説明

二分子膜からなる微小物体の形成方法およびその装置

【課題】形成された平面二分子膜を用いて、マイクロノズルのマニピュレーションにより、簡便に微小物体の形成を行うことができる二分子膜からなる微小物体の形成方法およびその装置を提供する。
【解決手段】チャンバー12と13の間に形成される平面二分子膜16に、マイクロノズル15からパルス状の噴流17を噴射し、このパルス状の噴流17の噴射により前記平面二分子膜16を膨らませ、前記平面二分子膜16から離脱させ、二分子膜ベシクル19を形成する。また、この二分子膜ベシクル19内には目的試薬を内包させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオテクノロジー(人工細胞、マイクロリアクター)、創薬・医療(人工血液、ドラッグデリバリー粒子、人工神経素子、ハイスループット型創薬探索)、食品(マイクロカプセル、味覚センサ)などに用いられる、二分子膜からなる微小物体、特に、二分子膜ベシクル(マイクロカプセル;リポソーム)およびナノチューブの形成方法およびその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
細胞膜の基本構造である二分子膜構造は、リン脂質分子によって構成されている。この二分子膜は、人工的に構築することができ、ベシクル(小胞)型や平面膜型が形成可能である。ベシクル型では、ピコ〜フェムトリットルの超微少量溶液を内包可能である。また、生体由来の分子素材であるため、体内での安全性や細胞親和性の制御が設計でき、体内への局所的薬剤輸送システム(ドラッグデリバリーシステム)や人工血液として応用され、実用化が進められている。
【0003】
しかしながら、現在、ベシクル内に目的とする試薬・薬剤を内包する過程では、ベシクル内液と外液は、同様の試薬組成にする必要がある。そのため、内包後には長時間の透析により外液をすべて置換する必要があり、形成されたベシクルが崩壊したり、また、外液に含まれる貴重な反応試薬が無駄になるといった問題があった。
【特許文献1】特願2005−220002号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者らは、既に簡便な方法により、平面二分子膜を形成することに成功した(特許文献1)。
【0005】
すなわち、簡便にして的確に二分子膜を形成することができる「両親媒性単分子膜の接触による二分子膜の形成方法およびその装置」を提案した。より具体的には、図20に示すように、基板205の表裏に形成される第1のマイクロ流路201に脂質分子を含む有機溶媒202を導入し、第1のマイクロ流路201の両側から交差して交差部が形成される第2のマイクロ流路203に、この第2のマイクロ流路203の両側から前記交差部に向かって脂質分子を含む有機溶媒202と混ざらない液体204を導入し、この液体204と脂質分子を含む有機溶媒202との界面に、対向する脂質単分子膜202Aを形成し、第2のマイクロ流路203中の液体204の圧力をシリンジポンプにより制御して第1のマイクロ流路201の両端から導入した液体204の界面を互いに接近させることにより、前記対向する脂質単分子膜202Aを接触させて融合させ脂質平面二分子膜202Bを形成するようにしている。
【0006】
そこで、本発明は上記した方法による平面二分子膜、及び従来法(LB法、はけ塗り法など)による平面二分子膜を利用してさらに、以下の課題を解決することを目的とする。
【0007】
(1)形成される二分子膜ベシクルの大きさ、均一性の制御を可能にする
(2)二分子膜ベシクルへ効率的に試薬を内包させる
(3)二分子膜ベシクル形成後の外液の透析プロセスを省略する
(4)二分子膜ベシクル1個単位での形成と試薬内包の制御を可能にする
(5)二分子膜よりなるナノスケールチューブ(以下、ナノチューブという)を構築する
(6)従来の方法では作製が困難であった、粒径数十から100マイクロメートルサイズのベシクルを形成し、また、その粒径を、単一レベルで任意に制御する。
【0008】
すなわち、本発明は、上記状況に鑑みて、形成された平面二分子膜を用いて、マイクロノズルのマニピュレーションにより、簡便に微小物体の形成を行うことができる二分子膜からなる微小物体の形成方法およびその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕二分子膜からなる微小物体の形成方法において、チャンバー内に形成される平面二分子膜にマイクロノズルからパルス状の噴流を噴射し、このパルス状の噴流の噴射により前記平面二分子膜を膨らませ前記平面二分子膜から離脱させ、二分子膜ベシクルを形成することを特徴とする。
【0010】
〔2〕上記〔1〕記載の二分子膜からなる微小物体の形成方法において、上記〔1〕記載の二分子膜からなる微小物体の形成方法において、前記平面二分子膜が第1の単分子膜と第2の単分子膜からなり、前記第2の単分子膜側からのパルス状の噴流の噴射により、外側に第1の単分子膜、内側に第2の単分子膜からなる二分子膜ベシクルを形成することを特徴とする。
【0011】
