説明

二次元ミクロ流体生体分子分離システム

本発明は、1つ以上の一次分離経路と、1つ以上の二次処理経路とを含むミクロ流体生体分子分離システムに関する。一次分離経路は基材上に保持された分離コーティングの形態であり、該分離コーティングは1つ以上の分離層を含み、少なくとも1つの分離層は1つ以上のpH活性成分で構成されるか、該活性成分を含んでいる。流体生体分子分離装置は、一次分離経路全体に電圧を印加する手段を含む。二次処理経路は、一次分離経路と液体連通する1つ以上の入口を含む。1つ以上の入口は一次分離経路に沿って配置されるか、一次経路に沿って延設され、これにより一次経路に沿って分離された生体分子を、さらなる処理のために二次処理経路に導入することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質や核酸などの生体分子を分離し、任意でさらに分析を行なうのに有用なミクロ流体生体分子分離システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複雑な混合物からの生体分子の分離は、従来クロマトグラフィ技術またはゲル電気泳動技術を利用して行われてきた。しかしながら、従来のゲル電気泳動技術は手間がかかり、解像度に関して限界があった。
【0003】
特許文献1および特許文献2に記載されているように、ポリアクリルアミドマトリックス用に例えばゲル中にpH勾配が与えられていた。
1975年以来、複雑なタンパク質混合物は、一般に二次元ゲル電気泳動を用いて分離されてきたが、該電気泳動においては、第1次元ゲル中のタンパク質の物理的分離は分析対象タンパク質のそれぞれの等電点による分離に基づいている。これは、タンパク質の等電点電気泳動法(IEF)と呼ばれている(たとえば、O’Farrell PH.の非特許文献1を参照のこと)
しかしながら、細胞中には典型的には20,000を越える異なるタンパク質が存在することから、IEFゲルでは1つの細胞型中に存在するすべてのタンパク質を解析することはできない。したがって、ある細胞中で発現されるタンパク質のいくつかまたはすべてを研究し、同定すること(プロテオミクス)を望む多くの研究者達は、第2の次元、すなわち第2のゲルを用いてきた。この第2のゲルにおいて、タンパク質は、第1のIDFゲルに対して直角に分離され、タンパク質はそれらの個々の分子量の違いに基づいて分離される。これは二次元ゲル電気泳動(2DGE)と呼ばれている。
【特許文献1】国際出願公開公報第WO93/11174号
【特許文献2】国際出願公開公報第WO97/16462号
【非特許文献1】「タンパク質の高解像度二次元電気泳動(High resolution two-dimensional electrophoresis of proteins) 」、JBiol Chem. 1975年5月25日;250(10):4007〜21頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、高い解像度を得ることができるような、上記に代わる、生体分子の分離装置を提供することにある。
他の目的は、大量の異なる生体分子、例えば5,000を越える、または10,000を越えるまたは15,000を越える異なる生体分子からなる組成物から、生体分子を分離する装置を提供することである。
【0005】
さらに別の目的は、比較的迅速、簡単、かつ使用しやすく、好ましくは再現性の高い、生体分子を分離するため、および任意で同定するため装置を提供することである。
本発明のさらなる目的は、望まれる解像度を得ることができ、公知のプロセスに比べて使用の手間を省くことのできる、生体分子の分離装置を提供することである。
【0006】
上記および他の目的は、特許請求の範囲において定義する本発明によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の背景にある考えは、生体分子を2つ以上の画分に分けるための装置を提供することであり、該画分は例えば、例えばさらなる分離および/または同定などのさらなる処
理に供される。
【0008】
本発明によるミクロ流体生体分子分離システムを用いて分離および処理する生体分子は、例えばデンマーク国特許出願第DK PA2002−00875号に記載されるような水溶液などの液体中に含まれていればよいものとする。
【0009】
「生体分子」という用語は、ヒトを起源とするなど生物に起源をもつ成分、またはそれらを模倣した合成成分を意図する。生体成分は、例えば、生体分子、組織、細胞、体液、血液成分、微生物、およびそれらの誘導体、またはそれらの一部ならびに任意の他の生体成分を含んでいてもよい。
【0010】
生体成分は、微生物、植物、動物またはヒトを起源とする1つ以上の生体分子、またはそれらを模倣した合成分子を含んでいてもよい。生体成分または成分は、好ましくはヒトを起源とするか、またはそれらを模倣した合成分子からなるものであってよい。
【0011】
基本的に、本方法は、タンパク質、糖タンパク質、RNA、DNA、cDNA、LNA、PNAなどの核酸、オリゴヌクレオチド、ペプチド、ホルモン、抗原、抗体、脂質およびそれらの分子の1つ以上を含む複合体などの生体分子を分離するのに特に有用であり、前記生体分子は好ましくはタンパク質およびタンパク質複合体からなる群より選択される。
【0012】
特に関係のある生体分子の例としては、タンパク質、ペプチドおよびタンパク質複合体が挙げられる。タンパク質複合体としては、少なくとも1つのタンパク質が、例えば、イオン結合またはファンデルワールス力によって結合した任意の化学物質が挙げられる。タンパク質複合体は、例えば、少なくとも10重量%のタンパク質を含んでいてもよい。
【0013】
