説明

乳固形分50%未満または相当を含みおよび少なくとも一の穀物を含むチーズ製品の製造方法

本発明は、乳固形分≦50%を含みおよび溶けたチーズおよび少なくとも一の穀物からなるチーズ製品を製造するための方法に関し、および前記方法により製造されるであろうチーズ製品に関する。前記チーズ製品は、長い貯蔵寿命、すなわち室温で4月までよい貯蔵寿命により特徴付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶けたチーズ(melted cheese)および少なくとも一の穀物の混合物からなり、乾燥重量含量≦50%を含むチーズ製品の製造方法、同様に本製造方法で得られるであろうチーズ製品に関する。チーズ製品は、室温で4月を達成するであろう長い貯蔵寿命により特徴づけられる。
【背景技術】
【0002】
現在、溶けたチーズは、異なる用途:スプレッド、カット、クランチ、クック、ディップ用、および異なる形式(三角形、平行六面体、角柱、円柱部分、またはスライス、トレイ、ポット、カップなど)について市場で見られる。これらの製品は、香料を加えないおよび/または香料を加えてもよくおよび場合により含有物を含む(ウォールナッツ、ヘーゼルナッツ、固形成分など)。
【発明の概要】
【0003】
溶けたチーズは、慣例上、チーズおよび/または他の乳製品(全および/または脱脂粉乳)、ミルクプロテインコンセントレイト、乳および/または植物脂肪などの80‐140℃の間の熱処理によって、溶解に由来する製品を意味する。それらの調合物およびそれらの製品技術で使用する原料の選択のため、このチーズのカテゴリーは、特に、保存のそれらの可能性(1年まで)、味覚および食感の無数のパレットの創作、およびニーズに適応するであろう製品のよい栄養価のため、著しく多くの利点を有する。
【0004】
本発明の範囲内には、用語「溶けたチーズ」は、100℃‐140℃の間を含む温度で熱処理により、少なくとも一の乳製品由来のタンパク質材料および少なくとも一の動物および/または植物由来の脂肪の混合物、溶融塩および/または他の乳化剤および/または食感改良剤(Texturizing agent)の存在下、得られる溶けた製品またはベースに関する。
【0005】
仮に、溶けたチーズが、他のチーズ(フレッシュチーズ、ハードチーズ、クックプレスチーズ、ソフトチーズ、ブルーチーズ、練りカードチーズ)のそれと等量の栄養価を有するなら、それらは、それにもかかわらず、いくつかの不利益:それらのコスト、それらの組成物に入れる原料のコスト;および全エネルギー摂取の50‐55%を示すべきバランスのとれた食品の範囲内で、栄養士により推奨される炭水化物複合体またはポリオシド(polyoside)についての不足を有する。主要なポリオシドは、スターチであり、主要な植物の貯蔵物質である。例えば、米由来の乾燥抽出物の90%まで示す。
【0006】
世界で生育される主要な穀物は、小麦、米、トウモロコシ、大麦、モロコシ、および粟である。それらはすべての国で生育され、およびヒトにとって主食であり;それらは、それらの生育される気候;小麦のための温帯気候、米のための高温多湿気候、モロコシのための乾燥気候の下、順応する。
【0007】
それらは、料理された種の形態で消費され(例えば、米、麦、粟)、または粉末の形態で使用され、基本的に異なる食品:異なる粉末由来のパン、パスタなどに変えられる。
【0008】
従って、米は、粟および小麦に続いて世界中で生産される第三番目の穀物であり、および消費される第一番目の穀物およびカロリーの50%を提供するための世界人口の過半数のための食料ベースである。米は、五大陸で生育されているが、生産および貿易は、アジア諸国に90%集中している。
【0009】
これらの穀物は、スターチ形態で;スターチは二のポリマー:アミラーゼおよびアミロペクチンで形成され、ポリオキシドについて豊富である。栽培されおよび工業的に利用される植物について、比率は、5‐50%のアミラーゼおよび50‐95%のアミロペクチンである。これらのレベルは、種に依存して、および同じ種内の種類に依存して変化する。
【0010】
穀物製品は、常に小児および成人の摂食において、それらのエネルギー供給によりおよびまた特に、それらがタンパク質(米の7%および小麦およびモロコシの12%の間を含む)のそれらの供給により、主食であるための特定の集団の両方で重要な役割を有する。リジンを含む硫黄含有アミノ酸のそれらの欠損のため、そしてそれは、必要量のアミノ酸の全量の供給を有するために、相補性動物タンパク質/植物タンパク質を有する食品を市場で見つけるために貢献するが、穀物タンパク質は、必須アミノ酸の興味深い組成を有する。この目的のために、穀物/チーズ組み合わせは、特に評価されるであろう。
