説明

乗客管理システム、乗客管理システムにおける乗車券購入装置、及び乗客管理方法

【課題】 乗客の指定座席の占有確認、及び乗客の手荷物の盗難を防止する乗客管理システム及び乗客管理方法を提供すること。
【解決手段】 乗客管理システムは、乗客IDを記憶するIC切符1、及び手荷物に付しIC切符1と識別可能な手荷物ICタグ2を非接触で電気的に読取り可能とするIC読取機6と、乗客情報、及び乗客の指定座席に関する座席情報を記憶し一元管理する情報記憶部11と、IC切符1、及び手荷物ICタグ2から読取った読取り情報と、情報記憶部11にて記憶する乗客情報、及び座席情報と、に基づき、乗客の指定座席の占有、及び乗客の手荷物の変位を判断する判断部12と、判断された判断結果に基づき、乗客の指定座席の占有状況、及び手荷物の変位状況を目視可能に異なって表示する携帯端末5、表示装置8、及び表示部14と、周囲に警報する警報装置7と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車、バス、飛行機等の交通機関において、乗客の指定座席の占有を確認すると共に手荷物の盗難を防止する乗客管理システム、及び乗客管理方法に関し、特に非接触で電気的に情報の読取り、及び書込み可能なIC内蔵の乗車券を用いた乗客管理システム、乗客管理システムにおける乗車券購入装置、及び乗客管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、列車、バス、飛行機等の交通機関において、乗客は切符やチケットを購入してその指定座席を利用するようになっている。
特に列車において、乗務員は指定座席へ赴き、乗客に上記切符を提示させて目視にてその切符の確認を行ない、乗客の乗り越し、座席間違い、不正占有の防止を図っている。
しかしながら、切符の確認に時間がかかることに加え、不在の座席が使用中であるか否かが確認できないという問題があった。
そこで、電気的に情報を記憶可能なICを切符やチケットに内蔵し、乗客の座席、又はその付近にIC読取機を備え、このIC読取機にて切符やチケットに内蔵されたICの記憶情報を読取ることにより、切符を持つ乗客が座席に着いたとき乗務員が指定座席の占有状況を確認することができる座席確認システムが提案されている。
【0003】
こうした構成の座席確認システムにより、乗務員が指定座席へ赴くことなく、切符やチケットの確認を行うことができる。
しかし、乗客が1人客として利用している場合、その乗客の離席中や睡眠中に手荷物が盗まれるという問題があった。従って、手荷物の盗難防止可能なシステムが求められている。
また、切符、チケットについても、降車後不要となり廃棄され、恒久的に資源を消費するシステムであるため、環境に配慮するシステムが求められている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−63301号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のような従来の諸問題に鑑みてなされたもので、乗客の指定座席の占有確認、及び乗客の手荷物の盗難を防止する乗客管理システム及び乗客管理方法を提供することを目的とする。
【0006】
また本発明は、乗車券を不要に廃棄することなく再利用可能とし、環境に配慮する乗客管理システム、乗客管理システムにおける乗車券購入装置、及び乗客管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明は、電気的に情報の書込み及び読取り可能なICを利用してそのICに記憶した情報を検知することにより、列車等における乗客の指定座席の占有、及び手荷物を監視することに着目したものであって、請求項1に記載の乗客管理システムによると、乗客を特定する乗客情報を記憶する乗車券、及び前記乗客情報を記憶し手荷物に付された手荷物タグを非接触で電気的に読取り可能に列車内に設けられる読取り装置と、前記乗客情報、及び乗客の指定座席に関する座席情報を記憶する情報記憶手段と、前記乗車券、及び前記手荷物タグから前記読取り手段にて読取った読取り情報と、情報記憶手段にて記憶する前記乗客情報、及び前記座席情報と、に基づき、乗客の指定座席の占有、及び乗客の手荷物の変位を判断する判断手段と、を有するホストと、列車内に設けられ、前記判断手段にて判断された判断結果に基づき異なって報知する報知装置と、を有することを特徴とする。
