説明

二液吐出装置

【課題】内容物の残量を外から確認することができ、かつ製造が容易な二液吐出装置を提供する。
【解決手段】第1内容物Aを充填する第1容器1と、第2内容物Bを充填する第2容器2と、第1容器と第2容器に装着される吐出部材4と、第1容器と第2容器のそれぞれの容器本体の胴部同士を連結するシュリンクフィルム3とからなり、前記第1容器と前記第2容器の少なくとも一方が、透光性を有する合成樹脂製の容器本体9を備えており、前記シュリンクフィルムの一部が透明であり、その透明部分3aが透光性を有する合成樹脂製の容器本体の胴部側面に配置されている二液吐出装置24。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は2液を吐出する二液吐出装置に関する。さらに詳しくは、2種類の内容物を別々に充填した2本の容器を連結して一体化し、使用時に2種類の内容物を吐出させる二液吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の2剤吐出装置は、毛髪化粧剤を構成する第1剤と第2剤のそれぞれを充填する2つのエアゾール容器を備えており、少なくとも一方のエアゾール容器を、透明部または半透明部を有するポリエステル製にしている。これにより、エアゾール容器の腐食が防止され、かつ内容物の残量が視覚的に確認できるというものである。
特許文献2には、アルカリ性の第1剤とプロペラントを充填するアルミニウム製の第1エアゾール容器と、酸性の第2剤とプロペラントを充填する合成樹脂製の第2エアゾール容器とからなる2液混合型エアゾール装置が開示されている。
特許文献3には、毛髪染色製品に用いられるガス容器が開示されている。そのガス容器はポリエチレンテレフタレートで形成され、その容器の底は半球底であり、この半球底を弁保持キャップの受け座としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−119328号公報
【特許文献2】特開平10−86983号公報
【特許文献3】特表2003−503289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2種類の内容物を別々の容器に充填し、使用時に2種類の内容物を吐出させる二液吐出装置において、使用前あるいは使用中に内容物の残量を確認できるように、少なくとも一方の容器本体を透光性を有する合成樹脂製にすることが考えられる。しかし、容器本体を合成樹脂製にすることで内容物が光により劣化する問題がある。なお、容器同士を不透明なシュリンクフィルムで覆うことができるが、合成樹脂製の容器本体内の残量を外から確認するのは困難になる。
【0005】
そこで、本発明はシュリンクフィルムで2本の容器が包装されていても、内容物の残量を外から確認することができ、かつ製造が容易な二液吐出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の二液吐出装置は(請求項1)、第1内容物を充填する第1容器と、第2内容物を充填する第2容器と、第1容器と第2容器に装着される吐出部材と、第1容器と第2容器のそれぞれの容器本体の胴部同士を並列に連結する筒状のシュリンクフィルムとからなり、前記第1容器と前記第2容器の少なくとも一方が、透光性を有する合成樹脂製の容器本体を備えており、前記シュリンクフィルムに透視部分を設け、前記透視部分が合成樹脂製の容器本体の胴部に配置されていることを特徴としている。
【0007】
このような二液吐出装置は、前記透視部分を、2本の容器を連結したときの短辺側側面に設けることが好ましい(請求項2)。
また、前記合成樹脂製の容器本体および/またはシュリンクフィルムの少なくとも透視
部分に、紫外線を吸収または散乱させる紫外線防止処理を施していることが好ましい。(請求項3)
さらに、前記合成樹脂製の容器本体が、その胴部に印刷部分を有しており、前記シュリンクフィルムの透視部分が前記容器の印刷部分と重複しないように配置されているものが好ましい(請求項4)。
また、前記合成樹脂製の容器本体の印刷部分の上部および/または下部に接着成分が塗布されており、その接着成分により他方の容器と接着されているものが好ましい(請求項5)。
【0008】