〔3〕上記〔1〕記載の二分子膜からなる微小物体の形成方法において、前記平面二分子膜が第1の単分子膜と第2の単分子膜からなり、前記第1の単分子膜側からのパルス状の噴流の噴射により、内側に第1の単分子膜、外側に第2の単分子膜からなる二分子膜ベシクルを形成することを特徴とする。
【0012】
〔4〕上記〔1〕、〔2〕又は〔3〕記載の二分子膜からなる微小物体の形成方法において、前記パルス状の噴流中にパーティクルを含有させ、前記二分子膜ベシクル内にパーティクルを内包することを特徴とする。
【0013】
〔5〕上記〔4〕記載の二分子膜からなる微小物体の形成方法において、前記パルス状の噴流中に試薬を含有させ、前記二分子膜ベシクル内に試薬を内包することを特徴とする。
【0014】
〔6〕二分子膜からなる微小物体の形成方法において、チャンバー内に形成される平面二分子膜にマイクロノズルを突き刺し、前記平面二分子膜から前記マイクロノズルを引き抜くことにより前記平面二分子膜から引き出される二分子膜ナノチューブを形成することを特徴とする。
【0015】
〔7〕上記〔6〕記載の二分子膜からなる微小物体の形成方法において、上記〔6〕記載の二分子膜からなる微小物体の形成方法において、前記平面二分子膜が第1の単分子膜と第2の単分子膜からなり、前記第1の単分子膜側からの前記マイクロノズルの引き抜きにより、内側に第2の単分子膜、外側に第1の単分子膜からなる二分子膜ナノチューブを形成することを特徴とする。
【0016】
〔8〕上記〔6〕記載の二分子膜からなる微小物体の形成方法において、前記平面二分子膜が第1の単分子膜と第2の単分子膜からなり、前記第2の単分子膜側からの前記マイクロノズルの引き抜きにより、内側に第1の単分子膜、外側に第2の単分子膜からなる二分子膜ナノチューブを形成することを特徴とする。
【0017】
〔9〕上記〔6〕、〔7〕又は〔8〕記載の二分子膜からなる微小物体の形成方法において、前記マイクロノズル内にナノサイズのパーティクルを含有させ、前記二分子膜ナノチューブ内にナノサイズのパーティクルを内包することを特徴とする。
【0018】
〔10〕上記〔9〕記載の二分子膜からなる微小物体の形成方法において、前記パルス状の噴流中に試薬を含有させ、前記二分子膜ベシクル内に試薬を内包することを特徴とする。
【0019】
〔11〕二分子膜からなる微小物体の形成装置において、チャンバー内に形成される平面二分子膜と、この平面二分子膜に作用するマイクロノズルと、このマイクロノズルのマニピュレーション手段と、このマニピュレーション手段の操作により二分子膜からなる微小物体の形成を行う手段とを具備することを特徴とする。
【0020】
〔12〕上記〔11〕記載の二分子膜からなる微小物体の形成装置において、前記マイクロノズルからパルス状の噴流を噴射し、このマイクロノズルからのパルス状の噴流の噴射により前記平面二分子膜を膨らませ前記平面二分子膜から離脱させ、二分子膜ベシクルを形成する手段とを具備することを特徴とする。
【0021】
〔13〕上記〔12〕記載の二分子膜からなる微小物体の形成装置において、前記マイクロノズルと噴射方向にある平面二分子膜との距離を前記マニュピレーション手段によって任意に調整可能であることを特徴とする。
【0022】
〔14〕上記〔12〕記載の二分子膜からなる微小物体の形成装置において、第1の単分子膜と第2の単分子膜からなる平面二分子膜を設け、前記第2の単分子膜側からのパルス状の噴流の噴射により、外側に第1の単分子膜、内側に第2の単分子膜からなる二分子膜ベシクルを形成することを特徴とする。
【0023】
〔15〕上記〔12〕記載の二分子膜からなる微小物体の形成方法において、第1の単分子膜と第2の単分子膜からなる平面二分子膜を設け、前記第1の単分子膜側からのパルス状の噴流の噴射により、内側に第1の単分子膜、外側に第2の単分子膜からなる二分子膜ベシクルを形成することを特徴とする。
【0024】
〔16〕上記〔11〕記載の二分子膜からなる微小物体の形成装置において、前記平面二分子膜に前記マイクロノズルを突き刺し、前記平面二分子膜から前記マイクロノズルを引き抜くことにより前記平面二分子膜から引き出される二分子膜ナノチューブを形成する手段を具備することを特徴とする。
【0025】
〔17〕上記〔16〕記載の二分子膜からなる微小物体の形成装置において、第1の単分子膜と第2の単分子膜からなる平面二分子膜を設け、前記第1の単分子膜側からの前記マイクロノズルの引き抜きにより、内側に第2の単分子膜、外側に第1の単分子膜からなる二分子膜ナノチューブを形成することを特徴とする。
【0026】
〔18〕上記〔16〕記載の二分子膜からなる微小物体の形成装置において、前記平面二分子膜が第1の単分子膜と第2の単分子膜からなる平面二分子膜を設け、前記第2の単分子膜側からの前記マイクロノズルの引き抜きにより、内側に第1の単分子膜、外側に第2の単分子膜からなる二分子膜ナノチューブを形成することを特徴とする。
【0027】
〔19〕上記〔16〕、〔17〕又は〔18〕記載の二分子膜からなる微小物体の形成装置において、前記二分子膜ナノチューブ内にナノサイズのパーティクルを内包することを特徴とする。
