説明

二次電池再利用システム、車両駆動電源、及び車両

【課題】使用済み二次電池の一部を再利用する際に、使用済み二次電池を未使用又は未使用と同等の二次電池と組み合わせて用いても、所望の電池性能を得ることができ且つ不都合等の発生を防止することが可能な二次電池再利用システム等を提供する。
【解決手段】リチウム二次電池100における使用済みの二次電池パックG,Aが使用不可となったときに、二次電池パックGを構成する複数の二次電池スタックNiの抵抗Ri及び容量Ciを測定し(ステップSP12)、測定されたそれらの抵抗Ri及び容量Ciと抵抗しきい値H及び容量しきい値Iをそれぞれ比較する(ステップSP13,SP14)ことにより、それらのなかから再利用可能な二次電池スタックJiを選別する。そして、その二次電池スタックJiを、二次電池パックAにおいて同様にして再利用可能と判定された二次電池スタックと組み合わせて新たな二次電池パックを再構成(形成)する(ステップSP24,SP25)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池の再利用(リサイクル、リユース、リマン等を含む)、特に、車両駆動電源用の非水電解液二次電池の再利用技術に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池の再利用に関し、例えば特許文献1には、二次電池システムを解体しても、それを構成する二次電池モジュールの諸情報を喪失することなく保持することを企図した二次電池リユースシステムが提案されている。この二次電池リユースシステムにおいては、外部のインタフェース手段を用いて、二次電池モジュールからその電気的特性情報や使用履歴情報を読み出し、それらの情報に基づいて、電池情報管理装置によって二次電池モジュールをリユースするためのグレード分けが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−141464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1には、リユースするためのグレード分けをする際に二次電池モジュールの特性値のしきい値を設けて、使用済み二次電池モジュールがリユース可能か否かを判定する旨の記載はあるものの、その使用済み二次電池モジュールのリユース形態に応じた具体的な基準や手順については明示されていない。
【0005】
例えば、使用済み二次電池モジュールのリユース形態としては、未使用の二次電池モジュールと組み合わせて用いるケースが想起されるが、特許文献1に記載された二次電池リユースシステムにおいては、その場合のリユースの可否を判定するしきい値の設定基準や、使用済み二次電池モジュールと未使用の二次電池モジュールとの組み合わせに関する基準が不明確である。そのため、リユース可能と判定された使用済み二次電池モジュールと未使用の二次電池モジュールを組み合わせて用いる際に、二次電池モジュール間の性能のばらつき(不均一性、不整合)に起因する予期しない不都合や不具合が発生するおそれがある。
【0006】
これは、一旦使用に供したものの二次電池モジュール単体としては未使用品(新品)と同等に使用可能な二次電池モジュールと、使用済み二次電池モジュールとを組み合わせて用いる場合においても同様である。
【0007】
そこで、本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、使用済み二次電池の一部を車両駆動電源として再利用することができ、その際に、使用済み二次電池を未使用又は未使用と同等の二次電池と組み合わせて用いても、所望の電池性能を得ることができ、且つ、両者の性能のばらつきに起因する不都合や不具合の発生を防止することが可能な二次電池再利用システム、及び、それにより再形成(再構成)された二次電池を有する車両駆動電源、並びに、それが搭載された車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一般に、使用済み二次電池を再利用する場合、二次電池の接続形態にも依存するが、未使用の二次電池と組み合わせて使用することは慣習として推奨されていないのが現状である。これは、一概に言えないものの、一旦使用して容量が劣化(減少、低下)した二次電池を再生することなく未使用の二次電池とともに使用すると、例えば、両者にかかる負荷が設計上想定した程度と異なってしまい、特に、使用済み二次電池に想定以上の負荷がかかってしまい予期しない事象が生起されることを防止するためである。
【0009】
これに対し、本発明者は、上記課題を解決するべく、車両駆動電源として用いられた使用済み二次電池の諸特性に着目し、その使用済み二次電池の確実な再利用の可能性について鋭意研究を重ねたところ、未使用の二次電池と容量維持率が異なる使用済み二次電池を直列に接続した状態で運転した場合、両者の劣化の度合い(抵抗の増加率及び容量の低下率)に互いに同等の範囲があることを見い出した。