乾式外壁材
【課題】本発明は、重厚感・安定感があり、また意匠性が高い建物の外観を実現する乾式外壁材を提供することを目的とする。
【解決手段】
ALCパネル1は、建物の外壁に用いられる板状の乾式外壁材であって、正面視で矩形をなすパネル本体部3と、パネル本体部3の輪郭をなす長方形60の4辺上に当該パネル本体部3の周囲を包囲するように所定の幅で形成され、隣接して施工される他のALCパネルとの間にシーリング処理を施すための目地処理代部5a〜5dと、を備え、パネル本体部3の表面側には、目地処理代部5aに隣接し平行して帯状に延びる化粧目地13が形成されていると共に、化粧目地13よりも高く形成された台状部15が形成されており、台状部15の正面視形状は、縦横の長さの比が略黄金比をなす長方形であることを特徴とする。
【解決手段】
ALCパネル1は、建物の外壁に用いられる板状の乾式外壁材であって、正面視で矩形をなすパネル本体部3と、パネル本体部3の輪郭をなす長方形60の4辺上に当該パネル本体部3の周囲を包囲するように所定の幅で形成され、隣接して施工される他のALCパネルとの間にシーリング処理を施すための目地処理代部5a〜5dと、を備え、パネル本体部3の表面側には、目地処理代部5aに隣接し平行して帯状に延びる化粧目地13が形成されていると共に、化粧目地13よりも高く形成された台状部15が形成されており、台状部15の正面視形状は、縦横の長さの比が略黄金比をなす長方形であることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾式外壁材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、下記特許文献1に記載の外壁材が知られている。外壁材は、建物表面に施工されるものであり、建物の意匠性を向上させるべく、タイル柄やチェック柄等の模様が外壁材自体に施されているものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−169262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建物の顔となるファサードの外壁の外壁材は、建物の外観を直接左右するものであり、例えば、外壁材の目地の配置によっても建物の外観が大きく異なるものである。この種の外壁材においては、厚さが薄い外壁材を建物に施す場合にも重厚感・安定感があり、また意匠性が高い建物の外観が望まれる。
【0005】
本発明は、重厚感・安定感があり、また意匠性が高い建物の外観を実現する乾式外壁材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の乾式外壁材は、建物の外壁に用いられる板状の乾式外壁材であって、正面視で矩形をなす外壁材本体部と、外壁材本体部の輪郭をなす矩形の4辺上に当該外壁材本体部の周囲を包囲するように所定の幅で形成され、隣接して施工される他の外壁材との間に目地処理を施すための目地処理代部と、を備え、外壁材本体部の表面側には、目地処理代部に隣接し平行して帯状に延びる化粧目地が矩形の少なくとも1辺に沿って形成されていると共に、化粧目地よりも高く形成された台状部が形成されており、台状部の正面視形状は、縦横の長さの比が略黄金比をなす長方形であることを特徴とする。
【0007】
この乾式外壁材を建物外壁に配列したときには、長方形の台状部と、台状部同士の間に存在する帯状の溝とが、外観に現れる。上記の帯状の溝は、化粧目地と本物の目地とが合わさって構成されたものである。このとき、外壁の外観上、帯状の溝が強調され、その溝の一部分である本物の目地は目立たないこととなる。従って、上記の帯状の溝が強調され、更に、台状部は、縦横の長さの比が略黄金比をなす長方形であることにより、重厚感・安定感があり、意匠性が高い建物の外観が実現される。
【0008】
また、具体的には、化粧目地は、上記矩形の2つの長辺にそれぞれ沿う位置に2つ存在しており、上記矩形の2つの短辺は、それぞれ、台状部の輪郭をなす長方形の短辺を含んでいることとしてもよい。この乾式外壁材を建物外壁に配列したときには、台状部の長辺同士に挟まれる配置で、上記2つの化粧目地とその間に形成される本物の目地とを合わせて構成される帯状の溝が現れる。
【0009】
また、化粧目地は、上記矩形の1つの長辺に沿って1つのみ位置しており、上記矩形の他の長辺は、台状部の輪郭をなす長方形の長辺を含んでおり、上記矩形の2つの短辺は、それぞれ、台状部の輪郭をなす長方形の短辺を含んでいることとしてもよい。この乾式外壁材を建物外壁に配列したときには、台状部の長辺同士に挟まれる配置で、上記化粧目地と本物の目地とで構成される帯状の溝が現れる。この場合、帯状の溝における本物の目地は、帯状の溝の端部であり台状部に隣接する位置にあるので、本物の目地は更に目立たなくなる。その結果、更に、重厚感・安定感があり、意匠性が高い建物の外観が実現される。
【0010】
また、化粧目地の表面は、目地処理において目地処理代部に設けられる充填材の表面と同じ高さに設けられていることが好ましい。この構成によれば、上記帯状の溝の表面は、本物の目地における充填材の表面と、化粧目地の表面とで構成される。そして、化粧目地の表面と充填材の表面とが面一に形成されることにより、帯状の溝における本物の目地がより目立ちにくくなり、その結果、更に、重厚感・安定感があり、意匠性が高い建物の外観が実現される。
【0011】
また、本発明の乾式外壁材の正面視形状が、縦及び横の長さを303mmの略整数倍とする矩形であることとしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の乾式外壁材によれば、重厚感・安定感があり、また意匠性が高い建物の外観を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の乾式外壁材の第1実施形態であるALCパネルを示す正面図である。
【図2】図1のALCパネルを拡大して示す正面図である。
