説明

二次電池モジュール

【課題】単位電池の効率的な配置によって,放熱効果に優れるとともに大きさを最小化することができる二次電池モジュールを提供すること。
【解決手段】二次電池モジュール10は,複数の単位電池12を連続的に配列してなる少なくとも二つ以上の電池集合体11と上記電池集合体11を内装するハウジング20とを含む。上記各電池集合体11は,上記単位電池12の配列方向を基準として,上記各単位電池12が上記配列方向に対して傾いて配置されることを特徴とする。このように単位電池12を効率的に配置することで,放熱効果に優れるとともに,大きさが最小化された二次電池モジュールを提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,二次電池モジュールに係り,より詳しくは,単位電池の配列構造を改善した二次電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に,二次電池は,充電が不可能な一次電池とは異なり,充電および放電が可能な電池であって,低容量電池の場合は,携帯電話,PDA,ラップトップコンピューターおよびカムコーダーなどのような携帯用電子機器に使用され,大容量電池の場合は,ハイブリッド電気自動車などのモーター駆動用電源として広く使用されている。
【0003】
このような二次電池は様々な形状に製造されているが,代表的な形状としては,円筒形,角形を挙げることができる。かかる二次電池は,大電力を要する器機,例えば電気自動車などのモーター駆動に使用できるように,高出力用二次電池(以下,説明の便宜上“単位電池”という)を複数配設し,これらを直列に連結して一つの二次電池モジュールを構成することになる。
【0004】
この二次電池モジュールが電動掃除機,電動スクーターまたは自動車(電気自動車またはハイブリッド電気自動車)のモーター駆動用に適用される場合には,複数の単位電池が複数列に配置されるので,二次電池モジュールを構成する時は,単位電池の冷却効率を高めるように単位電池を配列することが重要である。
【0005】
さらに,二次電池モジュールを構成する時は,前述した単位電池の冷却効率を高めるとともに,この二次電池モジュールの大きさが大きくならないようにすることが重要である。
【0006】
より詳しく説明すれば,従来の二次電池モジュールは,複数の電池列(‘電池列’は複数の単位電池が一列に配列された構造体をいう)を備えて形成される場合,各電池列を複層構造にするか,または平面上に並んで配置することになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら,上記のように各電池列を複層構造にする場合は,二次電池モジュールの高さが高くなって,モジュールの全体大きさが大きくなるという問題点がある。
【0008】
一方,各電池列が平面上に並んで配列される場合には,モジュールの大きさを最小化することはできるが,単位電池に冷却効率を低下させ,特に単位電池間に温度偏差を発生させるため,均一な冷却を難しくするという問題点がある。
【0009】
これは,電池列が並んで配置された場合,冷却媒体が一側電池列の単位電池を通過した後,他側電池列の単位電池を通過するため,各電池列に流入される冷却媒体の温度が相違するからである。すなわち,冷却媒体が一側電池列を通りながら熱交換されて温度が上昇した状態で他側電池列を通過し,他側電池列の単位電池は上記温度の上昇した冷却媒体によって冷却されるので,一側電池列の単位電池の温度と他側電池列の単位電池の温度は相当な違いを有することになる。
【0010】
したがって,電池列が並んで配置された場合には,電池列の各単位電池で発生する熱が均一に放熱しなくて単位電池固有の性能が低下し,これにより,二次電池モジュールは高出力を必要とするモーター駆動用として適用し難くなる。
【0011】
そこで,本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので,その目的とするところは,単位電池を効率的に配置することによって,放熱効果に優れるとともに,体積を最小化することが可能な,新規かつ改良された二次電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,複数の単位電池を連続的に配列してなる少なくとも二つ以上の電池集合体と;上記電池集合体を内装するハウジングと;を含み,上記各電池集合体は,上記単位電池の配列方向を基準として,上記各単位電池が上記配列方向に対して傾いて配置されることを特徴とする,二次電池モジュールが提供される。
【0013】
また,上記複数の電池集合体が相互に離隔して配置されるようにしてもよい。
【0014】
また,上記複数の電池集合体が一対をなして相互に対称状に配置されるようにしてもよい。
【0015】
また,上記ハウジングは,上記電池集合体間の空間に温度制御用の冷却媒体を供給するための流入部と;上記電池集合体を通過した上記冷却媒体を排出させるための流出部と;を含むようにしてもよい。
