説明

乾式生物脱臭方法とその装置

【課題】生物反応を利用した臭気成分の分解・脱臭方式において、微生物の生育と微生物による分解生成物の排出のための散水を必ずしも必要としない生物脱臭方法に係る。
【解決手段】微生物の棲家となる担体にはその全て、又は、その一部として竹チップ、又は木チップ類や籾殻、コーヒー粕など、植物性の有機物を用い、その多孔質な構造とこれらの有機物が有する微生物の栄養源を利用して土壌菌を担持させた担体を用いることで、アンモニア系臭気と硫黄系臭気の非散水式の乾式生物脱臭を可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生活環境項目の一つとしての悪臭処理に係る。 詳しくは、下水処理場や養豚場あるいは化学工場などで発生する悪臭成分を含むガスを、微生物を担持させた竹チップ、又は木チップなどのチップ類や、籾殻、コーヒー粕など、植物性の有機物を充填した反応容器に通気することにより脱臭する方法とその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまで、臭気成分を含むガスの処理の方法としては燃焼による空気酸化処理方法、水等の液体への吸収処理方法、ゼオライトや活性炭、酸化鉄等の吸着剤を用いた吸着処理方法などが適用されてきた。 これらの方法はそれぞれ単独で利用されることもあるが、対象とする臭気成分の種類や濃度の違いにより、いくつかの方法を組み合わして使用することにより除去効果を高めてきた(以下、非特許文献1、2、3参照)。
【0003】
これ以外に、我国では1970年代に入り、生物脱臭に関する研究が進み、土壌脱臭をはじめとする各種の生物脱臭方法が実用化されている。中でも、充填塔式生物脱臭装置は下水処理場やし尿処理場等の公共施設に広く普及している。また、食品工業や飲料水工場などの一般産業界にも適用されてきている。
【0004】
この充填塔式生物脱臭装置をはじめとする生物脱臭は、微生物を担持させた担体を反応容器に充填し、充填した担体に臭気成分を含むガスを通気接触させることで脱臭する方法で、他の方法に比べて、維持管理が容易であることや、維持費用が他の脱臭方法に比べて安価なことを特徴としている。
【0005】
生物脱臭は微生物が持つ機能を有効に利用して脱臭する方式であり、脱臭効率を維持、向上するためには微生物の活性を高めて維持管理することが重要である。従って、微生物の活動の場(棲家)となる担体には様々な材料の適用検討や運転管理上の工夫がなされている。 担体には脱臭機能を発現する各種微生物を多量に保持させるために、次のような特性が求められる。
1 保水性が良いこと
2 空隙率が高く、比表面積が大きいこと
3 通気抵抗が小さいこと
4 物理的強度が高いこと
5 経年変化が小さいこと
6 安価なこと
【0006】
微生物担体としてはこれまでにピート、土壌、コンポスト、及び、これらの改良物や、プラスチック、セラミック製のものなどが開発されている。(特許文献1、2参照)
【0007】
生物脱臭装置面から見ると、高い脱臭効率を達成・維持するための要素としては以下のような項目が挙げられる。
1 対象とする臭気成分の脱臭機能を発現する微生物を多量に保持できる担
体の選択
2 脱臭関連微生物の担体への固定化期間の短縮
3 最適な散水条件の選択
【0008】
代表的な充填塔式生物脱臭装置は担体を充填した生物脱臭反応塔を中心に構成される。
脱臭反応塔に臭気成分を含むガスを通気するための設備と、充填された担体への散水のための設備、及び、排水のための設備で構成されている。 散水には連続式、間欠式があり、使用した散水を全量排水する一過式と再利用する循環式がある。 排水は必要に応じて中和処理などが施されている。
【0009】
散水は担体を充填した反応塔の上部から行われ、通気の方向は反対に上向きの方向とする場合が多い。
【0010】
以上のとおり、これまでの生物脱臭方法は散水を伴うことから、湿式の生物脱臭方式(以後「湿式生物脱臭方式」)と言える。
【0011】
湿式生物脱臭方式はこれまで、硫化水素やメチルメルカプタンなどの硫黄系臭気の処理に広く用いられており、散水は微生物の生息のための水分補給とともに、硫黄系臭気成分の生分解生成物、即ち、硫酸の担体への蓄積防止のために行われている。
【0012】
硫黄系臭気に比べて、アンモニア系臭気への生物脱臭の適用は遅れているが、湿式生物脱臭方式による製品化はなされている。 この場合も散水は生物の生息のための水分補給とともに、アンモニア系臭気成分の生分解生成物、即ち、硝酸、及び亜硝酸の担体への蓄積防止のために行われている。
【0013】
