説明

亀裂を有する樹脂粒子及びその製造方法

【課題】微細粒子を取り込むことにより所望の特性を付与でき、破砕等が生じにくく、かつブリッジの発生を防止できる取り扱い性が良好な樹脂粒子を得る。
【解決手段】最大長L1、及び最短長L2が、6μm以上500μm以下の樹脂粒子1であって、表面に球面2と亀裂3とを具備する樹脂粒子1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に球面と亀裂とを具備する略球形状の樹脂粒子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、樹脂粒子の力学的性質を向上させる目的、混合攪拌時の粒子衝突による粒子の破砕を抑制する目的、クリーニング特性を向上させる目的、塗料の艶消し性や隠蔽性を向上させる目的、溶融混練時のホッパー内での粉体の取扱性を向上させる目的、化粧品の滑り性を向上させる目的等、各種多様の目的に従って種々の形態を有する樹脂粒子が開発されてきた。
【0003】
樹脂粒子は、乾式で樹脂材料を粉砕する方法の他、所定の溶媒中における乳化重合法、懸濁重合法、シード重合法、分散重合法等により得られる。よって樹脂粒子は、不定形又は球状のいずれかの形態となるのが一般的である。
【0004】
一方、樹脂粒子に種々の機能を担わせるため、特殊形状の樹脂粒子についての開発が行われてきた。
例えば、親和性の高い液体等の添加剤とのなじみを向上させる目的で粒子の表面積を大きくした形状とする等である。
具体的には、表面に凹凸を形成し、かつ微粒子化して表面積を大きくしたりすることが行われているが、表面に凹凸をもたせると粒子同士の衝突による破砕を生じ、表面積を大きくすると、ハンドリング性の低下等を生じるため、粒子の破砕低下・ハンドリング性向上を両立した特性を持つ粒子の開発が望まれている。
【0005】
例えば、複数の曲面からなるレンズ状、あるいは複数の曲面と一つの平面とで形成された略半球状の形状を有する非球状樹脂粒子が提案されていた(例えば、特許文献1参照。)。
また、重合性ビニルモノマーからなる油相を懸濁重合させる工程において、重合性ビニルモノマーに無機化合物及び特定の粘度の疎水性の有機化合物を予め混合しておくことにより、重合の進行につれて、無機化合物及び疎水性の有機化合物が粒子の表面側に移動することを利用し、レンズ状や略半球状の形状を有し、かつ無機化合物が表面に偏在する、非球状の樹脂粒子も提案された(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】WO01/70826号公報
【特許文献2】特開2004−196859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1、2に記載されている非球状の樹脂粒子は、無機化合物が局在しているため、純度の高い樹脂粒子が得られないという欠点を有している。
また、光散乱性、親水性や疎水性、正電荷や負電荷、磁性等の異方性を付与することに関しては、具体的な特性が開示されていない。
【0008】
そこで上述した従来の事情に鑑み、本発明においては、純度の高い樹脂粒子を得ることを可能としながら各種添加剤等のなじみも良好であり、光散乱性、親水性や疎水性、正電荷や負電荷、磁性等の異方性といった所望の特性を適宜付与でき、更には破砕等が防止でき、ブリッジ等が生じにくい、極めて取り扱いが良好な樹脂粒子、及びその製造方法を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明においては、最大長及び最短長が、6μm以上500μm以下の樹脂粒子であって、表面に球面と亀裂とを具備する樹脂粒子を提供する。
【0010】
請求項2の発明においては、前記亀裂は、開口面の角度が5〜90°であり、深さが1μm以上であって、前記最短長の90%以下である請求項1に記載の樹脂粒子を提供する。
【0011】
請求項3の発明においては、熱可塑性樹脂を含有する請求項1又は2に記載の樹脂粒子を提供する。
【0012】
請求項4の発明においては、前記熱可塑性樹脂が、ポリフェニレンエーテルである請求項3に記載の樹脂粒子を提供する。
【0013】
請求項5の発明においては、前記ポリフェニレンエーテルが、下記式(1)で表される構造単位(A)及び下記式(2)で表される構造単位(B)を具備する請求項4に記載の樹脂粒子を提供する。
【0014】
【化1】

【0015】
上記式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基よりなる群から選択されるいずれかを示す。
【0016】
【化2】

【0017】
上記式(2)中、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基よりなる群から選択されるいずれかを示す。R5は、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基よりなる群から選択されるいずれかを示す。
【0018】
請求項6の発明においては、揮発成分の含有量が5質量%以下である請求項1乃至5のいずれか一項に記載の樹脂粒子を提供する。
【0019】
請求項7の発明においては、下記式(3)で表されるフェノール化合物(C)及び下記式(4)で表されるフェノール化合物(D)からなる混合フェノール化合物を用いて、ポリフェニレンエーテル樹脂を重合する工程と、前記工程により得られたポリフェニレンエーテル樹脂の粒子を、60℃以上で乾燥させる工程とを有する請求項5に記載の樹脂粒子の製造方法を提供する。
【0020】
【化3】

【0021】
上記式(3)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基よりなる群から選択されるいずれかを示す。
【0022】
【化4】

