説明

乾燥パスタの焙煎物を使用した食品及びペットフードの製造方法

【課題】従来行われてきた茹でる方法やフライする方法による場合とは異なる特徴のある食感を持つ食品やペットフードの製造方法を提供すること。
【解決手段】乾燥パスタを焙煎した後、油脂及びシーズニングで被覆することを特長とする食品又はペットフードの製造方法である。又、前記焙煎を温度170〜205℃、加熱時間5〜20秒間で行うことを特徴とする食品又はペットフードの製造方法である。さらには、前記焙煎方法が砂煎り焙煎である食品又はペットフードの製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥パスタの焙煎物を使用した食品及びペットフードの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乾燥パスタは、主に茹でられて食用に供されている。
又、乾燥パスタをフライしたスナック食品が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特2005−151888号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記乾燥パスタをフライした場合は、カロリーが高くなるという特徴があり、低カロリーの食品又はペットフードを製造することは困難であった。
本発明の目的は、乾燥パスタの新たな使用方法を開発することで、従来行われてきた茹でる方法やフライする方法による場合とは異なる特徴のある食感を持つ食品やペットフードの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は上記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、乾燥パスタを焙煎した後、油脂及びシーズニングで被覆することにより特徴ある好ましい食感の食品又は食いつきの良いペットフードを得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明は、乾燥パスタを焙煎した後、油脂及びシーズニングで被覆することを特長とする食品又はペットフードの製造方法である。
又、前記焙煎を温度170〜205℃、加熱時間5〜20秒間で行うことを特徴とする食品又はペットフードの製造方法である。
さらには、前記焙煎方法が砂煎り焙煎である食品又はペットフードの製造方法であり、好ましい焙煎条件は、温度180〜200℃、加熱時間10〜15秒間である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の製造方法により、従来行われてきた茹でる方法やフライする方法による場合とは異なる特徴のある良好な食感の食品又は食いつきの良いペットフードを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において使用する乾燥パスタとは、デュラム小麦粉や普通小麦粉などの穀粉や澱粉を主原料としてこれに加水し混捏して生地を調製し、圧延や押出しなど常法により成形した後乾燥したものをいう。
前記原料として必要に応じて卵類や増粘剤など従来麺類の製造に使用されている添加物を使用することができる。
通常乾燥パスタの水分含量は12質量%前後であるが、本発明で使用する乾燥パスタは9〜15質量%の水分含量のものが好ましい。
水分含量が9質量%より低いと、焙煎した場合に均一に火が通らず加熱が不十分となる。
又、水分含量が15質量%を超えると、加熱後に製品に傷が入り、適さない。
乾燥パスタの形状は、特に限定されず、ロングパスタ、ショートパスタ、ラザニアなどを使用することができるが、ペットフード用としては、犬等の口腔を傷つけない形状が好ましく、ロングパスタは使用に適さない。
乾燥パスタは通常、塩や糖類を添加して製造することがなく、塩分を人ほど要求しない犬などのペットフードの原料としても適している。
【0008】
本発明において使用できる油脂は従来から食用やペットフードに使用されている油脂でであれば特に限定されず液状油脂でも固形油脂でも使用することができる。
例えば、液状油脂としては、サラダ油、白絞油 、コーン油 、大豆油 、ごま油 、菜種油、パーム油 、ひまわり油 などを使用することができる。
又、固形油脂としては、ラード 、ヘット、鶏油、ショートニング 、バター 、マーガリンなどを使用することができる。
コーティングに使用する油脂の量は、製品に対して2〜7質量%が好ましい。
【0009】
本発明において使用できるシーズニングは、従来から食用やペットフードに使用されているシーズニングであれば特に限定されず粉体でも液体でも使用することができる。
例えば、チキン(エキス)パウダー、ポーク(エキス)パウダー、ビーフ(エキス)パウダー、フィッシュ(エキス)パウダー、チーズパウダー、ミルクパウダーなどをベースにした調味料、甘い味付けのグレーズ、チョコレートなどを挙げることができる。
ただし、ネギ系の資材が入ったものや刺激物(辛いハーブ等)の割合が多いもの、チョコレートはペットフード用としては好ましくない。
コーティングに使用するシーズニングの量は、製品に対して1〜3質量%が好ましい。
【0010】
本発明の焙煎は温度温度170〜205℃、加熱時間5〜20秒間で行うことが好ましい。
本発明における焙煎温度と焙煎時間の要件は相関性があり、焙煎温度を高温にして短時間で焙煎しても、逆に低温で長時間焙煎しても良好な製品を得難い。
焙煎温度が170℃未満では、未膨化で加熱も不十分となり好ましくない。
又、焙煎温度が205℃を超えると過加熱で焦げが生じるなどして苦味が発生することとなり好ましくない。
加熱時間が5秒未満では、未膨化で加熱も不十分となり好ましくない。
又、加熱時間が20秒を超えると、過加熱で焦げが生じるなどして苦味が発生することとなり好ましくない。
【0011】
焙煎方法は、熱風焙煎、砂煎り焙煎などが使用できるが、熱風焙煎よりも歯ごたえがある物性となり形状がきれいに出来る砂煎り焙煎が好ましい。
焙煎後は一度冷却することが望ましく、冷却方法は、真空冷却、送風冷却、自然冷却などがあるが、製品に負荷が少ない自然冷却が好ましい。
油脂とシーズニングのコーティングの順番は、油脂コーティングの後にシーズニングをコーティングしても良いし、あらかじめ油脂にシーズニングを加えた味付け油脂をコーティングしても良い。
コーティング方法は、均一に被覆できる方法なら特に限定されず使用でき、スプレー、浸漬、シャワリング、ドラム式などがあるが、適量の油脂が効率良く均一にコーティングできるドラム式が好ましい。
食べ方は、人間の場合はそのままスナックとして、もしくはサラダのトッピングなどに使用できる。
動物に与える場合はそのままおやつとして、もしくはドライフードなどのトッピングなどに使用できる。
【実施例】
【0012】
以下本発明を実施例により具体的に説明する。
[実施例1]
乾燥マカロニ(形状ペンネ、長さ30mm、外形4.2mm、肉厚1.1mm、水分12%)20kgを炭酸カルシウムを砂として砂煎り焙煎機(有限会社
鈴木鉄工所製)で190℃で滞留時間が10秒となるように流して焙煎した。
前記焙煎した乾燥マカロニを自然冷却した後40℃に加温して、あらかじめ液状にしておいたラード1kgをドラム式コーティングをした後チキンパウダー200gをまぶして本発明の食品を得た。
【0013】
[実施例2〜8、比較例1〜2]
実施例1において温度と滞留時間を表1に示すとおり変更した以外は実施例1と同様にして食品を得た。
【0014】
【表1】

