図1に示すように、上階部梁1と下階部梁2とに締結されて上下階の間に架設されたトラス3によって支持されている。上階部梁1側のトラス3内には、エスカレータの駆動装置4が設置されている。駆動装置4は、駆動チェーン5を介して駆動スプロケット6を駆動する。また、下階部梁2側のトラス3内には、駆動スプロケット6と対をなす従動スプロケット7が設けられており、これら駆動スプロケット6と従動スプロケット7との間に踏段チェーン8が巻き掛けられている。そして、この踏段チェーン8に多数の踏段9が連結されており、駆動装置4で駆動スプロケット6を回転させることで踏段チェーン8が駆動スプロケット6と従動スプロケット7との間を周回し、多数の踏段9が図示しないガイドレールに沿って上階側乗降口と下階側乗降口との間で循環移動する構造となっている。
【0010】
また、循環移動する踏段9の左右両側にはデッキボード10および欄干パネル11からなる欄干12が立設されており、欄干パネル11の外周に手摺ベルト13が装着されている。手摺ベルト13は、踏段9上に搭乗している乗客が把持する手摺であり、例えば上述した駆動装置4の駆動力が伝達されることで、踏段9の移動と同期して欄干パネル11の周囲を周回する。
【0011】
また、上階および下階のデッキボード10には操作盤14が設置されており、この操作盤14に、エスカレータの起動・停止を行うための運転スイッチや、起動・停止操作の際にブザーを鳴動させるためのブザースイッチなど、エスカレータの管理者や保守作業員が操作するための各種の操作スイッチ15が設けられている。また、制御対象となるエスカレータの各部には、エスカレータに発生した異常を検出してエスカレータの運転を停止させるための各種の安全装置16や、エスカレータの運転状態を検出する各種のセンサ17が設置されている。これら操作盤14の操作スイッチ15や、各種の安全装置16、各種のセンサ17は、それぞれ制御盤20に接続されている。
【0012】
制御盤20には、運転回路21、安全回路22、外部インターフェース回路23および制御部24が設けられている。また、この制御盤20は、通信網CNを介して遠隔地の監視センタに設置された遠隔監視装置30と接続されており、この遠隔監視装置30との間でデータの送受信が行えるようになっている。
【0013】
運転回路21は、操作盤14の操作スイッチ15による操作入力や、遠隔地の監視センタに設置された遠隔監視装置30からの外部指令信号などに応じて、駆動装置4内のモータに対する電源供給を制御して、制御対象となるエスカレータの上昇・下降・停止の運転制御を行う。また、運転回路21は、安全回路22から停止出力が与えられた場合には、エスカレータを非常停止させる制御を行う。
【0014】
安全回路22は、エスカレータの各部に設けられた各種の安全装置16のうち、いずれか1つが異常を検出したときに、運転回路21対して停止出力を与えて、エスカレータを非常停止させる。また、安全回路22は、各種の安全装置16のうちのいずれかが異常を検出した場合に、当該安全回路22が作動したことを示す安全回路作動信号と、異常を検出した安全装置16を識別して異常の内容を把握できるようにするための異常コードとを、制御部24に対して出力する。
【0015】
外部インターフェース回路23は、遠隔監視装置30との間での通信網CNを介したデータ通信を制御するものであり、制御部24からのデータを通信網CNに出力して遠隔監視装置30に受信させるとともに、遠隔監視装置30から送信された外部指令信号を通信網CNを介して入力して制御部24に伝送する。
【0016】
制御部24は、運転回路21や安全回路22、外部インターフェース回路23を常時監視しながら、これらの動作を統括的に制御する。具体的には、制御部24は、運転回路21から運転状態信号を入力して、この運転状態信号をもとにエスカレータの運転状態を把握する。また、制御部24は、安全回路22が作動してエスカレータが非常停止したときには、上述したように、安全回路22からの作動信号および異常コードを入力し、この安全回路作動信号および異常コードをもとにエスカレータに発生した異常の状態を把握する。また、制御部24は、遠隔監視装置30からの外部指令信号が外部インターフェース回路23に入力されると、この外部指令信号に応じた運転指令を運転回路21に出力して外部指令信号に応じた運転制御を行わせ、さらに、センサ17によりエスカレータの運転状態を確認して異常が検出された場合には、安全回路22を作動させてエスカレータの運転を停止させる。
【0017】
また、制御部24は、エスカレータの運転状態や異常の状態などの監視データを外部インターフェース回路23から通信網CNを介して遠隔監視装置30に送信し、遠隔地の監視センタにおいて、エスカレータの状態を確認できるようにしている。つまり、遠隔地の監視センタに設置された遠隔監視装置30が、制御部24から送信された監視データに基づいてエスカレータの運転状態や異常の状態などを表示や音声出力にて報知することによって、監視センタの監視員は、現場のエスカレータの状態を遠隔地にて確認することができる。そして、監視センタの監視員は、エスカレータの状態を確認しながら遠隔監視装置30に必要な指示を入力することで、その指示に応じた外部指令信号を遠隔監視装置30から通信網CNを介して制御盤20へと送信させて、遠隔地の監視センタにてエスカレータの動作を制御することが可能である。
