説明

二次電池を用いた発電計画方法および発電計画装置

【課題】二次電池の能力を活用し、従来よりも燃料費を抑制する発電計画を立案する。
【解決手段】本発明は、需要家側に備えられた二次電池20の制御を含めて、電力系統10に給電する電力の発電計画を立案する方法であって、総需要電力を推定することと、固定電力発電機17,18による固定電力を計算することと、変動電力発電機16によって、所定の経済条件を満足する制約条件内で発電できる変動電力を計算することと、固定電力と変動電力との和を総需要電力から減じ、二次電池が分担する総分担電力を計算することと、各二次電池の現在の充電量と運転スケジュールとに基づいて、総分担電力のうち各二次電池20がそれぞれ分担する個別分担電力を計算することと、個別分担電力に基づいて、各二次電池の新たな運転スケジュール又は充放電量を決定することと、決定した新たな運転スケジュール又は充放電量に基づいて各二次電池を制御することとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力系統に給電する電力の発電計画を、需要家側に設けられた二次電池を考慮して立案する発電計画方法および発電計画装置に関する。
【背景技術】
【0002】
需要家が導入する二次電池は、その導入目的に沿って需要家側で制御され、運用されている。従って、需要家構内の情報だけを取り込んで、その情報を基に導入目的を実現する二次電池の制御を実施している。そのため、二次電池の能力からすると、他の目的に十分貢献できる可能性を残している。以下に、従来の二次電池の基本的な機能について説明する。
【0003】
(1.基本的な機能)
一般的には、電力会社と需要家の間における電気料金契約は年間を通じた需要家の最大需要を超過しない契約電力で契約する。一方、契約最大電力を超過して受電した場合には、ペナルティーとして追加料金が徴収される。従って、需要家が電気料金抑制のために二次電池を導入する場合、契約電力を超過しないように最大電力を抑制して余分なペナルティーを徴収されないようにすること、負荷平準化を図ることにより契約電力自体を下げて安い契約にすること、二次電池の電力を電力会社に売電して利益を得ることが考えられる。
【0004】
(1.1 需要家の最大需要を抑制する機能)
需要家は、年間最大需要(ピーク)を上回る値(契約電力)で電力会社と契約している。契約電力を上回る需要が発生すると、電力会社からペナルティー(割増料金)を徴収される。
【0005】
図10に、需要家における1日の需要カーブの例を示す。需要家は、1年間を通して最大需要Dmaxが契約電力を超過しないように電力会社と契約電力Fを決定している。しかし、図11に示すように設備増強等によって最大需要Dmaxが契約電力Fを超過した場合、電力会社からはペナルティー(割増料金)を徴収されることになるために、電気料金が増大する。図12に二次電池の制御方式を示す。負荷L1〜Lnと並列に接続された二次電池1を制御する制御装置2は、配電系統5を介して受電端3に送電される電力を取り込み、設定された基準電力との比較を行い、図13に示すような運転スケジュールで二次電池1を制御すると、図14に示すように同じ設備状況においても契約電力Fを超過しないような需要Dに制御可能である。
【0006】
しかしながら、図13に示すように、一般には二次電池1は昼間の需要の高い時間帯に放電する傾向があり、全体としては二次電池1自体が保有するエネルギーは十分に残っている状態であることが多い。
【0007】
(1.2 需要家の負荷平準化機能)
需要家は、年間最大需要(ピーク)を上回る値である契約電力Fで電力会社と契約しているが、一般的には、契約電力Fが低ければ低いほど電気料金は低下する。従って、年間を通して最大電力を低減できれば、契約電力Fを下げて電気料金の抑制が可能である。また、時間帯別に電気料金が異なっており、一般的には昼間が高く、夜間が安価に設定されている。そのため、同じ電気を使用するにしても、夜間に多く使用して昼間に使用を抑制することによって更に電気料金を抑制することが可能である。
【0008】
この場合、図12に示す制御装置2は電気料金が安くなる時間帯になった時点で充電を開始し、電気料金が高くなる時間帯では充電を中止して受電端3の電力を検出し、設定された電力以上になった時点で放電を開始することにより、図15に示すように二次電池1の出力になり、図16に示すように同じ設備状況においても負荷の平準化が実現可能であり、契約電力を旧契約電力Foldから新契約電力Fnewに低下させると共に昼間の電力を抑制することが出来る。
【0009】
しかしながら、図15に示すように、一般に二次電池1はある時間帯動作しておらず、二次電池1自体が保有するエネルギーは残っている状態である。また、二次電池1の運転時間に対する出力比特性を図17に示すが、図15のような運転パターンで二次電池1を使用していても、短時間であれば二次電池1を更に有効に活用することが可能であることがわかる。
【0010】
(1.3 電力供給者への売電機能)
二次電池1を導入する需要家の目的は、最大需要Dmaxを抑制する機能、需要家の負荷平準化機能以外にも様々である。しかしながら、図13や図17に示すような二次電池1本来の能力を使い切っていない場合が多くある。
【0011】
そこで、図18に示したように二次電池1の使用していない部分に加えて、図17に示すような二次電池1の短時間高出力能力を使用するなどにより、電力系統側にとってもメリットを得ることができると考えられる。
【0012】
(2.基本的な電力流通設備)
電力系統は一般に、図19に示す構成となっており、火力発電機16、水力発電機17、原子力発電機18などの発電機で電気が生産され、送電線60、変電所11〜15、配電線27により輸送・分配される。そして需要家において消費されるという流通経路となっている。
【0013】
(2.1 電力系統の特徴)
