説明

乗客コンベアの欄干パネルの取り付け器具

【課題】欄干パネルの簡単な取り付けを可能とし、取り付け作業の負荷を十分に軽減することができる欄干パネルの取り付け器具を提供することである。
【解決手段】取り付け器具10は、欄干パネル55の下辺を支持する器具本体11と、器具本体11の一端に設けられ器具本体11を裏面16側に折り曲げて形成されたフック部13と、フック部13に対向する器具本体11の他端に設けられた把持部12と、器具本体11の他端側の表面15から突出したストッパ14とを備える。フック部13をスカートガードアングル60に引っ掛けて欄干パネル55の取り付け作業を行うことができ、取り付け器具10にかかる欄干パネル55の重量の大部分をスカートガードアングル60にかけることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗客コンベアの欄干パネルを欄干に取り付ける器具に関し、特にパネル上部が上端固定部に挿入され、パネル下部がアングル上に載せられた状態で欄干に取り付けられる欄干パネルを備えた乗客コンベアにおいて、当該欄干パネルを欄干に取り付ける器具に関する。
【背景技術】
【0002】
エスカレータ等の乗客コンベアには、乗り口から降り口にわたって利用者が載るステップ等の両側に、移動手摺を取り付けるための欄干が設けられている。欄干には、その内側面をカバーする内装部材として、例えば、欄干パネル(内側パネル)やスカートガード等が取り付けられている。
【0003】
図8に、一般的なエスカレータの欄干50の断面を示す。なお、図8では、片側の欄干50のみを示しているが、欄干50はステップ51の両側に設けられている。同図に示すように、欄干50の上面デッキ部52には、移動手摺53が取り付けられる手摺レール54が設置されている。そして、欄干50のステップ51側に面する内側面には、ステンレス製のパネル(ステンレス鋼板)である複数の欄干パネル55及びスカートガード56が設置されている。
【0004】
図9に、欄干パネル55を裏側から見た斜視図を示す。同図に示すように、欄干パネル55は、平坦なパネル部57と、その側端部がL字状に曲げ加工されて形成されたパネル部57に垂直な壁部58とを有する。なお、当該壁部58は、パネル部57よりも上端及び下端において、その長さが短くなっている。図8に示すように、欄干パネル55は、パネル部57の上端を上端固定部59に挿入して、壁部58をスカートガードアングル60の上に載せた状態で、例えば、止め金であるカザリ金61によりステップ51側から押さえ付けてビス62で固定されている。
【0005】
ここで、上端固定部59は、パネル部57の上端が挿入できる挿入部(隙間、溝)を含み、欄干パネル55の上部を固定する部分であって、上面デッキ部52の裏側に設けられている。上端固定部59は、例えば、L字金具に支持された、挿入部を有するゴム部材である。また、スカートガードアングル60は、欄干パネル55が載せられると共に、スカートガード56を固定するためのアングルであって、欄干50に沿ってトラスフレーム63上に連続的に設置されている。
【0006】
欄干パネル55は、エスカレータ設備のメンテナンス時等において欄干50から取り外される。欄干パネル55の取り外しは、ビス62をゆるめてカザリ金61を外すことで比較的容易に行うことができるが、取り外した欄干パネル55の取り付け作業は容易ではない。特に、大型の重量物である欄干パネル55を把持して、パネル部57の上端を上端固定部59に挿入し、壁部58をスカートガードアングル60の上に載せるという作業は負荷が大きく長時間を要する。また、欄干パネル55を滑り落として、欄干パネル55が損傷する場合もある。
【0007】
このような状況に鑑みて、欄干パネルの取り付け作業の負荷軽減等を目的とした器具が幾つか提案されている。例えば、特許文献1には、移動手摺等に引っ掛けられ、移動手摺の外周面に沿って移動手摺のステップ側下方に至るように形成された固定部と、外された状態の欄干パネルの下辺を保持する保持部と、固定部と保持部とを弾性的に連結する弾性連結部材とを備えた欄干パネル保持治具が開示されている。また、特許文献1には、欄干パネル保持治具に保持されている欄干パネルを移動手摺案内支持枠に挿入する際に、弾性連結部材による付勢力が作業者の挿入力を補助するように作用し、作業者の欄干パネルの挿入負荷が軽減される、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005‐247573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に開示された欄干パネル保持治具は、治具が大掛かりであり、治具を予め移動手摺等に取り付ける作業が必要である等、作業負荷の軽減について未だ改良の余地がある。
