説明

二次電池、及び車両

【課題】電極群の膨張によってケースが変形することを抑制できる二次電池、及び車両を提供すること。
【解決手段】セパレータ27を介在させて各電極シート28,29を積層した電極体23と、正極端子15及び負極端子16を有し電極体23を収納する導電性材料製のケース11と、絶縁性を有するセラミック板からなり、電極体23とケース11との間に介在される補助ケース30とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池、及びこれを搭載した車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、二次電池としては、リチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池などが知られている。例えば、リチウムイオン二次電池は、セパレータを介在させた状態で長尺のシート状をなす正極体及び負極体を捲回して形成した電極群をケースに収納した構成とされている。そして、このような二次電池の中には、金属製のケースを用いることで、その物理的な強度を向上させているものもある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−26704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記リチウムイオン二次電池などの二次電池では、充放電に伴って電極群が膨張する可能性のあることが知られている。特許文献1の二次電池では、金属製のケースを用いることで、電極群の膨張によるケースの変形が抑制されているものの、さらにケースの変形を抑制する手段の提供が望まれていた。
【0005】
この発明は、上記従来技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、電極群の膨張によってケースが変形することを抑制できる二次電池、及び車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、セパレータを介在させて正極体及び負極体を積層した電極群と、正極端子及び負極端子を有し、前記電極群を収納する導電性材料からなるケースと、絶縁性を有するセラミック板又は表面に絶縁膜を形成した金属板からなり、前記正極体及び前記負極体の積層方向における少なくとも前記電極群と前記ケースとの間に介在される介在部材と、を備えたことを要旨とする。
【0007】
これによれば、正極体及び負極体を積層した電極群と、電極群を収納するケースとの間には、正極体及び負極体の積層方向において、絶縁性を有するセラミック板又は表面に絶縁膜を形成した金属板からなる介在部材が介在されている。このため、仮に充放電に伴って電極群が上記積層方向へ膨張しようとする場合であっても、セラミック板又は絶縁膜を形成した金属板からなる介在部材がケースとの間に介在されていることによって電極群の膨張が抑制される。したがって、電極群の膨張によってケースが変形することを抑制できる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の二次電池において、前記ケースは、扁平な形状をなし、前記介在部材は、前記ケースの扁平面を含む壁部の内面に沿って延設されていることを要旨とする。
【0009】
これによれば、ケースの扁平面を含む壁部の内面に沿って介在部材を設けることにより、強度が低下し易い、ケースの扁平面を含む壁面を補強できる。したがって、電極群の膨張に伴うケースの変形を好適に抑制できる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の二次電池において、前記ケースは、有底筒状をなす本体部材を含み、前記介在部材は、前記本体部材において前記扁平面を含み相互に対向する各壁部の内面、及び前記本体部材の底部の内面に沿って延設され、前記積層方向における断面形状がU字状をなしていることを要旨とする。
【0011】
これによれば、介在部材は、有底筒状をなす本体部材において扁平面を含み相互に対向する各壁部の内面、及び本体部材の底部の内面に沿って延設され、積層方向における断面形状がU字状をなしている。このため、電極群の膨張に伴うケースの変形をより確実に抑制できる。そして、電極群において、上記扁平面を含む壁部、及び底部に対応する部分に断面形状がU字状をなす介在部材を配置し、その状態で電極群を本体部材の開口部から収納することが可能となる。このため、電極群をケースの本体部材に対して収納する際に、電極群の積層構造が崩れてしまうことを抑制できる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の二次電池において、前記正極体及び前記負極体は、長尺のシート状をなし、前記電極群は、前記正極体及び前記負極体を捲回することにより積層され、前記正極体及び前記負極体の幅方向と直交する方向に延びる扁平な形状をなし、前記直交する方向が前記底部の面方向に沿うように前記ケースに収納されていることを要旨とする。