【図3】図1のALCパネルのIII-III断面図である。
【図4】図1のALCパネルのIV-IV断面図である。
【図5】施工時において短辺同士で隣接するALCパネル同士の接続部を拡大して示す図である。
【図6】施工時において長辺同士で隣接するALCパネル同士の接続部を拡大して示す断面図である。
【図7】図1のALCパネルを建物外壁に配列し施工した状態を示す正面図である。
【図8】図1のALCパネルの変形例を拡大して示す正面図である。
【図9】図8のALCパネル同士を長辺同士で接続したときの接続部を拡大して示す断面図である。
【図10】本発明の乾式外壁材の第2実施形態であるALCパネルを示す正面図である。
【図11】図10のALCパネルを拡大して示す正面図である。
【図12】図10のALCパネルのXII-XII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る乾式外壁材の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0015】
(第1実施形態)
図1〜図4を参照しながら、本発明に係る乾式外壁材の第1実施形態として、ALC(軽量気泡コンクリート)パネル1について説明する。ALCパネル1は、建物の外壁に縦横に配列されて用いられる乾式外壁材である。ALCパネル1は、正面視で606mm×908mmの長方形をなし、最厚部分の厚さが37mmといった板状のものである。ALCパネル1の寸法は、303mmを1単位Lとした尺モジュール規格に対応可能とするために、ALCパネル1の縦横の長さは、Lの略整数倍の値が採用される。ここでは、ALCパネル1の短辺の長さ606mmはLの2倍であり、長辺の長さ908mmはLの略3倍である。「303mmの略整数倍」とは、例えば、303mmの整数倍の値に対し±5mmの範囲とする。また、ALCパネル1の縦横の長さを、303mmの整数倍の値に対し±3mmの範囲とすると、尺モジュール規格への適合性が更によくなるので、より好ましい。また、ACLパネル1の厚さは特に限定されないが、30〜100mmとなる。なお、発明の理解を容易にするために、各図面においては各部の形状を誇張して描く場合があり、図面上の寸法比は、実物の寸法比とは必ずしも一致しない。また、各図に記入したALCパネル各部の寸法の単位はすべて〔mm〕である。
【0016】
ALCパネル1は、正面視で長方形(矩形)をなすパネル本体部3と、パネル本体部3を包囲するようにその4辺に沿って所定の幅で形成された目地処理代部5a,5b,5c,5dとを備えている。目地処理代部5a〜5dは、施工時に隣接する他のALCパネルとの間に目地処理を施すためのものである。すなわち、ここでは、ALCパネル1全体のうち、他のパネルとの接続に必要な加工代(目地処理代部5a〜5d)を除いた部分を、パネル本体部3と称している。目地処理代部5b,5c,5dの幅は5.5mmであり、目地処理代部5aの幅は3.8mmである。目地処理代部5a〜5dは、後述のとおり、シーリング材充填部21と面取り部27とを含む部分である。
【0017】
以下、図2に示すように、パネル本体部3の輪郭をなす長方形に「60」の符号を付して示す。また、長方形60の長辺に「60a,60c」の符号を付し、長方形60の短辺に「60b,60d」の符号を付して示す。
【0018】
パネル本体部3の表面側には、長方形60の長辺60a,60cに平行に延びる段差部11が設けられている。パネル本体部3の表面側は、段差部11を境界として2つに分割されている。2分割された一方の領域は、目地処理代部5aに隣接し平行して帯状に延びる化粧目地13として形成されており、他方の領域は、化粧目地13よりも高く形成された台状部15として形成されている。化粧目地13は、幅41mmといった比較的幅広の帯状をなし、施工時に実際に形成される本物の目地よりも幅が広い。なお、台状部15は、ALCパネル1の最厚部分である。
【0019】
台状部15は、化粧目地13よりも5mm高く形成されており、正面視で554mm×897mmの長方形をなしている。長方形をなす台状部15は、4辺のうちの3辺において、目地処理代部5b,5c,5dと隣接している。以下、図2に示すように、台状部15の輪郭をなす長方形に「70」の符号を付して示す。また、長方形70の長辺に「70a,70c」の符号を付し、長方形70の短辺に「70b,70d」の符号を付して示す。長方形70の短辺70b,70dは、それぞれ、長方形60の短辺60b,60dに含まれている。長方形70の長辺70cは、長方形60の長辺60cと重なっている。
【0020】
長方形70の短辺70b,70dの長さ554mmと、長辺70a,70cの長さ897mmとの比は、ほぼ1:(1+√5)/2 (1:1.618…)の黄金比である。すなわち、台状部15は、正面視において、縦横の長さの比が略黄金比をなす長方形であるので、見る者に安定感や美観を感じさせる外観を呈する。ここで、「略黄金比」とは、1:1.60〜1:1.64の範囲を指す。この範囲であれば、縦横の長さの比が真の黄金比をなす長方形と同等の安定感や美観を生じせしめることができる。
【0021】
図3及び図4に示すように、目地処理代部5a〜5dは、パネル本体部3の台状部15よりも低く形成された幅3.5mmのシーリング材充填部21を有している。この構成によれば、施工時には、図5及び図6に示すように、隣接するALCパネル1同士の接続部分に、幅7.0mmの溝部が形成されるので、目地処理においては当該溝部にシーリング材(充填材)23を充填することができる。更に、目地処理代部5a〜5dは、パネル本体部3との段差部分の角部に形成された面取り部27を有している。面取り部27の存在により、施工されたALCパネル1に塗装を施す場合に、目地付近にも良好に塗料が付着する。
【0022】
