説明

乗用作業機

【課題】 成形した一種類のフロアマットを複数仕様に利用可能にしてフロアマットの金型コストを低減する。
【解決手段】 フロアマット46の前後中間部位に前後複数本のカット線Cを予め形成し、これらカット線Cの間のマット部分を切除してフロアマット46を前後に分断可能に構成し、カット線Cで分断しない仕様と、カット線Cの間のマット部分を切除してフロアマット46を前後に分断して短縮化した仕様とに使い分けする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用田植機や乗用草刈機などの乗用作業機に係り、特には、ステップの上面に沿ってゴム材などからなるフロアマットを敷設した乗用作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記乗用作業機の一例である乗用田植機では、滑り止めパターンやペダル挿通孔を形成したフロアマットがステップの前後長さに応じて機種ごとに成形されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−224221号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、機種ごと寸法仕様に合わせてフロアマットを成形すると金型費用が嵩み、生産コストの増大を招く一因となっている。
【0004】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、成形した一種類のフロアマットを複数仕様に利用可能にしてフロアマットの金型コストを低減することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明に係るは、ステップの上面に沿ってフロアマットを敷設した乗用作業機であって、
前記フロアマットの前後中間部位に前後複数本のカット線を予め形成し、これらカット線の間のマット部分を切除してフロアマットを前後に分断可能に構成し、カット線で分断しない仕様と、カット線の間のマット部分を切除してフロアマットを前後に分断して短縮化した仕様とに使い分け可能に構成してあることを特徴とする。
【0006】
上記構成によると、ステップが前後に長い仕様の機種では、成形したままの前後に長いフロアマットをそのまま載置装填することができ、また、ステップが前後に短い仕様の機種では、フロアマットを前後のカット線に沿って切断してカット線の間のマット部分を除去することで、前後に短縮したフロアマットを形成して載置装填することができる。
【0007】
従って、第1の発明によると、複数仕様の機種に対してフロアマットの製作金型を共用することができ、生産コストの低減に有効となる。
【0008】
第2の発明は、上記第1の発明において、
前記ステップを前部ステップ部分と後部ステップ部分に分断するとともに、前部ステップ部分の後部と後部ステップ部分の前部とを上下に重合させて機体に搭載連結するよう構成し、前部ステップ部分と後部ステップ部分との重ね代が前後に小さい仕様と、前部ステップ部分の後部と後部ステップ部分の前部との重ね代が前後に大きい仕様とに使い分け可能に構成してあることを特徴とする。
【0009】
上記構成によると、ステップ自体を複数仕様の機種に対して共用することができ、フロアマットの共用化と相まって生産コストの低減に一層有効となる。
【0010】
第3の発明は、上記第1または2の発明において、
前記フロアマットに形成した前記カット線を、マット側縁が機体中心線と平行な直線部分に配備してあることを特徴とする。
【0011】
上記構成によると、前後中間部をカット線に沿って切断するだけで、分断された前部フロアマット部分の後端と後部フロアマット部分の前端とを左右のずれなく突き合わせることができ、外観に優れた短縮仕様のフロアマットを簡単容易に得ることができる。
【0012】
第4の発明は、上記第1〜3のいずれか一つの発明において、
前記ステップに形成されたペダル挿通孔と重複するようにフロアマットにペダル挿通孔を形成するとともに、フロアマットのペダル挿通孔を横断する位置に前記カット線を形成してあることを特徴とする。
【0013】
上記構成によると、ペダル挿通孔のない箇所で分断する場合に比べて切断長さが短いものとなり、短縮仕様のフロアマットを形成するためのカット加工が容易となる。
【0014】
第5の発明は、上記第4の発明において、
前記ステップのペダル挿通孔の前端側一部分が分断されていないフロアマットによって塞がれるよう構成してあることを特徴とする。