タンパク質には、変性、部分変性および非変性タンパク質が含まれる。変性の程度は、基材、分離コーティングを構成する組成、分離コーティングの構造、および、コーティングが基材に対する勾配を有する場合には、分離コーティングの組成および/または構造勾配に依存する。
【0014】
したがって、いくつかの実施形態において、生体分子が分離相に吸着(および/または固定化)されるために、非変性タンパク質を分離することができる。これにより、分離されたタンパク質または他の生体成分の生物活性を、単離や任意の再フォールディングを行うことなく、直接調べることができるというさらなる利点が与えられる。
【0015】
本方法は、核酸、タンパク質およびその一部(モノペプチド、ジペプチド、およびポリペプチド、およびモノヌクレオチド、ジヌクレオチド、およびポリヌクレオチド)、および核酸およびタンパク質を含む複合体の分離に特に有用である。
【0016】
分離すべき生体成分は、異なるタイプの生体成分の混合物、例えば、タンパク質と核酸の混合物であってもよい。
本発明によるミクロ流体生体分子分離システムは、一次分離経路と、1つ以上の二次処理経路とを含む。
【0017】
一実施形態において、ミクロ流体生体分子分離システムは、2つ以上の一次分離経路を含む。これらの経路は、装置の独立した部分であってもいいし、または一方の経路がもう一方のまたは他の経路の予備分離を行うものであってもよい。
【0018】
一次分離経路は、基材上に保持された分離コーティングの形態であり、前記分離コーテ
ィングは1つ以上の分離層を含む。少なくとも1つの分離層は、水性環境においてプロトン化又は脱プロトン化され得る化学基として定義されるpH活性基を含む1つ以上のpH活性成分で構成されるか、該活性成分を含む。このような経路はデンマーク国特許出願第DK PA2002−00875号に開示されている。一次分離経路は、原理的には、デンマーク国特許出願第DK PA2002−00875号に開示されるような任意の形状および構造を有していてもよく、たとえば、デンマーク国特許出願第DK PA2002−00875号に記載されるように製造することができる。一実施形態において、pH活性基を有する塗布された捕捉コーティングを、pHバッファ、例えば、酢酸バッファまたはリン酸バッファを用いてさらに平衡化する。基材は、原理的には、デンマーク国特許出願第DK PA2002−00875号に好適に開示されるような任意のタイプであってよい。経路の構造、基材および経路の製造方法に関する技術的情報は参照により本願に援用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明によるミクロ流体生体分子分離システムの一実施形態において、pH活性成分は、任意で1つ以上のリンカー分子および/または1つ以上の分離コーティングの層を介して、基材に化学的に結合されている。化学的結合は、例えばデンマーク国特許出願第DK
PA2002−00875号に記載されるキノンなどの光化学的反応基を介して提供してもよい。
【0020】
本発明の一実施形態において、分離コーティングは、1,2,3,10層または50層、または約10,000層にのぼる分離層構成分子からなる分子層の厚みを有していてよい。
【0021】
本発明の一実施形態において、分離コーティングは、0.01〜15μm、例えば0.5〜10μmの厚みを有する。
本発明の一実施形態において、一次分離経路の分離コーティングを有する分離基材は、自立性のものである。これは、乾燥時に構造が潰れないことを意味する。本実施形態においては、分離コーティングを有する基材の厚みは、その湿潤状態から乾燥状態の間で、20%未満、例えば10%未満、例えば5%未満しか変化しないことが好ましい。分離コーティングの厚みは、その湿潤状態から乾燥状態の間で、20%未満、例えば10%未満、例えば5%未満しか変化しないことが好ましい。
【0022】
一実施形態において、一次分離経路の分離コーティングは、一次分離経路に沿って、1pH単位未満、例えば0.5pH単位未満、または0.1単位未満しか変化しないpH値を有する。分離コーティングは、一次分離経路に沿って、本質的に同一のpH値を有していてもよい。
【0023】
本実施形態において、生体分子は、経路全体に電圧をかけた場合に一次経路に沿った2つの画分に分離される。一次分離経路が、例えば、pH値5を有する場合、生体分子は、等電点(pI値)が5を越える1つの画分と、pI値が5未満の1つの画分に分離されることになる。この分離プロセスについてのさらなる情報は、デンマーク国特許出願第DK
PA2002−00875号に記載されている。
【0024】
分離コーティングのpH値は、分離コーティングを水で湿潤させたときのpH値を指す。
本発明によるミクロ流体生体分子分離システムの一実施形態において、一次分離経路の分離コーティングは、一次分離経路に沿ったpH勾配を含むpHを有する。このような徐々に変化するpH値を有する分離経路の製造方法は、参照により本願に援用されるDK PA2002−00593号に開示されている。
【0025】
分離経路の分離コーティングがpH勾配を有し、該pH勾配が基材に結合されたpH活性成分の形態で提供される一実施形態において、例えばデンマーク国特許出願第DK PA−2002−0085号に記載されるように、勾配はpH活性成分の数の変化によって構成される。
【0026】
pH勾配は、一実施形態において、一次分離経路に沿って、例えば約0.1〜5pH単位または約0.5〜3単位などの、約8pH単位までの間で変化する、一次分離経路に沿った連続的勾配であってよい。この連続的勾配は、例えば、pH3〜7であってよい。
【0027】
pH勾配は、一実施形態において、例えば約0.1〜5pH単位または約0.5〜3単位などの、約8pH単位までの間で変化する、一次分離経路に沿った段階的勾配であってよい。勾配の段階は、一次分離経路の長手方向に沿って測定した段階の長さ、およびpH値の上昇度のいずれについても、同じであっても異なっていてもよい。
