説明

二本のリード線を有する電子部品の保持構造、信号発信装置

【課題】簡便に、位置精度高く二本のリード線を有する電子部品を取り付けできる電子部品の保持構造に関する技術を提供する。
【解決手段】二本のリード線13A、13Cを有する電子部品10の保持構造は、二本のリード線を有する電子部品を取り付ける取付ユニット1000と、前記電子部品を、二本のリード線の長さを制限可能に前記取付ユニットに取り付けるガイド部材21と、前記電子部品を複数の方向から挟み込んで前記電子部品の取付方向を制限する保持部材22R、22Lと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二本のリード線を有する電子部品を取り付ける技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント基板の端部に切り込みを設けてLEDを取付けるための分離基板とし、分離基板をプリント基板と略垂直に連結するためのヒンジ機構を備えるLEDの支持構造に関する技術が用いられている。特許文献1には、このような支持構造についての技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−326575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のようなLEDの支持構造においては、取り付けの際にLEDを分離基板に一度取り付けて、分離基板をプリント基板から折り曲げてヒンジ機構を利用して取り付ける必要があり、LEDの照射方向に高い精度が要求される製品等においては、LEDの取り付け精度(リード線の長さや先端部のぐらつき等の精度)を出すには熟練が必要となる。
【0005】
本発明の目的は、簡便に、位置精度高く二本のリード線を有する電子部品を取り付けできる電子部品の保持構造に関する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明に係る二本のリード線を有する電子部品の保持構造は、前記電子部品を取り付ける取付ユニットと、前記電子部品を、二本のリード線の長さを制限可能に前記取付ユニットに取り付けるガイド部材と、前記電子部品を複数の方向から挟み込んで前記電子部品の取付方向を制限する保持部材と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る二本のリード線を有する電子部品を取り付ける取付ユニットを備える電子機器は、前記取付ユニットには、前記電子部品を、二本のリード線の長さを制限可能に前記取付ユニットに取り付けるガイド部材と、前記電子部品を複数の方向から挟み込んで前記電子部品の取付方向を制限する保持部材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本願発明によれば、簡便に、精度高く二本のリード線を有する電子部品を取り付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、基板上に複数のLEDを取り付けるLED取付ユニットの外観を示す図である。
【図2】図2は、LED取付ユニットのW方向からみた側面を示す図である。
【図3】図3は、LED取付ユニットのB−B断面を示す図である。
【図4】図4は、LED取付ユニットのX方向からみた側面を示す図である。
【図5】図5は、LED取付ユニットのD−D断面を示す図である。
【図6】図6は、LED取付ユニットのY方向からみた側面を示す図である。
【図7】図7は、LED取付ユニットのA−A断面を示す図である。
【図8】図8は、LED取付ユニットのZ方向からみた側面を示す図である。
【図9】図9は、LED取付ユニットのC−C断面を示す図である。
【図10】図10は、LEDを取り付ける作業状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の一つの実施形態を適用したLED取付ユニット1000について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1に、LED取付ユニット1000の全体の外観を示す。本実施形態におけるLED取付ユニット1000には、複数のLEDが取り付けられる。なお、取り付けられる各LEDは、それぞれ照射方向の指向性が強い発光体であって、したがってLEDが取り付けられる方向の精度が重要であるものとする。例えば、LED取付ユニット1000は、車両の内装の天井部に取り付けられるヘッドセット用信号発信部である。ヘッドセットは車両の搭乗者が各人装着して使用するものであり、ヘッドセット用信号発信部は、LEDを用いて各ヘッドセットに対して音声情報等を含む信号を発信する。当該ヘッドセット用信号発信部は、座席ごとに独立したLEDを用いて信号を発信するため、指向性を強くする必要があるとともに、発信する方向の精度が要求される。なお、以下の説明においては、LED取付ユニット1000のLED発光部が設けられる面を上面(上方向)として、また、LEDの照射軸上からLEDを見た位置を左右の基準として説明する。