【0023】
上記式(4)中、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基よりなる群から選択されるいずれかを示す。R5は、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基よりなる群から選択されるいずれかを示す。
【0024】
請求項8の発明においては、前記重合工程は、1種以上の芳香族炭化水素溶媒と、1種以上のポリフェニレンエーテル樹脂に対する貧溶媒とからなる混合溶媒、及び触媒を用いて行う請求項7に記載の樹脂粒子の製造方法を提供する。
【0025】
請求項9の発明においては、前記ポリフェニレンエーテル樹脂を重合した後、撹拌式又は転動式の乾燥機を用いて乾燥処理を行う工程を有する請求項7又は8に記載の亀裂を有する樹脂粒子の製造方法を提供する。
【0026】
請求項10の発明においては、前記撹拌式の乾燥機が、パドル型ドライヤである請求項9に記載の亀裂を有する樹脂粒子の製造方法を提供する。
【0027】
請求項11の発明においては、前記攪拌式の乾燥機が、SCプロセッサである請求項9に記載の亀裂を有する樹脂粒子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、亀裂内部に所定の微細粒子を取り込むことにより所望の特性を適宜付与でき、更には破砕等が防止でき、ブリッジ等が生じにくい、極めて取り扱いが良好な樹脂粒子及びその製造方法が得られる。
また、本発明により得られる樹脂粒子が略球形であるため、その安息角が小さくなり、ゆるめ見かけ比重を大きくすることが可能となる。これにより所定の機材内に投入する際におけるブリッジが回避でき、極めて取扱性が良好となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、発明の実施の形態)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0030】
(樹脂粒子)
本実施の形態における樹脂粒子の概略断面図を図1に示す。
樹脂粒子1は、最大長L1、及び最短長L2が、6μm以上500μm以下であり、表面に球面2と亀裂3とを有している。
樹脂粒子1は走査型電子顕微鏡写真撮影を行い観察することにより上記各寸法を測定できる。
樹脂粒子の最大長L1及び最短長L2は、6〜300μmが好ましく、6〜200μmがより好ましい。
また、亀裂3の開口面の角度θは、5〜90°が好ましい。この範囲であることにより、樹脂粒子に微粒子が添加された場合、これを亀裂3中に取り込む等の効果が期待でき、樹脂粒子1とのなじみがよく、粒子同士によるぶつかり合いによる異形粒子の発生を抑制できる。亀裂1の開口面の角度θは、5〜85°がより好ましく、5〜80°がさらに好ましい。なお、前記と同様、微粒子の取り込みやすさの理由から、開口面間の距離は1μm以上であることが好ましい。
また、亀裂の深さDは1μm以上であることが好ましく、樹脂粒子1の最短長の90%以下とする。これにより、亀裂1中に微粒子を取り込みやすくなり、前記のように、異形粒子の発生を抑制することができる。
亀裂3の深さDは1.5μm以上が好ましく3μm以上がより好ましい。亀裂3の深さDの樹脂粒子の最短長L2に対する割合は90%以下が好ましく75%以下がより好ましい。
【0031】
本実施の形態における樹脂粒子の、表面を構成する球面は、良好な平滑性を有しているものとし、明確な球形状を呈しているのが好ましい。
球形状の度合いは、円形度で示すことができる。
円形度は、フロー式粒子像分析装置を用いて、フラットシースフロー方式により測定できる。フラットシースフロー方式により測定する際には、シース液により試料流を扁平にし、ストロボ光により粒子1個ずつを静止画像とし撮像し、得られた個々の粒子の画像を解析することで測定する。この粒子1個の画像から粒子の表面の平滑性を観察することもできる。
画像の解析方法については、粒子面積と等しい円の周囲長を粒子周囲長で除した値で評価するものとし、例えば正三角形の場合0.777、正方形の場合0.886、正六角形0.952、真円で1.000となり、例えば2000個以上の粒子画像からの平均値を算出することにより高い精度が得られる。
樹脂粒子を表面を構成する球面の円形度は、0.953〜1.000の範囲が好ましく、0.960〜1.000の範囲がより好ましい。この範囲にすることにより、粒子同士の衝突時の接触面積が小さくなり、破砕が防止できる。
更に、球形であることにより、空送時に樹脂粒子がラインにひっかかりにくくなるため、好ましい。
【0032】
本実施の形態における樹脂粒子は、多数の樹脂粒子群として取り扱われる。
この樹脂粒子群中における、亀裂を有する樹脂粒子の含有割合について説明する。
具体的には、走査型電子顕微鏡より観察される6μm以上500μm以下の粒子を100個選択したとき、このうちの30個以上が亀裂を有する樹脂粒子であることが好ましい態様である。
亀裂を有する樹脂粒子の含有個数が40個以上であることが好ましく、50個以上であることがより好ましく、60個以上であることがさらに好ましい。
亀裂を有する樹脂粒子の含有割合が30個/100個未満であると、樹脂粒子群に所望の特性を付与するための微細粒子の捕捉効果が不十分となり、また、高表面積化の効果が得られないおそれがある。
特に球形状の樹脂粒子から亀裂を発生させたものが、空送時・粒子衝突時等における割れに対する耐性を発揮するため好ましい。
また、樹脂粒子群のうち、6μm未満の微小な樹脂粒子が亀裂を有していると、粒子捕捉機能を十分には発揮されず、ゆるめ見かけ比重を低下させる可能性があるため、6μm以上の比較的大きな樹脂粒子が亀裂を有しているものであることが好ましい態様である。
【0033】
本実施の形態における亀裂を有する樹脂粒子の揮発成分含有量は5質量%以下であることが好ましい。揮発成分がこの範囲であることにより、本発明の樹脂粒子に微粒子状の添加剤を加えられた際、微粒子に揮発成分が付着することがないので、微粒子の樹脂粒子への付着力を強める目的で添加剤を多量に加える必要がない上、空送時のラインに付着する可能性もない。従って、微粒子の捕捉を効率よく行うことができる。例えば、樹脂と親和性が高く、樹脂を溶解させるような揮発成分を有する場合であっても、樹脂粒子表面がやわらかくなり、亀裂の閉塞や、空送時のラインに付着、さらには、加熱加工時の臭気発生といった問題が発生することもない。
なお、揮発成分は、樹脂粒子の乾燥温度を適宜高くし,乾燥時間を適宜長くすることにより低くできる。
【0034】
本実施の形態における亀裂を有する樹脂粒子は、公知の熱可塑性樹脂、あるいは熱硬化性樹脂により構成される。
例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル/スチレン樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル、ポリアミド、ポリアセタール、超高分子量ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルペンテン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、液晶ポリマー、ポリテトラフロロエチレン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリアミドイミド、フェノール、尿素、メラミン、不飽和ポリエステル、アルキッド、エポキシ、ジアリルフタレート等の樹脂が挙げられる。
上記樹脂の中でもポリスチレン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリアミドイミド等の熱可塑性樹脂が好ましく、特に、ポリフェニレンエーテルが好ましい。
さらに、ポリフェニレンエーテルは、式(1)で表される構造単位(A)及び上記式(2)で表される構造単位(B)からなるポリフェニレンエーテルであると、亀裂を有する樹脂粒子が効率的良く作製できることが確認された。
【0035】
【化5】

【0036】
上記式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基よりなる群から選択されるいずれかを示す。
【0037】
【化6】

【0038】
上記式(2)中、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基よりなる群から選択されるいずれかを示す。R5は、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基よりなる群から選択されるいずれかを示す。
【0039】
本実施の形態における樹脂粒子は、乳化重合、懸濁重合、シード重合、分散重合、溶液重合、沈殿析出重合により作製できる。
特に、重合後期に沈殿析出を呈する重合法は、析出工程によるポリマー回収工程を省略できるため好ましい。
【0040】
前記式(1)、(2)中の記号を説明する。
1、R2、R3、R4及びR5で示される、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。塩素原子、臭素原子が好ましい。
1、R2、R3、R4及びR5で示される、置換されていてもよいアルキル基の「アルキル基」としては、炭素数が1〜6、好ましくは1〜3の、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を示す。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等が挙げられる。メチル、エチルが好ましくメチルがより好ましい。
1、R2、R3、R4及びR5で示される、置換されていてもよいアリール基の「アリール基」としては、例えば、フェニル、ナフチル等が挙げられる。フェニルが好ましい。
1、R2、R3、R4及びR5で示される、置換されていてもよいアラルキル基の「アラルキル基」は、アルキル部分が上記で定義された「アルキル基」であり、アリール部分が上記で定義された「アリール基」であるアラルキル基が挙げられる。例えば、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピル、1−ナフチルメチル等が挙げられ、ベンジルが好ましい。
1、R2、R3、R4及びR5で示される、置換されていてもよいアルコキシ基の「アルコキシ基」は、炭素数が1〜6、好ましくは1〜3の、直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基を示すものとし、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等が挙げられ、メトキシ、エトキシが好ましい。
1、R2、R3、R4及びR5で示されるアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基は、1又は2以上の置換基により置換されていてもよい。置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル)、アラルキル基(例えば、ベンジル、フェネチル)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ)等が挙げられる。
【0041】
本実施の形態における樹脂粒子がポリフェニレンエーテル樹脂よりなり、上述した構造単位(A)及び構造単位(B)により構成されるときの、それぞれの構造単位の樹脂中における割合については、特に限定されるものではないが、ポリフェニレンエーテル樹脂全体に対して、構造単位(A)が100〜47%、構造単位(B)が0〜47%であることが好ましく、構造単位(A)が96〜60%であり構造単位(B)が4〜40%であることがより好ましく、構造単位(A)が87〜72%であり構造単位(B)が13〜28%であることがさらに好ましい。
各構造単位の割合を上記範囲内に選定することにより、樹脂粒子のガラス転移温度Tgを高めることができ、優れた耐熱性が得られる。
【0042】
上記構造単位(A)のR1、R2がメチル基である構造単位(A1)と、上記構造単位(B)の、R3、R4及びR5がメチル基である構造単位(B1)との組み合わせを選択すると、成型流動性に優れたポリフェニレンエーテル樹脂が得られるため好ましい。
【0043】
本実施の形態における亀裂を有する樹脂粒子がポリフェニルエーテル樹脂よりなる場合、還元粘度(dl/g)が0.25以上であると、優れた機械的特性が得られ、かつ安定的に亀裂を具備する樹脂粒子が得られるようになるため好ましい。還元粘度は0.3以上がより好ましく、0.35以上がさらに好ましく、0.4以上がさらにより好ましい。
樹脂の還元粘度の上限については、押出成型等における成型流動性の低下を防止する観点から、還元粘度1.5(dl/g)未満であることが好ましく、1.3(dl/g)以下がより好ましく、1.1(dl/g)以下がさらに好ましい。
なお、還元粘度とは、30℃におけるポリフェニレンエーテル樹脂の0.5g/dl濃度のクロロホルム溶液の還元粘度を意味するものとする。
【0044】
(亀裂を有する樹脂粒子の製造方法)
本実施の形態における亀裂を有する樹脂粒子の製造方法については、特に限定されるものではないが、樹脂粒子をポリフェニレンエーテル樹脂により構成する場合、下記式(3)で表されるフェノール化合物(C)及び下記式(4)で表されるフェノール化合物(D)からなる混合フェノール化合物を用いて、ポリフェニレンエーテル樹脂を重合する工程、当該工程により得られたポリフェニレンエーテル樹脂粒子を乾燥させる工程により作製することが好ましい。
【0045】
【化7】