電力系統は、熱エネルギーや運動エネルギーを電気エネルギーに変換し、輸送、分配、消費するシステムであるが、他のエネルギー供給システムと異なり、電気エネルギーは貯蔵することができないために、消費量の変化に応じて生産量を量的にも時間的にも合わせるようにコントロールする必要がある。
【0014】
また、電気は社会活動や生産活動において不可欠なものとなっており、この電気を生産、輸送、分配、消費する電力系統は、周波数の変動が少ない、電圧の変動が少ない、停電が少ないなどの良質の電気を経済的に供給する社会的使命がある。この使命を果たすために、発電機、変電所、配電系統などの個々の構成要素での制御とともに、電力系統全体を把握して最適に制御することが重要であり、個々の制御と全体の制御とを調和させる必要がある。
【0015】
(2.2 発電計画)
次に、電力系統の発電計画方法あるいは対応方法について説明する。
【0016】
発電計画は、火力発電機16、水力発電機17、原子力発電機18を、制約条件の中で最も経済的に発電する計画を作成する機能である。
【0017】
電力系統の特徴でもあるように、消費量(需要)の変化に応じて生産量(発電量)を制御する必要があるが、制御できない発電機出力(原子力、自流式水力等)や発電機の制約条件(最低・最高出力、変化速度等)があり、かつその条件下で経済的に発電機を運転する必要がある。
【0018】
上記のような特徴をもつ電力系統の発電計画では、翌日の予想総需要曲線から、固定出力分の発電機出力(原子力、自流式水力等)の曲線を差し引き、更にピーク時に揚水並びに貯水により水力発電機で出力を取る分担曲線を差し引き、火力発電機の分担曲線をできるだけフラットにして、火力発電機の分担曲線を作成する。火力発電機は、その分担曲線をもとに等λ法に代表される経済負荷配分により出力予定を作成するが、一般的には発電機効率が良く変化速度の大きい最新鋭機が最初に張り付いてしまい、ピーク時には発電機効率が悪く変化速度の小さい発電機しか残らず、需給バランスが確保できないことが多い。このため、各種制約条件を設けて経済性をある程度犠牲にしながら発電計画を作成している。
【特許文献1】特開2003−243017号公報
【特許文献2】特開2003−259696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
上述したように、従来、需要家が設置している二次電池1は、二次電池1の能力を必ずしも全て使い切っているとは言えず、余力を残している。このような二次電池1の余力を活用して発電機の効率的な運用に貢献することによって、従来よりも発電機の燃料費を抑制することが可能であると考えられる。
【0020】
上記特許文献1には、オンラインによって二次電池1の充放電能力(以下、「制御余力」とも称する)をリアルタイムで把握する技術が開示されている。また、上記特許文献2には、過負荷領域を使用するような目的での二次電池1の使用を検討するために使用する二次電池1の電気的等価回路モデルを作成する技術が開示されている。しかしながら、二次電池1の運転スケジュールを取り込む手段は従来無く、二次電池1の能力を最大限に活用した電力系統の制御は実施されていない。
【0021】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、二次電池の能力を活用することによって、従来よりも発電機の燃料費を抑制する発電計画を立案することが可能な発電計画方法および発電計画装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記の目的を達成するために、本発明では、以下のような手段を講じる。
【0023】
すなわち、請求項1の発明は、電力を使用する需要家側に、需要家に電力を供給する電力系統に接続して備えられ、需要家のために充放電を行う二次電池の制御を含めて、電力系統に給電する電力の発電計画を立案する方法であって、電力系統から電力の供給を受ける全ての需要家による総需要電力を推定することと、電力系統に給電する固定電力を発電する固定電力発電機によって発電される固定電力を計算することと、電力系統に給電する変動電力を発電する変動電力発電機によって、所定の経済条件を満足する制約条件内で発電できる変動電力を計算することと、固定電力と変動電力との和を、総需要電力から減じることによって、二次電池が分担する総分担電力を計算することと、各二次電池の現在の充電量と運転スケジュールとに基づいて、総分担電力のうち各二次電池がそれぞれ分担する個別分担電力を計算することと、個別分担電力に基づいて、各二次電池の新たな運転スケジュール又は充放電量を決定することと、決定した新たな運転スケジュール又は充放電量に基づいて各二次電池を制御することとを備える。
【0024】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明の発電計画方法において、変動電力発電機は、火力発電機と、火力発電機による余剰電力で充電および揚水を行う二次電池および揚水発電機との組からなり、揚水発電機による発電量の制約を緩和するように二次電池の定格出力又は増容量出力を考慮して、火力発電機の発電量を決定する。
【0025】
請求項3の発明は、請求項1の発明の発電計画方法において、電力の供給が需要に対して不足し、所定の経済条件を満足しなくても変動電力発電機によって不足電力分を発電せざるを得ない場合には、二次電池を用いて発電することにより、不足電力のうちの少なくとも一部を充当する。
【0026】
請求項4の発明は、請求項1の発明の発電計画方法において、変動電力発電機と固定電力発電機とによって発電している場合において、所定の経済条件を犠牲にせざるを得ない発電条件で発電しなければならない電力を、二次電池による発電で充当する。
【0027】
請求項5の発明は、請求項1の発明の発電計画方法において、固定電力発電機および変動電力発電機のうち発電時に排出する二酸化炭素の量が所定値よりも多い発電機については、この発電機の代わりに二次電池を用いて発電するか、または発電時に排出する二酸化炭素の量が所定値よりも多くなる時間帯において、固定電力発電機および変動電力発電機のうち発電時に二酸化炭素を排出する何れかの発電機の代わりに二次電池を用いて発電する。
