説明

二環式アミドアセタールを用いてヒドロゲルを後架橋する方法

本発明は、吸水性ポリマーを後架橋剤で処理し、処理の間および後に温度を上昇することにより後架橋し、乾燥することにより吸水性ポリマーを後架橋する方法に関し、後架橋剤が式Iの化合物であり、式中、R、R、R、R、R、R、R、R、Rは互いに独立に水素、C〜C12−アルキル、C〜C12−アルケニルまたはC〜C12−アリールであり、C〜C12−アルキル、C〜C12−アルケニルまたはC〜C12−アリールはハロゲン置換されてもよく、更に液体吸収ポリマーおよび衛生用品および包装材料でのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二環式アミドアセタールを用いて吸水性ヒドロゲルを後架橋する方法およびこうして得られるポリマーおよびポリマーの衛生用品および包装材料での使用に関する。
【0002】
後架橋は吸水性ヒドロゲルのゲルまたは表面後架橋に関するものと理解されるべきである。
【0003】
親水性、高い膨張性のヒドロゲルは特に(共)重合された親水性モノマーのポリマー、適当なグラフト基体への1個以上の親水性モノマーのグラフトコポリマー、架橋セルロースエーテル、架橋澱粉エーテル、架橋カルボキシメチルセルロース、部分架橋したポリアルキレンオキシド、または水性流体中で膨張する天然の生成物、例えば寒天誘導体である。これらのヒドロゲルはオムツ、タンポン、生理用ナプキン、および他の衛生用品を製造するために水溶液を吸収できる生成物として使用される。
【0004】
親水性、高い膨張性のヒドロゲルは有利に15より高く、特に20より高く、より有利に25より高く、特に30より高く、より有利に35より高いCRC値[g/g]を有するヒドロゲルである。本発明の架橋した膨張性ヒドロゲル形成ポリマーのCRC値[g/g]は発明の説明の部分に示される方法により測定できる。
【0005】
性能特性、例えばオムツの再湿潤および圧力下の吸収性(AUL)を改良するために、親水性の、高い膨張性ヒドロゲルは一般に表面またはゲル後架橋される。この後架橋は有利に水性ゲル相中でまたは粉砕し、分級したポリマー粒子の表面後架橋として行う。
【0006】
この目的のための有効な架橋剤は親水性ポリマーのカルボキシル基と共有結合を形成することができる少なくとも2個の基を有する化合物である。適当な化合物の例はジ−またはポリグリシジル化合物、例えばジグリシジルホスホネート、アルコキシシリル化合物、ポリアジリジン、ポリアミンおよびポリアミノアミンであり、これらの化合物は互いの混合物で使用することもできる(例えば欧州特許第0083022号、欧州特許第0543303号および欧州特許第0530438号参照)。
【0007】
これらの架橋剤の重大な欠点はその高い反応性であり、好ましくない副反応を避けるために製造作業中に特別な注意が必要である。更に前記架橋剤は皮膚に炎症を起こす特性を有し、これが衛生用品の使用を問題のあるものにする。
【0008】
公知の架橋剤は多官能性アルコールを含む。例えば米国特許第4666983号、および米国特許第5385983号はそれぞれ親水性ポリアルコールの使用および多価界面活性剤の使用を記載する。これらの文献の反応は120〜250℃の範囲の高い温度で行う。前記方法は架橋を生じるエステル化反応がこれらの温度においてもきわめて遅い欠点を有する。
【0009】
更に適当な架橋剤として記載された化合物は2−オキサゾリドンおよびその誘導体(ドイツ特許第198075022号)、モルホリン−2,3−ジオンおよびその誘導体(WOA03/031482号)、2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジンおよびその誘導体(ドイツ特許第19854573号)、N−アシル−2−オキサゾリドン(ドイツ特許第19854574号)およびビス−およびポリ−2−オキサゾリジノン(ドイツ特許第19807992号)を含む。
確かにこれらの化合物は衛生用品の使用に関する要求を満足するが、市販されてなく、純粋な形で製造することがかなり困難である。
【0010】
更に米国特許第6239230号は有効な架橋剤としてβ−ヒドロキシアルキルアミドを記載する。これは衛生用品の使用にきわめて適している。その欠点は必要なかなり高い使用濃度および関係する費用である。
【0011】