【0012】
図1(a)に示すLED取付ユニット1000は、例えば、一列目左側座席の搭乗者のための第一の信号発信部100と、二列目左側座席の搭乗者のための第二の信号発信部200と、一列目右側座席の搭乗者のための第三の信号発信部300と、二列目右側座席の搭乗者のための第四の信号発信部400と、を備える。なお、LED取付ユニット1000は、通電しにくい樹脂製である。ただし、基板2000およびLEDのリード線から絶縁可能であれば金属製でもよい。
【0013】
図1(b)は、図1(a)に示すLED取付ユニット1000をW方向からみた側面図である。LED取付ユニット1000は、基板2000の上面を覆うカバーを兼ねており、基板2000の取付側に突出する複数の係合爪1000aを備える。LED取付ユニット1000は、基板2000の所定の位置に設けられた複数の穴に、LED取付ユニット1000の係合爪1000aを挿入されることで、基板へ取り付けられる。また、基板2000には、各信号発信部のLEDのリード線を取り付けるための差込孔を備え、LEDのリード線(アノード、カソードの各ピン)は差込孔へ差し込まれてはんだ付け等により基板に固定される。
【0014】
図2は、第一の信号発信部100の周辺を拡大してW方向からみた側面図である。また、図3は、第一の信号発信部100の周辺について、LED取付ユニット1000のB−B線によるW方向から見た断面図である。第一の信号発信部100は、LEDを所定の方向に固定して取り付けるための部材を備える。LEDは、アノード側リード線113Aとカソード側リード線113Cとを有し、両リード線の間に電流が流れると発光する。発光部は、円筒状の形状を有する円筒部111と、当該円筒部111の先端を形成するドーム部112と、を有する。
【0015】
第一の信号発信部100は、LEDのアノード側リード線113Aとカソード側リード線113Cとの間に位置するよう設けられた曲げガイド板121と、LEDの円筒部111の外周を複数の方向(例えば、左右方向)から挟み込んで支持する支持爪(左側支持爪122L、右側支持爪122R)と、LEDのカソード側リード線113Cおよびアノード側リード線113Aによりそれぞれ貫通される左側ガイド孔123L、右側ガイド孔123Rと、LEDのカソード側リード線113Cおよびアノード側リード線113AをLEDの取付方向に応じて折り曲げる支点となる曲げ支点部124と、を備える。なお、LEDのアノード側リード線113Aにより貫通される右側ガイド孔123Rは、曲げガイド板121を軸として左側ガイド孔123Lと対称の位置に設けられている。
【0016】
曲げガイド板121は、板厚がLEDのアノード側リード線113Aとカソード側リード線113Cとの間に収まる程度(例えば、1mm程度)であり、LED取付ユニット1000の上面と略垂直になるよう設けられている。また、曲げガイド板121の、LED取付ユニット1000の上面から遠い上辺121Gは、左側ガイド孔123Lからの距離が略等距離となる弧状に形成されている。曲げガイド板121は、さらに、ストッパ部121Sを備える。ストッパ部121Sは、LEDの取付角度に応じて、円筒部111のリード線が設けられた側の平面(以下、LED底面とする)と、円筒部111の側面のうちLED取付ユニット1000の上面に最も接近する部位と、の二面を支持するためにある。ストッパ部121Sのうち、円筒部111の側面を支持する面は、LEDの照射軸と平行に形成され、LEDの底面を支持する面は、LEDの照射軸に垂直に形成される。
【0017】
左側支持爪122Lおよび右側支持爪122Rは、LEDの円筒部111を挟みこむように配置され、それぞれの爪の先端部が互いに近づく方向に所定の角度で曲げられている。当該角度は、少なくともLEDの組み付けを阻害せず、かつ、組み付けられたLEDを支持可能な程度(例えば、360度法による130度程度の鈍角)であればよい。また、支持爪のうちLEDの円筒部111と接する面は、LEDの円筒部の曲率に合うように形成されており、かつ、LEDの円筒部が上下方向にぐらつかないように、円筒部の下面の一部を支えるように面取されている。
【0018】
曲げ支点部124は、LEDのカソード側リード線113Cおよびアノード側リード線113AをLEDの取付方向に応じて折り曲げる際に、折り曲げの支点となる位置でリード線と接するように面取されて設けられる。なお、曲げ支点部124は、リード線を曲げる際にかかる力を支点に集中させることで、曲げ位置を安定させて円筒部111とリード線との接合部のねじれ等によるリード線の断線や取付精度の低下を防ぐためのものである。