【0011】
さらに、穀物は、B群(B1またはチアミン、B2またはリボフラビン、B6またはピリドキシン、PPまたはナイアシン)由来のビタミンを含むが、ビタミンA、CおよびDを欠乏する。それらは、またカリウム(300mg/100g)、マグネシウム(100‐180mg/100g)およびリン(300‐400mg/100g)の高含量であるが、低カルシウム含量(20‐60mg/100g)により特徴付けられる。
【0012】
【表1】

【0013】
仮に溶けたチーズが、近年の製品(20世紀)なら、基本的な食品、その工業化形態が、そのタンパク質およびカルシウムの供給、およびその使用の容易さにより評価される前、チーズは、長い間、牧畜集団(pastoral population)により、製造されおよび消費された。さらに、異なる必須アミノ酸のその供給は、すばらしい生物学的な価値を与える。
【0014】
しかし、ポリオシドの欠乏のため、栄養士により推奨される消費、これは、すべてのコンテナのコールドチェーン外でさえ良い保存およびすべての天候の下、消費、実践容易なチーズ/穀物の組み合わせからなる混合製品を提案することが、いかに興味深いかを示す。
【0015】
製品は、すでに穀物(基本的に小麦)を伴う溶けたチーズを含む結合チーズ(combine Cheese)が知られ、この組み合わせは、直接または間接的に行われてもよい。これらの組み合わせは、主な穀物は小麦である乳生産国において主であり、そこから大多数において、パンまたはビスケット/チーズの組み合わせである。
【0016】
パンまたは小麦の加工に由来する他の製品などの、チーズおよび穀物の直接組み合わせの例として、
‐ サンドウィッチは、パンおよびチーズの伝統的な消費で多くの国で広く販売されているが、これらの製品は、冷凍製品を除いて、非常に短い貯蔵寿命(冷凍で<1週間)を有し、それらは、しばしば消費の直前に準備しなければならない;
‐ チーズビスケットは、しかしチーズが乾燥粉末の状態で提供される
が挙げられる。
【0017】
非冷凍条件で延長された貯蔵寿命内で、湿性製品(チーズ)および乾燥製品(パン)の間の湿気の移動のため、この移動に対して任意の中間保護層がない場合には、これらの製品の種類のそれぞれを組み合わせることは困難である。実際、穀物製品は、その完全な風味およびテクスチャーを失う。出願人は、さらに溶けたチーズと穀物製品の直接組み合わせについて特許出願(FR2 769 471)を出願したが、穀物製品としてのこの組み合わせは、これらの穀物製品の両方が、それらの完全性を失わず湿気を消費してもよいように、ジェノバスポンジまたはサンドウィッチローフタイプの穀物製品の排他的な使用を必要とした。しかしながら、組み合わせは、穀物製品タイプを減少させ、および最終製品は、原料の費用のため高価であった。
【0018】
湿気移動のこの問題を解決するために、製造者は、間接組み合わせの形態のチーズおよび穀物製品、すなわち製品が、二の分離した区画で包装され、およびそれらが消費される瞬間にのみ接触状態になる、これらの製品の両方の販売に向かう。仮に、この意味により、湿気移動は、避けられおよび製品の完全性が、保存されるなら、欠点は、消費にあたり消費者により行われる取り扱いについておよび使用される包装の量の両方において存在し、環境にとって有害である。
【0019】
現在、穀物およびチーズの栄養価を組み合わせた独特な製品で消費者に提供するために、チーズおよび穀物成分を組み合わせ、保存の良い使用し易い製品を消費者に提案することは、興味深いであろう。この製品は、改善されおよびすばらしい栄養価の乳タンパク質を提供する必要があるそれらを欠乏している集団の国において、穀物消費を改善する利点を有するであろう。
【0020】
さらに、すべての熟考された組み合わせは、既に最終製品(パン、ビスケット)に変化した穀物製品で作られる。
【0021】
出願人は、決定されたアミロースレベルを有する賢明に選択した穀物により、および適当な製造方法を適用することにより、単純に溶けたベースおよび水和または非水和のいずれかの本来の状態の非変換穀物を混合することにより、コールドチェーン外ですら延長された貯蔵寿命を有する独特な複合性の食品を得ることができたことを、思いがけず示した。
【0022】
アミロースレベルは、三つの理由のため重要である:
1)それは、最終製品のテクスチャー上での働きに影響を及ぼす:アミロースレベルが低いほど、テクスチャーはより滑らかである;
2)それは、時間の超過により安定性に影響する:アミロースレベルが低いほど、製品はその強度(ペネトロメーターレベルのより低い変動性)をより維持する;