【0010】
本発明の目的は、パネル上部が上端固定部に挿入され、パネル下部がアングル上に載せられた状態で欄干に取り付けられる欄干パネルを備えた乗客コンベアにおいて、欄干パネルの簡単な取り付けを可能とし、取り付け作業の負荷を十分に軽減することができる欄干パネルの取り付け器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る乗客コンベアの欄干パネルの取り付け器具は、パネル上部が上端固定部に挿入され、パネル下部がアングル上に載せられた状態で欄干に取り付けられる欄干パネルを備えた乗客コンベアにおいて、当該欄干パネルを欄干に取り付ける器具であって、欄干パネルの下辺を支持する器具本体であり、支持した欄干パネルをアングルに載せるときに欄干パネルが摺動する表面を有する器具本体と、器具本体の一端に設けられ、器具本体をアングルに引っ掛けるフック部と、フック部に対向する器具本体の他端に設けられた把持部とを備えることを特徴とする。
【0012】
ここで、器具本体の表面は、後述のストッパを除き、平滑で凹凸がなく摺動性の良い面(摺動面)であることが好ましい。また、器具本体は、一の方向に長い板状の部材であることが好ましく、当接する欄干パネルの下辺との間に隙間が生じることなく欄干パネルを安定して支持できるように、幅方向に沿って平坦であることが好ましい。さらに、器具本体の長手方向の長さは、フック部をアングルに引っ掛けたときに働く梃子の原理により欄干パネルの重さを十分に軽減できるように、取り付け器具の取り扱い性に支障がない限り長い方が好ましい。なお、器具本体の幅方向とは、フック部をアングルに引っ掛けたときにアングル及び欄干パネルと略平行である方向、長手方向とは、当該幅方向に直交する方向である。
【0013】
上記構成によれば、器具本体の表面上に欄干パネルを載せて、フック部をアングルに引っ掛けた状態で取り付け作業を行うことができる。例えば、一方の手で欄干パネルを載せた取り付け器具の把持部を持ち、他方の手で欄干パネルの側端部を持って、安定に欄干パネルを支持することができる。そして、フック部をアングルに引っ掛けることで、器具本体に加わる欄干パネルの重量の大部分をアングルにかけることができる。フック部をアングルに引っ掛けた状態では、小さな力で把持部を持ち上げることができ、把持部を持ち上げると、欄干パネルがアングル側に摺動し、欄干パネルの位置調整を容易に行うことができる。ゆえに、簡単且つ迅速に、欄干パネルの上端を上端固定部に挿入し、欄干パネルをアングル上に載せて取り付けることができる。
【0014】
また、本発明に係る欄干パネルの取り付け器具において、器具本体の他端側の表面から突出したストッパであって、欄干パネルを支持するときに欄干パネルが把持部側に摺動することを防止するストッパを備えることが好ましい。或いは、器具本体と把持部との境界にフランジ状(鍔状)のストッパを備えることもできる。
【0015】
上記構成によれば、欄干パネルを器具本体の表面上に載せて支持する際に、欄干パネルをより安定に支持することができる。例えば、把持部を下方に向けて欄干パネルをストッパに当接させ、ストッパを利用して欄干パネルを安定に支持することができる。
【0016】
また、本発明に係る欄干パネルの取り付け器具において、フック部は、器具本体の裏面との間になす角度が90°以上となるように、器具本体を裏面側に曲げて形成されることが好ましい。当該構成によれば、取り付け器具を取り外すときに、フック部をアングルから取り外し易くなる。なお、フック部と器具本体の裏面とのなす角度としては、欄干パネルを支持するときのアングルへの引っ掛りと、器具を取り外そうとするときの取り外し易さとを考慮して決定する必要がある。
【0017】
また、本発明に係る欄干パネルの取り付け器具において、器具本体は、少なくとも一部が表面側に曲がって形成された形態とすることができる。当該構成によれば、取り付け器具を取り外すときに、フック部をアングルから取り外し易くなる。なお、器具本体の裏面との間になす角度が90°以上である構成において、当該構成を併せて適用することがより好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る乗客コンベアの欄干パネルの取り付け器具によれば、欄干パネルの簡単な取り付けを可能とし、取り付け作業の負荷を十分に軽減することができる。即ち、本取り付け器具によれば、アングルに欄干パネルの重量の大部分をかけることができ、梃子の原理を利用して欄干パネルの位置調整が可能であるから、作業者にかかる負荷が小さく、短時間で安全に欄干パネルを取り付けることができる。また、欄干パネルを安定に支持できるので、欄干パネルの落下による損傷も防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態である取り付け器具を表面側から見た斜視図である。