【0019】
一般に、LEDのリード線は塑性が強いため、一度曲がると曲がり癖がついてしまうことがある。このような性質から、曲げ支点部124と、右側ガイド孔123R、左側ガイド孔123Lにより曲げの自由度を奪い、何度もフォーミングされることを避けることが精度向上に有効である。
【0020】
図4は、第二の信号発信部200の周辺を拡大してX方向からみた側面図である。また、図5は、第二の信号発信部200の周辺について、LED取付ユニット1000のD−D線によるX方向から見た断面図である。第二の信号発信部200は、LEDを所定の方向に固定して取り付けるための部材を備える。LEDは、アノード側リード線213Aとカソード側リード線(213C)とを有し、両リード線の間に電流が流れると発光する。発光部は、円筒状の形状を有する円筒部211と、当該円筒部211の先端を形成するドーム部212と、を有する。
【0021】
第二の信号発信部200は、LEDのアノード側リード線213Aとカソード側リード線213Cとの間に位置するよう設けられた曲げガイド板221と、LEDの円筒部211の外周を複数の方向(例えば、左右方向)から挟み込んで支持する支持爪(右側支持爪222R、左側支持爪222L)と、LEDのアノード側リード線213Aおよびカソード側リード線213Cによりそれぞれ貫通される右側ガイド孔223R、左側ガイド孔223Lと、LEDのアノード側リード線213Aおよびカソード側リード線213CをLEDの取付方向に応じて折り曲げる支点となる曲げ支点部224と、を備える。なお、LEDのカソード側リード線213Cにより貫通される左側ガイド孔223Lは、曲げガイド板221を軸として右側ガイド孔223Rと対称の位置に設けられている。
【0022】
曲げガイド板221は、板厚がLEDのアノード側リード線213Aとカソード側リード線213Cとの間に収まる程度(例えば、1mm程度)であり、LED取付ユニット1000の上面と略垂直になるよう設けられている。また、曲げガイド板221の、LED取付ユニット1000の上面から遠い上辺221Gは、右側ガイド孔223Rからの距離が略等距離となる弧状に形成されている。曲げガイド板221は、さらに、ストッパ部221Sを備える。ストッパ部221Sは、LEDの取付角度に応じて、円筒部211のリード線が設けられた側の平面(以下、LED底面とする)と、円筒部211の側面のうちLED取付ユニット1000の上面に最も接近する部位と、の二面を支持するためにある。ストッパ部221Sのうち、円筒部211の側面を支持する面は、LEDの照射軸と平行に形成され、LEDの底面を支持する面は、LEDの照射軸に垂直に形成される。
【0023】
右側支持爪222Rおよび左側支持爪222Lは、LEDの円筒部211を挟みこむように配置され、それぞれの爪の先端部が互いに近づく方向に所定の角度で曲げられている。当該角度は、少なくともLEDの組み付けを阻害せず、かつ、組み付けられたLEDを支持可能な程度(例えば、360度法による130度程度の鈍角)であればよい。また、支持爪のうちLEDの円筒部211と接する面は、LEDの円筒部211の曲率に合うように形成されており、かつ、LEDの円筒部211が上下方向にぐらつかないように、円筒部の下面の一部を支えるように面取されている。
【0024】
曲げ支点部224は、LEDのアノード側リード線213Aおよびカソード側リード線213CをLEDの取付方向に応じて折り曲げる際に、折り曲げの支点となる位置でリード線と接するように面取されて設けられる。なお、曲げ支点部224は、リード線を曲げる際にかかる力を支点に集中させることで、曲げ位置を安定させて円筒部211とリード線との接合部のねじれ等によるリード線の断線や取付精度の低下を防ぐためのものである。
【0025】
図6は、第三の信号発信部300の周辺を拡大してY方向からみた側面図である。また、図7は、第三の信号発信部300の周辺について、LED取付ユニット1000のA−A線によるY方向から見た断面図である。第三の信号発信部300は、LEDを所定の方向に固定して取り付けるための部材を備える。LEDは、アノード側リード線313Aとカソード側リード線(313C)とを有し、両リード線の間に電流が流れると発光する。発光部は、円筒状の形状を有する円筒部311と、当該円筒部311の先端を形成するドーム部312と、を有する。
【0026】