【0013】
これによれば、電極群は、幅方向に直交する方向が底部の面方向に沿うようにケースに収納されている。また、介在部材は、本体部材において扁平面を含み相互に対向する各壁部、及び底部の内面に沿って延設されている。このため、請求項4に記載の発明では、断面形状がU字状をなす介在部材に対し、電極群を幅方向と直交する方向に沿って挿入することで、電極群と介在部材を組み合わせることができる。したがって、電極群と介在部材を組み合わせる際に、電極群の積層構造が崩れてしまうことを抑制できる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の二次電池において、前記電極群において前記直交する方向の側縁部には、前記介在部材が介在されていない非介在領域を設けたことを要旨とする。
【0015】
これによれば、長尺のシート状をなす正極体及び負極体を捲回する際に圧縮され易い電極群の側縁部が介在部材によってさらに圧縮されることを抑制できる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の二次電池において、前記介在部材の前記電極群側には、電解質を保持する保持手段を設けたことを要旨とする。
【0016】
これによれば、保持手段により電解質を保持し、電極群が膨張した際に電極群に含まれている電解質が減少することを抑制できる。
請求項7に記載の発明は、車両において、請求項1〜6のいずれか1項に記載の二次電池を搭載したことを特徴とする。これによれば、二次電池のケースが変形することを抑制し、二次電池の交換サイクルが短くなることを抑制できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電極群の膨張によってケースが変形することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】リチウムイオン二次電池を模式的に示す斜視図。
【図2】図1に示すA−A線断面図。
【図3】図1に示すB−B線断面図。
【図4】リチウムイオン二次電池の製造方法を模式的に示す斜視図。
【図5】リチウムイオン二次電池の製造方法を模式的に示す斜視図。
【図6】別の実施形態におけるリチウムイオン二次電池を模式的に示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図5にしたがって説明する。
図1に示すように、車両(例えば産業車両や乗用車両)に搭載されるリチウムイオン二次電池(以下、単に「二次電池」と示す)10は、全体として扁平な略立方体状をなすケース11を備えている。ケース11は、有底略四角筒状に形成された本体部材12、及び本体部材12の開口部12aを覆う(密閉する)ように、本体部材12に組み付けられる略矩形平板状をなす蓋部材13から形成されている。本体部材12、及び蓋部材13は、何れも導電性材料としての金属(例えばステンレスやアルミニウムなど)から形成されている。なお、本体部材12及び蓋部材13は、均一な厚み(肉厚)で形成されている。以下、説明の便宜のため、図1で矢印Y1に示すケース11の長手方向を左右方向と示し、矢印Y2で示すケース11の短手方向(厚さ方向)を前後方向と示し、矢印Y3に示すケース11の高さ方向を上下方向と示す。本実施形態では、ケース11(本体部材12)の前面及び後面が扁平面となる。
【0020】
蓋部材13には、蓋部材13の上面から略円柱状をなす正極端子15及び負極端子16が上方に向かって突出するように設けられている。また、蓋部材13の下面(内面)には、金属(例えばアルミニウム)からなり、正極端子15と電気的に接続された集電端子17の基端(一端)が固定されている。また、蓋部材13の下面(内面)には、金属(例えば銅)からなり、負極端子16と電気的に接続された集電端子18の基端(一端)が固定されている。なお、正極端子15、負極端子16、及び各集電端子17,18は、ケース11(本体部材12及び蓋部材13)と絶縁された状態とされている。
【0021】
また、ケース11には、電極となる複数の電極シートを積層して形成した電極群としての電極体23が収納されている。図2に示すように、電極体23は、セパレータ(隔膜)27を介在させて、長尺の矩形シート状をなす正極体としての電極シート28、及び長尺の矩形シート状をなす負極体としての電極シート29を渦まき状に捲回することにより積層して形成されている。即ち、電極体23では、電極シート28,29が層状をなしている。
【0022】
電極シート28は、金属箔(例えばアルミニウム箔)に、正極活物質を塗布して形成されている一方で、電極シート29は、金属箔(例えば銅箔)に負極活物質を塗布して形成されている。また、電極シート28,29では、金属箔の上端部に活物質が塗布されていない非塗布領域が設定されている。セパレータ27は、絶縁性を有する樹脂材料(例えばポリエチレンなど)からなる長尺の多孔性シートとされている。なお、電極体23では、最内周、及び最外周にセパレータ27が配置されている。本実施形態では、電極体23の捲回軸線の延びる方向(本実施形態では上下方向)と交差する方向が、各電極シート28,29の積層方向となる。