【図2】本発明の実施形態である取り付け器具を示す側面図である。
【図3】本発明の実施形態の変形例である取り付け器具を示す側面図である。
【図4】本発明の実施形態の別の変形例である取り付け器具を裏面側から見た斜視図である。
【図5】図1の取り付け器具を用いて欄干パネルを取り付ける様子を示す図であって、器具本体に欄干パネルを載せてフック部をスカートガードアングルに引っ掛けた状態を示す図である。
【図6】図1(図2)の取り付け器具を用いて欄干パネルを取り付ける様子を示す図であって、器具本体に載せた欄干パネルをフック部側に摺動させる様子を示す図である。
【図7】図3の取り付け器具を用いて欄干パネルを取り付ける様子を示す図であって、取り付け器具をスカートガードアングルから取り外す様子を示す図である。
【図8】一般的なエレベータの欄干を示す断面図である。
【図9】図8の欄干に取り付けられる欄干パネルを裏側から見た斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図面を用いて、本発明に係る乗客コンベアの欄干パネルの取り付け器具の実施形態につき、以下詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係る欄干パネルの取り付け器具は、図8及び図9に示す欄干パネル55をエスカレータの欄干50に取り付ける器具(取り付け器具10)を例示して説明するが、本発明の取り付け器具は例示の形態や用途に限定されず、所謂動く歩道の欄干パネルの取り付けに用いられるものであってもよい。
【0021】
まず初めに、図1〜図4を用いて、取り付け器具10の構成を説明する。
【0022】
図1及び図2に示すように、取り付け器具10は、器具本体11と、器具本体11の一端に設けられたフック部13と、フック部13に対向する器具本体の11の他端に設けられた把持部12と、器具本体11の他端側に設けられたストッパ14と、を備える。図1及び図2に示す例では、器具本体11及び把持部12がそれらの長手方向に沿って直線状に配置された形態を有している。
【0023】
器具本体11は、欄干パネル55の下辺を支持する部材であって、一の方向に長い板状の部材である。そして、器具本体11の板面は、略矩形状を有している。ここで、板面とは、面積の広い2つの面を意味し、図1に現れる板面が表面15、図1に現れておらず表面15に対向する板面が裏面16である。なお、器具本体11において、欄干パネル55の下辺が当接する支持面は表面15であり、欄干パネル55の下辺は表面15(器具本体11)の幅方向(長手方向に直交する方向)に沿うように載せられる。
【0024】
また、器具本体11は、支持している欄干パネル55をスカートガードアングル60に載せようとするときに欄干パネル55が摺動する摺動面を有する。後述のように、欄干パネル55をスカートガードアングル60に載せようとするときには、フック部13をスカートガードアングル60に引っ掛けた状態で把持部12を持ち上げるが、このとき、欄干パネル55は摺動面上を摺動する。なお、器具本体11において、摺動面は欄干パネル55が当接する表面15である。表面15は、ストッパ14を除き、平滑で凹凸のない摺動性の良好な面であり、幅方向及び長手方向に沿って平坦である。
【0025】
また、器具本体11は、少なくとも欄干パネル55の重量に耐えられる程度の厚み(例えば、3〜5mm程度)を有する工具鋼等の金属材料から構成されることが好ましい。なお、器具本体11には、その長手方向に沿った一端が裏面16側に折り曲げられることでフック部13が設けられている。器具本体11の長手方向に沿った他端は、両側から幅が狭くなり幅方向の中央部分が突出した形状を有し、当該突出部分に把持部12が設けられている。
【0026】
フック部13は、器具本体11をスカートガードアングル60に引っ掛ける部分であって、上記のように、器具本体11の長手方向に沿った一端に設けられている。フック部13としては、欄干パネル55を支持するときには、スカートガードアングル60に器具本体11を安定して引っ掛けておくことができ、取り付け器具10を取り外すときには、スカートガードアングル60からの取り外しが容易な形態であれば種々の形態のものを適用することができる。
【0027】
具体的に、フック部13の形態としては、例えば、器具本体11の裏面16との間になす角度が135°程度となるように、器具本体11を裏面16側に折り曲げて形成されたものとすることができる。フック部13と裏面16とがなす角度は、スカートガードアングル60への引っ掛り性を考慮すると、例えば、90°のように小さい方が好ましいが、取り付け器具10の取り外し性を考慮すると、175°のように大きい方が好ましい。通常、欄干パネル55の重量は重く、フック部13と裏面16とがなす角度が大きくてもフック部13はスカートガードアングル60から外れ落ち難いので、当該角度としては、110°〜170°が好ましく、120°〜165°がより好ましく、130°〜160°が特に好ましい。
