説明

乗客コンベア

【課題】潤滑油の枠体外への漏出と帰路側踏段の汚損とを防止することができる乗客コンベア。
【解決手段】乗客コンベアの枠体が、踏段5の左右両側に配置された側面フレーム14と、これら左右一対の側面フレーム14を一体に連結する上部横桁15及び下部横桁とから構成されている。アングル材をもって形成された上部横桁15の一側縁部に、余剰の潤滑油27を踏段5の側面と油受けの外側辺との間の所要の部分に導く波型部30を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレータや動く歩道などの乗客コンベアに係り、特に、踏段を駆動する踏段鎖に供給された潤滑油の外部への流出を防止する手段に関する。
【背景技術】
【0002】
図5乃至図7に、従来知られているエスカレータの一例を示す。図5はエスカレータの概略側面図、図6は図5のA−A線に沿う断面図、図7は従来例に係るエスカレータにおける余剰の潤滑油の流れを示す枠体の要部斜視図である。
【0003】
図5に示すように、本例のエスカレータは、建築構造物の上階の床面F1と下階の床面F2との間に設置された枠体1と、枠体1の長さ方向の端部に設けられた乗降床2,3と、これら乗降床2,3の間を、踏段鎖4により無端状に連結されて循環移動する踏段5と、踏段5を駆動する駆動装置6と、踏段鎖4に潤滑油を供給する図示しない潤滑装置と、枠体1に取り付けられ、潤滑装置から踏段鎖4に供給された潤滑油の余剰分を受け止めて、外部への流出を防止する油受け7と、枠体1に取り付けられ、踏段5の左右両側に配置された欄干8とを備えている。
【0004】
枠体1は、図6に示すように、L形鋼を用いて形成された上弦材11、下弦材12及び縦材13をもって構成され、踏段5の左右両側に配置された側面フレーム14と、これら左右一対の側面フレーム14を一体に連結する上部横桁15及び下部横桁16とから主に構成される。上部横桁15には、往路側レールブラケット17を介して往路側レール18が取り付けられ、縦材13には、帰路側レールブラケット19,20を介して帰路側レール21,22が取り付けられる。これらの各レールには、踏段5に回転自在に取り付けられた前輪23及び後輪24が走行可能に載置される。前輪23の支持軸25には、踏段鎖4が取り付けられており、踏段鎖4は、駆動装置6により駆動され、前輪23の支持軸25を介して、踏段5を所定の方向に循環移動する。
【0005】
往路側レール18に沿って移動する踏段5を駆動する踏段鎖4には、図示しない潤滑装置から潤滑油が供給される。一般に、潤滑装置から踏段鎖4へは、踏段鎖4から余剰の潤滑油が滴下する程度の量の潤滑油が供給される。図7に示すように、この踏段鎖4から溢れた余剰の潤滑油27は、往路側レール18上に滴下し、次いで、往路側レール18の内側から上部横桁15に流れ、以下、上部横桁15の傾斜に従って下向きに流れる。
【0006】
上部横桁15が、その長さ方向に関して、高い水平度で設置されている場合、余剰の潤滑油27は、図7に示すように、往路側レール18の設定位置に相当する位置から滴下する。この位置は、帰路側レール21,22上を移動する踏段5の上方に相当するので、仮に外部から余剰の潤滑油27が滴下すると、踏段5を潤滑油で汚損することになる。また、上部横桁15が、その長さ方向に関して傾斜して取り付けられた場合には、上部横桁15上に至った余剰の潤滑油27は、上部横桁15の傾斜にしたがって長さ方向の端部まで流れ、そこから滴下する。仮に、このような事態を生じると、上部横桁15から滴下した余剰の潤滑油27が、油受け7によって受け止められず、エスカレータの周囲に漏れ出したり、下階に滴下するという不都合を生じることにもなりかねない。
【0007】
余剰の潤滑油が油受けの外部に滴下するという不都合を防止するための手段としては、従来、図6に示すように、上部横桁15の両端部寄りの所定の位置に、潤滑油の堰き止め手段である油切り体28を設け、上部横桁15上をその長さ方向に流れて油切り体28の内面に至った余剰の潤滑油27を、確実に油受け7上に滴下させるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−235094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のエスカレータは、上部横桁15に油切り体28を設けて余剰の潤滑油27を堰き止める構成であるので、油切り体28の作製や取り付けに要する費用が必要となり、エスカレータの設置コストが高価になるという問題がある。また、上部横桁15に油切り体28を設けると、外部への潤滑油の漏出は防止できるものの、帰路側の踏段5上への潤滑油の滴下を防止することは困難で、踏段5が潤滑油によって汚損されやすいという問題もある。
