説明

乗用溝切機の操作用レバー装置

【課題】旋回時に思いがけずに高速になってしまうような不具合を確実に解消できるとともに、通常の溝切作業時には走行速度を任意に調整できるようにされ、もって、溝切作業を安全かつ迅速に行うことのできる合理的な構造を持つ乗用溝切機の操作レバー装置を提供する。
【解決手段】操作用ハンドル(40)に寄り添うように配在された、エンジン(15)のスロットル開度調整用とエンジン(15)から駆動車輪(12)への動力伝達断接用とに共用される単一の操作レバー(62)を有し、該操作レバー(62)は、その自由端側に設けられた操作部(65)が、非操作位置から前記ハンドル(40)側に揺動せしめられて該ハンドル(40)と同時に握られる低速操作位置と、前記ハンドル(40)を握っている手の指により前記低速操作位置からさらに大きく揺動せしめられる中高速操作位置とをとり得るようにされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水田等の圃場において給排水を迅速円滑に行うための溝を形成するのに好適な乗用溝切機の操作用レバー装置に係り、特に、単一の操作レバーがスロットル開度調整用と動力伝達断接用とに共用されている操作用レバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、下記特許文献1等に見られるように、機体フレームの前部に駆動車輪を設けるとともに、機体フレームの後部にプラウを設け、また、機体の中央部に固定板を介して作業者が跨乗する着座シートを設けるとともに、前記車輪を駆動するためのエンジンを機体フレームとプラウとの間あたりに配在し、前記機体フレームの前部に操作用ハンドルを設けたものが知られている。
【0003】
このような乗用溝切機においては、通常、前記操作用ハンドルに寄り添うように、前記エンジンのスロットル開度調整(走行速度調整)を行うためのスロットルレバーやクラッチ断接操作(エンジンから駆動車輪への動力伝達断接操作)を行うためのクラッチレバーが設けられている。
【0004】
また、本願の発明者等は、先に、例えば下記特許文献2に所載のように、単一の操作レバーをスロットル開度調整用と動力伝達断接用とに共用し、該操作レバーを揺動させることにより、前記スロットル開度調整と前記動力伝達断接の両方を同時に行えるようにした乗用溝切機の操作レバー装置を提案している。
【0005】
【特許文献1】特開2005−73540号公報
【特許文献2】特願2006−291930号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、前記のように、単一の操作レバーでスロットル開度調整と動力伝達断接を行うようにした乗用溝切機においては、圃場内で旋回する際、駆動車輪の接地部を支点として、一方の手で機体後部(プラウ)を持ち上げるとともに、空いた方の手で操作用ハンドルを握って操作レバーを片手操作する必要があるため、レバー操作が難しくなる。そのため、旋回時に、例えば、レバーを引き過ぎて思いがけない速度が出てしまい、転倒する等の不具合が生じるおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、単一の操作レバーでスロットル開度調整と動力伝達断接の両方を行うことができ、しかも、旋回時に思いがけずに高速になってしまうような不具合を確実に解消できるとともに、通常の溝切作業時には走行速度を任意に調整できるようにされ、もって、溝切作業を安全かつ迅速に行うことのできる合理的な構造を持つ乗用溝切機の操作レバー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成すべく、本発明に係る操作用レバー装置は、機体フレーム、駆動車輪、エンジンを含む走行駆動系、操作用ハンドル、作業者が跨乗する着座シート、溝切用のプラウ等を備えた乗用溝切機に適用されるもので、前記操作用ハンドルに寄り添うように配在された、前記エンジンのスロットル開度調整用と前記エンジンから前記駆動車輪への動力伝達断接用とに共用される単一の操作レバーを有し、該操作レバーは、その自由端側に設けられた操作部が、非操作位置から前記ハンドル側に揺動せしめられて該ハンドルと同時に握られる低速操作位置と、前記ハンドルを握っている手の指により前記低速操作位置からさらに大きく揺動せしめられる中高速操作位置とをとり得るようにされていることを特徴としている。
【0009】
好ましい態様では、前記操作レバーがT形、門形、もしくはループ状とされていて、左右いずれの手指でも操作できるようにされる。
【0010】
他の好ましい態様では、前記ハンドルがT形、門形、もしくはループ状とされていて、該ハンドルの縦辺部もしくは左右辺部に前記操作レバーの揺動支点が設けられる。
【0011】