【0028】
〔20〕上記〔16〕、〔17〕又は〔18〕記載の二分子膜からなる微小物体の形成装置において、前記二分子膜ナノチューブ内に試薬を含有させ、前記二分子膜ベシクル内に試薬を内包することを特徴とする。
【0029】
〔21〕上記〔11〕〜〔20〕の何れか一項に記載の二分子膜からなる微小物 体の形成装置において、マイクロノズルに接続される、前記パルス状の噴流の噴射時間、噴射圧力の制御機能を有するディスペンサーと、該ディスペンサーが搭載されるX軸ステージマニピュレーターとを具備することを特徴とする。
【0030】
〔22〕上記〔11〕〜〔21〕の何れか一項記載の二分子膜からの微小物体の形成装置において、前記平面二分子膜は、脂質分子を含む有機溶媒が導入された前記チャンバー内に第1の溶液を注入することにより形成される第1の円形の単分子膜と、第2の溶液を注入することにより形成される第2の円形の単分子膜とが接触する部位に形成されてなることを特徴とする
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0032】
(1)簡便にして的確に二分子膜ベシクルを形成することができる。特に、その二分子膜ベシクルの大きさ、均一性の制御を行うことができる。
【0033】
(2)二分子膜ベシクルへ効率的に試薬を内包させることができる。
【0034】
(3)二分子膜ベシクル形成後の外液の透析プロセスを省略することがでる。
【0035】
(4)二分子膜ベシクル1個単位での形成と試薬内包の制御を行うことができる。
【0036】
(5)ナノスケールチューブを形成することができる。
【0037】
(6)粒径数十から100マイクロメートルのサイズの二分子膜ベシクルのサイズを形成することができ、また、その粒径を、単一レベルで任意に制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明の二分子膜からなる微小物体の形成方法は、チャンバー内に形成される平面二分子膜に、マイクロノズルからパルス状の噴流を噴射し、このパルス状の噴流の噴射により前記平面二分子膜を膨らませ前記平面二分子膜から離脱し、二分子膜ベシクルを形成する。
【0039】
また、チャンバー内に形成される平面二分子膜にマイクロノズルを突き刺し、前記平面二分子膜から前記マイクロノズルを引き抜くことにより前記平面二分子膜から引き出される二分子膜ナノチューブを形成する。
【0040】
なお、ここで、二分子膜から形成される微小物体とは、二分子膜で構成される小胞(ベシクル状)およびチューブ形状を指している。
【実施例】
【0041】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0042】
図1は本発明の脂質二分子膜からなる微小物体の形成装置を示す模式図である。
【0043】
この図において、1は基台、2はその基台1上にセットされるPMMA(アクリル系プラスチック)チップ(PMMA基板)、3はそのPMMAチップ2に形成された左チャンバー、4は右チャンバーであり、両チャンバー3,4は括れるように接する接続部2Aを有している。そして、それぞれのチャンバー3、4でそれぞれ脂質単分子膜が形成され、その脂質単分子膜が接続部2Aで接触し、脂質平面二分子膜5が形成されるようになっている。6はそのPMMAチップ2の端部とチャンバーの一方(ここでは右チャンバー4)を貫通するように形成されるスルーホール、7は前記スルーホール6から右チャンバー4に挿入され操作(マニピュレート)される、脂質平面二分子膜5にパルス状の噴流を噴射させるためのマイクロノズル、8はマイクロノズル7に接続され、パルス状の噴流の噴射時間及び噴射圧力の制御機能を有するディスペンサー、9はそのディスペンサー8が搭載され、マイクロノズル7の位置を調整可能なX軸ステージマニピュレーター、10は微小物体の形成を観察する高速度カメラである。
【0044】
なお、ここでは、チャンバーを構成する基板材料としてPMMA基板を用いたが、このほかにもガラス、石英、シリコン基板、シリコン樹脂、エンジニアプラスチック{PET、ボリカーボネート、ポリプロピレン、ポリスチレン、テフロン(登録商標)等}などを用いて作製可能である。また、マイクロノズルと噴射方向にある平面二分子膜との距離は、X軸ステージマニピュレーター9によって任意に調整可能である。
【0045】
図2は右チャンバーにスルーホールを介して挿入され操作(マニピュレート)されるマイクロノズルを示す図、図3はそのマイクロノズルの先端部を示す図である。
【0046】
図4〜図6は本発明の第1実施例を示す二分子膜ベシクルの製造装置を示す図である。本装置のマイクロノズルは、ガラス、金属、プラスチック樹脂などの材質から作製可能である。
【0047】
図4は、その二分子膜ベシクルの製造装置のPMMAチップの斜視図、図5にはその要部の模式図、図6はその二分子膜の形成部の拡大図である。
【0048】