【0010】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、油切り体を不要とする枠体を構成とすることでコスト低減を図り、潤滑油の枠体外への漏出防止と、帰路側踏段の汚損防止を図れるエスカレータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前記課題を解決するため、建築構造物に設置された枠体と、前記枠体の長さ方向の端部に設けられた乗降床と、これら2つの乗降床の間を踏段鎖により無端状に連結されて循環移動する踏段と、前記踏段鎖を介して前記踏段を駆動する駆動装置と、前記踏段鎖に潤滑油を供給する潤滑装置と、前記枠体に取り付けられ、前記潤滑装置から前記踏段鎖に供給された潤滑油の余剰分を受け止めて外部への流出を防止する油受けとを備え、前記枠体が、前記踏段の左右両側に配置された縦部材と、これら左右一対の縦部材を連結する形鋼製の上部横桁及び下部横桁と、これら上部横桁及び下部横桁に取り付けられた踏段案内用の往路側レール及び帰路側レールとから構成される乗客コンベアにおいて、前記上部横桁を構成する形鋼の一側辺に、前記潤滑装置から供給され、前記往路側レールを伝って前記上部横桁上に流れ込んだ潤滑油を、重力の作用により、前記踏段の外側で、かつ前記油受けの内側に滴下させる波型部を形成するという構成にした。
【0012】
上部横桁上に流れ込んだ潤滑油は、重力の作用により、高所から低所に向けて流れる。一方、上部横桁の側辺部に波型部を形成すると、当該波型部の凹の部分を高所、凸の部分を低所とすることができる。したがって、波型部の凹部と凸部を適宜形成することにより、余剰の潤滑油を所定の位置に集めて、そこから滴下させることができるので、余剰の潤滑油の外部への漏出及び踏段の汚損を防止することができる。また、上部横桁自体に波型部を形成するので、上部横桁に油切り体などの特別な部材を後付けする場合に比べて、油切り機能を有する上部横桁の製造コスト、ひいては乗客コンベアの設置コストを低減することができる。
【0013】
また本発明は、前記構成の乗客コンベアにおいて、前記波型部は、前記往路側レールを伝って前記上部横桁上に流れ込んだ潤滑油を、前記帰路側レール上を移動する踏段を連結する踏段鎖に滴下するという構成にした。
【0014】
かかる構成によると、余剰の潤滑油で帰路側レール上を移動する踏段を連結する踏段鎖の潤滑を行うので、潤滑油の有効利用が図れると共に、帰路側レール上を移動する踏段の動作を円滑化することができる。
【0015】
また本発明は、前記構成の乗客コンベアにおいて、前記枠体を建築構造物の上階と下階との間に設置すると共に、アングル材をもって形成された前記上部横桁の往路側レール非取付面を下階側に向けて配置し、この往路側レール非取付面の下辺に前記波型部を形成するという構成にした。
【0016】
枠体が建築構造物の上階と下階との間に設置されるエスカレータにおいては、アングル材をもって形成された上部横桁の往路側レール取付面が、枠体の傾斜角度と同じ角度で傾斜するので、上部横桁の往路側レール取付面上に流れ込んだ潤滑油は、上部横桁の往路側レール取付面の下辺に向けて流れる。したがって、上部横桁の往路側レール取付面と直交する面を下階側に向けて配置した場合には、この直交する面の下辺に波型部を形成することによって、余剰の潤滑油を効率良く所定の部位に滴下させることができる。
【0017】
また本発明は、前記構成の乗客コンベアにおいて、前記枠体を建築構造物の上階と下階との間に設置すると共に、アングル材をもって形成された前記上部横桁の往路側レール非取付面を上階側に向けて配置し、この面と直交する前記往路側レール取付面の下階側に向く辺に前記波型部を形成するという構成にした。
【0018】
上述のように、エスカレータに備えられるアングル材からなる上部横桁においては、上部横桁の往路側レール取付面上に流れ込んだ潤滑油が、上部横桁の往路側レール取付面の下辺に向けて流れるので、上部横桁の往路側レール取付面と直交する面を上階側に向けて配置した場合には、往路側レール取付面の下階側に向く辺に波型部を形成することによって、余剰の潤滑油を効率良く所定の部位に滴下させることができる。
【0019】
