説明

二剤混合容器

【課題】混合物が粘性の高いものとなっても、混合物を容易に取り出すことができ、容器内の残存を抑えることができる、新規な二剤混合容器を提供する。
【解決手段】内容物C1を充填する凹部を有し、その内側にピストン2が摺動可能に保持される第1容器1と、ノズル2nの先端が挿入される注出口A2を有し内容物C1が充填される第2容器10を備え、第2容器10は、口部11を有し、口部11が肩部12から胴部13を介して底部14に繋がり、その内側に内容物C2が充填されるボトル容器であって、胴部14の内側に、軸線O方向に沿って摺動可能に保持される隔壁16aを有し、注出口A2に通じる充填空間R2を形成する中皿16を備え、底部14には、凹部nに通じて中皿16を注出口A2に向かって押し込む棒材を挿入可能な貫通孔A4が設けられており、充填空間R2には、内容物C1,C2を攪拌するための部材17が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの内容物を使用直前に混合させることができると共に、この混合させた内容物の粘度による影響が少なく、確実に取り出させるようにした二剤混合容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の二剤混合容器には、例えば、第1の内容物を充填する凹部を有し、その内側にノズルを備えるピストンが摺動可能に保持される第1容器と、この第1容器のノズルの先端が挿入される開口部を有し当該開口部を通して第1の内容物が充填される第2容器とを備えるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平7−34859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の二剤混合容器によれば、第2容器が圧搾可能な容器であるため、混合物が高い粘性を有するものであっても、その圧搾によって混合物を確実に取り出すことができる。
【0005】
しかしながら、従来の二剤混合容器を用いる場合、混合物の取り出しが圧搾で行われることから、取り出し操作が煩雑であった。加えて、圧搾による取り出しの場合、混合物が残存し易く、きれいに使い切ることができないことがある。
【0006】
本発明の目的とするところは、混合物が粘性の高いものとなっても、混合物を容易に取り出すことができ、しかも容器内の残存を抑えることができる、新規な二剤混合容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明である、二剤混合容器は、第1の内容物を充填する凹部を有し、その内側にノズルを備えるピストンが摺動可能に保持される第1容器と、
この第1容器のノズルの先端が挿入される開口部を有し当該開口部を通して第1の内容物が充填される第2容器とを備え、
当該第2容器は、開口部が形成される口部を有し、この口部が肩部から胴部を介して底部に繋がり、その内側に第2の内容物が充填されるボトル容器であって、
胴部の内側に、軸線方向に沿って摺動可能に保持される隔壁を有し、開口部に通じる充填空間を形成する中皿を備え、
更に、底部には、中皿の下端に通じて中皿を開口部に向かって押し込む棒材を挿入可能な貫通孔が設けられていることを特徴とするものである。なお、本願では、発明の名称として、便宜的に、「二剤」という表現を用いているが、ここでいう「二剤」とは、第1の内容物と第2の内容物とが異なる場合に限らず、両内容物が同一の場合も含む。
【0008】
本発明によれば、中皿の下端に、棒材の先端が挿入される凹部を設けることができる。
【0009】
また、本発明によれば、第2容器の充填空間に、内容物を攪拌するための部材を配置することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1容器を逆さまにして第2容器の開口部にノズルを挿入した後、そのまま第1容器を押し込めば、この第1容器からの第1の内容物を、第2容器の充填空間に充填された第2の内容物に混合させることができる。
【0011】
しかも、第1の内容物を充填した後は、第2容器の底部に設けた貫通孔に棒材を挿入することで、中皿を開口部に向かって押し込めば、第2容器の開口部から混合物を容易に取り出すことができる。加えて、第2容器に残存する混合物も、中皿によって押し出されることで効率的に取り出すことができる。
【0012】
即ち、本発明によれば、混合物が粘性の高いものとなっても、第2容器から容易に取り出すことができ、しかも第2容器内の残存を抑えることができる。