図4において、11はPMMAチップ、12はPMMAチップ11に形成された左チャンバー、13はPMMAチップ11に形成された右チャンバー、14はPMMAチップ11の端部から右チャンバー13へ貫通するように形成されたスルーホール(マイクロウェル)、15はスルーホール(マイクロウェル)14から右チャンバー13へ挿入され操作(マニピュレート)されるマイクロノズル、16はPMMAチップ11の両チャンバー12,13の接続部11Aに形成される脂質平面二分子膜である。
【0049】
そこで、図5に示すように、チャンバー内に形成された脂質平面二分子膜16にマイクロノズル15を近づけて、任意の容量の溶液(試薬)をパルス状に噴射する(図5中のパルス状の噴流17)。すると、ちょうど石鹸の液膜からシャボン玉が形成されるように、脂質平面二分子膜16から二分子ベシクル19が形成され、噴射側から反対側のチャンバー(この場合、右チャンバー13から左チャンバー12)へ噴出される。この二分子膜ベシクル19にはパルス状の噴流17として噴出させた溶液が内包されている。この内包液は二分子膜ベシクル19の形成の際にベシクル外液に混入することがない。また、二分子膜ベシクル19を形成後も脂質平面二分子膜は平面のまま残る。なお、パルス状の噴流17内に目的試薬のナノ粒子18を含ませると、そのナノ粒子18が内包される二分子膜ベシクル19を得ることができる。
【0050】
このように、本発明では2つのチャンバー間に形成した脂質平面型二分子膜構造を用いて二分子膜ベシクルを作製する。
【0051】
本発明の二分子膜ベシクルの製造装置は、PMMA基板上にチャンバーとして微小容量(数〜数十マイクロリットル)のマイクロウェル構造を有し、さらに形成された脂質平面二分子膜近傍に移動・位置制御可能なマイクロノズル15(口径数十マイクロメートル)を組み込んだ設計となっている。マイクロノズル15は、例えば、ガラスキャピラリーまたはマイクロチャネル構造によって作製され、微小液敵排出用ポンプ(図示なし)と制御装置(図示なし)に接続するようにしている。
【0052】
これにより、パルス状の噴流の噴射圧力・時間・タイミングが任意に調整可能である。
【0053】
また、1つのパルス噴射に対し、一個のベシクルが形成されるため、パルス状の噴流を連続的に噴射することで均一径のベシクルを連続的に形成することも可能である。
【0054】
以下、その実験例について説明する。
【0055】
図7は本発明の脂質平面二分子膜の形成方法を示す模式図である。
【0056】
ここでは、PMMAチップに形成された2つのチャンバー間に脂質平面型二分子膜を形成する。まず、PMMAチップ21の左右チャンバーには脂質分子を含むデカン24が導入されている。次に、マイクロピペット25により左チャンバーに溶液22を注入する。すると、この注入された溶液22の界面に脂質単分子膜28が形成される。次いで、同様にマイクロピペット25により右チャンバーに溶液26を注入し、脂質単分子膜28を形成する。そして、溶液22と溶液26の界面を接近させることにより、脂質単分子膜28同士が接触し、脂質平面二分子膜29が形成される。
【0057】
次に、上記で作製した脂質平面二分子膜から二分子ベシクル膜を作製する。
【0058】
まず、図8(a)に示すように、脂質平面二分子膜29の右チャンバー側の近傍にマイクロノズル31を配置する。次に、図8(b)に示すように、マイクロノズル31からパルス状の噴流を噴射すると、脂質平面二分子膜29が膨らんで突起32が現れる。次に、図8(c)に示すように、さらに、脂質平面二分子膜29の突起32がさらに大きな膨らみ33となり、図8(d)に示すように、最終的には脂質平面二分子膜29から分離した二分子膜ベシクル34が左チャンバー内に形成される。このステップを繰り返すことにより、図8(e)に示すように、左チャンバー内に次々と二分子膜ベシクル34を形成することができる。この二分子膜ベシクル34の大きさおよび個数はマイクロノズル31の位置の制御、マイクロノズル31からのパルス状の噴流の噴射時間、噴射圧力を制御することにより任意に調整することができる。
【0059】
図9は本発明の脂質二分子膜のサイズ分布を示す図である。
【0060】
この図から明らかなように、全体の個数nは20、脂質二分子膜の直径の平均は484μm、標準偏差は28μmであることが分かる。
【0061】
図10はその脂質二分子膜からなる二分子膜ベシクルの形成の様子を示す図である。ここでは、左チャンバー35及び右チャンバー36にKCl溶液を、100mM注入し、それらの境界には脂質平面二分子膜37が形成されている。右チャンバー36側の脂質平面二分子膜37の近傍にはマイクロノズル38を配置して、マイクロノズル38からパルス状の噴流を噴射すると、左チャンバー35内には二分子膜からなる二分子膜ベシクル39が形成される。その二分子膜ベシクル39が左右チャンバー35、36の端にとどまる様子が図10(b)に見られる。
【0062】
図11は本発明の第2実施例を示すナノチューブの製造装置(その1)を示す図である。
【0063】