そして、かかる新たな知見に基づき、使用済み二次電池の再利用の可否を抵抗と容量の双方の観点から適正に判断することにより、使用済み二次電池を未使用又はそれと同等の二次電池と組み合わせて用いた場合でも、所望の電池性能を得ることができ、且つ、特段の不都合や不具合も発生しないことを確認し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明による二次電池再利用システムは、二次電池セル、又は、二次電池セルを複数含む二次電池スタックを一のモジュールとし、そのモジュールを複数有する二次電池パックを備える二次電池において、各モジュールの抵抗及び容量を測定するステップと、測定された各モジュールの抵抗を、予め設定した第1のしきい値と比較するステップと、測定された各モジュールの容量を、予め設定した第2のしきい値と比較するステップと、測定された抵抗が第1のしきい値以下であり、及び、測定された容量が第2のしきい値以上であるときに、そのモジュールを再利用可能なモジュールと判定するステップと、測定された抵抗が第1のしきい値よりも大きい(超過の)とき、又は、測定された容量が第2のしきい値よりも小さい(未満の)ときに、そのモジュールを再利用不能なモジュールと判定するステップと、そうして判定された再利用可能なモジュールを未使用の又は未使用と同等のモジュールと組み合わせて新たな二次電池パックを形成(再構成)し、その新たな二次電池パックを備える二次電池を使用に供するステップを含む。
【0011】
より具体的には、使用済みである第1の二次電池パックに対して上記の各ステップを実行することにより再利用可能なモジュールと判定されたものと未使用の(新品)モジュールとを組み合わせて新たな二次電池パックを形成(再構成)する態様が挙げられる。
【0012】
また、使用済みである第1の二次電池パックに対して各ステップを実行することにより再利用可能なモジュールと判定されたものを、その第1の二次電池パックとは異なる(別の)使用済みの第2の二次電池パックに対して各ステップを実行することにより再利用不能なモジュールと判定されたものと交換することにより、新たな二次電池パックを形成する態様も好適である。
【0013】
そして、上述したモジュールの抵抗に関する第1のしきい値、及び、モジュールの容量に関する第2のしきい値を設定する際には、使用済み二次電池パックにおけるモジュールの抵抗の劣化度合い及び容量の劣化度合いが、それぞれ、未使用の(使用前の)二次電池パックにおけるモジュールの抵抗の劣化度合い及び容量の劣化度合いと同等であることを条件とすることが望ましい。
【0014】
すなわち、本発明者の知見によれば、一旦使用された後、二次電池パックとしては出力等の規格値を満たさなくなったもの(使用不可なもの)を構成するモジュール(個々の二次電池セル、個々の二次電池スタック)を種々選択し、未使用のものと直列に接続した状態において充放電運転を行い、各モジュールの劣化の状態を測定評価したところ、抵抗と容量が所定の範囲内にある使用済みのモジュールは、それら(抵抗及び容量)の劣化度合いに関して、未使用のモジュールとの実質的な相違が認められず互いに同等であることが確認された。
【0015】
よって、使用済みのモジュールに対してその抵抗及び容量を測定し、それらの測定値を、二次電池に要求される或いは設定される目標寿命に照らして、例えばいわゆる「ルート則」に従って第1のしきい値(抵抗のしきい値)及び第2のしきい値(容量のしきい値)を設定し、それらのしきい値と使用済みモジュールの測定値を比較することにより、そのモジュールが再利用可能な否かを確実に判定することができる。
【0016】
なお、本発明は、二次電池の出力が十分に得られないといった事象が、その製品保証期間において生じたような場合にまで、使用済み二次電池から回収された再利用可能なモジュールを使用してその二次電池の修理及び再生を行うことを企図したものではなく、かかる場合には、製品保証の範囲内において適正に新規品と交換することを妨げるものではない。
【0017】
より具体的には、二次電池パックにおけるモジュールが、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、非水溶媒中にリチウム塩を含む非水電解液とを有する電極体を備え、且つ、その二次電池パックが、車両に搭載される車両駆動電源として使用されるものである態様が例示される。
【0018】
また、本発明による車両駆動電源は、車両に搭載され、且つ、上述した本発明の二次電池再利用システムによって形成された新たな二次電池パックを有する二次電池を備える。さらに、本発明による車両は、本発明のその車両駆動電源を備えるものである。
【0019】
その場合、本発明による車両のより好適な態様としては、二次電池パックに対する充放電制御等の運転制御を行う制御部を更に備えており、且つ、その制御部が、新たに形成(再構成)された二次電池パックに対し、それに用いた再利用可能な使用済みのモジュールの使用履歴及び/又は電池特性に基づいた充放電制御等の運転制御を行うように構成された態様が挙げられる。このようにすれば、使用済みのモジュールと未使用のモジュールが混在する新たな二次電池パックにおいて、それらの各モジュールの使用履歴や電池特性を単に平均化した値に基づいて二次電池パックに対する運転制御を行う場合に比して、特に再利用可能な使用済みのモジュールに予期し得ないような不具合や不都合等が発生してしまうことをより確実に抑止することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、使用済みの二次電池の二次電池パックにおけるモジュールの抵抗及び容量の劣化の度合いが、未使用の二次電池パックにおけるモジュールの抵抗及び容量の劣化の度合いと同等であるという新たな知見に基づいて、各モジュールの抵抗及び容量の測定値をそれぞれ第1のしきい値及び第2のしきい値と比較考量することにより、再利用可能なモジュールと再利用不能なモジュールを確実に選別することができる。したがって、使用済み二次電池の一部を車両駆動電源用途に再利用する際に、使用済み二次電池を未使用又は未使用と同等の二次電池と組み合わせて用いても、所望の電池性能を確実に得ることができ、且つ、両者の性能のばらつきに起因する不都合や不具合の発生を抑止することが可能となる。その結果、二次電池及びその材料資源のより効率的且つ安全な有効利用を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による車両駆動電源として用いられる二次電池が搭載された本発明による車両の一実施形態を示す模式図である。
