説明

乳歯形態復元物の保存方法と乳歯形態復元物の保存物

【課題】子供の成長の記念品やアクセサリー等としての価値を創出することができ、また、個人の遺伝子を長期に渡り保存しておくことのできる、乳歯形態復元物の保存方法と乳歯形態復元物の保存物を提供する。
【解決手段】乳歯形態復元物の保存方法は、乳歯形態復元物の生成、歯冠表面、歯随腔内を殺菌処理する第1工程と、歯冠表面、歯随腔内をリン酸ゲルの浸漬処理により無機質脱灰する第2工程と、歯冠表面、歯随腔内を次亜塩素酸ナトリウムゲルの浸漬処理により有機質溶解する第3工程と、歯冠崩壊部と歯随腔内に、セルフエッチングプライマーを導入した歯科用接着剤を塗布した後、歯牙と弾性率のほぼ等しい歯科充填用コンポジットレジンにて充填し、乳歯の形態復元を行う第5工程とから成る。一方、乳歯形態復元物の保存物は、所定の容器に流動パラフィンを収容し、これに乳歯形態復元物を浸漬させて成ることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久歯萌出に伴い自然脱落した乳歯や、抜去した乳歯を、本来の美しい乳歯の形態に復元して長期保存を可能にした、乳歯形態復元物の保存方法と乳歯形態復元物の保存物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自然脱落した乳歯や、抜去した乳歯は、様々な処置を施さなければ、容易に破折・破損してしまうものである。特に、歯冠崩壊の著しい乳歯は、慎重に扱わなければならない。
【0003】
このような乳歯における従来の保存方法としては、単純に空気中に放置して保存する方法、医療機関でホルマリン溶液を用いて保存する方法、一般家庭で燃料用アルコールを用いて保存する方法等がある。
【0004】
また、従来においては、歯冠部の崩壊を伴う失活歯である乳歯を保存するに際し、歯根部に、形態を維持する目的で金属鋳造物を埋め込む方法が実施されている。
【0005】
例えば、特許文献1に開示されているように、幼児や児童の抜去した乳歯の欠落した歯根部位を貴金属で補い、健全な乳歯の原形に復元した状態にしてアクセサリーとしたり、或いは、子供の成長記録の記念として保存できるようにした、喪出歯を用いた歯根アクセサリー及びその歯根アクセサリーの製法なる技術が存在する。
【0006】
この技術内容は、喪出歯を用いた歯根アクセサリーにおいて、歯根部位が欠落した歯体と、前記歯体の歯髄腔に挿入するためのポストを一体成形した貴金属製歯根ヘッドとから成り、その貴金属製歯根ヘッドのポストを歯体の歯頸部位から歯髄腔に挿入して合着したものである。
【特許文献1】特開2001−137021号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来における乳歯の保存方法として、単純に空気中に放置して保存する方法では、乾燥状態が続けば、長くても数年後には乳歯が容易に破損してしまう。
【0008】
また、医療機関でホルマリン溶液を用いて保存する方法では、ホルマリン溶液自体に刺激臭があり、生体に有害であるため、一般家庭で保存溶液として利用するには不向きである。
【0009】
さらに、一般家庭で燃料用アルコールを用いて保存する方法では、燃料用アルコール自体は揮発性が高く、常に発火の危険性があるため、取り扱いには十分な注意が必要であり、保存溶液としての安全性に欠ける。
【0010】
また、特許文献1に開示されている技術は、貴金属製歯根ヘッドのポストを歯体の歯頸部位から歯髄腔に挿入して合着した構成であるため、象牙質との弾性率が大きく異なる貴金属を使用することによって、歯冠や歯根の破折・破損の可能性を高めてしまうものとなるという問題点を有していた。
【0011】
この他、近年においては、個人の遺伝子を長期に渡り保存しておく必要性が種々の分野において高まっている。そして、乳歯も個人の遺伝子を長期に渡り保存できることから、可能な限り良好な状態で保存しておきたいとする要望がある。
【0012】