まず、PMMAチップ41の左右のチャンバー42,43には脂質分子を含む有機溶媒が導入されている。そして、PMMAチップ41の左チャンバー42に第1の溶液、PMMAチップ41の右チャンバー43に第2の溶液を注入することにより、左チャンバー42と右チャンバー43の接続部44に脂質平面二分子膜46が形成されている。一方、PMMAチップ41には、その端部から右チャンバー43へ貫通するスルーホール47が形成されており、このスルーホール47からマイクロノズル48が挿入され操作(マニピュレート)可能に配置される。
【0064】
そこで、図11(a)に示すように、脂質平面二分子膜46にマイクロノズル48を突き刺し、その後、図11(b)に示すように、マイクロノズル48を引抜き操作(マニピュレート)し、そのまま後退させると、脂質平面二分子膜46からナノチューブ49が形成される。そして、図11(c)に示すように、さらにマイクロノズル48を右チャンバー43から引抜き操作(マニピュレート)すると、右チャンバー43を貫くようにナノチューブ49を形成することができる。
【0065】
図12は本発明の第2実施例を示すナノチューブの製造装置(その2)を示す図である。
【0066】
この図において、PMMAチップ51上に横配列の2個の接続部53,54を形成したチャンバー52を用意して、そのチャンバー52に、まず、脂質分子を含む有機溶媒55を導入し、そこに3つの溶液56,57,58を導入することによって、接続部53では溶液56と57との接触面に第1の脂質平面二分子膜59が、接続部54では溶液57と58との接触面に第2の脂質平面二分子膜60がそれぞれ形成される。
【0067】
そこで、PMMAチップ51に形成されたスルーホール61からマイクロノズル62を挿入操作(マニピュレート)し、そのマイクロノズル62で第2の脂質平面二分子膜60及び第1の脂質平面二分子膜59を突き刺し、その後、第1の脂質平面二分子膜59からマイクロノズル52を引抜き操作(マニピュレート)すると、脂質二分子膜からなるナノチューブ63を形成することができる。当然、さらに、第2の脂質平面二分子膜60からマイクロノズル62を引抜き操作(マニピュレート)すると、第2の脂質平面二分子膜60から突出するナノチューブ(図示なし)を形成することもできる。
【0068】
このように、複数の脂質平面二分子膜を貫通するナノチューブを形成することもできる。
【0069】
図13は本発明の脂質二分子膜からなるナノチューブの形成のためのキャピラリー(マイクロノズル)の操作プロセスを示す図である。
【0070】
まず、図13(a)に示すように、水溶液Aと水溶液Bの境界面に脂質平面二分子膜71をセットする。次に、図13(b)に示すように、その脂質平面二分子膜71に水溶液B側からキャピラリー72を突き刺す。その後、図13(c)に示すように、水溶液B側に、キャピラリー72を引き抜くと、図13(d)に示すように、両外側に水溶液B、内側に水溶液Aを有する、二分子膜73(厚さ5〜10nm)からなるナノチューブ(直径1μm以下)74を形成することができる。
【0071】
図14は高速度カメラで撮像した脂質平面二分子膜81から引き抜かれたキャピラリー82の先端と脂質平面二分子膜81との間にナノチューブ83が形成されている状態を示す観察写真(代用図)、図15は図14の観察写真の拡大図、図16はその図15の説明図である。
【0072】
上記したように、マイクロノズルを脂質平面二分子膜に突き刺した後引き抜くと、マイクロノズル先端に密着した二分子膜からなるナノチューブが形成される。形成されるナノチューブの長さや向きを任意に動かすことも可能である。このナノチューブの内側は、マイクロノズル内の溶液と接続しているため、マイクロノズルからの溶液やナノ粒子の注入や電気的な導通計測も可能となる。
【0073】
ここでまでに述べた二分子膜ベシクル(小胞)又はチューブ形状を構成する二分子膜の成分は、二分子膜を構成する両親媒性分子であれば、脂質分子に限定されることなく、多様な膜成分を適切に混合した小胞又はチューブ形状を形成することが可能である。
【0074】
図17は本発明にかかる非対称の二分子膜の構造を示す図、図18は本発明の実施例を示す非対称二分子膜からなる二分子膜ベシクルの形成方法を示す模式図である。
【0075】
これらの図において、91は細胞外(ベシクル外)の第1の単分子膜、92は細胞内(ベシクル内)の第2の単分子膜、93はこれらの2つの異なる単分子膜91と92で構成された非対称の二分子膜、94はその非対称の二分子膜93からなる二分子膜ベシクル(小胞)94である。すなわち、この二分子膜ベシクル(小胞)94は二分子膜93を構成する2つの単分子膜91と92の組成が異なる構造をしている。実際の細胞膜を構成する二分子膜は、このように内側と外側を構成する膜成分が異なって存在している。
【0076】
そこで、このような非対称の二分子膜からなる二分子ベシクルを作製するには、まず、図18(a−1)に示すように、予め有機溶媒の入った左右のチャンバー100,101にそれぞれにピペットを用いて液滴を配置する。その際に、左液滴102と右液滴103同士が接触しない程度の大きさとする。また、配置される液滴102,103にはそれぞれ脂質A,Bから構成されるベシクル104,105が分散されている。図18(a−2)に示すように、それぞれの液滴102,103がもつ有機溶媒との界面において、ベシクルが展開し、単分子膜が形成される。なお、104Aは膜成分を示している。
