説明

二次電池電極のバインダー用樹脂組成物、及びこれを用いてなるバインダー液、二次電池電極、二次電池

【課題】活物質と導電材、さらにこれらと金属集電体との接着性に優れ、充放電を繰り返しても、性能の低下の少ない電池を製造できる二次電池電極のバインダー用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】酸変性ポリオレフィン樹脂(A)とポリフッ化ビニリデン樹脂(B)を含有し、(A)100質量部に対して、(B)が20〜100質量部であることを特徴とする二次電池電極用バインダー用樹脂組成物。並びに、上記二次電池電極のバインダー用樹脂組成物と液状媒体とを含有する二次電池電極用バインダー液、及び液状媒体が水である上記二次電池電極用バインダー液。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池電極のバインダー用樹脂組成物、この樹脂組成物を用いてなるバインダー液、さらにはこのバインダー液を用いてなる電極及び二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やデジタルカメラなどの携帯電子機器の小型軽量化や高機能化の要求に伴い、高性能電池の開発が積極的に進められており、充電により繰り返し使用が可能な二次電池の需要が大きく伸びている。特に、リチウムイオン電池は、携帯電話やノートパソコンなどの用途に加え、電気自動車用途への展開も進められ、その利用範囲は非常に拡大している。
【0003】
リチウムイオン電池は、正極と負極との間にセパレーターが配置された構成の電極を、電解液(リチウムイオンポリマー電池の場合は、液状電解液に代えてゲル状もしくは全固体型の電解質を使用)と共に容器内に収納した構造を有するものである。
【0004】
リチウムイオン電池の電極は、活物質と、必要に応じて主に炭素材料からなる導電材とが、バインダーを用いてアルミニウム箔や銅箔などの金属集電体上に層形成されたものである。正極用活物質としては、コバルト酸リチウムなどの遷移金属を含むリチウム複合酸化物などが用いられ、負極用活物質としては、炭素材料などが用いられる。そして、このようなリチウムイオン電池の電極は、通常、活物質に、必要に応じて、導電材及びバインダーを添加し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの溶媒の存在下で混練・調製した電極ペーストを、金属集電体上にドクターブレードなどによりに塗布し、乾燥することによって得られる。ここでバインダーは、活物質と導電材、さらにこれらと金属集電体とを接着するために用いられる。
【0005】
したがって、電極形成のためのバインダーには、(1)活物質間、及び必要に応じて添加する導電材との接着性に優れること、(2)活物質及び導電材と金属集電体との接着性に優れることなどの性能が要求される。
【0006】
従来、二次電池電極用のバインダーとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)樹脂などのフッ素系樹脂が用いられ、これをNMPに溶解した溶液が多く使用されている。
【0007】
しかしながら、PVDFをバインダーとして使用した場合、活物質間や導電材との接着性に劣り、また、活物質及び導電材と金属集電体との界面の接着性にも劣るため、極板の裁断工程や捲回工程等の製造工程時に活物質や導電材の一部が金属集電体から剥離・脱落し、微少短絡や電池容量のばらつきを生じる原因となっていた。
【0008】
さらに、PVDFは電解液に対する耐膨潤性に劣るため、充放電を繰り返すことによってバインダーが電解液中で膨潤し、活物質と導電材との間や活物質及び導電材と金属集電体との接触抵抗が増大したり、活物質及び導電材の一部が金属集電体から剥離したりすることがあり、電池特性に劣り、さらには安全上の問題があった。
【0009】
また、PVDFを溶解させる溶媒として用いられているNMPは、電極ペーストを金属集電体上に塗布・乾燥する際に蒸発するため、これを安全に回収する必要がある。また昨今の環境関連の法規制によって、加工場によっては環境に影響を及ぼす可能性のある有機溶媒を使用できないところも多くなっている。
【0010】
これらの問題に対して、二次電池電極用バインダーに関して以下のような技術が開示されている。特許文献1、2には、電気化学的に安定で電解液に対して膨潤性が小さいオレフィン系重合体をバインダーとして用いることが記載されている。しかしながら、これらのバインダーは活物質や金属集電体に対する接着力が依然として不十分であり、これらのバインダーを使用した二次電池は長期間の使用が困難であり、サイクル特性に劣るものであった。
【0011】
また、特許文献3、4には、充放電の繰り返しによる活物質の体積変動にあっても結着力を低下させないためにゴム質重合体のラテックスをバインダー組成物に使用することが提案されている。しかしながら、これらの方法では、バインダーが活物質の表面を被覆、隠蔽してしまい、電池容量を減少させるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2002−251998号公報
【特許文献2】特開平9−251856号公報
【特許文献3】特開平5−21068号公報
【特許文献4】特開平5−74461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記課題を解決するものであり、活物質と導電材、さらにこれらと金属集電体との接着性に優れ、初期特性に優れるのはもちろんのこと、充放電を繰り返しても性能の低下が少ない電池を製造できる、二次電池電極のバインダー用樹脂組成物を提供することを目的とするものであり、さらには、このバインダーを用いた電極及び二次電池を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記課題について検討した結果、本発明に到達した。
【0015】
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)酸変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部と、ポリフッ化ビニリデン樹脂(B)20〜100質量部を含有することを特徴とする二次電池電極のバインダー用樹脂組成物。
(2)(1)記載の二次電池電極のバインダー用樹脂組成物と液状媒体とを含有する二次電池電極用バインダー液。
(3)液状媒体が水である(2)記載の二次電池電極用バインダー液。
(4)酸変性ポリオレフィン樹脂(A)が、不飽和カルボン酸成分又はその無水物を酸変性成分として含有し、その含有量が樹脂(A)100質量部に対して0.1〜10質量%であることを特徴とする(1)記載の二次電池電極のバインダー用樹脂組成物。
(5)酸変性ポリオレフィン樹脂(A)が、エチレン成分を50〜98質量%含有する酸変性ポリオレフィン樹脂(a)及び/又は炭素数3〜6の不飽和炭化水素成分を50〜98質量%含有する酸変性ポリオレフィン樹脂(b)であることを特徴とする(4)記載の二次電池電極のバインダー用樹脂組成物。
(6)(4)又は(5)記載の二次電池電極のバインダー用樹脂組成物と、液状媒体とを含有する二次電池電極用バインダー液。