さらに、前記第1容器と第2容器が異なる形状であり、前記第1容器と第2容器を装着して連結する連結部材を有し、その連結部材が、第1容器を装着する第1装着部と、第2容器を装着する第2装着部とを備えているものが好ましい(請求項6)。
また、前記連結部材が、その中央付近で第1装着部を有する第1装着部材と第2装着部を有する第2装着部材とに分割され、それら部材同士が係脱自在にされているものが好ましい(請求項7)。
さらに、前記連結部材の第1装着部と第2装着部が左右対称であり、一方の容器に装着され、どちらの装着部にも装着可能にする補助装着部材を備えているものが好ましい(請求項8)。
【0009】
また、前記透光性を有する合成樹脂製の容器本体の底部が半球状であり、その半球状の底部に嵌合される保持キャップを備えており、その保持キャップが他の容器の底部と同じ形状であるものが好ましい(請求項9)。
また、前記容器本体底部の半球状部分と保持キャップにより、第1容器と第2容器の高さを調整するものが好ましい(請求項10)。
【発明の効果】
【0010】
本発明の二液吐出装置は(請求項1)、少なくとも1つの容器本体が透光性を有する合成樹脂製であり、2本の容器本体の胴部同士を筒状のシュリンクフィルムで連結し、そのシュリンクフィルムの少なくとも一部に透視部分を設け、その透視部分が合成樹脂製の容器本体の胴部に配置されているので、胴部を把持して吐出部材を操作するときは合成樹脂製の容器本体の底部から入った外光により胴部の透視部分から内部が見やすくなり、また、容器を置いた状態で吐出部材を操作するときは胴部の透視部分から外光が入り内部が見やすくなり、内容物の残量を使用前および使用中に目視で確認することができる。また、前記透視部分は一部にしか設けていないので、光の透過による内容物の劣化を小さくすることができる。
特に、透視部分を2本の容器本体を連結したときの短辺部側面に設ける場合は(請求項2)、光の透過による内容物の劣化をより小さくすることができる。また、シュリンクフィルムの熱収縮が安定する長辺部分に文字の大きさが規定されている法定表示を設けることができ、製造が容易になる。
さらに、合成樹脂製の容器本体および/またはシュリンクフィルムの少なくとも透視部分に、紫外線を吸収または散乱させる紫外線防止処理を施している場合は(請求項3)、光の透過による内容物の劣化を防止できる。
【0011】
このような二液吐出装置は、前記合成樹脂製の容器本体が、その胴部に印刷部分を有しており、前記シュリンクフィルムの透視部分が前記容器の印刷部分と重複しないように配置されている場合は(請求項4)、シュリンクフィルムの透視部分が容器の印刷により見えにくくなることを防止でき、残量の確認が容易である。
また、前記合成樹脂製の容器本体の印刷部分の上部および/または下部に接着成分が塗布されており、その接着成分により他方の容器と接着されている場合は(請求項5)、容器本体の印刷位置を他方の容器側に固定化でき、シュリンクフィルムの透視部分との重複
を防止できる。
【0012】
さらに、前記第1容器と第2容器が異なる形状であり、前記第1容器と第2容器を装着して連結する連結部材を有し、その連結部材が、第1容器を装着する第1装着部と、第2容器を装着する第2装着部とを備えている場合は(請求項6)、吐出部材の装着が容易になる。さらにシュリンクフィルムを収縮させるとき、容器形状が異なる部分を各装着部の外形で合せることができるため、シュリンクフィルムの収縮率が安定化し、決められた文字の大きさで表示できる。特に容器の材質が金属と樹脂のように異なる場合は、熱伝導率が異なるため金属側と樹脂側で収縮率に差が出やすく表示が変形しやすくなるが、連結部材によりシュリンクフィルムの上部が保形されるため、収縮状態が安定し表示の変形を防止できる。
【0013】
また、前記連結部材が、その中央付近で第1装着部を有する第1装着部材と第2装着部を有する第2装着部材とに分割され、それら部材同士が係脱自在にされている場合は(請求項7)、それぞれの容器を別個の装着部材に装着し、部材同士を係合させて一体化できるので、1つの連結部材に材質や形状が異なる2本の容器を連結するのに比べて作業効率が高い。また、係合する部分があるので連結部材に対する容器の位置を決めることができる。すなわち、容器の外面に印刷部分をお互いに向かい合うように位置決めすることができる。
さらに、前記連結部材の第1装着部と第2装着部が左右対称であり、一方の容器に装着され、どちらの装着部にも装着可能にする補助装着部材を備えている場合は(請求項8)、補助装着部材により第1容器と第2容器の形状を合せることができ、連結部材の向きが制限されないため連結作業の効率が高い。
