説明

予防用要求次第ホルモン避妊方法

本発明は、少なくとも1つのプロゲストゲンを含んで成る医薬製剤が、要求次第及び1回の要求に応じ、予測される性交の前、経皮投与される女性用ホルモン調節された要求次第の避妊方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのプロゲストゲンを含んで成る医薬製剤が、要求次第及び1回の要求に応じ、予測される性交の前、経皮投与されるホルモン避妊方法に関する。
それぞれの日、経皮投与される低用量の合成エストロゲン及びプロゲストゲンを用いるホルモン避妊が、現在、最も効果的な避妊方法である。
エストロゲン及びプロゲストゲンを含んで成る、いわゆる組合わせ製品の他に、プロゲストゲンのみを含んで成る製品もまた入手できる。
【0002】
ホルモン避妊薬の投与は通常、経皮路を通してである。しかしながら、デポット製剤としてのプロゲストゲンの投与もまた、さらに可能である。これは、注射用製剤、子宮内ペッサリー及び移植物を包含する。パッチから開放されるエストロゲン/プロゲストゲン組合わせの経皮投与はまた、市場的に利用できる。
【背景技術】
【0003】
ヨーロッパの国々においては、所望しない妊娠の予防のために、70年代以来、性交後ピルが利用されて来た。それは高用量のエチニルエストラジオール及びプロゲストゲンの組合わせを含む。
数年間、他の避妊方法が失敗した後、又は保護されていない性交の後、単一の用量で72時間以内に、又は第1の投与の後、16時間以内に取る第2の投与を伴って、分けられた用量で経皮投与される高用量プロゲストゲン製品が利用されて来た。
【発明の開示】
【0004】
本発明は、ホルモン性交後方法に比較して、高い避妊信頼性を確保するホルモン避妊方法を提供する目的に基づかれ、女性により調節され、そして流産を誘発しない。さらに、それは、他の避妊剤よりも高い許容性を達成できる。
前記目的は、少なくとも1つのプロゲストゲンを含んで成る医薬製剤が、要求次第及び1回の要求に応じ、予測される性交の前、経皮投与されるホルモン避妊方法により、本発明に従って達成される。より高い許容性が、経口使用に比較して、低用量の経皮投与されるプロゲストゲンにより達成される。
【0005】
ここで、プロゲストゲンは、月経周期の第2半分において卵巣により形成されるプロゲステロン、及び排卵の阻害及び妊娠の維持に関して対応する生物学的機能を有する合成誘導体の両者を示す。
本発明は、高い妊娠信頼性が医薬製剤の性交後投与により達成され得る驚くべき実現化に基づかれる。性交が存在しない場合、パッチは再び容易に除去され得る。性交の出来事においては、非常に低い用量での2又は3日間にわたってのプロゲストゲンの投与は、次の利点を有する。
【0006】
・経口投与に比較して、作用の延長された及びより一貫した持続期間のために高い避妊信頼性。
・プロゲストゲン又はエストロゲン/プロゲストゲン組合わせの用量が、経口投与に比較して低い事実のために、より少ない副作用。
・パッチの1つの適用が、少なくとも3日間にわたっての必要とされる活性レベル、すなわち少なくとも3日間の保護避妊を達成するであろう。
【0007】
本発明のホルモン避妊方法は、不規則に及び/又はまれに、すなわち1ヶ月に2又は3度、性交を有する女性のために非常に有意なものである。一方では、避妊の積極的決定を女性又はカップルに可能にする。他方では、排卵は、緊急の避妊に比較して、著しく低い用量、延長された使用及びより一貫した活性レベルで確実に阻害される。この処理は、子宮内膜受容性を低める。これは、使用される性交前方法の結果であり、そして従って、その効果は、性交後方法よりも約48時間、早く進行する。
【0008】
より頻繁な使用は月経周期不規則性を誘発するので、使用の頻度は、可能な場合、周期当たり2〜3度に制限されるべきである。
“要求次第”(on−demand)とは、本発明の方法における任意性を示さない。むしろ、女性は、妊娠しないためには、所望しない避妊を予測できる個々の場合、本発明の方法を使用すべきである。
【0009】
経皮使用の場合、一回の投与は、一回の機会上2又は3日間にわたってプロゲストゲンの定義された開放性を有する適切にサイズ分けされたパッチの付着を示す。性交が起きない場合、パッチは除去され、そしてプロゲストゲンが短時間以内に身体から実質的に排除される。適切な活性プロゲストゲンレベルは、約8時間後に達し、そして同じレベルで少なくとも48時間、維持し、ここでパッチは接着されたまま存続している。これは、避妊方法の高い信頼性を提供する。
【0010】
本発明を実施するために最も適切なプロゲストゲンは、デソゲストレル(Desogestrel)、エトノルゲストレル(Etonorgestrel)、ゲストデン(Gestoden)、レボノルゲストレル(Levonorgestrel)、又はトリメゲストン(Trimegeston)である。
性交前パッチの場合、一回の機会で投与されるべきプロゲストゲンの量は例えば、10〜30cm2のサイズのパッチから24時間以内に開放されるゲストデン約50〜100μg、又はもう1つのプロゲストゲンの効果に等しい量である。