【0028】
段階的pH値段階状分離パットの段階は、分離経路区域とも称される。したがって、一実施形態において、本発明によるミクロ流体生体分子分離システムは、分離経路に沿って2個以上、例えば5個、例えば10個、例えば20個、例えば50個、例えば100個の分離経路区域を含む。pH値に関して互いに異なる分離経路区域において、隣り合う2つの分離経路区域の間での分離コーティングのpH値の違いは、例えば、0.05〜4pH単位、例えば0.1〜2pH単位、例えば0.2〜1pH単位の範囲とすることができる。一実施形態において、一次分離経路は、0.1〜0.5のpH段階を有する5〜10の連続する経路区域を含む。本実施形態において、一次分離経路は、例えば、それぞれ4.8、5.0、5.2、5.4、5.6、5.8、6.0および6.2のpH値を有する8つの連続した経路区域を含む。
【0029】
一実施形態において、経路区域は同じ長さを有する。
別の実施形態において、2つ以上の経路区域が異なる長さを有していてもよい。一例において、一次分離経路全体に電圧が印加される際に、電極に近い1つ以上の経路区域が、電極からより遠い経路区域よりも短くなるように、経路区域は異なる長さを有している。本実施形態の一例において、一次分離経路は、例えば、経路に沿って、それぞれ2x、1.6x、1.2x、1x、1x、1.2x、1.6xおよび2xの長さを有する8つの連続する経路区域を含んでいてもよい。ここで「x」は、例えば、1〜100mmの間、例えば2〜10mmの間、例えば5mm前後である。
【0030】
一次分離経路は、原理的には任意の所望の長さを有していてもよい。一実施形態において、一次分離経路は、約1mm〜10cm、例えば5〜50mmの長さを有している。
本発明によるミクロ流体生体分子分離システムは、一次経路全体に電圧を印加するための手段をさらに含んでいる。このような電圧印加手段は当該技術において一般に知られており、その好ましい例としては、一次分離経路に装着するか、一次分離経路に装着可能に構成してもよい一対の電極を含み、該電極は一次分離経路に沿って距離をおいて分離コーティングに好適に接触する。
【0031】
一実施形態において、ミクロ流体生体分子分離システムは、生体分子が電極に直接接触することを防ぐように、各電極と分離コーティングの間に設けられた1つまたは一対の電極バリアを含む。これは、接触によって、生体分子が変性したり変化したりする虞があるからである。陽極電極バリアは、例えば隣接する分離コーティングのpH値よりも低いpH値を有するゲルなどの、導電性の湿潤物質の形態とすることができ、陰極電極バリアは、例えば隣接する分離コーティングのpH値よりも低いpH値を有するゲルなどの、導電性の湿潤物質の形態とすることができる。
【0032】
ミクロ流体生体分子分離システムは、例えば分離経路および/または同定経路の形態の、1つ以上の二次処理経路を含んでいる。同定経路という用語は、例えば質量、サイズ、または例えば抗原等との反応の比活性など、生体分子の1つ以上のパラメータを同定する経路を意味する。
【0033】
前記各二次処理経路は、一次分離経路と液体が流れ得るように連通する(以下、「液体連通する」と記載する)1つ以上の入口を含んでいる。この二次処理経路用の1つ以上の入口は、一次分離経路に沿って配置されるかまたは延びる。これにより、一次経路に沿って分離された生体分子は、例えば一次分離経路に沿っての分離後に、さらなる処理、例えばさらなる分離および/または1つ以上のパラメータ、例えばサイズ、質量または抗原などの試薬に対する反応性について同定するための二次処理経路に導入することができる。
【0034】
本発明によるミクロ流体生体分子分離システムの一実施形態において、一次分離経路および二次処理経路は、1つまたは複数の二次処理経路の方向に作用するように駆動力が与えられた場合に、一次分離経路上で分離後の生体分子が一次分離経路から入口を介して二次処理経路に流入するように、相対的に配置されている。上記駆動力は、例えば求心力または電気泳動力であってもよい。
【0035】
本発明によるミクロ流体生体分子分離システムの一実施形態において、一次分離経路は、1つまたは複数の回収ステーション、例えば少なくとも3つの回収ステーション、例えば少なくとも4つの回収ステーション、例えば少なくとも5つの回収ステーション、例えば少なくとも7つの回収ステーション、例えば少なくとも10の回収ステーションを含んでいる。回収ステーションについては、例えば、デンマーク国特許出願第DK PA2002−00875号に記載されている。
【0036】
一実施形態において、1つまたは複数の回収ステーションは、例えば多孔材料の形態の回収空間と、回収チャンバまたは回収キャビティとを含む回収ユニットの形態を有する。
回収ステーションは好ましくは、二次処理経路のための1つまたは複数の入口と液体連通しており、その結果、回収ステーション内に回収された生体分子は、二次処理経路全体に例えば求心力または電気泳動力などの駆動力が与えられた場合に二次処理経路に流入する。
【0037】
一実施形態において、前記1つまたは複数の回収ステーションは、一次分離経路内の1つ以上の開口部または一次分離経路のオーバーフローエッジの形態である。前記一次分離経路内の1つ以上の開口部または一次分離経路のオーバーフローエッジは、例えば、二次処理経路に対する1つまたは複数の入口を提供し、回収ステーション内に回収された生体分子は、二次処理経路全体に例えば求心力または電気泳動力などの駆動力が与えられた場合に二次処理経路に流入する。
【0038】
請求項8に記載の分離装置が2つ以上の分離経路区画を含む本発明によるミクロ流体生体分子分離システムの一実施形態において、該2つ以上の分離経路区画の主要部分、好ましくは全体が、区画回収ステーションを含む。
【0039】