一方、本発明は、前記課題を解決するための他の手段として、建築構造物に設置された枠体と、前記枠体の長さ方向の端部に設けられた乗降床と、これら2つの乗降床の間を踏段鎖により無端状に連結されて循環移動する踏段と、前記踏段鎖を介して前記踏段を駆動する駆動装置と、前記踏段鎖に潤滑油を供給する潤滑装置と、前記枠体に取り付けられ、前記潤滑装置から前記踏段鎖に供給された潤滑油の余剰分を受け止めて外部への流出を防止する油受けとを備え、前記枠体が、前記踏段の左右両側に配置された縦部材と、これら左右一対の縦部材を連結する形鋼製の上部横桁及び下部横桁と、これら上部横桁及び下部横桁に取り付けられた踏段案内用の往路側レール及び帰路側レールとから構成される乗客コンベアにおいて、前記上部横桁の表面に、前記潤滑装置から供給され、前記往路側レールを伝って前記上部横桁上に流れ込んだ潤滑油を、重力の作用によって、前記踏段の外側で、かつ前記油受けの内側に滴下させる排油溝を形成するという構成にした。
【0020】
上部横桁の往路側レール取付面に排油溝を形成すると、往路側レールを伝ってこの上部横桁の往路側レール取付面上に流れ込んだ潤滑油が排油溝内に入り込み、その潤滑油を排油溝に沿って所要の部位まで案内することができる。よって、余剰の潤滑油を、重力の作用により、踏段の側面よりも外側で、油受けの側端よりも内側の所定の位置に滴下させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、上部横桁を構成する形鋼の一側辺に、潤滑装置から供給され、往路側レールを伝って上部横桁上に流れ込んだ潤滑油を、重力の作用により、踏段の側面よりも外側で、前記油受けの側端よりも内側に滴下させる波型部を形成したので、余剰の潤滑油の外部への漏出及び踏段の汚損を確実に防止することができる。また、上部横桁自体に波型部を形成するので、上部横桁に油切り体などの特別な部材を後付けする場合に比べて、乗客コンベアの設置コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態に係る乗客コンベアの断面図である。
【図2】実施形態に係る乗客コンベアにおける余剰の潤滑油の流れを示す、上部横桁及び往路側レールの要部斜視図である。
【図3】実施形態に係る乗客コンベアに備えられる上部横桁及び往路側レールの他の構成例を示す要部斜視図である。
【図4】本発明に係る乗客コンベアの他の実施形態を示す上部横桁及び往路側レールの要部斜視図である。
【図5】従来知られているエスカレータの概略構成図である。
【図6】図4のA−A断面図である。
【図7】従来例に係る乗客コンベアにおける余剰の潤滑油の流れを示す、上部横桁及び往路側レールの要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る乗客コンベアの実施形態を、エスカレータに適用した場合を例にとって説明する。
【0024】
図6との比較から明らかなように、図1に示す本実施形態に係るエスカレータも、全体的な構成に関しては、図5及び図6に示す従来例に係るエスカレータと同じであり、枠体1が、踏段5の左右両側に配置された側面フレーム14と、これら左右一対の側面フレーム14を一体に連結する上部横桁15及び下部横桁16とから主に構成されている。上部横桁15には、往路側レールブラケット17を介して往路側レール18が取り付けられると共に、縦材13には、帰路側レールブラケット19,20を介して帰路側レール21,22が取り付けられ、これらの各レールには、踏段5の側面部に回転自在に取り付けられた前輪23及び後輪24が走行可能に載置される。前輪23の支持軸25には、踏段鎖4が取り付けられており、踏段鎖4は、駆動装置6により駆動され、前輪23の支持軸25を介して、踏段5を所定の方向に循環移動する。
【0025】
本実施形態に係るエスカレータは、図1及び図2に示すように、アングル材(等辺山形鋼)をもって形成された上部横桁15を、往路側レール18が取り付けられる往路側レール取付面15aと直交する往路側レール非取付面15bを下階の床面F2(図5参照)側に向けて側面フレーム14に連結すると共に、当該往路側レール非取付面15bの下辺に、波型部30を形成したことを特徴とする。なお、上部横桁15の往路側レール取付面15aは、往路側レール18の傾斜に沿うように、下階の床面F2に対して、傾斜した姿勢で側面フレーム14に連結される。その他については、図5乃至図7に示した従来のエスカレータと同じであるので、対応する部分に同一の符号を付して説明を省略する。