【0077】
次に、マイクロノズル106(又はピペット)を用いて左液滴102および右液滴103にそれぞれの液滴量を加えて2つの液滴を接触させる。すると、図18(b−1),図18(b−2)に示すように、2つの異なる組成の単分子膜107,108同士が張り合わされて、非対称な二分子膜109が形成される。最後に、図18(c−1)に示すように、液滴に挿入されたマイクロノズル106から形成された非対称な二分子膜109へ向かってパルス状の噴流をあてると、右液滴103中に非対称な二分子膜109から切り離された二分子膜ベシクル110が形成される。ここで、二分子膜ベシクル110の内側には液滴102Aが、二分子膜ベシクル110の外側は右液滴103が存在する。これによって、図18(c−2)に示すように、二分子膜で構成されるベシクル110の内側と外側の組成を任意に組み合わせることが可能となる。さらに、図18(a−1)の液滴102,103に分散される脂質ベシクル104,105の中に膜機能成分(膜タンパク質、糖鎖、ペプチド、レセプター分子)などを含有させることで、形成されるベシクル110に再構成される向き(内側、もしくは、外側)を制御することも可能となる。
【0078】
図19は本発明の実施例を示す非対称二分子膜からなる二分子膜ナノチューブの形成方法を示す模式図である。
【0079】
図19(a)に示すように、第1の単分子膜121と第2の単分子膜122の接触部分である平面二分子膜(非対称の二分子膜)123に、マイクロノズル124を第1の単分子膜121側から突き刺した後、第1の単分子膜121側からマイクロノズル124を引き抜くと、図19(b)に示すように、内側に第2の単分子膜122、外側に第1の単分子膜121を有する組成が異なる構造の二分子膜(非対称の二分子膜)125からなる二分子膜ナノチューブ126を形成することができる。
【0080】
また、図19(c)に示すように、第1の単分子膜121と第2の単分子膜122の接触部分である平面二分子膜(非対称の二分子膜)123に、マイクロノズル124を第2の単分子膜122側から突き刺した後、第2の単分子膜122側からマイクロノズル104を引き抜くと、図19(d)に示すように、内側に第1の単分子膜121、外側に第2の単分子膜122を有する組成が異なる構造の二分子膜(非対称の二分子膜)127からなる二分子膜ベシクル(小胞)128を形成することができる。
【0081】
なお、上記実施例では、特許文献1の方法により作製した平面二分子膜を例として用いたが、従来のLB法、はけ塗り法などで作製した平面二分子膜を使用するようにしてもよい。また、その際に、二分子膜の向きが縦型か横向きは問わない。
【0082】
また、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0083】
二分子膜ベシクルは、細胞と同様のサイズであり、人工細胞のモデルとして用いることができる。さらに、リポソーム内には、薬剤やDNAを包み込むことができ、マイクロサイズの容器として用いることもできる。具体的には、例えば、化粧品(香料、保湿成分、機能性高分子等)などに応用できる。また、従来のリポソーム、脂質ベクシルで実用化されている技術のすべてに適用可能である。さらに、二分子膜中にペプチド、糖鎖、抗体、レセプタータンパク質、トランスポータータンパク質等の細胞膜に存在する生体分子を組み込むことも可能である。さらに、人工的に設計された膜挿入型レセプターおよび超分子を組み込むことも可能である。従来のベシクル作製において必要であった透析プロセスが省略できることから、現在、盛んに開発・実用化が進むドラッグデリバリーシステムや人工血液などの製造プロセルに貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の脂質二分子膜からなる微小物体の形成装置を示す模式図である。
【図2】本発明のチャンバーにスルーホールを介して挿入操作(マニピュレート)されるマイクロノズルを示す図である。
【図3】本発明のマイクロノズルの先端部を示す図である。
【図4】本発明の第1実施例を示す二分子膜ベシクルの製造装置のPMMAチップの斜視図である。
【図5】本発明の第1実施例を示す二分子膜ベシクルの製造装置の要部の模式図である。
【図6】本発明の第1実施例を示す二分子膜ベシクルの製造装置の脂質平面二分子膜の形成部の拡大図である。
【図7】本発明の脂質平面二分子膜の形成方法を示す模式図である。
【図8】本発明の第1実施例を示す二分子膜ベシクルの形成プロセスを示す図である。
【図9】本発明の脂質二分子膜のサイズ分布を示す図である。
【図10】本発明の脂質二分子膜からなる二分子膜ベシクルの形成の様子を示す図である。
【図11】本発明の第2実施例を示すナノチューブの製造装置(その1)を示す図である。
【図12】本発明の第2実施例を示すナノチューブの製造装置(その2)を示す図である。