図5に示されるように、施工時において、目地処理代部5bと目地処理代部5dとの接続部分においては、シーリング材23は、面取り部27の下端よりもやや上の位置に達する高さまで溝部に充填され、パネル本体部3の表面よりも低い位置に目地29bの表面が形成される。一方、図6に示されるように、目地処理代部5aに隣接する化粧目地13が低い位置にあることから、施工時に、目地処理代部5aと目地処理代部5cとの接続部分においては、化粧目地13の表面と、シーリング材23の露出した表面と、が同じ高さになるように、シーリング材23が充填される。このように、化粧目地13の表面とシーリング材23の表面とが面一になることで、化粧目地13と本物の目地29aとが一体になって、長辺60aに平行に延びる帯状の溝31が形成される。
【0023】
このようなALCパネル1の製作は以下のとおり行われる。まず、型枠中に補強材のラス網を配置し、この型枠内に、石灰質材料及び珪酸質原料を粉砕したもの、適量の水、及び気泡材等を混合した原料スラリーを注入してラス網を包囲し、原料スラリーを発泡硬化させてモルタルブロックを形成する。そして、モルタルブロックをピアノ線等により所望の寸法に切断し、オートクレーブ養生を施す。目地処理代部5a〜5dは、切削加工により形成される。化粧目地13は、切削等の加工により形成される。すなわち、化粧目地13は、刃物で削る切削加工で形成してもよく、又はプレス等で凹ませて形成してもよい。なお、上記補強材はラス網に限られず、メタルラスや鉄筋格子などを補強材として使用することもできる。
【0024】
以上説明したとおり、ALCパネル1は、短辺2L、長辺3L(L=303mm)の尺モジュール規格の外壁材であり、ALCパネル1の最厚部分である台状部15が正面視で554mm×897mmの長方形をなしている。そして台状部15の輪郭をなす上記長方形は、短辺と長辺との比を略黄金比とするものである。
【0025】
次に、ALCパネル1による作用効果について説明する。
【0026】
図7は、多数のALCパネル1を建物の外壁に配列し施工した状態の正面図を示している。ここでは、各ALCパネル1は、化粧目地13側を上にして縦横に二次元的に配列される。この外壁においては、格子状に配列された台状部15と、台状部15同士で上下に挟まれ水平に延びる溝31と、が特徴的な外観として現れる。このとき、比較的幅広い水平帯状の溝31が強調されるので、本物の目地29aは目立たないこととなる。従って、溝31が強調され、更に、台状部15が、縦横の長さの比が略黄金比をなす長方形をなすことにより、重厚感・安定感があり、意匠性が高い建物の外観が実現される。すなわち、比較的幅広い溝31を目立たせることにより、厚さが薄いALCパネルを用いた場合にも、重厚感のある石積みのようなどっしりとした安定感のある建物の外観が実現される。換言すれば、比較的薄いALCパネルを採用しながら、重厚感・安定感がある外観を実現できるので、外壁材の軽量化を図ることもできる。
【0027】
なお、施工時に溝31のような外観的に強調される溝を形成させるためには、例えば、図8のようなALCパネル101を用いてもよい。ALCパネル101においては、パネル本体部3のうち、長方形60の2つの長辺60a,60cに沿うそれぞれの位置に、2つの化粧目地113a,113cが形成されている。そして、化粧目地113a,113cの間に挟まれた領域に、当該化粧目地113a,113cよりも高く形成された台状部15が形成されており、台状部15の正面視形状は、縦横の長さの比が略黄金比をなす長方形である。長方形60の短辺60b、60dは、それぞれ、長方形70の短辺70b,70dを含んでいる。なお、化粧目地113aと113cとは、同じ幅でなくてもよい。
【0028】
このようなALCパネル101を建物の外壁に配列し施工した場合、図9に示すように、台状部15同士の間には、化粧目地113aと、本物の目地29aと、化粧目地113cとを合わせてなる溝131が形成される。よって、外壁の外観上は、溝131が強調されて、本物の目地29aが目立たず、ALCパネル1と同等の作用効果が奏される。但し、ALCパネル101を配列した外壁においては、図9に示されるように、本物の目地29aが溝131の中央付近に現れるので、本物の目地29aを目立たせない効果については、ALCパネル1には及ばないと考えられる。
【0029】
すなわち、ALCパネル1においては、化粧目地13が、長方形60の1つの長辺60aに沿って1つのみ存在する構成を有している。この構成によって、図5及び図7に示されるように、施工後における本物の目地29aは、溝31の端部に位置し、しかも台状部15に隣接して存在する。従って、ALCパネル1が施工された外壁では、ALCパネル101を用いた場合に比べても、更に、本物の目地29aが目立ちにくい。このように、上記のように化粧目地13をパネル本体部3の端部に1つのみ設けるといったALCパネル1の構成は、本物の目地29aをより目立たなくする作用効果を奏する。
【0030】
また、化粧目地13の表面とシーリング材23による本物の目地29aの表面とが同じ高さに設けられている構成により、化粧目地13の表面とシーリング材23の表面とが面一に形成されるので、溝31における本物の目地29aをより目立たなくする作用効果を奏する。その結果、更に、重厚感・安定感があり、意匠性が高い建物の外観が実現される。
【0031】
また、図7に示したように、ALCパネル1を外壁に配列施工するときに、化粧目地13側(目地処理代部5a側)を上にして設置する施工方法によれば、水平に延びる本物の目地29aは、台状部15の直ぐ下方に隣接して位置することになる。そうすると、外壁の斜め上方向から太陽光を受けた場合に、本物の目地29aが台状部15の影に入りやすく、その結果、本物の目地29aが更に目立ちにくいといった効果が得られる。
【0032】
(第2実施形態)
続いて、図10〜図12を参照しながら、本発明に係る乾式外壁材の第2実施形態として、ALCパネル201について説明する。なお、ALCパネル201の長辺に直交する断面の形状は、図3に示すALCパネル1の断面形状と同一であるので、図示を省略する。
【0033】