3)スターチのより低い老化(downgrading)のため、低いアミロースレベルは、低い離水となる。
【0023】
出願人は、さらに、穀物層およびチーズ層の並立が、風味およびテクスチャーに関して有害であるかもしれない穀物の軟化を引き起こすため、混合物が推奨されることを示す。
【0024】
本発明は、溶けたチーズおよび穀物部分が、混合物の60%まで(水和され調理された穀物として表す)または乾燥穀物重量により表された混合物の15%までの少なくとも一の穀物からなる多量栄養素を伴う栄養的にバランスのとれた食品に関する。
【0025】
本発明の範囲内において、穀物は、好ましくは20%未満のアミロース含量を有し、なお好ましくは10%未満である。
【0026】
本発明によるチーズ製品は、乾燥重量含量≦50%、より特に30‐40%の間含まれる乾燥重量含量を有し、およびWHO(世界保健機関)により推奨される栄養摂取に近い、タンパク質、脂質および炭水化物比率のヒトの栄養のために必要とされるすべての多量栄養素を提供する。WHOによって推奨される多量栄養素の栄養摂取(全エネルギー摂取の%として表す)は:
‐タンパク質摂取:12%;
‐脂質摂取:33%;
‐炭水化物複合体を含む炭水化物摂取:55%
である。
【0027】
本発明によるチーズ製品は、仮にそれは、良い栄養価の食品として考えることができるならば、食品の一部を形成するにすぎないため、完全食品(whole food)として考えられない。
【0028】
実用的な包装、好ましくは消費用量単位(<50g)の形態で、有利に表される。
【0029】
製品の貯蔵寿命は、室温で4月を達成することがあり、およびなおさら15℃未満では、8月を達成することがある。
【0030】
本発明は、また前記製品の製造方法に関する。
【0031】
国際特許出願WO2007/049981およびWO2008/054232は、粉末成分の使用、特に穀物およびイモ類に基づき、およびより特に米に基づき、溶けたチーズのための組成中10%のレベルまでを含むチーズ製品の製造を記載する。成分は、天然な(未変性な)スターチおよび/または小麦粉の形態を組み込む。出願WO2007/049981は、米粉(rice flour)成分が、90%未満のアミロペクチンレベルを有することを開示する。目的は、包装(プラスティックフィルム)からスライスし、おろし、クランチし、および容易に離脱できるスライスをするために、十分な硬い製品を得るために、組成のタンパク質の一部(カゼイン)を部分的に置換するためにこのスターチまたはこの粉末を使用することである。米スターチおよび/または粉末は、技術的な目的で使用され、および良い栄養品質の製品を消費者に提供する目的で使用されていない。
【0032】
これらの特許出願に記載された方法は、いくつかの欠点を有する:
‐当該方法は、粉末形態の米のみを使用する。現在、パイロットワークショップについて試験により出願人は、粉末の形態における米の組み込みは、最終製品の感覚受容性の性質のためのレッドヒビトリ(redhibitory)であることを評価される粉末の種類、粉末のテクスチャーおよび粉末の後味に依存する最終製品を与えてもよく、そしてそれは、出願人にその調合物において原料として粉末の使用を抑制させる。さらに、粉末はしばしば、これは微生物学的観点からまたは残渣の存在からであれ低い衛生品質を有し、そしてそれは、最終製品の品質上なんらかの影響なしではなく、特に、その保存上、なおいっそう仮により低い熱処理温度が使用されれば、最大熱処理温度が、出願WO2008/054232により開示される方法において100℃および出願WO2007/049981により開示される方法において85℃に制限され、そしてそれは、貯蔵寿命を制限し、米粉は、米粒(grain rice)よりもより高価になる。
【0033】
これらの出願は、溶けたチーズのベースを混合した水和物形態における調理された穀物の調合物における使用を言及していない。
【0034】
さらに、特許出願EP1 135 028は、軽いチーズの製品について水和された米の使用、より特に、脂肪の代用品としてモッツアレラタイプの練りカードチーズを記述する。この目的のため、米は、水の存在下、熱処理により調理され、およびその後、練りカードチーズに組み込まれるための「脂肪混合物」を得るために強せん断を行う。「液化状の」水和され調理された米は、チーズに組み込まれ、およびすべては、約85℃で加熱される。チーズは、その後冷却されおよび形成される。
【0035】
同じ発明者の特許出願US2002/017275は、米/水比1‐2が、米粒により水の完全な吸収を許容し、およびせん断処理の間の水の放出を避けるために選択されることを明確にし、そしてそれは、上限として2の選択を説明する。
【0036】