【0018】
ところで、以上のように遠隔地の監視センタからエスカレータの動作を遠隔制御できるようにした場合、安全回路22の作動によりエスカレータが非常停止した状態で、監視センタの監視員が誤って遠隔監視装置30にエスカレータの再起動を指示する入力を行うと、エスカレータが不用意に再起動されて不測の事態を招くことが懸念される。そこで、本実施形態のエスカレータ制御装置においては、遠隔監視装置30からエスカレータの起動を指示する外部指令信号が送信され、この外部指令信号が制御盤20の外部インターフェース回路23に入力されたときに、制御盤20の制御部24が、エスカレータを非常停止させる要因となった異常の内容に応じて、遠隔監視装置30からの外部指令信号に応じたエスカレータの起動を許可するか、或いは、遠隔監視装置30からの外部指令信号を無効とするかの判断を行うようにしている。
【0019】
具体的には、制御盤20の制御部24には、安全回路22から出力され得る各種の異常コードを、その異常のタイプに応じて第1コード群と第2コード群とに分類して記載した分類テーブル24aが設けられている。ここで、第1コード群には、例えば、非常停止ボタンの押圧、スカートガードの挟まれ検知、インレットの巻き込み検知など、異常の状態や正常に復帰したかどうかを比較的容易に且つ正確に確認できる種類の異常コードが予め設定されている。一方、第2コード群には、例えば、駆動チェーン5の破断や、駆動装置4に内蔵されたブレーキの不具合など、異常の状態を遠隔地で正確に確認することが難しく現場での十分な状況確認が求められる種類の異常コードが予め設定されている。また、制御部24には、安全回路22が作動してエスカレータが非常停止したときに、安全回路22から出力される異常コードを一時的に記憶するための内部メモリ24bが設けられている。そして、制御部24は、安全回路22の作動によりエスカレータが非常停止したときに、安全回路22から出力される異常コードを内部メモリ24bに記憶しておき、その後、外部インターフェース回路23がエスカレータの起動を指示する遠隔監視装置30からの外部指令信号を入力したときに、内部メモリ24bに一時記憶した異常コード、つまり、エスカレータを非常停止させる要因となった異常の内容を表す異常コードを読み出す。そして、この内部メモリ24bから読み出した異常コードを分類テーブル24aに記載されている第1コード群および第2コード群と照合し、当該異常コードが第1コード群に属する場合は遠隔監視装置30からの外部指令信号に応じた運転指令を運転回路21に出力してエスカレータの起動を許可し、第2コード群に属する場合は遠隔監視装置30からの外部指令信号を無効として、エスカレータの起動は行わないようにする。
【0020】
図2は、以上のような制御部24における処理の概要を示すブロック図である。なお、ここでは、遠隔監視装置30からの外部指令信号として、上昇運転での起動を指示する上昇起動指令信号、下降運転での起動を指示する下降起動指令信号、エスカレータの停止を指示する停止指令信号のいずれかが入力されるものとする。
【0021】
外部インターフェース回路23に上昇起動指令信号または下降起動指令信号が入力された場合、これら上昇起動指令信号または下降起動指令信号は、ゲートG1およびゲートG2によって出力の可否が制御される。
【0022】
ゲートG1は、エスカレータが正常に停止した場合、つまり操作盤14の操作スイッチ15の操作によりエスカレータが停止した場合には、上昇起動指令信号または下降起動指令信号の出力を許可する。一方、エスカレータが非常停止した場合、つまり安全回路22の作動によりエスカレータが停止した場合には、その非常停止時に安全回路22から出力されて内部メモリ24bに一時記憶された異常コードが、分類テーブル24aに記載されている第2コード群に含まれる異常コードでなければ、上昇起動指令信号または下降起動指令信号の出力を許可し、第2コード群に含まれる異常コードであれば、上昇起動指令信号または下降起動指令信号の出力を遮断する。
【0023】
また、ゲートG2は、エスカレータが正常に停止した場合、つまり操作盤14の操作スイッチ15の操作によりエスカレータが停止した場合には、上昇起動指令信号または下降起動指令信号の出力を許可する。一方、エスカレータが非常停止した場合、つまり安全回路22の作動によりエスカレータが停止した場合には、その非常停止時に安全回路22から出力されて内部メモリ24bに一時記憶された異常コードが、分類テーブル24aに記載されている第1コード群に含まれる異常コードであれば、上昇起動指令信号または下降起動指令信号の出力を許可し、第1コード群に含まれる異常コードでなければ、上昇起動指令信号または下降起動指令信号の出力を遮断する。
【0024】
つまり、この図2の例では、エスカレータが非常停止した場合、その非常停止時に安全回路22から出力される異常コードが第1コード群に属し、且つ、第2コード群に属さない場合のみ、上昇起動指令信号または下降起動指令信号の出力が許可され、その異常コードが第2コード群に属する場合や、第1コード群にも第2コード群にも属さない場合には、上昇起動指令信号または下降起動指令信号の出力が遮断される。
【0025】