【0016】
また,上記電池集合体は,上記単位電池間に配設される隔壁を含み,上記隔壁は,上記冷却媒体を通過させる少なくとも一つの通路を有するようにしてもよい。
【0017】
また,上記通路は,上記電池集合体間の空間および上記流出部と連通するチャンネル状に形成されるようにしてもよい。
【0018】
また,上記ハウジングは,上記流入部を通じて上記電池集合体間の空間に進行する上記冷却媒体の流動方向と,上記流出部を通じて排出される上記冷却媒体の流動方向とが同一方向となるように構成されるようにしてもよい。
【0019】
また,上記ハウジングの一側に上記流入口を形成し,上記流入口と対向する上記ハウジングの他側に上記流出口を形成してなるようにしてもよい。
【0020】
また,上記ハウジングは,上記流入部を通じて上記電池集合体間の空間に進行する上記冷却媒体の流動方向と,上記流出部を通じて排出される上記冷却媒体の流動方向とが逆方向となるように構成されるようにしてもよい。
【0021】
また,上記ハウジングの一側に,流入口と,上記流入口に隣接した流出口とが形成されるようにしてもよい。
【0022】
また,上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,複数の単位電池を連続的に配列してなり,互いに対称状に離隔して配置される少なくとも二つ以上の電池集合体と;上記電池集合体を内装し,温度制御用の冷却媒体を上記電池集合体間の空間を通じて上記各単位電池間に流通させるハウジングと;を含み,上記各電池集合体は,上記単位電池の配列方向を基準として,上記各単位電池が上記配列方向に対して傾いて配置され,上記複数の単位電池を密着させて一体的に支持する支持ユニットを含むことを特徴とする,二次電池モジュールが提供される。
【0023】
また,上記電池集合体は,上記各単位電池間に配設される隔壁を含むようにしてもよい。
【0024】
また,上記隔壁は,上記冷却媒体を通過させる少なくとも一つの通路を有するようにしてもよい。
【0025】
また,上記ハウジングは,上記電池集合体を内装する装着部と;上記電池集合体間の空間に上記冷却媒体を供給するための流入部と;上記各電池集合体を通過した上記冷却媒体を排出させるための流出部と;を含むようにしてもよい。
【0026】
また,上記流出部は,上記単位電池の配列方向に対して平行に形成されるようにしてもよい。
【0027】
また,上記流出部は,上記単位電池の配列方向に対して傾くように形成されるようにしてもよい。
【0028】
また,上記支持ユニットは,最外側に配される2つの上記単位電池にそれぞれ密着して配置される2つのエンドプレートと;上記2つのエンドプレートを相互に連結する連結ロッドと;上記2つのエンドプレートに連結され,上記単位電池の配列方向に配置されて上記単位電池を支持する少なくとも一つの支持バーと;を含むようにしてもよい。
【0029】
また,上記支持ユニットは,上記エンドプレートに突設される締結部をさらに含み,上記締結部は,上記連結ロッドが締結される締結孔を有するようにしてもよい。
【0030】
また,上記支持ユニットは,最外側に配される2つの上記単位電池にそれぞれ密着して配置される2つのエンドプレートと;上記2つのエンドプレートを連結する連結ロッドと;上記連結ロッドが締結される締結孔を有し,上記エンドプレートに突設され,上記単位電池の配列方向に対して垂直な方向に,かつ上記連結ロッドに対して直角に形成される締結部と;を含むようにしてもよい。
【0031】
また,上記締結部は互いに対向する上記エンドプレートの両側端に突設され,上記エンドプレートに対して所定角度で折り曲げられてなるようにしてもよい。
【0032】
また,上記エンドプレートの厚さが上記締結部の厚さ以下であるようにしてもよい。
【0033】
また,上記エンドプレートと上記締結部との間に配置される連結部は,両側面が略円弧状の断面構造を有するようにしてもよい。
【0034】
また,上記単位電池は角形に形成されるようにしてもよい。
【0035】
また,上記二次電池モジュールはモーター駆動用の電池モジュールであるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0036】
以上説明したように本発明によれば,単位電池を効率的に配置することによって,放熱効果に優れるとともに,体積を最小化することが可能な二次電池モジュールを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0038】
図1は本発明の第1実施形態にかかる二次電池モジュールの構成を概略的に示す斜視図であり,図2は図1の平断面図である。
【0039】
図1および図2に示すように,二次電池モジュール10は,複数の単位電池12を所定間隔で連続的に配列してなる電池集合体11と,この電池集合体11を内装するハウジングと20を含む。