【0028】
請求項6の発明は、請求項1の発明の発電計画方法において、変動電力発電機は、火力発電機と、火力発電機による余剰電力で充電および揚水を行う二次電池および揚水発電機との組からなり、揚水発電機による揚水動力の制約を緩和するように二次電池の定格出力又は増容量出力を考慮して、電力の需要のオフピーク時における火力発電機の下げ代余力を確保する。
【0029】
請求項7の発明は、請求項1の発明の発電計画方法において、変動電力発電機は、火力発電機と、火力発電機による余剰電力で充電および揚水を行う二次電池および揚水発電機との組からなり、揚水発電機による発電量を緩和する第1の発電スケジュールと、固定電力発電機および変動電力発電機のうち所定の経済条件を満足しなくても発電せざるを得ない発電機、あるいは所定の経済条件を満足しなくても発電せざるを得ない時間帯の第2の発電スケジュールと、所定の経済条件を犠牲にせざるを得ない発電条件による第3の発電スケジュールとのうちの少なくとも何れかを分担するような各二次電池の新たな運転スケジュールを作成する。
【0030】
請求項8の発明は、電力を使用する需要家側に、需要家に電力を供給する電力系統に接続して備えられ、需要家のために充放電を行う二次電池の制御を含めて、電力系統に給電する電力の発電計画を立案する装置であって、電力系統から電力の供給を受ける全ての需要家による総需要電力を推定する推定手段と、電力系統に給電する固定電力を発電する固定電力発電機によって発電される固定電力を計算する固定電力計算手段と、電力系統に給電する変動電力を発電する変動電力発電機によって、所定の経済条件を満足する制約条件内で発電できる変動電力を計算する変動電力計算手段と、固定電力と変動電力との和を、総需要電力から減じることによって、二次電池が分担する総分担電力を計算する総分担電力計算手段と、各二次電池の現在の充電量と運転スケジュールとに基づいて、総分担電力のうち各二次電池がそれぞれ分担する個別分担電力を計算する個別分担電力計算手段と、個別分担電力に基づいて、各二次電池の新たな運転スケジュール又は充放電量を決定する充放電量決定手段と、決定した新たな運転スケジュール又は充放電量に基づいて各二次電池を制御する二次電池制御手段とを備えている。
【0031】
本発明は、以上のような手段を講じることにより、電力系統側の各種情報を取り込み、電力系統に接続される充放電可能な二次電池と、二次電池を制御する制御装置から出力される操作信号によって出力変化する二次電池に対して、需要家の最大需要を抑制する、あるいは深夜帯の電気料金が安価な電気を用いて充電して電気料金が高価な昼間に放電することによって需要を平準化する以外に、電力系統に電力を供給することで、様々な電力系統側への貢献を実現することが可能となる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の発電計画方法および発電計画装置によれば、二次電池の能力を活用することによって、従来よりも発電機の燃料費を抑制する発電計画を立案することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。
【0034】
なお、以下の各実施の形態の説明に用いる図中の符号は、図12及び図19と同一部分については同一符号を付して示すことにする。
【0035】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る発電計画方法は、電力を使用する需要家側に、需要家に電力を供給する電力系統に接続して備えられ、需要家のために充放電を行う二次電池の制御を含めて、電力系統に給電する電力の発電計画を立案する方法である。このような発電計画方法を適用する電力系統の構成例を示すブロック図を図1に示す。
【0036】
図1に示すように、本実施の形態に係る発電計画方法を適用する電力系統は、火力発電機16、水力発電機17、および原子力発電機18から電力が送電線60を介して電送される1次又は2次の配電用変電所11〜15や、更にそこから配電線27によって配電される需要家62〜64の設備構内に二次電池21〜24を分散配置している。配電線27には適宜開閉器25や区分開閉器26が設けられている。
【0037】
各二次電池21〜24の設置箇所には、図示しない中央給電システム(以降、「中給システム」と称する)などの制御所との間に通信手段が設けられており、制御所からの出力調整信号を受けて、各箇所用の出力調整を行うことで電力系統へ貢献するようにしている。また、需要家61〜64については、電力会社が設置している光ファイバーケーブルなどの通信手段を兼用することで、情報を送受信することも可能である。
【0038】
また、図2は、上述したような電力系統における二次電池の制御方法を説明するための詳細ブロック図である。
【0039】
すなわち、需要家等に設けられている各二次電池20は、個々に設けられた二次電池制御システム40を介して、電力系統10を制御する中給システム30からの指令に基づいて制御される。中給システム30は、翌日発電計画などのような発電計画機能31を備え、この発電計画機能31によって、発電機16,17,18の発電スケジュールを作成する。
【0040】
また、各需要家の構内には、更に遮断器41と検出器42とDC/ACコンバータ43とを配置しており、検出器42は、電力系統10との連係点での電圧、電流を計測し、計測結果を二次電池制御システム40に与えると供に、系統事故による異常を検出したときに、遮断器41を開放し、需要家の構内設備を電力系統10から切り離す。二次電池制御システム40は、予め登録されている運転スケジュールあるいは検出器42から取り込む系統状態に合わせて、DC/ACコンバータ43を制御して二次電池20への充電あるいは放電を行う。これにより需要家側の負荷L1〜L3への負荷平準化を実施している。