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態のエスカレータ制御装置によれば、エスカレータが非常停止した後、遠隔地の遠隔監視装置30からエスカレータの起動を指示する外部指令信号が送られてきたときに、制御部24が、非常停止時に安全回路22から出力された異常コードを第1コード群および第2コード群と照合することで、エスカレータを非常停止させる要因となった異常のタイプを判断するようにしている。そして、エスカレータを非常停止させる要因となった異常が、その状態を遠隔地で正確に確認することが難しく、現場での十分な状況確認が求められる種類の異常である場合には、遠隔監視装置30からの外部指令信号を無効とし、エスカレータの再起動を行わないようにしている。したがって、遠隔地からの操作によるエスカレータの不用意な再起動を有効に防止することができる。
【0026】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態のエスカレータ制御装置は、外部指令信号に応じたエスカレータの動作制御を許可するか否かの判断の際に、外部指令信号の発信元の認証処理を行うようにした例である。なお、エスカレータ制御装置の構成および基本的な制御の内容は上述した第1の実施形態と同様であるので、以下では、本実施形態に特徴的な制御部24による処理についてのみ説明し、第1の実施形態と重複する説明は省略する。
【0027】
制御盤20は外部インターフェース回路23によって通信網CNに接続されているため、監視センタの遠隔監視装置30以外の外部装置から制御盤20に対して通信網CN経由で外部指令信号が送られることも考えられる。ここで、監視センタでは、制御盤20からの監視データが遠隔監視装置30に送信されることで、エスカレータの状態をある程度確認できるようになっているが、それ以外の場所でエスカレータの状態を確認することは困難なため、遠隔監視装置30以外の外部装置からの外部指令信号は、安全確認を行わずに送られたものである可能性が高い。
【0028】
そこで、本実施形態のエスカレータ制御装置では、外部指令信号には当該外部指令信号の発信元の機器を識別するための識別データを付加することとし、制御盤20の制御部24が、外部指令信号の発信元として予め登録した機器の識別データを記憶しておいて、外部装置からの外部指令信号が外部インターフェース回路23に入力されたときに、当該外部指令信号に付加されている識別データが記憶している識別データと一致するか否かを判断し、一致しない場合は、第1の実施形態で説明した異常コードの照合結果に係わらず、外部装置からの外部指令信号を無効とするようにしている。
【0029】
図3は、以上のような制御部24における処理の概要を示すブロック図である。この図3に示す例では、第1の実施形態で説明した図2の処理ブロックに対してゲートG3が追加されており、外部インターフェース回路23に入力された外部指令信号は、ゲートG1およびゲートG2だけでなくゲートG3によっても出力の可否が制御される。また、外部指令信号には発信元の識別データが付加されており、制御部24は外部指令信号の発信元として予め登録した機器の識別データが記憶されている。
【0030】
ゲートG3は、外部インターフェース回路23に入力された外部指令信号の識別データが予め登録した機器の識別データと一致する場合は外部指令信号の出力を許可し、一致しない場合は外部指令信号の出力を遮断する。つまり、この図3の例では、外部インターフェース回路23に入力された外部指令信号が上昇起動指令信号または下降起動指令信号であり、ゲートG1およびゲートG2によりその出力が許可されたとしても、当該外部指令信号に付加された識別データが登録識別データと一致しなければゲートG3によりその出力が遮断されて、当該外部指令信号は無効とされる。
【0031】
以上のように、本実施形態のエスカレータ制御装置によれば、外部装置からの外部指令信号に付加された識別データが予め登録した機器の識別データと一致しない場合には、この外部指令信号を無効として、外部指令信号に応じたエスカレータの動作制御を行わないようにしているので、安全確認を行わずに送られた外部指令信号によりエスカレータが遠隔制御される不都合を有効に防止することができる。
【0032】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態のエスカレータ制御装置は、エスカレータの非常停止の要因となった異常が所定時間内に繰り返し発生している異常である場合に、外部指令信号に応じたエスカレータの起動を許可しないようにした例である。なお、エスカレータ制御装置の構成および基本的な制御の内容は上述した第1の実施形態と同様であるので、以下では、本実施形態に特徴的な制御部24による処理についてのみ説明し、第1の実施形態と重複する説明は省略する。
【0033】
例えば、いずれかの安全装置16の調整状態が適正でない場合などにおいては、エスカレータが非常停止した後に再起動させても、その後、同じ安全装置16の作動によってエスカレータが繰り返し非常停止する場合がある。このような場合には、現場での十分な状況確認が求められるため、遠隔制御によってエスカレータを再起動させることは望ましくない。
【0034】