【0046】
上記式(3)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基よりなる群から選択されるいずれかを示す。
【0047】
【化8】

【0048】
上記式(4)中、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基よりなる群から選択されるいずれかを示し、R5は、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基よりなる群から選択されるいずれかを示す。
【0049】
ポリフェニレンエーテル樹脂は、所定の触媒の存在下で、少なくとも1種以上のポリフェニレンエーテルの良溶媒、及び少なくとも1種以上のポリフェニレンエーテルの貧溶媒からなる混合溶媒中において、酸素含有ガスを用いて酸化カップリングし、重合後期において重合体を沈殿析出させる方法により作製することが好ましい。この方法によれば、重合後期における重合液粘度の上昇が抑制でき、均一撹拌が容易で、高ポリマー濃度も選択できる。
【0050】
樹脂粒子の乾燥工程は、少なくとも60℃以上の温度により行うものとし、80℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましく、140℃以上がさらに好ましく、150℃以上がさらにより好ましい。
樹脂粒子の乾燥を60℃以下で行うと、亀裂を有するポリフェニレンエーテル樹脂粒子が十分生成されないおそれがある。
亀裂を有する樹脂粒子を高効率で得るためには、乾燥温度を上昇させる方法、乾燥雰囲気中の真空度を上昇させる方法、乾燥中に撹拌を行う方法等が有効であるが、特に、乾燥速度を上昇させる方法が好ましい。
乾燥工程は混合機を併用することが好ましい。混合機としては、撹拌式、転動式の乾燥機が挙げられる。これにより処理量を多くでき、生産性を高く維持できる。
具体的には、パドル型ドライヤ、ロータリードライヤ、SCプロセッサ、KIDドライヤ、リボン混合乾燥機、ロータリーキルン、マルチフィンプロセッサが挙げられ、特に、撹拌式乾燥機が好ましく、パドル型ドライヤ、SCプロセッサが好ましい。これらによれば、樹脂粒子の表面の平滑性を維持しながら亀裂発生時の破砕を抑制できる。
なお、上述した重合工程において球形状の樹脂粒子を製造しておき、後工程である乾燥工程において80℃以上の温度で乾燥させる方法が平滑な表面を有する球形状になりやすく好ましい。
【0051】
上記樹脂粒子の乾燥工程においては、撹拌式または転動式の乾燥機の中に投入するポリフェニレンエーテル樹脂粒子は、湿潤状態であることが必要である。
さらに、投入される湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂粒子は、ポリフェニレンエーテル100質量部に対し揮発成分を40質量部以上含有していることが好ましい。
揮発成分の含有量は、60質量部以上であることがより好ましく、80質量部以上であることがさらに好ましく、100質量部以上であることがさらにより好ましい。
揮発成分の含有量が40質量部未満であると、乾燥工程を経た後、亀裂を有する粒子が十分に生成されないおそれがある。
また、揮発成分の含有量の上限値は特に無いが、250質量部を超えると乾燥処理時間が長くなるため、効率の低下を来たす。
なお、乾燥工程の開始時に揮発成分の含有量が40質量部未満である場合には、揮発成分を40質量部以上となるまで添加してもよい。一方、250質量部を超える場合には、乾燥時間を長くしたり、250質量部以下となるまで予め事前乾燥を行うようにしたりしてもよい。
【0052】
次に、上記式(3)、上記式(4)中に示す記号の説明を行う。
1、R2、R3、R4及びR5で示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。特に塩素原子、臭素原子が好ましい。
1、R2、R3、R4及びR5で示される置換されていてもよいアルキル基の「アルキル基」としては、炭素数が1〜6、好ましくは1〜3の、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を示すものとし、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等が挙げられる。特にメチル、エチルが好ましく、メチルがより好ましい。
1、R2、R3、R4及びR5で示される、置換されていてもよいアルケニル基の「アルケニル基」としては、例えば、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、3−ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル等が挙げられる。特にエテニル、1−プロペニルが好ましい。
1、R2、R3、R4及びR5で示される置換されていてもよいアルキニル基の「アルキニル基」としては、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル(プロパルギル)、3−ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル等が挙げられる。特にエチニル、1−プロピニル、2−プロピニル(プロパルギル)が好ましい。
1、R2、R3、R4及びR5で示される置換されていてもよいアリール基の「アリール基」としては、例えば、フェニル、ナフチル等が挙げられる。特にフェニルが好ましい。
1、R2、R3、R4及びR5で示される置換されていてもよいアラルキル基の「アラルキル基」としては、例えば、ベンジル、フェネチル、2−メチルベンジル、4−メチルベンジル、α−メチルベンジル、2−ビニルフェネチル、4−ビニルフェネチル等が挙げられる。特にベンジルが好ましい。
1、R2、R3、R4及びR5で示される置換されていてもよいアルコキシ基の「アルコキシ基」としては、炭素数が1〜6、好ましくは1〜3の、直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基を示し、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等が挙げられる。特にメトキシ、エトキシが好ましい。
1、R2、R3、R4及びR5で示されるアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニルキ、アラルキル基、アルコキシ基は、置換可能な位置に、1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。そのような置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル)、アルケニル基(例えばエテニル、1―プロペニル、2−プロペニル)、アルキニル基(例えばエチニル、1−プロピニル、2―プロピニル)、アラルキル基(例えば、ベンジル、フェネチル)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ)等が挙げられる。
【0053】
上記式(3)で示されるフェノール化合物(C)としては、例えば、o−クレゾール、2,6−ジメチルフェノール、2−エチルフェノール、2−メチル−6−エチルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−n−プロピルフェノール、2−メチル−6−クロルフェノール、2−メチル−6−ブロモフェノール、2−メチル−6−イソプロピルフェノール、2−メチル−6−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−ブロモフェノール、2−メチル−6−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−クロルフェノール、2−メチル−6−フェニルフェノール、2−フェニルフェノール、2,6−ジフェニルフェノール、2,6−ビス−(4−フルオロフェニル)フェノール、2−メチル−6−トリルフェノール、2,6−ジトリルフェノール等が挙げられる。特に、安価であり入手が容易であるため、2,6−ジメチルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2,6−ジフェニルフェノールが好ましく、2,6−ジメチルフェノールがより好ましい。
上記フェノール化合物(C)は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、2,6−ジメチルフェノールと2,6−ジエチルフェノールを組み合わせて使用する方法、2,6−ジメチルフェノールと2,6−ジフェニルフェノールを組み合わせて用いる方法等が挙げられ、混合比は任意に選択できる。
またフェノール化合物(C)の中には、製造の際の副産物として含まれている少量のm−クレゾール、p−クレゾール、2,4−ジメチルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノール等が含まれていてもよい。
【0054】
上記式(4)に示すフェノール化合物(D)としては、例えば、2、5−ジメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,5−ジエチルフェノール、2−メチル−5−エチルフェノール、2−エチル−5−メチルフェノール、2−アリル−5−メチルフェノール、2、5−ジアリルフェノール、2,3−ジエチル−6−n―プロピルフェノール、2−メチル−5−クロルフェノール、2−メチル−5−ブロモフェノール、2−メチル−5−イソプロピルフェノール、2−メチル−5−n−プロピルフェノール、2−エチル−5−ブロモフェノール、2−メチル−5−n−ブチルフェノール、2,5−ジ−n−プロピルフェノール、2−エチル−5−クロルフェノール、2−メチル−5−フェニルフェノール、2,5−ジフェニルフェノール、2,5−ビス−(4−フルオロフェニル)フェノール、2−メチル−5−トリルフェノール、2,5−ジトリルフェノール、2,6−ジメチル−3−アリルフェノール、2,3,6−トリアリルフェノール、2,3,6−トリブチルフェノール、2,6−ジーn−ブチル−3−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−3−メチルフェノール、2,6−ジメチル−3―n−ブチルフェノール、2,6−ジメチル−3―t―ブチルフェノール等が挙げられる。特に、安価であり入手が容易であるため、2,3,6−トリメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノールが好ましく、2,3,6−トリメチルフェノールがより好ましい。
上記フェノール化合物(D)は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、2,3,6−トリメチルフェノールと2,5−ジメチルフェノールを組み合わせて使用する方法等が挙げられ、その際の混合比は任意に選択できる。
また使用するフェノール化合物(D)の中に、製造の際の副産物として含まれている少量のo−クレゾール、p−クレゾール、2,4−ジメチルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノール等が含まれていてもよい。
【0055】
上記フェノール化合物(C)と、上記フェノール化合物(D)との割合は、特に限定されるものではないが、単量体混合物全体に対して、フェノール化合物(C)が50質量%〜95質量%、フェノール化合物(D)が50質量%〜5質量%であることが好ましく、フェノール化合物(C)が60質量%〜90質量%、フェノール化合物(D)が40〜10質量%であることがより好ましく、フェノール化合物(C)が70質量%〜90質量%、フェノール化合物(D)が30〜10質量%であることがさらに好ましく、フェノール化合物(C)が70〜85質量%、フェノール化合物(D)が30〜15質量%であることがさらにより好ましい。
上述したような混合フェノール化合物中における上記フェノール化合物(C)の割合が95質量%より多くなると、最終的に得られるポリフェニレンエーテル樹脂粒子が異形状となり、平滑な粒子表面が得られない場合があることが確認された。
また、混合フェノール化合物中における上記フェノール化合物(C)の割合が50質量%未満であると、所望の重合度のポリフェニレンエーテルを得るための重合時間が著しく長くなる場合があることが確認された。
【0056】
ポリフェニレンエーテル樹脂粒子の重合工程における、上述した混合フェノール化合物の濃度については、特に限定されるものではないが、溶液全体に対して10〜50質量%が好ましく、15〜30質量%がより好ましい。
ポリフェニレンエーテル樹脂粒子の重合工程は、反応溶媒中に重合体が粒子として析出する沈殿析出重合を選択することが好ましい。
混合フェノール化合物の濃度を上記範囲内とすると、効率の良い沈殿析出重合が行われることが確かめられた。
なお、沈殿析出重合以外の重合方法を適用する場合の造粒方法としては、重合後のポリマーを例えばハロゲン系の溶媒であるクロロホルム、モノクロロフェノール、ジクロロフェノール・熱した芳香族炭化水素に完全に溶解し、スプレードライヤー等の乾燥機にポリマーを含む溶液を噴霧する等の方法が挙げられる。
重合体の析出状態は、例えば、反応器の覗き窓から重合体の析出を目視観察する方法、サンプリング口からガラス等の透明容器に重合液を抜き出し重合体の析出を目視観察する等の方法により確かめることができる。
目視観察を始める目安としては、重合系内に含まれるフェノール化合物の量やポリフェニレンエーテルに対する良溶媒または貧溶媒の量にもよるが、好ましくは、重合率が80%に達した以降から、より好ましくは、重合率が70%に達した以降から、さらに好ましくは、重合率が50%に達した以降から重合系内における重合体の析出に注意し観察を始めるものとする。
【0057】
ポリフェニレンエーテル樹脂粒子の重合工程においては、重合溶媒中に沈殿析出が観察された後も、沈殿析出を維持したまま重合を継続し完結させるようにすることが重要である。
重合を開始した時間から、上記観察により沈殿析出するまでに要する時間を滞留時間T1とし、上記観察により沈殿析出した時間から重合を完結する時間を滞留時間T2とする。
滞留時間の比(T2/T1)は、0.1〜30の範囲内にあることが好ましく、0.3〜20の範囲がより好ましく、0.5〜15の範囲がさらに好ましい。
滞留時間の比(T2/T1)が0.1未満であると、樹脂粒子は球形ではない異形粒子となる場合があり、また滞留時間の比(T2/T1)の比が30以上になると、沈殿析出を開始するまでの重合時間によるが、ポリフェニレンエーテルを得るための重合時間が長くなるため、製造工程の効率が悪化する。
【0058】
ポリフェニレンエーテル樹脂粒子の重合工程においては、上述したフェノール化合物を重合初期から重合槽内に全量存在させて重合を行い完結させる方法、重合中にフェノール化合物を逐次添加しながら重合し完結させる方法、また連続的に原料を供給し重合し連続的にポリフェニレンエーテルを重合する方法のいずれもが適用できる。
沈殿析出前の重合温度は、0℃〜50℃であることが好ましく、10℃〜40℃がより好ましく、20℃〜40℃がさらに好ましい。沈殿析出前の温度が低すぎると、重合反応が進行しにくい場合があるためである。
また、沈殿析出後の重合温度としては、0℃〜100℃が好ましく、10℃〜80℃がより好ましく、15℃〜70℃がさらに好ましく、20℃〜60℃がさらにより好ましい。 沈殿析出後の温度が高すぎると、重合に用いる溶媒の揮発が激しくなり、冷却還流設備への負荷が大きくなる恐れがあるためである。
【0059】
ポリフェニレンエーテル樹脂粒子の重合工程においては、良溶媒と少なくとも一種以上のポリ(2,6−ジメチル−1,4―フェニレンエーテル)に対する貧溶媒との比率を変化させて、貧溶媒の比率を大きくすることにより反応の進行とともに重合体が反応溶媒中に粒子として析出する沈殿重合法が適用できる。
良溶媒:貧溶媒の割合は、重量比で25:75〜95:5であることが好ましく、40:60〜85:15であることがより好ましく、45:55〜80:20であることがさらに好ましく、50:45〜75:25であることがさらにより好ましい。
各溶媒の割合が上記範囲内であると、析出した粒子の反応器へのスケールが極めて少なく、安定な重合体が生成できることが確認された。
良溶媒の割合が上記範囲よりも少ないと、重合時間が著しく長期化するおそれがあり、また重合中に外部からの加熱が必要となる等、効率的にポリフェニレンエーテルを得られなくなるおそれがある。
また、良溶媒の割合が上記範囲を超えると、重合体が反応溶媒中に粒子として析出しなくなるおそれがある。
【0060】
ポリフェニレンエーテルの良溶媒とは、従来の方法で得られるポリ(2,6―ジメチルフェニレン)エーテルを溶解させることができる溶媒である。
例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン(o−、m−、p−の各異性体を含む)、エチルベンゼン、スチレン等の芳香族炭化水素;クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ニトロベンゼンのようなニトロ化合物が挙げられる。
その他の良溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、へプタン、シクロヘキサン、シクロへプタン等の脂肪族炭化水素類;酢酸エチル、ギ酸エチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
これらの良溶媒は、単独でも用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン等の芳香族炭化水素やクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が好ましい良溶媒として挙げられる。
【0061】
ポリフェニレンエーテルの貧溶媒とは、ポリ(2,6―ジメチルフェニレン)エーテルを全く溶解しないか、わずかに溶解できる溶媒を意味する。例えば、ケトン類、アルコール類が挙げられる。
このような貧溶媒は、炭素数1〜10のアルコールを用いて合成できる。
具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、エチレングリコール等が挙げられる。これらの貧溶媒には更に水が含まれていてもよい。これらの貧溶媒は単独でも用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記貧溶媒のうち、特に、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノールが好ましい。
上述した良溶媒と貧溶媒とを組み合わせた混合溶媒としては、例えば、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素溶媒に、メタノール、エタノール等のアルコール類を含有させた混合溶媒が挙げられる。
【0062】
重合工程において用いられる触媒としては、一般的に、ポリフェニレンエーテルの製造に用いられる公知の触媒系をいずれも適用できる。
例えば、酸化還元能を有する遷移金属イオンと、当該金属イオンと錯形成可能なアミン化合物とから構成される触媒系がある。具体的には銅化合物とアミンとからなる触媒系、マンガン化合物とアミンからなる触媒系、コバルト化合物とアミンからなる触媒系、等が挙げられる。
重合反応は、若干のアルカリ性条件下で効率よく進行するため、若干のアルカリもしくは更なるアミンを加えてもよい。
重合工程において適用する触媒としては、触媒の構成成分として銅化合物、ハロゲン化合物、及び下記式(5)で表されるジアミン化合物を含む触媒が好ましいものとして挙げられる。
【0063】
【化9】