【0015】
[比較例1]
実施例1において、焙煎工程を熱湯で10分間茹でる工程に変更した以外は実施例1と同様にして食品を得た。
【0016】
[比較例2]
実施例1において、焙煎工程をラードで10分間揚げる工程に変更した以外は実施例1と同様にして食品を得た。
【0017】
実施例1〜8、比較例1〜2で得た食品をパネラー10名により以下の評価基準により評価した。
外観
5 表面に非常に適度な光沢および焼色があり、均一に被覆されていて、非常に良い
4 表面に適度な光沢および焼色があり、均一に被覆されていて、良い
3 表面にやや適度な光沢および焼色があり、均一に被覆されていて、普通
2 表面にやや適度な光沢および焼色がなく、一部不均一に被覆されていて、劣る
1 表面に適度な光沢および焼色がなく、上掛け組成物が固まっていて、非常に劣る
食感
5 歯ごたえ・口溶けが非常に良い
4 歯ごたえ・口溶けが良い
3 歯ごたえはやや欠け、口溶けは普通
2 歯ごたえがやや悪く、口溶けが悪く、劣る
1 歯ごたえが悪く、口内に残り、非常に劣る
総合
◎極めて良好
○良好
△普通
×悪い
××非常に悪い
パネラー10名の平均値を評価結果とし、表2に示す。
【0018】
【表2】

【0019】
実施例1〜8は、外観、食感とも満足のいくものであった。
特に、実施例1、3、7は、表面に非常に適度な光沢および焼色があって食感も良く、油脂及びシーズニングの被覆も均一で、非常に良かった。
実施例2は、表面に適度な光沢および焼色があって食感も実施例1、3、7よりややかたいが良く、油脂及びシーズニングの被覆も均一で、良かった。
実施例4、5は、実施例1、3、7より表面にやや濃いが適度な焼色と、適度な光沢があり、油脂及びシーズニングの被覆も均一で、良かった。
比較例1は、表面が澱粉質でべたついているため、油脂及びシーズニングの被覆は不均一となり、外観・食感ともに非常に悪かった。
比較例2は、表面に適度な光沢および焼色があり、均一に被覆されているが、油が染み込んでいて食感が悪く、実施例1より劣り悪かった。
【0020】
[実施例9〜16、比較例3〜4]
実施例1〜8、比較例1〜2で得た食品をペットフードとして犬10頭に与え、それぞれを実施例9〜16、比較例3〜4として以下の評価基準により評価した。
食いつき
5 食いつきが非常に早く、食べやすそうな様子で、非常に良い
4 食いつきが早く、やや食べやすそうな様子で、良い
3 食いつき・食べやすさは、普通
2 食いつきが遅く、食べにくそうな様子で、劣る
1 食いつきが非常に遅いまたは食べようとせず、非常に劣る
食べ具合
5 ほぼ全量食べた
4 7割以上食べた
3 半分ほど食べた
2 7割以上残した
1 ほぼ全量残した
総合
◎極めて良好
○良好
△普通
×悪い
××非常に悪い
犬10頭の平均値を評価結果とし、表3に示す。
【0021】
【表3】

【0022】
実施例9〜16は、食いつき、食べ具合とも満足のいくものであった。
特に、実施例9、11、12、15は、表面に非常に適度な光沢および焼色があって食感も良く、油脂及びシーズニングの被覆も均一で、非常に良かった。
比較例1及び2は、食いつき、食べ具合とも悪く非常に悪かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥パスタを焙煎した後、油脂及びシーズニングで被覆することを特長とする食品又はペットフードの製造方法。
【請求項2】
焙煎を温度170〜205℃、加熱時間5〜20秒間で行うことを特徴とする請求項1に記載の食品又はペットフードの製造方法。
【請求項3】
焙煎方法が砂煎り焙煎であることを特長とする請求項1又は請求項2に記載の食品又はペットフードの製造方法。