請求項2に記載の乗客管理システムによると、前記手荷物タグは、前記乗車券と識別する識別情報を有し、前記判断手段は、前記識別情報に基づき、前記乗車券、及び前記手荷物タグを識別し、前記乗車券のみ検知したとき、その検知位置と、前記乗車券から読取った乗客情報と、からなる読取り情報と、前記情報記憶手段にて記憶する前記乗客情報、及び前記座席情報と、に基づき、乗客の指定座席の占有を判断し、前記手荷物タグのみ検知したとき、その検知位置と、前記手荷物タグから読取った乗客情報と、からなる読取り情報に基づき、乗客の手荷物の変位を判断し、前記乗車券、及び前記手荷物タグを検知したとき、前記乗車券、及び前記手荷物タグにて記憶される前記乗客情報を互いに照合し、合致したとき、乗客の指定座席の占有を判断し、合致しなかったとき、乗客の手荷物の変位を判断することを特徴とする。
請求項3に記載の乗客管理システムによると、前記報知装置は、前記判断手段にて判断された判断結果を前記ホストより受信し、乗客の指定座席の占有状況、及び手荷物の変位状況を目視可能に表示する表示手段と、前記判断手段にて判断された判断結果に基づき、周囲に警報する警報手段と、を有することを特徴とする。
請求項4に記載の乗客管理システムにおける乗客が乗車券を購入する乗車券購入装置によると、前記乗車券に記憶する乗客情報を読取り、乗客により座席が指定され、前記乗客情報、及び前記指定座席に関する座席情報を前記ホストへ送信し、前記ホストにて書換え可能に記憶する座席更新手段と、乗客により手荷物数が指定される指定手段と、前記乗車券に記憶された乗客情報を電気的に書込み、その書込まれた前記手荷物タグを前記指定手段にて指定された手荷物数に基づき発行する発行手段と、を有することを特徴とする。
請求項5に記載の乗客管理方法によると、列車等における乗客の指定座席の占有、及び手荷物を監視する乗客管理方法であって、乗客を特定する乗客情報、及び乗客の指定座席に関する座席情報を記憶し一元管理するホストを有し、乗客を特定する乗客情報を記憶する乗車券、及び手荷物に付し前記乗客情報を記憶し、前記乗車券と識別可能な手荷物タグを非接触で電気的に読取るステップと、前記乗車券、及び前記手荷物タグを識別するステップと、前記乗車券のみ検知したとき、その検知位置と、前記乗車券から読取った乗客情報と、からなる読取り情報と、前記ホストにて記憶する前記乗客情報、及び前記座席情報と、に基づき、乗客の指定座席の占有を判断するステップと、前記手荷物タグのみ検知したとき、その検知位置と、前記手荷物タグから読取った乗客情報と、からなる読取り情報に基づき、乗客の手荷物の変位を判断するステップと、前記乗車券、及び前記手荷物タグを検知したとき、前記乗車券、及び前記手荷物タグにて記憶される前記乗客情報を互いに照合し、合致したとき、乗客の指定座席の占有を判断し、合致しなかったとき、乗客の手荷物の変位を判断するステップと、前記判断結果に基づき列車内にて異なって報知するステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の乗客管理システムは、乗客を特定する乗客情報を記憶する乗車券、及び前記乗客情報を記憶し手荷物に付された手荷物タグを非接触で電気的に読取り可能に列車内に設けられる読取り装置と、その乗客情報、及び乗客の指定座席に関する座席情報を記憶する情報記憶手段と、乗車券、及び手荷物タグから読取り手段にて読取った読取り情報と、情報記憶手段にて記憶する乗客情報、及び座席情報と、に基づき、乗客の指定座席の占有、及び乗客の手荷物の変位を判断する判断手段と、を有するホストと、列車内に設けられ、判断手段にて判断された判断結果をホストより受信し、乗客の指定座席の占有状況、及び手荷物の変位状況を目視可能に表示する表示手段と、判断手段にて判断された判断結果に基づき、周囲に警報する警報手段と、を有するように構成することにより、乗務員は、表示手段にて常に乗客の指定座席の占有確認、及び手荷物の変位を確認することができ、さらに警報手段にて手荷物の盗難があっても周囲に警報されるので、乗客の手荷物の盗難を防止できる効果を奏する。
【0009】
さらに、本発明の乗客管理システムは、乗車券、及びホストにて乗客情報を記憶するように構成することにより、列車事故等災害時においても身元確認可能となり、また、手荷物を盗難されたときにおいても、盗難者が持つ乗車券から容易に盗難者を特定できる効果を奏する。
