説明

乾燥粒わさびとその製造方法

【課題】 乾燥顆粒であり水を加える事により本わさび本来の香味を有し、繊維質と粒々感のある食感を有する粒入りわさびとなる乾燥粒わさびを提供する。
【解決手段】 葉と皮部分も含めた本わさびに水を加えて粉砕して繊維質を破壊して凍結する。これを加熱により乾燥して繊維質内の周囲に凹凸の隙間を作り薄く不定形な形の繊維質になり、皮の部分は少し硬く粒々感となる。加水により瞬時に繊維質と粒々感のあるおろしわさびになる事を特徴とする乾燥粒わさびの製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は、わさびを潰して乾燥し顆粒にして、水を加えるだけで従来粉末の粉わさびにはない繊維質と粒々感を有した辛味と風味をもつ乾燥粒わさびとその製造方法に関する物である。
【背景技術】
【0002】
従来わさびは生の物を摩り下ろして辛味調味料として食する事が通常とされている。が生のわさびは生育に数年が必要でありその為非常に高価である。又摩り下ろすのも面倒である。その為過去数十年間もの長期に及んで、乾燥して粉末にした安価な粉ワサビがある。それに水分と調味料等を加えて保存する手軽な容器入り練りわさびも多くある。が多くの業務店もしくは業務用では安価な粉わさびを使用している。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本わさび本来の香味を有し、水を加えて摩り下ろしたわさびの様な繊維質を有し、本わさびの風味と粒々感のある触感を有する粒入りわさびとする乾燥粒わさびを製造する。粉わさびは粉末の為、粉っぽい感じが残り、摩り下ろしたわさびの様な粒々の繊維質の食感を感じられない為不満が残る。粒々感を得る為には従来市販の粉だけでは不可能であり新たな物を追加するか若しくは新しい加工方法でしなければならない。それは同じ材料が望ましい。従来どおりの原料を使い、AD加工、FD加工して大きく潰しても吸水性が悪く瞬時に水若しくはお湯では給水せず硬い塊として残る。吸水性を良くして粒々感を得るには新たな製造方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決する為に下記のように処理する事でこれらの問題を解決する事が可能になる。生の本わさびや西洋わさび(以後わさびと言う)は水分が少なく、繊維質が多く固くて粉砕加工がし難い。その為皮部分も含めた本わさびに50%以上の無菌の水を加えて全体の水分が60%〜90%になるように加水して粉砕する事によりこの硬いわさびの繊維質を破壊して繊維質間に水分を多く含み、水分の重みで薄く広がり不定形な形となる。これを凍結すると破壊された繊維質内の水分は膨張して繊維質内を押し広げて薄い不定形な楕円状となり周囲には水分を吸収し易い凹凸を作って凍結する。これを段階的加熱により乾燥すると水分を多く含んで膨張した繊維質は元に戻らず、内部と周囲に隙間を作り多孔質で薄い不定形に乾燥する。この薄い事と隙間と周囲の凹凸により加水で瞬時に給水可能になる。皮の部分は少し硬く粒々感となる。このことが長期間保存可能で加水により瞬時に粒々感を有するおろしわさびとなる事を特徴とする乾燥粒わさびの製造方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例1】
【0005】
1.わさび顆粒の実施例