そこで、本発明は、如上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、永久歯萌出に伴い自然脱落した乳歯や、抜去した乳歯を、本来の美しい乳歯の形態に復元して、長期の保存を可能にする特殊な処理を施すことで、一般家庭における安全で安定した乳歯の長期保存が可能となり、子供の成長の記念品やアクセサリー等としての価値を創出することのできる、乳歯形態復元物の保存方法と乳歯形態復元物の保存物を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、個人の遺伝子を長期に渡り保存しておくことのできる、乳歯形態復元物の保存方法と乳歯形態復元物の保存物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る乳歯形態復元物の保存方法は、乳歯形態復元物を生成した後、これを流動パラフィンに浸漬させて保存することで、上述した課題を解決した。
【0015】
また、乳歯形態復元物の生成は、歯冠表面、歯随腔内を殺菌処理する第1工程と、歯冠表面、歯随腔内をリン酸ゲルの浸漬処理により無機質脱灰する第2工程と、歯冠表面、歯随腔内を次亜塩素酸ナトリウムゲルの浸漬処理により有機質溶解する第3工程と、歯冠崩壊部と歯随腔内に、セルフエッチングプライマーを導入した歯科用接着剤を塗布した後、歯牙と弾性率のほぼ等しい歯科充填用コンポジットレジンにて充填し、乳歯の形態復元を行う第5工程とから成ることで、同じく上述した課題を解決した。
【0016】
さらに、乳歯形態復元物の生成は、第3工程の後に、歯冠表面のエナメル質、象牙質を過酸化尿素の浸漬処理により漂白する第4工程を含むことで、同じく上述した課題を解決した。
【0017】
また、乳歯形態復元物の生成は、第5工程の後に、歯冠表面へのエナメル質改善剤の塗布によって、歯牙にできたナノレベルの傷の修復処理を行う第6工程を含むことで、同じく上述した課題を解決した。
【0018】
一方、本発明に係る乳歯形態復元物の保存物は、所定の容器に流動パラフィンを収容し、これに乳歯形態復元物を浸漬させて成ることで、同じく上述した課題を解決した。
【0019】
また、乳歯形態復元物は、歯冠表面、歯随腔内をリン酸ゲルの浸漬処理により無機質脱灰し、歯冠表面、歯随腔内を次亜塩素酸ナトリウムゲルの浸漬処理により有機質溶解し、歯冠表面のエナメル質、象牙質を過酸化尿素の浸漬処理により漂白すると共に、歯冠崩壊部と歯随腔内に、セルフエッチングプライマーを導入した歯科用接着剤を塗布し、歯牙と弾性率のほぼ等しい歯科充填用コンポジットレジンにて充填し、乳歯の形態復元を行うことで生成されて成ることで、同じく上述した課題を解決した。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る乳歯形態復元物の保存方法は、乳歯形態復元物を生成した後、これを流動パラフィンに浸漬させて保存することにより、乳歯形態復元物の品質・形態を維持しながら、乳歯形態復元物を長期に渡り保存することができる。
【0021】
また、乳歯形態復元物を流動パラフィンに浸漬させて保存するのであるが、この流動パラフィンには刺激臭がなく、生体にも無害であるため、一般家庭で保存溶液として利用するのに好ましいものである。
【0022】
さらに、流動パラフィンには、発火の危険性もないため、保存溶液としての安全性を充分に確保できる。
【0023】
また、乳歯形態復元物の生成は、歯冠表面、歯随腔内を殺菌処理する第1工程と、歯冠表面、歯随腔内をリン酸ゲルの浸漬処理により無機質脱灰する第2工程と、歯冠表面、歯随腔内を次亜塩素酸ナトリウムゲルの浸漬処理により有機質溶解する第3工程と、歯冠崩壊部と歯随腔内に、セルフエッチングプライマーを導入した歯科用接着剤を塗布した後、歯牙と弾性率のほぼ等しい歯科充填用コンポジットレジンにて充填し、乳歯の形態復元を行う第5工程とから成ることから、乳歯形態復元物自体の品質・形態を長期に渡り維持することができる。
【0024】