(7)液状媒体が水である(6)記載の二次電池電極用バインダー液。
(8)(1)、(4)又は(5)のいずれかに記載の二次電池電極のバインダー用樹脂組成物を含有することを特徴とする二次電池電極。
(9)上記(2)、(3)、(6)または(7)記載の二次電池電極用バインダー液を用いて形成された二次電池電極。
(10)上記(8)又は(9)記載の二次電池電極を用いて形成された二次電池。
【発明の効果】
【0016】
本発明の二次電池電極のバインダー用樹脂組成物を用いたバインダー液は、活物質間、及び必要に応じて添加する導電材との接着性に優れ、活物質及び導電材と金属集電体との接着性に優れるという性能を有する。このバインダー液を用いて形成された二次電池電極は、充放電を繰り返しても、活物質や導電材が金属集電体から脱落することがなく、接着性と導電性を維持することができる。したがって、本発明の組成物、バインダー液を用いることで、初期特性に優れるのはもちろんのこと、サイクル特性に優れた二次電池を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0018】
本発明の二次電池電極のバインダー用樹脂組成物(以下、バインダー用樹脂組成物と略記することがある)は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)とポリフッ化ビニリデン樹脂(B)とを、特定の割合で混合した組成物である。本発明では、このバインダー用樹脂組成物を採用することで、活物質及び導電材と金属集電体との接着性が良好なバインダーを得ることができる。
【0019】
本発明のバインダー用樹脂組成物に用いられる酸変性ポリオレフィン樹脂(A)は、通常、不飽和炭化水素成分と酸変性成分とからなる。本発明では、一般に、炭素数2〜6のものを不飽和炭化水素成分として含有し、一方、不飽和カルボン酸成分又はその無水物を酸変性成分として含有する。
【0020】
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)における酸変性成分の含有量としては、樹脂の分散化、及び電解液に対する耐性を満足させる点から、樹脂(A)100質量部に対して0.1〜10質量%が好ましく、0.3〜8質量%がより好ましく、0.5〜6質量%がさらに好ましく、1〜5質量%が最も好ましい。酸変性成分の含有量が0.1質量%未満では、活物質及び導電材と金属集電体との接着性が低下する場合があり、また後述するように樹脂を液状媒体中に分散させる場合には、その分散化が困難になりやすい。一方、10質量%を超えると電解液に対する耐性が低下する場合がある。樹脂(A)中、酸変性成分としては、不飽和カルボン酸や、その無水物により導入され、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。中でもアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、特にアクリル酸、無水マレイン酸が好ましい。酸変性成分は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)中に、例えばランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合、熱減成法などにより共重合されていれば特にその形態は限定されない。なお、樹脂中に導入された酸無水物は、樹脂の乾燥状態では隣接カルボキシル基が脱水環化した酸無水物構造を形成しているが、後述する液状媒体中では、その一部、または全部が開環してカルボン酸、あるいはその塩の構造をとる場合がある。
【0021】
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)は、樹脂の分散化、及び電解液に対する耐性の観点から、炭素数2〜6の不飽和炭化水素成分を50〜98質量%の範囲で含有することが好ましく、60〜98質量%がより好ましく、70〜98質量%がさらに好ましく、75〜95質量%が最も好ましい。炭素数2〜6の不飽和炭化水素成分の含有量が50質量%未満では電解液に対する耐性が低下する場合があり、98質量%を超えると、相対的に不飽和カルボン酸成分の含有量が低下してしまうため、樹脂の水性化が困難になる場合がある。
【0022】
炭素数2〜6の不飽和炭化水素としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン等のアルケン類やブタジエンやイソプレン等のジエン類が挙げられ、樹脂の製造のし易さ、水性化のし易さ、及び電解液に対する耐性等の点から、エチレン、プロピレンまたはブテン成分(1−ブテン、イソブテンなど)であることが好ましく、これらを併用することもできる。
【0023】
この他、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)は、目的に応じて上記以外の他の成分を含んでいてもよく、その含有量としては、全体の10質量%以下程度が好ましい。このような他の成分としては、1−オクテン、ノルボルネン類等のアルケン類やジエン類、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類ならびにビニルエステル類を塩基性化合物等でケン化して得られるビニルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジエン類、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、ハロゲン化ビニル類、ハロゲン化ビリニデン類、一酸化炭素、二酸化硫黄などが挙げられ、これらの混合物を用いることもできる。
【0024】
本発明では、特に酸変性ポリオレフィン樹脂(A)として、エチレン成分を50〜98質量%含有する酸変性ポリオレフィン樹脂(a)又は、炭素数3〜6の不飽和炭化水素成分を50〜98質量%含有する酸変性ポリオレフィン樹脂(b)であることが好ましく、酸変性ポリオレフィン樹脂(a)、(b)を併用することもできる。
【0025】
酸変性ポリオレフィン樹脂(b)としては、炭素数3〜6の不飽和炭化水素以外に、さらにエチレン成分を1.5〜45質量%含有していることが好ましく、2〜30質量%含有していることがより好ましい。エチレン成分を含有することで樹脂の柔軟性が増し、水性化しやすくなる。
【0026】
酸変性ポリオレフィン樹脂(b)の炭素数3〜6の不飽和炭化水素としては、プロピレン成分又は1−ブテン成分の少なくとも一方を含むことが好ましく、プロピレン成分とエチレン成分を含むか、またはプロピレン成分と1−ブテン成分を含むことがより好ましい。プロピレン成分又は1−ブテン成分のいずれかとエチレン成分を含む場合、好ましい比率としては、プロピレン成分又は1−ブテン成分とエチレン成分の総和を100質量部としたとき、プロピレン成分又は1−ブテン成分が50〜90質量部、エチレン成分10〜50質量部である。
【0027】
酸変性ポリオレフィン樹脂(b)の特に好ましい構成は、プロピレン成分、ブテン成分、エチレン成分の3成分を含有するものである。この場合、好ましい構成比率は、この3成分の総和を100質量部としたとき、プロピレン成分8〜90質量部、ブテン成分8〜90質量部、エチレン成分2〜50質量部である。