【0015】
上記構成によると、ステップを伸縮可能な分割構造にして複数仕様に共用するために、ステップに形成するペダル挿通孔の前後長さを長く設定しても、フロア上に見えるペダル挿通孔をフロアマットに形成した過不足のない長さのペダル挿通孔で制限することができ、フロア面の外観を整えることが容易となる。
【0016】
第6の発明は、上記第5の発明において、
前後2本のカット線の内、後方のカット線をフロアマットに形成されたペダル挿通孔の前端と合致させてあることを特徴とする。
【0017】
上記構成によると、前後のカット線で切断して前後に短いフロアマットを形成する場合、ステップのペダル挿通孔の前端側一部分を塞いでいたマット部分が前後のカット線の間で切除されるマット部分となり、短くなったステップのペダル挿通孔に合致するペダル挿通孔をフロアマットに形成するための特別なマット切断処理が不要となり、短縮仕様のフロアマットを形成するためのカット加工が容易となる。
【0018】
第7の発明は、上記第1〜6のいずれか一つの発明において、
前部のカット線の前側近傍位置、および、後部のカット線の後側近傍位置にフロアマットとステップの連結部を設けてあることを特徴とする。
【0019】
上記構成によると、前後中間部を切除して短縮仕様のフロアマットを形成した際、前部フロアマット部分の後端と後部フロアマット部分の前端が捲れあがることを防止することができ、フロアマットの前後中間が分断されていても、切断端に足を引っかけてしまうことなく軽快に乗降することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1に、本発明に係る乗用作業機の一例である乗用田植機の側面が、また、図2にその平面がそれぞれ示されている。この田植機は、操向自在な前輪1と操向不能な後輪2を備えた四輪駆動型の走行機体3の後部に、油圧シリンダ4で駆動される平行四連リンク構造の昇降リンク機構5を介して作業装置としての苗植付け装置6が連結され、また、走行機体3の後部に設けた運転座席7の後方箇所に施肥装置8が配備されるとともに、走行機体3の前部中央にボンネット9、フロントパネル10、ステアリングハンドル11、等が備えられ、更に、ボンネット9の左右両脇に予備苗のせ台12が立設装備された構造となっている。
【0021】
前記苗植付け装置6は4条植え仕様に構成されて前記昇降リンク機構5の後端下部にローリング自在に連結支持されており、マット状の苗を載置して一定ストロークで往復横移動する苗のせ台15、この苗のせ台15の下端から1株分づつ苗を切り出して田面に植付けてゆく4組の回転式の植付け機構16、田面の植付け箇所を均平整地する3個の整地フロート17、往復植え作業時に次行程の走行基準線を田面に引っ掻き形成する左右一対の線引きマーカ18、等を備えて構成されている。
【0022】
そして、この苗植付け装置6は、昇降リンク機構5の後端上部に装備された電動式のローリング駆動部19によって強制ローリングされるようになっており、苗植付け装置6に装備されたローリングセンサ(図示せず)の検出結果に基づいてローリング駆動部19を作動制御し、走行機体3が左右に傾斜しても苗植付け装置6を所定の左右傾斜姿勢に安定維持するように構成されている。また、詳細な構造は図示しないが、左右に並列配備された3つの整地フロート17の中央のものが、その上下変位から苗植付け装置6の田面に対する浮沈を機械的に検知する接地センサSとして利用されており、その検出結果に基づいて前記油圧シリンダ4が作動制御されて、走行機体3の浮沈や前後傾斜にかかわらず苗植付け装置6が田面に対して所定の植付け作業高さに安定維持されるようになっている。
【0023】
前記施肥装置8は、肥料ホッパ21に貯留した粒状の肥料を設定量づつ繰出して、電動ブロワ22からの搬送風によって4本の供給ホース23に送り出し、前記整地フロート17に取り付けた4個の作溝器24にまで風力搬送し、作溝器24によって植付け苗の横側近傍の田面に形成した施肥溝に肥料を送込んで埋設するように構成されている。
【0024】
前記走行機体3の前後中間部には左右の前輪1を装備したミッションケース26が配備されるとともに、このミッションケース26の後部に、サスペンション機構27で弾性支持された左右一対のスイングケース28が前部支点a周りに独立上下揺動可能に連結され、各スイングケース28の後端に後輪2がそれぞれ軸支されている。また、ミッションケー26スから前方に突設された前フレーム29に前記ボンネット9で囲繞されたエンジン30が搭載されている。
