説明

乗用型茶葉摘採機

【課題】 機体バランスを崩すことなくコンテナをトラックの荷台上に位置させることが可能で、しかも、機体構造の簡素化を図ることのできる乗用型茶葉摘採機を提供する。
【解決手段】 摘採した茶葉を収容するコンテナを機体後方側に向かって回動可能となるように機体後部に設けると共に、このコンテナが機体後方側に向かって回動するのに連動して開動作してコンテナ内の生葉を排出可能とする排出扉をコンテナに設けるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、乗用型茶葉摘採機に関するものであり、さらに詳しくは、生葉収容部にコンテナ方式を採用した乗用型茶葉摘採機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、生葉収容部にコンテナ方式を採用した乗用型茶葉摘採機にあっては、茶袋方式とは異なり、コンテナに収容した生葉(摘採茶葉)を直接トラックの荷台に積み替える必要がある。そこで、例えば、特許文献1に記載の乗用型茶葉摘採機には、機体後部に設けたコンテナを上昇可能、且つ機体後方に向かってスライド移動可能に構成すると共に、コンテナの底部を油圧シリンダによって開閉可能とした構成が開示されている。そして、コンテナをトラックの荷台上に位置するように適宜移動させてコンテナの底部を開くと、コンテナに収容した生葉がトラックの荷台にバラ積みされるようになっている。
【0003】
しかしながら、上記した従来の乗用型茶葉摘採機にあっては、コンテナは、約350〜400kgの生葉を収容できるように構成されている。そのため、生葉で満杯となったコンテナをトラックの荷台上に位置するように上昇、且つ機体後方に向かってスライド移動させると、機体の重心移動が大きく、圃場条件によっては機体バランスが崩れてしまう虞があった。
また、コンテナを上昇、且つ機体後方に向かってスライド移動可能となるように構成しているため、機体構造が複雑化してしまうという問題もある。
【0004】
【特許文献1】特開2000−125643号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、この発明は、上記した従来技術が有している問題点を解決するためになされたものであって、機体バランスを崩すことなくコンテナをトラックの荷台上に位置させることが可能で、しかも、機体構造の簡素化を図ることのできる乗用型茶葉摘採機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため請求項1に記載の発明は、茶畝を跨ぎながら走行する間に茶葉を摘採する機体と、前記摘採した茶葉を収容する収容体とを備えた乗用型茶葉摘採機において、
前記収容体は、機体後方側に向かって回動可能となるように前記機体に設けられていることを特徴とする。
【0007】
上記目的を達成するため請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記収容体は、前記収容体が機体後方側に向かって回動するのに連動して開動作して前記収容体内の茶葉を排出可能とする排出扉を有することを特徴とする。
【0008】
上記目的を達成するため請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明の構成に加えて、前記収容体が機体後方側に向かって回動するのに連動して前記排出扉を開動作させる開閉連動機構は、前記排出扉を開方向に常時付勢する付勢手段と、前記機体及び収容体にそれぞれ複数設けられたスプロケットと、前記機体及び収容体に設けられたスプロケットに噛み合わされた状態で前記機体と排出扉との間に張架されたチェーンとを備えて構成され、前記収容体に設けられたスプロケットの1つが前記収容体の回動に伴って、前記チェーンを前記付勢手段の付勢力に従って繰り出すことによって前記排出扉を開動作させると共に、前記チェーンを前記付勢手段の付勢力に抗って引き込むことによって前記排出扉を閉動作させることを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するため請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記収容体は、前記機体に昇降可能に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、収容体は機体後方側に向かって回動するように構成されている。