第三の信号発信部300は、LEDのアノード側リード線313Aとカソード側リード線313Cとの間に位置するよう設けられた曲げガイド板321と、LEDの円筒部311の外周を複数の方向(例えば、左右方向)から挟み込んで支持する支持爪(右側支持爪322R、左側支持爪322L)と、LEDのアノード側リード線313Aおよびカソード側リード線313Cによりそれぞれ貫通される右側ガイド孔323R、左側ガイド孔323Lと、LEDのアノード側リード線313Aおよびカソード側リード線313CをLEDの取付方向に応じて折り曲げる支点となる曲げ支点部324と、を備える。なお、LEDのカソード側リード線313Cにより貫通される左側ガイド孔323Lは、曲げガイド板321を軸として右側ガイド孔323Rと対称の位置に設けられている。
【0027】
曲げガイド板321は、板厚がLEDのアノード側リード線313Aとカソード側リード線313Cとの間に収まる程度(例えば、1mm程度)であり、LED取付ユニット1000の上面と略垂直になるよう設けられている。また、曲げガイド板321は、LED取付ユニット1000の上面から遠い上辺321Gが、左側ガイド孔323Lからの距離が略等距離となる弧状に形成されている。曲げガイド板321は、さらに、ストッパ部321Sを備える。ストッパ部321Sは、LEDの取付角度に応じて、円筒部311のリード線が設けられた側の平面(以下、LED底面とする)と、円筒部311の側面のうちLED取付ユニット1000の上面に最も接近する部位と、の二面を支持するためにある。ストッパ部321Sのうち、円筒部311の側面を支持する面は、LEDの照射軸と平行に形成され、LEDの底面を支持する面は、LEDの照射軸に垂直に形成される。
【0028】
なお、第三の信号発信部300のLEDの照射方向は、第一の信号発信部100および第二の信号発信部200の照射方向と比べてLED取付ユニット1000の上面と平行に近い。そのため、LED取付ユニット1000の上面より突出するLEDのリード線の長さが長くなり、曲げガイド板321は、その分だけLED取付ユニット1000の上面からの高さを高くするのが理想的である。しかし、図6、図7に示す第三の信号発信部300においては、LED取付ユニット1000のさらに上部を覆う電子装置の筐体とのクリアランスを確保するために、曲げガイド板321の高さを低く変形させている。すなわち、所定の高さ以上の部分については、曲げガイド板321を省略している。
【0029】
左側支持爪322Lおよび右側支持爪322Rは、LEDの円筒部311を挟みこむように配置され、それぞれの爪の先端部が互いに近づく方向に所定の角度で曲げられている。当該角度は、少なくともLEDの組み付けを阻害せず、かつ、組み付けられたLEDを支持可能な程度(例えば、360度法による130度程度の鈍角)であればよい。また、支持爪のうちLEDの円筒部311と接する面は、LEDの円筒部311の曲率に合うように形成されており、かつ、LEDの円筒部311が上下方向にぐらつかないように、円筒部の下面の一部を支えるように面取されている。
【0030】
曲げ支点部324は、LEDのカソード側リード線313Cおよびアノード側リード線313AをLEDの取付方向に応じて折り曲げる際に、折り曲げの支点となる位置でリード線と接するように面取されて設けられる。なお、曲げ支点部324は、リード線を曲げる際にかかる力を支点に集中させることで、曲げ位置を安定させて円筒部311とリード線との接合部のねじれ等によるリード線の断線や取付精度の低下を防ぐためのものである。
【0031】
図8は、第四の信号発信部400の周辺を拡大してZ方向からみた側面図である。また、図9は、第四の信号発信部400の周辺について、LED取付ユニット1000のC−C線によるZ方向から見た断面図である。第四の信号発信部400は、LEDを所定の方向に固定して取り付けるための部材を備える。LEDは、アノード側リード線413Aとカソード側リード線(413C)とを有し、両リード線の間に電流が流れると発光する。発光部は、円筒状の形状を有する円筒部411と、当該円筒部411の先端を形成するドーム部312と、を有する。
【0032】
第四の信号発信部400は、LEDのアノード側リード線413Aとカソード側リード線413Cとの間に位置するよう設けられた曲げガイド板421と、LEDの円筒部411の外周を複数の方向(例えば、左右方向)から挟み込んで支持する支持爪(右側支持爪422R、左側支持爪422L)と、LEDのアノード側リード線413Aおよびカソード側リード線413Cによりそれぞれ貫通される右側ガイド孔423R、左側ガイド孔423Lと、LEDのアノード側リード線413Aおよびカソード側リード線413CをLEDの取付方向に応じて折り曲げる支点となる曲げ支点部424と、を備える。なお、LEDのカソード側リード線413Cにより貫通される左側ガイド孔423Lは、曲げガイド板321を軸として右側ガイド孔323Rと対称の位置に設けられている。
