説明

二液硬化型高耐久性ポリウレタンエラストマー組成物

ポリイソシアネート成分(i)と、分子量400〜1500のポリオール(X)にヒマシ油脂肪酸または12−ヒドロキシステアリン酸、あるいはそれらの脂肪酸の縮合物を反応させて得られ、かつ水酸基価が25〜55のポリオール(A)、およびエポキシ化脂肪酸エステルを多価アルコールにて開環させて得られる水酸基価が100〜500のポリオール(B)からなる活性水素含有化合物成分(ii)とからなる二液硬化型高耐久性ポリウレタンエラストマー組成物であり、耐熱性および耐湿熱性に優れ、且つ二液混合後の粘度が注型作業性に適した作業性に優れている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二液硬化型高耐久性ポリウレタンエラストマー組成物に関する。
さらに詳しくは、耐熱性および耐湿熱性に優れ、しかも二液混合後の粘度が低く注型作業性が良好な二液硬化型高耐久性ポリウレタンエラストマー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
二液硬化型ポリウレタンエラストマー組成物は、強度、伸張率、弾性等の硬化物物性に優れていることから、防水材、床材、舗装材、接着剤、封止材等の用途に幅広く使用されている。二液硬化型ポリウレタンエラストマー組成物は、活性水素含有化合物を主成分とする硬化剤とポリイソシアネート成分を主成分とする主剤を撹拌混合し、コテ、ヘラ、ローラー等で施工または金型へ注入して硬化させる。従って、二液混合後の粘度が高いとコテ、ヘラ、ローラー等で施工するときに泡を巻き込みやすくなり外観および性能が悪化する。また金型へ注入する場合も泡の巻き込みが大きく、微細な空隙への充填ができない等の注型作業性が悪化する。
【0003】
従来、活性水素含有化合物およびポリイソシアネート成分よりなる二液硬化型ポリウレタンエラストマー組成物の製造方法は、ポリイソシアネート成分として、有機ポリイソシアネートとポリオールとを、イソシアネート基と活性水素基の当量比が2.0以下で反応させて得られるイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを用いるプレポリマー法が一般的である。その他の方法として、ポリイソシアネート成分として、有機ポリイソシアネートとポリオールとを、イソシアネート基と活性水素基の当量比が2.0を超える比率で反応させて得られる部分プレポリマーを用いるセミワンショット法、および有機ポリイソシアネートを単独で用いるワンショット法がある。
【0004】
ポリイソシアネート成分と反応させる活性水素含有化合物としては、テトラヒドロフランを開環重合させて得られるポリテトラメチレンエーテルグリコールおよびプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の多価アルコールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを1種または2種以上を付加重合させて得られるポリオキシアルキレンポリオール等のポリエーテルポリオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等の1種または2種以上の多価アルコールとマロン酸、マレイン酸、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の1種または2種以上を縮合重合して得たポリエステルポリオールおよびカプロラクトン等を開環重合して得られるポリエステルポリオール等があげられる。
【0005】
しかしながら、活性水素含有化合物としてポリエーテルポリオールを用いた場合、硬化物の耐湿熱性は比較的良好であるが耐熱性が悪く、一方、ポリエステルポリオールを用いた場合は、耐熱性は比較的良好であるが耐湿熱性が悪い。
耐熱性および耐湿熱性を改良する方法として、水酸基含有液状ポリイソプレンの水素化物を活性水素含有化合物として使用することが提案されている(特開昭63−57626号、特開平1−203421号、特開平6−220157号、特開平7−102033号等)。しかしながら、これらの公報にて提案されている水酸基含有液状ポリイソプレンの水素化物を使用すると、組成物の粘度が高く、二液混合後、コテ、ヘラ、ローラー等で施工するときに泡を巻き込みやすくなり外観および性能が悪化する。また金型へ注入する場合も泡の巻き込みが大きく、微細な空隙への充填ができない等の欠点を有する。