【0010】
さらに、本発明の乗客管理システムにおいて乗客が乗車券を購入する乗車券購入装置は、
乗車券に記憶する乗客情報を読取り、乗客により座席が指定され、その乗客情報、及び指定座席に関する座席情報を前記ホストへ送信し、ホストにて書換え可能に記憶する座席更新手段と、乗客により手荷物数が指定される指定手段と、乗車券に記憶された乗客情報を電気的に書込み、その書込まれた手荷物タグを指定手段にて指定された手荷物数に基づき発行する発行手段と、を有するように構成することにより、乗車券、及び手荷物タグの表面をプラスチック等周知の劣化し難い合成樹脂で形成し、手荷物タグについては使用後回収し記憶情報を書換えることで不要に廃棄することなく繰り返し利用可能となる効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態について図1乃至図4に基づき詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明を実施するための最良の形態に係る乗客管理システムの構成を示すブロック図であり、図2は、IC切符1、及び手荷物ICタグ2の平面図であり、図3は、乗車券購入のフローチャート図であり、図4は、指定座席の占有確認、及び手荷物監視のフローチャート図である。
【0013】
図1に示す乗客管理システムは、券売機3と、送受信機4と、乗務員が携帯する携帯端末5と、IC読取機6と、警報装置7と、表示装置8と、情報を一元管理する乗客管理装置10と、が無線LAN等のネットワーク9によって無線情報通信可能に接続されている。
【0014】
乗客管理装置10は、プログラム制御によって動作するサーバであって、情報記憶部11と、判断部12と、送受信部13と、表示部14とからなり、各種情報を一元管理すると共に、乗客の指定座席の占有確認、及び手荷物監視を行う。
なお、本発明を実施するための最良の形態において、乗客管理装置10を駅構内の乗務員室に設けるものとするが、駅構内に限らず、各列車20内に設けるようにしても良い。
【0015】
情報記憶部11は、IC切符1を利用する乗客に関する乗客情報と、乗客の利用する列車20の指定座席に関する座席情報とを記憶するHDD等の記憶手段である。
乗客情報は、乗客を特定する情報であって、乗客ID、氏名、年齢、性別、住所、電話番号、学割情報(学生割引の対象であるか否かの情報)等である。
座席情報は、乗客の利用する列車20の指定座席に関する情報であって、列車の識別番号、列車名、車両、座席番号、区間、利用日時等である。
【0016】
判断部12は、列車内に設置されている後述のIC読取機6から送受信機4を介して信号を受信すると、情報記憶部11に記憶されている乗客情報、及び座席情報に基づいて、乗客の指定座席の占有、及び手荷物の変位を判断し、その判断結果を乗客管理装置10の表示部14に送信すると共に、送受信部13にて該当の列車20の送受信機4に送信させる。
【0017】
送受信部13は、駅構内に設置される券売機3と、列車20内に設置される送受信機4を介し携帯端末5、IC読取機6、警報装置7、表示装置8と無線情報通信を行う機能を有し、券売機3、又はIC読取機6からの受信信号を情報記憶部11、及び判断部12に送信し、また、情報記憶部11、判断部12からの受信信号を券売機3、又は送受信機4を介し携帯端末5、警報装置7、表示装置8へ各信号に基づき送信するようになっている。
【0018】
表示部14は、任意のディスプレイであり、判断部12からの受信信号に基づき乗客の指定座席の占有状況、及び乗客の手荷物の変位状況等を異なって表示し、乗務員が目視で確認、把握することができるようになっている。
例えば、本発明を実施するための最良の形態において、列車20内の座席レイアウトが表示され、乗客が正しい座席を占有しているとき、その座席を青色表示し、乗客が誤った座席を占有しているときその座席を黄色表示し、また手荷物の変位の判断結果により、手荷物がその持ち主以外の乗客等によって移動されたとき、その手荷物の最新の検知位置を盗難警告表示として赤色表示するようになっている。
【0019】
IC切符1、手荷物ICタグ2はカード形状であって、図2(a)、図2(b)に示すように、夫々IC読取機6と交信を行うアンテナ15と、内部に情報を書換え可能に記憶するIC16、17より構成されるIC回路を有する。