そこで、本実施形態のエスカレータ制御装置では、制御盤20の制御部24が、エスカレータの非常停止時に安全回路22から出力された異常コードを異常発生時刻と共に内部メモリ24bに記憶するようにし、遠隔監視装置30からのエスカレータ起動を指示する外部指令信号が外部インターフェース回路23に入力されたときに、内部メモリ24bを参照して同一の異常コードを所定時間内に繰り返し記憶しているか否かを判断し、同一の異常コードを繰り返し記憶している場合には、第1の実施形態で説明した異常コードの照合結果に係わらず、遠隔監視装置30からの外部指令信号を無効とするようにしている。
【0035】
図4は、以上のような制御部24における処理の概要を示すブロック図である。この図4に示す例では、第1の実施形態で説明した図2の処理ブロックに対してゲートG4が追加されており、外部インターフェース回路23に上昇起動指令信号または下降起動指令信号が入力された場合、これら上昇起動指令信号または下降起動指令信号は、ゲートG1およびゲートG2だけでなくゲートG4によっても出力の可否が制御される。
【0036】
エスカレータが非常停止して安全回路22から異常コードが出力された場合、制御部24は、時計から時刻データを読み込んで、異常コードとともに内部メモリ24bに異常履歴として記憶させておく。その後、エスカレータが非常停止して安全回路22から異常コードが出力された場合にも同様に、異常コードとともに時刻データを内部メモリ24bに異常履歴として逐次記憶させていく。そして、外部インターフェース回路23に上昇起動指令信号または下降起動指令信号が入力された場合は、内部メモリ24bに異常履歴として記憶された最も新しい異常コードと次に新しい異常コードとを比較するとともに、これらの異常発生時刻の差分を基準時間と比較する。
【0037】
ゲートG4は、以上のように比較された2つの異常コードが一致しない場合や、異常発生時刻の差分が基準時間以上の場合には、上昇起動指令信号または下降起動指令信号の出力を許可する。一方、比較された2つの異常コードが一致し、且つ、異常発生時刻の差分が基準時間に満たない場合には、上昇起動指令信号または下降起動指令信号の出力を遮断する。つまり、この図4の例では、外部インターフェース回路23に入力された上昇起動指令信号または下降起動指令信号の出力がゲートG1およびゲートG2により許可されたとしても、同一の異常コードが基準時間未満の短い間に繰り返し内部メモリ24bに記憶されている場合には、上昇起動指令信号または下降起動指令信号の出力がゲートG4により遮断されて、当該外部指令信号は無効とされる。
【0038】
以上のように、本実施形態のエスカレータ制御装置によれば、エスカレータの非常停止の要因となった異常が所定時間内に繰り返し発生している異常である場合には、遠隔監視装置30からのエスカレータ起動を指示する外部指令信号を無効とし、当該外部指令信号に応じたエスカレータの起動を行わないようにしているので、現場での十分な状況確認を促して、適正な状態でエスカレータの再起動を行わせることができる。
【0039】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態のエスカレータ制御装置は、遠隔地の監視センタからの操作によってエスカレータ設置現場で警報を出力できるようにした例である。なお、その他の構成および制御内容は上述した第1の実施形態と同様であるので、以下では、本実施形態に特徴的な警報出力の制御についてのみ説明し、第1の実施形態と重複する説明は省略する。
【0040】
図5は、本実施形態のエスカレータ制御装置の概略構成を示す図である。本実施形態では、制御盤20に警報装置25が接続されており、遠隔監視装置30から警報出力を指示する外部指令信号が通信網CN経由で制御盤20に送信され、制御盤20の外部インターフェース回路23に当該外部指令信号が入力されたときに、制御盤20の制御部24が、警報装置25を作動させてブザー音を鳴動させるようにしている。なお、制御部24は、警報出力を指示する遠隔監視装置30からの外部指令信号が外部インターフェース回路23に入力されたときだけでなく、エスカレータの起動を指示する外部指令信号が外部インターフェース回路23に入力され、第1の実施形態で説明した異常コードの照合によってエスカレータの起動を許可した場合に、警報装置25からブザー音を鳴動させるようにしてもよい。
【0041】
以上のように、本実施形態のエスカレータ制御装置によれば、遠隔地の監視センタからの操作によってエスカレータ設置現場で警報を出力できるようにしているので、例えば、遠隔制御によって非常停止したエスカレータを再起動させる場合などに周囲にいる人に対して注意を喚起することができ、適切な状態でエスカレータの遠隔制御を実施することができる。
【0042】
[第5の実施形態]
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。本実施形態のエスカレータ制御装置は、エスカレータの運転中にその稼動音を集音して記憶しておき、エスカレータが非常停止した後にエスカレータの起動を指示する外部指令信号が入力されたときに、エスカレータが非常停止した際のエスカレータ稼動音に予め定められた機器異常の音成分が含まれているかどうかを判断し、機器異常の音成分が含まれている場合には、外部指令信号に応じたエスカレータの起動を許可しないようにした例である。なお、その他の構成および制御内容は上述した第1の実施形態と同様であるので、以下では、本実施形態に特徴的な部分についてのみ説明し、第1の実施形態と重複する説明は省略する。