特に、歯冠表面、歯随腔内を殺菌処理する第1工程の後に、歯冠表面、歯随腔内をリン酸ゲルの浸漬処理により無機質脱灰する第2工程と、歯冠表面、歯随腔内を次亜塩素酸ナトリウムゲルの浸漬処理により有機質溶解する第3工程を経ることにより、乳歯形態復元物は、従来よりもエナメル質と象牙質への接着が飛躍的に向上すると同時に、歯面(歯牙)の強度が増し、破折・破損の可能性を著しく減少させることができる。
【0025】
また、乳歯形態復元物の生成は、第3工程の後に、歯冠表面のエナメル質、象牙質を過酸化尿素の浸漬処理により漂白する第4工程を含むことで、乳歯をきれいな状態で保存することができる。
【0026】
さらに、乳歯形態復元物の生成は、第5工程の後に、歯冠表面へのエナメル質改善剤の塗布する第6工程を含むことで、歯牙にできたナノレベルの傷の修復処理を行うことができる。
【0027】
一方、本発明に係る乳歯形態復元物の保存物は、所定の容器に流動パラフィンを収容し、これに乳歯形態復元物を浸漬させて成ることで、上述した種々の効果を発揮すると共に、乳歯を介して、個人の遺伝子を長期に渡り保存しておくことができる。
【0028】
また、乳歯形態復元物は、歯冠表面、歯随腔内をリン酸ゲルの浸漬処理により無機質脱灰し、歯冠表面、歯随腔内を次亜塩素酸ナトリウムゲルの浸漬処理により有機質溶解し、歯冠表面のエナメル質、象牙質を過酸化尿素の浸漬処理により漂白すると共に、歯冠崩壊部と歯随腔内に、セルフエッチングプライマーを導入した歯科用接着剤を塗布し、歯牙と弾性率のほぼ等しい歯科充填用コンポジットレジンにて充填し、乳歯の形態復元を行うことで生成されて成ることから、乳歯形態復元物自体の品質・形態を長期に渡り維持して、子供の成長の記念品やアクセサリー等としての価値を創出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
【0030】
本発明に係る乳歯形態復元物Pの保存方法は、乳歯形態復元物Pを生成した後、これを流動パラフィンQに浸漬させて保存することを特徴としている。
【0031】
また、本発明に係る乳歯形態復元物Pの保存物Mは、所定の容器に流動パラフィンQを収容し、これに乳歯形態復元物Pを浸漬させて成ることを特徴としている。
【0032】
乳歯形態復元物Pの保存方法においては、乳歯の保存性を高めるための乳歯の処理工程(乳歯形態復元物Pの生成)と、乳歯の安定した保存方法(流動パラフィンQへの浸漬)に、その特徴を有している。
【0033】
まず、乳歯の保存性を高めるための乳歯の処理工程(乳歯形態復元物Pの生成…第1工程乃至第6工程)について、図1に基づいて詳細に説明する。
【0034】
第1工程(A):歯冠3表面、歯随腔2内の微生物等を死滅させるため、オートクレーブ(加圧釜)にて、例えば、高温高圧の飽和水蒸気による殺菌処理を行う。これによって長期保存に際しての細菌の増殖を未然に防止することができる。
【0035】
第2工程(B):歯冠3表面、歯随腔2内を無機質脱灰の目的で、40%リン酸ゲル等の薬品に浸して約10秒間の浸漬処理を行い、処理後には精製水にて洗浄し、エアー乾燥する。
【0036】
第3工程(C):歯冠3表面、歯随腔2内を有機質溶解の目的で、10%次亜塩素酸ナトリウムゲル等の薬品に浸して約2分間の浸漬処理を行い、処理後には精製水にて洗浄し、エアー乾燥する。
【0037】
第4工程(D):歯冠3表面のエナメル質、象牙質4を萌出直後の白さまで回復する目的で、16%過酸化尿素等の薬品に浸して約12時間の浸漬処理を行い、処理後には精製水にて洗浄し、エアー乾燥する。
【0038】
第5工程(E):歯冠崩壊部1と歯随腔2内に、セルフエッチングプライマーを導入した歯科用接着剤を塗布した後、歯牙と弾性率のほぼ等しい光硬化性樹脂を使った歯科充填用コンポジットレジンにて充填し、乳歯の形態復元を行う。
【0039】