図に示すように、ALCパネル201は、前述のALCパネル1を長手方向に2つ接続し一体化したような構造を有している。ALCパネル201は、正面視で606mm×1818mmの長方形をなし、最厚部分の厚みが37mmといった板状のものである。ここでは、ALCパネル201の短辺の長さ606mmはLの2倍であり、長辺の長さ1818mmはLの6倍である。ALCパネル201において、ALCパネル1と同一又は同等の構成要素については図面に同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0034】
ALCパネル1は、正面視で長方形をなすパネル本体部203と、パネル本体部3を包囲するようにその4辺に沿って所定の幅で形成された目地処理代部5a,5b,5c,5dとを備えている。
【0035】
以下、図に示すように、パネル本体部203の輪郭をなす長方形に「260」の符号を付して示す。また、長方形260の長辺に「260a,260c」の符号を付し、長方形260の短辺に「260b,260d」の符号を付して示す。
【0036】
パネル本体部203の表面側には、長方形260の長辺260a,260cに平行に延びる段差部211が設けられている。パネル本体部203の表面側は、段差部211を境界として2つに分割されている。2分割された一方の領域は、目地処理代部5aに隣接し平行して帯状に延びる化粧目地213として形成されており、他方の領域は、化粧目地213よりも高く形成された凸面部214として形成されている。さらに、凸面部214は、短辺260b,260dに平行に延びる幅約12mmの第2化粧目地216によって、同一形状の2つの台状部215に分割されている。台状部215は、前述の台状部15と同一形状をなし、化粧目地213よりも5mm高く形成されており、正面視で554mm×897mmの長方形をなしている。すなわち、台状部215は、それぞれ、正面視で縦横の長さの比が略黄金比をなす長方形である。なお、ALCパネル201全体の寸法が変動する場合にも、目地処理代部5a〜5dや第2化粧目地216の形状や寸法を調整することにより、台状部215の寸法を554mm×897mmになるように調整することができる。
【0037】
以上説明したとおり、ALCパネル201は、短辺2L、長辺6L(L=303mm)の尺モジュール規格の外壁材であり、ALCパネル201の最厚部分である2つの台状部215が長手方向に配列されており、台状部215は、それぞれ正面視で554mm×897mmの長方形をなしている。そして台状部215の輪郭をなす上記長方形は、短辺と長辺との比を略黄金比とするものである。
【0038】
以上のALCパネル201を建物の外壁に配列し施工した場合には、ALCパネル1を建物の外壁に配列し施工した状態(図7参照)とほぼ同一の外観が現れる。従って、ALCパネル201によれば、前述したALCパネル1による作用効果と同一の作用効果が奏される。
【0039】
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば、実施形態では、化粧目地13を長方形60の1つの長辺60aに沿って形成する形態と、化粧目地13を長方形60の2つの長辺60a,60cそれぞれに沿って2つ形成する形態とを説明しているが、化粧目地は、長方形60の3辺それぞれに沿って3つ存在してもよく、長方形60の4辺それぞれに沿って4つ存在してもよい。すなわち、台状部を、略黄金比の長方形として残すように化粧目地及び第2化粧目地を形成する形態であればよい。この場合、台状部の個数は、1つ又は2つに限られず、3つ以上としてもよい。また、実施形態ではALCパネルの例を説明したが、本発明は、例えば、セメント(窯業)系サイディング、セラミック系サイディング、金属系サイディング、樹脂系サイディングといったような、他のタイプの乾式外壁材にも適用可能である。
【符号の説明】
【0040】
1,101,201…ALCパネル(乾式外壁材)、3,203…パネル本体部(外壁材本体部)、5a,5b,5c,5d…目地処理代部、11…段差部、13,213…化粧目地、15,215…台状部、23…シーリング材(充填材)、60a,60c,260a,260c…長方形の長辺(外壁材本体部の輪郭をなす矩形の長辺)、60b,60d,260b,260d…長方形の短辺(外壁材本体部の輪郭をなす矩形の短辺)、70a,70c…長方形の長辺(台状部の輪郭をなす長方形の長辺)、70b,70d…長方形の短辺(台状部の輪郭をなす長方形の短辺)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾式外壁材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、下記特許文献1に記載の外壁材が知られている。外壁材は、建物表面に施工されるものであり、建物の意匠性を向上させるべく、タイル柄やチェック柄等の模様が外壁材自体に施されているものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−169262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建物の顔となるファサードの外壁の外壁材は、建物の外観を直接左右するものであり、例えば、外壁材の目地の配置によっても建物の外観が大きく異なるものである。この種の外壁材においては、厚さが薄い外壁材を建物に施す場合にも重厚感・安定感があり、また意匠性が高い建物の外観が望まれる。
【0005】
本発明は、重厚感・安定感があり、また意匠性が高い建物の外観を実現する乾式外壁材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の乾式外壁材は、建物の外壁に用いられる板状の乾式外壁材であって、正面視で矩形をなす外壁材本体部と、外壁材本体部の輪郭をなす矩形の4辺上に当該外壁材本体部の周囲を包囲するように所定の幅で形成され、隣接して施工される他の外壁材との間に目地処理を施すための目地処理代部と、を備え、外壁材本体部の表面側には、目地処理代部に隣接し平行して帯状に延びる化粧目地が矩形の少なくとも1辺に沿って形成されていると共に、化粧目地よりも高く形成された台状部が形成されており、台状部の正面視形状は、縦横の長さの比が略黄金比をなす長方形であることを特徴とする。