【0028】
把持部12は、取り付け器具10を使用する際に作業者が把持する部分(把手)であって、上記のように、フック部13と対向する器具本体11の長手方向に沿った他端に設けられる。把持部12の形状としては、把持し易い形状であれば特に限定されず、図1等に例示する円柱形状とすることができる。
【0029】
ストッパ14は、器具本体11の他端側の表面15から突出した部分であって、欄干パネル55を支持するときに欄干パネル55が把持部12側に摺動することを防止する機能を有する。ストッパ14を備えることで、欄干パネル55を器具本体11の表面15上に載せて支持する際に、ストッパ14を利用して欄干パネル55をより安定に支持することができる。
【0030】
ストッパ14の形態としては、例えば、図1に示すように、器具本体11の幅方向に沿って且つ全幅にわたって、表面15から突出した形態とすることができる。図1の例では、ストッパ14は、表面15に対して垂直な壁である。ストッパ14の突出高さとしては、把持部12を下方に向けて欄干パネル55を支持する際に欄干パネル55がストッパ14を乗り越えない程度の高さが必要である。なお、ストッパ14は、表面15に対してフック部13側に傾斜した壁、突出高さの異なる半円状の壁、或いは幅方向に沿って配置された複数の突起等、種々の形態とすることができる。
【0031】
ストッパ14が設けられる位置としては、梃子の原理を十分に利用できるようにフック部13から離れていることが好ましく、器具本体11の他端側において把持部12に近接する位置又は把持部12との境界位置であることが好ましい。例えば、図1に示す例よりも、把持部12側にストッパ14を設けることができる。なお、ストッパ14は、その幅が広い方が好ましいので、器具本体11の幅が広い部分であって少なくともその両側に設けられることが好ましい。
【0032】
ここで、図3及び図4を参酌して、取り付け器具10の変形例を示す。
【0033】
図3に示すように、取り付け器具10において、器具本体11は、少なくとも一部が表面15側に曲がった形態とすることができる。図3(a)に示す例では、把持部12とストッパ14との間に表面15側に折れ曲がった屈曲部17が設けられ、図3(b)に示す例では、ストッパ14のフック部13側に屈曲部17が設けられている。このように、器具本体11が表面15側に曲がった形態によれば、取り付け器具10をスカートガードアングル60から取り外すときに下方に引き抜き易くなる。
【0034】
なお、図3では、1つの屈曲部17を有する器具本体11を例示したが、屈曲部17は複数存在してもよく、或いは器具本体11の全体が緩やかに表面15側に湾曲した形態とすることもできる。また、器具本体11は、屈曲部17を有する棒状の形態等とすることもできるが、欄干パネル55を安定に支持できるように、幅方向に沿っては平坦な表面15を有する形態であることが好ましい。
【0035】
図4に示すように、取り付け器具10において、フック部13は、器具本体11の一端の裏面16に設けられた突起部とすることができる。当該突起部としては、複数設けることもできるし、同図のように、器具本体11の幅方向の中央部分に1つだけ設けることもできる。
【0036】
なお、図4に示す取り付け器具10をスカートガードアングル60から容易に取り外すことができるように、スカートガードアングル60の一部に、フック部13の形状に対応する凹部を形成しておくこともできる。例えば、1つの欄干パネル55に対応する長さ毎に1つの凹部を形成することができる。そして、当該凹部にフック部13を通すことで、取り付け器具10を容易に取り外すことができる。
【0037】
ここで、図5〜図7を参酌して、取り付け器具10の作用(使用方法)を説明する。
【0038】
まず、取り付け対象の欄干パネル55を、欄干50に取り付ける向き、即ち壁部58が略鉛直方向に沿うようにして、取り付け器具10を欄干パネル55の下側に入れ、欄干パネル55を下側から支持する。具体的には、器具本体11の表面15にパネル部57の下辺が当接し、ストッパ14により欄干パネル55が滑らないように係止される。例えば、一方の手で欄干パネル55を表面15上に載せた取り付け器具10の把持部12を把持し、他方の手で欄干パネル55の側端部を把持した状態とする。
【0039】
図5に示すように、欄干パネル55は、ストッパ14により係止され器具本体11の表面15上に安定に支持されている。欄干パネル55を安定に支持した状態で、パネル部57の上端を上端固定部59に挿入する。このとき、フック部13をスカートガードアングル60に引っ掛けてから作業することが好ましく、当該引っ掛け操作により、取り付け器具10に加わる欄干パネル55の重量の大部分をスカートガードアングル60にかけることができる。