【図13】本発明の脂質二分子膜からなるナノチューブの形成のためのキャピラリー(マイクロノズル)の操作プロセスを示す図である。
【図14】高速度カメラで撮像した脂質平面二分子膜から引き抜かれたキャピラリーの先端と脂質平面二分子膜との間にナノチューブが形成されている状態を示す観察写真(代用図)である。
【図15】図14の観察写真の拡大図である。
【図16】図15の説明図である。
【図17】本発明にかかる非対称の二分子膜の構造を示す図である。
【図18】本発明の実施例を示す非対称二分子膜からなる二分子膜ベシクルの形成方法を示す模式図である。
【図19】本発明の実施例を示す非対称二分子膜からなる二分子膜ナノチューブの形成方法を示す模式図である。
【図20】従来の脂質平面二分子膜の形成プロセスを示す模式図である。
【符号の説明】
【0085】
1 基台
2,11,21,41,51 PMMAチップ(PMMA基板)
2A,11A,44,53,54 両チャンバーの接続部
3,12,35,42 左チャンバー
4,13,36,43 右チャンバー
5,16,29,37,46,71,81 脂質平面二分子膜
6,14,47,61 スルーホール
7,15,31,38,48,62,106,124 マイクロノズル
8 ディスペンサー
9 X軸ステージマニピュレーター
10 高速度カメラ
17 パルス状の噴流
18 ナノ粒子(目的試薬)
19,34,39,110 二分子膜ベシクル
22,26,56,57,58 溶液
24 デカン
25 マイクロピペット
28 脂質単分子膜
32 突起
33 膨らみ
49,63,74,83,106,108 ナノチューブ
52 チャンバー
55 脂質分子を含む有機溶媒
59 第1の脂質平面二分子膜
60 第2の脂質平面二分子膜
72,82 キャピラリー
73 二分子膜
91,121 第1の単分子膜
92,122 第2の単分子膜
93,109,123,125,127 非対称の二分子膜
94,104,105 ベシクル
100,101 左右のチャンバー
102 左液滴
102A ベシクルの内側液
103 右液滴
104A 膜成分
107,108 2つの異なる組成の単分子膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバー内に形成される平面二分子膜にマイクロノズルからパルス状の噴流を噴射し、該パルス状の噴流の噴射により前記平面二分子膜を膨らませ前記平面二分子膜から離脱させ、二分子膜ベシクルを形成することを特徴とする二分子膜からなる微小物体の形成方法。
【請求項2】
請求項1記載の二分子膜からなる微小物体の形成方法において、前記平面二分子膜が第1の単分子膜と第2の単分子膜からなり、前記第2の単分子膜側からのパルス状の噴流の噴射により、外側に第1の単分子膜、内側に第2の単分子膜からなる二分子膜ベシクルを形成することを特徴とする二分子膜からなる微小物体の形成方法。
【請求項3】
請求項1記載の二分子膜からなる微小物体の形成方法において、前記平面二分子膜が第1の単分子膜と第2の単分子膜からなり、前記第1の単分子膜側からのパルス状の噴流の噴射により、内側に第1の単分子膜、外側に第2の単分子膜からなる二分子膜ベシクルを形成することを特徴とする二分子膜からなる微小物体の形成方法。
【請求項4】
請求項1、2又は3記載の二分子膜からなる微小物体の形成方法において、前記パルス状の噴流中にパーティクルを含有させ、前記二分子膜ベシクル内にパーティクルを内包することを特徴とする二分子膜からなる微小物体の形成方法。
【請求項5】
請求項4記載の二分子膜からなる微小物体の形成方法において、前記パルス状の噴流中に試薬を含有させ、前記二分子膜ベシクル内に試薬を内包することを特徴とする二分子膜からなる微小物体の形成方法。
【請求項6】
チャンバー内に形成される平面二分子膜にマイクロノズルを突き刺し、前記平面二分子膜から前記マイクロノズルを引き抜くことにより前記平面二分子膜から引き出される二分子膜ナノチューブを形成することを特徴とする二分子膜からなる微小物体の形成方法。
【請求項7】
請求項6記載の二分子膜からなる微小物体の形成方法において、前記平面二分子膜が第1の単分子膜と第2の単分子膜からなり、前記第1の単分子膜側からの前記マイクロノズルの引き抜きにより、内側に第2の単分子膜、外側に第1の単分子膜からなる二分子膜ナノチューブを形成することを特徴とする二分子膜からなる微小物体の形成方法。
【請求項8】
請求項6記載の二分子膜からなる微小物体の形成方法において、前記平面二分子膜が第1の単分子膜と第2の単分子膜からなり、前記第2の単分子膜側からの前記マイクロノズルの引き抜きにより、内側に第1の単分子膜、外側に第2の単分子膜からなる二分子膜ナノチューブを形成することを特徴とする二分子膜からなる微小物体の形成方法。
【請求項9】
請求項6、7又は8記載の二分子膜からなる微小物体の形成方法において、前記マイクロノズル内にナノサイズのパーティクルを含有させ、前記二分子膜ナノチューブ内にナノサイズのパーティクルを内包することを特徴とする二分子膜からなる微小物体の形成方法。
【請求項10】