【0040】
ハウジング20の内部では,単位電池12の温度を制御するための冷却媒体が流通する。この冷却媒体として,例えば,冷却空気,冷却水およびその他の冷却流体などが利用可能である。本実施形態においては,ファンまたはブロアーなどの通常の送風装置によって,自然状態で容易に得ることができる空気(以下,冷却空気という)が冷却媒体として使用される。
【0041】
各単位電池12は,陽極,陰極およびセパレーターからなる電極組立体をケース内に装着して構成された通常の二次電池で,本実施形態では,例えば角形(prismatic type)に具現されている。
【0042】
電池集合体11は,上記のような複数の単位電池12からなり,これらの単位電池12を所定間隔で連続的に配置して一列をなす集合体構造を有する。
【0043】
この電池集合体11において,各単位電池12間には隔壁(cell barrier)13が介設される。このような隔壁13は,各単位電池12の間隔を一定に維持しながら,冷却空気を各単位電池12間に流通させ,しかも各単位電池12の側面を支持する機能をする。
【0044】
冷却空気の流通のために,隔壁13には通路14が複数形成される。この通路14は単位電池12の長辺方向,すなわち電池集合体11の幅方向に沿って隔壁13の内部に貫設されるトンネル15の形態に形成できる。
【0045】
電池集合体11はハウジング20内に少なくとも二つ以上備えられることができる。本実施形態では,図面に示すように,一対の電池集合体11,11’がハウジング20内に配置されている。
【0046】
この際,これら電池集合体11,11’は,相互の間に任意の間隔を置いて同一平面上に配置される。すなわち,電池集合体11,11’は,各自の隔壁13,13’の通路14,14’がハウジング20の中心に向かい,それらの間に一定間隔をおいて互いに平行な状態を維持する。
【0047】
このような電池集合体11,11’の配置構造は,二次電池モジュール10の全高が大きくならないようにするので,二次電池モジュール10の大きさを最小化するのに有利である。
【0048】
より具体的には,電池集合体11,11’は,これらの間の離隔空間に位置する仮想中心線を基準に,互いに線対称に配置され,その全体形状が魚骨状をなしている。
【0049】
すなわち,各電池集合体11,11’は,それぞれの単位電池12,12’がハウジング20の中心に向かっている側を中心に一定角度で傾いて配置された構造を有する。
【0050】
もちろん,この際,それぞれの隔壁13,13’も,単位電池12,12’に対応して,単位電池12,12’に密着した状態で傾いて配置される。
【0051】
ここで,単位電池12,12’および隔壁13,13’の傾きは,ハウジング20内に流入した冷却空気が隔壁13,13’の通路14,14’を円滑に通過し得る程度を考慮して決定されるが,その傾きの値は特定値に限定されるものではない。
【0052】
一方,電池集合体11,11’において,単位電池12,12’は支持ユニットによって一体に固定できる。
【0053】
図3および図4に示すように,本実施形態にかかる支持ユニット50は,単位電池12のなかで,最外側の両側に配置された単位電池12にそれぞれ密着して配置されるエンドプレート70,70’と,これら一対のエンドプレート70,70’を連結するためにエンドプレート70,70’上に固定される連結ロッド80,80’とを含む。
【0054】
図3および図4は,前述したように,上記一対の電池集合体11,11’が互いに線対称状に配設される関係において,これらのうちいずれか一つの電池集合体11のみを示す。
【0055】
以下,支持ユニット50の構成要素をより具体的に説明する。
【0056】
エンドプレート70,70’は単位電池12の側面に密着される。連結ロッド80,80’は,一側端部にボルトヘッドを備え,他側端部にネジ部が加工されたボルトの形態に構成される。この連結ロッド80,80’は単位電池12の配列方向(図面のX方向)に沿って長く配置され,ナット81,81’によってエンドプレート70,70’に締結される。
【0057】
このため,エンドプレート70,70’上には,連結ロッド80,80’が締結されるように,締結部90,90’が形成されることができる。本実施形態において,この締結部90,90’は,エンドプレート70,70’の短辺部分に一体に突設された形態を有することができ,その内部には,連結ロッド80,80’が挿入される締結孔91,91’が形成される。
【0058】
本実施形態において,締結部90,90’は,各エンドプレート70,70’の両側端に一対が備えられ,単位電池12の配列方向(X方向)に垂直な方向(図面のY方向)に突出するように形成される。すなわち,締結部90,90’は,図4に示すように,エンドプレート70,70’が上記垂直方向に対して傾いた角度だけこのエンドプレート70,70’から折り曲げられて,単位電池12の配列方向(X方向)に対して垂直な方向に配置される。