【0013】
また、中皿の下端に、棒材の先端が挿入される凹部を設ければ、棒材を中皿に確実に位置決めすることができるため、混合物の取り出しが更に容易になる。
【0014】
また、第2容器の充填空間に、内容物を攪拌するための部材を配置すれば、第1の内容物と第2の内容物とを確実に混合させることで、混合物の粘性は、混合物全体として均一なものとなる。
【0015】
即ち、第2容器の充填空間に、内容物を攪拌するための部材を配置すれば、第2容器からの取り出しを更に容易にでき、第2容器内に残存する混合物の発生も更に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a),(b)はそれぞれ、本発明に係る、第1容器の一形態を一部断面で示す側面図及び、同形態に係る、ノズル付きピストンを上方から示す斜視図である。
【図2】(a),(b)はそれぞれ、本発明に係る、第2容器の一形態を一部断面で示す側面図及び、同形態に係る、棒材を一部断面で示す側面図である。
【図3】同形態にて、第2容器に充填された第2の内容物に第1容器を用いて第1の内容物を混合させる直前の状態を一部断面で示す側面図である。
【図4】同形態にて、第2容器に充填された第2の内容物に第1容器を用いて第1の内容物を混合させる状態を一部断面で示す側面図である。
【図5】同形態にて、第1の内容物と第2の内容物とを第2容器内で混合させた状態で、第2容器の口部をキャップで封止した状態を一部断面で示す側面図である。
【図6】同形態にて、第1の内容物と第2の内容物とを混合させた第2容器から棒材を用いて混合物を取り出した状態を一部断面で示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の一形態である、二剤混合容器を詳細に説明する。
【0018】
図1にて、1は、筒状部1aと底部1bとからなり、その内側に、第1の内容液C1を充填する凹部(以下、「充填空間」)R1を有する第1容器である。充填空間R1には、ピストン2が配置されている。ピストン2は、軸線O1に沿って摺動可能に保持される隔壁2aを有し、その内側には、凹部1aを外界に通じさせる注出口A1が形成されたノズル2nが一体に設けられている。
【0019】
また、ピストン2は、第1容器1の内周面に摺動可能に保持される外周部2bとノズル2nとの間に、ノズル2nを軸線O1周りに全周に亘って取り囲む周壁2cが一体に設けられている。周壁2cには、その周方向(軸線O1周り)に延在する環状凹部2dが形成されている。更に、ノズル2nと周壁2cとの間は、図1(b)に示すように、軸線O1周りに間隔を空けて配置された複数の薄板片2fにより連結されている。
【0020】
3は、第1容器1に着脱可能に装着されるキャップである。キャップ3は、軸線O1周りに時計回り又は反時計回りに回転させることで、第1容器1に進退可能にねじ付けられる。
【0021】
また、キャップ3の上端壁3wからは、ノズル2bの注出口A1を封止するシール突起3sと、このシール突起3sを取り囲む周壁3cとが一体に垂下する。周壁3cには、周壁2cに設けられた環状凹部2dに引っ掛かることで着脱可能な係止突起3pが設けられている。これにより、キャップ3をねじ付けると、キャップ3は、第1容器1に固定されると共に、ピストン2に係止された状態で注出口A1を封止する。
【0022】
なお、キャップ3は、第1容器1に設けられたシールリング部材4を介して第1容器1に接触する。これにより、第1容器1とキャップ3との間は、シールリング部材4によりその密閉性が確保されている。
【0023】
次に、図2にて、10は、第2の内容物C2が充填される第2容器である。第2容器10は、キャップ20が装着される口部11を有し、この口部11が肩部12から胴部13を介して底部14に繋がるボトル容器である。キャップ20は、軸線O2周りに時計回り又は反時計回りに回転させることで、第2容器2に進退可能にねじ付けられる。
【0024】
キャップ20も、第1容器1と同様、第2容器2に設けられた中栓部材15を介して第2容器2に接触する。中栓部材15の内側には、第2容器2に通じる注出口(開口部)A2が形成されている。また、キャップ20の上端壁20wからは、注出口A2を封止するシール筒20sが一体に垂下する。これにより、密閉性が確保されている。
【0025】
第2容器10は、その内側に第2の内容物C2が充填される。詳細には、底部14を胴部13と別体に構成し、胴部13の内側に中皿16を配置する。中皿16は、胴部13の内周面に軸線O2方向に沿って摺動可能に保持される隔壁16aを有し、注出口A2に通じる空間R2を形成し、この空間R2内に第2の内容物C2が充填されている。