【0023】
そして、図1に示すように、電極体23は、電極シート28,29の幅方向(上下方向)と直交する方向(長さ方向)に延びる扁平な形状をなし、その幅方向に直交する方向が本体部材12における底部12bの面方向(本実施形態ではケース11の長手方向である左右方向)に沿うようにケース11に収納されている。また、電極体23において、電極シート28,29は、その上端部に設定された非塗布領域を、電極シート28,29の長さ方向に所定間隔で交互に切り欠いた状態で捲回されている。これにより、電極体23の上端には、電極シート28の金属箔のみが積層された正極リード24、及び電極シート29の金属箔のみが積層された負極リード25が形成されている。そして、正極リード24には、前述した集電端子17が例えば溶接などにより電気的に接続されている一方で、負極リード25には、前述した集電端子18が例えば溶接などにより電気的に接続されている。また、ケース11の内部には、液体状やゲル状の図示しない電解質が充填され、満たされている。
【0024】
そして、本実施形態の二次電池10は、絶縁性を有し且つ熱伝導率が高い(伝熱性に優れた)セラミック(例えばチッ化アルミニウムなど)からなり、電極体23とケース11との間に介在される介在部材(絶縁部材)としての補助ケース30を備えている。補助ケース30は、左右方向に沿って延びる矩形平板状をなすセラミック板としての第1補助壁部30a及び第2補助壁部30bと、左右方向に沿って伸びる矩形平板状をなし、補助壁部30a,30bの下端部同士を接続するセラミック板としての補助底部30cとを備えており、全体として略樋状に形成されている。即ち、補助ケース30は、各電極シート28,29の積層方向のうち前後方向の断面形状がU字状をなしている。第1補助壁部30a、及び第2補助壁部30bは、相互に平行をなしているとともに、左右方向における補助ケース30の両端部は、壁部を有さないで開放された形状をなしている。補助ケース30は、その左右方向に沿った長さが電極体23よりも短く、且つ上下方向に沿った高さが電極体23よりも低く形成されている。なお、補助ケース30は、セラミックから形成されているため、高い剛性(強度)が確保されている。また、補助ケース30は、電極体23の最外周に積層(捲回)されたセパレータ27とは別に設けられるものである。
【0025】
そして、第1補助壁部30aは、本体部材12において底部12bの周囲に配置され、左右方向に沿って延びるように対向する壁部12c,12dのうち、壁部12cの内面に沿って配置される一方で、第2補助壁部30bは、壁部12dの内面に沿って配置される。本実施形態では、壁部12c,12dが本体部材12(ケース11)の扁平面を含み相互に対向する壁部となる。また、補助底部30cは本体部材12の底部12bの内面に沿って配置される。したがって、本実施形態の補助ケース30は、壁部12c,12d、及び底部12bに沿って、即ちケース11の長手方向(左右方向)に沿って延設(延在)されている。また、図2及び図3に示すように、補助ケース30(補助壁部30a,30b及び補助底部30c)は、本体部材12の内側面に密着されている。また、図1〜図3に示すように、補助ケース30には、その内側面を全面にわたって覆うように、絶縁性の樹脂からなる不織布31が固定されている。
【0026】
そして、補助ケース30には、左右方向における補助ケース30の中心と電極体23の中心とを略一致させた状態で、電極体23が補助壁部30a,30bによって挟持されるように収納(保持)されている。第1補助壁部30a、第2補助壁部30b、及び補助底部30cは、不織布31を介在させた状態で電極体23と密着されている。
【0027】
また、前述のように、補助ケース30は、左右方向に沿った長さが電極体23より短く形成されていることから、左右方向における電極体23の両側縁部には、補助ケース30がケース11との間に介在されていない非介在領域32が設けられる。図3に示すように、非介在領域32では、電極体23の前後方向に沿った長さ(厚さ)が補助壁部30a,30bで挟持された部分と比較して大きくなっている。即ち、電極体23は、補助壁部30a,30bで挟持されることにより、前後方向に圧縮されている。なお、非介在領域32において電極体23は、ケース11(本体部材12)と接触しないように、ケース11の内面と離間させて配置(固定)されている。
【0028】
次に、二次電池10の製造方法について説明する。
図1に示すように、電極体23は、セパレータ27を介在させて電極シート28,29を渦まき状に捲回することにより積層した後、さらに前後方向からプレス(圧縮)することにより扁平な形状に成形して得られる。なお、活物質の非塗布領域を所定間隔で予め切り欠いた電極シート28,29を捲回することで、電極体23の上端には、正極リード24及び負極リード25が形成される。また、左右方向における電極体23の両側縁部は、セパレータ27及び電極シート28,29を捲回する際の張力(テンション)によって、中間部よりも圧縮された状態でセパレータ27及び電極シート28,29が積層されている。