【0059】
これにより,締結部90,90’と,この締結部90,90’の締結孔91,91’を貫通して結合される連結ロッド80,80’は,締結部90,90’に直交する状態で合うので,単位電池12およびエンドプレート70,70’が傾いた状態でも連結ロッド80,80’との締結力を高めることができ,安定した固定状態を維持することができる。
【0060】
本実施形態によれば,エンドプレート70,70’と締結部90,90’は,図5に示すように,エンドプレート70,70’の厚さdに比べて,締結部90,90’の厚さDが大きい構造になっている。
【0061】
これは,連結ロッド80,80’が締結部90,90’の締結孔91,91’に締結される場合,この連結ロッド80,80’によって締結部90,90’で応力が発生するので,締結部90,90’の厚さDをエンドプレート70,70’の厚さdより大きくすることで,応力に対する剛性を確保するとともに,エンドプレート70,70’の厚さdを締結部90,90’の厚さDより相対的に小さくして,電池集合体11,11’の重量を最小化するためである。
【0062】
したがって,本実施形態にかかる二次電池モジュール10は,単位電池12,12’間の締結力を高め,軽量化を実現することができる電池集合体11,11’を有することができる。
【0063】
また,エンドプレート70,70’と締結部90,90’との間に形成される連結部93,93’は,断面形状がエンドプレート70,70’の内側に凹んでいる円弧状に加工された構造を有する。連結部93,93’の両側面の断面形状は,略ハの字形をなしており,この各側面は,それぞれエンドプレート70,70’の内側に凹んだ湾曲面(断面が円弧状)となっている。
【0064】
このような連結部93,93’は,厚さ差を有するエンドプレート70,70’と締結部90,90’間に配置されて,エンドプレート70,70’と締結部材90,90’を緩やかに連結することで,エンドプレート70,70’と締結部90,90’間にかかる応力を分散させることにより,応力集中によってエンドプレート70,70’と締結部材90,90’間の連結部分が切断されることを防止することになる。
【0065】
このような二次電池モジュール10において,ハウジング20は,電池集合体11,11’を内蔵するとともに,電池集合体11,11’の各隔壁13,13’の通路14,14’に冷却空気を流通させる機能をする。
【0066】
本発明の実施形態において,ハウジング20は次のような構成要素に区画されるケースの形態として設けられることができる。
【0067】
図1および図2に示すように,このハウジング20は,電池集合体11,11’を装着するための内部空間を有する装着部21を含む。この装着部21の一側には,上記内部空間に冷却空気を注入させるための流入部23が形成され,他側には,各隔壁12,12’の通路14を通過した冷却空気を装着部21の外部へ排出させるための流出部25が形成される。
【0068】
装着部21は,前述したような一対の電池集合体11,11’を収容するとともに,その内部空間に電池集合体11,11’が固定されるようにする。この電池集合体11,11’の固定のために,上記内部空間には,図示しない各種ブラケット,ブロック,カバー,カラーなどの部属要素が配置されて,装着部21および電池集合体11,11’に連結設置されることができる。
【0069】
この装着部21は,電池集合体11,11’の収容のために,二つ以上の部分に分離形成され,着脱可能に結合されることができる。
【0070】
流入部23は電池集合体11,11’間の離隔空間に冷却空気を流入させるためのもので,上記離隔空間と連通する流入口23aを有する。この流入口23aは,装着部21に一対の電池集合体11,11’が離隔して取り付けられることを考慮して,装着部21の一側に単一の孔状に形成されるパターンを有することができる。
【0071】
流出部25は,各電池集合体11,11’間の離隔空間から隔壁13,13’の通路14,14’を通過した冷却空気を装着部21の外部へ排出させるためのものである。この流出部25は,装着部21の内部空間および装着部21の外部と連通する流出口25aを有する。本実施形態において,この流出部25は,流入部23が装着部21上の中心に配置されるように装着部21の両端に配置されることができる(図1および図2参照)。
【0072】
このような流入部23と流出部25の構造によって,装着部21の内部空間を移動する冷却空気の移動経路は一地点(電池集合体の離隔空間中心)から両側に分岐するパターンを有することができる。
【0073】
上記のように構成される本発明の第1実施形態にかかる二次電池モジュール10の組立手順を説明すれば,まず,複数の単位電池12,12’と,これら単位電池12,12’間に介在される隔壁13,13’とを一列に配置した状態で,最外側の単位電池12,12’にエンドプレート70,70’を位置させる。
【0074】