【0028】
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)中に含まれる共重合成分として、本発明の効果を損なわない範囲内で、以下のような成分を含有していてもよい。すなわち、このような成分としては、例えば、アクリル酸メチルやメタクリル酸メチル、アクリル酸エチルなどのアクリル酸エステル類及びメタクリル酸エステル類、1−ペンテン、4−メチルー1−ペンテン、3−メチルー1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのアルケン類やジエン類、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどのマレイン酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、き酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどのビニルエステル類、ビニルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、置換スチレン、ハロゲン化ビニル類、ハロゲン化ビニリデン類、一酸化炭素、二酸化硫黄など、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0029】
このような成分は、バインダー用樹脂組成物の20質量%以下であることが好ましい。20質量%を超えると、バインダーとした際に上記したような本発明の効果を奏することが困難となりやすい。
【0030】
ここで、酸変性ポリオレフィン樹脂(a)の具体例としては、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体、又はエチレン−メタクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体が最も好ましい。このような樹脂は、レクスパールEAAシリーズ(日本ポリエチレン社)、プリマコール(ダウ・ケミカル日本社)、ニュクレルシリーズ(三井・デュポンポリケミカル社)、ボンダインシリーズ(アルケマ社)、レクスパールETシリーズ(日本ポリエチレン社)等として市販されている。
【0031】
一方、酸変性ポリオレフィン樹脂(b)の具体例としては、例えば、レクスタック(REXTAC)(アメリカのレキセン(Rexene)社)、ベストプラスト408、ベストプラスト708(ドイツのヒュルス(Huls)社)、ウベタックAPAO(宇部レキセン社)等を用い、これらの市販樹脂に前記の方法で不飽和カルボン酸成分を導入したポリオレフィン樹脂や、ユーメックスシリーズ(三洋化成社)等が挙げられる。上記の市販樹脂のうち、ベストプラスト408、ベストプラスト708、ユーメックスシリーズを用いることが好ましい。
【0032】
なお、不飽和カルボン酸成分と炭素数2〜6の不飽和炭化水素成分が本発明の構成成分比率となるように、2種以上の任意のポリオレフィン樹脂を混合して酸変性ポリオレフィン樹脂(A)としてもよい。
【0033】
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の分子量としては、特に限定されないが、質量平均分子量は10000以上であることが好ましく、10000〜150000であることがより好ましく、12000〜120000であることがさらに好ましく、15000〜100000であることが特に好ましく、20000〜90000であることが最も好ましい。質量平均分子量が10000未満の場合は、電極がもろくなり、活物質同士の結着性、活物質と集電体の結着性が低下するおそれがある。質量平均分子量が150000を超える場合は、樹脂の水性化が困難になる傾向がある。
【0034】
なお、樹脂の重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いてポリスチレン樹脂を標準として求めることができる。
【0035】
次に、ポリフッ化ビニリデン樹脂(B)について説明する。本発明のバインダー用樹脂組成物に用いられるポリフッ化ビニリデン樹脂(B)は、その共重合成分は特に限定されない。必要に応じて後述する共重合成分を含有していてもよい。また、本発明のバインダー用樹脂組成物に用いられるポリフッ化ビニリデン樹脂(B)は、酸変性成分を含有していてもよい。このような酸変性成分としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。樹脂(B)では、酸変性成分の含有量は、特に限定されないが、樹脂(B)100質量部に対して20質量%以下であることが好ましい。20質量%を超えると、バインダーとした際に上記したような本発明の効果を奏することが困難となりやすい。
【0036】
ポリフッ化ビニリデン樹脂(B)の質量平均分子量は、電極塗布乾燥、圧延後の強度、接着性が保持できるレベル以上の分子量であれば特に限定されないが、好ましくは下限が約15万以上、さらに好ましくは30万以上、最も好ましくは40万以上である。また、あまり高分子量でも電極塗膜が接着しにくくなるので、質量平均分子量上限は好ましくは500万以下、より好ましくは350万以下、更に好ましくは200万以下が望ましい。
【0037】
なお、樹脂の重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いてポリスチレン樹脂を標準として求めることができる。
【0038】
本発明のバインダー用樹脂組成物は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)及びポリフッ化ビニリデン樹脂(B)を含有するものである。このとき、樹脂(B)の含有量は、(A)100質量部に対して、(B)が20〜100質量部であることが必要であり、30〜90質量部であることが好ましく、50〜80質量部であることがさらに好ましい。
【0039】
バインダー用樹脂組成物におけるポリフッ化ビニリデン樹脂(B)の含有量が20質量部未満では、得られるバインダーはポリフッ化ビニリデン樹脂(B)の添加効果がほとんど見られず、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)のみを用いたバインダーと比べて十分な電池特性向上の効果が得られない。一方、ポリフッ化ビニリデン樹脂(B)の含有量が100質量部を超えると、得られるバインダーは接着性が低下するおそれがある。
【0040】