【0026】
波型部30は、図1及び図2に示すように、上部横桁15の長さ方向の中央部を凹部の頂点30aとし、帰路側レール21,22に沿って配置された踏段鎖4の上方位置を凸部の頂点30bとする略W字形に形成される。かかる構成によると、下階の床面F2に対して、凹部の頂点30aが高所となり、凸部の頂点30bが低所となる。なお、波型部30は、直線の組み合わせからなるW字形に形成するほか、曲線の組み合わせからなる、いわゆる波形に形成することもできる。凸部の頂点30bにおける往路側レール非取付面15bの幅kは、上部横桁15の強度低下を極力抑制するため、素材であるアングル材の幅と等しくすることが望ましい。これに対して、凹部の頂点30aにおける往路側レール非取付面15bの幅h1,h2は、潤滑油の流れやすさと上部横桁15の強度低下を考慮して、適宜の値に設定される。
【0027】
上述したように、図示しない潤滑装置から往路側レール18に沿って移動する踏段5に備えられた踏段鎖4には、この踏段鎖4から余剰の潤滑油が滴下する程度の量の潤滑油が供給される。図2に示すように、この踏段鎖4から溢れた余剰の潤滑油27は、往路側レール18を経て、上部横桁15の往路側レール取付面15a上に流れる。その後、当該往路側レール取付面15aの傾斜に従って下向きに流れ、往路側レール非取付面15bの下辺に達する。潤滑油は、重力の作用により、高所から低所に向けて流れるので、往路側レール非取付面15bの下辺にW字形の波型部30を形成すると、往路側レール非取付面15bの下辺に達した潤滑油は、高所である凹部の頂点30a側から低所である凸部の頂点30bに向かって流れ、当該凸部の頂点30bから帰路側レール21,22に沿って配置された踏段鎖4に滴下される。
【0028】
本実施形態に係るエスカレータは、アングル材からなる上部横桁15に形成される往路側レール非取付面15bの下辺に波型部30を形成して、余剰の潤滑油27を帰路側レール21,22に沿って配置された踏段鎖4に導くので、上部横桁15に油切り体28(図6参照)などの特別な部材を後付けする必要がなく、油切り機能を有する上部横桁15の製造コスト、ひいては乗客コンベアの設置コストを低減することができる。また、余剰の潤滑油27を帰路側レール21,22に沿って配置された踏段鎖4に導くことから、潤滑油の有効利用が図れ、帰路側レール21,22上を移動する踏段の動作を円滑化できると共に、余剰の潤滑油27が油受け7の外部に漏れ出したり、或いは帰路側の踏段5上に滴下されることがなく、余剰の潤滑油の外部への漏出及び踏段5の汚損を防止することができる。
【0029】
なお、前記実施形態では、アングル材をもって形成された上部横桁15の往路側レール非取付面15bを下階側に向けて配置したが、図3に示すように、この往路側レール非取付面15bを上階側に向けて配置することもできる。この場合には、往路側レール非取付面15bに波型部30を形成する構成に代えて、図3に示すように、往路側レール取付面15aの下階側の辺に波型部30を形成する。かかる構成によっても、図1及び図2に示したエスカレータと同等の効果が得られる。
【0030】
また、前記実施形態では、上部横桁15の縁辺部に波型部30を形成することによって、余剰の潤滑油27を所要の位置まで案内する構成としたが、かかる構成に代えて、図4に示すように、上部横桁15の表面に排油溝31を形成し、余剰の潤滑油27を所要の位置まで案内するという構成にすることもできる。
【0031】
また、前記実施形態では、凸部の頂点30bが、帰路側レール21,22に沿って配置された踏段鎖4の上方位置となるように波型部30を形成し、上部横桁15から帰路側レール21,22に沿って配置された踏段鎖4に余剰の潤滑油を滴下するようにしたが、本発明の要旨はこれに限定されるものではなく、図1に示すように、踏段5の横幅をW1、油受け7の横幅をW2としたとき、踏段5の側面と油受け7の外側辺との間に形成される(W2−W1)/2の幅のスペースの範囲内で、凸部の頂点30bを形成することができる。これによっても、踏段5の汚損及び外部への潤滑油の漏出を防止することができる。
【0032】
さらに、前記実施形態では、アングル材をもって上部横桁15を形成する場合を例にとって説明したが、L字鋼(不等辺山形鋼)、溝形鋼、H型鋼など、公知に属する任意の型鋼をもって上部横桁15を形成した場合にも、同様に実施することができる。
【0033】