【0033】
曲げガイド板421は、板厚がLEDのアノード側リード線413Aとカソード側リード線413Cとの間に収まる程度(例えば、1mm程度)であり、LED取付ユニット1000の上面と略垂直になるよう設けられている。また、曲げガイド板421は、LED取付ユニット1000の上面から遠い上辺421Gが、右側ガイド孔423Rからの距離が略等距離となる弧状に形成されている。曲げガイド板421は、さらに、ストッパ部421Sを備える。ストッパ部421Sは、LEDの取付角度に応じて、円筒部411のリード線が設けられた側の平面(以下、LED底面とする)と、円筒部411の側面のうちLED取付ユニット1000の上面に最も接近する部位と、の二面を支持するためにある。ストッパ部421Sのうち、円筒部411の側面を支持する面は、LEDの照射軸と平行に形成され、LEDの底面を支持する面は、LEDの照射軸に垂直に形成される。
【0034】
なお、第四の信号発信部400のLEDの照射方向は、第三の信号発信部300と同様に、第一の信号発信部100および第二の信号発信部200の照射方向と比べてLED取付ユニット1000の上面と平行に近い。そのため、LED取付ユニット1000の上面より突出するLEDのリード線の長さが長くなり、曲げガイド板421は、その分だけLED取付ユニット1000の上面からの高さを高くするのが理想的である。しかし、図8、図9に示す第四の信号発信部400においては、LED取付ユニット1000のさらに上部を覆う電子装置の筐体とのクリアランスを確保するために、曲げガイド板421の高さを低く変形させている。すなわち、所定の高さ以上の部分については、曲げガイド板421を省略している。
【0035】
左側支持爪422Lおよび右側支持爪422Rは、LEDの円筒部411を挟みこむように配置され、それぞれの爪の先端部が互いに近づく方向に所定の角度で曲げられている。当該角度は、少なくともLEDの組み付けを阻害せず、かつ、組み付けられたLEDを支持可能な程度(例えば、360度法による130度程度の鈍角)であればよい。また、支持爪のうちLEDの円筒部411と接する面は、LEDの円筒部411の曲率に合うように形成されており、かつ、LEDの円筒部411が上下方向にぐらつかないように、円筒部の下面の一部を支えるように面取されている。
【0036】
曲げ支点部424は、LEDのカソード側リード線413Cおよびアノード側リード線413AをLEDの取付方向に応じて折り曲げる際に、折り曲げの支点となる位置でリード線と接するように面取されて設けられる。なお、曲げ支点部424は、リード線を曲げる際にかかる力を支点に集中させることで、曲げ位置を安定させて円筒部411とリード線との接合部のねじれ等によるリード線の断線や取付精度の低下を防ぐためのものである。
【0037】
ここで、LED取付ユニット1000上の各信号発信部において、LEDを取り付ける要領について図10を用いて説明する。図10(a)および図10(b)は、当該取り付けの要領を説明する斜視図である。
【0038】
まず、LED10のアノード側リード線13Aおよびカソード側リード線13Cをそれぞれ、右側ガイド孔23Rおよび左側ガイド孔23Lに差し込む。その際、LED10の円筒部11が、曲げガイド板21の頂部に接触する高さを目安に差し込む。すなわち、LED取付ユニット1000の上面からのリード線の突出量(高さ)は、曲げガイド板21の高さと同量となるため、必要以上に差し込みすぎてしまうことを避けることができる。図10(a)は、LED10の各リード線をLED取付ユニット1000に差し込んだ状態を示す図である。
【0039】
次に、LED10の円筒部11を曲げガイド板21の上辺21Gに沿うように左側支持爪22Lおよび右側支持爪22Rに近づけて、両爪により円筒部11を挟み込ませる。その際、曲げガイド板21のストッパ部21Sに阻害されて、円筒部11が必要以上に倒れこむことを避けることができる。また、ストッパ部21SがLED底部の奥方向(右側ガイド孔23Rおよび左側ガイド孔23L方向)への移動を制限するので、LEDの位置が固定化される。図10(b)は、LED10の円筒部11を両爪に挟み込ませた状態を示す図である。
【0040】
以上が、本発明の一つの実施形態を適用したLED取付ユニット1000の例である。このように、上記実施形態によれば、LED10のアノード側リード線13Aおよびカソード側リード線13Cは曲げ支点部24との接触部においてゆるやかに曲がり、リード線と円筒部11との接触部に不要な力がかかることを避けつつ、LED10の照射方向が設計通りになるように簡便にかつ位置精度高く取り付けることができる。なお、上記実施形態においては、LEDのリード線についてアノード側とカソード側を特定しているが、これに限られず、回路基板の形態によって逆に入れ替えてもよいことはいうまでもない。