【図2】図1に示す二次電池に備わる二次電池セルの構成を概略的に示す斜視図である。
【図3】図2におけるIII−III線断面図である。
【図4】本発明による二次電池再利用システムに係る好適な一実施形態における手順の一例を示すフロー図である。
【図5】使用済みのモジュール及び未使用のモジュールの抵抗の劣化傾きを測定した結果を示すグラフである。
【図6】使用済みのモジュール及び未使用のモジュールの容量の劣化傾きを測定した結果を示すグラフである。
【図7】使用済みのモジュールが再利用可能か否かを判定するための抵抗しきい値Hを設定するための手法の一例を概念的に示すグラフである。
【図8】使用済みのモジュールが再利用可能か否かを判定するための容量しきい値Iを設定するための手法の一例を概念的に示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。また、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。さらに、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。またさらに、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。
【0023】
<車両及び車両駆動電源>
図1は、本発明による車両駆動電源として用いられる二次電池が搭載された本発明による車両の一実施形態を示す模式図であり、図2は、図1に示す二次電池に備わる二次電池セルの構成を概略的に示す斜視図であり、図3は、図2におけるIII−III線断面図である。
【0024】
(二次電池)
図1に示す如く、車両1は、例えば自動車、特にハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車といった電動機を備える自動車であって、リチウム二次電池100(二次電池)と、それに接続された制御部200を備えている。リチウム二次電池100は、その車両1を駆動するための電源(車両駆動電源)として機能する非水電解液二次電池であって、例えば、複数個の二次電池セル101から構成された二次電池スタックを複数セット有する二次電池パックを備えている。このように、各二次電池セル101、及び、各二次電池スタックが、本発明における「モジュール」に該当する。
【0025】
また、図2及び図3に記載のとおり、リチウム二次電池100の二次電池セル101は、略角筒状(直方体形状)をなす電池ケース10の内部に、電解質が含浸されたセパレータを介して正極と負極が積層されてなるいわゆる捲回体として構成された電極体20が収容され、そのケース10の開口部12が蓋体14によって閉塞された構造を有している。また、蓋体14には、外部接続用の正極端子38及び負極端子48が設けられており、それらの正極端子38及び負極端子48は、図示上端側の一部が蓋体14の表面から外部に突設されており、それぞれの図示下端部が、電池ケース10の内部において、内部正極端子37及び内部負極端子47に接続されている。
【0026】
さらに、電極体20は、例えば長尺状の正極集電体32の表面に正極活物質層34を有する正極シート30、及び、長尺状の負極集電体42の表面に負極活物質層44を有する負極シート40が、長尺シート状のセパレータ50を介して交互に積層されたものである。この積層体たる電極体20は、例えば、その軸芯(図示しない)の周囲に筒状に捲回されて得られた捲回電極体を、側面方向から押しつぶすようにして扁平形状に成形されており、その開口端20a,20aが電池ケース10の側壁16,16に対向するように、電池ケース10内に配置されている。
【0027】
また、上述した内部正極端子37及び内部負極端子47は、それぞれ、正極集電体32の正極活物質層非形成部36、及び、負極集電体42の負極活物質層非形成部46に、超音波溶接や抵抗溶接等の適宜の手法によって接合されており、これにより、電極体20の正極シート30及び負極シート40と電気的に接続されている。
【0028】
セパレータ50は、正極シート30及び負極シート40間に介在しており、正極シート30に設けられた正極活物質層34と、負極シート40に設けられた負極活物質層44の両方に当接するように配置されている。このセパレータ50に形成された空孔内に電解質(非水電解液)を含浸させることにより、正極及び負極間に伝導パス(導電経路)が画成される。なお、セパレータ50は、正極活物質層32及び負極活物質層44の積層部位の幅よりも大きく、且つ、電極体20の幅よりも小さい幅を有しており、正極集電体32と負極集電体42が互いに接触して内部短絡を生じないように、正極活物質層34及び負極活物質層44の積層部位に挟持されるように設けられている。
【0029】
かかるセパレータ50の構成材料としては、当業界で公知のものを適宜用いることができ、特に制限されない。例えば、樹脂からなる多孔性シート(微多孔質樹脂シート)を好ましく用いることができ、その樹脂の種類としては、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン等が挙げられる。セパレータ50は、単層のもの(単層体)、2層或いは3層以上の積層体のいずれであっても、好適に用いることができる。