これにより、収容体が機体後方側に向かってスライド移動するとはないので、例え収容体が摘採茶葉で満杯状態であっても機体の重心移動を少なくすることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、収容体が機体後方側に向かって回動すると排出扉が連動して開き、そこから収容体に収容した摘採茶葉が排出される。これにより、請求項1に記載の発明の作用効果に加えて、収容体に収容した摘採茶葉を輸送手段に積み替える際に、収容体が機体後方に向かってスライド移動することはないので、例え収容体が摘採茶葉で満杯状態であっても機体の重心移動は少なくなり、機体バランスを安定化させることができる。しかも、摘採茶葉は機体後方側に回動して傾斜した収容体から排出されるので、収容体の底部にコンベア等の排出装置を設ける必要はなく、ローコストに構成することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、収容体に設けられたスプロケットの1つが、収容体の回動に伴って付勢手段の付勢力に従ってチェーンを繰り出したり、或いは付勢手段の付勢力に抗ってチェーンを引き込むことによって排出扉を開閉動作させる。これにより、請求項2に記載の発明の作用効果に加えて、排出扉の開閉に油圧アクチュエータや平行リンク機構を用いることはないので、機体構造を大幅に簡素化することができる。その結果、機体の軽量化、部品点数の削減及びコスト低減を図ることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、収容体は、輸送手段の荷台の高さに応じた位置に昇降移動される。これにより、請求項1に記載の発明の作用効果に加えて、収容体内の摘採茶葉をあらゆる輸送手段の荷台に応じて積み替えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
収容体を機体後方側に向かって回動すると収容体内の摘採茶葉を排出可能とする排出扉が連動して開動作することによって、収容体の機体後方への移動量が減少して機体バランスの崩れにくい乗用型茶葉摘採機が実現した。
【実施例】
【0015】
以下、本発明の一実施例について図面を用いて説明する。図1は、本発明が適用された乗用型茶葉摘採機の正面図、図2は、同例における側面図、図3は、本乗用型茶葉摘採機を用いて収容体から輸送手段の荷台に摘採茶葉を積み替えているところを示した模式図である。
【0016】
本発明が適用された乗用型茶葉摘採機について説明する。
図1〜3に示されるように、乗用型茶葉摘採機10は、茶畝を跨ぎながら走行する間に茶葉を摘採する機体11と、摘採した茶葉を収容する収容体としてのコンテナ12とを備えて構成されている。
【0017】
機体11には、図2,3に示されるように、茶畝を跨ぎながら走行するため正面視門型に形成された前側フレーム13、中央フレーム14及び後側フレーム15がそれぞれ機体前後方向に並列した状態で備えられている。これら各フレーム13〜15の左右上部には、それぞれ機体前後方向に延びた左右一対の上部連結フレーム16(但し、図2,3にあっては機体右側のみ図示。以下同様)が結合固定されて一体化していると共に、これら左右の上部連結フレーム16の対向面間には、図示しない横架部材及び板状のフロア部材が配設されている。なお、これら上部連結フレーム16は、茶畝の高さよりも上方に位置するように設定がなされている。
【0018】
また、各フレーム13〜15の下端部には、機体前後方向に延びた下部連結フレーム17が機体11の左右両側にそれぞれ等しく連結固定されている。これらの下部連結フレーム17には、駆動輪18と従動輪19との間にクローラ20を巻装した油圧式の走行装置21が備えられている。なお、走行装置21は、クローラ20を用いたものに限定されるものではなく、例えば、車輪、レール式等を用いたものであってもよい。
【0019】