本発明の課題はかなり不活性であるが、それにもかかわらずカルボキシル基と反応できる化合物を使用することにより技術水準と同じかまたはすぐれているゲルまたは表面後架橋を提供することである。この目的はきわめて短い反応時間およびきわめて低い反応温度で達成されるべきである。より詳しくは本発明の課題はきわめて低い使用濃度で、ドイツ特許第19854573号およびドイツ特許第19854574号と同じかまたはすぐれたゲルまたは表面後架橋を生じる化合物を見出すことである。
【0012】
前記課題は、意想外にも二環式アミドアセタールにより解決される。
【0013】
従って本発明の対象は吸水性ポリマーを後架橋する方法であり、前記方法は前記ポリマーを後架橋剤で処理し、前記処理の間または後に、温度の上昇により前記ポリマーが後架橋し、乾燥し、前記後架橋剤が式I
【0014】
【化1】

(式中、R,R,R,R,R,R,R,RおよびRは互いに独立に水素、C〜C12−アルキル、C〜C12−アルケニルまたはC〜C12−アリールであり、C〜C12−アルキル, C〜C12−アルケニルまたはC〜C12−アリールはハロゲン置換されていてもよい)の二環式アミドアセタールであることからなる。
【0015】
〜C12−アルキル、C〜C12−アルケニル、またはC〜C12−アリールは分枝状または非分枝状であり、ハロゲンはフッ素、塩素、臭素および/またはヨウ素である。
【0016】
が前記のものを表し、R,R、R,R、R、R、RおよびRが互いに独立に水素、C〜C−アルキル、C〜C−アルケニル、またはC〜C−アリールであり、C〜C−アルキル、C〜C−アルケニル、またはC〜C−アリールがハロゲン置換されていてもよい式Iのアミドアセタールが有利である。
【0017】
〜C−アルキルまたはC〜C−アルケニルは分枝状または非分枝状であり、ハロゲンはフッ素および/または塩素である。
【0018】
がC〜C−アルキル、C〜C−アルケニル、またはC〜C−アリールであり、またはR、R、RおよびRが互いに独立に水素であり、R,R,RおよびRが互いに独立に水素、C〜C−アルキル、またはC〜C−アルケニルであり、C〜C−アルキルまたはC〜C−アルケニルがフッ素置換されていてもよい式Iのアミドアセタールが特に有利である。
【0019】
〜C−アルキルまたはC〜C−アルケニルは分枝状または非分枝状である。
【0020】
1−アザ−4,6−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタンが最も有利である。
【0021】
最も有利なR基は水素、メチル、エチル、プロピル、プロプ−2−イル(イソプロピル)、ブチル、ブト−2−イル(イソブチル)、ペンチル、ペント−2−イル、ペント−3−イル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、3−メチルペント−2−イル、2,2−ジメチルプロピル、トリフルオロメチル、エテニル、プロペン−2−イル、ブテン−2−イル、フェニル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、および4−メチルフェニルである。
【0022】
最も有利なR,R,RおよびR基は水素、メチル、エチル、プロピル、プロプ−2−イル(イソプロピル)、ブチル、ブト−2−イル(イソブチル)およびトリフルオロメチルである。
【0023】
二環式アミドアセタールは例えばZ.ArnoldおよびM.Kornilov Coll.Czechoslov.Chem.Commun.1964、29巻、645〜651頁に記載されるジアルカノールアミンとジメチルホルムアミドジメチルアセタールの反応によりまたはk.BurzinおよびF.Feinauer Angew.Chem.1973、85巻、1055〜1056頁に記載されるジアルカノールアミンとカルボニトリルの反応により製造できる。
【0024】
二環式アミドアセタールは物質としてまたは溶液として使用できる。不活性溶剤中の溶液としての使用が有利である。更に重合モノマー溶液に、乾燥の前にポリマーゲルに、または乾燥したポリマーゲルに後架橋剤を添加できる。乾燥したポリマーゲルへの添加が有利である。
【0025】
後架橋溶液を有利に適当な噴霧混合機でポリマーに噴霧することにより被覆する。噴霧被覆の後に粉末ポリマーを熱により乾燥し、架橋反応が乾燥の前だけでなく、乾燥の間にも行われる。例えばLoedigeミキサー、BEPEXミキサー、NAUTAミキサー、SHUGGIミキサー、またはPROCESSALLのような反応混合器または混合および乾燥装置中の架橋剤溶液の噴霧被覆が有利である。更に流動層乾燥機を使用できる。後架橋および乾燥温度範囲は有利に30〜200℃、特に80〜180℃、より有利に120〜170℃にわたる。