【0041】
次に、以上のように構成した中給システム30の発電計画機能31の動作について図3に示すフローチャートを用いて説明する。
【0042】
すなわち、図3は、発電計画機能31における発電機の燃料費抑制を目的とした二次電池への制御方法を示す処理フローチャートである。
【0043】
先ず、ステップSP01では、発電計画機能31は、中給システム30が監視制御する電力系統10の予想総需要を取り込む(SP01)。また、ステップSP02では、中給システム30が監視制御する電力系統10に接続されている二次電池20の充電量、運転スケジュールを取り込む(SP02)。そして、ステップSP02で取り込まれた充電量と運転スケジュールとから、以下に示す式(1)に従って、発電可能日量を算出する。
(発電可能日量)=(充電量)−(運転スケジュール発電量) ・・・式(1)。
【0044】
次に、ステップSP01で取り込まれた予想総需要を基に固定発電力(原子力、自流式水力発電等)を差し引いた揚水・火力分担曲線を作成する(SP04)。
【0045】
このように揚水・火力分担曲線を基に揚水発電機、火力発電機の経済負荷配分を実施して発電スケジュールを作成するが、経済負荷配分を実施するにあたって、発電機の各種制約条件(発電可能量、発電機出力上・下限、変化速度等)によって、経済性を犠牲にして発電機スケジュールを作成せざるを得ないため、経済性を犠牲にした条件を緩和するのに必要な制御量曲線を作成して、それを二次電池分担分曲線として残りの分担分に対して経済負荷配分を実施する(SP05)。
【0046】
更に、二次電池分担曲線に対して、ステップSP03で取り込んだ二次電池20の発電可能日量を基に二次電池20の割付を行う二次電池配分計算を実施する(SP06)。図4に、このような二次電池配分計算の詳細処理を記したフローチャートを示す。
【0047】
すなわち、二次電池配分計算を行う場合には、ステップSP03で取り込んだ二次電池20の発電可能日量を基に、放電に対して時間制約の無い二次電池の内、日量の大きなものから順番に定格出力で該二次電池分担曲線の時間帯に割り付け、割り付けた結果を、二次電池のスケジュールに反映する(SP06a)。この段階で二次電池分担曲線に対して割付が完了すれば、二次電池配分計算は終了する(SP06b:Yes)。
【0048】
一方、ステップSP06bにおいて、二次電池分担曲線に対して割付が完了しない場合(SP06b:No)には、次に、該二次電池分担曲線の当該時間帯に放電可能な二次電池の内、日量の大きなものから順番に定格出力で二次電池分担曲線に対して割り付け、この割り付けた結果を、二次電池のスケジュールに反映する(SP06c)。そして、この段階で二次電池分担曲線に対して割付が完了すれば、二次電池配分計算は終了する(SP06d:Yes)。
【0049】
一方、ステップSP06dにおいて、二次電池分担曲線に対して割付が完了しない場合(SP06d:No)には、最後に、以下に示す式(2)〜(5)を用いて、全ての二次電池に対して、日量の大きな順番にn倍定格出力で二次電池分担曲線に対して割り付ける。尚、この段階では、需要家が該二次電池を使用するスケジュールになっているため、出力は(n−1)×定格、発電可能時間は以下となる(SP06e)。
(日量)/{(n−1)×定格出力}<(n倍定格時の発電可能時間) ・・・式(2)
(発電可能時間)=(n倍定格時の発電可能時間) ・・・式(3)
(日量)/{(n−1)×定格出力}>(n倍定格時の発電可能時間) ・・・式(4)
(発電可能時間)=(日量)/{(n−1)×定格出力} ・・・式(5)。
【0050】
そして、この段階で二次電池分担曲線に対して割付が完了すれば、二次電池配分計算は終了する(SP06f:Yes)。一方、配分残が出れば(SP06f:No)、二次電池の容量不足として終了する。
【0051】
上述したような二次電池配分計算の結果、発電可能な二次電池で日量が確保できれば(SP07:Yes)、その運転スケジュールを各二次電池に対して出力することにより、各二次電池に対して出力要求を行う(SP06)。
【0052】
一方、日量が確保できない場合(SP07:No)には、不足する日量分を制約条件を一部除外するようにステップSP05の処理に戻ることによりフィードバックをかけ(SP08)、目標が達成できるまでステップSP05からステップSP07までの処理を繰り返す。これらの動作を定期的に動作させる等(SP10)により、発電機の運転計画を作成する。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態に係る発電計画方法によれば、従来は各種制約条件のために経済性を犠牲にして火力発電機16の運転スケジュールを作成したものが、二次電池20の余剰発電力、負荷を活用することによって制約条件を緩和することが可能となり、これまで以上に火力発電機16を効率的に運転できることから、燃料費を抑制することが可能となる。
【0054】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る発電計画方法は、二次電池20を揚水発電機と同等の仮想発電機と想定し、火力発電機16の分担曲線を従来よりフラットにして火力発電機16を効率よく運転することによって火力発電機16の燃料費を抑制することを目的としたものである。このような発電計画方法は、第1の実施の形態と同様、図2に示すような中給システム30の発電計画機能31によって立案する。したがって、ここでは、図5に示すフローチャートを用いて、発電計画機能31の動作について、第1の実施の形態と異なる点について説明する。なお、図5のフローチャートにおいて、図3のフローチャートに示すステップ番号と同一の処理を行う箇所については、同一のステップ番号を付している。
【0055】