アンモニア系臭気の場合、硫黄系臭気の場合と異なり、臭気成分のアンモニアが容易に水に溶解し、排水中に含まれたまま系外に排出されると、系外でアンモニアが揮発して悪臭を発する可能性がある。
【0014】
担体の表面は散水により水膜が形成され、アンモニアはこの水膜の中でアンモニウムイオンとなる。 アンモニウムイオンは硝化細菌により亜硝酸、硝酸へと酸化され、その結果、水膜の中は酸性となり、硝化細菌の活性が鈍化する。 硝化細菌にとって好ましいpH領域は中性付近にあり、アンモニアの硝化率を100%にまで高めるためには散水のpH調整が必要である。
【0015】
アンモニウムイオンは硝酸や亜硝酸と反応し、硝酸アンモニウムや亜硝酸アンモニウムを形成するが、散水により洗い流し、排水として系外に取り出す場合や、硫酸で中和し、硫安として利用するなどの工夫がなされている。
【0016】
しかし、これらの酸化態窒素を還元して窒素の形で系外に出すことは、湿式脱臭では行われていない。
【0017】
以上のとおり、生物脱臭はこれまでの方法に比べて、維持管理が容易であることや、維持費用が他の脱臭方法に比べて安価なために、硫黄系臭気の脱臭を中心に広く用いられて
いるが、散水を伴う湿式生物脱臭方式に限られている。
【0018】
又、アンモニア系臭気の場合、より高濃度の臭気への対応や、上記した以外のガス、例えばゴミ・廃棄物処分場などの粉塵や有機性ガスを含む臭気の脱臭など、多様な臭気に対応可能な技術開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2003−275537
【特許文献2】特開2002−336639
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】「産業界における生物脱臭」 におい・かおり環境学会誌38巻4号 平成19年 白石皓二
【非特許文献2】「下水処理場での生物脱臭装置の概略とその応用」 におい・かおり環境学会誌 38巻4号 平成19年 日奈清也
【非特許文献3】「アンモニア臭気に対する生物脱臭技術」 NKK技法No.178平成14年8月 余村吉則他
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明は、現状の生物脱臭に係る問題点に鑑みてなされたものであり、生物反応を利用した臭気成分の分解・脱臭方式において、微生物の棲家となる担体の全て、又は、その一部として竹チップ、又は木チップなどのチップ類や、籾殻、コーヒー粕など、植物性の有機物を用いることを特徴とする生物脱臭方法で、微生物の増殖と分解生成物の排出のための散水は行ってもよいが、行わなくても臭気成分の分解・脱臭を可能とした生物脱臭方法と生物脱臭装置を提供することを目的とする。
【0022】
従来の湿式生物脱臭においては分解生成物である硫酸や硝酸は中和設備を介して排水されているのに対し、本発明によれば、散水、加湿、排水に係る設備は必ずしも必要とせず、且つ、脱臭反応に使用した担体が保持する微生物自体や、分解生成物を含む微生物担持担体はそのまま土壌へ還元することで土壌改善効果がある。 即ち、土壌改質剤としての再利用が可能であり、環境にやさしい脱臭方法である。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、硫黄系臭気やアンモニア系臭気などの臭気成分を分解・脱臭処理するに際し、生物反応を利用する方法で、微生物の棲家となる担体の全て、又は、その一部として竹チップ、又は木チップなどのチップ類や、籾殻、コーヒー粕など、植物性の有機物を用いることを特徴とし、微生物の増殖と分解生成物の排出のための散水や加湿は行ってもよいが、行わなくても臭気成分の分解・脱臭を可能とする生物脱臭方法である。
【0024】
竹チップ又は木チップを使用する場合、形状は問わないが、厚さ5mm、幅5mm〜50mm、
長さ10mm〜50mm程度が望ましい。
【0025】
微生物担体の内部には外部と連結する空隙を豊富に有する多孔質の構造を有し、微生物には容易に分解されない物質で構成され、微生物の栄養源となる物質を含み、その構造と栄養源を利用して土壌菌と称される微生物の混合菌を培養、担持させる。
【0026】
本発明の乾式微生物脱臭方法は散水や加湿を必ずしも必要としないため、脱臭装置は微生物担体を充填した生物脱臭塔と、この中に臭気ガスを通気するための設備だけで構成することも可能で、散水、又は、加湿を行わない場合は、散水、又は、加湿のための電源及び給水源と給水設備が不要で、従って、排水設備、排水処理設備も不要である。
【0027】
生物反応に必要な水分は主に臭気ガス中に含まれる水分で賄うが、不足する場合は加湿器、又は散水設備を設け、水分を補給することもできる。
【0028】