特許出願US2006/0172054は、他の方法による軽い練りカードチーズの製造を記載し、明細書のアイデアは、カード中に米粉を組み込み、および練りカードペーストを製造するための伝統的なステップに従って混合物を処理する(熱処理(68‐73℃)、延伸(drawing))。米粉は、脂肪の代用品としておよびそれと一緒に、0.5‐10%、好ましくは2‐6%の量で使用され、均質および硬い製品を得ることが可能である。
【0037】
出願EP1 135 028およびUS2006/0172054は、従って、10%未満の量でパスタフィラータ技術について排他的に脂肪の代用品として米粉または水和された米粉の使用を記載する。さらに、出願US2006/0172054によれば、6%超の量で、チーズ内に水/米混合物の完全な取り込みを得ることができない。さらに、水/米混合物は、チーズ内に液体形態で組み込まれる前に、せん断を受けおよびせん断処理の間の水の任意の放出を避けるために、米/水比は、1:2に制限される。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、以下でさらに詳細に述べる。
【0039】
本発明は、乾燥重量含量≦50%、好ましくは30‐40%の間を含む乾燥重量含量を有するチーズ製品を製造するための方法に関し、および溶けたチーズの混合物および少なくとも一の穀物を含み、前記方法がステップ:
a)100‐145℃を含む温度で熱処理、好ましくは100‐140℃で、3秒‐6分間、混合物は、混合物の全重量基準で:
‐5‐40重量%の乳製品由来のタンパク質材料;
‐15‐30重量%の脂肪;
‐0.1‐3重量%の乳化剤および/または食感改良剤
‐水;および
‐5‐15重量%の少なくとも一の穀物、穀物の乾燥重量として示され、前記穀物が、調理され水和された形態で混合物中に組み込まれる
を含み;
b)70‐100℃の間を含む温度で熱処理した混合物を高温調整(hot conditioning)し;
c)5‐15℃の間を含む温度に冷却すること
を含む。
【0040】
本発明はまた、乾燥重量含量≦50%を有し、および溶けたチーズの混合物および少なくとも一の穀物の混合物を含むチーズ製品を製造するための方法に関し、前記方法は、以下のステップ:
a)85‐140℃の間、好ましくは100‐140℃の間を含む温度で3秒‐6分間、熱処理により溶けたチーズベースを調製し、混合物は、混合物の全重量基準で:
‐5‐40重量%の乳製品由来のタンパク質材料
‐15‐30重量%の脂肪
‐0.1‐3%の乳化剤および/または食感改良剤;および
‐水
を含み;
b)少なくとも一の、水和され調理された穀物を伴う前記溶けたチーズベースを混合し、溶けたチーズベースを伴う混合物の全重量基準で60重量%までを示す、前記少なくとも一の、水和され調理された穀物(水和された穀物の重量により示す);
c)100‐145℃、好ましくは100‐140℃の間を含む温度で、3秒‐6分間、ステップb)の混合物を熱処理し;
d)70‐100℃の間を含む温度でステップc)の熱処理混合物を高温調整し;
e)5‐15℃の間を含む温度に冷却する
を含む。
【0041】
最終製品の栄養価を最適化するために、混合物に例えば、カルシウム、カリウム、マグネシウム、亜鉛、鉄などのビタミン、ミネラルを可溶性または不溶性形態で、添加することができる。
【0042】
好ましくは、溶けたチーズの調製を許容するステップa)の混合物中に、水は、100%(q.s.p.100%)までの十分な量について、すなわち例えば、乳由来のタンパク質材料以外、脂肪、乳化剤または食感改良剤、および場合により穀物粉末およびビタミンおよび/またはミネラル以外の成分を含まない。
【0043】
上記方法において、100‐145℃の間を含む温度で熱処理ステップ、好ましくは100‐140℃の間で、例えば30秒‐6分間処理してもよい。
【0044】
ステップb)において、溶けたチーズ内に組み込まれた水和され調理された穀物は、しばらくの間および適用された穀物のタイプにとって適当な温度で、特に、100‐120℃の温度で、15‐60分間、沸騰水または蒸気で調理することにより、有利には、15‐30分間、好ましくは100℃、20‐50分間、有利には20‐25分間、それぞれの穀物に適応された穀物量/水量比で、調理される。例えば、米は、1用量(体積)の米/2‐4用量(体積)の水の比で調理されてもよい。この作業で、米の体積が2‐4倍になり、および調理終了後の乾燥重量含量の量が、20‐30%の間を含む。米/水比は、2超であろう(特に、米1部分および水2‐3部分)。
【0045】