請求項9記載の二分子膜からなる微小物体の形成方法において、前記パルス状の噴流中に試薬を含有させ、前記二分子膜ベシクル内に試薬を内包することを特徴とする二分子膜からなる微小物体の形成方法。
【請求項11】
(a)チャンバー内に形成される平面二分子膜と、
(b)該平面二分子膜に作用するマイクロノズルと、
(c)該マイクロノズルのマニピュレーション手段と、
(d)該マニピュレーション手段の操作により二分子膜からなる微小物体の形成を行う手段とを具備することを特徴とする二分子膜からなる微小物体の形成装置。
【請求項12】
請求項11記載の二分子膜からなる微小物体の形成装置において、前記マイクロノズルからパルス状の噴流を噴射し、該マイクロノズルからのパルス状の噴流の噴射により前記平面二分子膜を膨らませ前記平面二分子膜から離脱させ、二分子膜ベシクルを形成する手段とを具備することを特徴とする二分子膜からなる微小物体の形成装置。
【請求項13】
請求項12記載の二分子膜からなる微小物体の形成装置において、前記マイクロノズルと噴射方向にある平面二分子膜との距離を前記マニュピレーション手段によって任意に調整可能であることを特徴とする二分子膜からなる微小物体の形成装置。
【請求項14】
請求項12記載の二分子膜からなる微小物体の形成装置において、第1の単分子膜と第2の単分子膜からなる平面二分子膜を設け、前記第2の単分子膜側からのパルス状の噴流の噴射により、外側に第1の単分子膜、内側に第2の単分子膜からなる二分子膜ベシクルを形成することを特徴とする二分子膜からなる微小物体の形成装置。
【請求項15】
請求項12記載の二分子膜からなる微小物体の形成方法において、第1の単分子膜と第2の単分子膜からなる平面二分子膜を設け、前記第1の単分子膜側からのパルス状の噴流の噴射により、内側に第1の単分子膜、外側に第2の単分子膜からなる二分子膜ベシクルを形成することを特徴とする二分子膜からなる微小物体の形成装置。
【請求項16】
請求項11記載の二分子膜からなる微小物体の形成装置において、前記平面二分子膜に前記マイクロノズルを突き刺し、前記平面二分子膜から前記マイクロノズルを引き抜くことにより前記平面二分子膜から引き出される二分子膜ナノチューブを形成する手段を具備することを特徴とする二分子膜からなる微小物体の形成装置。
【請求項17】
請求項16記載の二分子膜からなる微小物体の形成装置において、第1の単分子膜と第2の単分子膜からなる平面二分子膜を設け、前記第1の単分子膜側からの前記マイクロノズルの引き抜きにより、内側に第2の単分子膜、外側に第1の単分子膜からなる二分子膜ナノチューブを形成することを特徴とする二分子膜からなる微小物体の形成装置。
【請求項18】
請求項16記載の二分子膜からなる微小物体の形成装置において、前記平面二分子膜が第1の単分子膜と第2の単分子膜からなる平面二分子膜を設け、前記第2の単分子膜側からの前記マイクロノズルの引き抜きにより、内側に第1の単分子膜、外側に第2の単分子膜からなる二分子膜ナノチューブを形成することを特徴とする二分子膜からなる微小物体の形成装置。
【請求項19】
請求項16、17又は18記載の二分子膜からなる微小物体の形成装置において、前記二分子膜ナノチューブ内にナノサイズのパーティクルを内包することを特徴とする二分子膜からなる微小物体の形成装置。
【請求項20】
請求項16、17又は18記載の二分子膜からなる微小物体の形成装置において、前記二分子膜ナノチューブ内に試薬を含有させ、前記二分子膜ベシクル内に試薬を内包することを特徴とする二分子膜からなる微小物体の形成装置。
【請求項21】
請求項11〜20の何れか一項に記載の二分子膜からなる微小物体の形成装置において、マイクロノズルに接続される、前記パルス状の噴流の噴射時間、噴射圧力の制御機能を有するディスペンサーと、該ディスペンサーが搭載されるX軸ステージマニピュレーターとを具備することを特徴とする二分子膜からなる微小物体の形成装置。
【請求項22】
請求項11〜21の何れか一項記載の二分子膜からの微小物体の形成装置において、前記平面二分子膜は、脂質分子を含む有機溶媒が導入された前記チャンバー内に第1の溶液を注入することにより形成される第1の円形の単分子膜と、第2の溶液を注入することにより形成される第2の円形の単分子膜とが接触する部位に形成されてなることを特徴とする二分子膜からなる微小物体の形成装置。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図2】
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【図3】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−152267(P2007−152267A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−353101(P2005−353101)
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【出願人】(801000049)財団法人生産技術研究奨励会 (72)
【Fターム(参考)】