【0006】
この出願発明の先行文献情報として次のものがある。
【特許文献1】特開昭63−57626号公報
【特許文献2】特開平1−203421号公報
【特許文献3】特開平6−220157号公報
【特許文献4】特開平7−102033号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、耐熱性および耐湿熱性を改善するとともに、二液混合後の粘度を注型作業性に好適な粘度に改善した二液硬化型高耐久性ポリウレタンエラストマー組成物を提供することであり、特に目的の組成物に好適なポリオール、これを用いた耐熱性、耐湿熱性および注型作業性に優れた前記組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、活性水素含有化合物成分として、分子量が400〜1500のポリオール(X)にヒマシ油脂肪酸または12−ヒドロキシステアリン酸、あるいはそれらの脂肪酸の縮合物を反応させて得られ、且つ水酸基価が25〜55のポリオール(A)およびエポキシ化脂肪酸エステルを多価アルコールにて開環させて得られる水酸基価が100〜500のポリオール(B)を使用することにより、耐熱性および耐湿熱性に優れ、しかも二液混合後の粘度が低く注型作業性が良好な二液硬化型高耐久性ポリウレタンエラストマー組成物が得られることを見出し、本発明に至った。
【0009】
すなわち、本発明は、ポリイソシアネート成分(i)と活性水素含有化合物成分(ii)よりなる二液硬化型ポリウレタンエラストマー組成物において、活性水素含有化合物成分(ii)が、分子量400〜1500のポリオール(X)にヒマシ油脂肪酸または12−ヒドロキシステアリン酸、あるいはそれらの脂肪酸の縮合物を反応させて得られ、かつ水酸基価が25〜55のポリオール(A)、およびエポキシ化脂肪酸エステルを多価アルコールにて開環させて得られる水酸基価が100〜500のポリオール(B)からなることを特徴とする二液硬化型高耐久性ポリウレタンエラストマー組成物であり、好ましくは、ポリオール(X)がトリメチロールプロパンにアジピン酸と二価アルコールを縮合させたポリエステルポリオールであり、ポリオール(A)100重量部に対するポリオール(B)の割合が5〜50重量部である、耐熱性および耐湿熱性に優れ、しかも二液混合後の粘度が低く注型作業性が良好な二液硬化型高耐久性ポリウレタンエラストマー組成物であり、さらに好ましくは、23℃における硬度がJIS A 90以下、切断時伸びが50%以上である二液硬化型高耐久性ポリウレタンエラストマー組成物である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の二液硬化型高耐久性ポリウレタンエラストマー組成物は、二液混合後の粘度が低いため、二液混合後、コテ、ヘラ、ローラー等で施工するときに泡の巻き込みがなく、金型へ注入する場合も泡の巻き込みがなく微細な空隙への充填ができる。また、硬化物の硬度が低く切断時伸びが大きいため硬化物物性が良好であり、耐熱性、耐湿熱性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の二液硬化型ポリウレタンエラストマー組成物において、硬化剤の主成分である活性水素含有化合物としては、分子量400〜1500のポリオール(X)にヒマシ油脂肪酸または12−ヒドロキシステアリン酸、あるいはそれらの脂肪酸の縮合物を反応させて得られ、且つ水酸基価が25〜55のポリオール(A)、およびエポキシ化脂肪酸エステルを多価アルコールにて開環させて得られる水酸基価が100〜500のポリオール(B)からなる。
本発明に使用するポリオール(A)において、ポリオール(X)としては、トリメチロールプロパンにアジピン酸と二価アルコールを縮合させたポリエステルポリオールが好ましい。ここで使用する二価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等があげられる。また、得られるポリオール(X)の分子量は、400〜1500、好ましくは、500〜1000である。
分子量が400未満のポリオール(X)を用いて得られるポリオール(A)では、ポリウレタンエラストマー組成物の耐熱性が不十分である。分子量が1500を超えるポリオール(A)では、組成物の粘度が高くなり注型作業性の点で好ましくない。
【0012】