より具体的な好ましい態様では、前記ハンドルは、前記機体フレームに立設された支柱と、該支柱の上端部に取り付けられた、左右方向に伸びる中央ロッド部と、該中央ロッド部の左右端に設けられたグリップ部とを有し、前記操作レバーは、前記支柱に、前後方向に揺動可能に支持されるとともに、その上端部に操作部が取り付けられており、前記操作部は、前記中央ロッド部と略平行に配在されて、前記ロッド部と同時に握り得るようにされた後辺部、該後辺部の左右両端から前方に突出する前方突出辺部、及び、該前方突出辺部の前端から左右方向外方に伸びて、前記グリップ部を握っている手の指により該グリップ部側に引き寄せられ得る手指操作辺部から構成されてなる。
【0012】
より好ましい態様では、前記溝切用のプラウが前記機体フレームの後部に連結されるとともに、該プラウの近傍に旋回用ハンドルが配設され、旋回時に、前記駆動車輪の接地部を支点として、前記旋回用ハンドルを前記機体フレームにおける左右いずれかの側方から一方の手で握って持ち上げる際に、空いた方の手で、前記操作用ハンドルと前記操作レバーとを前記低速操作位置となるように同時に握ることが可能とされてなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る乗用溝切機の操作用レバー装置においては、操作レバーの操作部が、非操作位置からハンドル側に揺動せしめられて該ハンドルと同時に握られる低速操作位置と、前記ハンドルを握っている手の指により前記低速操作位置からさらに大きく揺動せしめられる中高速操作位置とをとり得るようにされているので、旋回時に思いがけずに高速になってしまうような不具合を確実に解消できるとともに、作業者は旋回時に、操作用ハンドルと旋回用ハンドルとを左右の手でしっかりと握ることができるので、左右いずれに旋回する場合でも旋回操作を容易に行うことができ、さらに、通常の溝切作業時には、走行速度を任意に調整できるので、溝切作業を安全かつ迅速に効率よく行うことができる。
【0014】
また、先に提案されている、単一の操作レバーをスロットル開度調整用と動力伝達断接用とに共用している操作用レバー装置に対して、追加部品や大きな改造を必要としない合理的な構造とされるので、コストを低く抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の乗用溝切機の操作用レバー装置の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1、図2は、それぞれ本発明に係る操作用レバー装置の一実施形態をそれが適用された乗用溝切機の一例と共に示す左側面図、右側面図、図3は、図1、図2に示される乗用溝切機のエンジン等を取り去った状態の平面図である。
【0017】
図示例の乗用溝切機10は、平面視矩形の前フレーム21と後フレーム22等からなる機体フレーム20を備え、前フレーム21には、概ね前部から後部にかけて順次、駆動車輪12、操作用ハンドル40、前ハンドル32、作業者が跨乗する着座シート30が配備されている。また、後フレーム22の後部下側に、L形の垂直取付板29、側面視台形枠状の連結部材55及び後面視逆T字状の取付部材52を介してプラウ50が連結されている。
【0018】
なお、稲丈が低く、機体後部(プラウ50)を高く持ち上げる必要がない時季には、エンジン15の後部に配備された後ハンドル34も旋回用ハンドルとして利用できる。
【0019】
前記台形枠状の連結部材55は、旋回用ハンドルとして用いられる斜辺部55aを有し、該斜辺部(旋回用ハンドル)55aは、前記エンジン15の後部に配備された後ハンドル34より低く、かつ、機体後端付近に位置しているので、旋回時に、前記旋回用ハンドル55aを前記機体フレーム20における左右いずれかの側方から一方の手で握るとともに、空いた方の手で、前記操作用ハンドル40(と後述する操作レバー62と)を握って、機体後部(プラウ50)を駆動車輪12の接地部を支点として持ち上げる際に必要とされる持ち上げ力が小さくて済むとともに、機体後部(プラウ50)を高く持ち上げることができる。
【0020】
前記前フレーム21は、その下面側の前後左右に設けられた垂設辺部24を介して後フレーム22に連結されるとともに、車軸13上に支持されており、この前フレーム21の前部に操作用ハンドル40や前ハンドル32が配備されており、前記操作用ハンドル40に寄り添うように、本実施形態の操作用レバー装置60が設けられている(後で詳述)。
【0021】
また、前記後フレーム22上には、減速機17付きのエンジン(小型空冷ガソリンエンジン)15が搭載され、前記エンジン15の動力は、図2に示される如くに、減速機17の出力軸18から、機体フレーム20の右側面に配設されたケース26内のベルトプーリ式動力伝達機構80、及び、垂設辺部24の下端部が連結固定された歯車ケース25内の多段歯車式減速機構27を介して駆動車輪12(の車軸13)に伝達される。
【0022】