【0014】
また、前記合成樹脂製の容器本体の底部が半球状で、その半球状の底部に嵌合される保持キャップを備えており、その保持キャップが他の容器の底部と同じ形状である場合は(請求項9)、2つの容器の形状が揃うので、シュリンクフィルムの収縮後の形状を合せやすい。
【0015】
また、前記容器本体底部の半球状部分と保持キャップにより、第1容器と第2容器の高さを調整する場合は(請求項10)、ステムの先端の高さを合せることができるため、吐出部材を安定して作動させることができ、2液の吐出量も合せやすい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は本発明の二液吐出装置の一部切欠き斜視図である。
【図2】図2aは図1の一部断面斜視図、図2bは図2aの概略下面図である。
【図3】図3は図2の連結部材とシュリンクフィルムを取り外した様子を示す一部断面斜視図である。
【図4】図4は第1容器を示す断面図である。
【図5】図5は第2容器の容器本体の正面図である。
【図6】図6は第2容器のバルブアッセンブリを示す断面図である。
【図7】図7aはバルブアッセンブリの他の実施形態を示す部分断面図、図7bはバルブアッセンブリのさらに他の実施形態を示す部分断面図である。
【図8】図8a〜図8eはそれぞれ透視部分の他の実施形態を示す概略図である。
【図9】図9aは連結部材の他の実施形態を示す部分断面図、図9bは図9aの概略上面図である。
【図10】図10は連結部材のさらに他の実施形態を示す部分断面図である。
【図11】図11aは装着補助部材を示す斜面図、図11bは図11aの断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示す本発明の二液吐出装置(以下、吐出装置)24は、第1内容物Aが充填された第1容器1と、第2内容物Bが充填された第2容器2とを備えており、それら第1容器1と第2容器2とは胴部同士がシュリンクフィルム3により並列に連結されている。また、前記第1容器1と第2容器2の上部には吐出部材4が装着されている。さらに、第2容器2の下端には保持キャップ5が取り付けられている。
【0018】
図3に示すように、前記第1容器1は従来公知の二重エアゾール容器であり、容器本体6と、その容器本体6内に収容される内袋7と、容器本体および内袋の上部開口を塞ぐバルブアッセンブリ8とから構成されている。
図4に示すように、前記容器本体6は従来公知の形態を有し、金属板を胴部6aおよび底部6bを備えた有底筒状に成形し、胴部上端に略円錐状の肩部6cを形成し、肩部の上端に環状の凹部6dを形成し、さらに凹部6dから上方に延びる円筒状の開口部6eを設けたものである。金属板としてはアルミニウム、ブリキなどが用いられる。前記第1容器1としてワンピース缶、ツーピース缶やスリーピース缶を用いてもよい。なお、前記第1容器1の容器本体6の内面には合成樹脂による塗膜ないし被覆が設けられている。
前記内袋7は、底部7a、筒状の胴部7b、胴部上端に設けられた首部7c、首部上端に設けられた円筒状の開口部7dを有する合成樹脂製のものである。合成樹脂としては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ナイロンおよびこれらの積層物などがあげられる。
前記容器本体および内袋のそれぞれの開口部6e、7dにバルブアッセンブリ8を装着し、マウンティングキャップ8bの下端を容器本体の凹部6dに嵌着されている。なお、符号8aはバルブアッセンブリ8から延びるステムを示している。なお、内容物は、フォーム状に吐出する場合は内袋内に原液と噴射剤を充填し、クリーム状あるいはゲル状に吐出する場合はない内袋内に原液を充填し、容器本体6と内袋の間の空間に窒素ガスなどの加圧剤を充填する。
【0019】
図3に戻って前記第2容器2は原液と噴射剤を容器内に一緒に充填する一重構造のエアゾール容器であり、合成樹脂製の容器本体9と、その容器本体9の上部開口を塞ぐバルブアッセンブリ10とから構成される。