まず、発電計画機能31によって、二次電池20を揚水発電機と同等の仮想発電機と想定し、火力発電機16の分担曲線を従来よりフラットにして火力発電機16を効率よく運転することによって、火力発電機16の燃料費を抑制することを目的とした制御を行う場合には、図3のフローチャートに示す処理と同様に中給システム30が監視制御する電力系統10の予想総需要を取り込む(SP01)。また、中給システム30が監視制御する電力系統10に接続されている二次電池20の充電量、運転スケジュールを取り込む(SP02)。更に、ステップSP02で取り込んだ充電量と、運転スケジュールとから発電可能日量を算出する(SP03)。そして、ステップSP01で取り込んだ予想総需要を基に固定発電力(原子力、自流式水力発電等)を差し引いた揚水・火力分担曲線を作成(SP04)する。そして、火力発電機16の分担曲線をフラットにするために、最初に揚水発電機により負荷ピーク帯の負荷を取るように揚水分担分曲線を作成する(SP05)。
【0056】
これにより、残りの分担分が火力発電機16の分担曲線になるが、その分担曲線を更にフラットにするために二次電池20を揚水発電機と同等の仮想発電機と想定して二次電池分担分曲線を作成する。具体的には、火力発電機分担曲線のピークkWに対して、単位kW(SP22)分下げるために必要となる分担分曲線を作成し(SP23)、その分担分曲線の日量を算出する(SP24)。
【0057】
そして、ステップSP24で算出した分担分曲線の日量と、ステップSP03で計算した二次電池発電可能量とを比較し、二次電池発電可能量の方が大きければ(SP25:Yes)、ステップSP22に戻り、単位kW更に下げて、分担分曲線の日量が二次電池発電可能量以上になるまでステップSP22からステップSP25までの処理を繰り返す。
【0058】
その結果算出された分担分曲線(SP25:No)が二次電池分担分曲線になり、この二次電池分担分曲線に対して二次電池配分計算を実施する(SP06)。そして、発電可能な二次電池で日量が確保できれば(SP07:Yes)、その日量を深夜帯に負荷として貼り付けて、火力分担分曲線を算出する(SP27)。火力分担分曲線に対して、火力経済負荷配分を実施(SP28)する。そして、上記で決定した二次電池の運転スケジュールを各二次電池に出力することによって、各二次電池対して出力要求を行う(SP11)。
【0059】
一方、日量が確保できない場合(SP07:No)には、不足する日量分を制約条件を一部除外するようにステップSP22の処理に戻るようなフィードバックをかけ(SP26)、目標が達成できるまでステップSP22からステップSP07までの処理を繰り返す。これらの動作を定期的に動作させること(SP12)により、発電機の運転計画を作成する。
【0060】
以上説明したように、本実施の形態に係る発電計画方法によれば、従来は揚水並びに貯水池発電機だけでピーク時間帯を分担していたが、二次電池20の余剰発電力を活用することによって、ピーク時間帯の火力分担分曲線が従来以上にフラットになる。これによって、火力発電機16の出力一定運転時間が拡大して、火力発電機16を効率的に運転できることから、燃料費を抑制することが可能となる。
【0061】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係る発電計画方法は、発電計画機能31によって、二次電池20を運転効率の悪い発電機スケジュールあるいは運転効率の悪い時間の発電量の代替とすることによって、火力発電機16の燃料費を抑制することを目的として二次電池を制御するものである。このような発電計画方法は、第1の実施の形態と同様、図2に示すような中給システム30の発電計画機能31によって立案する。したがって、ここでは、図6に示すフローチャートを用いて、発電計画機能31の動作について、第1の実施の形態と異なる点について説明する。なお、図6のフローチャートにおいて、図3及び図5のフローチャートに示すステップ番号と同一の処理を行う箇所については、同一のステップ番号を付している。
【0062】
まず、発電計画機能31によって、二次電池20を運転効率の悪い発電機スケジュールあるいは運転効率の悪い時間の発電量の代替とすることによって、火力発電機16の燃料費を抑制することを目的とした制御を行う場合には、図3のフローチャートに示す処理と同様に中給システム30が監視制御する電力系統10の予想総需要を取り込む(SP01)。また、中給システム30が監視制御する電力系統10に接続されている二次電池20の充電量、運転スケジュールを取込む(SP02)。更に、ステップSP02で取り込んだ充電量と、運転スケジュールとから発電可能日量を算出する(SP03)。そして、ステップSP01で取り込んだ予想総需要を基に固定発電力(原子力、自流式水力発電等)を差し引いた揚水・火力分担曲線を作成する(SP04)。火力発電機16の分担曲線をフラットにするために、最初に揚水発電機により負荷ピーク帯の負荷を取るように揚水分担分曲線を作成する(SP05)。この残りの分担分が火力発電機分担曲線になる。
【0063】
この火力分担部曲線に対して、火力経済負荷配分計算を実施し(SP30)、発電効率が一番悪い発電機の運転スケジュールを二次電池分担分曲線とする(SP31)。その二次電池分担分曲線に対して、二次電池配分計算を実施(SP06)した結果、発電可能な二次電池20で日量を確保できれば(SP07:Yes)、その日量を深夜帯に負荷として貼り付けて、火力分担分曲線を算出する(SP27)。更に、その火力分担分曲線に対して、二次電池20で置き換えた発電機を除いて火力経済負荷配分を実施する(SP33)。そして、上記で決定した二次電池の運転スケジュールを各二次電池に出力することによって、各二次電池に対して出力要求を行う(SP11)。
【0064】
一方、日量が確保できない場合(SP07:No)には、発電効率の一番悪い発電機の最低出力から順次単位ステップずつ上げたフラット運転になるように二次電池分担分曲線を再作成するフィードバックをかけ(SP32)、目標が達成できるまでステップSP06からステップSP07までの処理を繰り返す。これらの動作を定期的に動作させること(SP12)により、発電機の運転計画を作成する。