機体前部のフロア上面には、オペレータが着席して機体操作を行うための操縦席22及び操縦部23とエンジン部24とが配設されている。エンジン部24には、機体11の動力源としてのエンジン(図示せず)と、このエンジンによって駆動されて各油圧アクチュエータに油圧を供給する油圧ポンプ(図示せず)とが一体となって格納配置されている。このエンジン部24の前方には、エンジンに燃料を供給するための燃料タンク25が配置されていると共に、エンジン部24の斜め後方、つまり機体中央部には、エンジンによってベルト駆動されるターボファン式の送風機26が2基設けられている。
【0020】
これらの送風機26が発生した風(気流)は、機体下方側に延びた伸縮可能な送風ダクト27を介して、摘採装置28の前面側に送られたのちノズル29から噴出されて、摘採装置28が摘採した茶葉を後方に吹き飛ばすと共に、機体11の後方上部に延びた左右一対の搬送ダクト30を介して、コンテナ12上部の茶葉分離枠31内に摘採茶葉を送り込んだのち摘採茶葉と分離されて大気中に排出される。一方、茶葉分離枠31により気流と分離された摘採茶葉はコンテナ12に落下して収容されるようになっている。なお、搬送ダクト30の上部は、上下方向に向かって着脱可能とされている。
【0021】
摘採装置28は、摘採を目的として作られた樹形に合わせて正面視弧状(或いは水平)に形成されているものであって、この摘採装置28の下方側には、茶畝から茶葉を摘採するための油圧式の刈刃(バリカン刃)32が機体幅方向に往復駆動可能に取り付けられている。さらに、この刈刃32を駆動する油圧モータ(図示せず)と油圧ポンプとを結ぶ油路には、流量優先取出弁としてのプライオリティバルブ(図示せず)が介設されている。このプライオリティバルブは、油圧ポンプが吐出する油圧(ポンプ流量)に関係なく、常に一定の油圧(流量)を優先して取り出すことができるバルブであって、エンジン回転数の増減にかかわらず摘採作業に応じた刈刃32の駆動スピードが常に得られる油圧を油圧モータに供給するように構成されている。このため、エンジン回転数を増大すると送風機26が発生する気流は増大するが、刈刃32の駆動スピードが速まるようなことはなく、摘採作業に応じた刈刃32の駆動スピードが常に保たれるようになっている。
【0022】
さらにまた、この摘採装置28は、油圧式のコンテナ・摘採装置用昇降シリンダ(以下、昇降用シリンダという)33によってコンテナ12と共に昇降可能とされている。
【0023】
詳述すると、機体左右両側の上部連結フレーム16の上面には、側面視門型の左右一対のガイド部材34の下端部が結合固定されていると共に、このガイド部材34の垂直な前後脚部34A,34Bには、機体前後方向に延びた左右一対の昇降体としてのスライダ35が複数のコロ36を介して昇降可能に取り付けられている。これらスライダ35の前部には、機体下方側の摘採装置28に連なった連結部材37の上端部が取り付け固定されている。また、スライダ35の後部は、コンテナ12の左右側方に位置するように延設されていると共に、コンテナ12を支持する左右一対の垂直な長尺状の固定フレーム38が連結固定している。
【0024】
昇降シリンダ33は、左右一対とされ、各ガイド部材34の水平部34Cから垂下されていると共に、各昇降シリンダ33の伸縮ロッド33Aの下端にはスプロケット39が回転可能に設けられている。さらに、各ガイド部材34の水平部34Cにもスプロケット40が回転可能に設けられている。これらスプロケット39,40に噛み合わされるチェーン41の一端部は、ガイド部材34の水平部34Cに取り付け固定されている。そして、水平部34Cから垂下されたチェーン41は、下方側のスプロケット39に噛み合わされて向きを変えて上方に向かったのち、上方側のスプロケット40に噛み合わされて再度向きを変えて下方側に向かう。そして、スプロケット40から垂下されたチェーン41の他端部は、スライダ35に取り付け固定されている。
【0025】
そして、昇降シリンダ33の伸縮ロッド33Aを伸張動作させると、スプロケット39が下降して、スプロケット40とスライダ35との間のチェーン41が伸縮ロッド34Aの動作距離の2倍の長さ分だけ上方に引き込まれてスライダ35、つまりコンテナ12及び摘採装置28が上昇する。また、昇降シリンダ33の伸縮ロッド33Aを収縮動作させると、スプロケット39が上昇して、スプロケット40とスライダ35との間のチェーン41が伸縮ロッド33Aの動作距離の2倍の長さ分だけ下方側に繰り出されてスライダ35が下降する。
【0026】