【0030】
(正極シート30)
正極シート30の基材となる正極集電体32を形成するための材料は、当業界で公知のものを適宜用いることができ、特に制限されない。例えば、アルミニウムやアルミニウムを主成分とする合金又は複合金属等の導電性に優れる金属が挙げられる。
【0031】
正極活物質層34には、少なくとも、電荷担体となるリチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極活物質が含まれる。この正極活物質としては、当業界で公知のものを適宜用いることができ、特に制限されないが、例えば、リチウム(Li)と少なくとも一種の遷移金属元素を含み、且つ、層状構造又はスピネル構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物等が挙げられる。
【0032】
より具体的には、例えば、コバルトリチウム複合酸化物(LiCoO2)、ニッケルリチウム複合酸化物(LiNiO2)、マンガンリチウム複合酸化物(LiMn24)、またはニッケル・コバルト系のLiNixCo1-x2(0<x<1)、コバルト・マンガン系のLiCoxMn1-x2(0<x<1)、ニッケル・マンガン系のLiNixMn1-x2(0<x<1)やLiNixMn2-x4(0<x<2)で表わされるような、遷移金属元素を2種含むいわゆる2元系リチウム遷移金属複合酸化物、或いは、遷移金属元素を3種含むニッケル・コバルト・マンガン系のような3元系リチウム遷移金属複合酸化物(例えばLiNi1/3Co1/3Mn1/32)等を例示することができる。なお、これらのリチウム遷移金属複合酸化物は、約3.5〜4.2V(リチウム基準電極に対する電位)の範囲内の電位を有する。
【0033】
また、リチウム遷移金属複合酸化物には、微少構成金属元素として、例えば、アルミニウム (Al)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、バナジウム(V)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ランタン(La)、及びセリウム(Ce)よりなる群から選択される1種又は2種以上が含まれていても構わない。
【0034】
なお、このようなリチウム遷移金属酸化物は、例えば、従来公知の方法で調製・提供されるリチウム遷移金属酸化物粉末をそのまま使用することができ、或いは、原子組成に応じて適宜選択されるいくつかの原料化合物を所定のモル比で混合し、適当な手段で焼成することによって調製することもできる。また、焼成物を適宜の手段で粉砕、造粒、及び分級することにより、所望の平均粒径及び/又は粒径分布を有する二次粒子によって実質的に構成された粒状のリチウム遷移金属酸化物粉末を得ることも可能である。
【0035】
さらに、正極活物質層34には、添加剤として、リチウム二次電池100の各二次電池セル101の放電に伴い後述する非水電解液に含有される添加剤との酸化反応により分解する物質であって、その酸化反応によって正極活物質の表面に生成する被膜生成量の調節を可能とする自己犠牲型補助物質が含有されていてもよい。
【0036】
この自己犠牲型補助物質としては、上記列挙した正極活物質の電位(約3.5〜4.2V)よりも電位(リチウム基準電極に対する電位)が卑であるものを好適に使用することができ、例えば、一般式LiMPO4(式中、Mは、Co、Ni、Mn、及びFeからなる群より選択される少なくとも1種又は2種以上の遷移金属元素を示す。)で表されるオリビン型構造のリチウム含有リン酸塩等が挙げられる。かかるオリビン型リチウム含有リン酸塩の好適例として、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)、リン酸マンガンリチウム(LiMnPO4)等(対リチウム基準電極電位は、約3.2〜3.8V)を例示することができる。
【0037】
上述した正極活物質と自己犠牲補助物質との組み合わせは、正極活物質と自己犠牲型補助物質との電位(対リチウム基準電極電位)の関係が、正極活物質>自己犠牲型補助物質を満たすものであれば、特に制限されない。例えば、正極活物質として層状構造のLiNi1/3Co1/3Mn1/32を用い、自己犠牲型補助物質としてオリビン構造のLiFePO4を用いた組み合わせが好適例として挙げられる。或いは、層状構造のリチウム遷移金属複合酸化物を自己犠牲型補助物質として用いてもよく、比較的電位が高い(約4.2V)スピネル構造のLiMn24を正極活物質として用い、それよりも電位が低い層状構造のLiNiO2を自己犠牲型補助物質として用いた組み合わせ等が挙げられる。
【0038】
また、正極活物質層34には、必要に応じて、導電材や結着材等、当業界で公知の他成分(任意成分)が含まれていてもよい。かかる導電材としては、カーボン粉末やカーボンファイバー等の導電性粉末材料が挙げられる。カーボン粉末の具体例としては、種々のカーボンブラック、例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、グラファイト粉末等が挙げられる。また、炭素繊維、金属繊維等の導電性繊維類、銅やニッケル等の金属粉末類、及び、ポリフェニレン誘導体等の有機導電性材料等を、単独で又はこれらの混合物として含有していてもよい。
【0039】