また、表面はプリンタ等周知の印字手段にて印字可能となっており、IC16、17の記憶情報を目視可能に表示するようになっている。
また、この表面をプラスチック等の合成樹脂で構成し、さらに熱可塑性染料層を形成することにより、印字内容を何度でも表示変更できる。
【0020】
IC切符1のIC16は、少なくとも前記乗客情報としての乗客IDを電気的に記憶し、また利用する列車20の指定座席に関する座席情報を記憶する。
このIC切符1は、乗客が携帯して乗車券として利用するものであり、図示しないIC切符1発行装置にて事前に発行されたものとする。
【0021】
手荷物ICタグ2は、手荷物内部へ保持し乗客の手荷物の盗難防止を図るためのものであって、手荷物ICタグ2のIC17に、少なくとも乗客情報としての乗客IDを電気的に記憶する。
また、IC17は、IC切符1と識別する識別情報としての手荷物フラグを電気的に記憶し、該手荷物フラグにより判断部12にて識別できる。
【0022】
券売機3は、乗客が列車20に乗車するための乗車券を購入するものであって、駅構内に複数設置されている。
すなわち券売機3は、乗客によってIC切符1が挿入され、乗車券購入手段として、そのIC16に記憶される乗客IDを読取り、また図示しない入力キーの操作によって利用する列車20の座席が指定され、その乗客情報、及び指定座席に関する座席情報に基づき料金を算出し清算処理を行う。清算処理後、座席更新手段として、乗客ID、及び座席情報を乗客管理装置10へ送信すると共に、IC16に座席情報を書込むようになっている。
さらに、乗客のキー操作によって手荷物数が指定され、手荷物ICタグ2をその指定枚数分発行する。
また、券売機3は印字手段を有し、IC切符1、及び手荷物ICタグ2表面に座席情報等所定印字を行うようになっている。
なお、券売機3は、乗客管理装置10と座席情報を送受信して、常に最新の座席情報を有している。
【0023】
送受信機4は、列車20内に設けられ携帯端末5、IC読取機6、警報装置7、及び表示装置8と、乗客管理装置10と、を無線情報通信可能に各種情報を送受信するためのものである。
【0024】
IC読取機6は、IC切符1のIC16に記憶されている乗客情報、及び手荷物ICタグ2の17に記憶されている乗客IDを非接触で電気的に読み取り、列車20内の各座席、又は座席付近に複数設置され、どのIC読取機6で検知したかによって、IC切符1、及び手荷物ICタグ2の位置を求めることができる。
そのIC読取機6の読取り可能範囲は、周知のRFID(Radio Frequency Identification)の技術により、図1に示す範囲Aのように所定の読取り可能範囲を有し、また複数のIC切符1、及び手荷物ICタグ2を読取ることができるようになっている。
読取った乗客情報としての乗客IDは、前記送受信機4により乗客管理装置10の送信部13へ送信される。
【0025】
表示装置8は、列車20内の乗務員室等に設けられる任意のディスプレイであり、乗客管理装置10からの受信信号に基づき乗客の指定座席の占有状況、及び乗客の手荷物の変位状況等を表示部14と同様にして異なって表示し、乗務員が目視で確認、把握することができるようになっている。
【0026】
携帯端末5は、図示しない表示部を有し、乗務員が携帯して乗客の指定座席の占有状況、及び乗客の手荷物の変位状況等について列車20内を巡回しながら確認、把握可能な機能を有しており、以下、表示装置8と同様の機能を有する。
従って、手荷物の盗難があった場合においても、その携帯端末5にて確認しながら盗難現場へ近づくことが可能となる。
【0027】
警報装置7は、列車20内に複数設けられ乗客の手荷物の盗難を防止するためのものであって、乗客管理装置10から送受信機4を介し受信信号に基づき周囲に警報するようになっている。発信する警報手段は、音の鳴動、光の点滅等任意の方法により行われる。
【0028】
こうした構成の乗客管理システムによる乗車券購入フローチャート、乗客の指定座席の占有確認、及び手荷物の監視フローチャートについて、以下説明する。
【0029】
図3は、乗車券購入のフローチャート図であって、券売機3は、乗客により図示しない挿入部に挿入されるIC切符1を検知したか否か判定し(ステップS1)、検知したとき、そのIC切符1に記憶される乗客IDを読取り、またキー操作によって利用する列車20の座席が指定される(ステップS2)。
券売機3は、指定座席に基づき清算処理を行う(ステップS3)。