図5に示すように、第2容器2の容器本体9は、底部9aと、筒状の胴部9bと、その胴部9bの上部から上方に縮径する肩部9cと、その肩部9cの上部から上方に伸びる円筒状の首部9dと、その首部9dの上端から外向きに延びる口部9eとから構成されている。前記口部9eは口部側面9fと、その口部の上面の平面状の口部上面9gとを有し、その口部上面9gにはバルブアッセンブリのガスケットとのシール性を強くするための環状のリブ9hが設けられている。また、前記底部9aは自立できるように脚部9iを供えている。なお、図3のように底部を半球状とし、球状部分に保持キャップ5(図3参照)を係合して自立できるようにしてもよい。
前記容器本体9は、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)、ナイロン(NY)などの合成樹脂を用いてインジェクションブロー成型により成型される。前記容器本体9は透光性を有するため、内部に充填されている内容物を目視で確認できる。さらに染毛剤などの金属を腐食しやすい内容物であっても腐食されることなく安定に保存することができる。また、前記第1容器として合成樹脂製の容器を用いてもよく、たとえば、内容物が二液式染毛剤である場合は、第1容器にナイロン製の容器本体を用い、第2容器にポリエチレンテレフタレート製の容器本体を用い、第1容器に染料を含むアルカリ性の1剤を、第2容器に酸化剤を含む酸性の2剤を充填することが好ましい。さらに、シュリンクフィルム4(図1参照)を均一に被覆することができるという理由から、第1容器1と第2容器2のそれぞれの胴部の外径をほぼ同じ形状にするのが好ましい。
【0020】
図6に示すように、前記バルブアッセンブリ10は、バルブ機構15と、そのバルブ機構15のハウジング14を保持すると共に、容器本体9の口部上面9g(図5参照)に配置されるガスケット16を圧縮するように口部9e(図5参照)に固着されるマウンティングキャップ17とを備えている。また、前記バルブ機構15は、ステム11、ステムラバー12、スプリング13およびそれらを収納するハウジング14から構成される。
【0021】
前記ステム11は、上方に設けられた筒状部11aと、下方に設けられたブロック状の円柱状部11bとから構成されている。前記筒状部11aと円柱状部11bとの間には、筒状部11a内の通路と連通するステム孔11cが形成されている。前記ステム11はスプリング13により上方に付勢されており、円柱状部11bの上面11dがステムラバー12の下面から上方に押圧し、ステム孔11cを常時シールしている。
【0022】
図7aに第2容器2のバルブ機構の他の実施形態を示す。なお、前述したバルブ機構15(図4参照)と同じ部分には同じ符号を付して、その説明を省略する。図7aのバルブ機構15aはハウジング18と、そのハウジング18を保持するハウジング保持体19とを備えている。前記ハウジング18はステム11の円柱状部11bおよびスプリング13が収納される収納部18aを備えており、その収納部18aの上端からは、外向きに延び、その先端で下方にほぼ直角に下がる嵌合片18bが設けられている。前記収納部18aの側壁には第2容器内と連通する導入側孔18cが形成され、この導入側孔18cを通って第2内容物Bがステム11内へ導かれる。前記ハウジング保持体19は中央にステム11を貫通させる貫通孔が形成されたカバー部19aと、その周縁付近から下方に延び、第2容器9の口部9eの開口へ押し込まれるハウジング保持部19bと、前記カバー部19aの側縁からさらに外向きに延びるフランジ部19cとから構成されている。前記ハウジング保持部19bの下端には内向きの突出片19dが設けられている。
【0023】
前記ハウジング18は、ハウジング保持体19の突出片19dを外向きに撓ませて、ハウジング保持部19bの下方から押し込まれる。そして、ハウジング18がハウジング保持部19bの内部に収納されると、撓んだ前記突出片19dがその弾力で元に戻り、ハウジング18の嵌合片18bの下端に配置される。これにより、ハウジング18がハウジング保持体19のハウジング保持部19bの内部に保持される。前記ハウジング保持体19のフランジ部19cはガスケット16を介して第2容器9の口部上面9gの上に配置され、その上方からマウンティングキャップ17によりかしめられる。前記ハウジング保持体19のハウジング保持部19bは、マウンティングキャップ17をかしめるときの力により、第2容器9の口部9e付近と共に内向きに圧縮させて撓ませる。そのハウジング保持部19bが内向きに撓むことにより、ハウジング18がハウジング保持部19bの内部に強固に保持される。特に、ハウジング18をステンレスなどの金属製にすると弾発力によりさらに強固に保持されるため、ステムから噴射剤を充填しても充填圧力でハウジングが落下しない。また、前記マウンティングキャップ17はハウジング保持体19を介して容器本体9に取り付けられているため、第2内容物Bに直接触れない。そのため、マウンティングキャップ17の材質は第2内容物Bによって左右されない。