この状態で,締結部90,90’の締結孔91,91’に連結ロッド80,80’を挿入して結合し,この締結孔91,91’を通過して突出した連結ロッド80,80’の先端にナット81,81’を締結すると,複数の単位電池12,12’と隔壁13,13’がこれらの配列方向(X方向)に対して傾いた形態の電池集合体11,11’を構成することになる。
【0075】
すなわち,上記組立過程で,締結部90,90’がエンドプレート70,70’に対して所定角度で傾いて形成されているため(図面では,エントプレートに対して締結部が垂直な状態に形成されている),連結ロッド80,80’は締結部90,90’に対して直角に貫通して相互に直交した状態で締結される。
【0076】
これにより,エンドプレート70,70’は自然に傾いた状態を維持することになり,エンドプレート70,70’間に備えられる単位電池12,12’および隔壁13,13’もエンドプレート70,70’の傾いた状態に対応して傾いた状態に組み立てられることになる。
【0077】
一方,この組立過程で,締結部90,90’は連結ロッド80,80’によって電池集合体11,11’の内側に向かって締められることになり,これにより,エンドプレート70,70’と締結部90,90’間の連結部93,93’では応力が発生する。ところが,この応力は,円弧状の断面形状の連結部93,93’の全領域に均等に分散されることになり,いずれか1箇所に集中しなくなる。
【0078】
上記のように電池集合体11,11’の組立が完了すれば,この電池集合体11,11’を一対にし,この電池集合体11,11’を互いに離隔させた状態でハウジング20の装着部21内に装着させることで,本実施形態にかかる二次電池モジュール10が構成されることになる。
【0079】
このような二次電池モジュール10の作用時,冷却空気は流入部23を通じてハウジング20の内部空間,すなわち電池集合体11,11’間の離隔空間に流入される。
【0080】
この過程で,電池集合体11,11’の各単位電池12,12’と隔壁13,13’が,これらの配列方向(X方向)に対して傾いて配置されているので,冷却空気は,電池集合体11,11’間の離隔空間で上記配列方向(X方向)に沿って進行しながら,両側の隔壁13,13’の通路14,14’に均等に浸入することができることになる。すなわち,電池集合体11,11’間の離隔空間に流入された冷却空気はこの離隔空間を流動しながら,部分的に隔壁13,13’の通路14,14’に流入することになる。
【0081】
このような冷却空気は,通路14,14’を通過しながら,それぞれの単位電池12,12’で発生する熱を奪って単位電池12,12’を冷却させた後,流出部25を通じてハウジング20の外部へ排出される。
【0082】
この際,上記冷却空気は,電池集合体11間の離隔空間で進行する流動方向と実質的に同一方向に進行し流出口25aを通じて排出されることになる(図2の矢印方向参照)。
【0083】
このように,本発明の実施形態にかかる二次電池モジュール10は,ハウジング20の内部に複数の電池集合体11を並べて配置してモジュールの高さを最小化することにより,モジュールが大きくならないようにしながらも,冷却空気を隔壁13の通路14を通じて円滑に流通させることができることになる。
【0084】
これにより,本実施形態の二次電池モジュール10は,その全領域において,局所的に単位電池を冷却させて電池集合体に熱的不均衡を生じさせることを防止できるので,単位電池12,12’に対する冷却効率を極大化させることができることになる。
【0085】
図6は本発明の第2実施形態にかかる二次電池モジュールの電池集合体を示す斜視図であり,図7は図6の平面図である。
【0086】
同図に示すように,第2実施形態にかかる二次電池モジュールの電池集合体111は,単位電池112を密着させて一体に支持する支持ユニット150を備える。この支持ユニット150は,最外側に位置する単位電池112にそれぞれ密着して配置されるエンドプレート170,170’と,この一対のエンドプレート170,170’を連結する連結ロッド180,180’と,上記エンドプレート170,170’と連結ロッド180,180’を締結させるための締結部190,190’と,単位電池112を支持する支持バー195,195’とを含む。
【0087】
エンドプレート170,170’は単位電池112に相応する大きさに形成され,単位電池112の傾斜角度と対応するように傾いて,電池集合体111の最外側に位置する単位電池112にそれぞれ密着する。
【0088】
連結ロッド180,180’は,一側端部にボルトヘッドを備え,他側端部にネジ部が加工されたボルト形態に構成される。この連結ロッド180,180’は単位電池112の配列方向に沿って配置され,ナット181,181’によってエンドプレート170に締結される。
【0089】
締結部190,190’は,各エンドプレート170,170’の両端,すなわち図面上のエンドプレート170,170’の長辺部に一体に突設される。