また、結着材としては、当業界で公知のものを適宜用いることができ、特に限定されないが、各種のポリマー材料を好適に使用し得る。具体的には、正極活物質層34の製作に使用する溶媒に溶解又は分散可溶なポリマーを選択して用いることができ、例えば、水系溶媒を用いる場合、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等のセルロース系ポリマー;ポリビニルアルコール(PVA);ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッ素系樹脂;酢酸ビニル共重合体;スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)等のゴム類等の水溶性又は水分散性ポリマーを好ましく使用することができる。また、非水系溶媒を用いる場合、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)等のポリマーを好ましく採用することができる。なお、例示した各種ポリマー材料は、結着材としての機能の他に増粘材その他の添加材としての機能を発現することもあり得る。
【0040】
(負極シート40)
負極シート40の基材となる負極集電体42を形成するための材料は、当業界で公知のものを適宜用いることができ、特に制限されない。例えば、銅や銅を主成分とする合金又は複合金属等の導電性に優れる金属が挙げられる。
【0041】
負極活物質層44には、少なくとも、電荷担体となるリチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極活物質が含まれる。この負極活物質は、リチウム二次電池の充電に伴い後述する非水電解液に含有される添加剤と還元反応により分解する物質であって、その還元反応によって負極活物質の表面に生成する被膜生成量の調節を可能とするものであり、従来から当業界で用いられているものを特に制限なく使用することができる。負極活物質の具体例としては、例えば、少なくとも一部にグラファイト構造(層状構造)を含む粒子状の炭素材料(カーボン粒子)が挙げられる。また、いわゆる黒鉛質のもの(グラファイト)、難黒鉛化炭素質のもの(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素質のもの(ソフトカーボン)、これらを組み合わせた構造を有するもの等、種々の炭素材料を好適に使用することができる。
【0042】
これらのなかでは、特に、グラファイト等の黒鉛粒子を好ましく使用することができる。黒鉛粒子は、電荷担体としてのリチウムイオンを好適に吸蔵することができるため導電性に優れるとともに、粒径が小さく単位体積当たりの表面積が大きいことから、ハイレートのパルス充放電に適した負極活物質となり得る点で有利である。
【0043】
さらに、負極活物質層44には、添加剤として、リチウム二次電池100の各二次電池セル101の充電に伴い上記添加剤を還元分解する物質であって、上記負極活物質の電位よりも電位(リチウム基準電極に対する電位)が貴である自己犠牲型補助物質が含有されていてもよい。
【0044】
この自己犠牲型補助物質としては、例えば、チタン系酸化物又は硫化物等の遷移金属の酸化物又は硫化物等が挙げられ、より具体的には、チタン酸リチウム、酸化チタン(TiO2)、硫化チタン、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化コバルト、硫化鉄等を例示でき、特に好ましくは、チタン酸リチウムが挙げられ、更に好適には、Li4+xTi512(0≦x≦3)やLi2+xTi37(0≦x≦3)等が挙げられる。
【0045】
また、負極活物質層44には、必要に応じて、結着材等の当業界で公知の他成分(任意成分)が含まれていてもよい。かかる結着材としては、一般的なリチウム二次電池の負極に使用される結着材を適宜採用することができ、例えば、上述した正極活物質層34の結着材に用いられるものと同じものを適宜選択して使用することができる。
【0046】
(非水電解液)
リチウム二次電池100の各二次電池セル101に用いられる非水電解液は、非水溶媒、及び、支持電解質(支持塩)としてのリチウム塩に加え、適宜の添加剤(例えば、負極及び負極活物質を保護する被膜を形成するためのバリア形成剤等)を含んでいる。
【0047】
非水溶媒としては、当業界で公知のものを適宜用いることができ、その種類は特に制限されず、例えば、各種の有機溶媒、より好ましくはカーボネート類、エステル類、エーテル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の非プロトン性溶媒を用いることができる。具体的には、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等のカーボネート類のほか、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン等の一般にリチウム二次電池の電解液に使用し得るものを、1種又は2種以上組み合わせて使用し得る。
【0048】
また、支持電解質(支持塩)としてのリチウム塩の具体例としては、例えば、LiPF6、LiBF4、LiN(SO2CF32、LiN(SO2252、LiCF3SO3、LiC49SO3、LiC(SO2CF33、LiClO4等のリチウム二次電池の電解液において支持電解質として機能し得ることが知られている各種のリチウム塩が挙げられるが、これらに特に限定されない。リチウム塩は、1種のみを単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。これらのなかでは、LiPF6が特に好ましい。なお、この支持電解質としてのリチウム塩の非水電解液における濃度は特に制限されず、要求性能に応じて適宜設定することができ、従来のリチウム二次電池で使用される非水電解液と同様に組成することができる。