【0029】
また、補助ケース30は、原料となるセラミックを成型するとともに所定の温度で焼成して得られる。そして、補助ケース30には、その内側面の全面に不織布31を固定する。
【0030】
次に、図4で矢印Y4に示すように、電極体23は、電極シート28,29の長さ方向(左右方向)に沿って移動させるようにして、補助ケース30の側方から補助壁部30a,30bの間に挿入され、補助ケース30に収納される。これにより補助ケース30は、電極体23に配置(組み付け)される。このとき、図3に示すように、電極体23の中間部は、補助壁部30a,30bによって挟持されることにより圧縮される。また、左右方向における電極体23の両側縁部は、前述した非介在領域32に対応させて配置される。前述のように、電極体23は、複数のシート状部材を渦まき状に捲回して形成されていることから、上下方向へ竹の子状に積層構造が崩れや易い一方で、電極シート28,29の長さ方向(左右方向)には比較的変形し難い特性を有している。このため、本実施形態では、電極体23を電極シート28,29の長さ方向に沿って補助ケース30へ挿入することで、電極体23の積層構造を崩すことなく補助ケース30へ収納することができる。
【0031】
次に、図5で矢印Y5に示すように、電極体23を収納した補助ケース30は、開口部12a(上方)から本体部材12に挿入されるとともに、補助ケース30の外側面は、本体部材12の内側面に密着される。このとき、電極体23は、補助ケース30によって保護された状態となるため、本体部材12に収納する際に本体部材12の開口部12aの周囲に接触することで、その積層構造が上下方向に崩れてしまうことが抑制される。また同時に、電極体23は、本体部材12に収納する際に、本体部材12の開口部12aの周囲に接触することで、損傷を受けてしまうことが抑制される。このように、本実施形態の補助ケース30は、電極体23の保護部材、あるいは保持部材としても機能するといえる。
【0032】
また、電極体23の正極リード24には、集電端子17が電気的に接続されるとともに、この集電端子17には、正極端子15が電気的に接続される。また、電極体23の負極リード25には、集電端子18が電気的に接続されるとともに、この集電端子18には、負極端子16が電気的に接続される。そして、本体部材12には、正極端子15及び負極端子16を上面から突出させつつ蓋部材13が組み付けられるとともに、最終的に電解質が充填されて二次電池10が完成される。
【0033】
次に、上記のように構成した二次電池10の作用について説明する。
二次電池10では、正極端子15及び負極端子16を介して充放電が行われることにより、電極シート28,29に塗布された活物質が膨張することで、電極体23が前後方向(積層方向)に膨張する可能性がある。このような場合であっても、本実施形態の二次電池10では、電極体23が補助ケース30に収納されていることから、電極体23の前後方向における膨張が補助ケース30によって抑制される。
【0034】
このとき、補助ケース30の内周面に固定された不織布31では、電解質が保持される。一般に、電極体23が膨張する場合には、電極体23に含まれる電解質が電極体23から押し出される可能性のあることが知られている。しかしながら、本実施形態の二次電池10では、電極体23が膨張する際にも不織布31に電解質が保持され、電極体23に含まれる電解質の減少が抑制される。したがって、本実施形態では、不織布31が電解質を保持する保持手段として機能する。
【0035】
また、電極体23とケース11との熱交換は、伝熱性に優れたセラミックからなる補助ケース30が電極体23及び本体部材12(ケース11)と密着されていることから、補助ケース30を設けない構成と比較して促進される。したがって、例えばケース11の外側に流される熱交換媒体によって、電極体23の温度調節を効率的に行うことができる。
【0036】
したがって、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)電極シート28,29を積層した電極体23と、電極体23を収納するケース11の間には、各電極シート28,29の積層方向において、絶縁性を有するセラミック板からなる補助ケース30が介在されている。このため、仮に充放電に伴って電極体23が膨張しようとする場合であっても、セラミックからなる補助ケース30がケース11との間に介在されていることによって電極体23の膨張が抑制される。したがって、電極体23の膨張によってケース11が変形することを抑制できる。
【0037】