【0024】
図7bに第2容器2のバルブ機構のさらに他の実施形態を示す。そのバルブ機構15bのハウジング18の嵌合片18bは、収納部18aの上方に設けられた大径の部分である。その大径の嵌合片18bは斜め上方外向きに傾斜した段部18cを介して収納部18aの外周面と連続している。また、前記バルブ機構15bのハウジング保持部19bの突出片19dには、その上面に前記段部18cの傾斜面と接するように上に向かって外向きに広がるテーパ面19eが設けられている。このため、前記ハウジング保持体19のハウジング保持部19bは、マウンティングキャップ17をかしめるときの力により、第2容器の容器本体9の口部9e付近を介して内向きに圧縮される。そのハウジング保持部19bの内向きの圧縮力は、突出片19dのテーパ面19eからハウジング18の段部18cの
傾斜面に伝達される。前記ハウジング18は段部18cの傾斜面から受ける力により上方に引っ張られるので、マウンティングキャップ17をかしめることにより、内部のハウジング18を強固にハウジング保持体19に保持することができる。また、前記圧縮力を支持する前記ハウジング18の段部18cの付近は肉厚にされ、その強度が高くされている。さらに、本実施形態のハウジング18の収納部18aの底部には導入底孔18eが形成され、この孔より内容物Bがステム11内に導かれている。
【0025】
図1に戻って、前記シュリンクフィルム3は、筒状に設けられており、その一部に外部から合成樹脂製の容器本体の内容物を目視で確認できる程度の透明性を有する透視部3aを有している。その透視部3aは第1容器1と第2容器2を連結するときに短辺部側の側面に設けられ(図2bの符号3b参照)、その透視部3aを介して使用前および使用中に内容物の量を目視で確認することができる。その形状としては、短冊状、スリット状、螺旋状、楕円状などがあげられるが、残量が確認できる程度に上下方向に延びているなら、途中で湾曲した形状でもよく、さらには、丸、三角、四角などの小さな透視部を複数個設けてもよい。
図8a〜8dに示すように、スリット状の場合は、光の透過を少なくすることができ、光による劣化を小さくすることができる。また、図8aのように、横方向のスリットにしてもよく、スリットを目盛りとしてもよい。なお、シュリンクフィルムの透視部3aが容器本体の側面下端から上端まである場合は、容器本体に設けた、法律で定められた法定表示、使用上の注意、使用方法などの印刷が透視部と重ならないように位置を合わせるのが好ましい。
図8eに示す実施形態では、透視部3aの上端付近を容器本体9に充填された内容物Bの未使用時の液面3dの位置とほぼ同じにしている。このとき容器本体の印刷の下端を透視部より上方に設けることで印刷と透視部との重なりがなくなるため、容器本体の方向合わせが不要になり、生産効率が高くなる。なお、図8aのような横方向のスリット状の透視部を用いる場合も同様に一番上に設けられたスリットの上端付近に液面3dがくるようにしてもよい。
図2bに戻って、前記シュリンクフィルム3の左右(図2bの左右方向)の短辺部分3b、3bは第1容器の容器本体6および第2容器の容器本体9にそれぞれ接触している。それら2本の容器本体6、9の材質はそれぞれ金属と合成樹脂であるので、左右(図2bの左右方向)の短辺部分3b、3bでは熱伝導度が異なっている。一方、上下(図2bの上下方向)の長辺部分3c、3cは空気と接しているので(第1容器1および第2容器2に接していない部分)、熱伝導度が同じである。そのため、シュリンクフィルム3を加熱して収縮させると、長辺部分3c、3cは短辺部分3b、3bに比べて収縮が安定している。すなわち、熱収縮状態が安定した長辺部分3cに法定表示などを設けることで、収縮後の文字を所定の大きさに仕上げやすい。そして、熱収縮させる製造工程を容易にすることができる。
【0026】