穀物は、そのような商業上見られるものと同様に使用される:例えば、米は、オーブンされまたはされないいずれかの精米(milled rice)の形態で使用される(すなわち、オーブンおよびもみすり後、熱水処理(木質もみ殻の除去)または全米粒または玄米(果皮の保存)の形態で使用される。粘着性の種類が好まれ、そしてそれはより低いアミロースレベルを有する。
【0046】
穀物は、最終製品の所望する栄養的特徴を得るために有用な割合で、すなわちWHOの推奨に近い栄養摂取を提供する組成(すなわち、全エネルギーの12%のタンパク質摂取、33%の脂肪摂取および55%の炭水化物摂取)で、溶けたチーズベース内に、組み込まれる。例として、12%タンパク質、32‐33%脂肪および55%炭水化物を供給する調合物は、60%の調理された米および40%の溶けたベースからなる混合物により形成されるであろう。
【0047】
一般的に、水和され調理された穀物の割合は、溶けたチーズベースを含む混合物の全重量に基づき、60重量%を超えないであろう。好ましくは、水和された調理された穀物の割合は、溶けたチーズベースを含む混合物の全重量の30‐50%を含む。水和され調理された穀物の乾燥抽出含量は、一般的に20‐35%、より特に22‐28%を含む。
【0048】
溶けたチーズおよび水和された穀物の混合物の調理は、100℃の温度で数分間、145℃まで、またはさらに140℃で数秒間、典型的に100℃‐145℃の間で3秒‐6分間、またはさらに100‐40℃で30秒‐6分間および好ましくは110‐140℃の間で3秒‐6分間実施されてもよい。熱処理は、溶けたチーズ技術について使用される通常の装置で、カッタータイプのバッチ調理装置(例えば、Stephan(登録商標)により販売されるもの)またはUHT滅菌器タイプの連続熱処理装置のいずれかで攪拌を伴い実施される(800‐300、好ましくは1500‐2000rpm)。
【0049】
混合物は、その後70‐100℃の間、好ましくは75‐95℃の間を含む包装温度に冷却される。
【0050】
本方法の利点は、最終製品中に再度見られる穀物粒を許容することであり、それによって本来のテクスチャーコントラストを生じる。
【0051】
本発明による本方法において、高温調整製品は、好ましくは5‐15℃の温度に冷却される。
【0052】
それは、室温で4月までまたは冷蔵(4‐10℃)で、8月維持される。
【0053】
本発明による本方法において、穀物の混合物またはそれらの種子を栽培したマメ科植物、果実などの他の植物源、後者は乾燥重量により2%未満の量である、を伴う少なくとも一の穀物の混合物を使用することができる。マメ科植物は、FAO分類群乾燥マメ、ソラマメ、乾燥エンドウマメ、ヒヨコマメ、シロマメ(モジェット(mogette))、アンゴラエンドウマメ、栽培されたレンズマメ、バンボラエンドウマメ、カラスノエンドウ、およびハウチワマメによるそれらの種子を栽培する。本適用の範囲内において、ダイズは、また他の野菜源として使用される。
【0054】
穀物は、小麦、大麦、粟(maize)、米などの市場で入手可能でおよび世界中で広く消費されるものから選択されるであろう;後者は、好ましくはその消費普遍性、その世界中での入手可能性およびいくつかの種類の低いアミロース含量から選択される。また、キノア(南米)、キビ(millet)またはモロコシ(sorghum)(アフリカ)などのより地域の穀物を使用することができる。その製品が販売される(アジアにおける米、南米におけるキノア、アフリカにおけるキビおよびモロコシ、ヨーロッパにおける小麦、北アメリカにおける粟など)地方の市場で入手できる穀物が、また優先して使用される。
【0055】
好ましくは、穀物は、20%未満、より特に10%未満のアミロース含量を有するものから選択されるであろう。
【0056】
使用される穀物のアミロース/アミロペクチン比および製造方法の時間/温度/せん断速度(rate)パラメーターに基づくことにより、変化する一貫性(variable consistency)およびテクスチャー特性を伴う製品のすべての範囲を得ることができるであろう。
【0057】
乳製品由来のタンパク質材料は、全乳粉、脱脂粉乳、カゼイン、カゼイネート、乳製品タンパク質コンセントレイト、乳清タンパク質コンセントレイト、フレッシュまたは熟成チーズ、カード、ヨーグルト、発酵乳および乳由来のこれらのタンパク質材料の混合物からなる群から選択される。5‐40%の間の調合物を含む。
【0058】
これらの原料のすべては、当業者に周知でありおよび世界中の市場で広く入手できる。Fonterra, Arla Foodsで販売されるすべての製品が含まれる。それらの製造技術は、またVignolaC.:Science et Technologie du lait Ed.Polytechnique de Montreal 2002中に記載される。