上記実施方法によりわさび顆粒の実施例を説明する。新鮮なわさびの不要部分を除去して形を整えて流水で表面を一次洗浄する。但し皮の部分は使用する。水切り後わさびをさいの目切機で約5mm角の立方体若しくは厚さ約5mm位の輪切りにする。カットした山葵を濃度0.5〜2.5PPM(好ましくは1%以下)の25℃以下の循環式オゾン水で山葵を10〜30分間程浸けて殺菌する。(わさびはわさび自体に抗菌性があり少な目の時間で殺菌が可能)付着農薬等があれば除去可能である。次にこの皮部分も含めてカットしたわさびに無菌の水を10%〜80%(好ましくは50%〜80%)加水して水分を全体の90%位にして粒径約01mmから5mm(好ましくは0.3mmから3mm)位に破砕し、平型ステンレストレーに入れる。この時破砕されたわさびは繊維質が壊されて柔らかくなっている事と加水した水分の重さで押されて薄い不定形な塊となる。これを凍結庫に入れ−35℃以下で約3時間〜6時間凍結してわさびの水分を凍結する。凍結により水分の氷塊は上からは加水による水分の重みで薄く平らになり横へは膨張して繊維質間を押し広げて繊維質内を破壊して周囲には水分を吸収し易い凹凸を作り凍結する。次に真空乾燥機に入れ、加熱温度は高温にわさびが変化して風味を損なわない(煮えない)様に乾燥工程前期の解凍初期時に約95〜85℃、解凍後期に約65℃以下、後期乾燥時は約45℃〜40℃を制御させる。乾燥工程に必要な時間は20〜30時間程(わさびの水分と加えた水分の量による)の熱を加えて凍結している水分を直接昇華(気化)させて水蒸気として除去し、わさび内の水分が5%以下で薄く不定形の粒になるまで完全に乾燥する。この工程により生菌数値が規定以上有る時は更に殺菌の為に粒体の表面と内部を再度約80℃以下の温度で攪拌して30分以内の加熱をしても色の変化は少ない。
【実施例2】
辛味大根若しくは西洋山葵による白い乾燥粒わさびの実施例
上記実施方法により辛味大根による山葵顆粒の実施例を説明する。新鮮な辛味大根若しくは現在の市販の粉わさび等の主原料である西洋わさびのホースラディッシュ(以下辛味大根という)の皮部を除く不要部分を除去して形を整えて流水で一次洗浄する。水切り後辛味大根をさいの目切機で約5mm角の立方体若しくは厚さ約5mm位の輪切りにする。カットした辛味大根を濃度0.5〜2.5PPM(好ましくは1%以下)の25℃以下の循環式オゾン水で辛味大根を10〜30分間程浸ける。辛味大根等の白い原別は加工時間の経過により表面が褐変するがオゾン水に漬ける事によりこれらの褐変を抑制する事と大根の持つ色を漂白して真っ白い原料を得る事が出来る。次にこのカットした辛味大根に無菌の水を10%〜80%(好ましくは50%〜80%)加水して水分を全体の90%位にして皮部分も含めて粒径約1mm〜5mm(好ましくは約0.3〜3mm)位に破砕してステンレスのトレーに入れる。この時破砕した辛味大根は繊維質が壊されて柔らかくなっている事と重さで押されて薄い不定形な塊となる。これを凍結庫に入れ−35℃以下で約3時間〜5時間(辛味大根の水分と加えた水分の量により)凍結して辛味大根の水分を凍結する。凍結により繊維質内の氷塊は膨張して繊維質間を押し広げて凍結する。次に真空乾燥機に入れ、加熱温度は高温に辛味大根が変化しない(煮えない)様に乾燥工程前期の解凍初期時に約95〜85℃、解凍後期に約65℃以下、後期乾燥時は約45℃〜40℃を制御させる。乾燥工程に必要な時間は20〜30時間程(辛味大根等の水分と加えた水分の量による)の熱を加えて凍結している水分を直接昇華(気化)させて水蒸気として除去し、辛味大根の水分が5%以下の真っ白い薄い不定形の顆粒になるまで完全に乾燥する。
【実施例3】
わさびと辛味大根若しくは西洋ワサビとの併用ワサビ顆粒の実施例