【0025】
図3に示すように、前記エンジン30は、出力軸31を左横向きに突設した横軸型の空冷ガソリンエンジンが利用されており、クランクケース30aの上部に連設したシリンダ部30bが後方に傾斜された嵩低いものに構成され、前フレーム29に防振ゴム32を介して搭載支持されている。
【0026】
エンジン30の出力軸31は、ミッションケース26の左側面に連結された主変速装置としての油圧式の無段変速装置(HST)33の入力軸34にテンション式の主クラッチ35を備えたベルト伝動機構36を介して連動連結されており、無段変速装置33から出力された正転あるいは逆転の変速動力がミッションケース26内でギヤ変速されて前輪1および後輪2に伝達される。また、無段変速装置33からの出力のうちの正転動力だけが作業系動力として分岐されてミッションケース26の後部から取り出され、伸縮伝動軸37を介して苗植付け装置6に伝達されるようになっている。
【0027】
前記ミッションケース26の上面には、前輪1を操向する油圧式パワーステアリング用のコントローラ38が連結されるとともに、コントローラ38の上部に屈曲したステアリングポスト39が立設され、ステアリングポスト39に沿って装備した屈折回動自在なステアリング軸40の上端に前記ステアリングハンドル11が連結されている。なお、図示されていないが、コントローラ38の出力軸がミッションケース26を貫通して下方に延出されて前輪ステアリング機構に連動連結されている。
【0028】
前記ステアリングポスト39の上部前方に燃料タンク41が支持されるとともに、ステアリングポスト39に前記フロントパネル10が取付け固定されている。また、前フレーム29の前端部には、アーチ形の操縦用アーム42が、略鉛直に起立した格納姿勢と、前方に大きく振り出し揺動させた使用姿勢とに亘る一定範囲で下部支点b周りに前後揺動可能に装着されており、畦の乗り越え、運搬車両の荷台への積み下ろし、のように走行機体3が大きく前後に傾斜する状態で自走移動させる場合において、使用姿勢に振り出した操縦用アーム42を地上に降りた運転者が押さえ込むことで機体前部が浮き上がることを抑制することができるようになっている。なお、操縦用アーム42の遊端における横軸部位には、線引きマーカ18で田面に形成した走行基準線に機体中心を合わせるための照準となるセンターマスコット43が回動可能に外嵌装備されている。
【0029】
走行機体3の上部には機体フロアを構成する板金製のステップ45が搭載連結されるとともに、その上にゴム製のフロアマット46が敷設されている。前記ステップ45およびフロアマット46は、ボンネット9の前後長さが長く構成されるパワーステアリング仕様の上位機種と、ボンネット9の前後長さが短く構成されるマニュアルステアリング仕様の下位機種とに共用されるものであり、以下その構成について説明する。
【0030】
図4および図15に示すように、前記ボンネット9は上位機種と下位機種に共用されるものであり、左右側面に換気グリル47を備えた下部ボンネット9aと、ヘッドライト48を備えた上部ボンネット9bとからなる。そして、下部ボンネッ9aがフロントパネル10とステップ45に亘って連結固定されるのに対して、上部ボンネット9bはフロントパネル10に対して支点c周りに上下に揺動開閉可能に支持されるとともに、上部ボンネット9bの後部がフロントパネル10および下部ボンネット9aの前部に外側から重合するよう配備されている。
【0031】
そして、パワーステアリング仕様の上位機種では、上記したように、ミッションケース26の上面に取り付けたパワーステアリング用のコントローラ38に屈曲したステアリングポスト39が立設されるのに対して、マニュアルステアリング仕様の機種では、図15に示すように、ミッションケース26の上面に直線状のステアリングポスト39sが直接に立設され、このステアリングポスト39の上部に前後長さの短いフロントパネル10sが連結支持されるとともに、上位機種と共用の下部ボンネット9aと上部ボンネット9bが前後方向での重ね代を大きくして装着されて、前後長さの短いボンネット9が構成されている。
【0032】
図9に示すように、前記ステップ45は、ボンネット9を前方および左右から囲繞する前部ステップ部分45Fと、左右の後輪フェンダ部49を後部上方に連設した後部ステップ部分45Rとの分割構造となっており、後部ステップ部分45Rの前端部を前部ステップ部分45Fの後端部の上に重ねてボルト連結するよう構成されている。なお、前部ステップ部分45Fは、機体前端部からボンネット横を通って乗り降りすることが可能な乗降用の通路を構成しており、前部ステップ部分45Fの前端部左右には乗降時の滑り止めのために前部滑り止め部50fが隆起形成されるとともに、後部ステップ部45R分の左右端には機体横側から乗降する際の滑り止めのために側部滑り止め部50rが隆起形成されている。