ポリオール(A)は、ポリオール(X)とヒマシ油脂肪酸または12−ヒドロキシステアリン酸、あるいはそれらの脂肪酸の縮合物を、必要に応じてパラトルエンスルホン酸等の触媒を添加して窒素ガス気流下に反応温度150〜250℃で数時間、副生水を反応系外に留出させながら反応させて得られる(例えば、特開平11−50086号に記載の方法)。
ポリオール(A)の水酸基価は、25〜55、好ましくは30〜50である。水酸基価が25未満では、ポリウレタンエラストマー組成物とした場合、完全硬化しなくなり必要な硬化物物性が得られない。水酸基価が55を超えると、ポリウレタンエラストマー組成物にした場合、23℃における硬度がJIS A で90を超えるため、切断時伸びが50%未満に低下し、硬化物物性が好ましくない。
【0013】
本発明に使用するポリオール(B)は、エポキシ化脂肪酸エステルを多価アルコールにて開環させて得られる水酸基価が100〜500のポリオールである。このポリオールの出発物質は脂肪酸エステルであり、好ましくは、不飽和脂肪酸を含有する植物油、動物油を炭素数が1〜10の脂肪族アルコールのエステル交換により得ることができる。
使用する植物油、動物油としては、大豆油、ヤシ油、パーム油、ひまし油、アマニ油、綿実油、ナタネ油、キリ油、ひまわり油、サフラワー油、米ぬか油、オリーブ油、椿油、コーン油、牛脂、豚脂、魚油、鯨油等があげられる。
使用する脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール等があげられる。好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノールである。
脂肪酸エステルはオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸等の不飽和脂肪酸と上記脂肪族アルコールを直接エステル化することによっても得ることができる。
【0014】
エポキシ化脂肪酸エステルは、上記脂肪酸エステルを、例えば、蟻酸/過酸化水素との反応によって既知の方法で不飽和結合を反応させてエポキシドを生成させることにより得られる。
エポキシ化脂肪酸エステルの開環は、炭素数が2〜12、好ましくは2〜6の多価アルコールを使用する。このような多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等があげられる。
開環反応は、エポキシ基と水酸基の当量比を5:1〜1:5、好ましくは、2:1〜1:2で、反応温度を80〜120℃の範囲で行う。
無機酸または有機カルボン酸を触媒として使用する。好ましい触媒としては、硫酸、燐酸、蟻酸、酢酸等があげられる。
【0015】
ポリオール(B)の水酸基価は、100〜500、好ましくは150〜400である。
水酸基価が100未満では、ポリオールの粘度が高く注型作業性が劣る。500を超えるとウレタンエラストマー組成物にした場合、23℃における硬度がJIS A で90を超えるため、切断時伸びが50%未満に低下し、硬化物物性が劣る。
ポリオール(A)100重量部に対するポリオール(B)の割合は5〜50重量部、好ましくは、7.5〜40重量部である。5重量部未満では、ポリウレタンエラストマー組成物にした場合、耐湿熱性が不十分である。50重量部を超えるとポリウレタンエラストマー組成物にした場合、23℃における硬度がJIS A で90を超えるため、切断時伸びが50%未満に低下し、硬化物物性が劣る。
【0016】
本発明に使用するポリイソシアネートは、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI−PH)、ポリメリックMDI(MDI−CR)、カルボジイミド変性MDI(液状MDI)、2,4−異性体を65%以上含有するトリレンジイソシアネート(TDI)等の芳香族ポリイソシアネートおよびノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)等の脂肪族ポリイソシアネートがあげられる。これらのポリイソシアネートのうちMDI−PH、MDI−CRおよび液状MDIが好ましい。
本発明に使用するポリイソシアネートは、単独または混合して使用することができ、またイソシアネート基の一部をポリオールと窒素気流中、60〜100℃で数時間加熱して得たプレポリマーを使用することもできる。
【0017】