本発明におけるポリフッ化ビニリデン樹脂(B)中に含まれる共重合成分として、また、本発明のバインダー用樹脂組成物中に含まれる他の成分として、本発明の効果を損なわない範囲内で、以下のような成分を含有していてもよい。すなわち、このような成分としては、例えば、アクリル酸メチルやメタクリル酸メチル、アクリル酸エチルなどのアクリル酸エステル類及びメタクリル酸エステル類、1−ペンテン、4−メチルー1−ペンテン、3−メチルー1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのアルケン類やジエン類、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどのマレイン酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、き酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどのビニルエステル類、ビニルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、置換スチレン、ハロゲン化ビニル類、ハロゲン化ビニリデン類、一酸化炭素、二酸化硫黄など、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0041】
このような成分は、バインダー用樹脂組成物の20質量%以下であることが好ましい。20質量%を超えると、バインダーとした際に上記したような本発明の効果を奏することが困難となりやすい。
【0042】
次に、本発明の二次電池電極用バインダー液(以下、バインダー液と略記することがある)について説明する。本発明のバインダー液は、上記したような本発明のバインダー用樹脂組成物と液状媒体とを含有するものである。液状媒体としては、水、NMP、トリメチルフォスフェート、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等の有機溶媒が挙げられるが、環境への影響を考慮し、中でも水を用いることが好ましい。
【0043】
そして、本発明のバインダー液中には、本発明のバインダー用樹脂組成物を含有するものであるが、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)とポリフッ化ビニリデン樹脂(B)とを合わせた樹脂の固形分濃度が、1〜50質量%であることが好ましく、3〜40質量%であることがより好ましく、5〜30質量%であることが特に好ましい。(A)と(B)を合わせた樹脂の固形分濃度が50質量%を超えると、バインダー液の著しい粘度増加あるいは固化により取扱い性が低下する傾向がある。一方、樹脂の固形分濃度が1質量%未満ではバインダー液の著しい粘度低下により取扱い性が低下する傾向がある。
【0044】
上記したように、本発明のバインダー液は液状媒体として水を用いることが好ましく、中でも、本発明のバインダー用樹脂組成物の水性分散体であることが好ましい。水性分散体中では、バインダー用樹脂組成物の酸変性ポリオレフィン樹脂(A)とポリフッ化ビニリデン樹脂(B)が均一に混合・分散されていることが好ましい。このような水性分散体を得るには、例えば、それぞれあらかじめ調製された酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体とポリフッ化ビニリデン樹脂(B)の水性分散体とを混合する方法や、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)とポリフッ化ビニリデン樹脂(B)を混合し、水や溶媒とともに加熱・攪拌を行って水性分散体を得る方法が挙げられる。中でも、前者の方がより好ましい。
【0045】
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)を水性媒体に分散する方法は、特に限定されないが、例えば、加圧下、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)、塩基性化合物及び水性媒体を密閉容器中で加熱、攪拌することで分散する方法を用いることができる。なお、水性媒体とは、水を主成分とする液体であり、水溶性の有機溶剤や塩基性化合物を含有していてもよい。
【0046】
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性媒体への分散化の際に塩基性化合物を添加することにより、バインダー用樹脂組成物を水性媒体中に均一に分散させることができ、分散安定性に優れたバインダーを得ることができる。塩基性化合物としては、アンモニア、有機アミンなどのアミン類などが挙げられる。有機アミン化合物の具体例としては、トリエチルアミン、N、N−ジメチルエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等を挙げることができる。中でもトリエチルアミン、N、N−ジメチルエタノールアミンを用いることが好ましい。
【0047】
また、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体中の塩基性化合物の含有量は、樹脂固形分に対して0.01〜100質量%であることが好ましく、中でも0.05〜40質量%であることが好ましく、0.1〜15質量%であることがより好ましい。0.01質量%未満では、塩基性化合物を添加する効果に乏しく、分散安定性に優れた水性分散体を得ることが困難となりやすい。一方、100質量%を超えると、バインダーの着色やゲル化が生じやすくなる。
【0048】
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性媒体への分散化の際に有機溶剤を添加することにより、分散化を促進し、分散粒子径を小さくすることができる。使用する有機溶剤量は、水性媒体中の50質量%以下であることが好ましく、1〜45質量%であることがより好ましく、2〜40質量%であることがさらに好ましく、3〜35質量%であることが特に好ましい。有機溶剤量が50質量%を超える場合には、使用する有機溶剤によっては水性分散体の安定性が低下してしまう場合がある。
【0049】
有機溶剤としては、良好な水性分散体を得るという点から、20℃における水に対する溶解性が10g/L以上のものが好ましく用いられる。さらに好ましくは20g/L以上、特に好ましくは50g/L以上である。
【0050】
有機溶剤としては、除去し易い点から常圧時の沸点が250℃未満のものが好ましく、50℃以上かつ185℃未満のものが特に好ましい。沸点が250℃以上の有機溶剤は樹脂塗膜から乾燥によって飛散させることが困難であり、材料間の密着性を悪化させる場合がある。使用される有機溶剤の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル等のエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート等のグリコール誘導体、さらには、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチル、1,2−ジメチルグリセリン、1,3−ジメチルグリセリン、トリメチルグリセリン等が挙げられる。これらの有機溶剤は2種以上を混合して使用してもよい。
【0051】
上記の有機溶剤の中でも、樹脂の水性化促進に効果が高いという点から、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルが好ましく、これらの中でも水酸基を分子内に1つ有する有機溶剤がより好ましく、少量の添加で樹脂を水性化できる点からn−プロパノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、エチレングリコールアルキルエーテル類がさらに好ましい。