【0065】
以上説明したように、本実施の形態に係る発電計画方法によれば、発電効率の悪い発電機の代わりに、二次電池20の余剰発電力を活用して置き換えることにより、発電効率の悪い発電機を運転する必要が無くなり、燃料費を抑制することが可能となる。
【0066】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態に係る発電計画方法は、発電計画機能31によって、二次電池20を火力発電機16の制約条件を緩和するように運転することによって、火力発電機16の燃料費を抑制することを目的として二次電池を制御するものである。このような発電計画方法は、第1の実施の形態と同様、図2に示すような中給システム30の発電計画機能31によって立案する。したがって、ここでは、図7に示すフローチャートを用いて、発電計画機能31の動作について、第1の実施の形態と異なる点について説明する。なお、火力発電機16の制約条件は多種多様であるが、その中でも発電機の変化速度制約を一例に示す。図7のフローチャートにおいて、図3、図5及び図6のフローチャートに示すステップ番号と同一の処理を行う箇所については、同一のステップ番号を付している。
【0067】
まず、発電計画機能31によって、二次電池20を火力発電機16の制約条件を緩和するように運転することによって、火力発電機16の燃料費を抑制することを目的とした制御を行う場合には、図3のフローチャートに示す処理と同様に、中給システム30が監視制御する電力系統10の予想総需要を取込む(SP01)。また、中給システム30が監視制御する電力系統10に接続されている二次電池20の充電量、運転スケジュールを取り込む(SP02)。更に、ステップSP02で取り込んだ充電量と、運転スケジュールとから発電可能日量を算出する(SP03)。そして、ステップSP01で取り込んだ予想総需要を基に固定発電力(原子力、自流式水力発電等)を差し引いた揚水・火力分担曲線を作成する(SP04)。火力発電機16の分担曲線をフラットにするために、最初に揚水発電機により負荷ピーク帯の負荷を取るように揚水分担分曲線を作成し(SP05)。この残りの分担分が火力発電機分担曲線になる。
【0068】
火力分担曲線に対して、火力発電機の変化速度制約条件を緩和したkWH経済負荷配分を実施することによって、経済性を考慮したkWHバランスがとれる(SP41)。これに対して、kWバランスを取るために発電機の変化速度が重要となるが、先に作成されたkWHバランスの発電機運転計画に対して、変化速度を考慮して火力分担分曲線配分を実施する(SP42)。この時に、変化速度の関係でkWバランスが取れない部分が発生するため、その部分を二次電池で補完するような二次電池分担分曲線を作成する(SP43)。その後、二次電池配分計算を実施(SP06)した結果、発電可能な二次電池20で日量が確保できれば(SP07:Yes)、その日量を深夜帯に負荷として貼り付けて、火力分担分曲線を算出する(SP27)。更に、その火力分担分曲線に対して、二次電池20で発電機変化速度を補完した火力経済負荷配分を実施する(SP45)。そして、ステップSP45で実施した火力経済負荷配分を各二次電池に出力することによって、各二次電池に対して出力要求を行う(SP11)。
【0069】
一方、日量を確保できない場合(SP07:No)には、変化速度制約にかかった発電機のうち、一番変化速度の速い発電機から条件緩和対象を除外するフィードバックをかけ(SP44)、目標が達成できるまでステップSP41からステップSP07までの処理を繰り返す。これらの動作を定期的に動作させること(SP12)により、発電機の運転計画を作成する。
【0070】
以上説明したように、本実施の形態に係る発電計画方法によれば、従来は火力発電機16の負荷追従制約のために経済性を犠牲にして火力発電機16の運転スケジュールを作成したものが、経済負荷配分結果に対して、制約条件を緩和したことによる需給アンバランス分を二次電池20の余剰発電力で分担することにより、これまで以上に火力発電機16を効率的に運転できるようになり、燃料費を抑制することが可能となる。
【0071】
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態に係る発電計画方法は、発電計画機能31によって、二次電池20を二酸化炭素排出量の多い発電機スケジュール、あるいは二酸化炭素排出量の多い時間の発電量の代替とすることによって、二酸化炭素排出量を抑制するものである。
【0072】
このような発電計画方法は、第3の実施の形態における図6のフローチャートのステップSP30に示す火力経済負荷配分計算の結果、ステップSP31において、二酸化炭素排出量の一番多い発電機の運転スケジュールを、二次電池分担分曲線に置き換えることで、二酸化炭素排出量を抑制する発電計画を立案することが可能となる。
【0073】
以上説明したように、本実施の形態に係る発電計画方法によれば、二酸化炭素排出量の多い発電機の代わりに、二次電池20の余剰発電力を活用して置き換えることができる。これによって、二酸化炭素排出量の多い発電機を運転する必要が無くなるために、将来予想される二酸化炭素排出課税対策に有効となる。
【0074】
(第6の実施の形態)
本発明の第6の実施の形態に係る発電計画方法は、発電計画機能31によって、二次電池20を揚水発電機と同等の仮想負荷と想定し、火力発電機16の分担曲線を従来よりフラットにする。これにより、火力発電機16を効率良く運転し、もって、火力発電機16の燃料費を抑制するものである。
【0075】
このような発電計画方法は、第3の実施の形態における図6のフローチャートのステップSP31において、深夜のボトムkWから単位kW上げるために必要となる分担分曲線を作成するように置き換え、更にステップSP27において、二次電池充電日量をピーク時間帯に発電量として貼り付けて火力分担分曲線を作成するように置き換えることによって行う。これによって、火力発電機16の余分な停止が減少し、火力発電機16の燃料費を抑制する発電計画を立案することが可能となる。