ポリオールとしては、例えば、ポリオール(A)、ヒマシ油ポリオール、ポリブタジエンポリオール等があげられる。また、必要に応じて、低分子多価アルコールを使用してもよい。
低分子多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン等があげられる。
【0018】
本発明の二液硬化型高耐久性ポリウレタンエラストマー組成物は、必要に応じて減粘剤として、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エステル等の有機溶剤、ジブチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルフタレート、ジイソノニルアジペート、ジイソノニルフタレート等の可塑剤、塩素化パラフィン、石油系炭化水素油等の高沸点溶剤、リン酸エステル系難燃剤および炭酸カルシウム、タルク、クレー、酸化チタン、カーボンブラック、シリカ等の無機フィラー、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の安定剤、モレキュラーシーブス等の水分吸収剤、硬化触媒としてオクチル酸鉛、ナフテン酸鉛等の有機鉛化合物またはジブチル錫ジラウレート等の有機錫化合物を添加してもよい。
本発明の二液硬化型高耐久性ポリウレタンエラストマー組成物の製造方法としては、特に限定はなく、活性水素成分とポリイソシアネート成分を一定の比率で撹拌機、低圧注型機、スプレーマシン等で均一に混合して室温から120℃の範囲で硬化させることにより得られる。
【実施例】
【0019】
以下、実施例および比較例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例および比較例の中の部は重量部を、%は重量%を表す。
なお、実施例および比較例において次ぎのポリオール成分およびポリイソシアネート成分を使用した。
ポリオール(B)として、
ソバモール750:水酸基価が315(mgKOH/g)、粘度が1000(mPa・s)のポリオール(油脂ベースポリオール:コグニスジャパン株式会社製)。
ポリオキシプロピレングリコールとして、
D−3000:水酸基価38(mgKOH/g)のジオール(三井武田ケミカル株式会社製)。
MN−300:水酸基価300(mgKOH/g)のトリオール(三井武田ケミカル株式会社製)。
水酸基含有ポリイソプレンの水素化物として、
エポール:数平均分子量が1400、粘度が110000(mPa・s)のポリオール(出光石油化学社製)。
ポリイソシアネート成分として、
コスモネート PH:MDI−PH(三井武田ケミカル株式会社製)。
コスモネート LL:液状MDI(三井武田ケミカル株式会社製)。
コスモネート M−200:MDI−CR(三井武田ケミカル株式会社製)。
【0020】
物性試験
活性水素含有化合物とポリイソシアネート成分を所定の比率で3分間均一に撹拌混合し、脱泡後、2mm厚になるようにスペーサーを取り付けたスレート板上に流し込み80℃で10時間硬化させ、23℃で7日間養生した後、物性試験を実施した。
混合粘度(25℃)
25℃に調整した活性水素含有化合物とポリイソシアネート成分を、所定の比率で3分間均一に混合撹拌後、B型粘度計で測定した。
注型作業性
2mmシート作成と同様な方法で均一に撹拌した後、100mm×100mm×3mmの金型に注入し、硬化後、脱型して硬化物の外観により判定した。
○:泡を巻き込まずに低部まで流れ込む。
×:泡の巻き込みが大きいか、または底部まで流れ込まない。
硬化物の初期硬度
2mmシートを5枚重ねて、23℃の硬度をJIS K 6253に準じて測定した。
硬化物の切断時伸び
JIS K 6251に準じて測定した。
【0021】
硬化物の耐熱性
初期硬度を測定した2mmシートを、150℃の雰囲気下に2000時間放置後、23℃の恒温室に7日間放置した後、硬度をJIS K 6253に準じて測定した。
硬化物の耐湿熱性
初期硬度を測定した2mmシートを、121℃、100%RH、2気圧のスチーム圧の雰囲気下に100時間放置後、23℃の恒温室に7日間放置した後、外観変化により判定した。
○:2mmシートの形状を保持している。
×:2mmシートの形状を保持せずに溶解した。
【0022】
合成例1