本発明によるミクロ流体生体分子分離システムの一実施形態において、1つまたは複数の二次経路は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む架橋ポリアクリルアミドゲル、両性電解質含有架橋ゲル(IEF)、アガロースゲル、セルロースゲル、およびシリカゲルなどのポリアミドゲルからなる群より選択されるゲルなどのゲルの形態または該ゲルを含んで構成される。本実施形態においては、ミクロ流体生体分子分離システムは、唯一または少数の二次経路を含むことが望ましい。
【0040】
ゲルの形態の1つの二次経路を含む一実施形態において、一次経路及び二次経路は互いにほぼ直交している。二次経路は好ましくは、上縁と下縁の間の長さと幅とを有する。一次分離経路は好ましくは、二次経路に沿って延設され、例えば二次経路の下縁またはその付近(1〜100mm)で、二次経路と接触して、電極を適用するための場所を与え、これにより前記一次経路および前記二次経路は互いに液体連通する。本実施形態の一例において、一次分離経路は、シート状ゲルへの1つまたは複数の入口開口部を有したシート状ゲルの上に施されている。
【0041】
二次処理経路がゲルの形態である本実施形態において、本装置は、二次処理経路全体に電圧を印加するための手段をさらに含むことが望ましい。好ましい使用において、まず最初に電圧を一次分離経路全体に印加し、分離後、電圧を二次ゲル処理経路全体に印加する。
【0042】
本発明によるミクロ流体生体分子分離システムの一実施形態において、一次分離経路は、基材内のチャネルの形態またはチャネル内に含まれている。本実施例において、一次分離経路の基材をチャネル壁によって構成してもよいし、分離コーティングを含む基材をチャネル内に配置してもよい。
【0043】
本発明によるミクロ流体生体分子分離システムの一実施形態において、(1つまたは複数の)二次処理経路は、基材内のチャネルの形態もしくは基材内のチャネル内に含まれている。
【0044】
本発明によるミクロ流体生体分子分離システムの一実施形態において、本装置は、ミクロチャネル構造を含むディスク状装置の形態である。ミクロチャネル構造は、二次処理経路を含むことが好ましい。一実施形態において、ミクロチャネル構造は、一次分離経路および二次処理経路の双方を含む。
【0045】
ディスク状装置は、例えば、参照により本願に援用される国際出願公開公報第WO0147637号、同第WO97/21090号、同第WO02075775号、同第WO02075776号、および同第WO9958245号のいずれかに記載されているようなものであるが、さらなる前提として、ディスクは上述のような二次処理経路と液体連通した一次分離経路をさらに含み、二次処理経路はそれぞれ、国際出願公開公報第WO0147637号、同第WO97/21090号、同第WO02075775号、同第WO02075776号、および同第WO9958245号に開示されるようなミクロチャネル構造で構成される。
【0046】
したがって、一実施形態において、本発明によるミクロ流体生体分子分離システムは、国際出願公開公報第WO02075776号に記載のようなMSポートを含むディスク状装置の形態である。
【0047】
一実施形態において、本発明によるミクロ流体生体分子分離システムは、国際出願公開公報第WO0147637号に開示される非イオン性親水性ポリマーを露出する被膜を有するミクロチャネル構造の形態の二次処理経路を含む。
【0048】
一実施形態において、本発明によるミクロ流体生体分子分離システムは、国際出願公開公報第WO0146465号に規定されるようなU字型体積規定構造を含む二次処理経路を含むディスク状装置の形態である。
【0049】
一実施形態において、本発明によるミクロ流体生体分子分離システムは、国際出願公開
公報第WO9958245号にさらに記載されるような、二次処理経路内の流れが、異なる表面特性を有した装置の異なる表面によって制御されるように構成された二次処理経路を含むディスク状装置の形態である。
【0050】
一実施形態において、本発明によるミクロ流体生体分子分離システムは、国際出願公開公報第WO9721090号にさらに記載されるように、回転速度、持続時間または方向を制御するために設定される電磁的に読み取り可能な指示で符号化した平面を含むディスク状装置の形態である。
【0051】
一実施形態において、ミクロチャネルは10mm未満、好ましくは5m未満、より好ましくは0.1mm未満の断面積を有している。ミクロチャネル構造は、さらに、ミクロチャネルに比べて例えば2倍まで、3倍まで、5倍まであるいは10倍までの大きさの表面積を有する反応チャンバ、リザーバ等を含んでいてもよい。
【0052】
一実施形態において、ディスク状装置は略環状であり中心部を含んでいる。中心部は、例えば直径1〜100mm、例えば5〜50mmの開口などの、開口の形態であってよい。一次分離経路と二次処理経路とを含むミクロチャネル構造は、中心部の周りに配置してもよく、好ましくは一次分離経路を部分的または全体的に中心部の周りに環状リングとして配置し、二次処理経路を一次分離経路よりも周縁の近くに配置する。
【0053】
一実施形態において、二次処理経路は、例えばフィルタ装置を有したチャンバの形態、および/または、反応チャンバの形態、例えば捕捉分子と反応し得る生体分子を捕捉するための捕捉分子を有した反応チャンバの形態の、1つまたは複数のチャンバを含む。
【0054】
一実施形態において、二次処理経路は、表面特性が変化する壁を有したミクロチャネルを含む。
一実施形態において、二次処理経路は、例えば上述のゲルの群より選択されるゲルなどの分離媒体を含んだミクロチャネルを含む。
【0055】