【0007】
この乾式外壁材を建物外壁に配列したときには、長方形の台状部と、台状部同士の間に存在する帯状の溝とが、外観に現れる。上記の帯状の溝は、化粧目地と本物の目地とが合わさって構成されたものである。このとき、外壁の外観上、帯状の溝が強調され、その溝の一部分である本物の目地は目立たないこととなる。従って、上記の帯状の溝が強調され、更に、台状部は、縦横の長さの比が略黄金比をなす長方形であることにより、重厚感・安定感があり、意匠性が高い建物の外観が実現される。
【0008】
また、具体的には、化粧目地は、上記矩形の2つの長辺にそれぞれ沿う位置に2つ存在しており、上記矩形の2つの短辺は、それぞれ、台状部の輪郭をなす長方形の短辺を含んでいることとしてもよい。この乾式外壁材を建物外壁に配列したときには、台状部の長辺同士に挟まれる配置で、上記2つの化粧目地とその間に形成される本物の目地とを合わせて構成される帯状の溝が現れる。
【0009】
また、化粧目地は、上記矩形の1つの長辺に沿って1つのみ位置しており、上記矩形の他の長辺は、台状部の輪郭をなす長方形の長辺を含んでおり、上記矩形の2つの短辺は、それぞれ、台状部の輪郭をなす長方形の短辺を含んでいることとしてもよい。この乾式外壁材を建物外壁に配列したときには、台状部の長辺同士に挟まれる配置で、上記化粧目地と本物の目地とで構成される帯状の溝が現れる。この場合、帯状の溝における本物の目地は、帯状の溝の端部であり台状部に隣接する位置にあるので、本物の目地は更に目立たなくなる。その結果、更に、重厚感・安定感があり、意匠性が高い建物の外観が実現される。
【0010】
また、化粧目地の表面は、目地処理において目地処理代部に設けられる充填材の表面と同じ高さに設けられていることが好ましい。この構成によれば、上記帯状の溝の表面は、本物の目地における充填材の表面と、化粧目地の表面とで構成される。そして、化粧目地の表面と充填材の表面とが面一に形成されることにより、帯状の溝における本物の目地がより目立ちにくくなり、その結果、更に、重厚感・安定感があり、意匠性が高い建物の外観が実現される。
【0011】
また、本発明の乾式外壁材の正面視形状が、縦及び横の長さを303mmの略整数倍とする矩形であることとしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の乾式外壁材によれば、重厚感・安定感があり、また意匠性が高い建物の外観を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の乾式外壁材の第1実施形態であるALCパネルを示す正面図である。
【図2】図1のALCパネルを拡大して示す正面図である。
【図3】図1のALCパネルのIII-III断面図である。
【図4】図1のALCパネルのIV-IV断面図である。
【図5】施工時において短辺同士で隣接するALCパネル同士の接続部を拡大して示す図である。
【図6】施工時において長辺同士で隣接するALCパネル同士の接続部を拡大して示す断面図である。
【図7】図1のALCパネルを建物外壁に配列し施工した状態を示す正面図である。
【図8】図1のALCパネルの変形例を拡大して示す正面図である。
【図9】図8のALCパネル同士を長辺同士で接続したときの接続部を拡大して示す断面図である。
【図10】本発明の乾式外壁材の第2実施形態であるALCパネルを示す正面図である。
【図11】図10のALCパネルを拡大して示す正面図である。
【図12】図10のALCパネルのXII-XII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る乾式外壁材の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0015】
(第1実施形態)
図1〜図4を参照しながら、本発明に係る乾式外壁材の第1実施形態として、ALC(軽量気泡コンクリート)パネル1について説明する。ALCパネル1は、建物の外壁に縦横に配列されて用いられる乾式外壁材である。ALCパネル1は、正面視で606mm×908mmの長方形をなし、最厚部分の厚さが37mmといった板状のものである。ALCパネル1の寸法は、303mmを1単位Lとした尺モジュール規格に対応可能とするために、ALCパネル1の縦横の長さは、Lの略整数倍の値が採用される。ここでは、ALCパネル1の短辺の長さ606mmはLの2倍であり、長辺の長さ908mmはLの略3倍である。「303mmの略整数倍」とは、例えば、303mmの整数倍の値に対し±5mmの範囲とする。また、ALCパネル1の縦横の長さを、303mmの整数倍の値に対し±3mmの範囲とすると、尺モジュール規格への適合性が更によくなるので、より好ましい。また、ACLパネル1の厚さは特に限定されないが、30〜100mmとなる。なお、発明の理解を容易にするために、各図面においては各部の形状を誇張して描く場合があり、図面上の寸法比は、実物の寸法比とは必ずしも一致しない。また、各図に記入したALCパネル各部の寸法の単位はすべて〔mm〕である。
【0016】
ALCパネル1は、正面視で長方形(矩形)をなすパネル本体部3と、パネル本体部3を包囲するようにその4辺に沿って所定の幅で形成された目地処理代部5a,5b,5c,5dとを備えている。目地処理代部5a〜5dは、施工時に隣接する他のALCパネルとの間に目地処理を施すためのものである。すなわち、ここでは、ALCパネル1全体のうち、他のパネルとの接続に必要な加工代(目地処理代部5a〜5d)を除いた部分を、パネル本体部3と称している。目地処理代部5b,5c,5dの幅は5.5mmであり、目地処理代部5aの幅は3.8mmである。目地処理代部5a〜5dは、後述のとおり、シーリング材充填部21と面取り部27とを含む部分である。