【0052】
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の分散化の際に上記の有機溶剤を用いた場合には、分散化の後に、その一部を、一般に「ストリッピング」と呼ばれる脱溶剤処理によって系外へ留去させ、有機溶剤量の低減を図ることができる。ストリッピングにより、水性分散体中の有機溶剤含有量は、10質量%以下とすることができ、5質量%以下とすれば、環境上好ましい。
【0053】
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)は、親水化処理して使用することができる。親水処理としては、例えば、スルホン化処理、フッ素ガス処理、グラフト重合処理、又は放電処理などを挙げることができ、これら1種類以上の親水化処理を実施することができる。スルホン化処理としては、特に限定するものではないが、例えば、発煙硫酸、硫酸、クロロ硫酸、又は塩化スルフリルなどの溶液中に浸漬する処理、SOガスと接触させる処理、あるいは、SOガス及び/又はSOガス存在下で放電を作用させる処理を挙げることができる。これらの中でも、発煙硫酸によるスルホン化処理は、反応性が高く、比較的容易にスルホン化することができるため好適である。この場合、主としてスルホン酸基が導入される。
【0054】
このように、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)、塩基性化合物及び液状媒体を含有するものである。水性分散体には、必要に応じて不揮発性水性分散化助剤を含有させてもよい。
【0055】
次に、ポリフッ化ビニリデン樹脂(B)の水性分散体について説明する。ポリフッ化ビニリデン樹脂(B)を液状媒体に分散する方法は特に限定はされないが、乳化重合、懸濁重合、分散重合、溶液重合、超臨界重合、及びその乾燥微粒子を乳化剤で再分散したディスパージョンを水性分散体として使用することも可能であるが、重合後に既に微粒子の水性分散体になっている乳化重合での作製が好ましい。
【0056】
また、ポリフッ化ビニリデン樹脂(B)の水性分散体は、不揮発性水性分散化助剤を含有してもよい。本発明において、不揮発性水性分散化助剤とは、水性分散化において、水性分散化促進や水性分散体の安定化の目的で添加される薬剤や化合物を指す。不揮発性とは、常圧での沸点を有さないか、もしくは、常圧で高沸点(例えば300℃以上)であることを指す。本明細書でいう常圧時とは大気圧時との意味であり、沸点とは、全て常圧における沸点のことである。
【0057】
本発明における不揮発性水性分散化助剤としては、乳化剤などが挙げられ、その具体例としては、カチオン性乳化剤、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、あるいは両性乳化剤が挙げられ、一般に乳化重合に用いられるもののほか、界面活性剤類も含まれる。例えば、アニオン性乳化剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、高級カルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート塩、ビニルスルホサクシネート等が挙げられ、ノニオン性乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体などのポリオキシエチレン構造を有する化合物やポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどのソルビタン誘導体等が挙げられ、両性乳化剤としては、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。
【0058】
ポリフッ化ビニリデン樹脂(B)の水性分散体の具体例としては、例えば、Kynar Aquatec(アルケマ社製)、VINYCOAT PVDF アクア(東日本塗料社製)などが市販されている。
【0059】
また、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)とポリフッ化ビニリデン樹脂(B)の水性分散体には、必要に応じ、本発明の効果を損なわない範囲内で、さらに他の重合体の水性分散体を添加してもよい。例えば、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、変性ナイロン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などの水性分散体、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0060】
本発明の二次電池電極用バインダー液に、活物質と必要に応じて導電材とを含有させることにより二次電池電極用ペーストを得ることができる。
【0061】
正極用活物質としては、リチウムイオンを可逆的に放出、吸蔵でき、電子伝導度が高い材料が好ましく、例えば、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウムなどの遷移金属酸化物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
一方、負極用活物質としては、例えばグラファイトなどの炭素材が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0063】
そして、導電材としては、炭素材または金属もしくはその化合物を用いることができる。炭素材としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、グラファイト、炭素繊維等を挙げることができ、金属もしくはその化合物としては、ニッケル、コバルト、チタン、酸化コバルト、酸化チタン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0064】
二次電池電極用ペーストにおける酸変性ポリオレフィン樹脂(A)とポリフッ化ビニリデン樹脂(B)の含有量((A)と(B)の合計の含有量)は、0.01〜8質量%であることが好ましい。8質量%を超えると、得られる電極における電気抵抗値が高くなる傾向がある。また0.01質量%未満であると、活物質と導電材及び金属集電体との十分な接着性を得ることが困難となりやすい。
【0065】
また、二次電池電極用ペーストに、必要に応じ、本発明の効果を損なわない範囲内で酸変性ポリオレフィン樹脂(A)とポリフッ化ビニリデン樹脂(B)以外に、水溶性ポリマーを添加してもよい。水溶性ポリマーの具体例としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース系ポリマー、ポリアクリル酸ナトリウムなどのポリアクリル酸塩、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、アクリル酸またはアクリル酸塩とビニルアルコールの共重合体、無水マレイン酸またはマレイン酸もしくはフマル酸とビニルアルコールの共重合体、変性ポリビニルアルコール、変性ポリアクリル酸などが例示される。