(2)一般にケース11を扁平な形状に形成する場合には、扁平面を含む壁部12c,12dの強度が低下し易い。しかしながら、本実施形態の二次電池10では、壁部12c,12dの内面に沿って補助ケース30を設けることにより、強度が低下し易い壁部12c,12dを補強できる。したがって、電極体23の膨張に伴うケース11の変形を好適に抑制できる。
【0038】
(3)補助ケース30は、有底筒状をなす本体部材12において扁平面を含み相互に対向する壁部12c,12dの内面、及び底部12bの内面に沿って設けられ、前後方向の断面形状がU字状をなしている。このため、電極体23の膨張に伴うケース11の変形をより確実に抑制できる。そして、電極体23において、本体部材12の壁部12c,12d及び底部12bに対応する部分にU字状をなす補助ケース30を配置し、その状態で電極体23を開口部12aから本体部材12に収納することが可能となる。このため、電極体23をケース11の本体部材12に対して収納する際に、電極体23の積層構造が崩れてしまうことを抑制できる。
【0039】
(4)電極体23は、電極シート28,29の幅方向に直交する方向が本体部材12の底部12bの面方向(左右方向)に沿うようにケース11に収納されている。また、補助ケース30は、本体部材12において相互に対向する壁部12c,12d、及び底部12bの内面に沿って延設されている。このため、二次電池10では、補助ケース30に対し、電極体23を幅方向と直交する方向に沿って挿入することで、電極体23と補助ケース30を組み合わせることができる。したがって、電極体23と補助ケース30を組み合わせる際に、電極体23の積層構造が崩れてしまうことを抑制できる。
【0040】
(5)電極体23において左右方向の側縁部には、補助ケース30が介在されていない非介在領域32を設けた。このため、長尺のシート状をなす電極シート28,29を捲回する際に圧縮され易い電極体23の側縁部が補助ケース30によってさらに圧縮されることを抑制できる。
【0041】
(6)補助ケース30の内側面(電極体23側面)には、不織布31を設けた。このため、不織布31により電解質を保持し、電極体23が膨張した際に電極体23に含まれている電解質が減少することを抑制できる。
【0042】
(7)補助ケース30は、左右方向における電極体23の側縁部の間の中間部を挟持するように配置している。前述のように、電極体23の中間部は側縁部と比較して緩やかに積層されていることから、この中間部を圧縮しつつ挟持することで補助ケース30が前後方向に突出することを抑制できる。したがって、ケース11(二次電池10)が大型化することを抑制できる。
【0043】
(8)補助ケース30は、電極体23及び本体部材12(ケース11)と密着されている。したがって、補助ケース30を介してケース11と電極体23との熱交換を促進し、例えばケース11の外側に流される熱交換媒体による温度調節を効率的に行える。
【0044】
(9)補助ケース30に収納した状態で、電極体23を本体部材12に挿入するため、電極体23が損傷を受けることを抑制できる。
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
【0045】
・ 図6に示すように、電極体23は、矩形のシート状をなす各電極シート28,29を、セパレータ27を介在させた状態で前後方向(各電極シート28,29の厚さ方向)に積層して形成してもよい。この場合には、各電極シート28,29の上端部に設定された非塗布領域を切り欠くことで、電極シート28の金属箔のみが積層された正極リード24、及び電極シート29の金属箔のみが積層された負極リード25を設ける。このように構成しても、電極体23を補助ケース30に収納することで、電極体23の積層方向(前後方向)への膨張を抑制することができる。なお、補助ケース30は、第1補助壁部30a及び第2補助壁部30bにおける左右方向の長さと、電極体23における左右方向の長さを一致させることで、より電極体23の膨張を抑制することができる。
【0046】
・ ケース11は、全体として扁平な楕円形状に形成してもよい。この場合、本体部材12は、有底の略楕円筒状に形成するとよい。また、ケース11は、円柱状や直方体状など、扁平な形状でなくてもよい。
【0047】
・ 本体部材12は、補助ケース30が介在される部分の厚さ(肉厚)をその他の部分より薄く形成してもよい。このように形成しても、補助ケース30により強度を保ち、ケース11の変形を抑制しつつ材料の使用量を削減できる。
【0048】
・ 電極体23は、セパレータ27を介在させて、電極シート28,29を蛇腹状に折り曲げて積層してもよい。
・ 電極体23は、板状の電極体を積層して構成してもよい。
【0049】
・ 補助ケース30は、絶縁膜を形成した金属板により形成してもよい。絶縁膜は、例えば絶縁性を有する樹脂材料や、セラミック、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)などにより、補助ケース30の表面の全体に形成するとよい。このように構成しても、補助ケース30の絶縁性、剛性(強度)、及び伝熱性を確保することができる。
【0050】