【0017】
以下、図2に示すように、パネル本体部3の輪郭をなす長方形に「60」の符号を付して示す。また、長方形60の長辺に「60a,60c」の符号を付し、長方形60の短辺に「60b,60d」の符号を付して示す。
【0018】
パネル本体部3の表面側には、長方形60の長辺60a,60cに平行に延びる段差部11が設けられている。パネル本体部3の表面側は、段差部11を境界として2つに分割されている。2分割された一方の領域は、目地処理代部5aに隣接し平行して帯状に延びる化粧目地13として形成されており、他方の領域は、化粧目地13よりも高く形成された台状部15として形成されている。化粧目地13は、幅41mmといった比較的幅広の帯状をなし、施工時に実際に形成される本物の目地よりも幅が広い。なお、台状部15は、ALCパネル1の最厚部分である。
【0019】
台状部15は、化粧目地13よりも5mm高く形成されており、正面視で554mm×897mmの長方形をなしている。長方形をなす台状部15は、4辺のうちの3辺において、目地処理代部5b,5c,5dと隣接している。以下、図2に示すように、台状部15の輪郭をなす長方形に「70」の符号を付して示す。また、長方形70の長辺に「70a,70c」の符号を付し、長方形70の短辺に「70b,70d」の符号を付して示す。長方形70の短辺70b,70dは、それぞれ、長方形60の短辺60b,60dに含まれている。長方形70の長辺70cは、長方形60の長辺60cと重なっている。
【0020】
長方形70の短辺70b,70dの長さ554mmと、長辺70a,70cの長さ897mmとの比は、ほぼ1:(1+√5)/2 (1:1.618…)の黄金比である。すなわち、台状部15は、正面視において、縦横の長さの比が略黄金比をなす長方形であるので、見る者に安定感や美観を感じさせる外観を呈する。ここで、「略黄金比」とは、1:1.60〜1:1.64の範囲を指す。この範囲であれば、縦横の長さの比が真の黄金比をなす長方形と同等の安定感や美観を生じせしめることができる。
【0021】
図3及び図4に示すように、目地処理代部5a〜5dは、パネル本体部3の台状部15よりも低く形成された幅3.5mmのシーリング材充填部21を有している。この構成によれば、施工時には、図5及び図6に示すように、隣接するALCパネル1同士の接続部分に、幅7.0mmの溝部が形成されるので、目地処理においては当該溝部にシーリング材(充填材)23を充填することができる。更に、目地処理代部5a〜5dは、パネル本体部3との段差部分の角部に形成された面取り部27を有している。面取り部27の存在により、施工されたALCパネル1に塗装を施す場合に、目地付近にも良好に塗料が付着する。
【0022】
図5に示されるように、施工時において、目地処理代部5bと目地処理代部5dとの接続部分においては、シーリング材23は、面取り部27の下端よりもやや上の位置に達する高さまで溝部に充填され、パネル本体部3の表面よりも低い位置に目地29bの表面が形成される。一方、図6に示されるように、目地処理代部5aに隣接する化粧目地13が低い位置にあることから、施工時に、目地処理代部5aと目地処理代部5cとの接続部分においては、化粧目地13の表面と、シーリング材23の露出した表面と、が同じ高さになるように、シーリング材23が充填される。このように、化粧目地13の表面とシーリング材23の表面とが面一になることで、化粧目地13と本物の目地29aとが一体になって、長辺60aに平行に延びる帯状の溝31が形成される。
【0023】
このようなALCパネル1の製作は以下のとおり行われる。まず、型枠中に補強材のラス網を配置し、この型枠内に、石灰質材料及び珪酸質原料を粉砕したもの、適量の水、及び気泡材等を混合した原料スラリーを注入してラス網を包囲し、原料スラリーを発泡硬化させてモルタルブロックを形成する。そして、モルタルブロックをピアノ線等により所望の寸法に切断し、オートクレーブ養生を施す。目地処理代部5a〜5dは、切削加工により形成される。化粧目地13は、切削等の加工により形成される。すなわち、化粧目地13は、刃物で削る切削加工で形成してもよく、又はプレス等で凹ませて形成してもよい。なお、上記補強材はラス網に限られず、メタルラスや鉄筋格子などを補強材として使用することもできる。
【0024】
以上説明したとおり、ALCパネル1は、短辺2L、長辺3L(L=303mm)の尺モジュール規格の外壁材であり、ALCパネル1の最厚部分である台状部15が正面視で554mm×897mmの長方形をなしている。そして台状部15の輪郭をなす上記長方形は、短辺と長辺との比を略黄金比とするものである。
【0025】
次に、ALCパネル1による作用効果について説明する。
【0026】
図7は、多数のALCパネル1を建物の外壁に配列し施工した状態の正面図を示している。ここでは、各ALCパネル1は、化粧目地13側を上にして縦横に二次元的に配列される。この外壁においては、格子状に配列された台状部15と、台状部15同士で上下に挟まれ水平に延びる溝31と、が特徴的な外観として現れる。このとき、比較的幅広い水平帯状の溝31が強調されるので、本物の目地29aは目立たないこととなる。従って、溝31が強調され、更に、台状部15が、縦横の長さの比が略黄金比をなす長方形をなすことにより、重厚感・安定感があり、意匠性が高い建物の外観が実現される。すなわち、比較的幅広い溝31を目立たせることにより、厚さが薄いALCパネルを用いた場合にも、重厚感のある石積みのようなどっしりとした安定感のある建物の外観が実現される。換言すれば、比較的薄いALCパネルを採用しながら、重厚感・安定感がある外観を実現できるので、外壁材の軽量化を図ることもできる。
【0027】