【0059】
脂肪は、動物由来、植物由来または動物および植物由来の脂肪の混合物である。
【0060】
動物脂肪として、乳脂肪、無水乳脂肪、バター、クリームが含まれる。植物脂肪として、ダイズオイル、ヒマワリ、パーム、パームカーネル、コプラ、ピーナッツ、ナタネオイルおよび食品の製造で使用されおよび市場で入手できる任意の植物オイルが含まれる。調合物中に使用される脂肪量は、15‐30%の間を含む。
【0061】
乳化剤/食感改良剤は、好ましくは、ポリリン酸ナトリウム、カリウムまたはクエン酸ナトリウム、カリウムなどの当業者に周知の溶融塩であり、しかしまたDatems(モノジグリセリドジアセチル‐タータリックエステル)、SSLおよびCSL(ナトリウムまたはカルシウムステアロイルラクチレート)などの乳化剤である。それらは、単体または混合物として使用され、および0.1‐3%の間、好ましくは0.5‐2%の間を含む含量の調合物内に組み込まれる。
【0062】
ヒドロコロイドは、カラギナン、ガウア(guar)、イナゴマメ、キサンタンガム、スターチまたは当業者に周知な任意の他の食感改良剤などを使用してもよい。
【0063】
また、それらの栄養的特性を改善するためのビタミンまたは微量元素を調合物に加えることができる。
【0064】
本発明による本方法は、溶けたチーズベースは、溶けたチーズ技術で使用される一般的な装置、またはカッタータイプの装置、例えばStephan(登録商標)のブランドの下、販売されるもの、またはドウミキサー、ミキサー、ニーダ、クッカーミキサー、コニーダ(co‐kneader)、押出器タイプの装置で攪拌することで(1500rpmの速度まで)、乳由来のタンパク質材料、脂肪、乳化剤および/または食感改良剤、水および場合により穀物粉の混合物の熱処理により作られる。
【0065】
本発明の好ましい実施態様において、溶けたチーズベースは、タンパク質粉コンセントレイト(7.5%)、乳脂肪および植物脂肪の50/50混合物30%、ポリリン酸ナトリウム1%、および水(q.s.p)100%から作られる。溶けたチーズベースは、その後、溶けたチーズ80重量%、製粉され(milled)および水和された米20重量%の割合に従って、製粉されおよび水和された米粒の形態の米を混合する。得られた製品は、乾燥重量含量40%、タンパク質含量6%、脂肪含量26%およびポリオシド含量6%(乾燥重量で表示)を有する。
【0066】
本発明は、また本発明による方法により得られるチーズ製品に関する。
【0067】
本発明によるチーズ製品は、乾燥重量含量≦50%、好ましくは30‐40%の間を含む乾燥重量含量を有し、および溶けたチーズの少なくとも乾燥重量85%を含む。
【0068】
特に、本発明によるチーズ製品は:
5‐10重量%の乳由来タンパク質材料;
10‐30重量%の脂肪;
0.1‐3重量%の乳化剤および/または食感改良剤;
5‐15重量%の少なくとも一の穀物;
100重量%のバランスとしての水
を含んでもよい(チーズ製品の重量基準で)。
【0069】
これらのチーズ製品の全利益は、無数の可能性が、栄養の観点からおよび風味およびテクスチャーの観点からの両方で、乳および穀物原料の効果的な組み合わせにより提供されるため、見られる。
【0070】
風味に関する限りは、状況に応じて、原料の選択、特に乳原料の選択により、または砂糖優占(フルーツ、砂糖、バニラなど)または塩優占(チーズフレーバー)の特定のフレーバーを添加することのいずれかにより、食品が意図する集団の風味(taste of population)に望ましく適用される広大なパレットにおいて利用することができる。またスパイス、アロマ、固形成分(ペッパー、クミン、穀物、砕かれたナッツ、アーモンドなど)を容易に添加することができる。
【0071】
得られた最終製品は、所望する消費使用により、非常にさまざまなテクスチャー、クランチされた、スプレッドされた、サックされた、スライスされた、を有してもよく、一般的に、製品はスティーブンス器具(Steven’s apparatus)により、測定されるように20‐150gの間を含む硬度を有するであろう。この目的のため、測定のために、直径6.35mmの円柱状のプローブを、速度0.2mm/sおよび深さ7mmで使用した。本測定は、サンプル上20℃で行った。結果は、製品の硬度を表すペネトロメトリーピーク(最大値)である。スプレッド製品用では、この値は、50g‐80gの間を含み、クランチ製品用では、それは150g超である。
【0072】