【0040】
図6に示すように、図5に示す状態から把持部12を上方(同図の白矢印の方向)に持ち上げることで、欄干パネル55は、器具本体11の表面15上を摺動してスカートガードアングル60側に移動する。作業者は、一方の手で把持部12を鉛直方向に沿って上下させ、他方の手で欄干パネル55の位置を微調整しながら、パネル部57の上端を上端固定部59に挿入する。なお、把持部12を鉛直方向に沿って上下させる操作は、梃子の原理により小さな力で行うことができる。
【0041】
パネル部57の上端を上端固定部59に挿入した後、例えば、把持部12を上方(同図の白矢印の方向)に持ち上げた状態で、パネル部57の表面を斜め上方(同図の黒矢印の方向)に押し上げて、欄干パネル55の一方の壁部58をスカートガードアングル60上に載せる。
【0042】
そして、図7に示すように(取り付け器具10は図3(a)の形態)、パネル部57の表面を斜め上方(同図の黒矢印の方向)に押し上げながら、スカートガードアングル60に引っ掛けていた取り付け器具10を下方に引き抜き、他方の壁部58をスカートガードアングル60に載せる。取り付け器具10が引き抜かれたときには、パネル部57の上端が上端固定部59に挿入され、2つの壁部58がスカートガードアングル60上に載せられた状態であり、カザリ金61をビス62で固定することで欄干パネル55の取り付けが完了する。
【0043】
以上のように、取り付け器具10は、欄干パネル55の下辺を支持する器具本体11と、器具本体11の一端を裏面16側に曲げて形成されたフック部13と、フック部13に対向する器具本体11の他端に設けられた把持部12と、器具本体11の他端側の表面15から突出したストッパ14とを備える。当該構成を備えた取り付け器具10によれば、フック部13をスカートガードアングル60に引っ掛けた状態で欄干パネル55の取り付け作業を行うことができる。ゆえに、作業者にかかる負荷が小さく、欄干パネル55を安定に支持でき、短時間で安全に欄干パネル55を取り付けることが可能になる。
【符号の説明】
【0044】
10 取り付け器具、11 器具本体、12 把持部、13 フック部、14 ストッパ、15 表面、16 裏面、17 屈曲部、50 欄干、51 ステップ、52 上面デッキ部、53 移動手摺、54 手摺レール、55 欄干パネル、56 スカートガード、57 パネル部、58 壁部、59 上端固定部、60 スカートガードアングル、61 カザリ金、62 ビス、63 トラスフレーム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル上部が上端固定部に挿入され、パネル下部がアングル上に載せられた状態で欄干に取り付けられる欄干パネルを備えた乗客コンベアにおいて、当該欄干パネルを欄干に取り付ける器具であって、
欄干パネルの下辺を支持する器具本体であり、支持した欄干パネルをアングルに載せるときに欄干パネルが摺動する表面を有する器具本体と、
器具本体の一端に設けられ、器具本体をアングルに引っ掛けるフック部と、
フック部に対向する器具本体の他端に設けられた把持部と、
を備えることを特徴とする乗客コンベアの欄干パネルの取り付け器具。
【請求項2】
請求項1に記載の欄干パネルの取り付け器具において、
器具本体の他端側の表面から突出したストッパであって、欄干パネルを支持するときに欄干パネルが把持部側に摺動することを防止するストッパを備えることを特徴とする乗客コンベアの欄干パネルの取り付け器具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の欄干パネルの取り付け器具において、
フック部は、器具本体の裏面との間になす角度が90°以上となるように、器具本体を裏面側に曲げて形成されたことを特徴とする乗客コンベアの欄干パネルの取り付け器具。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1に記載の欄干パネルの取り付け器具において、
器具本体は、少なくとも一部が表面側に曲がって形成されたことを特徴とする乗客コンベアの欄干パネルの取り付け器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−255980(P2011−255980A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129968(P2010−129968)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】