このセルフエッチングプライマー処理剤は、歯のエナメル質に接着性レジンセメントを接着させる際に、歯のエナメル質の表面処理のために用いるものである。具体的には、4−META/MMA−TBBレジン等の接着性レジンセメントを歯のエナメル質に接着させる際に、2−メタクリロイルオキシエチルリン酸等のメタアクリレートもしくはアクリレートの酸性モノマー、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等のメタアクリレートもしくはアクリレートの水溶性モノマー、及び塩化第二鉄などの金属塩を含む水溶液をセルフエッチングプライマー処理剤でエナメル質を処理した場合に、エナメル質への接着性レジンセメントの接着強度並びにその耐久性が向上するものとして広く知られている。
【0040】
第6工程(F):歯冠3表面へのエナメル質改善剤の塗布によって、歯牙にできたナノレベルの傷の修復処理を行う。
【0041】
上述した第1工程(A)乃至第6工程(F)を経ることにより、長期間安定して保存することができる乳歯形態復元物Pが生成されるのである。
【0042】
次に、乳歯の保存性を高めるための乳歯の処理工程(乳歯形態復元物Pの生成)について、従来例と比較して説明する。
【0043】
従来においては、第1工程(A)の後に、第5工程(E)が行われる。
【0044】
これに対し、本発明においては、第1工程(A)の後に、第2工程(B)から第4工程(D)の一連の化学処理を経てから、接着剤塗布・コンポジットレジン充填による第5工程(E)を行う。
【0045】
このことにより、従来よりもエナメル質や象牙質4への接着が飛躍的に向上すると同時に、歯面(歯牙)の強度が増し、破折・破損の可能性が著しく減少することが判明した。
【0046】
しかも、歯面(歯牙)と弾性率のほぼ等しい歯科充填用コンポジットレジンにて充填し、乳歯の形態復元を行う方法が乳歯の長期保存に適していることが判明した。
【0047】
次に、乳歯の安定した保存方法(流動パラフィンQへの浸漬)について説明する。
【0048】
まず、上記した第1工程(A)乃至第6工程(F)に示すように、乳歯を適切な処理を施すことで乳歯形態復元物Pを生成した後に、これを長期間安定した形で保存するために、流動パラフィンQに浸漬させる。
【0049】
この流動パラフィンQは、無色・無味・無臭の液状飽和炭化水素であり、不純物を含まず、沸点が高いため蒸発損失が少なく、熱安定性にも優れた溶液である。
【0050】
また、各種の化学薬品に対する安定性が非常に高いため、歯冠3表面のエナメル質・象牙質4・歯科充填用コンポジットレジン共に変化を起こすことなく、乳歯形態復元物Pを安定した状態で長期保存することができる。
【0051】
さらに、流動パラフィンQは通常溶液よりも粘性が高いため、振動等により乳歯形態復元物Pが保存容器と接触し、乳歯形態復元物Pが破折してしまう可能性を著しく軽減させることができる。
【0052】
乳歯形態復元物Pの具体的な保存形態としては、図2に示すように、種々の色でもって表面を装飾可能とした強化ガラス管5の中に流動パラフィンQを充填し、この中に乳歯形態復元物Pを浸漬させる。
【0053】
そして、強化ガラス管5の上側開口部をシリコーンゴム製等の栓体6で封止し、さらにこの上に金属キャップ7を被せて、金属とガラスを接着可能な、例えば、瞬間接着剤等でもって固着する。
【0054】
この金属キャップ7の上面には、金属製または皮革製等のネックストラップ8が取り付けられている。このようにして、首等に掛けるアクセサリー等の装飾品として、乳歯形態復元物Pの保存物Mが利用される。
【0055】
また、乳歯形態復元物Pの他の具体的な保存形態としては、卓上装飾品としてのクリスタルガラス9を利用したものがある。
【0056】
例えば、図3に示すように、クリスタルガラス9の上面中央に形成された収容凹部10に、前記のように復元処理した乳歯形態復元物Pを収容する。そして、光硬化樹脂による透明レジン11をこの収容凹部10に流し込んで硬化させることにより、例えば、子供の成長の記念品としての乳歯形態復元物Pの保存物Mとして利用される。
【0057】