なお、前記前フレーム21の前方及び左右下側には、駆動車輪12の前部側上半分程度を覆うように巻き込み防止板19等が配備され、さらに、前記機体フレーム20の左側部には、スタンド90が設けられている。
【0023】
また、本実施形態の乗用溝切機10では、着座シート30に跨乗する作業者Pの体重に関わりなく、溝切作業時に、前記プラウ50部分の土壌に加わる重量が常に最適値(例えば15Kg前後)となるように、機体フレーム20、駆動車輪12、エンジン15、操作用ハンドル40、着座シート30、及びプラウ50等の配備位置等が設定されている。
【0024】
より具体的には、作業者が乗車しているか、乗車していないか(空車時)とは無関係に、前記プラウ50部分の土壌に加わる重量が常に最適値となるように、前記エンジン15等の配備位置が設定されるとともに、前記着座シート30は、駆動車輪12の回転軸線Oを通る鉛直線Ca上に作業者Pが跨乗するように、その配備位置が設定されている。
【0025】
さらに、プラウ50部分の土壌に加わる重量を微調整(圃場の土質や硬さ等に応じた調整)できるように、前記連結部材55に対する前記プラウ50の前後方向の連結位置が三段階に変更可能とされている。具体的には、前記連結部材55の底辺部に等間隔で5個の透孔56(右面側にナット部材58が固着されている)が形成されるとともに、プラウ50の上面に固定された取付部材52の縦辺部52aの前後方向両端近くに通し穴が設けられ、2本のボルト類57、57を、前記5個の透孔56のうちの前部側から2番目と4番目に挿通螺合させることにより、プラウ50は中央位置とされ(図示の状態)、前部側から1番目と3番目に挿通螺合させることにより、プラウ50は前寄り位置とされ、前部側から3番目と5番目に挿通螺合させることにより、プラウ50は後寄り位置とされる。
【0026】
前記取付部材52の縦辺部52aに設けられた通し穴は一方が長穴とされ、プラウ50の取付角度による負荷調節も可能とされる。
【0027】
一方、前記操作用ハンドル40は、図1、図2に加えて図4を参照すればよくわかるように、前フレーム21の前端近くに立設された平面視コ字状の固定支柱部46、及び、該固定支柱部46内に摺動可能に嵌挿されて所望位置にて係止される平面視コ字状のハンドル高さ調整用の可動支柱部47からなる支柱45と、可動支柱部47の上端部に取付固定された、左右方向に伸びる中央ロッド部41と、該中央ロッド部41の左右端に設けられたグリップ部42、42とを有している。
【0028】
そして、本実施形態の操作用レバー装置60は、図4に示される如くに、底辺が天辺より長い側面視細長台形状で平面視コ字状の操作レバー62を有する。この操作レバー62は、前記可動支柱部47の下部に挿入された支軸ピン48により前後方向に揺動可能に支持されるとともに、その上端部に、後方に伸びる連結板63を介して操作部65が取り付けられている。該操作部65は、棒材を曲成したもので、前記ロッド部41にその真上で近接するようにそれと略平行に配在されて、その両端近くの部位がロッド部41と同時に握り得るようにされた直線上の後辺部65a、該後辺部65aの左右両端から折り曲げられて前方に突出する前方突出辺部65b、65b、及び、該前方突出辺部65b、65bの前端から折り曲げられて左右方向外方に伸びて、前記グリップ部42、42を握っている手の指により該グリップ部42、42側に引き寄せられ得る手指操作辺部65c、65cからなっている。
【0029】
この操作レバー62の前面側の下部には、スロットル用の短い引張アーム66とクラッチ用の長い引張アーム67が前方に向けて垂直に突設されており、スロットル用引張アーム66には、スロットル開度調整用のボーデンケーブル71(のインナーケーブル71a)の一端部が、また、クラッチ用引張アーム67には、引張コイルばね74を介して動力伝達断接用のボーデンケーブル72(のインナーケーブル72a)の一端部が、それぞれ連結されている。
【0030】
前記スロットル用のボーデンケーブル71(のインナーケーブル71a)の他端部は、前記エンジン15の気化器スロットル弁に連結されており、このスロットル弁に付設されている、スロットル弁を常時最小開度(アイドル開度)方向に付勢する付勢ばねにより、該ボーデンケーブル71(のインナーケーブル71a)は、前記操作レバー62を、図3、図4、及び図5(B)、(C)に示される如くのハンドル40側の位置(低速操作位置、中高速操作位置)から、図1、図2、及び図5(A)において実線で示される非操作位置(操作部65がハンドル40のロッド部41及びグリップ部42から前方に離れた位置)に戻す方向に引っ張るようになっている。
【0031】