なお、施工時に溝31のような外観的に強調される溝を形成させるためには、例えば、図8のようなALCパネル101を用いてもよい。ALCパネル101においては、パネル本体部3のうち、長方形60の2つの長辺60a,60cに沿うそれぞれの位置に、2つの化粧目地113a,113cが形成されている。そして、化粧目地113a,113cの間に挟まれた領域に、当該化粧目地113a,113cよりも高く形成された台状部15が形成されており、台状部15の正面視形状は、縦横の長さの比が略黄金比をなす長方形である。長方形60の短辺60b、60dは、それぞれ、長方形70の短辺70b,70dを含んでいる。なお、化粧目地113aと113cとは、同じ幅でなくてもよい。
【0028】
このようなALCパネル101を建物の外壁に配列し施工した場合、図9に示すように、台状部15同士の間には、化粧目地113aと、本物の目地29aと、化粧目地113cとを合わせてなる溝131が形成される。よって、外壁の外観上は、溝131が強調されて、本物の目地29aが目立たず、ALCパネル1と同等の作用効果が奏される。但し、ALCパネル101を配列した外壁においては、図9に示されるように、本物の目地29aが溝131の中央付近に現れるので、本物の目地29aを目立たせない効果については、ALCパネル1には及ばないと考えられる。
【0029】
すなわち、ALCパネル1においては、化粧目地13が、長方形60の1つの長辺60aに沿って1つのみ存在する構成を有している。この構成によって、図5及び図7に示されるように、施工後における本物の目地29aは、溝31の端部に位置し、しかも台状部15に隣接して存在する。従って、ALCパネル1が施工された外壁では、ALCパネル101を用いた場合に比べても、更に、本物の目地29aが目立ちにくい。このように、上記のように化粧目地13をパネル本体部3の端部に1つのみ設けるといったALCパネル1の構成は、本物の目地29aをより目立たなくする作用効果を奏する。
【0030】
また、化粧目地13の表面とシーリング材23による本物の目地29aの表面とが同じ高さに設けられている構成により、化粧目地13の表面とシーリング材23の表面とが面一に形成されるので、溝31における本物の目地29aをより目立たなくする作用効果を奏する。その結果、更に、重厚感・安定感があり、意匠性が高い建物の外観が実現される。
【0031】
また、図7に示したように、ALCパネル1を外壁に配列施工するときに、化粧目地13側(目地処理代部5a側)を上にして設置する施工方法によれば、水平に延びる本物の目地29aは、台状部15の直ぐ下方に隣接して位置することになる。そうすると、外壁の斜め上方向から太陽光を受けた場合に、本物の目地29aが台状部15の影に入りやすく、その結果、本物の目地29aが更に目立ちにくいといった効果が得られる。
【0032】
(第2実施形態)
続いて、図10〜図12を参照しながら、本発明に係る乾式外壁材の第2実施形態として、ALCパネル201について説明する。なお、ALCパネル201の長辺に直交する断面の形状は、図3に示すALCパネル1の断面形状と同一であるので、図示を省略する。
【0033】
図に示すように、ALCパネル201は、前述のALCパネル1を長手方向に2つ接続し一体化したような構造を有している。ALCパネル201は、正面視で606mm×1818mmの長方形をなし、最厚部分の厚みが37mmといった板状のものである。ここでは、ALCパネル201の短辺の長さ606mmはLの2倍であり、長辺の長さ1818mmはLの6倍である。ALCパネル201において、ALCパネル1と同一又は同等の構成要素については図面に同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0034】
ALCパネル1は、正面視で長方形をなすパネル本体部203と、パネル本体部3を包囲するようにその4辺に沿って所定の幅で形成された目地処理代部5a,5b,5c,5dとを備えている。
【0035】
以下、図に示すように、パネル本体部203の輪郭をなす長方形に「260」の符号を付して示す。また、長方形260の長辺に「260a,260c」の符号を付し、長方形260の短辺に「260b,260d」の符号を付して示す。
【0036】
パネル本体部203の表面側には、長方形260の長辺260a,260cに平行に延びる段差部211が設けられている。パネル本体部203の表面側は、段差部211を境界として2つに分割されている。2分割された一方の領域は、目地処理代部5aに隣接し平行して帯状に延びる化粧目地213として形成されており、他方の領域は、化粧目地213よりも高く形成された凸面部214として形成されている。さらに、凸面部214は、短辺260b,260dに平行に延びる幅約12mmの第2化粧目地216によって、同一形状の2つの台状部215に分割されている。台状部215は、前述の台状部15と同一形状をなし、化粧目地213よりも5mm高く形成されており、正面視で554mm×897mmの長方形をなしている。すなわち、台状部215は、それぞれ、正面視で縦横の長さの比が略黄金比をなす長方形である。なお、ALCパネル201全体の寸法が変動する場合にも、目地処理代部5a〜5dや第2化粧目地216の形状や寸法を調整することにより、台状部215の寸法を554mm×897mmになるように調整することができる。
【0037】
以上説明したとおり、ALCパネル201は、短辺2L、長辺6L(L=303mm)の尺モジュール規格の外壁材であり、ALCパネル201の最厚部分である2つの台状部215が長手方向に配列されており、台状部215は、それぞれ正面視で554mm×897mmの長方形をなしている。そして台状部215の輪郭をなす上記長方形は、短辺と長辺との比を略黄金比とするものである。
【0038】
以上のALCパネル201を建物の外壁に配列し施工した場合には、ALCパネル1を建物の外壁に配列し施工した状態(図7参照)とほぼ同一の外観が現れる。従って、ALCパネル201によれば、前述したALCパネル1による作用効果と同一の作用効果が奏される。
【0039】