【0043】
図6は、本実施形態のエスカレータ制御装置の概略構成を示す図である。本実施形態では、制御盤20に対してエスカレータの稼動音を集音する集音装置25が接続されている。この集音装置25は、上トラス内や下トラス内などに固定した状態で設置されて定点からエスカレータ稼動音を集音する構成であってもよいし、踏段9内に設置されて踏段9とともに循環移動しながらエスカレータ稼動音を集音する構成であってもよい。
【0044】
制御盤20の制御部24は、エスカレータの運転中に集音装置25で集音されたエスカレータ稼動音を、例えば、5分程度ごとに上書きしながら内部メモリ24bに随時記録していく。そして、安全回路22が作動してエスカレータが非常停止したときに、エスカレータ稼動音の記録を停止する。その後、エスカレータの起動を指示する遠隔監視装置30からの外部指令信号が外部インターフェース回路23に入力されると、内部メモリ24bに記憶されている非常停止する前のエスカレータ稼動音を解析して、このエスカレータ稼動音に予め定められた機器異常の音成分が含まれている場合には、第1の実施形態で説明した異常コードの照合結果に係わらず、遠隔監視装置30からの外部指令信号を無効とするようにしている。なお、判断の対象となる機器異常の音成分は、現場での状況確認が必要とされるような機器異常が発生したときの異常音を予め集音して、そのデータを内部メモリ24bなどに保存しておくようにすればよい。
【0045】
図7は、以上のような制御部24における処理の概要を示すブロック図である。この図7に示す例では、第1の実施形態で説明した図2の処理ブロックに対してゲートG5が追加されており、外部インターフェース回路23に上昇起動指令信号または下降起動指令信号が入力された場合、これら上昇起動指令信号または下降起動指令信号は、ゲートG1およびゲートG2だけでなくゲートG5によっても出力の可否が制御される。
【0046】
ゲートG5は、非常停止する前のエスカレータ稼動音を解析した結果、そのエスカレータ稼動音に予め定められた機器異常の音声成分が含まれていなければ、上昇起動指令信号または下降起動指令信号の出力を許可する。一方、エスカレータ稼動音に予め定められた機器異常の音声成分が含まれている場合には、上昇起動指令信号または下降起動指令信号の出力を遮断する。つまり、この図7の例では、外部インターフェース回路23に入力された上昇起動指令信号または下降起動指令信号の出力がゲートG1およびゲートG2により許可されたとしても、非常停止する前のエスカレータ稼動音に予め定められた機器異常の音成分が含まれている場合には、上昇起動指令信号または下降起動指令信号の出力がゲートG4により遮断されて、当該外部指令信号は無効とされる。
【0047】
以上のように、本実施形態のエスカレータ制御装置によれば、エスカレータが非常停止した際のエスカレータ稼動音に予め定められた機器異常の音成分が含まれている場合には、遠隔監視装置30からのエスカレータ起動を指示する外部指令信号を無効とし、当該外部指令信号に応じたエスカレータの起動を行わないようにしているので、現場での十分な状況確認が必要な機器異常が発生している場合にその確認を促して、適正な状態でエスカレータの再起動を行わせることができる。
【0048】
[第6の実施形態]
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。本実施形態のエスカレータ制御装置は、遠隔監視装置30からの外部指令信号によってエスカレータが設置された建屋の監視室などに設置された監視盤による異常発報を禁止できるようにした例である。なお、その他の構成および制御内容は上述した第1の実施形態と同様であるので、以下では、本実施形態に特徴的な部分についてのみ説明し、第1の実施形態と重複する説明は省略する。
【0049】
エスカレータを現場にて監視する場合には、建屋の監視室に監視盤を設置して、エスカレータが非常停止したときに制御盤20から監視盤に対して発報指令を出力し、監視盤が異常発報を行うことで異常の発生を現場の監視員に知らせるようにしているが、エスカレータの点検時に安全装置16の動作確認を行う場合など、作業員が故意にエスカレータを非常停止させた場合に常に異常発報が行われると煩わしくなる。このため、通常、エスカレータの点検時には、制御盤20から監視盤へと発報指令が出力されないようにした状態で安全装置16の動作確認などを行うようにしているが、制御盤20から監視盤に発報指令が出力されないようにするには、作業員が乗降板を開けてトラス3内に設置されている制御盤20のスイッチを切り替えるといった操作が必要となり、作業員に面倒な作業を強いることになる。
【0050】
そこで、本実施形態のエスカレータ制御装置では、例えば、作業員が携帯端末を用いて遠隔地の監視センタに設けられた遠隔監視装置30に異常発報禁止の指示を入力すると、遠隔監視装置30から制御盤20に対して異常発報の禁止を指示する外部指令信号が送信され、この外部指令信号が制御盤20の外部インターフェース回路23に入力されると、制御部24が監視盤への発報指令の出力を停止して、異常発報が行われないようにしている。