一実施形態において、一次分離経路は、分離コーティングを有する一次ミクロチャネルによって提供される。一次ミクロチャネルは、例えば略環状であり、ディスク状装置の中心部の周りに延設してもよい。本実施形態において、二次処理経路は好ましくは一次経路からディスク状装置の周囲に向けて延出する。さらに、一次分離経路を与えるチャネルは、一次ミクロチャネル中の開口部の形態の2つ以上の回収ステーションを含んでいてもよく、前記開口部が二次経路への入口を構成する。
【0056】
上述のようなディスク状装置の形態のミクロ流体生体分子分離システムの動作において、被処理生体分子を、一次分離経路に、例えば経路の中間またはその一方または双方の端部において付与する。一次分離経路全体に電圧を印加することにより、生体分子をpH画分に分離し、その後、分離された生体分子を求心力を用いて二次処理経路内に押し入れる。求心力は、例えば、国際出願公開公報第WO0147637号、同第WO97/21090号、同第WO02075775号、同第WO02075776号、同第WO0146465号および、同第WO9958245号のいずれかに記載のように、ディスクを回転させることにより付与される。
【0057】
以下、本発明を図面および実施例を参照しながらさらに説明する。
【実施例】
【0058】
実施例1 2つの回収ステーションを有する電気泳動ディスク
使用した材料:
・特注のポリエステルディスク
・不織ポリエステル材料(H1010,53g/m)(Freudenberg社)
・N−[4−(3−アミノプロピル)モルフォリル]−9.10−アントラキノン−2−カルボキサミド(AQ−03)
・10×5mm IEFサンプルアプリケーションピース(80−1129−46)(Amersham Pharrnacia Biotech AB社)
・10×2.5mm IEF電極片(18−1004−40)(Amersham Pharmacia Biotech AB社)
・サンプル付与片(18−1002−76)(Amersham Pharrnacia
Biotech AB社)
・プラチナ電極φ0.5mm
・10×3mmポリアクリルアミドゲル;8%T:2.7%C;pH3.5
・10×3mmポリアクリルアミドゲル;2.7%C;pH10.5
・Minitan濾過プレート−PBGC 0MP 04−10(kDa)(Millipore社)
・Minitan濾過プレート−PBGC 0MP 04−30(kDa)(Millipore社)
・Minitan濾過プレート−PBGC 0MP 04−50(kDa)(Millipore社)
・0.1Mリン酸ナトリウムバッファ−pH6.5
・7M尿素;2Mチオ尿素
・溶解バッファ(7M尿素;1Mチオ尿素;2%CHAPS;5mMトリス)
・90μgHeLa抽出物を20μLの溶解バッファに溶解したもの
・圧縮窒素−N48
・プログラム可能電源(EPS3501XL)(Amersham Pharrnacia Biotech AB社)
・特注ディスクスピナー
【0059】
不織ポリマーの官能化:
55mmの幅を有する1mgのポリエステル材料H1010を、連続ループとして条片を供給する機械的装置上に載置した。条片に100μMのAQ−03の水溶液を供給し、UV照射して熱風で乾燥させた後、AQ−03溶液に戻す。このようにして、アントラキノンをポリマー材料に共有結合させる。全部で100μモルのAQ−03が結合する。材料をリン酸バッファ中で平衡化し、蒸留水中で2回洗浄し、乾燥させる。
【0060】
実験セットアップの準備:
特注のポリエステルディスクの直径は120mm、厚みは2mm、中央の孔は15mmである。分離溝1の形態の環状一次分離経路を、直径45mm、幅3mm、深さ1mmとなるように加工する。分離溝はディスクの円周の180°をカバーする。環状分離溝1の両端において、幅10mm、厚み5mm、深さ1mmの矩形の回収ステーション溝2を前記両端に直交するように設ける。各矩形の回収ステーション溝2を通る半径上には、中心と各回収ステーション溝2の間にリザーバ3が配置される。リザーバ3は、流路8によって回収ステーション溝に連結される。回収ステーション溝2のその反対側において、流路8は径方向外側に続いており、ディスクの中心から60,75および90mmの所にある3つのフィルタホルダー4a,4b,4cと、ディスクの中心から105mmの所にあるリザーバ5と交差する。各矩形の回収ステーション溝2と直交して、長さ10mm、幅3mm、深さ1mmの別の矩形のゲル溝6を加工する。最後に矩形の電極溝7を、ゲル溝の端部6において、長さ10mm、幅2.5mm、深さ1mmとなるように加工する。
【0061】
官能化したH1010を環状の分離溝1に適合するように裁断し、分離溝1に配置する
。H1010材料と良好に接触する矩形の回収ステーション溝2のぞれぞれに、サンプルアプリケーションピースを1つずつ配置する。左側の矩形のゲル溝6には、pH3.5を有するゲルを陽極に対するバリアとして配置し、右側の矩形のゲル溝6には、pH10.5を有するゲルを陰極に対するバリアとして配置する。いずれのゲルもサンプルアプリケーションピースと良好に接触させて配置する。電極溝7のそれぞれには、IEF電極片を各ゲル材料に良好に接触させて配置する。電極を各IEF電極片上に、左側が陽極、右側が陰極となるように配置する。
【0062】
電気泳動:
上記2つのIEF電極片を7M尿素:2Mチオ尿素溶液で湿潤させる。ゲルは溶解バッファで再水和させる。H1010は溶解バッファ中で飽和させる。生体分子試料を、官能化1010の一次分離経路の中央に、サンプル付与片を用いて付与する。
【0063】
このセットアップを窒素雰囲気中に置き、装置に、4時間の間に0〜2500Vの電圧を線形的な傾斜ステップで印加する。次に、2500Vの一定電圧にさらに11時間維持してから、電気泳動を終了する。処理を連続的に追跡するために、電気泳動の間、装置内の電流をモニタする。
【0064】
濾過:
minitanフィルタを、フィルタホルダ4a,4b,4cに合うように裁断し、50kDaフィルタが最も内側のホルダ4a,30kDaフィルタが真ん中のフィルタホルダ4b、10kDaフィルタが最も外側のフィルタホルダ4c内に配置されるように配置する。220μLの溶解0バッファを各リザーバ3内に入れ、ディスクを100RPMで60秒間回転させ(回収ステーション溝2からの試料の再抽出)、その後、濾過のために1500RPMで10分間回転させる。
【0065】
結果:
分離された材料をフィルタ(4a,4b,4c)およびリザーバ5から以下の画分内に回収する。
左側:
(4a):pI<6.5;質量>50kDa
(4b)pI<6.5;50kDa>質量>30kDa
(4c)pI<6.5;30kDa>質量>10kDa
(5)pI<6.5;質量<10kDa
【0066】
右側:
(4a):pI>6.5;質量>50kDa
(4b)pI>6.5;50kDa>質量>30kDa
(4c)pI>6.5;30kDa>質量>10kDa
(5)pI>6.5;質量<10kDa
【0067】
実施例2 3つの回収ステーションを用いた電気泳動ディスク
使用した材料:
・特注のポリエステルディスク
・不織ポリエステル材料(H1010,53g/m)(Freudenberg社)
・4−(2−アントラキノイル)−4−オキソ−3−アザ−ブタン酸(AQ−01)
・N−[4−(3−アミノプロピル)モルフォリル]−9.10−アントラキノン−2−カルボキサミド(AQ−03)
・10×5mm IEFサンプルアプリケーションピース(80−1129−46)(Amersham Pharrnacia Biotech AB社)
・10×2.5mm IEF電極片(18−1004−40)(Amersham Pharmacia Biotech AB社)
・サンプル付与片(18−1002−76)(Amersham Pharrnacia
Biotech AB社)
・プラチナ電極φ0.5mm
・10×3mmポリアクリルアミドゲル;8%T:2.7%C;pH3.5
・10×3mmポリアクリルアミドゲル;2.7%C;pH10.5
・Minitan濾過プレート−PBGC 0MP 04−10(kDa)(Millipore社)
・Minitan濾過プレート−PBGC 0MP 04−30(kDa)(Millipore社)
・Minitan濾過プレート−PBGC 0MP 04−50(kDa)(Millipore社)
・0.1Mリン酸ナトリウムバッファ−pH6.5
・7M尿素;2Mチオ尿素
・溶解バッファ(7M尿素;1Mチオ尿素;2%CHAPS;5mMトリス)
・90μgHeLa抽出物を20μLの溶解バッファに溶解したもの
・圧縮窒素−N48
・プログラム可能電源(EPS3501XL)(Amersham Pharrnacia Biotech AB社)
・特注ディスクスピナー
【0068】
不織ポリマーの官能化:
55mmの幅を有する1mgのポリエステル材料H1010を、連続ループとして条片を提供する機械的装置上に載置した。条片に100μMのAQ−01の水溶液を供給し、UV照射して熱風で乾燥させた後、AQ−01溶液に再び戻す。このようにして、アントラキノンをポリマー材料に共有結合させる。全部で100μモルのAQ−01が結合する。これによりpH4を有する材料が得られる。
【0069】
同様のコーティング手順を、100μMのAQ−03の水溶液を用いてH1010の新しい小片に対して繰り返した。このAQ−03処理した材料をリン酸バッファ中で平衡化し、蒸留水中で2回洗浄し、乾燥させる。これによりpH6.5を有する材料が得られる。
【0070】
実験セットアップの準備:
特注のポリエステルディスクの直径は120mm、厚みは2mm、中央の孔は15mmである。分離溝1,2の形態の環状一次分離経路を、直径45mm、幅3mm、深さ1mmとなるように加工する。分離溝はディスクの円周の270°をカバーする。環状分離溝1,2の両端および中間点に、幅10mm、厚み5mm、深さ1mmの矩形の回収ステーション溝3を環状溝に直交するように配置する。各矩形の回収ステーション溝3を通る半径には、中心と各回収ステーション溝3の間にリザーバ4を配置する。リザーバ4は、流路9によって回収ステーション溝3に連結される。回収ステーション溝3のその反対側において、流路9は径方向外側に続いており、ディスクの中心から60,75および90mmに位置する3つのフィルタホルダー5a,5b,5cと、ディスクの中心から105mmに位置するリザーバ6と交差する。陽極区画と陰極区画における各矩形の回収ステーション溝3と垂直に、長さ10mm、幅3mm、深さ1mmの別個の矩形のゲル溝7を加工する。最後にゲル溝の端部7において矩形の電極溝8を、長さ10mm、幅2.5mm、深さ1mmとなるように加工する。
【0071】
AQ−01で官能化した材料H1010を環状の分離溝1に適合するように裁断し、分
離溝1に配置する。AQ−03で官能化した材料H1010を環状の分離溝2に適合するように裁断し、分離溝2に配置する。H1010材料と良好に接触する矩形の回収ステーション溝3のぞれぞれに、サンプルアプリケーションピースを1つずつ配置する。左側の矩形のゲル溝7には、pH3.5を有するゲルを陽極に対するバリアとして配置し、右側の矩形のゲル溝7には、pH10.5を有するゲルを陰極に対するバリアとして配置する。いずれのゲルもサンプルアプリケーションピースと良好に接触させて配置する。電極溝8のそれぞれには、IEF電極片を各ゲル材料に良好に接触させて配置する。陽極電極を陽極IEF電極片8上に載置し、陰極電極を陰極IEF電極片8上に配置する。
【0072】
電気泳動
上記2つのIEF電極片を7M尿素:2Mチオ尿素溶液で湿潤させる。ゲルは溶解バッファで再水和させる。H1010は溶解バッファ中で飽和させる。タンパク質試料を、AQ−03官能化1010の一次分離経路2の中間に、サンプル付与片を用いて付与する。
【0073】