そのシュリンクフィルム3は、熱収縮性プラスチックであり、延伸フィルムなどの従来公知のものである。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリ塩化ビニルなどを用いることができる。なお、内容物が光により劣化するのを防止するために、透視部を含む少なくとも一部に、紫外線を吸収させる成分を塗布したり、紫外線を散乱させるパウダーを蒸着するなどの処理をすることが好ましい。前記シュリンクフィルム4は、内容物がそれぞれ充填された第1容器1および第2容器2の上部に後述する連結部材に装着し、並設した状態にして被せ、それぞれの胴部付近を加熱して収縮させることにより被覆される。
【0027】
図5に示す容器本体9は、その側面に、薬事法、消防法、高圧ガス保安法などで定められた法定表示、使用方法、使用上の注意などの表示が印刷された印刷部分2aを設けている。これら印刷部分2aは前記シュリンクフィルムの透視部3a(図1参照)と重複しな
いように配置される。たとえば、前記印刷部分2aをインクジェットなどで印刷した際に、あるいは印刷済みのシール(図示せず)を貼り付けた際に、その上下あるいはどちらかに接着成分2bを塗布し、第1容器1の容器本体4と当接させることで第2容器の印刷部分2aが第1容器側に接着して、前記透視部3aと印刷部分2aとが重複するのを確実に防止できる。また、前記印刷部分2aの上下あるいはどちらかに目印を付けて、目印を読み取って印刷部分を第1容器1側に向けてもよい。
なお、前記接着成分2bとしては、ホットメルトや粘着テープなど、合成樹脂と金属、合成樹脂同士を良好に接着できるものが好ましい。
【0028】
図2に戻って、前記吐出部材4は、第1容器1、第2容器2のそれぞれのバルブのステム8a、11に装着され、二液を吐出させる押部21と、第1容器1、第2容器2のそれぞれのマウンティングキャップ8b、17(図3参照)に冠着され、容器本体6、9同士を一体に連結する連結部材20と、その連結部材20に係合され、第1容器1、第2容器2のそれぞれの肩部6c、9b(図3参照)に被せられる合成樹脂製の外カバー21dとから構成されている。
【0029】
図3に示すように、前記押部21は、それぞれのステム8a、11に嵌合される縦部材21a、21aと、それら縦部材の上端同士を連結する横部材21bと、横部材の中央部から前方に突出するノズル21cとを備えており、それらは内部で連通している。また、押部21は外カバー21dの内側面により上下動自在にガイドされている。なお、外カバー21dに、押部21を下向きに押しつけるためのレバー(図示せず)を揺動自在に取り付けてもよい。
【0030】
図2に戻って、前記連結部材20は、第1容器1を装着する第1装着部20aと、第2容器2を装着する第2装着部20bとから構成されている。それら第1装着部20a、第2装着部20bは第1容器1、第2容器2のそれぞれのマウンティングキャップ8b、17(図3参照)に嵌着できる形状にされている。そして、連結部材20により両容器を連結した際に、それぞれのステム8a、11の先端の高さ位置が揃うように、第1装着部20aと第2装着部20bは高さ方向に、それぞれのマウンティングキャップ8b、17に嵌着される位置が予め調整されている。
さらに、連結部材20により第1容器1と第2容器2とが連結され、それらの相対的な移動が規制されているので、たとえばアルミニウムとポリエチレンテレフタレートのように異なる材質の容器本体を用いて、シュリンクフィルム3が収縮していく方向を調整することができ、収縮後の形状を安定化できる。
【0031】
図9a、図9bに連結部材の他の実施形態を示す。図9a、図9bに示す連結部材22は、第1装着部を有する第1装着部材22aと第2装着部を有する第2装着部材22bとに分割され、それら部材22a、22b同士が係脱自在にされている。そのため、第1容器1、第2容器2を別個の装着部材22a、22bにそれぞれ装着した後に、部材22a、22b同士を係合させることができるので、1つの連結部材22に材質や形状が異なる2本の容器1、2を連結するのに比べて作業効率が高い。また、係合する部分があるので連結部材22に対する容器1、2の位置を決めることができる。すなわち、容器1、2の外面の印刷部分をお互いに向かい合うように位置決めすることができる。
【0032】