【0051】
図8は、本実施形態のエスカレータ制御装置の概略構成を示す図である。本実施形態では、監視室に設置された監視盤27が制御盤20に接続されている。そして、遠隔監視装置30からの異常発報禁止を指示する外部指令信号が外部インターフェース回路23に入力されると、制御盤20の制御部24が、エスカレータが非常停止したときでも監視盤27に対する発報指令の出力は行わず、監視盤27による異常発報が行われないようにしている。
【0052】
図9は、以上のような制御部24における処理の概要を示すブロック図である。
【0053】
制御盤20の制御部24は、第1の実施形態で説明したように、安全回路22からの作動信号やセンサ17からのセンサ信号をもとにエスカレータに異常が発生したか否かを把握できるようになっており、安全回路22から異常発生を示す作動信号が入力された場合、或いはセンサ信号に基づいて異常が発生していると判定した場合には、異常発報を指示するための発報指令を生成する。この制御部24で生成された発報指令は、ゲートG6によって出力の可否が制御される。
【0054】
ゲートG6は、遠隔監視装置30から制御盤20に対して発報禁止を指示する外部指令信号が送信されていない状態では、制御部24から監視盤27に対する発報指令の出力を許可し、監視盤27に異常発報を行わせる。一方、遠隔監視装置30からの発報禁止を指示する外部指令信号が制御盤20の外部インターフェース回路23に入力されると、制御部24で生成された発報指令の出力を遮断し、監視盤27での異常発報を禁止する。
【0055】
以上のように、本実施形態のエスカレータ制御装置によれば、遠隔監視装置30からの外部指令信号によって監視盤27による異常発報が行われないように制御できるようにしているので、安全装置16の動作確認を行うエスカレータの点検時などに、作業員が乗降板を開けて制御盤20を操作するなどの面倒な作業を行うことなく監視盤27による異常発報を禁止することができ、作業効率の向上を図ることができる。
【0056】
[第7の実施形態]
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。本実施形態のエスカレータ制御装置は、第6の実施形態の変形例であり、エスカレータの点検中においてのみ、遠隔監視装置30からの外部指令信号によって監視盤27による異常発報を禁止できるようにした例である。
【0057】
エスカレータの点検作業は、安全装置16の動作確認だけでなく、様々な項目について多岐に亘って行われることが一般的である。このため、第6の実施形態で説明したように、作業員が点検開始時に携帯端末を用いて遠隔監視装置30に異常発報禁止の指示を入力し、遠隔監視装置30から異常発報の禁止を指示する外部指令信号を制御盤20に送って監視盤27による異常発報を禁止するようにした場合、作業終了時に異常発報禁止の設定解除を忘れることが考えられる。
【0058】
そこで、本実施形態のエスカレータ制御装置では、遠隔監視装置30からの異常発報禁止を指示する外部指令信号が制御盤20の外部インターフェース回路23に入力されたときに、制御盤20の制御部24が、エスカレータ点検中であるか否かを判断し、エスカレータ点検中の場合にのみ異常発報禁止を指示する外部指令信号を有効として、監視盤27による異常発報を禁止するようにしている。具体的には、例えばエスカレータの点検中には遠隔監視装置30に固有のコードが送信され、遠隔監視装置30でエスカレータの点検中かどうかを把握できるようにしておく。そして、遠隔監視装置30は、例えば作業員の携帯端末などの操作で異常発報禁止の指示が入力されると、異常発報禁止を指示する外部指令信号とともに、エスカレータが点検中か否かを示す点検信号を制御盤20に対して送信する。これにより、制御盤20は遠隔監視装置30からの点検信号をもとにエスカレータが点検中であるか否かを判断して、エスカレータ点検中の場合にのみ遠隔監視装置30からの異常発報禁止の外部指令信号を有効として、監視盤27による異常発報を禁止する制御を行うことができる。
【0059】
図10は、以上のような制御部24における処理の概要を示すブロック図である。
【0060】
制御盤20の制御部24は、第6の実施形態と同様に、安全回路22から異常発生を示す作動信号が入力された場合、或いはセンサ信号に基づいて異常が発生していると判定した場合に、異常発報を指示するための発報指令を生成する。この制御部24で生成された発報指令は、ゲートG6によって出力の可否が制御される。
【0061】
ゲートG6は、遠隔監視装置30から制御盤20に対して発報禁止を指示する外部指令信号が送信されていない状態では、制御部24から監視盤27に対する発報指令の出力を許可し、監視盤27に異常発報を行わせる。また、遠隔監視装置30から制御盤20に対して発報禁止を指示する外部指令信号が送信されている場合でも、遠隔監視装置30からの点検信号が点検中を示すものでなければ、制御部24から監視盤27に対する発報指令の出力を許可し、監視盤27に異常発報を行わせる。一方、遠隔監視装置30から制御盤20に対して発報禁止を指示する外部指令信号が送信され、且つ、遠隔監視装置30からの点検信号が点検中を示すものである場合には、制御部24で生成された発報指令の出力を遮断し、監視盤27での異常発報を禁止する。