その他、前記実施形態では、エスカレータを例にとって説明したが、動く歩道等の他の乗客コンベアにも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、エスカレータや動く歩道などの乗客コンベアに利用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 枠体
2,3 乗降床
4 踏段鎖
5 踏段
6 駆動装置
7 油受け
8 欄干
11 上弦材
12 下弦材
13 縦材
14 側面フレーム
15 上部横桁
16 下部横桁
17 往路側レールブラケット
18 往路側レール
19,20 帰路側レールブラケット
21,22 帰路側レール
23 前輪
24 後輪
25 支持軸
27 余剰の潤滑油
28 油切り体
30 波型部
30a 凹部の頂点
30b 凸部の頂点
31 排油溝
F1 上階の床面
F2 下階の床面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築構造物に設置された枠体と、前記枠体の長さ方向の端部に設けられた乗降床と、これら2つの乗降床の間を踏段鎖により無端状に連結されて循環移動する踏段と、前記踏段鎖を介して前記踏段を駆動する駆動装置と、前記踏段鎖に潤滑油を供給する潤滑装置と、前記枠体に取り付けられ、前記潤滑装置から前記踏段鎖に供給された潤滑油の余剰分を受け止めて外部への流出を防止する油受けとを備え、
前記枠体が、前記踏段の左右両側に配置された縦部材と、これら左右一対の縦部材を連結する形鋼製の上部横桁及び下部横桁と、これら上部横桁及び下部横桁に取り付けられた踏段案内用の往路側レール及び帰路側レールとから構成される乗客コンベアにおいて、
前記上部横桁を構成する形鋼の一側辺に、前記潤滑装置から供給され、前記往路側レールを伝って前記上部横桁上に流れ込んだ潤滑油を、重力の作用により、前記踏段の外側で、かつ前記油受けの内側に滴下させる波型部を形成したことを特徴とする乗客コンベア。
【請求項2】
前記波型部は、前記往路側レールを伝って前記上部横桁上に流れ込んだ潤滑油を、前記帰路側レール上を移動する踏段を連結する踏段鎖に滴下することを特徴とする請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項3】
前記枠体を建築構造物の上階と下階との間に設置すると共に、アングル材をもって形成された前記上部横桁の往路側レール非取付面を下階側に向けて配置し、この往路側レール非取付面の下辺に前記波型部を形成したことを特徴とする請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載の乗客コンベア。
【請求項4】
前記枠体を建築構造物の上階と下階との間に設置すると共に、アングル材をもって形成された前記上部横桁の往路側レール非取付面を上階側に向けて配置し、この面と直交する前記往路側レール取付面の下階側に向く辺に前記波型部を形成したことを特徴とする請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載の乗客コンベア。
【請求項5】
建築構造物に設置された枠体と、前記枠体の長さ方向の端部に設けられた乗降床と、これら2つの乗降床の間を踏段鎖により無端状に連結されて循環移動する踏段と、前記踏段鎖を介して前記踏段を駆動する駆動装置と、前記踏段鎖に潤滑油を供給する潤滑装置と、前記枠体に取り付けられ、前記潤滑装置から前記踏段鎖に供給された潤滑油の余剰分を受け止めて外部への流出を防止する油受けとを備え、
前記枠体が、前記踏段の左右両側に配置された縦部材と、これら左右一対の縦部材を連結する形鋼製の上部横桁及び下部横桁と、これら上部横桁及び下部横桁に取り付けられた踏段案内用の往路側レール及び帰路側レールとから構成される乗客コンベアにおいて、
前記上部横桁の表面に、前記潤滑装置から供給され、前記往路側レールを伝って前記上部横桁上に流れ込んだ潤滑油を、重力の作用によって、前記踏段の外側で、かつ前記油受けの内側に滴下させる排油溝を形成したことを特徴とする乗客コンベア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−190046(P2011−190046A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57517(P2010−57517)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】