図10に連結部材のさらに他の実施形態を示す。図10に示す連結部材23は、前記第1装着部20aの第1容器1を装着する形状と同じ形状を備えた第2装着部20bを備えている。そして、第2装着部20bには第1容器1のマウンティングキャップ17の側周面とほぼ同じ外面形状を有する装着補助部材20cが装着されている。図11aおよび図11bに装着補助部材20cの詳細を示す。図11aに示す装着補助部材20cは、その上部の外面形状が第1装着部20aおよび第2装着部20bに装着できる形状とされてい
る(図10では第1容器1の装着形状と同じである)。前記装着補助部材20aの外周面には環状溝20dが形成されており、この環状溝20dが第2装着部20b(第1装着部20a)の内面に形成された環状突起(図示せず)に係合することにより固定される。なお、第1装着部20aの環状突起は第1容器1のマウンティングキャップ8b(図4参照)の内向きにかしめられた部位(図4の符号8c参照)に係合している。図11bに示すように装着補助部材20cの内面は第2容器2を装着するための形状とされており、その内面には複数の突起20dが環状に設けられている。前記第2装着部20bには装着補助部材20cが装着され、その装着補助部材20cを介して第2容器2が装着されている。このため、第1容器1と第2容器2を連結部材23に装着する際に方向規制が不要になり、生産効率が高くなる。
【0033】
図3に戻って、前記保持キャップ5はポリプロピレンなどの合成樹脂を用いて有底筒状あるいは筒状に成型される。保持キャップは開口部が第2容器2の半球状の底部に装着される。この保持キャップ5は開口部が薄肉の筒状であるため、半球状の底部に装着するときの押し付け力により若干拡がり、2本の容器をシュリンクフィルムで連結する前に高さを合せることができる。さらにこの状態でシュリンクフィルムを熱収縮させることで、容器の高さを合せた状態で固定できる。
また、前記保持キャップ5により第1容器1と第2容器2を連結可能にすることで2本の容器の下端が固定され、第1容器1と第2容器2との相対的な移動が規制されている。特に連結部材20で2つの容器本体4、9の上端が連結されていると、互いの軸方向の移動の規制の効果も高まるので一層シュリンクフィルム3(図1参照)で二本の容器1、2を連結するのが容易である。さらに、容器が洗面台などの濡れやすい場所に置かれても、底部が水と接触するのを防止でき腐蝕されにくい。なお、保持キャップ5を透明な材質あるいは光を透過しやすい材質で形成すると、第1容器の容器本体9の底部9aから入った外光により胴部9dの透視部分(図1の符号3a参照)から内部が見やすい。
【0034】
図1に戻って、前記吐出装置24は、第1内容物A(A剤)と第2内容物B(B剤)とを別個に保存し、使用時にそれらを混合させるものである。本実施形態では、2液式染毛剤や2液式発熱製剤などのように、2液を混合することにより反応して効果を発揮するものに好適に用いられる。
【0035】
2液式染毛剤としては、たとえば、酸化染料、アルカリ剤、界面活性剤などを配合した水性原液と噴射剤とからなる第1内容物Aと、酸化染料を酸化するための酸化剤を配合した水性原液と噴射剤とからなる第2内容物Bあげられる。
前記酸化染料は、たとえばp−フェニレンジアミン、p−アミノフェノールなどのパラ成分、o−フェニレンジアミン、o−アミノフェノールなどのオルト成分、あるいはそれらの誘導体などからなる染料中間体(染料前駆体)と、メタ位のフェニレンジアミン、アミノフェノール、多価フェノール類などの、前述の染料中間体との組み合わせにより種々の色調となるカップラーからなる。
【0036】
アルカリ剤は染毛効果を向上する目的と、さらに毛髪中のメラニン顆粒の酸化分解を同時進行させて明るい色調を得る目的で配合される。また保存中に酸化染料が発色しないようにアルカリ性に維持する働きもある。アルカリ剤としては、アンモニア水、炭酸水素アンモニウム、モノエタノールアミンなどがあげられる。
前記第1内容物Aに用いられる水性原液は、酸化染料、アルカリ剤などを水に配合することで調整することができる。なお、油相基剤、界面活性剤、可溶化剤、酸化防止剤などを配合することもできる。前記水性原液のpHは8〜13程度であり、とくに9〜11の範囲が好ましい。
【0037】
他方、第2容器2に充填する第2内容物Bに用いられる水性原液は、過酸化水素などの
酸化剤を、安定化剤とともに水に配合することにより調整することができる。前記水性原液のpHは2〜5の程度であり、とくに2〜4の範囲が好ましい。
【0038】