【0064】
上記式(5)中、R6、R7、R9及びR10は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を示し(但し、全てが同時に水素ではない)、R8は炭素数2〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。
【0065】
上記触媒を構成する成分としての銅化合物について例示する。
好適な銅化合物としては、第一銅化合物、第二銅化合物、又はそれらの混合物を使用できる。
第一銅化合物としては、例えば、塩化第一銅、臭化第一銅、硫酸第一銅、硝酸第一銅等が挙げられる。
第二銅化合物としては、例えば、塩化第二銅、臭化第二銅、硫酸第二銅、硝酸第二銅等が挙げられる。
特に好ましい銅化合物としては、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅が挙げられる。
また、上記各種銅塩は、酸化物(例えば酸化第一銅)、炭酸塩、水酸化物等と対応するハロゲンまたは酸から、使用時に合成してもよい。具体的には、上記酸化第一銅とハロゲン化水素(またはハロゲン化水素の溶液)とを混合して合成する方法が挙げられる。
【0066】
上記触媒を構成する成分としてのハロゲン化合物について例示する。
好適なハロゲン化合物としては、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム等が挙げられる。
また、これらのハロゲン化合物は、水溶液や所定の溶媒を用いた溶液としても使用できる。これらのハロゲン化合物は、単独でも用いてもよく、2種類以上組み合わせて用いてもよい。特に、塩化水素の水溶液、臭化水素の水溶液が好ましい。
ハロゲン化合物の使用量は特に限定されないが、銅原子のモル量に対し、ハロゲン原子が2倍以上20倍以下となることが好ましい。なお、使用されるフェノール化合物100モルに対して銅原子の好ましい使用量は0.02モルから0.6モルの範囲である。
【0067】
触媒を構成する成分としてのジアミン化合物について例示する。
好適なジアミン化合物としては、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’−トリメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、N,N,N’−トリエチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’−エチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチル−N−エチルエチレンジアミン、N−n−プロピルエチレンジアミン、N,N’−ジーn−プロピルエチレンジアミン、N−i−プロピルエチレンジアミン、N,N’−ジーi−プロピルエチレンジアミン、N−n−ブチルエチレンジアミン、N,N’−ジーn−ブチルエチレンジアミン、N−i−ブチルエチレンジアミン、N,N’−ジーi−ブチルエチレンジアミン、N−t−ブチルエチレンジアミン、N,N’−ジーt−ブチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’−トリメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N−メチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノ−1−メチルプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノ−2−メチルプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ジアミノブタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,5−ジアミノペンタン等が挙げられる。
上述したジアミン化合物のうち、好ましいジアミン化合物は、2つの窒素原子をつなぐアルキレン基(R10)の炭素数が2又は3のものである。
ジアミン化合物の使用量は特に限定されないが、フェノール化合物100モルに対して0.01モル〜10モルの範囲で用いることが好ましい。
【0068】
上述した触媒の構成成分に加え、さらに触媒の構成成分として、3級モノアミン化合物または2級モノアミン化合物を、それぞれ単独で、またはこれらを組み合わせて含有させることが好ましい。
3級モノアミン化合物とは、脂環式3級アミンを含めた脂肪族3級アミンである。
例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、アリルジエチルアミン、ジメチル−n−ブチルアミン、ジエチルイソプロピルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。これらの第3級モノアミンは単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
3級モノアミン化合物の使用量については特に限定されないが、フェノール化合物100モルに対して15モル以下の範囲で用いることが好ましい。
2級モノアミン化合物としては、第2級脂肪族アミンが挙げられる。例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−i−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−i−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジペンチルアミン類、ジヘキシルアミン類、ジオクチルアミン類、ジデシルアミン類、ジベンジルアミン類、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、シクロヘキシルアミンが挙げられる。
芳香族を含む2級モノアミン化合物としては、例えば、N−フェニルメタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−フェニルプロパノールアミン、N−(m−メチルフェニル)エタノールアミン、N−(p−メチルフェニル)エタノールアミン、N−(2’,6’−ジメチルフェニル)エタノールアミン、N−(p−クロロフェニル)エタノールアミン、N−エチルアニリン、N−ブチルアニリン、N−メチル−2−メチルアニリン、N−メチル−2,6−ジメチルアニリン、ジフェニルアミン等が挙げられる。これらの2級モノアミン化合物は単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
2級モノアミン化合物の使用量については特に限定されないが、フェノール化合物100モルに対し15モル以下の範囲で用いることが好ましい。
【0069】
上述した重合工程においては、活性向上効果有する界面活性剤を適宜添加してもよい。
界面活性剤としては、例えば、Aliquat336(商品名:ヘンケル社製)やCapriquat(商品名:株式会社 同仁化学研究所製)であるトリオクチルメチルアンモニウムクロライドが挙げられる。
界面活性剤の使用量は、重合反応混合物の全量に対して0.1質量%を超えない範囲が好ましい。
【0070】
上述したように、ポリフェニレンエーテル樹脂の重合工程においては、所定の触媒の存在下で、少なくとも1種以上のポリフェニレンエーテルの良溶媒、及び少なくとも1種以上のポリフェニレンエーテルの貧溶媒からなる混合溶媒中において、酸素含有ガスを用いて酸化カップリングを行うが、この際の酸素含有ガスとしては、純酸素の他、酸素と窒素等の不活性ガスとを任意の割合で混合したもの、空気、更には空気と窒素、希ガス等の不活性ガスとを任意の割合で混合したもの等が使用できる。
【0071】
重合反応中における系内圧力は常圧条件下でもよいが、必要に応じて減圧、加圧することができる。
上記酸素含有ガスの供給速度は、除熱や重合速度等を考慮して任意に選択できるが、重合に用いるフェノール化合物1モル当たりの純酸素として5NmL/分以上とすることが好ましく、10NmL/分以上とすることがさらに好ましい。
【0072】
重合反応系には、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属のアルコキサイド、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム等の中性塩、ゼオライト等を添加してもよい。
【0073】
樹脂粒子の重合反応が終了した後の後処理については特に制限されるものではないが、通常においては、塩酸や酢酸等の酸、またはエチレンジアミン4酢酸(EDTA)及びその塩、ニトリロトリ酢酸及びその塩等を反応液に加えて触媒を失活させる処理が行われる。
その後、重合終結時における重合溶液は沈殿析出状態となっているため、触媒の洗浄除去を目的として、重合に用いたポリフェニレンエーテルの溶解能が低い溶媒を主成分とする溶液を用いて繰り返し洗浄を実施する。
【0074】
樹脂粒子の重合の方式については特に限定されないが、多種類のポリフェニレンエーテル樹脂粒子を得ることを目的とする場合には、種々のガラス転移温度を有するポリフェニレンエーテルの造り分けが容易なバッチ方式を採用することが好ましく、連続的に安定した製造を目的とする場合には連続方式を採用することが好ましい。
更に、ポリフェニレンエーテル樹脂粒子を効率良く得るための連続方式として、少なくとも2槽の重合槽を具備する製造装置を用いることが好ましい。この場合、第一の重合槽およびそれ以降の重合槽において析出沈殿重合を選択する場合においては、重合溶媒に溶解させたフェノール化合物、および触媒を第一の重合槽に連続的に供給し、且つ良溶媒及び貧溶媒を第一の重合槽に連続的に供給する連続重合法を選択することが好ましく、第一の重合槽においてはポリフェニレンエーテルが沈殿析出を呈しない溶液重合を選択し第二またはそれ以降の重合槽において析出沈殿重合を選択することで、沈殿析出に要する平均滞留時間の観察が容易となり、また副生生物の生成量が著しく抑制できるようになる。
さらに、第一の重合槽において沈殿析出を呈しない範囲内で重合率を高めておくと、ポリフェニレンエーテルを得るための総平均滞留時間を短くすることができる。
さらに、重合溶媒に溶解させたフェノール混合物、および触媒を第一の重合槽に連続的に供給し、かつ貧溶媒を第二またはそれ以降の重合槽に連続的に供給する連続重合法を選択することも、球形ポリフェニレンエーテル粉体を高収率で製造する上で重要な役割を果たす。