一方、前記クラッチ用のボーデンケーブル72(のインナーケーブル72a)の他端部は、前記ベルトプーリ式動力伝達機構80に添設されているベルトテンションクラッチ85に連結されている。詳細には、図2に示される如くに、ベルトテンションクラッチ85は、既知の構成のもので、前記ベルトプーリ式動力伝達機構80のベルト82に圧接するテンション付与用プーリ86、アーム87、揺動支軸88の他、引張用係止ピンを前記ベルト82から離間させる方向(動力伝達を切断する方向)に付勢する付勢ばねを備えており、この付勢ばねにより、該ボーデンケーブル72(のインナーケーブル72a)は、前記操作レバー62を、ハンドル40側の位置(低速操作位置、中高速操作位置)から前記非操作位置に戻す方向に引っ張るようになっている。
【0032】
ここで、前記操作レバー62を前記非操作位置からハンドル40側に引き寄せる(後方側に揺動させる)と、スロットル用のボーデンケーブル71(のインナーケーブル71a)によりスロットル弁が引っ張られてスロットル開度が最小(アイドル開度)から開かれ、そのときの操作レバー62の揺動角度に応じたスロットル開度となり、揺動角度が最大角度(図5(C)の実線で示される位置)になったとき、スロットル開度が最大となる。
【0033】
これと同時に、前記クラッチ用のボーデンケーブル72(のインナーケーブル72a)によりベルトテンションクラッチ85が引っ張られてテンション付与用プーリ86が前記ベルト82から離間した位置(動力伝達切断位置)から接近圧接する方向に揺動せしめられる。この場合、操作レバー62が前記非操作位置から図5(A)において仮想線で示される位置まで後方側に揺動せしめられたとき、テンション付与用プーリ86が前記ベルト82に圧接して、該ベルト82に所要のテンションが付与され、これによって、エンジン15から駆動車輪12への動力伝達が可能となる。かかる状態からさらに操作レバー62を後方側に揺動させると、前記引張コイルばね74が引き伸ばされて、前記テンション付与用プーリ86が前記ベルト82に一層強く圧接することになる。
【0034】
一方、圃場内で旋回する際には、駆動車輪12の接地部を支点として、前記旋回用ハンドル55aを機体フレーム20における左右いずれかの側方から一方の手で握って持ち上げるとともに、空いた方の手で、前記操作用ハンドル40と前記操作レバー62とを前記低速操作位置となるように同時に握る。詳細には、図5(B)に示される如くに、操作レバー62の操作部65を、図5(A)において実線で示される非操作位置からハンドル40側に揺動させて、操作部65の後辺部65a、65aをハンドル40の中央ロッド部41に上から重ね合わせるようにして、操作部65の後辺部65a、65aの両端近くの部位(図のU部辺り)を、ハンドル40の中央ロッド部41の両端近くの部位(図のU部辺り)と同時に握る。これにより、スロットル用のボーデンケーブル71(のインナーケーブル71a)及びクラッチ用のボーデンケーブル72(のインナーケーブル72a)が引っ張られ、スロットル弁が開かれるとともに、テンション付与用プーリ86がベルト82に圧接して、該ベルト82に所要のテンションが付与され、これによって、エンジン15から前記駆動車輪12へ動力が伝達されて、低速走行状態となる。
【0035】
この旋回時、つまり、機体を旋回させるべく機体後部(プラウ50)を持ち上げる際には、操作部65の後辺部65a、65aとハンドル40の中央ロッド部41とが上下に重なり合う状態で作業者の空いた方の手で握られているので、操作レバー62がこれ以上後方側に揺動させられることはない。
【0036】
また、通常の溝切作業時には、図5(C)に示される如くに、ハンドル40のグリップ部42を握っている手の指(人差し指等)により操作部65の手指操作辺部65c、65c(図のV部辺り)を前記グリップ部42側の任意の位置まで引き寄せる(図5(C)の一点鎖線で示される低速操作位置から図の実線で示される限界位置までの範囲内)。これにより、操作レバー62が前記低速操作位置からさらに揺動せしめられて、スロットル用のボーデンケーブル71(のインナーケーブル71a)がさらに引っ張られ、スロットル弁が操作レバー62の揺動角度に応じて開き、中高速走行状態となる。
【0037】
このように、本実施形態の操作用レバー装置60においては、操作レバー62の操作部65が、非操作位置からハンドル40側に揺動せしめられて該ハンドル40と同時に握られる低速操作位置と、前記ハンドル40を握っている手の指により前記低速操作位置からさらに大きく揺動せしめられる中高速操作位置とをとり得るようにされているので、旋回時に思いがけずに高速になってしまうような不具合を確実に解消できるとともに、作業者は旋回時に、操作用ハンドル40と旋回用ハンドル55aとを左右の手でしっかりと握ることができるので、左右いずれに旋回する場合でも、旋回操作を容易に行うことができ、さらに、通常の溝切作業時には走行速度を任意に調整できるので、溝切作業を安全かつ迅速に効率よく行うことができる。
【0038】
なお、稲丈が低い時季における旋回時には、プラウ50を高く持ち上げる必要がないので、エンジン15の後部に配備された後ハンドル34を利用しても同様の旋回操作ができる。