【0041】
本発明は、上記の実施形態に制限されない。上記実施形態は、本発明の技術的思想の範囲内で様々な変形が可能である。例えば、上記の実施形態においては、LED取付ユニット1000は、曲げガイド部21と、曲げ支点部24と、ストッパ部21Sと、左側支持爪22Lおよび右側支持爪22Rと、をすべて備えているが、これに限られるものではない。これらのうち、一つまたは複数の要素について任意に組み合わせることとしてもよい。
【0042】
以上、本発明について、実施形態を中心に説明した。なお、上記の実施形態では、本発明をヘッドセット用信号発信部に適用した例について説明したが、本発明はこれに限らず、指向性の強い部材(各種発光素子、受光素子等、二本のリード線を有する電子部品)の支持構造全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
10・・・LED、11,111,211,311,411・・・円筒部、12,112,212,312,412・・・ドーム部、13A,113A,213A,313A,413A・・・アノード側リード線、13C,113C,213C,313C,413C・・・カソード側リード線、21,121,221,321,421・・・曲げガイド板、21G,121G,221G,321G,421G・・・上辺、21S,121S,221S,321S,421S・・・ストッパ部、22R,122R,222R,322R,422R・・・右側支持爪、22L,122L,222L,322L,422L・・・左側支持爪、23R,123R,223R,323R,423R・・・右側ガイド孔、23L,123L,223L,323L,423L・・・左側ガイド孔、24,124,224,324,424・・・曲げ支点部、100・・・第一の信号発信部、200・・・第二の信号発信部、300・・・第三の信号発信部、400・・・第四の信号発信部、1000・・・LED取付ユニット、1000a・・・係合爪、2000・・・基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二本のリード線を有する電子部品を取り付ける取付ユニットと、
前記電子部品を、二本のリード線の長さを制限可能に前記取付ユニットに取り付けるガイド部材と、
前記電子部品を複数の方向から挟み込んで前記電子部品の取付方向を制限する保持部材と、
を備えることを特徴とする二本のリード線を有する電子部品の保持構造。
【請求項2】
請求項1に記載の保持構造であって、
前記ガイド部材は、前記取付ユニットから突出する板状部材であり、前記リード線の間に挟まれて設けられる、
ことを特徴とする保持構造。
【請求項3】
請求項2に記載の保持構造であって、
前記ガイド部材の端部は、前記取付ユニット上で前記リード線の取付位置を中心とする弧を形成する、
ことを特徴とする保持構造。
【請求項4】
請求項3に記載の保持構造であって、
前記ガイド部材の弧を形成する端部は、前記保持部材により制限する方向に応じたストッパ部が形成されている、
ことを特徴とする保持構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の保持構造であって、
前記保持部材は、前記取付ユニットに設けられた突起であり、前記電子部品の左右方向の移動を制限する、
ことを特徴とする保持構造。
【請求項6】
請求項5に記載の保持構造であって、
前記保持部材は、二本の突起で形成され、各突起は、前記電子部品を挟み込み固定する爪を備える、
ことを特徴とする保持構造。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の保持構造であって、
前記取付ユニット上において、前記リード線の取付位置と前記保持部材との間に、前記リード線を曲げる支点となる突起部を備える、
ことを特徴とする保持構造。
【請求項8】
二本のリード線を有する電子部品を取り付ける取付ユニットを備える電子機器であって、
前記取付ユニットには、
前記電子部品を、二本のリード線の長さを制限可能に前記取付ユニットに取り付けるガイド部材と、
前記電子部品を複数の方向から挟み込んで前記電子部品の取付方向を制限する保持部材と、
を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−134980(P2011−134980A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−294956(P2009−294956)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】