なお、このとき乗客情報の学割情報等による割引処理も行われる。
【0030】
清算処理後、ネットワーク9を介して、乗客ID、及び座席情報を乗客管理装置10へ送信し、乗客管理装置10の情報記憶部11にて記憶されている該乗客IDの座席情報が書換えられ(ステップS4)、券売機3にて該IC切符1のIC16に座席情報を書込む(ステップS5)。
【0031】
ステップS5乃至ステップS8は手荷物ICタグ2の発行処理であって、券売機3にて、乗客のキー操作により、手荷物の有無が選択され(ステップS6)、手荷物無が選択されたとき、券売機3から乗客のIC切符1が排出され(ステップS9)、乗車券購入を終了する。
【0032】
他方、手荷物有が選択されたとき、乗客に対し手荷物数の入力を促し、乗客のキー操作により手荷物数が指定されると(ステップS7)、IC切符1に記憶されている乗客IDを手荷物ICタグ2のIC17に電気的に書込み、指定された手荷物数の手荷物ICタグ2を発行し(ステップS8)、券売機3から乗客のIC切符1が排出され(ステップS9)、乗車券購入を終了する。
【0033】
上記により、乗客は書換えられたIC切符1の座席情報に基づき、改札口に設けられる周知の読取装置にて読取らせることで駅構内へ入場可能となり、列車20に乗車できるようになる。
【0034】
次に、列車20における指定座席の占有確認、及び手荷物監視フローチャートについて、図4を用いて説明する。
図4は、列車20内における指定座席の占有確認、及び手荷物監視のフローチャート図であって、IC読取機6は、IC切符1、及び手荷物ICタグ2に対し非接触で電気的読取りを行う(ステップS11)。
IC切符1のIC16、又は手荷物ICタグ2のIC17を検知したか否か判定し(ステップS12)、検知しなかったとき、ステップS11へ戻り再び読取りを行う。なお、このステップS11乃至ステップS12は、任意の所定時間間隔で定期的に行うようになっている。
【0035】
IC切符1のIC16、又は手荷物ICタグ2のIC17を検知したとき、検知位置を含む検知信号と、IC16、又はIC17に記憶されている乗客情報としての乗客IDと、手荷物フラグと、を送受信機4にて乗客管理装置10へ送信し、判断部12にて、手荷物フラグよりIC切符1であるか、手荷物ICタグ2であるか判定される(ステップS13)。
手荷物ICタグ2を検知しないとき、すなわちIC切符1であるとき、その検知位置、及びIC切符1に記憶されている乗客IDに基づき、情報記憶部11の座席情報を参照して座席照合を行う(ステップS16)。
【0036】
座席照合の結果、合致したとき、その判断結果を出力信号として乗客管理装置10内の表示部14、乗務員が携帯する携帯端末5、及び列車20内の表示装置8へ出力し、その座席が各々正占有表示される(本発明を実施するための最良の形態においては青色で表示)(ステップS20)。
【0037】
座席照合の結果、合致しないとき、所定時間経過後(ステップS17)、IC読取機6にて再びIC切符1に対し読取りを行い、同じIC16を検知したか否か判定し(ステップS18)、検知しなかったとき、乗客が誤った座席に着いているのではなく、その座席付近にいただけであると認識し、ステップS11へ戻り、再び指定座席の占有確認、及び手荷物監視を継続する。
【0038】
同じIC16を検知したとき、乗客が誤った座席に着いているとして乗客管理装置10内の表示部14、乗務員が携帯する携帯端末5、及び列車20内の表示装置8へ出力され、その座席が各々誤占有表示される(本発明を実施するための最良の形態においては黄色で表示)(ステップS19)。
【0039】
他方、乗客管理装置10の判断部12にて、その手荷物フラグよりIC切符1であるか、手荷物ICタグ2であるか判定され(ステップS13)、手荷物ICタグ2であるとき、IC読取機6は、この手荷物ICタグ2の他にIC切符1を検知するか否か判定する(ステップS14)。
【0040】
IC切符1を検知しないとき、所定時間経過後(ステップS21)、その手荷物ICタグ2が検知位置より移動したか否か判定する(ステップS22)。
なお、この手荷物ICタグ2の移動判定は、その手荷物ICタグ2を複数のIC読取機6で検知する等の方法により行われる。
そして、手荷物ICタグ2が移動していないとき、ステップS11へ戻り、再び指定座席の占有確認、及び手荷物監視を継続する。
【0041】