【0039】
また、先に提案されている、単一の操作レバーをスロットル開度調整用と動力伝達断接用とに共用している操作用レバー装置に対して、追加部品や大きな改造を必要としない合理的な構造とされるので、コストを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る操作用レバー装置の一実施形態をそれが適用された乗用溝切機の一例と共に示す左側面図。
【図2】本発明に係る操作用レバー装置の一実施形態をそれが適用された乗用溝切機の一例と共に示す右側面図。
【図3】図1に示される乗用溝切機のエンジン等を取り去った状態の平面図。
【図4】図1に示される乗用溝切機の操作用レバー装置を拡大して示す斜視図。
【図5】図4に示される操作用レバー装置の動作、作用、効果の説明に供される図。
【符号の説明】
【0041】
10 乗用溝切機
12 駆動車輪
15 エンジン
20 機体フレーム
30 着座シート
40 操作用ハンドル
41 中央ロッド部
42 グリップ部
45 支柱
50 プラウ
55 連結部材
55a 斜辺部(旋回用ハンドル)
60 操作用レバー装置
62 操作レバー
65 操作部
65a 後辺部
65b 前方突出辺部
65c 手指操作辺部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレーム(20)、駆動車輪(12)、エンジン(15)を含む走行駆動系、操作用ハンドル(40)、作業者が跨乗する着座シート(30)、溝切用のプラウ(50)等を備えた乗用溝切機(10)の操作用レバー装置(60)であって、
前記操作用ハンドル(40)に寄り添うように配在された、前記エンジン(15)のスロットル開度調整用と前記エンジン(15)から前記駆動車輪(12)への動力伝達断接用とに共用される単一の操作レバー(62)を有し、該操作レバー(62)は、その自由端側に設けられた操作部(65)が、非操作位置から前記ハンドル(40)側に揺動せしめられて該ハンドル(40)と同時に握られる低速操作位置と、前記ハンドル(40)を握っている手の指により前記低速操作位置からさらに大きく揺動せしめられる中高速操作位置とをとり得るようにされていることを特徴とする乗用溝切機の操作用レバー装置。
【請求項2】
前記操作レバー(62)がT形、門形、もしくはループ状とされていて、左右いずれの手指でも操作できるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の乗用溝切機の操作用レバー装置。
【請求項3】
前記ハンドル(40)がT形、門形、もしくはループ状とされていて、該ハンドル(40)の支柱(45)もしくは左右辺部に前記操作レバー(62)の揺動支点が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の乗用溝切機。
【請求項4】
前記ハンドル(40)は、前記機体フレーム(20)に立設された支柱(45)と、該支柱(45)の上端部に取り付けられた、左右方向に伸びる中央ロッド部(41)と、該中央ロッド部(41)の左右端に設けられたグリップ部(42、42)とを有し、前記操作レバー(62)は、前記支柱(45)に、前後方向に揺動可能に支持されるとともに、その上端部に操作部(65)が取り付けられており、前記操作部(65)は、前記中央ロッド部(41)と略平行に配在されて、前記ロッド部(41)と同時に握り得るようにされた後辺部(65a)、該後辺部(65a)の左右両端から前方に突出する前方突出辺部(65b、65b)、及び、該前方突出辺部(65b、65b)の前端から左右方向外方に伸びて、前記グリップ部(42、42)を握っている手の指により該グリップ部(42、42)側に引き寄せられ得る手指操作辺部(65c、65c)からなっていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の乗用溝切機の操作用レバー装置。
【請求項5】
前記溝切用のプラウ(50)が前記機体フレーム(20)の後部に連結されるとともに、該プラウ(50)の近傍に旋回用ハンドル(55a)が配設され、旋回時に、前記駆動車輪(12)の接地部を支点として、前記旋回用ハンドル(55a)を前記機体フレーム(20)における左右いずれかの側方から一方の手で握って持ち上げる際に、空いた方の手で、前記操作用ハンドル(40)と前記操作レバー(62)とを前記低速操作位置となるように同時に握ることが可能とされていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の乗用溝切機の操作用レバー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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