攪拌機、温度計、コンデンサー、水分分離器および窒素ガス導入管を取り付けた反応容器に、トリメチロールプロパン、エチレングリコールおよびアジピン酸を縮合させた分子量1000のポリエステルポリオール1000部と12−ヒドロキシステアリン酸2384部、パラトルエンスルホン酸3部を装入し、窒素ガス気流下で反応温度を160〜200℃にて8時間反応し、副生水を留出管から系外へ留出した。反応生成物を冷却し、水洗後脱水してポリオール(A−1)を得た。得られたポリオール(A−1)の水酸基価は34、粘度5000(mPa・s/25℃)であった。
【0023】
合成例2
トリメチロールプロパン、エチレングリコールおよびアジピン酸を縮合させた分子量500のポリエステルポリオール500部と12−ヒドロキシステアリン酸2384部を合成例1と同様な方法で反応させた。得られたポリオール(A−2)の水酸基価は40、粘度3700(mPa・s/25℃)であった。
【0024】
合成例3
トリメチロールプロパン、エチレングリコールおよびアジピン酸を縮合させた分子量300のポリエステルポリオール300部と12−ヒドロキシステアリン酸2384部を合成例1と同様な方法で反応させた。得られたポリオール(A−3)の水酸基価は46、粘度2100(mPa・s/25℃)であった。
【0025】
合成例4
トリメチロールプロパン、エチレングリコールおよびアジピン酸を縮合させた分子量5000のポリエステルポリオール5000部と12−ヒドロキシステアリン酸2384部を合成例1と同様な方法で反応させた。得られたポリオール(A−4)の水酸基価は16、粘度71800(mPa・s/25℃)であった。
【0026】
合成例5
攪拌機、温度計および窒素ガス導入管を取り付けた反応容器にポリオール(A−1)を213部、コスモネートPHを394部、コスモネートM−200を394部装入して、窒素気流下80℃で3時間反応させて末端NCO基含有率が25%、粘度300(mPa・s/25℃)のポリイソシアネート成分を得た。
【0027】
実施例1
合成例1で得たポリオール(A−1)を100部およびソバモール750(コグニスジャパン株式会社製)10部を均一に混合して活性水素含有化合物成分を調製した。
このように調製した活性水素含有化合物成分100部と、ポリイソシアネート成分としてコスモネートM−200の14.3部を3分間均一に攪拌混合後、スレー卜板上に注入して2mm厚さのシートを作成した。混合粘度、作業性、硬化物の硬度、切断時伸び、耐熱性および耐湿熱性を測定した。試験結果を表−1に示す。
【0028】
実施例2
実施例1でソバモール750を25部、コスモネートM−200を21.7部にした以外は実施例1と同様な方法で、混合粘度、作業性、硬化物の硬度、切断時伸び、耐熱性および耐湿熱性を測定した。試験結果を表−1に示す。
【0029】
実施例3
実施例1でソバモール750を40部、コスモネートM−200を27.5部にした以外は実施例1と同様な方法で、混合粘度、作業性、硬化物の硬度、切断時伸び、耐熱性および耐湿熱性を測定した。試験結果を表−1に示す。
【0030】
実施例4
実施例2でポリオール(A−1)を合成例2で得たポリオール(A−2)100部、コスモネートM−200を22.9部にした以外は実施例2と同様な方法で、混合粘度、作業性、硬化物の硬度、切断時伸び、耐熱性および耐湿熱性を測定した。試験結果を表−1に示す。
【0031】
実施例5
実施例2でコスモネートM−200をコスモネートLL23.7部にした以外は実施例2と同様な方法で、混合粘度、作業性、硬化物の硬度、切断時伸び、耐熱性および耐湿熱性を測定した。試験結果を表−1に示す。
【0032】
実施例6
実施例2でコスモネートM−200を合成例5で得たポリイソシアネート成分27.0部にした以外は実施例2と同様な方法で、混合粘度、作業性、硬化物の硬度、切断時伸び、耐熱性および耐湿熱性を測定した。試験結果を表−1に示す。
【0033】
【表1】

【0034】
比較例1
実施例2でポリオール(A−1)を合成例3で得たポリオール(A−3)100部、コスモネートM−200を24.0部にした以外は実施例2と同様な方法で、混合粘度、作業性、硬化物の硬度、切断時伸び、耐熱性および耐湿熱性を測綻した。試験結果を表−2に示す。
【0035】
比較例2
実施例2でポリオール(A−1)を合成例4で得たポリオール(A−4)100部、コスモネートM−200を18.3部にした以外は実施例2と同様な方法で、混合粘度、作業性、硬化物の硬度、切断時伸び、耐熱性および耐湿熱性を測定した。試験結果を表−2に示す。
【0036】
比較例3