このセットアップを窒素雰囲気中に置き、装置に、4時間の間に0〜2500Vの電圧を線形的な傾斜ステップで印加する。次に、2500Vの一定電圧にさらに11時間維持してから、電気泳動を終了する。処理を連続的に追跡するために、電気泳動の間、装置内の電流をモニタする。
【0074】
濾過:
minitanフィルタを、フィルタホルダ5a,5b,5cに適合するように裁断し、50kDaフィルタが最内側のホルダ5a,30kDaフィルタが真ん中のフィルタホルダ5b、10kDaフィルタが最外側のフィルタホルダ5c内に配置されるように配置する。220μLの溶解0バッファを各リザーバ4内に入れ、ディスクを100RPMで60秒間回転させ(回収ステーション溝3からの試料の再抽出)、その後、濾過のために1500RPMで10分間回転させる。
【0075】
結果:
分離された材料をフィルタ(5a,5b,5c)およびリザーバ6から以下の画分内に回収する。
陽極:
(5a):pI<4;質量>50kDa
(5b)pI<4;50kDa>質量>30kDa
(5c)pI<4;30kDa>質量>10kDa
(6)pI<4;質量<10kDa
中間:
(5a):pI<4<6.5;質量>50kDa
(5b)pI<4<6.5;50kDa>質量>30kDa
(5c)pI<4<6.5;30kDa>質量>10kDa
(6)pI<4<6.5;質量<10kDa
陰極:
(5a):pI>6.5;質量>50kDa
(5b)pI>6.5;50kDa>質量>30kDa
(5c)pI>6.5;30kDa>質量>10kDa
(6)pI>6.5;質量<10kDa
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】実施例1に従って製造され、使用されるディスクの概略図。
【図2】実施例2に従って製造され、使用されるディスクの概略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次分離経路と、1つ以上の二次処理経路とを含むミクロ流体生体分子分離システムであって、前記一次分離経路は基材に保持された分離コーティングの形態であり、前記分離コーティングは、1つ以上の分離層を含み、少なくとも1つの分離層が、水性環境中でプロトン化または脱プロトン化されうる化学基として定義されるpH活性基を含む1つ以上のpH活性成分で構成されるか、または該pH活性成分を含み、前記流体生体分子分離装置は、一次分離経路全体に電圧を印加するための手段を含み、各二次処理経路は、一次分離経路と液体流通する1つ以上の入口を含み、前記1つ以上の入口は一次分離経路に沿って設けられるか、該一次経路に沿って延びることにより、一次経路に沿って分離された生体分子を、さらなる処理のために二次処理経路に導入し得ることを特徴とするミクロ流体生体分子分離システム。
【請求項2】
一次分離経路の分離コーティングは、一次分離経路に沿って、1pH単位未満、例えば0.5pH単位未満、または0.1単位未満しか変化しないpH値を有し、前記分離コーティングは、好ましくは一次分離経路に沿って、本質的に同一のpH値を有することを特徴とする請求項1に記載のミクロ流体生体分子分離システム。
【請求項3】
一次分離経路の分離コーティングは、一次分離経路に沿ったpH勾配を含むpHを有し、前記勾配は一次分離経路に沿って連続的または段階的であり、前記pH勾配は好ましくは約8pH単位までの、より好ましくは約0.1〜5pH単位、例えば約0.5〜3単位の一次分離経路に沿ったpH変化を有することを特徴とする請求項1に記載のミクロ流体生体分子分離システム。
【請求項4】
分離コーティングに接触してまたは接触できるように一次分離経路に沿って離間されて設けられた正電極と負電極の形態の、一対の電極をさらに含むことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のミクロ流体生体分子分離システム。
【請求項5】
一次分離経路は、1つ以上の回収ステーション、好ましくは少なくとも3つの回収ステーション、例えば少なくとも4つの回収ステーション、例えば少なくとも5つの回収ステーション、例えば少なくとも7つの回収ステーション、例えば少なくとも10の回収ステーションを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のミクロ流体生体分子分離システム。
【請求項6】
前記1つ以上の回収ステーションは、例えば多孔性材料、回収チャンバおよび回収キャビティのいずれかの形態の回収空間を含む回収ユニットの形態であり、前記回収ステーションは、前記二次処理経路のための前記1つ以上の入口と液体流通していることを特徴とする請求項5に記載のミクロ流体生体分子分離システム。
【請求項7】
前記1つまたは複数の回収ステーションは、一次分離経路内の開口部および一次分離経路のオーバーフローエッジのいずれかの形態であり、前記一次分離経路内の開口部および一次分離経路のオーバーフローエッジのいずれかは、好ましくは、前記二次処理経路のための前記1つ以上の入口との液体流通を提供することを特徴とする請求項5に記載のミクロ流体生体分子分離システム。
【請求項8】
一次分離経路は、2つ以上、例えば3つ以上、例えば4つ以上、例えば5つ以上、例えば7つ以上、例えば10の、分離経路に沿った分離経路区画を含み、前記分離経路区画はpH値に関して互いに異なり、2つの隣接する分離経路区画間の分離コーティングのpH値の違いは、好ましくは0.05〜4pH単位の間隔、例えば0.1〜2pH値、例えば0.2〜1pH値であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のミクロ
流体生体分子分離システム。
【請求項9】
各分離経路区画は区画回収ステーションを含むことを特徴とする請求項8に記載のミクロ流体生体分子分離システム。
【請求項10】