【0076】
以上説明したように、本実施の形態に係る発電計画方法によれば、従来は揚水発電機動力だけでオフピーク時間帯を分担していたが、二次電池20の余剰負荷を活用することによって、オフピーク時間帯の火力下げ代余力を拡大することができる。これによって、火力発電機16の余分な停止が減少し、火力発電機16を効率的に運転できるようになり、燃料費を抑制することが可能となる。
【0077】
(第7の実施の形態)
本発明の第7の実施の形態に係る発電計画方法について図面を用いて説明する。
【0078】
図8は、第7の実施の形態に係る発電計画方法を適用する電力系統における二次電池の制御方法を説明するための詳細ブロック図である。この詳細ブロック図は、二次電池制御システムに発電計画機能51を備えた点のみが、図2に示す詳細ブロック図と異なる。したがって、ここでは、この発電計画機能51の動作について、図9に示す処理流れ図を用いて説明する。
【0079】
すなわち、本実施の形態に係る発電計画方法では、二次電池制御システム40の発電計画機能51が、中給システム30の発電計画機能31より、必要な二次電池分担分曲線と、発電単価とを中給システム30が発電計画を実施する時に受信する(SP61)。そして、その要求と二次電池20の当初からの充放電スケジュール(SP62)を考慮して、二次電池20の充放電スケジュールを作成する(SP63)。また、ステップSP62で考慮された充放電スケジュールに基づいて余剰充放電可能スケジュールを作成する(SP64)。
【0080】
更に、ステップSP63で作成された要求充放電スケジュールと、ステップSP64で作成された余剰充放電スケジュールとから、最適スケジュール計算を実施する(SP65)。具体的には、二次電池20の余剰充放電可能スケジュールに対して、要求充放電スケジュールに比例配分した追加充放電スケジュールを作成する。この比例配分に用いる比例係数は、余剰充放電スケジュールの最小kW/要求充放電スケジュールの最大kWとする。また、それ以外の一例としては、余剰充電可能スケジュールを要求充放電スケジュールに対して時間帯別料金による重み付けを行って配分する方法もある。
【0081】
ステップSP65によって作成された追加充放電スケジュールに対して、中給システム30の発電計画機能31から送信された発電単価から費用計算を実施する(SP66)。費用計算した結果、
Σ(追加充放電スケジュール×中給発電単価)−Σ(追加充放電スケジュール×該二次電池発電単価)
が、スケジュール入替をするために判断するために設定されたある閾値を越えるかどうかで該二次電池20を中給システム30の要求に応じて追加で充放電するかを判断する(SP67)。すなわち、閾値を超えていない場合(SP67:No)には、中給システム30の要求には応えずに、処理を終了する。一方、閾値を超えた場合(SP67:Yes)には、該二次電池20の充放電スケジュールを変更すると同時に、追加充放電スケジュールを中給システム30の発電計画機能31に送信する(SP68)。これらの動作を定期的に動作させること(SP70)により、発電機の運転計画を作成する。
【0082】
以上説明したように、本実施の形態に係る発電計画方法によれば、需要家は二次電池20の余剰分を有効に活用することができ、利益を明確に得ることが可能となる。また、それと同時に、電力系統10の運用者にとっては、発電機の燃料費を抑制する発電計画を実施することが可能となる。
【0083】
以上、各実施の形態によって、需要家が二次電池20を導入した本来の目的を実現すると同時に、二次電池20の余力を活用して、火力発電機16の経済的な運転計画が立てられるようになる。このため、燃料費を従来より抑制することが可能となり、電力会社の経営に多大な効果をもたらすことが可能となる。
【0084】
なお、本発明は、上記各実施の形態で説明した構成に限定されない。特許請求の範囲の発明された技術的思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】第1の実施の形態に係る発電計画方法を適用する電力系統の構成例を示すブロック図。
【図2】電力系統における二次電池の制御方法を説明するための詳細ブロック図。
【図3】第1の実施の形態に係る発電計画方法による発電機の燃料費抑制を目的とした二次電池への制御方法を示す処理フローチャート。
【図4】二次電池配分計算の詳細処理を示すフローチャート。
【図5】第2の実施の形態に係る発電計画方法による発電機の燃料費抑制を目的とした二次電池への制御方法を示す処理フローチャート。
【図6】第3の実施の形態に係る発電計画方法による発電機の燃料費抑制を目的とした二次電池への制御方法を示す処理フローチャート。
【図7】第4の実施の形態に係る発電計画方法による発電機の燃料費抑制を目的とした二次電池への制御方法を示す処理フローチャート。
【図8】第7の実施の形態に係る発電計画方法を適用する電力系統における二次電池の制御方法を説明するための詳細ブロック図。
【図9】二次電池制御システムの発電計画機能の動作を示す処理流れ図。
【図10】需要家における1日の需要カーブの例を示す図。
【図11】最大電力が契約電力を超えた日の需要カーブの一例を示す図。
【図12】従来技術による二次電池の制御方式を示すブロック図。
【図13】二次電池の出力例を示す図。
【図14】二次電池により出力変動を抑えた状態の一例を示す図。
【図15】二次電池の出力例を示す図。
【図16】二次電池の導入による契約電力変更を説明するための図。
【図17】二次電池の出力特性を示す図。
【図18】二次電池の潜在能力を説明するための図。
【図19】一般的な電力系統の構成例を示すブロック図。
【符号の説明】
【0086】