【0090】
さらに説明すれば,この締結部190,190’は,連結ロッド180を締結する締結孔191,191’を有し,単位電池112の配列方向に対して垂直な方向に配置され,上記両端でエンドプレート170,170’の長辺部の外側に突設される。
【0091】
支持バー195,195’は単位電池112の配列方向に連結ロッド180,180’に平行に配置され,一側端部がそれぞれのエンドプレート170,170’に連結される固定端として構成される。
【0092】
ここで,支持バー195,195’は溶接によってエンドプレート170,170’のコーナー側端部に連結される。本第2実施形態において,支持バー195,195’は,単位電池112および隔壁113の短辺部を支持するようにエンドプレート170,170’の上端側短辺部に固定され,他側端部は自由端として構成される。
【0093】
このように,第2実施形態においては,支持バー195,195’がそれぞれのエンドプレート170,170’に対して所定の角度で単位電池112の配列方向に沿って配置され単位電池112の短辺部を支持しているため,エンドプレート170,170’は自然に傾いた状態を維持することになり,エンドプレート170,170’間に備えられる単位電池112および隔壁113は,エンドプレート170,170’および支持バー195,195’によって支持されるとともに,その傾いた状態をよく維持することができることになる。
【0094】
図8は本発明の第3実施形態にかかる二次電池モジュールの構成を概略的に示す平断面図である。
【0095】
同図に示すように,本第3実施形態にかかる二次電池モジュール210は,前述した第1の実施形態の二次電池モジュールの構成を基にしながらも,流出部225の流出口225aの断面積が,流入部223から遠くなるにしたがい,次第に大きくなる形状を有する。
【0096】
このような流出部225の形状は,ハウジング220を構成する装着部221の外壁および流出部225の外壁を,単位電池212の配列方向に対する仮想中心線に対して傾いて配置することでなすことができる。
【0097】
このように,この第3実施形態にかかる二次電池モジュール210は,単位電池212の配列方向に平行でなく一定角度で傾いた流出部225を構成することによって,冷却空気が単位電池212間に配置された隔壁213,213’の通路214,214’を通過し流出部225を通じてハウジング220外部へ排出される時,その排出がより円滑になされることができる。
【0098】
図9は本発明の第4実施形態にかかる二次電池モジュールの構成を概略的に示す平断面図である。
【0099】
同図に示すように,第4実施形態にかかる二次電池モジュール310は,電池集合体311,311’間の離隔空間に進行する冷却空気の流動方向と,電池集合体311,311’の各単位電池312,312’間を通過して排出される冷却空気の流動方向とが相反して逆向きとなるように,ハウジング320を構成している。
【0100】
このハウジング320は,電池集合体311,311’が内蔵される装着部321と,電池集合体311,311’間の離隔空間と連通する流入部323と,電池集合体311,311’と装着部321との間の空間と連通する流出部325とを含む。
【0101】
この際,流出部325は単位電池312の配列方向に平行に配置され,図面に仮想線で示すように,単位電池312,312’の配列方向に対する仮想中心線に対して傾いて配置されることもできる。
【0102】
ここで,流入部323は,その一側面形成される単一流入口323aを備え,流出部325は,流入口323aに隣接してこの流入口323aの両側に配置される流出口325aを備えることができる。
【0103】
第4実施形態において,電池集合体311,311’は,それぞれの単位電池312,312’が装着部321の内部に立てられた状態で,装着部321の中心に向かう側を固定させ,一方向(図面で右側)に傾いた状態に配列されるように構成されることができる。
【0104】
このような二次電池モジュール310によれば,流入口323aを通じて電池集合体311,311’間の離隔空間に流入された冷却空気は,電池集合体311,311’の隔壁312,312’の通路314,314’を通過しながら,それぞれの単位電池312,312’で発生する熱を奪って単位電池312,312’を冷却させることになる。
【0105】
その後,熱交換された冷却空気は電池集合体311,311’間の離隔空間に進行する流動方向の反対方向に進行し,流出部325の流出口325aを通じてハウジング320の外部へ排出される(図9の矢印参照)。
【0106】
図10は,図1,図8および図9に示す二次電池モジュール10,210,310がモーター400を駆動することを概略的に示すブロックダイアグラムである。このように,二次電池モジュール10,210,310は,例えば,モーター駆動用の電池モジュールとして機能する。