アンモニア系臭気を脱臭する場合、担体を充填した充填塔の中に臭気を通気しながら、硝化反応と脱窒反応を連続的に進め、アンモニアを窒素として排出するが、脱窒反応で微生物が利用する炭素源は専ら、担体が供給し、外部からの炭素源の補給は不要であるが、必要に応じ、脱窒のための炭素源として従来から用いられているメタノールなどのアルコール類や、グルコースなどの糖類を外部から加えることもできる。
【0029】
第29項において充填塔(容器)を複数設ける場合には、上流側の、硝化反応が進行して酸性化が進み、劣化が最も進んだ充填塔の通気を停止し、これ以外の充填塔で運転を継続しながら、通気を停止した充填塔は嫌気状態に置くことにより、脱窒反応を進め、硝化反応で生成した窒素酸化物により酸性化した充填塔のpH改善を図る運転方法(以後「メリーゴーラウンド方式」)を採用することができる。
【0030】
通気を停止した充填塔は通気を再開するに際し、下流側で運転し、再開する前に最も上流に位置した充填塔の通気を必要に応じて停止し、同様のことを繰返すメリーゴーラウンド方式である。
【0031】
1基の充填塔の中に複数の部屋を設ける場合には、前項で示した複数の充填塔で行うメリーゴーラウンド方式を、1基の充填塔の中に設けた複数の部屋について行うこともある。
【0032】
同様に、充填塔におけるメリーゴーラウンド方式と1基の充填塔の中に複数の部屋を設ける場合には、複数の部屋について行うメリーゴーラウンド方式の組合せもできる。
【0033】
これらのメリーゴーラウンド方式において、その配管は充填塔、部屋がそれぞれに独立して通気、又は、通気遮断を可能とする配管システムを装備する。
【0034】
本発明による脱臭方法において担体の働きが弱まり、取替えが必要となった場合、排出する担体は土壌改良剤として利用することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明による生物脱臭方法によると、以下に記載されるような効果を呈する。
【0036】
従来の生物脱臭は散水式であるのに対し、本発明は必ずしも散水、又は、加湿を必要としない方法であり、散水、加湿、排水のための設備と排水処理設備、及び、これらの保守管理を省くことが可能であり、従って、設備の小型化、簡素化が可能である。
【0037】
本発明による担体として用いる竹チップ、木チップなどは従来の湿式脱臭設備で用いられているプラスチックやセラミック製のものに比べて安価であり、バイオマスの活用範囲を拡大した。
【0038】
本発明によると、担体の微生物の馴用は以下の実施例でしめすとおり、従来技術で行われているような種菌や、活性汚泥の投入などの過程は不要で、臭気を通すだけで微生物の馴用期間は極めて短時間に、容易、且つ確実に終了する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】アンモニア脱臭試験装置
【図2】アンモニア脱臭試験結果
【図3】メリーゴーラウンド方式アンモニア脱臭試験装置
【図4】メリーゴーラウンド方式アンモニア脱臭試験結果
【図5】炭酸ガスの生成と酸素消費量の時間変化
【図6】硫化水素脱臭試験装置
【図7】硫化水素脱臭試験結果
【図8】硫化水素濃度の時間変化と脱臭試験の結果
【発明を実施するための形態】
【0040】
アンモニア系臭気を脱臭する場合、従来の湿式生物脱臭方式によるとアンモニア濃度200ppm程度が限界であるのに対し、本発明によると以下の実施例で示すとおり、400ppmまでの処理が可能で、担体のアンモニア除去能力も従来のものが担体1リッター、1時間当たりアンモニア約4.2mgであるのに対し、本発明によるとアンモニア濃度400ppmの時に担体1リッター、1時間当たり13.6mgのアンモニア除去能力を有しており、非特許文献3に示すような従来の処理方法以上に高濃度の臭気に対応可能で、除去能力も高く、従って適用範囲も広い。
【0041】
アンモニアが硝化され、硝酸態窒素の形を取り、更に脱窒反応により窒素として還元されるときの物質収支はアンモニア2モルから窒素ガス1モルが生成される。 この時、微生物は炭素源を必要とし、その炭素源から炭酸ガスを生成するが、以下に示すとおりの炭酸ガスが検出されており、本発明のアンモニア脱臭が明らかに微生物による脱臭であることを示している。
【0042】
本発明による生物脱臭方法は従来の湿式生物脱臭方式に比べて格段に簡素なシステムを
可能としながら、アンモニアを安定物質の窒素の形まで反応を進められる方式であり、湿式生物脱臭方式では不可能な反応を可能にした。
【0043】
硫黄系臭気を湿式生物脱臭する場合の原ガス濃度は、汚水処理工程で平均25ppm、汚泥処理工程で69ppm(非特許文献2参照)であるが、本発明による乾式生物脱臭においても