【0026】
乾燥は混合機自体で、外部ケーシングを加熱することによりまたは熱い空気を吹き込むことにより行うことができる。同様にトレー乾燥機、回転管状乾燥機のような下流乾燥機または加熱可能なスクリューを使用できる。しかし例えば乾燥法として共沸蒸留を使用できる。反応混合機または乾燥機中のこの温度での有利な滞留時間は120分未満、より有利に90分未満である。
【0027】
後架橋剤を不活性溶剤に溶解する。後架橋剤を使用されるポリマーに対して0.01〜5質量%、有利に0.01〜1.0質量%、より有利に0.05〜0.5質量%の量で使用する。不活性溶剤は有利に水または水と一価または多価アルコール、例えば一価、二価および三価アルコールの混合物である。しかし処理条件下でそれ自体反応性でない無限に水に混合する有機溶剤を使用することもできる。アルコールと水の混合物を使用する場合は、この溶液のアルコール含量は例えば10〜90質量%、有利に15〜70質量%、特に20〜60質量%の範囲である。水と無限に混合するアルコールは2種以上のアルコールの混合物(例えばメタノール+グリセリン+水)として使用できる。アルコール混合物はアルコールを所望の混合比で含有することができる。しかし水溶液中の以下のアルコールを使用することが特に有利である。メタノール、エタノール、エチレングリコール、より有利にイソプロパノール、1,2−プロパンジオール、および1,3−プロパンジオール。
【0028】
非水性溶液として後架橋剤を使用できることが理解される。この場合に乾燥したヒドロゲルを後架橋剤溶液で噴霧する前、間または後に水で湿らせる。
【0029】
本発明の他の有利な構成において、後架橋剤溶液をポリマーの質量に対して0.5〜20質量%の範囲の比で使用する。ポリマーに対して1〜10質量%の範囲の溶液の量が特に有利である。
【0030】
本発明の後架橋剤は単独でまたは他の後架橋剤、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ポリグリセリンジグリシジルエーテル、エピクロロヒドリン、エチレンジアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミンと組み合わせて使用できる。
【0031】
本発明は更に本発明の方法により得られる架橋された吸水性ポリマーに関する。
【0032】
本発明の方法に使用される親水性の高い膨張性のヒドロゲルは特に架橋された(共)重合された親水性モノマーのポリマー、ポリアスパラギン酸、適当なグラフト基体上の1個以上の親水性モノマーのグラフトコポリマー、架橋セルロースエーテル、架橋澱粉エーテル、または水性流体中で膨張する天然の生成物、例えば寒天誘導体である。有利に架橋されるポリマーはアクリル酸またはアクリル酸エステルから誘導される構造単位を有するポリマーまたは水溶性ポリマーマトリックス上のアクリル酸またはアクリル酸エステルのグラフト共重合により得られたポリマーである。これらのヒドロゲルは当業者に知られ、例えば米国特許第4286082号、ドイツ特許第2706135号、米国特許第4340706号、ドイツ特許第3713601号、ドイツ特許第2840010号、ドイツ特許第4344548号、ドイツ特許第4020780号、ドイツ特許第4015085号、ドイツ特許第3917846号、ドイツ特許第3807289号、ドイツ特許第3533337号、ドイツ特許第3503458号、ドイツ特許第4244548号、ドイツ特許第4219607号、ドイツ特許第4021847号、ドイツ特許第3831261号、ドイツ特許第3511086号、ドイツ特許第3118172号、ドイツ特許第3028043号、ドイツ特許第4418881号、欧州特許第0801483号、欧州特許第お455985号、欧州特許第0467073号、欧州特許第0312952号、欧州特許第0205874号、欧州特許第0499774号、ドイツ特許第2612846号、ドイツ特許第4020780号、欧州特許第0205674号、米国特許第5145906号、欧州特許第0530438号、欧州特許第0670073号、米国特許第4057521号、米国特許第4062817号、米国特許第4525527号、米国特許第425987号、米国特許第5011892号、米国特許第4076663号または米国特許第4931497号に記載されている。前記特許明細書の内容は引用により明らかに本発明に含まれる。