【0033】
ここで、前部ステップ部分45Fの後端部には前後2組のボルト連結孔51f,51rが形成されるとともに、後部ステップ部分45Rの前端部には1組のボルト挿通孔52が備えられており、図10(イ)に示すように、後側のボルト連結孔51rを利用して前部ステップ部分45Fと後部ステップ部分45Rとを連結することで、前後長さの長い上位機種用のステップ45が構成できるとともに、図10(ロ)に示すように、前側のボルト挿通孔51fを利用して前部ステップ部分45Fと後部ステップ部分45Rとを連結することで、前後長さの短い下位機種用のステップ45が構成できるようになっている。
【0034】
前部ステップ部分45Fの左側後部には前輪1を見通すための透視孔53が形成されるとともに、前部ステップ部分45Fと後部ステップ部分45Rの右側における重合連結部位には、ミッションケース26の右側部に取り付けられた主クラッチ・ブレーキペダル60を挿通するペダル挿通孔54が形成されおり、図10(イ)に示すように、ステップ45を前後に長い仕様に構成した場合には、ステップ45のペダル挿通孔54は前後に長く開口されるとともに、図10(ロ)に示すようにステップ45を前後に短い仕様に構成した場合には、ペダル挿通孔54が前後に短く開口されるようになっている。
【0035】
図11(イ)に示すように、前記フロアマット46は、前後長さの大きい仕様のステップ45の形状に対応した形状に一体成形されており、その前部にはボンネット装着用凹部55が前方に開口して形成されるとともにステップ45の前部滑り止め部50fを係入する浅い凹部56fが形成され、また、フロアマット46の後部左右にはステップ45の側部滑り止め部50rを係入する浅い凹部56rが形成され、かつ、マット上面に滑り止め用パターン57が形成されている。また、図12に示すように、マット下面には連結用突起58が突設され、ステップ45の適所に分散形成されたマット連結孔59に連結用突起58を圧入することでフロアマット46を浮き上がりなくステップ45の上面に沿わせて敷設することができるようになっている。
【0036】
また、前記ボンネット装着用凹部55の左側には前輪見通し用の透視孔61が形成されるとともに、ボンネット挿通用凹部55の右側にはペダル挿通孔62が形成されている。ここで、フロアマット46の透視孔は61はステップ45の前記透視孔53に全体的に合致するように形成されるとともに、フロアマット46のペダル挿通孔62は、前後長さの大きい仕様に構成されたステップ45のペダル挿通孔54の後端に合致し、ステップ45を前後に長い仕様に構成した場合にはペダル挿通孔54の前端側一部分がフロアマット46によって塞がれるようになっている。
【0037】
上記のように構成されたフロアマット46の下面には、ボンネット装着用凹部55およびペダル挿通孔62を横断するように前後2本のカット線Cが切り込み溝として予め形成されている。これらカット線Cの前後間隔Lは、長短仕様に共用可能な前記ステップ45の前後調節代Lと一致しており、両カット線Cの間のマット部分を切除してフロアマット46を前後に分断し、分断された前部フロアマット部分46Fの後端縁と後部フロアマット部分46Rの前端縁とを突き合わせることで、前後長さの短い仕様に構成されたステップ45に対応した形状および長さのフロアマット46が得られるようになっている。
【0038】
ここで、フロアマット46に形成されたペダル挿通孔62の前方の裏面には、このペダル挿通孔62を前方に延長するためのコの字形カット線Dが切り込み溝として形成されており、短くしたステップ45に対応してフロアマット46を分断して短縮した際に、前記コの字形カット線Dでフロアマット部分を切除することで、ステップ45の短くなったペダル挿通孔54の全長において合致するペダル挿通孔62が形成される。
【0039】
また、両カット線Cが形成される部位のマット側縁、つまり、マット外側縁およびボンネット装着用凹部55の内側縁は機体中心線と平行な直線縁に形成されており、両カット線Cの間のマット部分を切除して得られた前部フロアマット部分46Fの後端縁と後部フロアマット部分46Rの前端縁とが横幅方向にずれることなく突き合わされるようになっている。