更に、収率向上を図り、第三またはそれ以降の重合槽を併設することも有効である。
上述したような効率的な重合形態を採用することにより、良溶媒及び貧溶媒を重合時に用いた球形ポリフェニレンエーテル粉体を重合段階において製造できるようになり、さらには副生成物の生成、重合槽壁、撹拌軸、送液配管等へのポリマー付着を効果的に抑制でき、工業的に有利なポリフェニレンエーテルの連続重合が実現される。
【0075】
本実施の形態におけるポリフェニレンエーテル樹脂粒子を所定の熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂と溶融混練して所定の組成物を作製することができる。
熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル/スチレン樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル、ポリアミド、ポリアセタール、超高分子量ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルペンテン、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、ポリテトラフロロエチレン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリアミドイミド、フェノール、尿素、メラミン、不飽和ポリエステル、アルキッド、エポキシ、ジアリルフタレート等の樹脂が挙げられる。
また溶融混練時に、導電性、難燃性、耐衝撃性等の効果を付与する目的で従来既知の添加剤や熱可塑性エラストマーを加えてもよい。
【0076】
また、本実施の形態における亀裂を有する樹脂粒子を用いた組成物には、所望の添加剤を加えてもよい。例えば、可塑剤、安定剤、変性剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤、離型剤及びガラス繊維、炭素繊維等の繊維状補強剤、更にはガラスビーズ、炭酸カルシウム、タルク、クレイ等の充填剤が挙げられる。
安定剤や変性剤としては、亜リン酸エステル類、ヒンダードフェノール類、含イオウ酸化防止剤、アルカノールアミン類、酸アミド類、ジチオカルバミン酸金属塩類、無機硫化物、金属酸化物類、無水カルボン酸類、スチレンやステアリルアクリレート等のジエノフィル化合物類、エポキシ基含有化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの添加剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0077】
本実施の形態における亀裂を有する樹脂粒子を用いて各種組成物を作製する場合における、各成分を混合する方法については、従来公知の方法を適用できる。例えば、溶液ブレンドと脱気方法、押出機、加熱ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、ヘンシェルミキサー等が挙げられる。
【実施例】
【0078】
以下、具体的な実施例と、これとの比較例を挙げて具体的に説明する。
先ず、後述する実施例及び比較例において適用した測定方法について説明する。
【0079】
〔測定方法〕
(1)亀裂粒子の評価
走査型電子顕微鏡(JEOL製JSM−6700F)により撮影された写真像から、6μm以上500μm以下の代表的な粒子を100個選択し、亀裂を有している粒子数を数えた。
具体的には、走査型電子顕微鏡(JEOL製JSM−6700F)により撮影された写真像から、6μm以上500μm以下の亀裂を有する代表的な樹脂粒子を選択し、これらの写真像からノギスを用いて実測し、写真の拡大倍率から算出することにより、図1に示した亀裂の開口面の角度(θ)、深さ(D)を測定した。
また粒子表面が平滑であればその個数の数値で、平滑ではないものまたは明らかに球形ではないものが多数含まれる場合、あるいは亀裂が不明瞭で異形形状を示している場合は×で評価し、下記表1に示した。
【0080】
(2)微粒子捕捉性の評価
走査型電子顕微鏡(JEOL製JSM−6700F)により撮影された写真像から、6μm以上500μm以下の亀裂を有する代表的な樹脂粒子を選択し、亀裂の中に微粒子が目視で80%以上捕捉されている場合は◎、30%以上80%未満捕捉されている場合は○、捕捉されている微粒子が30%未満である場合は×と評価した。
また、後述の測定方法による揮発成分が5質量%以上の場合は、40℃で1mmHgの条件に設定した乾燥機で8時間乾燥させた後に走査型電子顕微鏡を用い観察した。
【0081】
(3)ガラス転移温度の測定
ポリフェニレンエーテルのガラス転移温度を、示差走査熱量計DSC(PerkinElmer製−Pyris1)を用いて測定した。
詳細には、窒素雰囲気中、20℃/分の昇温速度で、室温から280℃まで加熱した後、50℃まで40℃/分で降温し、その後、20℃/分の昇温速度でガラス転移温度を測定した。
【0082】
(4)還元粘度ηsp/cの測定
ポリフェニレンエーテルを0.5g/dlのクロロホルム溶液として、ウベローデ粘度管を用いて30℃における還元粘度(ηsp/c)を測定した。単位はdl/gである。
【0083】
(5)安息角の測定
パウダーテスター(ホソカワミクロン製)を用いて測定した。
【0084】
(6)揮発成分の測定
湿潤状態のポリフェニレンエーテルの重量と乾燥状態のポリフェニレンエーテルの重量の差を算出し、揮発成分の質量%を算出した。
【0085】
(7)ゆるめ見かけ比重の測定
(5)と同一のパウダーテスターを用いて、100cc容積の金属容器を用いて測定した。
【0086】
次に、樹脂粒子の例を示す。
〔実施例1〕
重合槽底部に酸素含有ガス導入機能を備えたスパージャー、撹拌タービン翼及びバッフル、重合槽上部のベントガスラインに還流冷却器、重合槽側面に第二重合槽へのオーバーフローラインを具備する8.0Lのジャケット付き第一重合槽に、2500mL/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、1.28gの塩化第二銅2水和物、5.645gの35%塩酸、14.2g のジ−n−ブチルアミン、48.945g のN,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン、3724.5gのキシレン、573.0g のn−ブタノール、1432.5gのメタノールを投入した。
同様に、反応器底部に酸素含有ガス導入機能を備えたスパージャー、撹拌タービン翼及びバッフル、反応器上部のベントガスラインに還流冷却器、重合槽側面に洗浄槽へのオーバーフローラインを備えた20.0Lのジャケット付き第二重合槽に、5000mL/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、8177.0gのキシレン、1258.0g のn−ブタノール、3145.0gのメタノールを投入した。
また、プランジャーポンプにより第一重合槽に送液できるライン、撹拌タービン翼及び槽上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた30.0Lの原料タンクに、2500mL/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、3.535gの塩化第二銅2水和物、15.570gの35%塩酸、39.170gのジ−n−ブチルアミン、135.020gのN,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン、10274.5gのキシレン、1580.5g のn−ブタノール、3951.5gのメタノール、3000.0gの2,6−ジメチルフェノール、1000.0gの2,3,6−トリメチルフェノールを投入し、撹拌により液を混合させた。
前記原料タンクへの仕込み液は、重合によって減量するため、その都度上記液組成のものを追加添加した。
【0087】
次に、激しく撹拌した第一重合槽へ、原料タンクより86.7g/分の流量で、重合溶液を供給し、同時に、第一重合槽へ1955.5mL/分の速度で酸素をスパージャーより導入を始めた。
更に、第一重合槽より第二重合槽へのオーバーフローを開始し、かつ782.0mL/分の速度で酸素をスパージャーより導入した。
【0088】
重合温度については、第一重合槽及び第二重合槽ともに40℃に保持するためにジャケットに熱媒を通して調節した。
重合反応を40時間継続して行うことにより、第一重合槽及び第二重合槽の重合状態は安定化し、ポリフェニレンエーテルが連続的に得られた。
なお、第一重合槽の重合形態は溶液重合であり、第二重合槽の重合形態は沈殿析出重合である。
その後、更にのべ70時間重合反応を継続して行った後に完了した。
【0089】
上記のようにして得られた重合混合物に、エチレンジアミン四酢酸3カリウム塩(同仁化学研究所製試薬)の10%水溶液を添加し、50℃に温めた。
次に、ハイドロキノン(和光純薬社製試薬)を少量ずつ添加し、スラリー状のポリフェニレンエーテルが白色となるまで、50℃の保温を継続した。
白色となったスラリー状のポリフェニレンエーテルを濾過し、濾残の湿潤状態のポリフェニレンエーテルを回収した。
この湿潤状態のポリフェニレンエーテルは、ポリフェニレンエーテル100重量部に対し、揮発成分を115質量部含んでいた。
【0090】
次に、操作容量が1Lの2軸スクリューを具備した粉体混合機の上流に粉体供給機と加熱保温可能な粉体貯蔵槽とを設置し、粉体混合機の下流には、40Lパドル型乾燥機を設置した。
湿潤状態のポリフェニレンエーテルを粉体供給機より4.85kg/Hrの速度で粉体混合機へ導入し、同様の速度で、前段を140℃、後段を155℃に設定したパドル型乾燥機へ導入した。
乾燥機へ導入を開始してから8時間経過後、パドル型乾燥機よりポリフェニレンエーテル樹脂の乾燥体がオーバーフローにより排出されたら、その乾燥体を粉体貯蔵槽へ入れ、160℃に保温した。
乾燥機への導入を開始してから11時間経過後、前記乾燥体を粉体貯蔵槽から一部サンプリングした。
このポリフェニレンエーテル樹脂の乾燥体サンプルを走査型電子顕微鏡で観察し、亀裂の入った樹脂粒子の評価をした。操作型電子顕微鏡写真を図2に示す。なお、得られた樹脂粒子の亀裂の開口面の角度(θ)は5〜90°の範囲内であり、深さDは1μm以上であった。
【0091】
〔実施例2〕
パドル型乾燥機の設定温度を、前段160℃とし後段180℃とした。