さらに、乳歯形態復元物Pを流動パラフィンQと共に不図示のカプセル内に収容し、該カプセルをクリスタルガラス9の収容凹部10に収容してから、透明レジン11をこの収容凹部10に流し込んで硬化させるものであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明に係る乳歯形態復元物の保存方法は、永久歯萌出に伴い自然脱落した乳歯や、抜去した乳歯の他に、種々のエナメル質・象牙質による物質の形態復元や、その長期保存を可能にする為の処理方法として、幅広く応用することができる。
【0059】
また、本発明に係る乳歯形態復元物の保存物は、子供の成長の記念品やアクセサリー等の装飾品として利用する他に、乳歯を介して、個人の遺伝子を長期に渡り安定した状態で保存しておくことができるので、医療の分野においても幅広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】乳歯の保存性を高めるための乳歯の処理工程(乳歯形態復元物の生成…第1工程乃至第6工程)を示す説明図である。
【図2】強化ガラス管の中に流動パラフィンを充填し、この中に乳歯形態復元物を浸漬させた乳歯形態復元物の保存物の構成を示す側面図である。
【図3】クリスタルガラスの収容凹部に乳歯形態復元物を収容し、透明レジンを流し込んで硬化させた乳歯形態復元物の保存物の構成を示す側面図である。
【符号の説明】
【0061】
A…第1工程
B…第2工程
C…第3工程
D…第4工程
E…第5工程
F…第6工程
P…乳歯形態復元物
Q…流動パラフィン
M…保存物
1…歯冠崩壊部
2…歯随腔
3…歯冠
4…象牙質
5…強化ガラス管
6…栓体
7…金属キャップ
8…ネックストラップ
9…クリスタルガラス
10…収容凹部
11…透明レジン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳歯形態復元物を生成した後、これを流動パラフィンに浸漬させて保存することを特徴とした乳歯形態復元物の保存方法。
【請求項2】
乳歯形態復元物の生成は、歯冠表面、歯随腔内を殺菌処理する第1工程と、歯冠表面、歯随腔内をリン酸ゲルの浸漬処理により無機質脱灰する第2工程と、歯冠表面、歯随腔内を次亜塩素酸ナトリウムゲルの浸漬処理により有機質溶解する第3工程と、歯冠崩壊部と歯随腔内に、セルフエッチングプライマーを導入した歯科用接着剤を塗布した後、歯牙と弾性率のほぼ等しい歯科充填用コンポジットレジンにて充填し、乳歯の形態復元を行う第5工程とから成る請求項1に記載の乳歯形態復元物の保存方法。
【請求項3】
乳歯形態復元物の生成は、第3工程の後に、歯冠表面のエナメル質、象牙質を過酸化尿素の浸漬処理により漂白する第4工程を含む請求項2に記載の乳歯形態復元物の保存方法。
【請求項4】
乳歯形態復元物の生成は、第5工程の後に、歯冠表面へのエナメル質改善剤の塗布によって、歯牙にできたナノレベルの傷の修復処理を行う第6工程を含む請求項2に記載の乳歯形態復元物の保存方法。
【請求項5】
所定の容器に流動パラフィンを収容し、これに乳歯形態復元物を浸漬させて成ることを特徴とする乳歯形態復元物の保存物。
【請求項6】
乳歯形態復元物は、歯冠表面、歯随腔内をリン酸ゲルの浸漬処理により無機質脱灰し、歯冠表面、歯随腔内を次亜塩素酸ナトリウムゲルの浸漬処理により有機質溶解し、歯冠表面のエナメル質、象牙質を過酸化尿素の浸漬処理により漂白すると共に、歯冠崩壊部と歯随腔内に、セルフエッチングプライマーを導入した歯科用接着剤を塗布し、歯牙と弾性率のほぼ等しい歯科充填用コンポジットレジンにて充填し、乳歯の形態復元を行うことで生成されて成る請求項5に記載の乳歯形態復元物の保存物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−194384(P2008−194384A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−35169(P2007−35169)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(507050894)
【出願人】(507050908)
【出願人】(507051053)
【Fターム(参考)】