【0049】
(制御部)
制御部200は、リチウム二次電池100の各二次電池セル101への電流入力及び各二次電池セル101からの電流出力を制御する機能を有するものであり、演算装置、記憶装置、入出力インターフェイス等(いずれも図示せず)を備えている。また、制御部200は、各二次電池セル101、及び、それらから構成される各二次電池スタック、及び、それらから構成される二次電池パックの使用履歴(経時的な入出力履歴等の運転履歴)及び電池特性を記憶して管理する機能も有している。
【0050】
<二次電池再利用システム>
さらに、かかる構成を有するリチウム二次電池100を一旦使用した後、二次電池セル101単位又は二次電池スタック単位で再利用する本発明による二次電池再利用システムの一例について、以下に説明する。図4は、本発明による二次電池再利用システムに係る好適な一実施形態における手順の一例を示すフロー図である。
【0051】
ここでは、あるリチウム二次電池100の複数の二次電池パックのうちの一つが使用不可となったときに、その二次電池パックを構成する複数の二次電池スタックのなかから再利用可能な二次電池スタックを選別し、その二次電池スタックを、別の二次電池パック(同じリチウム二次電池100のものでも別のリチウム二次電池のものでもよい)における再利用不能な二次電池スタックと交換して新たな二次電池パックを形成する例について説明する。
【0052】
まず、使用不可の二次電池パックG(第1の二次電池パック)が返却されると(ステップSP11)、その二次電池パックGを構成する複数の二次電池スタックNi(iは1〜nの整数;以下同様)の抵抗Riと容量Ciを測定する(ステップSP12)。それから、測定された二次電池スタックN1の抵抗R1を、予め設定しておいた抵抗しきい値H(第1のしきい値)と比較し(ステップSP13)、その抵抗R1が抵抗しきい値H以下である場合(R1≦H)には、測定された二次電池スタックN1の容量C1を、予め設定しておいた容量しきい値I(第2のしきい値)と比較する(ステップSP14)。そして、その容量C1が容量しきい値I以上である場合(R1≧I)には、その二次電池スタックN1を再利用可能な二次電池スタック(再利用可能なモジュール)と判定して、それを一時的にストック(保管)する(ステップSP15)。
【0053】
一方、二次電池スタックN1の抵抗R1が抵抗しきい値Hよりも大きい場合(R1>H)、又は、二次電池スタックN1の容量C1が抵抗しきい値Iよりも小さい場合(R1<I)には再利用不能な二次電池スタック(再利用不能なモジュール)と判定して、例えば、車載用のリチウム二次電池100を構成する二次電池パック以外の別用途の再利用等へ供する(ステップSP16;但し、廃棄する場合も含む。以下同様。)。
【0054】
ここで、図5〜図8を参照して、抵抗しきい値H及び容量しきい値Iを設定する条件及びその一例について説明する。図5は、使用済みのモジュール及び未使用のモジュールの抵抗の劣化傾き(抵抗の劣化度合い;一定時間又は一定走行距離あたりの抵抗の増加率)を測定した結果の一例を示すグラフであり、図6は、使用済みのモジュール及び未使用のモジュールの容量の劣化傾き(容量の劣化度合い;一定時間又は一定走行距離あたりの容量の減少率)を測定した結果の一例を示すグラフである。
【0055】
これらの図5及び図6において、黒塗りの菱形(◆)で表されるプロットは、使用済みのモジュール(容量維持率=約86%、約90%)を示し、白抜きの丸印(○)で表されるプロットは、未使用のモジュール(容量維持率=100%)を示す。これらの結果より、モジュールの抵抗の劣化傾き(図5)及び容量の劣化傾き(図6)は、使用済みのもの及び未使用のものの何れも、図示灰色で塗りつぶした範囲Rr,Rc内にあることが確認された。このことから、抵抗及び容量が所定の範囲内にある使用済みのモジュールは、それら(抵抗及び容量)の劣化度合い関して、未使用のモジュールとの実質的な相違が認められず、互いに同等であることが判明した。
【0056】
図7は、使用済みのモジュールと未使用のモジュールの抵抗の劣化傾きが同等であることを前提条件として、使用済みのモジュールが再利用可能か否かを判定するための上述した抵抗しきい値Hを設定するための手法の一例を概念的に示すグラフである。また、図8は、使用済みのモジュールと未使用のモジュールの容量の劣化傾きが同等であることを前提条件として、使用済みのモジュールが再利用可能か否かを判定するための上述した容量しきい値Iを設定するための手法の一例を概念的に示すグラフである。これらの図7及び図8においても、黒塗りの菱形(◆)で表されるプロットが、使用済みのモジュールを示し、白抜きの丸印(○)で表されるプロットが、未使用のモジュールを示す。
【0057】
図7において、未使用のモジュールの目標寿命が例えばT0(年)又はD0(km)であり、抵抗が、その初期状態(グラフの縦軸=1.00)からその目標寿命までルート則に従って一定の劣化傾き(直線L1の傾き:図5における範囲Rr内の値に相当する。)でR0まで増加していく場合、使用済みのモジュールの使用経過年数がTx(年)又は車両走行距離がDx(km)であれば、直線L1の傾きから、その使用済みのモジュールを再利用するために許容される抵抗の最大値Rxが求められる。