その他の条件は実施例1と同様としてポリフェニレンエーテル樹脂粒子を作製した。
【0092】
〔実施例3〕
原料タンクに投入する2,6−ジメチルフェノールを2800.0g、2,3,6−トリメチルフェノールを1200.0gとした。
また、パドル型乾燥機の設定温度を、前段150℃とし後段160℃とした。
その他の条件は実施例1と同様としてポリフェニレンエーテル樹脂粒子を作製した。
【0093】
〔実施例4〕
重合槽底部に酸素含有ガス導入のためのスパージャー、撹拌タービン翼及びバッフル、重合槽上部のベントガスラインに還流冷却器、重合槽側面に第二重合槽へのオーバーフローラインを具備する8.0Lのジャケット付き第一重合槽に、2500mL/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、1.475gの塩化第二銅2水和物、6.490gの35%塩酸、16.330g のジ−n−ブチルアミン、56.285g のN,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン、3576.0gのキシレン、550.0g のn−ブタノール、1375.5gのメタノールを投入した。
同様に、反応器底部に酸素含有ガス導入のためのスパージャー、撹拌タービン翼及びバッフル、反応器上部のベントガスラインに還流冷却器、重合槽側面に第三重合槽へのオーバーフローラインを備えた20.0Lのジャケット付き第二重合槽に5000mL/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、8177.0gのキシレン、1258.0g のn−ブタノール、3145.0gのメタノールを投入した。
さらに、反応器底部に酸素含有ガス導入のためのスパージャー、撹拌タービン翼及びバッフル、重合槽上部のベントガスラインに還流冷却器、重合槽側面にオーバーフローラインを備えた7.5Lのジャケット付き重合槽に、2500mL/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、1950.0gのキシレン、300.0gのn−ブタノール、750.0gのメタノールを投入した。
また、プランジャーポンプにより第一重合槽に送液できるライン、撹拌タービン翼及び槽上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた30.0Lの原料タンクに2500mL/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、4.065gの塩化第二銅2水和物、17.905gの35%塩酸、45.045のジ−n−ブチルアミン、155.27gのN,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン、9865.5gのキシレン、1518.0g のn−ブタノール、3794.5gのメタノール、3450.0gの2,6−ジメチルフェノール、1150.0gの2,3,6−トリメチルフェノールを投入し、撹拌により液を混合させた。
原料タンクへの仕込み液は、重合が進行するに従って減量するため、その都度上記液組成のものを追加添加した。
【0094】
次に、激しく撹拌した第一重合槽へ、原料タンクより86.7g/分の流量で重合溶液を供給し、同時に第一重合槽へ2249.0mL/分の速度で酸素をスパージャーより導入開始した。
更に、第一重合槽より第二重合槽へのオーバーフローが開始されると同時に、900.0mL/分の速度で酸素をスパージャーより導入した。
更に、第二重合槽より第三重合槽へのオーバーフローが開始されると同時に250.0mL/分の速度で酸素をスパージャーより導入した。
【0095】
重合温度については、第一重合槽、第二重合槽および第三重合槽ともに40℃を保つようにジャケットに熱媒を通して調節した。
重合反応を40時間継続して行うことにより、第一重合槽および第二重合槽の重合状態は安定化し、ポリフェニレンエーテルが連続的に得られた。
なお、第一重合槽の重合形態は溶液重合であり、第二重合槽の重合形態は沈殿析出重合である。
その後さらに50時間重合を継続して行った後に完了した。
【0096】
上記のようにして得られた重合混合物に、エチレンジアミン四酢酸3カリウム塩(同仁化学研究所製試薬)の10%水溶液を添加し、50℃に温めた。
次に、ハイドロキノン(和光純薬社製試薬)を少量ずつ添加し、スラリー状のポリフェニレンエーテルが白色となるまで、50℃の保温を継続した。
白色となったスラリー状のポリフェニレンエーテルを濾過し、濾残の湿潤状態のポリフェニレンエーテルを回収した。
この湿潤状態のポリフェニレンエーテルは、ポリフェニレンエーテル100重量部に対し、揮発成分を113質量部含んでいた。
【0097】
続いて、湿潤状態のポリフェニレンエーテルを乾燥させた。
乾燥は、パドル型乾燥機の設定温度を前段150℃とし後段160℃として行った。その他の条件は、実施例1と同様としてポリフェニレンエーテル樹脂粒子を作製した。
【0098】
〔実施例5〕
上述した実施例1において得られた湿潤状態のポリフェニレンエーテル60kgに対して、170℃で内容積が100Lのコニカルドライヤーを用いて、8時間の乾燥処理を行い、ポリフェニレンエーテル樹脂粒子を作製した。
【0099】
〔実施例6〕
上述した実施例1において得られた湿潤状態のポリフェニレンエーテルを常温条件下で乾燥させ、ポリフェニレンエーテル100重量部に対し揮発成分を30質量部にした。その後、実施例1と同様として乾燥処理を施し、ポリフェニレンエーテル樹脂粒子を作製した。
【0100】
〔実施例7〕
上述した実施例1において得られた湿潤状態のポリフェニレンエーテル1000gを、150℃で1mmHgの条件に設定した真空乾燥機を用い、8時間の乾燥処理を行い、ポリフェニレンエーテル樹脂粒子を作製した。
【0101】
〔実施例8〕
上述した実施例1において得られた湿潤状態のポリフェニレンエーテルを常温条件下で乾燥させ、ポリフェニレンエーテル100重量部に対し揮発成分を85質量部にした。その後、このポリフェニレンエーテル10kgを、170℃で内容積が22Lの流動層乾燥機を用いて、8時間の乾燥処理を行い、ポリフェニレンエーテル樹脂粒子を作製した。
【0102】
〔比較例1〕
重合槽底部に酸素含有ガス導入の為のスパージャー、撹拌タービン翼及びバッフル、重合槽上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた500Lのジャケット付き重合槽に、2.5L/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、20.6gの酸化第二銅、155.0gの47%臭化水素水溶液、49.7gのジーt−ブチルエチレンジアミン、240.4gのジ−n−ブチルアミン、731.7gのブチルジメチルアミン、300kgのトルエン、12.0kgの2,6−ジメチルフェノール、4.0kgの2,3,6−トリメチルフェノールを投入した。均一溶液とし、かつ反応器の内温が25℃になるまで撹拌した。
次に、激しく撹拌した重合槽へ、10NL/分の速度で酸素ガスをスパージャーより導入し重合を開始した。
320分通気し、重合を行い、重合終結時の内温が55℃になるよう徐々に昇温し制御した。重合終結時における重合液は溶液状態であった。
重合終了後、酸素含有ガスの通気を停止し、重合液にエチレンジアミン四酢酸4ナトリウム塩(同仁化学研究所製試薬)の2.5%水溶液を10kg添加し、100分間撹拌し、その後静置し、液−液分離により有機相と水相を分離した。
前記有機相にメタノールを過剰に加えてポリフェニレンエーテルを析出させた後に濾過し、濾残のポリフェニレンエーテルをメタノール100kgに分散させた。
次に、ポリフェニレンエーテルのメタノール分散液にハイドロキノン(和光純薬社製試薬)を少量ずつ添加し、スラリー状のポリフェニレンエーテルが白色となるまで撹拌を続けた。この際、反応器の内温が50℃になるように調節した。
その後、濾過を行い濾残の湿潤ポリフェニレンエーテルをメタノール100kgとともに200L洗浄槽に投入し分散させ、30分間の撹拌を行った後、再度ろ過し、湿潤ポリフェニレンエーテルを得た。
この湿潤状態のポリフェニレンエーテルは、ポリフェニレンエーテル100重量部に対し、揮発成分を115質量部含んでいた。
上述した操作を続いて2回繰り返して行い、3バッチ分の重合を行い、湿潤状態のポリフェニレンエーテルを得た。
上述のようにして得られた湿潤状態のポリフェニレンエーテルを用いて、実施例1と同様の方法により乾燥処理を施し、ポリフェニレンエーテル樹脂粒子を得た。
【0103】
〔比較例2〕
上述した比較例1において得られた湿潤状態のポリフェニレンエーテル1000gに対して、150℃で1mmHgの条件下に設定した真空乾燥機を用い、8時間の乾燥処理を施し、ポリフェニレンエーテル樹脂粒子を得た。
【0104】
〔比較例3〕
2,6−ジメチルフェノールを4000.0gとし、2,3,6−トリメチルフェノールを使用しなかった。その他の条件は実施例1と同様とし、ポリフェニレンエーテル樹脂粒子を得た。
【0105】
〔比較例4〕
上述した実施例1において得られた湿潤状態のポリフェニレンエーテル1000gに対して、40℃で1mmHgの条件下に設定した真空乾燥機を用い、8時間の乾燥処理を施し、ポリフェニレンエーテル樹脂粒子を得た。
【0106】
次に、樹脂粒子中の揮発成分が5質量%を超えるサンプルを作製した。
〔実施例9〕
実施例1において、得られた湿潤状態のポリフェニレンエーテルを粉体供給機より4.85kg/Hrの速度で粉体混合機へ導入し、同様の速度で、前段を110℃、後段を125℃に設定したパドル型乾燥機へ導入した。
乾燥機へ導入を開始してから8時間経過後、パドル型乾燥機よりポリフェニレンエーテル樹脂の乾燥体がオーバーフローにより排出されたら、その乾燥体を粉体貯蔵槽へ入れ、100℃に保温し、乾燥機への導入を開始してから11時間経過後、前記乾燥体を粉体貯蔵槽から一部サンプリングした。その他の条件は実施例1と同様にして、ポリフェニレンエーテル樹脂粒子を得た。
得られた樹脂粒子の亀裂開口面の角度(θ)は5〜90°の範囲内であり、亀裂の深さ(D)は1μm以上であった。
【0107】
実施例1〜9、及び比較例1〜4のポリフェニレンエーテル樹脂粒子について、上述した(1)亀裂粒子数、(2)微粒子捕捉性、(3)ガラス転移温度、(4)還元粘度ηsp/c、(5)安息角、(6)揮発成分量、(7)ゆるめ見かけ比重の、それぞれの測定評価結果を下記表1に示す。
【0108】
【表1】