手荷物ICタグ2が移動したとき、すなわちステップS12で検知した検知位置と異なる位置で該手荷物ICタグ2が検知されたとき、他の乗客によって手荷物が移動されたものとして、乗客管理装置内の表示部14、乗務員が携帯する携帯端末5、及び列車内の表示装置8へ出力され、常時最新の検知位置が盗難警告表示され(本発明を実施するための最良の形態においては赤色で表示)、且つ警報装置7へ出力され周囲に警報が行われる(ステップS23)。
【0042】
また、ステップS14で手荷物ICタグ2の他にIC切符1を検知したとき、その手荷物ICタグ2及びIC切符1に記憶されている乗客IDを比較照合する(ステップS15)。
合致するとき、以後前述の指定座席の占有確認処理を行う(ステップS16乃至ステップS19)。
合致しないとき、以後前述の手荷物監視処理を行う(ステップS21乃至ステップS23)。
【0043】
以上説明したように、本発明を実施するための最良の形態によれば、乗客を特定する乗客情報として少なくとも乗客IDを記憶するIC切符1、及びその乗客IDを記憶し手荷物に付された手荷物ICタグ2を非接触で電気的に読取り可能に列車内に設けられるIC読取機6と、乗客情報、及び乗客の指定座席に関する座席情報を記憶し一元管理する情報記憶部11と、IC切符1、及び手荷物ICタグ2からIC読取機6にて読取った乗客情報としての乗客IDと、その検知位置と、情報記憶部11にて記憶する乗客情報、及び座席情報と、に基づき、乗客の指定座席の占有、及び乗客の手荷物の変位を判断する判断部12と、判断部12にて判断された判断結果に基づき、乗客の指定座席の占有状況、及び手荷物の変位状況を目視可能に異なって表示する携帯端末5、表示装置8、及び表示部14と、判断部12にて判断された判断結果に基づき、周囲に警報する警報装置7と、を有するように構成することにより、乗務員は携帯端末5、表示装置8、表示部14にて常に乗客の指定座席の占有確認、及び手荷物の変位を確認することができ、さらに警報装置7にて手荷物の盗難があっても周囲に警報されるので、乗客の手荷物の盗難を防止できる効果を奏する。
【0044】
さらに、IC切符1、及び情報記憶部11にて乗客情報を記憶するように構成することにより、列車20事故等災害時においても身元確認可能となり、また、手荷物を盗難されたときにおいても、盗難者が持つIC切符1から容易に盗難者を特定できる効果を奏する。
【0045】
さらに、電気的に情報を書換え可能に記憶するIC切符1、手荷物ICタグ2を用い、券売機3は、そのIC切符1に記憶する乗客IDを読取り、乗客によって座席が指定され、その乗客ID、及び座席情報に基づき情報記憶部11の座席情報を書換え、さらに、乗客の手荷物数の指定に基づき、手荷物ICタグ2を指定枚数発行するように構成することにより、IC切符1、及び手荷物ICタグ2の表面をプラスチック等の劣化し難い合成樹脂で形成し、手荷物ICタグ2については使用後回収し記憶情報を書換えることで、不要に廃棄することなく繰り返し利用可能となる効果を奏する。
【0046】
なお、携帯端末5に乗越し清算機能を設けるようにしてもよい。
すなわち、携帯端末5に、券売機3の乗車券購入手段、乃至座席更新手段を有するように構成することで、乗務員が携帯端末5にて乗越し清算処理を行うことができる。
また、乗客の指定座席の占有確認において、IC切符1のIC16に記憶された座席情報をIC読取機6にて読取り、該座席情報と、その検知位置を照合することで、乗客の指定座席の占有確認を行うようにしてもよい。
なお、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明を実施するための最良の形態に係る乗客管理システムの構成を示すブロック図。
【図2】同上、乗客管理システムのIC切符1、及び手荷物ICタグ2の平面図。
【図3】同上、乗客管理システムにおける乗車券購入のフローチャート図。
【図4】同上、乗客管理システムにおける指定座席の占有確認、及び手荷物監視のフローチャート図。
【符号の説明】
【0048】
1 IC切符
2 手荷物ICタグ
3 券売機
4 送受信機
5 携帯端末
6 IC読取機
7 警報装置
8 表示装置
9 ネットワーク
10 乗客管理装置
11 情報記憶部
12 判断部
13 送受信部
14 表示部
15 アンテナ