実施例1でソバモール750を2.5部、コスモネートM−200を9.8部にした以外は実施例1と同様の方法で、混合粘度、作業性、硬化物の硬度、切断時伸び、耐熱性および耐湿熱性を測定した。試験結果を表−2に示す。
【0037】
比較例4
実施例1でソバモール750を70.0部、コスモネートM−200を36.0部にした以外は実施例1と同様な方法で、混合粘度、作業性、硬化物の硬度、切断時伸び、耐熱性および耐湿熱性を測定した。試験結果を表−2に示す。
【0038】
比較例5
活性水素含有化合物として、エポール100部およびポリイソシアネート成分としてコスモネー卜M−200の12.2部を実施例1と同様な方法で、混合粘度、作業性、硬化物の硬度、切断時伸び、耐熱性および耐湿熱性を測定した。試験結果を表−2に示す。
【0039】
比較例6
ポリオールとして、D−300を100部、MN−300を25部とを均一に混合して活性水素含有化合物を調製した。
このようにして調製した活性水素含有化合物100部とポリイソシアネート成分としてコスモネートM−200を21.8部とを実施例1と同様な方法で、混合粘度、作業性、硬化物の硬度、切断時伸び、耐熱性および耐湿熱性を測定した。試験結果を表−2に示す。
【0040】
【表2】

【0041】
表−1の結果から明らかなように、実施例1から実施例6のポリウレタンエラストマー組成物は硬化物の耐熱性、耐湿熱性に優れ、しかも二液混合後の粘度が低く注型作業性が良好で硬化物物性も優れている。これに対して、表−2の結果から、比較例1は、耐熱性試験後の硬化物の硬度が、JIS A 30から10まで低下し耐熱性が悪い。比較例2は、混合後の粘度が高く注型作業性が悪い。また、耐湿熱性も悪化する。比較例3は、耐湿熱性が悪い。比較例4は、硬化物の硬度が高く切断時伸びが低下する。比較例5は、混合後の粘度が高く注型作業性が悪い。比較例6は、耐熱性および耐湿熱性が悪い。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の二液硬化型高耐久性ポリウレタンエラストマー組成物は、二液混合後の粘度が低いため、二液混合後コテ、ヘラ、ローラー等で施工するときに泡の巻き込みがなく、金型へ注入する場合も泡の巻き込みがなく、微細な空隙への充填ができる。また、硬化物の硬度が低く切断時伸びが大きいため硬化物物性が良好である。さらに、耐熱性、耐湿熱性が優れた高耐久性ポリウレタンエラストマー組成物を提供するものであり、産業上の利用可能性は極めて高いものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソシアネート成分(i)と活性水素含有化合物成分(ii)とよりなる二液硬化型ポリウレタンエラストマー組成物において、活性水素含有化合物成分(ii)が、分子量400〜1500のポリオール(X)にヒマシ油脂肪酸または12−ヒドロキシステアリン酸、あるいはそれらの脂肪酸の縮合物を反応させて得られ、且つ水酸基価が25〜55のポリオール(A)、およびエポキシ化脂肪酸エステルを多価アルコールにて開環させて得られる水酸基価が100〜500のポリオール(B)からなることを特徴とする二液硬化型高耐久性ポリウレタンエラストマー組成物。
【請求項2】
ポリオール(X)が、トリメチロールプロパンにアジピン酸と二価アルコールを縮合させたポリエステルポリオールである請求項1記載の二液硬化型高耐久性ポリウレタンエラストマー組成物。
【請求項3】
ポリオール(A)100重量部に対するポリオール(B)の割合が、5〜50重量部である請求項1または2記載の二液硬化型高耐久性ポリウレタンエラストマー組成物。
【請求項4】
23℃における硬度が、JIS A 90以下、切断時伸びが50%以上である請求項1または3記載の二液硬化型高耐久性ポリウレタンエラストマー組成物。

【国際公開番号】WO2005/056631
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【発行日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516185(P2005−516185)
【国際出願番号】PCT/JP2004/018462
【国際出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(594081744)日本合成化工株式会社 (4)
【Fターム(参考)】