【0058】
これにより、例えば、抵抗の初期値にその最大値Rxを乗じた値(必要に応じて適宜の安全係数等を更に乗じてもよい)を抵抗しきい値Hとして設定することができる。なお、その際、初期値に対する抵抗しきい値Hの比率は、概念的に、図7のグラフにおいて灰色で塗りつぶした範囲内(すなわち抵抗の最大値Rx以下)の任意の値であってよい。
【0059】
また、図8において、未使用のモジュールの目標寿命が例えばT0(年)又はD0(km)であり、容量が、その初期状態(グラフの縦軸=100(%))からその目標寿命までルート則に従って一定の劣化傾き(直線L2の傾き:図6における範囲Rc内の値に相当する。)でC0まで減少していく場合、使用済みのモジュールの使用経過年数がTx(年)又は車両走行距離がDx(km)であれば、直線L2の傾きから、その使用済みのモジュールを再利用するために許容される容量の最小値Cxが求められる。
【0060】
これにより、例えば、容量の初期値にその最小値を乗じた値(必要に応じて適宜の安全係数等を更に乗じてもよい)を容量しきい値Iとして設定することができる。なお、その際、初期値に対する容量しきい値Iの比率は、概念的に、図8のグラフにおいて灰色で塗りつぶした範囲内(すなわち容量の最小値Cx以上)の任意の値であってよい。
【0061】
次いで、図4に戻り、上述したステップSP13〜SP16を、二次電池スタックN2から二次電池スタックNnに対して実施し、測定された抵抗Riが抵抗しきい値H以下であり、且つ、測定された容量Ciが容量しきい値I以上の二次電池スタックNiを再利用可能な二次電池スタック(再利用可能なモジュール)と判定して、一時的にストック(保管)する。また、測定された抵抗Riが抵抗しきい値Hより大きく、又は、測定された容量Ciが容量しきい値Iより小さい二次電池スタックNiは、再利用不能な二次電池スタック(再利用不能なモジュール)と判定して、別用途の再利用等に供する。
【0062】
他方、二次電池パックGと同種の二次電池スタックから構成されており、且つ、使用不可として返却された(ステップSP21)別の二次電池パックA(第2の二次電池パック)について、ステップSP12と同様にして、その二次電池パックAを構成する複数の二次電池スタックの抵抗Riと容量Ciを測定する(ステップSP22)。それから、ステップSP13,SP14と同様にして、測定された各二次電池スタックの抵抗Ri及び容量Ciを、それぞれ、予め設定しておいた抵抗しきい値H及び容量しきい値Iと比較して、再利用可能な二次電池スタックと再利用不能な二次電池スタックを選別し、後者を特定する(ステップSP23)。
【0063】
それから、その二次電池パックAにおいて特定された再利用不能な二次電池スタックを、二次電池パックGにおいて再利用可能と判断されて一時的にストックされていた再利用可能な二次電池スタックJiと交換し(ステップSP24)、その二次電池スタックJiと、二次電池パックAにおいて再利用可能と判断された二次電池スタックとを組み合わせて再構成し、新たな二次電池パックを形成する(ステップSP25)。最後に、その新たな二次電池パックを備える新たなリチウム二次電池101を車両1に搭載して一連の処理を終了する。
【0064】
このような手順を有する二次電池システム再利用システムによれば、使用済みのモジュールの抵抗及び容量の劣化傾きが、未使用のモジュールの抵抗及び容量の劣化傾きと同等であるという前提条件に基づいて、リチウム二次電池100の使用不可の二次電池パッケージGにおいて測定された各二次電池スタック(モジュール)の抵抗R1及び容量C1を、それぞれ抵抗しきい値H及び容量しきい値Iと比較することにより、再利用可能なモジュールと再利用不能なモジュールとを確実且つ平易に判別することが可能となる。
【0065】
したがって、そうしてリチウム二次電池Gにおいて判別された再利用可能な使用済みのモジュールを、別のリチウム二次電池Aにおいて判別された再利用可能なモジュール(未使用と同等のモジュール)と組み合わせて再構成することにより、所望の電池性能を発現する新たな二次電池パックを備えるリチウム二次電池を得ることができる。その結果、使用済みのモジュールと未使用又はそれと同等のモジュールの性能のばらつきに起因する不都合や不具合の発生を効果的に防止することが可能となり、リチウム二次電池100及びその材料資源のより効率的且つ安全な有効利用及びその促進に資することができる。
【0066】
さらに、その新たに形成された二次電池パックを備えるリチウム二次電池101が搭載された車両1においては、再利用可能と判定された使用済みのモジュールの使用履歴及び/又は電池特性に基づいて、所望の充放電制御といった運転制御を行うようにすると好適である。このようにすれば、再利用可能なモジュールと未使用のモジュールが混在する新たな二次電池パックにおいて、それらの各モジュールの使用履歴や電池特性を単に平均化した値に基づいて二次電池パックに対する充放電制御を行う場合に比して、使用済みの再利用可能なモジュールに予期し得ないような不具合や不都合等が発生してしまうことをより確実に抑止することができる。
【0067】
より具体的な運転制御としては、例えば、劣化電池の出力・容量に合わせて、二次電池パックのSOC(State of Charge)使用範囲を小さくする、劣化電池の出力・容量に合わせて、二次電池パックの使用範囲を決定するといった方法を実施してもよい。この場合、具体的な各手順における処理は、制御部200からの指令信号に基づいて実施され、また、必要な各種の演算は、制御部200において行うことができる。