【0062】
以上のように、本実施形態のエスカレータ制御装置によれば、エスカレータ点検中の場合にのみ遠隔監視装置30からの外部指令信号によって監視盤27からの異常発報を禁止できるようにしているので、例えば、エスカレータの点検を行う作業員が作業終了時に異常発報禁止の設定解除を忘れることがあっても、点検終了後には監視盤27による異常発報が行われる状態へと自動的に復帰させることができる。
【0063】
[第8の実施形態]
次に、本発明の第8の実施形態について説明する。本実施形態のエスカレータ制御装置は、第6の実施形態の変形例であり、監視盤27での異常発報が禁止されているかどうかの確認を現場の作業員が容易に行えるようにしたものである。
【0064】
監視盤27での異常発報を遠隔操作により禁止する場合、上述したように、例えば作業員による携帯端末を用いた操作に応じて遠隔監視装置30から制御盤20に対して異常発報の禁止を指示する外部指令信号が送られることになるが、作業員の操作に応じて適切に外部指令信号が送信されているかを作業員が確認できるようにするため、また、作業員による操作ミスを防止して異常発報の禁止の設定を正しく行えるようにするために、監視盤27での異常発報が禁止されているかどうかを作業員が容易に確認できるようにしておくことが望ましい。
【0065】
そこで、本実施形態のエスカレータ制御装置では、監視盤27での異常発報が禁止されている場合に、その旨を文字や図形などで表示する表示器を付加して、作業員が確認できるようにしている。
【0066】
図11は、本実施形態のエスカレータ制御装置の概略構成を示す図である。本実施形態では、制御盤20に表示器28が接続されており、遠隔監視装置30からの異常発報禁止を指示する外部指令信号が外部インターフェース回路23に入力されると、制御盤20の制御部24が、監視盤27での異常発報が禁止されていることを表示器28に表示させるようにしている。
【0067】
図12は、以上のような制御部24における処理の概要を示すブロック図である。
【0068】
制御盤20の制御部24は、第6の実施形態と同様に、安全回路22から異常発生を示す作動信号が入力された場合、或いはセンサ信号に基づいて異常が発生していると判定した場合に、異常発報を指示するための発報指令を生成する。この制御部24で生成された発報指令は、ゲートG6によって出力の可否が制御される。
【0069】
ゲートG6は、遠隔監視装置30から制御盤20に対して発報禁止を指示する外部指令信号が送信されていない状態では、制御部24から監視盤27に対する発報指令の出力を許可し、監視盤27に異常発報を行わせる。一方、遠隔監視装置30からの発報禁止を指示する外部指令信号が制御盤20の外部インターフェース回路23に入力されると、制御部24で生成された発報指令の出力を遮断し、監視盤27での異常発報を禁止する。
【0070】
また、遠隔監視装置30からの発報禁止を指示する外部指令信号が制御盤20の外部インターフェース回路23に入力された場合、制御部24は、監視盤27での異常発報が禁止されていることを表示器28に表示させる表示出力を生成して表示器28を作動させる。
【0071】
以上のように、本実施形態のエスカレータ制御装置によれば、監視盤27での異常発報が禁止されている場合に、その旨が表示器28に表示されるので、現場の作業員は表示器28の表示を参照して監視盤27での異常発報が禁止されていることを容易に確認することができる。
【0072】
なお、以上説明した第1乃至第8の実施形態は、本発明の一適用例を例示したものであり、本発明の技術的範囲が以上の各実施形態で説明した内容に限定されることを意図するものではない。つまり、本発明の技術的範囲は、以上の各実施形態で開示した具体的な技術事項に限らず、この開示から容易に導きうる様々な変形、変更、代替技術なども含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明を適用したエスカレータ制御装置の概略構成を示す図。
【図2】第1の実施形態のエスカレータ制御装置の制御部による処理の概要を示すブロック図。
【図3】第2の実施形態のエスカレータ制御装置の制御部による処理の概要を示すブロック図。
【図4】第3の実施形態のエスカレータ制御装置の制御部による処理の概要を示すブロック図。
【図5】第4の実施形態のエスカレータ制御装置の概略構成を示す図。
【図6】第5の実施形態のエスカレータ制御装置の概略構成を示す図。
【図7】第5の実施形態のエスカレータ制御装置の制御部による処理の概要を示すブロック図。
【図8】第6の実施形態のエスカレータ制御装置の概略構成を示す図。
【図9】第6の実施形態のエスカレータ制御装置の制御部による処理の概要を示すブロック図。
【図10】第7の実施形態のエスカレータ制御装置の制御部による処理の概要を示すブロック図。
【図11】第8の実施形態のエスカレータ制御装置の概略構成を示す図。
【図12】第8の実施形態のエスカレータ制御装置の制御部による処理の概要を示すブロック図。
【符号の説明】
【0074】
16 安全装置
20 制御盤
21 運転回路
22 安全回路
23 外部インターフェース回路(外部指令入力手段)
24 制御部(制御手段)