【0109】
上記表1に示すように、実施例1〜8においては、表面が平滑でかつ亀裂を有し、微粒子捕捉性が良好な樹脂粒子が得られた。これは溶媒組成を適当な条件にし、重合中期で析出後、析出を維持したまま重合を継続する「沈殿析出重合」を採用したため亀裂形成する前段階のポリマーが得られたことによる。
比較例1及び2においては、表面は平滑であったが亀裂を有しておらず、形状が球形状ではなく異形形状であった。これにより微粒子捕捉性も得られなかった。これは重合に用いる溶媒にポリマーが溶解している「溶液重合」の形態をとっており、そのため、ポリマーの回収には貧溶媒を添加し析出後、固液分離による回収方法、あるいはポリマー溶液を絶乾させポリマーを回収する方法等を選択しなければならないためである。
比較例3においては、沈殿析出重合を用いたが、2,6−ジメチルフェノール単独の重合体であるため、亀裂を有する前段階のポリマーが得られず、最終的に全粒子が異形粒子であり、表面も平滑なものではなかった。また亀裂を有しておらず、微粒子捕捉性が得られなかった。
比較例4においては、表面が平滑で球形粒子が得られたが、乾燥速度が遅く、亀裂を有していないものとなった。このため、微粒子捕捉性が得られなかった。
【0110】
実施例9においては、揮発成分が多いため、微粒子を添加した際、揮発成分が付着してしまい、実施例1〜8に比較すると捕捉効率の低下が確認された。
【産業上の利用可能性】
【0111】
樹脂粒子としては、診断薬用粒子、医療用基材、生体適合性材料、歯科用材料、化粧用粉体、防汚染塗料、防曇材、帯電防止剤、導電性接着剤、導電性封止材、磁性粒子、記録媒体、クロマトグラフィー用充填材等として産業上の利用可能性がある。
また、樹脂材料としては、機械部品、自動車部品、電気電子部品、フィルム、シート等の押出・成型材料として、産業上の利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本実施の形態により得られた樹脂粒子の概略断面図を示す。
【図2】本実施の形態により得られたポリフェニレンエーテル樹脂粒子の操作型電子顕微鏡による写真像を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
最大長及び最短長が、6μm以上500μm以下の樹脂粒子であって、
表面に球面と亀裂とを具備する樹脂粒子。
【請求項2】
前記亀裂は、開口面の角度が5〜90°であり、深さが1μm以上であって、前記最短長の90%以下である請求項1に記載の樹脂粒子。
【請求項3】
熱可塑性樹脂を含有する請求項1又は2に記載の樹脂粒子。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂が、ポリフェニレンエーテルである請求項3に記載の樹脂粒子。
【請求項5】
前記ポリフェニレンエーテルが、
下記式(1)で表される構造単位(A)及び下記式(2)で表される構造単位(B)を具備する請求項4に記載の樹脂粒子。
【化1】