なお、摘採装置28の位置決めは、図示しない位置決め手段により行われる。この位置決め手段は、例えば、スプロケット40の回転数及び回転方向を検出する回転センサと、所望する刈取高さが数値入力或いはメモリー入力できるように操縦部23に設けられたタッチパネル式の入力操作部と、回転センサの検出値に基づいてスプロケット40の回転履歴情報を記憶すると共にこの回転履歴情報と入力操作部からの刈取高さ位置情報とに基づいて摘採装置28が所望する刈取高さに位置するように昇降シリンダ33の伸縮ロッド33Aを伸縮制御する制御部とを備えて構成されている。そして、オペレータがタッチパネル式の入力操作部に所望する刈取高さを入力すると、昇降シリンダ33の伸縮ロッド33Aの適切な伸縮動作量が決定され、所望する刈取高さに摘採装置28が位置決めされる。
なお、回転センサは、スプロケット40の回転数及び回転方向を検出するものに限られたものではなく、例えば、チェーン41に噛み合ってチェーン41の移動量を検出する検出センサを用いることができる。
【0027】
さらに、各固定フレーム38の内側には、図3に示されるように、機体上下方向に延びる長尺状の昇降フレーム42が固定フレーム38に沿って昇降可能に配設されている。各昇降フレーム42の上端部は、固定フレーム38の前面側に倒立して取り付けられた油圧式のコンテナ昇降用シリンダ43の伸縮ロッド43Aの上端部と連結部材44を介して連結されており、コンテナ昇降用シリンダ43の伸縮動作に応じて昇降フレーム42が昇降するようになっている。
【0028】
さらに、これらの昇降フレーム42の対向面間には、図2,3に示されるように、昇降フレーム42の長手方向に向かって昇降可能となるように、コンテナ12を機体後方側に向かって回動可能に支持する枠体状のコンテナ支持フレーム45が配置されている。
【0029】
このコンテナ支持フレーム45の下部と固定フレーム38の上部との間には、昇降フレーム42の後面側に回転可能に設けられたスプロケット46に噛み合わされたコンテナ昇降用チェーン47が張架されている。そのため、コンテナ用昇降シリンダ43の伸縮ロッド43Aを伸張動作させると、昇降フレーム42と共にスプロケット46が上昇して、スプロケット46とコンテナ支持フレーム45との間のコンテナ昇降用チェーン47が伸縮ロッド43Aの動作距離の倍の長さ分だけ上方に引き込まれてコンテナ支持フレーム45、つまりコンテナ12が上昇する。また、コンテナ昇降用シリンダ43の伸縮ロッド43Aを収縮動作させると、昇降フレーム42と共にスプロケット46が下降するのに伴って、スプロケット46とコンテナ支持フレーム45との間のコンテナ昇降用チェーン47が伸縮ロッド43Aの動作距離の倍の長さ分だけ下方側に繰り出されてコンテナ支持フレーム45が下降する。
【0030】
さらに、このコンテナ支持フレーム45には、そのフレーム後部に設けられた回動軸部48を介してコンテナ12が機体後方側に向かって回動可能に配設されている。このコンテナ支持フレーム45、つまり機体側とコンテナ12との間には、コンテナ12を回動させるための左右一対の油圧式転位用シリンダ49(図3に図示)及びリンク機構50が備えられている。
【0031】
リンク機構50は、端部同士が揺動可能に連なったアーム部材51とアーム部材52とを備えて構成され、アーム部材51の他端部は、コンテナ12の底部に揺動可能に取り付けられていると共に、アーム部材52の他端部は、コンテナ支持フレーム45の底部に設けられた取付フランジ53に揺動可能に取り付けられている。さらに、アーム部材51の中間部には、機体前後方向に延び、且つ揺動可能となるようにコンテナ支持フレーム45の底部に取り付けられた転位用シリンダ49の伸縮ロッド49Aが揺動可能に取り付けられている(図3参照)。
【0032】
この転位用シリンダ49の伸縮ロッド49Aが収縮動作されている状態、つまり、コンテナ12が非回動状態にあっては、アーム部材51,52は折り畳まれている(図2参照)。そして、転位用シリンダ49の伸縮ロッド49Aを伸張動作させると、アーム部材51がコンテナ側の揺動支点を中心に図3中反時計回り方向に回動すると共に、アーム部材52がコンテナ支持フレーム側の揺動支点を中心に図3中時計回り方向に回動することによってコンテナ12が機体後方側に向かって回動する(図3参照)。このコンテナ12の回動は、コンテナ12が予め設定された傾斜角度になったことを、例えば図示しないリミットスイッチが検知すると直ちに停止するようになっている。