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば、実施形態では、化粧目地13を長方形60の1つの長辺60aに沿って形成する形態と、化粧目地13を長方形60の2つの長辺60a,60cそれぞれに沿って2つ形成する形態とを説明しているが、化粧目地は、長方形60の3辺それぞれに沿って3つ存在してもよく、長方形60の4辺それぞれに沿って4つ存在してもよい。すなわち、台状部を、略黄金比の長方形として残すように化粧目地及び第2化粧目地を形成する形態であればよい。この場合、台状部の個数は、1つ又は2つに限られず、3つ以上としてもよい。また、実施形態ではALCパネルの例を説明したが、本発明は、例えば、セメント(窯業)系サイディング、セラミック系サイディング、金属系サイディング、樹脂系サイディングといったような、他のタイプの乾式外壁材にも適用可能である。
【符号の説明】
【0040】
1,101,201…ALCパネル(乾式外壁材)、3,203…パネル本体部(外壁材本体部)、5a,5b,5c,5d…目地処理代部、11…段差部、13,213…化粧目地、15,215…台状部、23…シーリング材(充填材)、60a,60c,260a,260c…長方形の長辺(外壁材本体部の輪郭をなす矩形の長辺)、60b,60d,260b,260d…長方形の短辺(外壁材本体部の輪郭をなす矩形の短辺)、70a,70c…長方形の長辺(台状部の輪郭をなす長方形の長辺)、70b,70d…長方形の短辺(台状部の輪郭をなす長方形の短辺)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁に用いられる板状の乾式外壁材であって、
正面視で矩形をなす外壁材本体部と、
前記外壁材本体部の輪郭をなす矩形の4辺上に当該外壁材本体部の周囲を包囲するように所定の幅で形成され、隣接して施工される他の外壁材との間に目地処理を施すための目地処理代部と、を備え、
前記外壁材本体部の表面側には、
前記目地処理代部に隣接し平行して帯状に延びる化粧目地が前記矩形の少なくとも1辺に沿って形成されていると共に、前記化粧目地よりも高く形成された台状部が形成されており、
前記台状部の正面視形状は、縦横の長さの比が略黄金比をなす長方形であることを特徴とする乾式外壁材。
【請求項2】
前記化粧目地は、前記矩形の2つの長辺にそれぞれ沿う位置に2つ存在しており、
前記矩形の2つの短辺は、それぞれ、前記台状部の輪郭をなす長方形の短辺を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の乾式外壁材。
【請求項3】
前記化粧目地は、前記矩形の1つの長辺に沿って1つのみ位置しており、
前記矩形の他の長辺は、前記台状部の輪郭をなす長方形の長辺を含んでおり、
前記矩形の2つの短辺は、それぞれ、前記台状部の輪郭をなす長方形の短辺を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の乾式外壁材。
【請求項4】
前記化粧目地の表面は、前記目地処理において前記目地処理代部に設けられる充填材の表面と同じ高さに設けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の乾式外壁材。
【請求項5】
正面視形状が、縦及び横の長さを303mmの略整数倍とする矩形であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の乾式外壁材。
【請求項1】
建物の外壁に用いられる板状の乾式外壁材であって、
正面視で矩形をなす外壁材本体部と、
前記外壁材本体部の輪郭をなす矩形の4辺上に当該外壁材本体部の周囲を包囲するように所定の幅で形成され、隣接して施工される他の外壁材との間に目地処理を施すための目地処理代部と、を備え、
前記外壁材本体部の表面側には、
前記目地処理代部に隣接し平行して帯状に延びる化粧目地が前記矩形の少なくとも1辺に沿って形成されていると共に、前記化粧目地よりも高く形成された台状部が形成されており、
前記台状部の正面視形状は、縦横の長さの比が略黄金比をなす長方形であることを特徴とする乾式外壁材。
【請求項2】
前記化粧目地は、前記矩形の2つの長辺にそれぞれ沿う位置に2つ存在しており、
前記矩形の2つの短辺は、それぞれ、前記台状部の輪郭をなす長方形の短辺を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の乾式外壁材。
【請求項3】
前記化粧目地は、前記矩形の1つの長辺に沿って1つのみ位置しており、
前記矩形の他の長辺は、前記台状部の輪郭をなす長方形の長辺を含んでおり、
前記矩形の2つの短辺は、それぞれ、前記台状部の輪郭をなす長方形の短辺を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の乾式外壁材。
【請求項4】
前記化粧目地の表面は、前記目地処理において前記目地処理代部に設けられる充填材の表面と同じ高さに設けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の乾式外壁材。
【請求項5】
正面視形状が、縦及び横の長さを303mmの略整数倍とする矩形であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の乾式外壁材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−162946(P2012−162946A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25166(P2011−25166)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(390018717)旭化成建材株式会社 (249)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(390018717)旭化成建材株式会社 (249)
【Fターム(参考)】
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