1…二次電池、2…制御装置、3…受電端、5…配電系統、10…電力系統、11〜15…配電用変電所、16…火力発電機、17…水力発電機、18…原子力発電機、21〜24…二次電池、25…開閉器、26…区分開閉器、27…配電線、30…中給システム、31…発電計画機能、40…二次電池制御システム、41…遮断器、42…検出器、43…DC/ACコンバータ、51…発電計画機能、60…送電線、61〜64…需要家

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を使用する需要家側に、前記需要家に電力を供給する電力系統に接続して備えられ、前記需要家のために充放電を行う二次電池の制御を含めて、前記電力系統に給電する電力の発電計画を立案する方法であって、
前記電力系統から電力の供給を受ける全ての需要家による総需要電力を推定することと、
前記電力系統に給電する固定電力を発電する固定電力発電機によって発電される固定電力を計算することと、
前記電力系統に給電する変動電力を発電する変動電力発電機によって、所定の経済条件を満足する制約条件内で発電できる変動電力を計算することと、
前記固定電力と前記変動電力との和を、前記総需要電力から減じることによって、前記二次電池が分担する総分担電力を計算することと、
前記各二次電池の現在の充電量と運転スケジュールとに基づいて、前記総分担電力のうち前記各二次電池がそれぞれ分担する個別分担電力を計算することと、
前記個別分担電力に基づいて、前記各二次電池の新たな運転スケジュール又は充放電量を決定することと、
前記決定した新たな運転スケジュール又は充放電量に基づいて前記各二次電池を制御することと
を備えた発電計画方法。
【請求項2】
請求項1に記載の発電計画方法において、
前記変動電力発電機は、火力発電機と、前記火力発電機による余剰電力で充電および揚水を行う前記二次電池および揚水発電機との組からなり、前記揚水発電機による発電量の制約を緩和するように前記二次電池の定格出力又は増容量出力を考慮して、前記火力発電機の発電量を決定するようにした発電計画方法。
【請求項3】
請求項1に記載の発電計画方法において、
前記電力の供給が需要に対して不足し、前記所定の経済条件を満足しなくても前記変動電力発電機によって不足電力分を発電せざるを得ない場合には、前記二次電池を用いて発電することにより、前記不足電力のうちの少なくとも一部を充当するようにした発電計画方法。
【請求項4】
請求項1に記載の発電計画方法において、
前記変更電力発電機と前記固定電力発電機とによって発電している場合において、前記所定の経済条件を犠牲にせざるを得ない発電条件で発電しなければならない電力を、前記二次電池による発電で充当するようにした発電計画方法。
【請求項5】
請求項1に記載の発電計画方法において、
前記固定電力発電機および前記変動電力発電機のうち発電時に排出する二酸化炭素の量が所定値よりも多い発電機については、この発電機の代わりに前記二次電池を用いて発電するか、または発電時に排出する二酸化炭素の量が所定値よりも多くなる時間帯において、前記固定電力発電機および前記変動電力発電機のうち発電時に二酸化炭素を排出する何れかの発電機の代わりに前記二次電池を用いて発電するようにした発電計画方法。
【請求項6】
請求項1に記載の発電計画方法において、
前記変動電力発電機は、火力発電機と、前記火力発電機による余剰電力で充電および揚水を行う前記二次電池および揚水発電機との組からなり、前記揚水発電機による揚水動力の制約を緩和するように前記二次電池の定格出力又は増容量出力を考慮して、前記電力の需要のオフピーク時における前記火力発電機の下げ代余力を確保するようにした発電計画方法。
【請求項7】
請求項1に記載の発電計画方法において、前記変動電力発電機は、火力発電機と、前記火力発電機による余剰電力で充電および揚水を行う前記二次電池および揚水発電機との組からなり、
前記揚水発電機による発電量を緩和する第1の発電スケジュールと、
前記固定電力発電機および前記変動電力発電機のうち前記所定の経済条件を満足しなくても発電せざるを得ない発電機、あるいは前記所定の経済条件を満足しなくても発電せざるを得ない時間帯の第2の発電スケジュールと、
前記所定の経済条件を犠牲にせざるを得ない発電条件による第3の発電スケジュールと
のうちの少なくとも何れかを分担するような前記各二次電池の新たな運転スケジュールを作成するようにした発電計画方法。
【請求項8】
電力を使用する需要家側に、前記需要家に電力を供給する電力系統に接続して備えられ、前記需要家のために充放電を行う二次電池の制御を含めて、前記電力系統に給電する電力の発電計画を立案する装置であって、
前記電力系統から電力の供給を受ける全ての需要家による総需要電力を推定する推定手段と、
前記電力系統に給電する固定電力を発電する固定電力発電機によって発電される固定電力を計算する固定電力計算手段と、
前記電力系統に給電する変動電力を発電する変動電力発電機によって、所定の経済条件を満足する制約条件内で発電できる変動電力を計算する変動電力計算手段と、
前記固定電力と前記変動電力との和を、前記総需要電力から減じることによって、前記二次電池が分担する総分担電力を計算する総分担電力計算手段と、
前記各二次電池の現在の充電量と運転スケジュールとに基づいて、前記総分担電力のうち前記各二次電池がそれぞれ分担する個別分担電力を計算する個別分担電力計算手段と、
前記個別分担電力に基づいて、前記各二次電池の新たな運転スケジュール又は充放電量を決定する充放電量決定手段と、
前記決定した新たな運転スケジュール又は充放電量に基づいて前記各二次電池を制御する二次電池制御手段と
を備えた発電計画装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−94649(P2006−94649A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−277782(P2004−277782)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】