【0033】
コンテナ12は、周囲に通気孔付きパネル材を張り巡らせたアルミ枠で構成され、その後面部が跳上げ式の排出扉12Aとなっている。この排出扉12Aは、コンテナ12が機体後方側に向かって回動するのに連動して開動作するように構成されているものであって、排出扉12Aを開方向に常時付勢する付勢手段としてのガススプリング54と、コンテナ12の底部及びコンテナ支持フレーム45の上部にそれぞれ回転可能に設けられた複数のスプロケット55〜58と、複数のスプロケット55〜58に互い違いに噛み合わされた状態でコンテナ支持フレーム45と排出扉12Aとの間に張架されたチェーン59とを備えた開閉連動機構60を有している。
【0034】
この開閉連動機構60によれば、コンテナ12に設けられたスプロケットの1つ、つまり機体前方側のスプロケット57がコンテナ12の回動に伴って円弧状の回動軌跡を描きながら、チェーン59をガススプリング54の付勢力に従って繰り出すことによって排出扉12Aを開動作させると共に、チェーン59をガススプリング54の付勢力に抗って引き込むことによって排出扉12Aを閉動作させるようになっている。なお、この排出扉12Aは、跳上げ式に限定されるものではなく、例えば、昇降シャッターのような引き込み式やスライド式に構成することができる。
【0035】
また、本乗用型茶葉摘採機10に用いられた油圧式の昇降用及び転位用シリンダ33,43,49は、特に油圧式に限定されるものではなく、例えば、空気圧やボールネジ機構、電気モータ等を用いることができる。
【0036】
このように構成された本乗用型茶葉摘採機10を用いて摘採作業を行う場合、まず、オペレータは、茶園に乗り入れた機体を茶畝を跨ぐように操作し、タッチパネル式の入力操作部に所望する刈取高さを入力すると、昇降シリンダ33の伸縮ロッド33Aの適切な伸縮動作量が決定され、所望する刈取高さに摘採装置28が位置決めされる。それから、オペレータは、操作部23を操作して茶畝に沿って走行しなから摘採装置28による摘採作業を行う。やがて、コンテナ12が摘採茶葉で満杯になったことを図示しない重量センサ等の検出手段が検出するとオペレータは摘採作業を一時中断すると共に、摘採装置28が茶畝に接触しないように上昇させてから枕地に移動する。
【0037】
枕地に到達すると、オペレータは、図3に示されるように、機体後部のコンテナ12が輸送手段としてのトラックTの荷台T1の一側方側(或いは後方)に位置するように機体11を操作する。ある程度トラックTに接近したら機体11を停止させて、コンテナ支持フレーム45の底部が荷台T1よりもある程度高くなるようにコンテナ昇降シリンダ43の伸縮ロッド43Aを伸張動作させてコンテナ12ごとコンテナ支持フレーム45を上昇させる。コンテナ支持フレーム45を上昇させると、オペレータは、コンテナ12の後端部、つまり排出扉12が荷台T1の内側上方に位置するように機体11を若干後退させる。位置決めが終了したならば、転位用シリンダ49の伸縮ロッド49Aを伸張動作させる。
【0038】
転位用シリンダ49がリンク機構50を動作させていくのにしたがって、コンテナ12が回動軸部48を回動中心として機体後方側に向かって回動を開始すると共に、コンテナ12の機体前方側に設けられたスプロケット57がコンテナ12の回動に連動して、回動軸部48を回動中心とする図3中反時計回りの円弧状の回動軌跡を描きながら移動する。すると、このスプロケット57は、チェーン59をガススプリング54の付勢力に従って繰り出すことによって排出扉12Aを徐々に開動作させる。その結果、コンテナ12の傾斜角度と排出扉12Aの開度とが増していくのに従ってコンテナ12からトラックTの荷台T1に排出される摘採茶葉の排出量が徐々に増大していくため、荷台T1に負担がかかったり、機体バランスが損なわれることはなく、しかもスムーズ、且つ迅速にバラ積みされる。そして、コンテナ12が予め設定された傾斜角度に達した時点でコンテナ12内の全ての摘採茶葉のトラックTの荷台T1への積み替えが終了する。摘採茶葉の積み替えが終了したならば、オペレータは、コンテナ12が元の位置に戻るように転位用シリンダ49を動作させて排出扉12Aを閉じ、先程の摘採作業を中断した位置に機体11を戻して摘採作業を再開する。