最終製品は、異なるパッケージ:ポット、トレイ、フレキシブルバッグ、スライス、ポーション、ドーズサチェット、ソーセージ形態などで包装されてもよい。同じ包装において、風味およびテクスチャーに関して均質な製品を添加する(dose)ことができ、または異なる風味、テクスチャーおよび色の異なる製品層を添加する(dose)ことができる。本発明による少なくとも一の製品層および少なくとも一のマルチチーズ層の交替は、また熟考されてもよい。
【0073】
有利な包装は、任意の機会において消費される製品の一回分を表しているシールされた材料においてフレキシブルバッグ中に構成するであろう。単回投与についてその提示の利点は、消費が即時および完全であるので、開封後、再汚染のリスクがないことが好都合および事実である。製品は吸い上げられるための半液体テクスチャーまたはかみ砕くための固いテクスチャーを有してもよい。
【0074】
さらに、使用される方法(145℃に達してもよい熱処理)および高温調整(70℃またはそれ以上)のため、任意の微生物学的細菌叢変化の欠乏のため、最適食品安全性は達成され、および貯蔵寿命は、室温で4月および15℃未満の温度でなおさら到達する。
【0075】
これは、原料および本来の成分の選択によるかどうか、そしてそれは風味およびテクスチャーの無限のパレットを得るための可能性を与え、選択された製造および調整方法により、本発明による新規な製品は、すべての消費者およびすべての文化のために、いかなる方法でも適応され、適応できおよび形作られる製品である。家、学校、大規模な給食(catering)または街角で、それを消費する任意の場所および任意の方法に適応できる特定の範囲に位置づけられないので、消費のすべての態様に適応する。
【0076】
本発明は、これらの範囲を限定しない以下の例により、また説明される。
【実施例】
【0077】
実施例
実施例1:米を含む溶けたチーズ
製品は、表1に示した四の調合により製造される。
【0078】
【表2】

【0079】
製品A、CおよびDを、以下の方法に従って製造した:
‐表により示された割合について、タンパク質源(乳タンパク質コンセントレイト)、脂肪、溶融塩、クエン酸、カラギナン、以下の条件:水中において100℃で50分間、米1体積に3体積の水の比で、水30g中、乾燥米10g(製品100g用)の調理下、あらかじめ調理された米、および水(100%に調整)からなる混合物の調製;AおよびB用の米量は、混合物の40%、D用は20%である。
‐145℃で3秒間、攪拌(1000rpm)を伴い混合物の熱処理;
‐90℃に混合物を冷却、および直接的に、製品30gを含むフレキシブルバッグ中に高温調整し;
‐10℃に冷却する。
【0080】
製品Bを、以下の方法により製造した:
‐表1に示した割合に従って、調合Bの成分を混合、および前記混合物を100℃で2分間、攪拌(1000rpm)を伴い熱処理;調理を、ステファンにより販売されるカッターで行った;
‐80℃に冷却し、およびこの温度でトレイにおいて高温調整し;
‐10℃に冷却する。
【0081】
表2は、製品AからDの特性の詳細および脂肪およびタンパク質含量を示す。
【0082】
【表3】

【0083】
得られた製品AおよびDは、150gのスティーブンス器具で測定された硬度および12℃で6月の貯蔵寿命を有する。それらは、「クランチ」タイプの消費用に意図される。
製品Bは、スティーブンス値60gのスプレッド製品、および12℃で4月の貯蔵寿命である。
製品Cは、スティーブンス値200gのクランチ製品、および25℃の温度で4月の貯蔵寿命である。これらの貯蔵寿命は、保存プログラムの間、製品を12℃、25℃および30℃で、以下の基準の経時変化について、保存プログラムの結果により確認した:
‐ペネトロメトリー
‐スウェッティング
‐微生物学的基準
‐官能検査:テクスチャー(硬度、口の内張り(lining)、ゲル状および粒状)および風味(アロマ強度、米の風味、新鮮でない(stale)、異臭の存在)。
【0084】
製品A、CおよびDは、30℃で4月後および12℃で6月後、すべての基準を遵守し、製品Bは、12℃で4月のみ遵守した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥重量含量≦50%有し、および溶けたチーズおよび少なくとも一の穀物の混合物を含むチーズ製品の製造方法であって、以下のステップ:
a)100‐145℃の間を含む温度で、3秒‐6分間熱処理し、混合物が、混合物の全重量基準で:
‐乳由来のタンパク質材料5‐40重量%;
‐脂肪15‐30重量%;
‐乳化剤および/または食感改良剤0.1‐3重量%;
‐水;および
‐穀物の乾燥重量として表された、少なくとも一の穀物5‐15重量%、前記穀物は、水和され調理された形態で当該混合物に組み込まれる
を含み;
b)70‐100℃の間を含む温度で、熱処理された混合物を高温調整し;