【0066】
中でも、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体が効果的である。これらのセルロース類は、金属集電体、活物質、導電材料の各材料間の濡れ性を向上させる。配合量としては、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(B)、活物質、導電材の計100質量部に対して0.01〜5質量部が好ましく、より好ましくは0.01〜3質量部、さらに好ましくは0.01〜1.5質量部である。
【0067】
本発明において二次電池電極用ペーストを製造する条件や方法は特に限定されず、二次電池電極用バインダー液と、活物質と、導電材とを常温もしくは適当に制御された温度で混合した後、機械的分散処理、超音波分散処理等が使用できる。混合順序については特に限定されない。また、必要に応じて上述した他成分や溶媒などを添加することもできる。
【0068】
本発明の二次電池電極は、本発明の二次電池電極のバインダー用樹脂組成物を含有するものであり、本発明の二次電池電極用バインダー液を用いて形成することができ、例えば上記のようにして製造した二次電池電極用ペーストを集電体上に塗布・乾燥することにより、二次電池電極を形成することができる。
【0069】
集電体としては、導電性を有する物質であればよく、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅などが挙げられる。集電体の厚みに特に制限はないが、通常5〜50μmの薄膜が用いられる。
【0070】
ペーストを集電体上に塗布する方法としては、例えばドクターブレードを用いる方法が挙げられ、液状媒体を除去する方法としては、例えば60〜150℃、好ましくは70〜130℃で5〜120分間乾燥し、さらに例えば120℃で12時間減圧乾燥する方法が挙げられる。塗布、乾燥後の電極の厚みは30〜150μmが好ましい。電極の厚みや密度を制御するために、例えばロールプレス機によってプレスすることが好ましい。
【0071】
本発明の二次電池は、本発明の二次電池電極を用いて形成されたものであるが、例えば、上記のようにして製造した二次電池電極を、セパレーター及び電解液とともに常法に従って容器に封入することにより二次電池を形成することができる。
【0072】
二次電池を構成するセパレーターとしては、ポリエチレン微多孔膜、ポリプロピレン微多孔膜、ポリエチレン不織布、ポリプロピレン不織布、ポリアミド不織布、ガラス繊維などが挙げられ、電解液としては、エチレンカーボネートやジエチルカーボネート、プロピレンカーボネートなどの非水溶媒を1種類及び2種類以上混合した混合溶媒に六フッ化リン酸リチウム、過塩素酸リチウムなどの支持電解塩が添加されたものが挙げられる。また、セパレーターに代えて固体電解質あるいはゲル電解質を用いてもよい。電解質としては、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、トリエチルモノメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラエチルアンモニウムヘキサフルオロフォスフェート、イオン性液体、硫酸水溶液、水酸化カリウム水溶液などが挙げられる。電解質を溶解させる溶媒(電解液溶媒)も、一般的に電解液溶媒として用いられるものであれば特に限定されない。具体的には、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどのカーボネート類;γ−ブチロラクトンなどのラクトン類;スルホラン類;アセトニトリルなどのニトリル類;イオン性液体などが挙げられ、これらは単独または二種以上の混合溶媒として使用することができる。
【実施例】
【0073】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。なお、後述する各種の特性は、以下の方法によって測定または評価した。
【0074】
(1)酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の不飽和カルボン酸含有量
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の酸価をJIS K5407に記載の方法に準じて測定し、その値から、(A)の不飽和カルボン酸含有量を求めた。
【0075】
(2)酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の樹脂の構成
オルトジクロロベンゼン(d4)中で、120℃にて1H−NMR分析(バリアン社製、300MHz)を行い求めた。
【0076】
(3)金属集電体接着強度
二次電池電極用バインダー液を銅箔及びアルミ箔に乾燥後の接着層の厚みが3μmになるようにメイヤーバーでコートし、150℃で90秒間乾燥した。バインダー液塗布面に銅箔及びアルミ箔を貼り合わせ、ヒートプレス機(シール圧0.3MPaで5秒間)にて160℃でプレスした。
得られた銅積層体及びアルミ箔積層体から幅15mm、長さ10cmの測定サンプルを切り出し、引張り試験機(インテスコ社製精密万能材料試験機2020型)を用い、引張り速度200mm/分の条件にてT型剥離試験を行い、剥離強度を評価した。なお測定は各サンプル5回実施し、その平均値を剥離強度とした。
【0077】
(4)電極接着強度
銅箔上に負極用ペーストを塗布して形成した負極電極及び、アルミ箔上に正極用ペーストを塗布して形成した正極電極から、幅2.5cm、長さ10cmの測定サンプルを切り出し、金属集電体側を十分な厚みを有する鋼板に両面テープで貼り合わせた。試験サンプルの活物質層にセロハンテープ(ニチバン社製、CT−18、18mm幅)を貼り付け、その一辺から180°の方向に50mm/分の速度で引き剥がしたときの応力を測定した。なお測定は各サンプル3回実施し、その平均値を剥離強度とした。
【0078】
(5)初期充放電効率(負極)
二次電池負極電極とコバルト酸リチウム電極と組み合わせて作製したコイン型電池を使用して、充放電試験を行った。25℃環境下、0.2C−4.1V定電流定電圧充電後、0.2C−2.5V定電流放電を行い、放電容量と充電容量より下記式にて算出した。
初期充放電効率(%)=(0.2C放電容量/0.2C充電容量)×100
【0079】
(6)初期充放電効率(正極)
二次電池正極電極と黒鉛電極と組み合わせて作製したコイン型電池を使用して、充放電試験を行った。25℃環境下、0.2C−4.1V定電流定電圧充電後、0.2C−2.5V定電流放電を行い、放電容量と充電容量より下記式にて算出した。
初期充放電効率(%)=(0.2C放電容量/0.2C充電容量)×100
【0080】
(7)サイクル特性(負極)
二次電池負極電極とコバルト酸リチウム電極と組み合わせて作製したコイン型電池を使用して、充放電試験を行った。50℃環境下、1C−4.1V定電流定電圧充電後、1C−2.5V定電流放電を繰り返し行うことにより、サイクル特性の評価を行った。初期容量を100%とし、10サイクル後の電池容量を求め、維持率を算出した。