前記噴射剤としては、たとえば、液化石油ガス(主成分:プロパン、i−ブタンおよびn−ブタン)、ジメチルエーテル、ハイドロフルオロオレフィンおよびそれらを混合した液化ガスが用いられ、炭酸ガス、窒素、空気等の圧縮ガスも使用される。
【符号の説明】
【0039】
1 第1容器
2 第2容器
2a 印刷部分
2b 接着成分
3 シュリンクフィルム
3a 透明部
3b 短辺部分
3c 長辺部分
3d 液面
4 吐出部材
5 保持キャップ
6 容器本体
6a 底部
6b 胴部
6c 肩部
6d 凹部
6e 開口部
7 内袋
7a 底部
7b 胴部
7c 首部
7d 開口部
8 バルブアッセンブリ
8a ステム
8b マウンティングキャップ
8c かしめられた部位
9 容器本体
9a 底部
9b 胴部
9c 肩部
9d 首部
9e 口部
9f 口部側面
9g 口部上面
9h リブ
9i 脚部
10 バルブアッセンブリ
11 ステム
11a 筒状部
11b 円柱状部
11c ステム孔
11d 上面
12 ステムラバー
13 スプリング
14 ハウジング
15 バルブ機構
16 ガスケット
17 マウンティングキャップ
18 ハウジング
18a 収納部
18b 嵌合片
18c 導入側孔
18d 段部
18e 導入底孔
19 ハウジング保持体
19a カバー部
19b ハウジング保持部
19c フランジ部
19d 突出片
19e テーパ面
20 連結部材
20a 第1装着部
20b 第2装着部
20c 装着補助部材
21 押部
21a 縦部材
21b 横部材
21c ノズル
21d 外カバー
22 連結部材
22a 第1装着部材
22b 第2装着部材
23 連結部材
24 二液吐出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1内容物を充填する第1容器と、
第2内容物を充填する第2容器と、
第1容器と第2容器に装着される吐出部材と、
第1容器と第2容器のそれぞれの容器本体の胴部同士を並列に連結する筒状のシュリンクフィルムとからなり、
前記第1容器と前記第2容器の少なくとも一方が、透光性を有する合成樹脂製の容器本体を備えており、
前記シュリンクフィルムに透視部分を設け、前記透視部分が合成樹脂製の容器本体の胴部に配置されている二液吐出装置。
【請求項2】
前記透視部分を、2本の容器を連結したときの短辺側の側面に設けた、請求項1記載の二液吐出装置。
【請求項3】
前記合成樹脂製の容器本体および/またはシュリンクフィルムの少なくとも透視部分に、紫外線を吸収または散乱させる紫外線防止処理を施している、請求項1記載の二液吐出装置。
【請求項4】
前記合成樹脂製の容器本体が、その胴部に印刷部分を有しており、
前記シュリンクフィルムの透視部分が前記容器の印刷部分と重複しないように配置されている請求項1記載の二液吐出装置。
【請求項5】
前記合成樹脂製の容器本体の印刷部分の上部および/または下部に接着成分が塗布されており、その接着成分により他方の容器と接着されている請求項4記載の二液吐出装置。
【請求項6】
前記第1容器と第2容器が異なる形状であり、
前記第1容器と第2容器を装着して連結する連結部材を有し、
その連結部材が、第1容器を装着する第1装着部と、第2容器を装着する第2装着部とを備えている請求項1〜5のいずれかに記載の二液吐出装置。
【請求項7】
前記連結部材が、その中央付近で第1装着部を有する第1装着部材と第2装着部を有する第2装着部材とに分割され、それら部材同士が係脱自在にされている請求項6記載の二液吐出装置。
【請求項8】
前記連結部材の第1装着部と第2装着部が左右対称であり、
一方の容器に装着され、どちらの装着部にも装着可能にする補助装着部材を備えている、請求項6記載の二液吐出装置。
【請求項9】
前記合成樹脂製の容器本体の底部が半球状であり、その半球状の底部に嵌合される保持キャップを備えており、
その保持キャップが他の容器の容器本体の底部と同じ形状である請求項1〜8のいずれかに記載の二液吐出装置。
【請求項10】
前記容器本体底部の半球状部分と保持キャップにより、第1容器と第2容器の高さを調整する請求項9記載の二液吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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