実施例3、4が示すとおり、対応できており、設備の小型化、簡素化が可能である。
【0044】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【実施例1】
【0045】
アンモニアの脱臭試験を説明する。 装置は図1に示すとおりで、エアーポンプとアンモニアガスボンベ、加湿器、流量計、充填カラム2本、及び、これらの機器を接続するバルブ及び配管で構成した。 充填カラムは内径45mmのものを2本直列に接続し、夫々、担体を1.2リッター充填した。
【0046】
試験は37日間実施し、アンモニアについて、測定装置の入側濃度、1本目、2本目のカラムの出側濃度を検知管で測定した。
【0047】
試験の条件はNH3濃度3〜400ppm、流量1000ml/分、空塔速度カラム1本当たり50h-1、室温で実施した。 この時の室温は23〜30℃であった。
【0048】
測定結果は図2に示すとおりで、NH3濃度を3ppmから400ppm迄変化させたがカラムの出側でNH3濃度は検出限界以下であった。 NH3濃度400ppmの時、担体の除去能力は担体1リッター、1時間当たり13.6mgであった。
【実施例2】
【0049】
竹チップ(粒径5mm〜20mm)に開示の方法でアンモニア硝化菌を担持させて調製した微生物担体0.6リットルを内径:45mm, 高さ:500mm のアクリル製反応カラムに充填(充填高さ:377mm)して生物脱臭反応カラムとした。 同様な条件で充填した反応カラムを4塔準備し、そのうち3つのカラムを直列に連結して3塔式脱臭システムとした。
装置のフローを図3に示す。
【0050】
1塔目の下部より上向流でアンモニアを含む空気を0.1〜0.7リットル/min の流速で2250時間にわたって連続通気処理した。 その間の入り口NH3濃度は5〜100ppm の範囲で変動させてNH3 の除去性能を試験した。 NH3濃度はガス検知管で測定した。 反応カラム各塔(1〜3塔目)の出口ガス中のNH3濃度測定結果を図4に示す。
入り口NH3濃度を変動させたいずれの条件でも3塔目の出口でのNH3濃度は検出限界以下であった。
【0051】
同実験期間において、脱臭反応塔におけるNH3含有ガスの微生物担体との見かけの接触時間とNH3濃度、CO濃度、O濃度の関係を調べた結果を表1と図5に示す。
【0052】
NH3脱臭反応は硝化菌による硝化反応と脱窒菌による脱窒反応はバランスよく進めば
NH3をN2とCO2 に変換処理できるが、 表1と図5によると、処理ガス中の接触時間が長くなるとNH3が除去され、同時にOが消費され、COが増加し、微生物による硝化反応、脱窒反応が進む状況を良く表している。
【0053】
以上の結果から、竹チップを生物担体に用いた乾式生物脱臭反応装置の有効性が確認できた。
【0054】

【表1】

【実施例3】
【0055】
次に硫化水素の脱臭試験を説明する。 試験は下水処理場の終末ポンプ場の集合枡で発生するガスを誘導して行った。 装置は図6に示すとおりで、ガス採取用のエアーポンプ、ガス濃度を薄めるためのエアーポンプ、加湿器、流量計、充填カラム5本、及び、これらの機器を接続するバルブ及び配管で構成した。 外気温の低下があり、これを補償するためのリボンヒーターを後日、装着した。
【0056】
試験は、硫化水素について、1本目のカラムの入側濃度、及び、各カラムの出側濃度を検知管で測定した。
【0057】
担体の馴化に約2週間を要し、出側濃度の低下を確認しながら適切な運転条件を求めて入側濃度、空塔速度を変化させ、最終的に入側濃度を10ppm、空塔速度を5本のカラムで0.5 h-1とした。
【0058】
測定結果は図7に示すとおりで、入側濃度10ppmに対して、出側濃度は0.2ppm程度で安定的に推移した。
【実施例4】
【0059】
下水処理場は人間の生活のリズムを反映するので臭気濃度の変化は避けられない。 実施例3は測定を午前11時からと、時間を決めて行ってきた。 従って、入側濃度もほぼ一定の値を維持できた。 実施例4では実際の硫化水素濃度の変化と装置の追従性を確認するため、実施例3で示した場所、装置、方法により、午前8時より午後10時までの原ガス濃度、装置入側濃度、出側濃度を測定した結果を示す。
【0060】
測定結果は図8に示すとおりで、原ガス濃度は午前8時に約50ppmであったものが午後6時には約330ppmまで上昇し、その後、100ppmまで下降後、午後9時に150ppmまで上昇し、午後10時で下降に転じている。 装置入側のガス濃度は概ね10ppmで推移しながら午後4時に180ppmに達し、その後、午後6時以降50ppm程度で推移した。