16、17 IC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車等における乗客の指定座席の占有、及び手荷物を監視する乗客管理システムであって、
乗客を特定する乗客情報を記憶する乗車券、及び前記乗客情報を記憶し手荷物に付された手荷物タグを非接触で電気的に読取り可能に列車内に設けられる読取り装置と、
前記乗客情報、及び乗客の指定座席に関する座席情報を記憶する情報記憶手段と、
前記乗車券、及び前記手荷物タグから前記読取り手段にて読取った読取り情報と、情報記憶手段にて記憶する前記乗客情報、及び前記座席情報と、に基づき、乗客の指定座席の占有、及び乗客の手荷物の変位を判断する判断手段と、を有するホストと、
列車内に設けられ、前記判断手段にて判断された判断結果に基づき異なって報知する報知装置と、
を有することを特徴とする乗客管理システム。
【請求項2】
前記手荷物タグは、前記乗車券と識別する識別情報を有し、
前記判断手段は、前記識別情報に基づき、前記乗車券、及び前記手荷物タグを識別し、
前記乗車券のみ検知したとき、その検知位置と、前記乗車券から読取った乗客情報と、からなる読取り情報と、前記情報記憶手段にて記憶する前記乗客情報、及び前記座席情報と、に基づき、乗客の指定座席の占有を判断し、
前記手荷物タグのみ検知したとき、その検知位置と、前記手荷物タグから読取った乗客情報と、からなる読取り情報に基づき、乗客の手荷物の変位を判断し、
前記乗車券、及び前記手荷物タグを検知したとき、前記乗車券、及び前記手荷物タグにて記憶される前記乗客情報を互いに照合し、
合致したとき、乗客の指定座席の占有を判断し、
合致しなかったとき、乗客の手荷物の変位を判断することを特徴とする請求項1に記載の乗客管理システム。
【請求項3】
前記報知装置は、前記判断手段にて判断された判断結果を前記ホストより受信し、乗客の指定座席の占有状況、及び手荷物の変位状況を目視可能に表示する表示手段と、
前記判断手段にて判断された判断結果に基づき、周囲に警報する警報手段と、を有することを特徴とする請求項1に記載の乗客管理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の乗客管理システムにおいて乗客が乗車券を購入する乗車券購入装置であって、
前記乗車券に記憶する乗客情報を読取り、乗客により座席が指定され、
前記乗客情報、及び前記指定座席に関する座席情報を前記ホストへ送信し、前記ホストにて書換え可能に記憶する座席更新手段と、
乗客により手荷物数が指定される指定手段と、
前記乗車券に記憶された乗客情報を電気的に書込み、その書込まれた前記手荷物タグを前記指定手段にて指定された手荷物数に基づき発行する発行手段と、
を有することを特徴とする乗車券購入装置。
【請求項5】
列車等における乗客の指定座席の占有、及び手荷物を監視する乗客管理方法であって、
乗客を特定する乗客情報、及び乗客の指定座席に関する座席情報を記憶し一元管理するホストを有し、
乗客を特定する乗客情報を記憶する乗車券、及び手荷物に付し前記乗客情報を記憶し、前記乗車券と識別可能な手荷物タグを非接触で電気的に読取るステップと、
前記乗車券、及び前記手荷物タグを識別するステップと、
前記乗車券のみ検知したとき、その検知位置と、前記乗車券から読取った乗客情報と、からなる読取り情報と、前記ホストにて記憶する前記乗客情報、及び前記座席情報と、に基づき、乗客の指定座席の占有を判断するステップと、
前記手荷物タグのみ検知したとき、その検知位置と、前記手荷物タグから読取った乗客情報と、からなる読取り情報に基づき、乗客の手荷物の変位を判断するステップと、
前記乗車券、及び前記手荷物タグを検知したとき、前記乗車券、及び前記手荷物タグにて記憶される前記乗客情報を互いに照合し、
合致したとき、乗客の指定座席の占有を判断し、
合致しなかったとき、乗客の手荷物の変位を判断するステップと、
前記判断結果に基づき列車内にて異なって報知するステップと、
を有することを特徴とする乗客管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−179465(P2007−179465A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−379814(P2005−379814)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】