【0107】
以上説明したような本実施形態によれば,ハウジング20,220,320内に配置される単位電池12,12’,112,212,212’,312,312’の配列構造を改善することによって,二次電池モジュール10,210,310の体積を最小化できるとともに,従来のように単位電池に対する冷却が電池集合体で局所的に起ることによって熱的不均衡が生じるという問題を防止することができる。
【0108】
このように,単位電池12,12’,112,212,212’,312,312’を効率的に配置することによって,各単位電池12,12’,112,212,212’,312,312’に対して冷却媒体を均一に作用させて,各単位電池12,12’,112,212,212’,312,312’で発生する熱を均一に放熱させることができる。従ってので,単位電池12,12’,112,212,212’,312,312’の冷却効率を極大化させ,放熱効果に優れる二次電池モジュール10,210,310を提供でき,それによる単位電池12,12’,112,212,212’,312,312’の充放電効率を一層向上させることができる。
【0109】
また,上記二次電池モジュールは,例えば,高出力特性が要求されるハイブリッド自動車,電気自動車,無線掃除機,電動自転車,電動スクーターなどのように,モーターを用いて作動するものに適用可能である。
【0110】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は,二次電池モジュールに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる二次電池モジュールの構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1の平断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかる二次電池モジュールの電池集合体を示す斜視図である。
【図4】図3の部分平断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態にかかる二次電池モジュールのエンドプレートを示す側面図である。
【図6】本発明の第2実施形態にかかる二次電池モジュールの電池集合体を示す斜視図である。
【図7】図6の平面図である。
【図8】本発明の第3実施形態にかかる二次電池モジュールの構成を概略的に示す平断面図である。
【図9】本発明の第4実施形態にかかる二次電池モジュールの構成を概略的に示す平断面図である。
【図10】本発明の実施形態にかかる二次電池モジュールがモーターを駆動することを概略的に示すブロック図である。
【符号の説明】
【0113】
10,210,310 二次電池モジュール
11,11’,111,311,311’ 電池集合体
12,12’,112,212,212’,312,312’ 単位電池
13,13’,113,113’,213,213’ 隔壁
14,14’,214,214’,314,314’ 通路
15 トンネル
20,220,320 ハウジング
21,221,321 装着部
23,223,323 流入部
23a,323a 流入口
25,225,325 流出部
25a,225a,325a 流出口
50,150 支持ユニット
70,70’,170,170’ エンドプレート
80,80’,180,180’ 連結ロッド
81,81’,181,181’ ナット
90,90’,190,190’ 締結部
91,91’,191,191’ 締結孔
93,93’ 連結部
195,195’ 支持バー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単位電池を連続的に配列してなる少なくとも二つ以上の電池集合体と;
前記電池集合体を内装するハウジングと;
を含み,
前記各電池集合体は,前記単位電池の配列方向を基準として,前記各単位電池が前記配列方向に対して傾いて配置されることを特徴とする,二次電池モジュール。
【請求項2】
前記複数の電池集合体が相互に離隔して配置されることを特徴とする,請求項1に記載の二次電池モジュール。
【請求項3】
前記複数の電池集合体が一対をなして相互に対称状に配置されることを特徴とする,請求項2に記載の二次電池モジュール。
【請求項4】
前記ハウジングは,
前記電池集合体間の空間に温度制御用の冷却媒体を供給するための流入部と;
前記電池集合体を通過した前記冷却媒体を排出させるための流出部と;
を含むことを特徴とする,請求項2または3に記載の二次電池モジュール。
【請求項5】
前記電池集合体は,前記単位電池間に配設される隔壁を含み,
前記隔壁は,前記冷却媒体を通過させる少なくとも一つの通路を有することを特徴とする,請求項4に記載の二次電池モジュール。
【請求項6】
前記通路は,前記電池集合体間の空間および前記流出部と連通するチャンネル状に形成されることを特徴とする,請求項5に記載の二次電池モジュール。