上記実施方法により本わさびと辛味大根等との併用の実施例を説明する。新鮮な生わさびの原材料の皮の部分を除く不要部分を除去して形を整えて流水で一次洗浄した物を約50%〜10%を使用し、市販の加工わさびの主原料ホースラディッシュ(以下辛味大根という)の皮部分を除く不要部分を除去して形を整えて流水で一次洗浄した物を不足分加えて総量100%とする。(以後原料と称する)原料をさいの目切機で約5mm角の立方体若しくは厚さ約5mm位の輪切りにする。カットした原料を濃度1〜5PPMの25℃以下の循環式オゾン水で原料を10〜30分間程浸ける。次にこのカットした原料に無菌の水を10%〜80%(好ましくは50%〜80%)加水して水分を全体の90%位にして原料の皮部分も含めて粒径約1mm〜5mm(好ましくは約0.3〜3mm)位に破砕する。次に破砕した原料と破砕により出た原料の汁をステンレスの平型トレーに入れる。この時破砕した原料は繊維質が壊されて柔らかくなっている事と重さで押されて薄い不定形な塊となる。これを凍結庫に入れ−35℃以下で約3時間〜5時間(原料の水分と加えた水分の量により)凍結して原料の水分を凍結する。凍結により繊維質内の氷塊は膨張して繊維質間を押し広げて凍結する。次に真空乾燥機に入れ、加熱温度は高温に原料が変化しない(煮えない)様に乾燥工程前期の解凍初期時に約95〜85℃、解凍後期に約65℃以下、後期乾燥時は約45℃〜40℃を制御させる。乾燥工程に必要な時間は20〜30時間(程原料の水分と加えた水分の量による)の熱を加えて凍結している水分を直接昇華(気化)させて水蒸気として除去し、辛味大根の水分が5%以下の不定形の顆粒になるまで完全に乾燥する。
【実施例4】
わさびと西洋ワサビとの併用緑色ワサビ顆粒の実施例
上記実施方法により本わさびと辛味大根等との併用で希望する緑色に着色する実施例を説明する。新鮮な生わさびの皮の部分を除く不要部分を除去して流水で一次洗浄した物を約50%〜10%とホースラディッシュの皮の部分を除く不要部分を除去して流水で一次洗浄した物を加えて総量100%とする。(以後原料と称する)原料をさいの目切機で約5mm角の立方体若しくは厚さ約5mm位の輪切りにする。カットした原料を濃度1〜5PPMの25℃以下の循環式オゾン水でわさびを10〜30分間程浸ける。次にこのカットした原料に無菌の水10%〜80%(好ましくは50%〜80%)加水して水分を原料全体の90%位にして緑色若しくは加熱により黄変する事を考慮して青色のクチナシ等の天然着色材0.3〜5%(濃度は原料と原料の加熱により変化に伴う)を加えて皮部分も含めて粒径約1mm〜5mm(好ましくは約0.3〜3mm)位に破砕する。次に破砕した原料と破砕により出た原料をステンレスのトレーに入れる。この時破砕した原料は繊維質が壊されて柔らかくなっている事と重さで押されて薄い不定形な塊となる。これを凍結庫に入れ−35℃以下で約3時間〜5時間(原料の水分と加えた水分の量により)凍結して原料の水分を凍結する。凍結により繊維質内の氷塊は膨張して繊維質間を押し広げて凍結する。次に真空乾燥機に入れ、加熱温度は高温に原料が変化しない(煮えない)様に乾燥工程前期の解凍初期時に約95〜85℃、解凍後期に約65℃以下、後期乾燥時は約45℃〜40℃を制御させる。乾燥工程に必要な時間は20〜30時間(程原料の水分と加えた水分の量による)の熱を加えて凍結している水分を直接昇華(気化)させて水蒸気として除去し、辛味大根の水分が5%以下の不定形の薄緑色の顆粒になるまで完全に乾燥する。
【実施例5】