【0011】
言及される経皮用ゲストデンに効果的に等しいもう1つのプロゲストゲンの量は、プロゲストゲンの経口生物学的利用能対経皮生物学的利用能を考慮して、排卵の阻害のために必要とされる経口プロゲストゲンの量に基づいて計算され得る。
経皮投与の場合、プロゲストゲンがパッチ中に組込まれ、そして従って、血液循環に直接的に供給され得る。
【0012】
パッチは、性交前パッチの使用の後、適切な活性レベルを確保するために適切なサイズのものであるべきである。50〜100μgの毎日の開放性と同一基準のゲストデンに関して、パッチは、約10〜30cm2、好ましくは10〜20cm2のサイズを有する。
本発明によれば、性交前パッチ中へのエストロゲン成分の追加の包含が可能である。エストロゲンがさらにパッチに使用される場合、10〜30μgのエチニルエストラジオールの毎日の開放のために十分である用量でエチニルエストラジオールを使用することが好ましい。
【0013】
本発明は、本発明の方法を実施するために性交前パッチ自体に関する。本発明の性交前パッチは、活性物質として、1又は複数のプロゲストゲン、好ましくはゲストデンを独占的に含んで成る。10〜30cm2、好ましくは10〜20cm2のサイズのこのパッチからの毎日の開放は、50〜100μgのゲストデン、又はこの量のゲストデンに効果的に等しい量のもう1つのプロゲストゲンである。
【0014】
活性成分として、わずか1種のプロゲストゲン、又はプロゲストゲン及びエストロゲン、好ましくはゲストデン及びエチニルエストラジオールの活性物質組合わせを含んで成る少なくとも1つの経皮用パッチ、及び本発明の方法に従って使用のための製品情報又は使用説明書を含んで成る医薬キットがまた、本発明に従って存在する。
【0015】
本発明はさらに、本発明のさらなる特徴、利点及び態様が明らかになる典型的な態様により下記に説明される。この典型的な態様は単なる説明として作用する。従って、それらは本出願の保護された主題を制限するものではない。
【実施例】
【0016】
例1本発明に従って使用されるべきパッチの製造
性交前パッチは、次の通りにして製造される:
380gのゲストデンを、容器においてジオキサンと共に撹拌し、そして前記物質が溶解するまで、混合する。この溶液を、57.2kgの接着剤Arcare MA24A(68%のヘプタン及び31%の接着剤(1〜25%のロジンエステル及び75〜99%のポリイソブチレン)から構成される)、及び約1%のIrganoxにより前もって充填された第2容器に移す。この混合物を撹拌し、そして次に、100g/m2の基本重量を達成するような手段で、剥離ライナー(ポリエステルフィルム1876−75μm、4P, Forchheim, Germanyから入手できる)に適用する。この層を乾燥し、そして次に、裏地層(Cotran 9720, 3M, St. Paul, USAから入手できる)により積層する。最終製造(ラミネート)の層の厚さは100μmである。10cm2の面積を有するパッチを、ラミネートから打ち出す。
【0017】
得られるパッチ(10cm2)は、次の組成を有する:
ゲストデン:0.9mg
接着剤:1.9mg
剥離ライナー:10cm2以上
裏地層:10cm2
例えば、接着剤としてDurotak(商標)を用いて、本発明のパッチを類似する態様で製造することが可能である。
【0018】
例2
380gのゲストデン(例1)の代わりに253gのゲストデンを用いる場合、得られるパッチは次の組成物を有する:
ゲストデン:0.6mg
接着剤:1.9mg
剥離ライナー:10cm2以上
裏地層:10cm2
【0019】
例3毎日の開放速度の決定
パッチを、例1又は2に記載のようにして製造する。配合物を、インビトロマウス皮膚透過試験において試験する。その試験を、Harlan Bioservice for Science GmbH, Walsrode,Germanyからの無色マウス皮膚調製物(HsdCpb: NMRI-nu)を用いて行った。配合物を、皮膚サンプルの外側に適用する。それらの2種を、皮膚の内側が受容体媒体と接触するよう透過測定セルに配置する。HEPES緩衝液を、受容体媒体として使用する。アジ化ナトリウムを添加し、細菌の増殖を妨げ、そして受容体溶液を32℃に加熱する。受容体溶液のサンプルを、定義された間隔で採取し、そしてゲストデン濃度をHPLCにより決定する。次に、開放速度を、計算された量の活性物質を用いて、単位面積及び時間当たり開放される活性物質の量[μg/cm2・24時]として決定する。
従って、インビトロ試験において測定される開放速度は、30.9μg/cm2・24時である。
【0020】
例4得られるホルモンレベルの決定
例1又は2の個々の1つのプラスターを、健康な女性ボランティアの上腕に適用し、そして血清におけるゲストデン濃度を追跡した。