【請求項7】
前記ハウジングは,前記流入部を通じて前記電池集合体間の空間に進行する前記冷却媒体の流動方向と,前記流出部を通じて排出される前記冷却媒体の流動方向とが同一方向となるように構成されることを特徴とする,請求項4〜6のいずれかに記載の二次電池モジュール。
【請求項8】
前記ハウジングの一側に前記流入口を形成し,前記流入口と対向する前記ハウジングの他側に前記流出口を形成してなることを特徴とする,請求項7に記載の二次電池モジュール。
【請求項9】
前記ハウジングは,前記流入部を通じて前記電池集合体間の空間に進行する前記冷却媒体の流動方向と,前記流出部を通じて排出される前記冷却媒体の流動方向とが逆方向となるように構成されることを特徴とする,請求項4〜6のいずれかに記載の二次電池モジュール。
【請求項10】
前記ハウジングの一側に,流入口と,前記流入口に隣接した流出口とが形成されることを特徴とする,請求項9に記載の二次電池モジュール。
【請求項11】
複数の単位電池を連続的に配列してなり,互いに対称状に離隔して配置される少なくとも二つ以上の電池集合体と;
前記電池集合体を内装し,温度制御用の冷却媒体を前記電池集合体間の空間を通じて前記各単位電池間に流通させるハウジングと;
を含み,
前記各電池集合体は,前記単位電池の配列方向を基準として,前記各単位電池が前記配列方向に対して傾いて配置され,前記複数の単位電池を密着させて一体的に支持する支持ユニットを含むことを特徴とする,二次電池モジュール。
【請求項12】
前記電池集合体は,前記各単位電池間に配設される隔壁を含むことを特徴とする,請求項11に記載の二次電池モジュール。
【請求項13】
前記隔壁は,前記冷却媒体を通過させる少なくとも一つの通路を有することを特徴とする,請求項12に記載の二次電池モジュール。
【請求項14】
前記ハウジングは,
前記電池集合体を内装する装着部と;
前記電池集合体間の空間に前記冷却媒体を供給するための流入部と;
前記各電池集合体を通過した前記冷却媒体を排出させるための流出部と;
を含むことを特徴とする,請求項11〜13のいずれかに記載の二次電池モジュール。
【請求項15】
前記流出部は,前記単位電池の配列方向に対して平行に形成されることを特徴とする,請求項14に記載の二次電池モジュール。
【請求項16】
前記流出部は,前記単位電池の配列方向に対して傾くように形成されることを特徴とする,請求項14に記載の二次電池モジュール。
【請求項17】
前記支持ユニットは,
最外側に配される2つの前記単位電池にそれぞれ密着して配置される2つのエンドプレートと;
前記2つのエンドプレートを相互に連結する連結ロッドと;
前記2つのエンドプレートに連結され,前記単位電池の配列方向に配置されて前記単位電池を支持する少なくとも一つの支持バーと;
を含むことを特徴とする,請求項11〜16のいずれかに記載の二次電池モジュール。
【請求項18】
前記支持ユニットは,前記エンドプレートに突設される締結部をさらに含み,
前記締結部は,前記連結ロッドが締結される締結孔を有することを特徴とする,請求項17に記載の二次電池モジュール。
【請求項19】
前記支持ユニットは,
最外側に配される2つの前記単位電池にそれぞれ密着して配置される2つのエンドプレートと;
前記2つのエンドプレートを連結する連結ロッドと;
前記連結ロッドが締結される締結孔を有し,前記エンドプレートに突設され,前記単位電池の配列方向に対して垂直な方向に,かつ前記連結ロッドに対して直角に形成される締結部と;
を含むことを特徴とする,請求項11〜16のいずれかに記載の二次電池モジュール。
【請求項20】
前記締結部は互いに対向する前記エンドプレートの両側端に突設され,前記エンドプレートに対して所定角度で折り曲げられてなることを特徴とする,請求項19に記載の二次電池モジュール。
【請求項21】
前記エンドプレートの厚さが前記締結部の厚さ以下であることを特徴とする,請求項19または20に記載の二次電池モジュール。
【請求項22】
前記エンドプレートと前記締結部との間に配置される連結部は,両側面が略円弧状の断面構造を有することを特徴とする,請求項19〜21のいずれかに記載の二次電池モジュール。
【請求項23】
前記単位電池は角形に形成されることを特徴とする,請求項11〜22のいずれかに記載の二次電池モジュール。
【請求項24】
前記二次電池モジュールはモーター駆動用の電池モジュールであることを特徴とする,請求項11〜23のいずれかに記載の二次電池モジュール。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−156405(P2006−156405A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−346731(P2005−346731)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】