c)5‐15℃の間を含む温度に冷却すること
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記熱処理ステップa)が、100‐140℃の間を含む温度で、30秒‐6分間行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップが、
a)85‐140℃の間を含む温度で、3秒‐6分間熱処理により溶けたチーズベースを調製し、混合物が、混合物の全重量基準で:
‐乳由来のタンパク質材料5‐40重量%;
‐脂肪15‐30重量%;
‐乳化剤および/または食感改良剤0.1‐3重量%;および
‐水;
b)少なくとも一の、水和され調理された穀物と前記溶けたチーズベースを混合し、前記溶けたチーズベースを伴う前記混合物の全重量基準で60重量%までを示す前記少なくとも一の、水和され調理された穀物;
c)100‐145℃の間を含む温度で、2秒‐6分間ステップb)の混合物を熱処理し;
d)70‐100℃の間を含む温度で、ステップc)の熱処理された混合物を高温調整し;
e)5‐15℃の間を含む温度に冷却すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
100‐140℃の間を含む温度で、30秒‐6分間、ステップa)およびc)を行う、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ステップa)の混合物が、混合物の全重量基準で5‐10重量%の少なくとも一の穀物粉をさらに含む、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも一の、水和され調理された穀物が、20‐35%の間を含む乾燥重量含量を有する、請求項2‐5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
乾燥重量含量≦50%を有するチーズ製品が、穀物の混合物を含む、請求項1‐6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも一の穀物が、米、小麦、大麦、トウモロコシ、キビ、モロコシおよびキノアからなる群から選択される、請求項1‐7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも一の穀物が、10%未満または相当のアミロース含量を有する、請求項1‐8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記乳由来のタンパク質材料が、全乳粉、脱脂粉乳、カゼイン、カゼイネート、乳タンパク質コンセントレイト、乳清タンパク質コンセントレイト、フレッシュまたは熟成チーズ、カード、ヨーグルト、発酵乳、および乳由来のこれらのタンパク質材料の混合物からなる群から選択される、請求項1‐9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記脂肪が、動物由来、植物由来、または動物および植物由来の脂肪の混合物である、請求項1‐10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
乾燥重量含量≦50%を有し、および:
‐乳由来のタンパク質材料5‐10%;
‐脂肪10‐30%;
‐乳化剤および/または食感改良剤0.1‐3%;
‐穀物の乾燥重量として示される少なくとも一の穀物5‐15%、前記穀物が、水和され調理される形態中に組み込まれ;および
‐100%に調整するための水
を含む、チーズ製品。
【請求項13】
請求項1‐11のいずれか一項に記載の方法により得られる、乾燥重量含量≦50%を有し、および少なくとも一の穀物を含む、チーズ製品。
【請求項14】
‐乳由来のタンパク質材料5‐10%;
‐脂肪10‐30%;
‐乳化剤および/または食感改良剤0.1‐3%;
‐少なくとも一の穀物5‐15%;および
‐100%に調整するための水
を含む、請求項13に記載のチーズ製品。

【公表番号】特表2013−504316(P2013−504316A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528428(P2012−528428)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際出願番号】PCT/FR2010/051881
【国際公開番号】WO2011/030065
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(510228972)
【Fターム(参考)】