また、サイクル特性の試験後、電池を解体して負極電極を取り出した。電極表面に付着した電解液をキムワイプで拭き取り、活物質層にセロハンテープ(ニチバン社製、CT−18、18mm幅)を貼り付け、その一辺から180度の方向に50mm/分の速度で引き剥がした際の電極の状態を観察した。サイクル特性試験後の電極接着性評価は、全く活物質層の剥離を確認しなかったものを○、活物質の剥離を確認したものを×とした。
【0081】
(8)サイクル特性(正極)
二次電池正極電極と黒鉛電極と組み合わせて作製したコイン型電池を使用して、充放電試験を行った。50℃環境下、1C−4.1V定電流定電圧充電後、1C−2.5V定電流放電を繰り返し行うことにより、サイクル特性の評価を行った。初期容量を100%とし、30サイクル後の電池容量を求め、維持率を算出した。
また、サイクル特性の試験後、電池を解体して正極電極を取り出した。電極表面に付着した電解液をキムワイプで拭き取り、活物質層にセロハンテープ(ニチバン社製、CT−18、18mm幅)を貼り付け、その一辺から180度の方向に50mm/分の速度で引き剥がした際の電極の状態を観察した。サイクル特性試験後の電極接着性評価は、全く活物質層の剥離を確認しなかったものを○、活物質の剥離を確認したものを×とした。
【0082】
参考例1
<酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体「E−1」の製造>
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、酸変性ポリオレフィン樹脂(a)として60.0gのボンダインTX−8030(商品名)(アルケマ社製)、48.0gのイソプロパノール、塩基性化合物として3.9gのN,N−ジメチルエタノールアミン及び188.1gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140℃に保ってさらに60分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却し、乳白色の均一な分散体(固形分濃度20質量%)を得た。
【0083】
前記分散体290g、蒸留水80gを1Lのナスフラスコに入れ、エバポレーターに設置し、60℃で減圧することにより水性媒体を留去した。約87gの水性媒体を留去したところで、加熱を終了し、常圧に戻して室温まで冷却した。冷却後、フラスコ内の液状成分を300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な水性分散体「E−1」(固形分濃度20質量%)を得た。
【0084】
参考例2
<酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体「E−2」の製造>
撹拌機とヒーターを備えた密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、酸変性ポリオレフィン樹脂(b)として、ユーメックス1001(商品名)(三洋化成社製)を90g、塩基性化合物としてN,N−ジメチルエタノールアミンを8g、有機溶剤テトラヒドロフランを240g、蒸留水を260g仕込み、密閉した後、300rpmで撹拌翼しながら130℃(内温)まで加熱した。撹拌下、130℃で1時間保持した後、ヒーターの電源を切り60℃まで自然冷却し、乳白色の均一な分散体(固形分濃度15質量%)を得た。
【0085】
前記分散体290g、蒸留水40gを1Lのナスフラスコに入れ、エバポレーターに設置し、60℃で減圧することにより水性媒体を留去した。約160gの水性媒体を留去したところで、加熱を終了し、常圧に戻して室温まで冷却した。冷却後、フラスコ内の液状成分を300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な水性分散体「E−2」(固形分濃度25質量%)を得た。
【0086】
参考例3
<酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体「E−3」の製造>
プロピレン−ブテン−エチレン三元共重合体(ヒュルスジャパン社製、ベストプラスト708(商品名)、プロピレン/ブテン/エチレン=64.8/23.9/11.3質量%)280gを、4つ口フラスコ中において、窒素雰囲気下で加熱溶融させた。その後、系内温度を170℃に保って、撹拌下、不飽和カルボン酸としての無水マレイン酸32.0gとラジカル発生剤としてのジクミルパーオキサイド6.0gとをそれぞれ1時間かけて加え、その後1時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥して、酸変性ポリオレフィン樹脂(b)「P−1」を得た。
【0087】
酸変性ポリオレフィン樹脂(b)として、「P−1」を用いた以外は、参考例2と同様の方法で、乳白色の均一な水性分散体「E−3」(固形分濃度25質量%)を得た。
【0088】
上記水性分散体「E−1」〜「E−3」の製造に使用した酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の組成を表1に示す。
【0089】
【表1】

【0090】
参考例4
<ポリフッ化ビニリデン樹脂の水性分散体「E−4」の製造>
6L−ステンレス製オートクレーブ中でポリフッ化ビニリデン樹脂の乳化重合を行い、ポリフッ化ビニリデン樹脂の水性分散体を得た。重合温度は80℃、開始剤はアンモニウムパーサルフェート(APS)、界面活性剤としては、ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテル(日本油脂(株)製、ディスパノールTOC(商品名))、連鎖移動剤にイソプロピルアルコール(IPA)を使用して重合を行った。分子量調整は、重合圧力と、連鎖移動剤、開始剤の量により調節した。得られた質量平均分子量は330000であった。
【0091】
実施例1
酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体「E−1」と、ポリフッ化ビニリデン樹脂の水性分散体「E−4」とを用い、酸変性ポリオレフィン樹脂(固形分)100質量部に、ポリフッ化ビニリデン樹脂(固形分)20質量部となるように配合し、室温で5分間、混合攪拌し、バインダー用樹脂組成物の水性分散体である、二次電池電極用バインダー液「T−1」を得た。得られた二次電池電極用バインダー液の金属集電体との接着性を表2に示す。
【0092】
実施例2〜6、比較例1〜6
酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体の種類、及びその固形分の含有量を表2に示すように変更した以外は実施例1と同様の方法で、バインダー用樹脂組成物の水性分散体である、二次電池電極用バインダー液「T−2」〜「T−6」を得た。また、比較例には、参考例1〜4で得た「E−1」〜「E−4」及び、実施例1と同様の方法で、バインダー用樹脂組成物の水性分散体である、二次電池電極用バインダー液「T−7」〜「T−8」を用いた。得られた二次電池電極用バインダー液の金属集電体との接着性を表2に示す。
【0093】
【表2】

【0094】
実施例7〜12、比較例7〜12