【0026】
加えて、空間(以下、「充填空間」)R2には、第2の内容物C2と共に、攪拌部材17が配置されている。攪拌部材17としては、例えば、図2(a)に示すような球体の部材を用いる。なお、本形態では、口部11の内周面に、突出部18を一体に設けることで攪拌部材17の脱落を防止する。
【0027】
突出部18は、内容物C1及びC2を流通させるための注出口A3が確保されるように設けられる。具体例としては、たとえば、口部11の内周面に、周方向(軸線O1周り)に間隔を空けて複数設けられた突出部や、周方向(軸線O1周り)に全周に亘って延在する環状の突出部が挙げられる。
【0028】
また、本形態では、中皿16の隔壁16aは、胴部13の内周面に摺動可能に保持される外周部16bとの間に、周方向(軸線O2周り)に沿って延在する環状の折り返し部16cが形成されている。これにより、中皿16が上昇して肩部12付近に到達したとき、攪拌部材17を挟み込むことがない。また、攪拌部材17が胴部13の内周面と中皿16の外周部16bとの間に挟まって傷付けられることを防止する。
【0029】
これに対し、底部14には、中皿16の下端に通じる貫通孔A4が設けられている。貫通孔A4は、底部14の接地部14aから軸線O2に沿って起立させた筒体部14bの内側に形成されている。また、貫通孔A4には、図2(b)に示す棒材19を挿入することができる。
【0030】
棒材19は、貫通孔A4に挿入される本体19aとフランジ19bとからなる。これにより、棒材19の本体19aを貫通孔A4に挿入し、フランジ19bを介して押し込むと、棒材19の先端19eが中皿16を注出口A2に向かって押し込むことができる。
【0031】
なお、本形態では、中皿16の下端に、先端19eが挿入される凹部nが一体に設けられている。凹部nは、隔壁16aから軸線O2に沿って垂下させた筒体部16nの内側に形成されている。筒体部16nは、図2(a)に示すように、筒体部14bに接触することで、底部14に対して中皿16を着座させることができる。
【0032】
次に、図面を参照して、本形態の作用を説明する。
【0033】
先ず、図1(a)の第1容器1及び図2(a)の第2容器10からそれぞれ、キャップ3及びキャップ20を取り外した後、図3に示すように、第1容器1を倒立させることで、第1容器1のノズル2nの先端を第2容器2の注出口A2に挿入する。本形態では、第1容器1の薄板片2fがそれぞれ中栓部材15と接触することで、第2容器10に対して第1容器1が位置決めされる。
【0034】
次いで、図4に示すように、第1容器1を軸線O1(O2)に沿って下向きの矢印F方向に押し下げれば、ピストン2が第1容器1の底部1bに向かってストローク(進行)することで、ノズル2nの注出口A1を通して第1の内容物C1が第2容器10の充填空間R2に圧送される。また、ピストン2のストロークが終了しても、第1容器1が倒立しているため、ノズル2nに残留している第1の内容物C1も充填空間R2に流下させることができる。
【0035】
第1容器1からの内容物C1の注出が完了した後は、図5を示すように、第2容器10に再度キャップ20をねじ付けることで充填空間R2内を密閉する。この状態で、第2容器10を振る等して動かせば、充填空間R2内の内容物C1及びC2を混合させることができる。特に、本形態では、充填空間R2内に、攪拌部材17を配置したことから、内容物C1及びC2の混合は均一なものとなる。
【0036】
内容物C1及びC2の混合が完了した後は、底部14に設けた貫通孔A4に棒材19を挿入する。これにより、その先端19eを中皿16に突き当て、更に第2容器10の注出口A2に向かって押し込めば、図6に示すように、それに同期して中皿16も、注出口A2に向かって押し込まれることで、充填空間R2の混合物(C1+C2)を注出口A2から取り出すことができる。
【0037】
上述のとおり、本形態によれば、第1容器1を逆さまにして第2容器10の注出口A2にノズル2nを挿入した後、そのまま第1容器1を押し込めば、この第1容器1からの第1の内容物C1を、第2容器10の充填空間R2に充填された第2の内容物C2に混合させることができる。
【0038】
しかも、第1の内容物C1を充填した後は、底部14に設けた貫通孔A4に棒材19を挿入することで、中皿16を注出口A2に向かって押し込めば、注出口A2から混合物(C1+C2)を容易に取り出すことができる。加えて、第2容器10に残存する混合物(C1+C2)も、中皿16によって押し出されることで効率的に取り出すことができる。