一次分離経路の分離コーティングがpH勾配を有し、前記pH勾配が基材に結合されたpH活性成分の形態で提供され、勾配は好ましくはpH活性成分の数の変化によって構成されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のミクロ流体生体分子分離システム。
【請求項11】
分離層は、1つ以上のpH活性成分を含み、前記pH活性成分は任意で1つ以上のリンカー分子を介して基材に結合されていること、およびキノンなどの光化学的反応性基を介して分離コーティングの1つ以上の層に結合されていることの少なくともいずれかを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のミクロ流体生体分子分離システム。
【請求項12】
分離コーティングは、分離層を構成する分子の1,2,5,10または50、または約10,000分子層の厚みを有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のミクロ流体生体分子分離システム。
【請求項13】
分離コーティングは、0.01〜15μm、例えば0.5〜10μmの厚みを有することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載のミクロ流体生体分子分離システム。
【請求項14】
一次分離経路は、1mm〜10cm、例えば5〜50mmの長さを有することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載のミクロ流体生体分子分離システム。
【請求項15】
該システムは1つの二次経路を含み、前記二次経路は好ましくはゲルの形状であり、該ゲルは、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む架橋ポリアクリルアミドゲル、両性電解質含有架橋ゲル(IEF)、アガロースゲル、セルロースゲル、およびシリカゲルなどのポリアミドゲルからなる群より選択されることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載のミクロ流体生体分子分離システム。
【請求項16】
前記一次経路および前記二次経路は互いに直交しており、前記二次経路は好ましくは上縁と下縁との間の長さおよび幅を有し、前記一次分離経路は好ましくは前記二次経路に沿って延びるとともに前記二次経路の下縁と接触することにより、前記一次経路および前記二次経路は互いに液体流通することを特徴とする請求項15に記載のミクロ流体生体分子分離システム。
【請求項17】
該システムは、二次処理経路全体に電圧を印加する手段をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載のミクロ流体生体分子分離システム。
【請求項18】
前記二次経路は、基材内のチャネルの形態であるか、該チャネルに含まれることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載のミクロ流体生体分子分離システム。
【請求項19】
前記装置は、ミクロチャネル構造を含むディスク状装置の形態であり、前記ミクロチャネル構造は好ましくは前記二次処理経路を含むことを特徴とする前出の請求項1乃至15のいずれか1項に記載のミクロ流体生体分子分離システム。
【請求項20】
前記ディスク状装置は好ましくは略環状であり、中心部を有し、前記ミクロチャネル構造は前記中心部の周りに配置されることを特徴とする請求項19に記載のミクロ流体生体
分子分離システム。
【請求項21】
前記二次処理経路は1つ以上の反応チャンバを含むことを特徴とする請求項19乃至20のいずれか1項に記載のミクロ流体生体分子分離システム。
【請求項22】
前記二次処理経路は、表面特性が変化する壁を有するミクロチャネルを含むことを特徴とする請求項19乃至21のいずれか1項に記載のミクロ流体生体分子分離システム。
【請求項23】
前記二次処理経路は、ゲルなどの分離媒体を含むミクロチャネルを含むことを特徴とする請求項19乃至22のいずれか1項に記載のミクロ流体生体分子分離システム。
【請求項24】
前記一次分離経路は、分離コーティングを有する一次ミクロチャネルによって提供され、前記一次ミクロチャネルは好ましくは略環状であり、ディスク状装置の中心部の周りに配置されることを特徴とする請求項19乃至23のいずれか1項に記載のミクロ流体生体分子分離システム。
【請求項25】
前記二次処理経路は、一次経路からディスク状装置の周囲に向けて延びることを特徴とする請求項24に記載のミクロ流体生体分子分離システム。
【請求項26】
一次分離経路を提供する前記チャネルは、一次ミクロチャネル内に設けられた二次経路への入口を構成する開口部の形態にある2つ以上の回収ステーションを含むことを特徴とする請求項24乃至25のいずれか1項に記載のミクロ流体生体分子分離システム。
【請求項27】
二次処理経路のうちの1つ以上が、分離経路であることを特徴とする請求項1乃至26のいずれか1項に記載のミクロ流体生体分子分離システム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−503274(P2006−503274A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−543975(P2004−543975)
【出願日】平成15年10月13日(2003.10.13)
【国際出願番号】PCT/DK2003/000690
【国際公開番号】WO2004/036204
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(504450475)ピコセプ アクティーゼルスカブ (1)
【氏名又は名称原語表記】PICOSEP A/S
【Fターム(参考)】