負極活物質として黒鉛粉末(日本黒鉛工業社製、CGC−20(商品名))と、導電材としてアセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック(商品名))と、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)(第一工業製薬社製、セロゲンBSH−6(商品名))水溶液と、表3に記載された二次電池電極用バインダー液とを、それぞれの固形分濃度が、92.2質量%、4質量%、0.8質量%、3質量%になるように配合し、さらに、ペーストの固形分濃度が45質量%になるように蒸留水で希釈した後、十分に混練することによって二次電池負極用ペーストを調製した。
【0095】
得られたペーストを厚さ18μmの銅箔の片面に、乾燥後の厚さが約80μmになるようフィルムアプリケーターを用いて塗布し、80℃で30分熱風乾燥させた後、さらに水分を除去するために120℃で15時間真空乾燥して、銅箔上に活物質層を形成して二次電池負極電極を調製した。
【0096】
上記調製方法で得られた二次電池負極電極を用い、面積が2cmの円形になるように切断し、集電体上の塗膜をプレスにて膜密度が1.2g/cmとなるように成形し、コバルト酸リチウム電極(宝泉社製)と組み合わせるとともに両極の間にポリプロピレンメンブレンセパレーター(セルガード社製、セルガード#2400(商品名))を挟んでコイン型電池を作製した。
【0097】
得られた負極電極、電池の特性値と評価結果を表3に示す。
【0098】
【表3】

【0099】
実施例13〜18、比較例13〜18
正極活物質としてコバルト酸リチウム(日本化学工業社製、セルシード C−10N(商品名))と、導電材としてアセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック(商品名))と、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)(第一工業製薬社製、セロゲンBSH−6(商品名))水溶液と、表4に記載された二次電池電極用バインダー液とを、それぞれの固形分濃度が92質量%、4質量%、1質量%、3質量%になるように配合し、さらに、ペーストの固形分濃度が55質量%になるように蒸留水で希釈した後、十分に混練することによって二次電池正極用ペーストを調製した。
【0100】
得られたペーストを厚さ18μmのアルミ箔の片面に、乾燥後の厚さが約80μmになるようフィルムアプリケーターを用いて塗布し、80℃で30分熱風乾燥させた後、さらに水分を除去するために120℃で15時間真空乾燥して、アルミ箔上に活物質層を形成して二次電池正極電極を調製した。
【0101】
上記調製方法で得られた二次電池正極電極を用い、面積が2cmの円形になるように切断し、集電体上の塗膜をプレスにて膜密度が3.0g/cmとなるように成形し、黒鉛電極(宝泉社製)と組み合わせるとともに両極の間にポリプロピレンメンブレンセパレーター(セルガード社製、セルガード#2400(商品名))を挟んでコイン型電池を作製した。
【0102】
得られた負極電極、電池の特性値と評価結果を表4に示す。
【0103】
【表4】

【0104】
表2から明らかなように、実施例1〜6で得られた二次電池電極用バインダー液は、金属集電体との接着強度が高いものであった。
【0105】
また、表3、4から明らかなように、実施例7〜18で得られた電極は、接着強度が高いものであった。このため、得られた二次電池は、初期特性、サイクル特性及びサイクル特性後の接着性が良好な特性を示していた。
【0106】
一方、比較例1〜3で得られた二次電池電極用バインダー液は、バインダー用樹脂組成物が酸変性ポリオレフィン樹脂(A)のみからなるものであったため、金属集電体との接着強度は高いものであったが、そのバインダー液を用いて得られた電池は、初期特性、サイクル特性が劣るものであった(比較例7〜9、13〜15)。また、比較例4で得られた二次電池電極用バインダー液は、ポリフッ化ビニリデン樹脂(B)のみからなるものであったため金属集電体との接着強度が低く、そのバインダー液を用いて得られた電池は、初期特性、サイクル特性及びサイクル特性後の接着性が劣るものであった(比較例10、16)。
【0107】
また、比較例5で得られた二次電池電極用バインダー液は、ポリフッ化ビニリデン樹脂(B)の割合が少なすぎたため、金属集電体との接着強度は高いものであったが、そのバインダー液を用いて得られた電池は、初期特性、サイクル特性が劣るものであった(比較例11、17)。
【0108】
比較例6で得られた二次電池電極用バインダー液は、ポリフッ化ビニリデン樹脂(B)の割合が多すぎたため、金属集電体との接着性が低く、そのバインダー液を用いて得られた電池は、初期特性、サイクル特性及びサイクル特性後の接着性が劣るものであった(比較例12、18)。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部と、ポリフッ化ビニリデン樹脂(B)20〜100質量部を含有することを特徴とする二次電池電極のバインダー用樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1記載の二次電池電極のバインダー用樹脂組成物と液状媒体とを含有する二次電池電極用バインダー液。
【請求項3】
液状媒体が水である請求項2記載の二次電池電極用バインダー液。
【請求項4】
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)が、不飽和カルボン酸成分又はその無水物を酸変性成分として含有し、その含有量が樹脂(A)100質量部に対して0.1〜10質量%であることを特徴とする請求項1記載の二次電池電極のバインダー用樹脂組成物。
【請求項5】
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)が、エチレン成分を50〜98質量%含有する酸変性ポリオレフィン樹脂(a)及び/又は炭素数3〜6の不飽和炭化水素成分を50〜98質量%含有する酸変性ポリオレフィン樹脂(b)であることを特徴とする請求項4記載の二次電池電極のバインダー用樹脂組成物。
【請求項6】
請求項4又は5記載の二次電池電極のバインダー用樹脂組成物と、液状媒体とを含有する二次電池電極用バインダー液。
【請求項7】
液状媒体が水である請求項6記載の二次電池電極用バインダー液。
【請求項8】
請求項1、4又は5のいずれかに記載の二次電池電極のバインダー用樹脂組成物を含有することを特徴とする二次電池電極。
【請求項9】
請求項2、3、6又は7記載の二次電池電極用バインダー液を用いて形成された二次電池電極。
【請求項10】
請求項8又は9記載の二次電池電極を用いて形成された二次電池。


【公開番号】特開2012−113894(P2012−113894A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260676(P2010−260676)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000004503)ユニチカ株式会社 (1,214)
【Fターム(参考)】