【0040】
また、前部フロアマット部分46Fの後端部をステップ45に連結する連結部としての連結用突起58は前側のカット線Cに極力近く、また、後部フロアマット部分46Rの前端部をステップ45に連結する連結部としての連結用突起58は後側のカット線Cに極力近く配備され、分断された前部フロアマット部分46Fと後部フロアマット部分46Rの突合せ端部が捲れ上がることが防止されている。
【0041】
前記ステップ45およびフロアマット46のペダル挿通孔54,62から突出された主クラッチ・ブレーキペダル60は、図5,6に示すように、ミッションケース26の右側部に支点e周りに上下揺動可能に枢支されており、主クラッチ・ブレーキペダル60の基端に固着された基部金具63が圧縮コイルバネ64で前方にスライド付勢されたロッド65によって押圧されて図中反時計方向に回動付勢されることで、主クラッチ・ブレーキペダル60が上方に復帰付勢されている。また、ミッションケース26に固定されたコの字形のブラケット66に、基部金具63に備えた操作片63aに対向するリミットスイッチ67が備えられており、主クラッチ・ブレーキペダル60が大きく踏み込まれて前記主クラッチ35が切られ、かつ、ミッションケース26に内装された図示されないブレーキが制動操作された状態にある時、前記リミットスイッチ67が押圧操作されてエンジン30の始動が許容されるように、リミットスイッチ67がエンジン始動回路に接続されている。
【0042】
図5に示すように、主クラッチ・ブレーキペダル60には取付け金具68を介して操作レバー69が前方に向けて延出されている。この操作レバー69は、運転者が地上に降りて機体を操縦する場合に、手動で主クラッチ・ブレーキペダル60を押し下げ操作して走行停止を行うものであり、図7に示すように、主クラッチ・ブレーキペダル60を制動位置まで踏み込み操作、あるいは、押し下げ操作した状態で、ステップ45に装備したロックレバー70を操作レバー69の係止金具69aに係止して主クラッチ・ブレーキペダル43の復帰を阻止することで、駐車ロックを行うことができるようになっている。
【0043】
また、前記基部金具63の後方延長部63bが前記ブラケット66の上面に接当することで主クラッチ・ブレーキペダル60の復帰限界位置が規制されるとともに、前記取付け金具68がフロアマット46の上面に接当することで踏み込み限界が弾性的に規制されるようになっている。なお、ステップ45が取付けられていない組立て途中では、基端金具63の後端63cがブラケット66の前面に接当することで主クラッチ・ブレーキペダル60の踏み込み方向での揺動限界が規制されるようになっている。
【0044】
図8に示すように、ミッションケース26の後部には、前記昇降リンク機構5および油圧シリンダ4の前端を連結支持する左右一対の支持枠71が補強枠72を介して立設され、この支持枠71にステップ45の後輪フェンダ部49が支持されるとともに、運転座席7を前後調節可能に支持する左右一対の座席支持枠73が取付けられている。
【0045】
パワーステアリング仕様の機種においては、図8に示すように、運転座席7の下方空間には支持枠71に取付け支持されたバッテリ74が収容され、下端がステップ45に係止されるとともに上部をネジ止め固定されるセンターカバー75を取外すことで座席下方を開放してメンテナンスが行えるようになっている。また、図13に示すように、前記補強枠72の前面に、苗植付け装置6をローリング制御するコントロールユニット76が取付けられるとともに、ローリンブ制御される苗植付け装置6の中立安定状態での左右傾斜角度を設定調整する調節ノブ77が後向きに突設され、キャップ78で隠されている。
【0046】
なお、マニュアルステアリング仕様の下位機種は、エンジン30がリコイル方式で始動されるとともにローリング制御が行われない仕様となっているので、バッテリ74は載されておらず、図16〜17に示すように、運転座席7の下方空間には、下端がステップ45に係止されるとともに上部が座席支持枠73に突起79を介して係止された別仕様のセンターカバー75sが配備されるようになっている。
【0047】
〔別実施例〕
【0048】
(1)図19に示すように、前後2本のカット線Cの内、後方のカット線Cをフロアマット46に形成されたペダル挿通孔62の前端と合致させておくと、前後のカット線Cで切断して前後に短いフロアマット46を形成する場合、ステップのペダル挿通孔の前端側一部分を塞いでいたマット部分が前後のカット線Cの間で切除されるマット部分となるので、上記実施例におけるカット線Dは不要となり、短くなったステップ45のペダル挿通孔54に合致するペダル挿通孔62をフロアマット46に形成するための予め特別なマット切断処理が不要とる。