このために、1アリコートの血清サンプルをエーテルにより抽出し、エーテル層を分離し、そして窒素雰囲気下で蒸発した。溶解された残留物を、ウサギ抗血清及び3H−ラベルされたゲストデンと共にインキュベートした。活性炭を用いて、末結合のゲストデンから抗体結合を分離した。次に、ゲストデン濃度を放射性免疫学的に決定した。
【0021】
パッチにおけるゲストデンの濃度に依存して、1500〜2200pg/ml(例1)及び900〜1300pg/ml(例2)の血清レベルが達成された。
避妊効果を確保するための信頼性のある効果的レベル(500pg/ml以上)を、7日以上達成した。パッチの除去の約100時間後、血清ゲストデンレベルは、基線レベルに低下した。
前述の記載と請求項に開示される本発明の特徴は、個々の及びいずれか組合せて、その種々の態様で本発明の実現化のために必須である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
原文に記載なし
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロゲストゲンを含んで成る医薬製剤が、要求次第及び1回の要求に応じ、予測される性交の前、経皮投与されることを特徴とする女性用ホルモン調節された要求次第の避妊方法。
【請求項2】
前記医薬製剤が、最初の予測される性交の直後、投与されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記医薬製剤が、性交の前、12時間以内に投与されることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記投与されるプロゲストゲンが、下記化合物群:
・デソゲストレル(Desogestrel)、
・エトノルゲストレル(Etonorgestrel)、
・ゲストデン(Gestoden)、
・レボノルゲストレル(Levonorgestrel)、又は
・トリメゲストン(Trimegeston)
から選択されることを特徴とする請求項1、2又は3記載の方法。
【請求項5】
前記プロゲストゲンが、50〜100μgのゲストデンの毎日の経皮投与の後、進行する内因性ゲストデンレベルに効果的に等しい内因性プロゲストゲンレベルをもたらす量で毎日、開放されることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
50〜100μgのゲストデンが毎日投与されることを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
エストロゲンがさらに投与されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記投与されるエストロゲンがエチニルエストラジオールであることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記エチニルエストラジオールが、10〜30μgのエチニルエストラジオールの毎日の開放をもたらす量で投与されることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項記載の方法のいずれかへの使用のための医薬製剤。
【請求項11】
独占的に、活性物質として1又は複数のプロゲストゲンを含んで成る経皮用パッチ。
【請求項12】
プロゲストゲンとしてゲストデンを含んで成る請求項11記載の経皮用パッチ。
【請求項13】
50〜100μgのゲストデンに効果的に等しいプロゲストゲンの量が開放される請求項11記載の経皮用パッチ。
【請求項14】
10〜30cm2のサイズを有する請求項11記載の経皮用パッチ。
【請求項15】
前記パッチが10〜20cm2のサイズを有し、そして50〜100μgのゲストデンが毎日、開放されることを特徴とする請求項11〜14のいずれか1項記載の経皮用パッチ。
【請求項16】
請求項1〜6のいずれか1項記載の方法を実施するためへの請求項11〜15のいずれか1項記載の経皮用パッチの使用。
【請求項17】
請求項1〜8のいずれか1項記載の方法を実施するために、活性物質として1又は複数のプロゲストゲン及び任意には、1又は複数のエストロゲンを含んで成る少なくとも1つの経皮用パッチ、及び請求項1〜8のいずれか1項記載の方法によるパッチの使用を説明する製品情報折込を含んで成る医薬キット。

【公表番号】特表2009−512658(P2009−512658A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535989(P2008−535989)
【出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際出願番号】PCT/EP2006/010273
【国際公開番号】WO2007/045513
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(300049958)バイエル・シエーリング・ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】