これに対し、装置出側濃度は午後4時まで10ppm以下で推移し、入側濃度が180ppmに達した午後4時以降、上昇に転じ、午後7時に約25ppmで最大値を記録し、その後減少に転じた。
【0061】
本発明の実施の形態を説明したが、具体的構成がこの実施の形態に限定されるものでは
なく、本発明の要旨から外れない範囲での設計変更があっても本発明に含まれる。
【0062】
本発明の実施の形態を説明したが、具体的構成がこの実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨から外れない範囲での設計変更があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
1 バルブ(常時 開)
2 バルブ(常時 閉)
3 エアーポンプ
4 加湿器
5 流量計
6 充填カラム
7 ガス濃度測定口
8 入気口
9 排気口
10 アンモニアガスボンベ
11 原ガス吸気口
12 空気吸気口


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物反応を利用した臭気成分の分解・脱臭において、微生物の棲家となる担体として、植物性の有機物を用い、臭気成分の分解・脱臭を可能にしていることを特徴とする乾式生物脱臭方法。
【請求項2】
請求項1において、植物性の有機物の担体は、竹チップ、又は木チップなどのチップ類や、籾殻、コーヒー粕など、多孔質な構造と、微生物の栄養源を利用して、土壌菌と称される微生物の混合菌を担持させた担体を用いることを特徴とする乾式生物脱臭方法。
【請求項3】
請求項2において、容器内に充填した担体の植物性の有機物が有する炭素源だけを利用して脱窒反応を完了する乾式生物脱臭方法。
【請求項4】
請求項1、2、3において示す脱臭方法によりアンモニア系臭気を脱臭する場合において、担体を充填した1基〜10基の容器の中に臭気を通気しながら、それらの容器の中で硝化反応と脱窒反応を、並行的に、且つ、連続的に進め、アンモニアを最終的に窒素として排出することを特徴とする乾式生物脱臭装置。
【請求項5】
請求項1、2、3において示す脱臭方法による硫化水素の乾式生物脱臭装置。
【請求項6】
請求項4の脱臭装置において、担体を充填した容器は2基以上であって、少なくとも1基以上の容器に臭気を通気しながら、1基以上の容器の通気を停止し、通気を停止した容器内を嫌気状態にすることで、担体に生息する嫌気性微生物により好気性微生物がアンモニアを分解して精製した窒素酸化物を完全に還元・分解し、容器内の担体を回復させて通気を停止する容器を順次に切り替えるメリーゴーラウンド方式により、連続脱臭と担体の回復を図ることを特徴とする乾式生物脱臭装置。
【請求項7】
請求項4の脱臭装置において、担体を充填した容器の数にかかわらず、容器の中に複数の通気的に独立可能な部屋を設ける場合には、これらの部屋において、1部屋以上の部屋に通気しながら1部屋以上の通気を停止して、容器内を嫌気状態にして担体に生息する嫌気性微生物により窒素酸化物を完全に分解させ、容器内の微生物含有の担体を回復させて、通気を停止する容器を順次に取替えながら連続脱臭と担体の回復を図ることを特徴とする部屋のメリーゴーラウンド方式を持っていることを特徴とする乾式生物脱臭装置。
【請求項8】
生物反応を利用した臭気成分の分解・脱臭方式において、微生物の棲家となる担体について、担体を嫌気状態に置き、担体に生息する嫌気性微生物により好気性微生物による分解生成物を分解して担体の回復を図ることを特徴とする乾式生物脱臭装置。
【請求項9】
請求項7、8において、担体を充填した夫々の容器、又は、部屋に独立分流通気を
可能とするための配管とバルブ機構を有し、独立分流通気とは任意の容器又は部屋の通気を遮断した状態で、残りの容器又は部屋に臭気を通気可能で、通気していることを特徴とする乾式生物脱臭装置。
【請求項10】
請求項4、5,6,7,8,9の内何れか1において、散水設備、加湿設備、又は排水設備のいずれかの設備、もしくは、その全てを備えた生物脱臭装置であって、微生物担体を用いて運転することを特徴とする乾式生物脱臭装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−194433(P2010−194433A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40898(P2009−40898)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(593010132)株式会社テノックス九州 (5)
【Fターム(参考)】