・ 不織布31に加えて、又は代えて左右方向に延びる複数の凸条や、ショットブラスト処理による微細な凹凸を補助ケース30の内側面の全面にわたって形成してもよい。また、不織布31は、補助ケース30の内側面の一部に配設されていてもよい。なお、不織布31を省略してもよいが、上記実施形態のように構成することが好ましい。
【0051】
・ 補助ケース30は、左右方向における端部のうち一方の端部に壁部を設け、一方の端部のみが開放された構成としてもよい。また、補助ケース30は、左右方向における両端部に壁部を設けて、本体部材12と同様な有底筒状に形成してもよい。この場合には、非介在領域32が形成されなくなる。
【0052】
・ 補助ケース30は、補助壁部30a,30b、及び補助底部30cのうち、1つ、又は2つを省略した構成としてもよい。また、補助ケース30は、蓋部材13と電極体23との間に介在される補助蓋部を設けた構成としてもよい。また、補助ケース30の補助壁部30a,30b、及び補助底部30cは、異なる大きさや形状に形成してもよい。即ち、補助ケース30は、電極体23とケース11との間に介在されておればよい。
【0053】
・ 補助ケース30は、左右方向における幅を電極体23の中間部より小さく形成し、電極体23の中間部に組み付けてもよい。
・ 補助ケース30は、熱伝導率が低いセラミックで形成してもよい。
【0054】
・ 電極体23は、電極シート28,29の幅方向が左右方向に沿うようにケース11に収納されていてもよい。
・ 二次電池10はニッケル水素二次電池として具体化してもよい。
【0055】
・ 上記実施形態の二次電池10を車両(例えば産業車両や乗用車両など)に搭載し、車両に装備された発電機により充電する一方で、二次電池10から供給する電力によりエアコン用のコンプレッサや、車輪を駆動するための電動モータ、或いはカーナビゲーションシステムなどの電装品を駆動してもよい。これによれば、二次電池10のケース11が変形することを抑制し、二次電池10の交換サイクルが短くなることを抑制できる。特に、二次電池10から供給する電力により上記電動モータを駆動する場合、1の二次電池10で走行可能な総走行距離が短くなってしまうことを好適に抑制できる。
【符号の説明】
【0056】
10…リチウムイオン二次電池(二次電池)、11…ケース、12…本体部材、12a…開口部、12b…底部、12c,12d…壁部、15…正極端子、16…負極端子、27…セパレータ、23…電極体(電極群)、28…電極シート(正極体)、29…電極シート(負極体)、30…補助ケース(介在部材)、31…不織布(保持手段)、32…非介在領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セパレータを介在させて正極体及び負極体を積層した電極群と、
正極端子及び負極端子を有し、前記電極群を収納する導電性材料製のケースと、
絶縁性を有するセラミック板又は表面に絶縁膜を形成した金属板からなり、前記正極体及び前記負極体の積層方向における少なくとも前記電極群と前記ケースとの間に介在される介在部材と、を備えたことを特徴とする二次電池。
【請求項2】
前記ケースは、扁平な形状をなし、
前記介在部材は、前記ケースの扁平面を含む壁部の内面に沿って延設されていることを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記ケースは、有底筒状をなす本体部材を含み、
前記介在部材は、前記本体部材において前記扁平面を含み相互に対向する各壁部の内面、及び前記本体部材の底部の内面に沿って延設され、前記積層方向における断面形状がU字状をなしていることを特徴とする請求項2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記正極体及び前記負極体は、長尺のシート状をなし、
前記電極群は、前記正極体及び前記負極体を捲回することにより積層され、前記正極体及び前記負極体の幅方向と直交する方向に延びる扁平な形状をなし、前記直交する方向が前記底部の面方向に沿うように前記ケースに収納されていることを特徴とする請求項3に記載の二次電池。
【請求項5】
前記電極群において前記直交する方向の側縁部には、前記介在部材が介在されていない非介在領域を設けたことを特徴とする請求項4に記載の二次電池。
【請求項6】
前記介在部材の前記電極群側には、電解質を保持する保持手段を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の二次電池を搭載したことを特徴とする車両。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−109903(P2013−109903A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252812(P2011−252812)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】