他の野菜等の顆粒による繊維質原料を合わせる粉ワサビとの併用実施例としてここでは繊維質の多く白色の大根の顆粒を使用しての実施例を挙げる。新鮮な大根の皮の部分を除く不要部分を除去して形を整えて流水で一次洗浄する。水切り後大根をさいの目切機で約5mm角の立方体若しくは厚さ約5mm位の輪切りにする。カットした大根を濃度0.5〜2.5PPM(好ましくは1%以下)の25℃以下の循環式オゾン水で大根塊を30〜60分間程浸ける。大根等の白い原料は加工時間の経過により表面が褐変するがオゾン水に漬ける事によりこれらの褐変を抑制する事と大根の持つ色を漂白して,大根は完全に白くなり匂いも減少して真白い原料を得る事が出来る。次にこの皮部分も含めてカットした大根を粒径約0.1mm〜5mm(好ましくは約0.3〜3mm)位に破砕する。破砕した大根と破砕により出た大根の汁をステンレスの平型トレーに入れる。大根の水分が不足する場合は無菌の水を10%〜30%加えて水分調整する。この時破砕した大根は繊維質が壊されて柔らかくなっている事と水分の重さで押されて薄い不定形な塊となる。これを凍結庫に入れ−35℃以下で約3時間〜6時間(山葵の水分と加えた水分の量により)凍結して大根の水分を凍結する。凍結によりの氷塊は膨張して繊維質間を押し広げて繊維質内を破壊して凍結する。次に真空乾燥機に入れ、加熱温度は高温に大根が変化しない(煮えない)様に乾燥工程前期の解凍初期時に約95〜85℃、解凍後期に約65℃以下、後期乾燥時は約45℃〜40℃を制御させる。乾燥工程に必要な時間は20〜30時間程(大根の水分と加えた水分の量による)の熱を加えて凍結している水分を直接昇華(気化)させて水蒸気として除去し、大根繊維質内の水分が5%以下で薄く不定形の粒になるまで完全に乾燥する。この工程により粉砕した大根は大根の持つ香りを消滅し、白く、食感を有する繊維質で無添加顆粒食材用品となる。これに従来の粉末わさびを加えて安価な乾燥粒わさびとする。
【実施例6】
次に上記に記した製造方法よりその他の実施例をあげる。
ア. わさび、辛味大根の葉のみによる顆粒葉わさびも作る事もある。
イ. 色の補正としてクチナシ系の天然色素の青と黄色を使用する。
ウ. 辛味の補填にアリルカラシ油を加える事もある。
エ. 辛味の補填に乾燥の辛味成分のワサオールを使用する事もある。
オ. 乾燥後色の補正と辛味の補正に色素の粉末ルワサオール粉末を混ぜ合わせて使用する事もある。
カ. 粒にする大きさは一定ではなく1mm〜3mm位の大きさの違う物を合わせる事もある。
キ. 粉わさびと併せる材料は西洋わさび若しくは辛味大根でも良い。
ク. 粉わさびと併せる材料は大根以外の物を使用する事もある。
【発明の効果】
【0006】
生の本わさびや西洋わさびは水分が少なく、繊維質が多く固くて加工し難い。わさび、西洋わさび、辛味大根等を砕いてオゾン水に漬けることにより加工中の褐変を抑制して辛味を発生させ、加水して粉砕する事により粉砕機に於いては硬いわさびの皮部分の粉砕効率も良く、凍結時に繊維質内の含水率を促進し、表面張力による球型に塊にならず乾燥終了後は薄い不定形な顆粒の繊維質に多孔面と、収縮された隙間を作りこの隙間と不定形の多孔が水分の吸収をより早くする。このことが長期間保存可能で加水により瞬時に粒々感のあるわさびになる事を特徴とする乾燥粒わさびである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生わさび若しくは西洋わさびを破砕と加水と凍結と段階的加熱の乾燥による事を特徴とする乾燥粒わさびと製造方法。
【請求項2】
生の本わさびと生の西洋わさびとの併用の乾燥粒わさびと製造方法。
【請求項3】
辛味大根若しくは西洋わさび使用の白い乾燥粒の西洋わさびの製造方法。
【請求項4】
市販粉わさびに大根等の野菜顆粒を加えた乾燥粒わさびと製造方法。
【請求項5】
わさび若しくは辛味わさびの葉のみによる乾燥粒葉わさびと製造方法。