【0049】
(2)上記実施例では、ステップ45を長短2段階に仕様変更できるようにした場合を例示したが、3段階以上の複数段階に長さ調整して仕様変更できる形態で実施することもできる。この場合、フロアマット46にはステップの長さ調整幅に合わせて3本以上のカット線Cを形成しておくことになる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】施肥装置付き乗用型田植機の全体を示す左側面図
【図2】乗用型田植機の全体を示す平面図
【図3】機体前部の内部構造を示す左側面図
【図4】ボンネットの左側面図
【図5】機体前部の内部構造の右側面図
【図6】ペダル基部の側面図
【図7】ペダル操作部の側面図
【図8】座席周りを示す左側面図
【図9】分解したステップの平面図
【図10】異なった寸法仕様に構成したステップの平面図
【図11】異なった寸法仕様に構成したフロアマットの平面図
【図12】フロアマット取付け構造を示す縦断正面図
【図13】ローリング制御用コントロールユニットの装着部を示す一部切欠き側面図
【図14】異なった仕様に構成された機体の左側面図
【図15】異なった仕様に構成されたボンネットの左側面図
【図16】異なった仕様に構成された機種の座席周りを示す左側面図
【図17】異なった仕様に構成された機種の機体後部を示す平面図
【図18】異なった仕様に構成された機種の機体後部を示す正面図
【図19】別実施例のフロアマットを示す平面図
【符号の説明】
【0051】
45 ステップ
45F 前部ステップ部分
45R 後部ステップ部分
46 フロアマット
54 ペダル挿通孔
62 ペダル挿通孔
C カット線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステップの上面に沿ってフロアマットを敷設した乗用作業機であって、
前記フロアマットの前後中間部位に前後複数本のカット線を予め形成し、これらカット線の間のマット部分を切除してフロアマットを前後に分断可能に構成し、カット線で分断しない仕様と、カット線の間のマット部分を切除してフロアマットを前後に分断して短縮化した仕様とに使い分け可能に構成してあることを特徴とする乗用作業機。
【請求項2】
前記ステップを前部ステップ部分と後部ステップ部分に分断するとともに、前部ステップ部分の後部と後部ステップ部分の前部とを上下に重合させて機体に搭載連結するよう構成し、前部ステップ部分と後部ステップ部分との重ね代が前後に小さい仕様と、前部ステップ部分の後部と後部ステップ部分の前部との重ね代が前後に大きい仕様とに使い分け可能に構成してあることを特徴とする請求項1記載の乗用作業機。
【請求項3】
前記フロアマットに形成した前記カット線を、マット側縁が機体中心線と平行な直線部分に配備してあることを特徴とする請求項1または2記載の乗用作業機。
【請求項4】
前記ステップに形成されたペダル挿通孔と重複するようにフロアマットにペダル挿通孔を形成するとともに、フロアマットのペダル挿通孔を横断する位置に前記カット線を形成してあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の乗用作業機。
【請求項5】
前記ステップのペダル挿通孔の前端側一部分が分断されていないフロアマットによって塞がれるよう構成してあることを特徴とする請求項4記載の乗用作業機。
【請求項6】
前後2本のカット線の内、後方のカット線をフロアマットに形成されたペダル挿通孔の前端と合致させてあることを特徴とする請求項5記載の乗用作業機。
【請求項7】
前部のカット線の前側近傍位置、および、後部のカット線の後側近傍位置にフロアマットとステップの連結部を設けてあることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の乗用作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−1462(P2006−1462A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−181219(P2004−181219)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】