【0068】
なお、上述したとおり、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない限度において様々な変形が可能である。例えば、図4に示すステップSP13とステップSP14を順序を入れ替えて実行してもよく、或いは、両者を並行して(同時に)実行してもよく、さらに、ステップSP12,SP13,SP14(抵抗Ri及び抵抗Ciの測定と各しきい値H,Iとの比較)を並行して(同時に)実施しても構わない。また、二次電池パックGで再利用可能と判定されたモジュールを、未使用の新規品であるモジュールと組み合わせて新たな二次電池パックを形成(構成)してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上説明したとおり、本発明の二次電池再利用システムは、使用済みの二次電池から再利用可能なモジュールを確実且つ簡便に選定して、所望の電池性能を発現することができ且つ不具合等の発生が抑止された新たな二次電池パックを備える二次電池を形成することができ、これにより、二次電池及びその材料資源のより効率的且つ安全な有効利用を促進することができるので、二次電池の再利用全般、二次電池を車両駆動電源として使用することができる車両一般、及び、それらの製造、使用等に広く且つ有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 車両
10 電池ケース
12 開口部
14 蓋体
16 側壁
20 捲回電極体
20a 開口端
30 正極シート
32 正極集電体
34 正極活物質層
36 正極活物質層非形成部
37 正極集電端子
38 外部正極集電端子
40 負極シート
42 負極集電体
44 負極活物質層
46 負極活物質層非形成部
47 負極集電端子
48 外部負極集電端子
50 セパレータ
60 シンメトリーセル
61 セパレータ
62 負極
100 リチウム二次電池(非水電解液二次電池)
101 二次電池セル
200 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池セル、又は、二次電池セルを複数含む二次電池スタックを一のモジュールとし、該モジュールを複数有する二次電池パック備える二次電池において、前記各モジュールの抵抗及び容量を測定するステップと、
測定された前記各モジュールの抵抗を、予め設定した第1のしきい値と比較するステップと、
測定された前記各モジュールの容量を、予め設定した第2のしきい値と比較するステップと、
測定された前記抵抗が前記第1のしきい値以下であり、及び、測定された前記容量が前記第2のしきい値以上であるときに、該モジュールを再利用可能なモジュールと判定するステップと、
測定された前記抵抗が前記第1のしきい値よりも大きいとき、又は、測定された前記容量が前記第2のしきい値よりも小さいときに、該モジュールを再利用不能なモジュールと判定するステップと、
前記再利用可能なモジュールを未使用の又は未使用と同等のモジュールと組み合わせて新たな二次電池パックを形成し、該新たな二次電池パックを備える二次電池を使用に供するステップと、
を含む、
二次電池再利用システム。
【請求項2】
使用済みである第1の二次電池パックに対して前記各ステップを実行することにより再利用可能と判定されたモジュールと未使用のモジュールとを組み合わせて前記新たな二次電池パックを形成する、
請求項1記載の二次電池再利用システム。
【請求項3】
使用済みの第1の二次電池パックに対して前記各ステップを実行することにより再利用可能なと判定されたモジュールを、前記第1の二次電池パックとは異なる使用済みの第2の二次電池パックに対して前記各ステップを実行することにより再利用不能と判定されたモジュールと交換することにより、前記新たな二次電池パックを形成する、
請求項1記載の二次電池再利用システム。
【請求項4】
使用済み二次電池の二次電池パックにおけるモジュールの抵抗の劣化度合い及び容量の劣化度合いが、それぞれ、使用前の二次電池パックにおけるモジュールの抵抗の劣化度合い及び容量の劣化度合いと同等であることを条件として、前記第1のしきい値、及び、前記第2のしきい値を設定する、
請求項1〜3の何れか1項記載の二次電池再利用システム。
【請求項5】
前記二次電池パックにおけるモジュールは、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、非水溶媒中にリチウム塩を含む非水電解液とを有する電極体を備え、且つ、前記二次電池パックは、車両に搭載される車両駆動電源として使用されるものである、
請求項1〜4の何れか1項記載の二次電池再利用システム。
【請求項6】
車両に搭載され、且つ、請求項1〜5の何れか1項記載の二次電池再利用システムによって形成された前記新たな二次電池パックを有する二次電池を備える、
車両駆動電源。
【請求項7】
請求項6記載の車両駆動電源を備える、
車両。
【請求項8】
二次電池セル、又は、二次電池セルを複数含む二次電池スタックを一のモジュールとし、該モジュールを複数有する二次電池パックに対する運転制御を行う制御部を備えており、
前記制御部は、前記新たな二次電池パックに対し、前記利用可能なモジュールの使用履歴及び/又は電池特性に基づいた運転制御を行う、
請求項7記載の車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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