25 警報装置(警報出力手段)
26 集音装置(集音手段)
27 監視盤(発報手段)
28 表示器(表示手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状に連結された多数の踏段を循環移動させて踏段に搭乗した乗客を搬送する乗客コンベアの制御装置において、
異常発生時に乗客コンベアの運転を停止させるとともに、発生した異常の内容を表す異常コードを出力する安全回路と、
遠隔地の外部装置からの指令信号を入力する外部指令入力手段と、
異常発生時に前記安全回路から出力された異常コードを記憶する記憶部を有し、前記外部指令入力手段が前記外部装置から乗客コンベアの起動を指示する指令信号を入力したときに、前記記憶部に記憶した異常コードを予め定められた第1コード群および第2コード群と照合して、前記記憶部に記憶した異常コードが前記第1コード群に属する場合は前記外部装置からの指令信号に応じて乗客コンベアの起動を許可し、前記記憶部に記憶した異常コードが前記第2コード群に属する場合は前記外部装置からの指令信号を無効とする制御手段と、を備えることを特徴とする乗客コンベアの制御装置。
【請求項2】
前記外部装置からの指令信号には発信元の外部装置を識別する識別データが付加されており、
前記制御手段は、前記外部指令入力手段が前記外部装置からの指令信号を入力したときに、当該指令信号に付加された識別データが予め定められた識別データと一致するか否かを判断し、一致しない場合は前記異常コードの照合結果に係わらず前記外部装置からの指令信号を無効とすることを特徴とする請求項1に記載の乗客コンベアの制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、異常発生時に前記安全回路から出力された異常コードを異常発生時刻と共に前記記憶部に記憶し、前記外部指令入力手段が前記外部装置から乗客コンベアの起動を指示する指令信号を入力したときに、前記記憶部に同一の異常コードを所定時間内に繰り返し記憶しているか否かを判断し、同一の異常コードを所定時間内に繰り返し記憶している場合は前記異常コードの照合結果に係わらず前記外部装置からの指令信号を無効とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の乗客コンベアの制御装置。
【請求項4】
警報を出力する警報出力手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記外部指令入力手段が前記外部装置から警報出力を指示する指令信号を入力したときに、前記警報出力手段を作動させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の乗客コンベアの制御装置。
【請求項5】
乗客コンベアの稼動音を集音する集音手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記集音手段が集音した乗客コンベア稼動音を前記記憶部に記憶しておき、前記外部指令入力手段が前記外部装置から乗客コンベアの起動を指示する指令信号を入力したときに、異常発生時の乗客コンベア稼動音に予め定められた機器異常の音成分が含まれているか否かを判断し、機器異常の音成分が含まれている場合は前記異常コードの照合結果に係わらず前記外部装置からの指令信号を無効とすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の乗客コンベアの制御装置。
【請求項6】
乗客コンベアの異常停止時に異常発報を行う発報手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記外部指令入力手段が前記外部装置から異常発報の禁止を指示する指令信号を入力したときに、前記発報手段による異常発報を禁止することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の乗客コンベアの制御装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記外部指令入力手段が前記外部装置から異常発報の禁止を指示する指令信号を入力したときに、乗客コンベアの点検中であるか否かを判断し、乗客コンベアの点検中である場合に前記発報手段による異常発報を禁止することを特徴とする請求項6に記載の乗客コンベアの制御装置。
【請求項8】
前記発報手段による異常発報が禁止されていることを表示する表示手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記外部指令入力手段が前記外部装置から異常発報の禁止を指示する指令信号を入力したときに、前記発報手段による異常発報を禁止するとともに前記表示手段を作動させることを特徴とする請求項6又は7に記載の乗客コンベアの制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−13254(P2010−13254A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−176067(P2008−176067)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】