上記式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基よりなる群から選択されるいずれかを示す。
【化2】

上記式(2)中、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基よりなる群から選択されるいずれかを示す。R5は、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基よりなる群から選択されるいずれかを示す。
【請求項6】
揮発成分の含有量が5質量%以下である請求項1乃至5のいずれか一項に記載の樹脂粒子。
【請求項7】
下記式(3)で表されるフェノール化合物(C)及び下記式(4)で表されるフェノール化合物(D)からなる混合フェノール化合物を用いて、ポリフェニレンエーテル樹脂を重合する工程と、
前記工程により得られたポリフェニレンエーテル樹脂の粒子を、60℃以上で乾燥させる工程とを有する請求項5に記載の樹脂粒子の製造方法。
【化3】

上記式(3)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基よりなる群から選択されるいずれかを示す。
【化4】

上記式(4)中、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基よりなる群から選択されるいずれかを示す。R5は、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基よりなる群から選択されるいずれかを示す。
【請求項8】
前記重合工程は、1種以上の芳香族炭化水素溶媒と、1種以上のポリフェニレンエーテル樹脂に対する貧溶媒とからなる混合溶媒、及び触媒を用いて行う請求項7に記載の樹脂粒子の製造方法。
【請求項9】
前記ポリフェニレンエーテル樹脂を重合した後、撹拌式又は転動式の乾燥機を用いて乾燥処理を行う工程を有する請求項7又は8に記載の亀裂を有する樹脂粒子の製造方法。
【請求項10】
前記撹拌式の乾燥機が、パドル型ドライヤである請求項9に記載の亀裂を有する樹脂粒子の製造方法。
【請求項11】
前記攪拌式の乾燥機が、SCプロセッサである請求項9に記載の亀裂を有する樹脂粒子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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