【0039】
即ち、本形態によれば、混合物(C1+C2)が、例えば1000cp〜10000cpの範囲の粘性の高いものとなっても、第2容器10から容易に取り出すことができ、しかも第2容器10内の残存を抑えることができる。
【0040】
また、本形態の如く、中皿16の下端に、棒材19の先端19eが挿入される凹部nを設ければ、棒材19を中皿16に確実に位置決めすることができるため、混合物(C1+C2)の取り出しが更に容易になる。
【0041】
また、第2容器10の充填空間R2に、内容物C1,C2を攪拌するための部材17を配置すれば、第1の内容物C1と第2の内容物C2とを確実に混合させることで、混合物(C1+C2)の粘性は、混合物(C1+C2)全体として均一なものとなる。
【0042】
即ち、本形態の如く、第2容器10の充填空間R2に、内容物C1,C2を攪拌するための部材17を配置すれば、第2容器10からの取り出しを更に容易にでき、第2容器10内に残存する混合物(C1+C2)の発生も更に抑えることができる。
【0043】
上述したところは、本発明の一形態を示したに過ぎず、特許請求の範囲内において、種々の変更を加えることができる。例えば、本発明は、混合物(C1+C2)の粘性(粘度)が高い場合に有効であるが、第1の内容物C1及び第2の内容物C2の粘度そのものは問わない。即ち、結果として、混合物(C1+C2)が高いものとなれば、第1の内容物C1及び第2の内容物C2の粘度そのものは任意である。このため、第1の内容物C1と第2の内容物C2との少なくとも一方の内容物として粘度の低いものを選択することもできる。また、本発明に従えば、2つの内容物を混合した結果、その混合物(C1+C2)の粘度が高くなることなく粘度の低い混合物となる場合にも採用できる。
【0044】
また、第2容器10を使い切り容器とすることなく、繰り返し使用可能なものとした場合には、胴部13を透明又は半透明にすると共に、注出量を把握できるように目盛を付けることも可能である。更に、キャップ3及び20はそれぞれ、スクリューキャップに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、飲料、薬剤等、使用に際して二液を混合させるものであれば、種々のものに適用させることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 第1容器
1a 筒状部
1b 底部
2 ピストン
2a ピストン隔壁
2b ピストン外周部
2c ピストン周壁
2d 環状凹部
2f 薄板片
2n ピストンノズル
3 キャップ
3c キャップ周壁
3p 係止突起
3s シール突起
3w 上端壁
10 第2容器
11 口部
12 肩部
13 胴部
14 底部
14a 接地部
14b 筒体部
15 シールリング部材
16 中皿
16a 中皿隔壁
16b 外周部
16n 中皿筒体部
17 攪拌部材
18 突出部
19 棒材
19a 本体
19b フランジ
19e 棒材先端
1 注出口(開口部)
2 注出口(開口部)
3 開口部
4 貫通孔
1 第1の内容物
2 第2の内容物
1 軸線
2 軸線
1 充填空間
2 充填空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の内容物を充填する凹部を有し、その内側にノズルを備えるピストンが摺動可能に保持される第1容器と、
この第1容器のノズルの先端が挿入される開口部を有し当該開口部を通して第1の内容物が充填される第2容器とを備え、
当該第2容器は、開口部が形成される口部を有し、この口部が肩部から胴部を介して底部に繋がり、その内側に第2の内容物が充填されるボトル容器であって、
胴部の内側に、軸線方向に沿って摺動可能に保持される隔壁を有し、開口部に通じる充填空間を形成する中皿を備え、
更に、底部には、中皿の下端に通じて中皿を開口部に向かって押し込む棒材を挿入可能な貫通孔が設けられていることを特徴とする、二剤混合容器。
【請求項2】
請求項1において、中皿の下端に、棒材の先端が挿入される凹部を設けることを特徴とする、二剤混合容器。
【請求項3】
請求項1又は2において、第2容器の充填空間に、内容物を攪拌するための部材を配置したことを特徴とする、二剤混合容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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