【0039】
以上述べたように本発明によれば、コンテナ12が機体後方側に向かって回動すると排出扉12Aが連動して開き、そこからコンテナ12に収容した摘採茶葉が排出される。これにより、コンテナ12に収容した摘採茶葉をトラックTの荷台T1に積み替える際に、コンテナ12が機体後方に向かってスライド移動することはないので、例えコンテナ12が摘採茶葉で満杯状態であっても機体11の重心移動は少なくなり、機体バランスを安定化させることができる。しかも、摘採茶葉は機体後方側に回動して傾斜したコンテナ12から排出されるので、コンテナ12の底部にコンベア等の排出装置を設ける必要はなく、ローコストに構成することができる。
【0040】
また、本発明によれば、コンテナ12に設けられたスプロケット57が、コンテナ12の回動に伴ってガススプリング54の付勢力に従ってチェーン59を繰り出したり、或いはガススプリング54の付勢力に抗ってチェーン59を引き込むことによって排出扉12Aを開閉動作させる。これにより、排出扉12Aの開閉に油圧アクチュエータや平行リンク機構を用いることはないので、機体構造を大幅に簡素化することができる。その結果、機体の軽量化、部品点数の削減及びコスト低減を図ることができる。
【0041】
さらに、本発明によれば、コンテナ12は、トラックTの荷台T1の高さに応じた位置に昇降移動される。これにより、コンテナ12内の摘採茶葉をあらゆるトラックTの荷台T1に応じて積み替えることができる。
【0042】
なお、本発明は、乗用型茶葉摘採機にのみ適用されるのではなく、例えば、乗用型茶園管理機、レール走行式茶園管理機等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明が適用された乗用型茶葉摘採機の正面図である。
【図2】同例における側面図である。
【図3】本乗用型茶葉摘採機を用いて収容体から輸送手段の荷台に摘採茶葉を積み替えているところを示した模式図である。
【符号の説明】
【0044】
10 乗用型茶葉摘採機
11 機体
12 コンテナ(収容体)
12A 排出扉
54 ガススプリング(付勢手段)
55〜58 スプロケット
59 チェーン
60 開閉連動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
茶畝を跨ぎながら走行する間に茶葉を摘採する機体と、前記摘採した茶葉を収容する収容体とを備えた乗用型茶葉摘採機において、
前記収容体は、機体後方側に向かって回動可能となるように前記機体に設けられていることを特徴とする乗用型茶葉摘採機。
【請求項2】
前記収容体は、前記収容体が機体後方側に向かって回動するのに連動して開動作して前記収容体内の茶葉を排出可能とする排出扉を有することを特徴とする請求項1に記載の乗用型茶葉摘採機。
【請求項3】
前記収容体が機体後方側に向かって回動するのに連動して前記排出扉を開動作させる開閉連動機構は、前記排出扉を開方向に常時付勢する付勢手段と、前記機体及び収容体にそれぞれ複数設けられたスプロケットと、前記機体及び収容体に設けられたスプロケットに噛み合わされた状態で前記機体と排出扉との間に張架されたチェーンとを備えて構成され、前記収容体に設けられたスプロケットの1つが前記収容体の回動に伴って、前記チェーンを前記付勢手段の付勢力に従って繰り出すことによって前記排出扉を開動作させると共に、前記チェーンを前記付勢手段の付勢力に抗って引き込むことによって前記排出扉を閉動作させることを特徴とする請求項2に記載の乗用型茶葉摘採機。
【請求項4】
前記収容体は、前記機体に昇降可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の乗用型茶葉摘採機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−81514(P2006−81514A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−272442(P2004−272442)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(000250270)落合刃物工業株式会社 (28)
【Fターム(参考)】