【0033】
これらの親水性の高い膨張性のヒドロゲルの製造に有効な親水性モノマーの例は重合可能な酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、無水物を含むマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンホスホン酸、およびこれらのアミド、ヒドロキシアルキルエステル、およびアミノ基またはアンモニオ基を有するエステルおよびアミドおよび酸官能性モノマーのアルカリ金属塩および/またはアンモニウム塩である。水溶性N−ビニルアミド、例えばN−ビニルホルムアミドまたはジアリルジメチルアンモニウムクロリドも適している。有利な親水性モノマーは一般式II
【0034】
【化2】

の化合物であり、
上記式中、
10は水素、メチル、エチルまたはカルボキシルであり、
11は−COOR13、ヒドロキシスルホニル、またはホスホニル、C〜C−アルカノールエステル化ホスホニル基または式III
【0035】
【化3】

の基であり、
12は水素、メチルまたはエチルであり、
13は水素、C〜C−アミノアルキル、C〜C−ヒドロキシアルキル、アルカリ金属イオンまたはアンモニウムイオンであり、
14はスルホニル基、ホスホニル基、またはカルボキシル基、またはこれらのそれぞれのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩である。
【0036】
〜C−アルカノールの例はメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、またはn−ブタノールである。
【0037】
特に有利な親水性モノマーはアクリル酸およびメタクリル酸およびこれらのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩、例えばアクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、またはアクリル酸アンモニウムである。
【0038】
オレフィン性不飽和酸またはそのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩のグラフト共重合により得られる親水性ヒドロゲルに適したグラフト基体は天然または合成の起源であってもよい。例は澱粉、セルロース、またはセルロース誘導体、および他の多糖類およびオリゴ糖、ポリアルキレンオキシド、特にポリエチレンオキシド、およびポリプロピレンオキシドおよび親水性ポリエステルである。
【0039】
適用なポリアルキレンオキシドは、例えば一般式IV
【0040】
【化4】

を有し、上記式中、
15およびR16は互いに独立に水素、アルキル、アルケニルまたはアリールであり、
17は水素またはメチルであり、
nは1〜500の整数である。
15およびR16はそれぞれ有利に水素、C〜C−アルキル、C〜C−アルケニルまたはフェニルである。
【0041】
有利なヒドロゲルは特にポリアクリレート、ポリメタクリレートおよび米国特許第4931497号、米国特許第5011892号および米国特許第5041496号に記載されるグラフトポリマーである。
【0042】
親水性の、高い膨張性のヒドロゲルは有利に架橋された形で存在する。すなわち前記ヒドロゲルはポリマーネットワークに共重合された少なくとも2個の二重結合を有する化合物を含む。適当な架橋剤は特にN,N′−メチレンビスアクリルアミド、およびN,N′−メチレンビスメタクリルアミド、不飽和モノまたはポリカルボン酸とポリオールのエステル、例えばジアクリレートまたはトリアクリレートであり、例はブタンジオールとエチレンのジアクリレートおよびジメタクリレートおよびトリメチロールプロパントリアクリレート、およびアリル化合物、例えばアリル(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルマレエート、ポリアリルエステル、テトラアリルオキシエタン、トリアリルアミン、テトラアリルエチレンジアミン、例えば欧州特許第0343427号に記載されるリン酸およびビニルホスホン酸のアリルエステルである。本発明の方法は更に架橋剤としてポリアリルエーテルを使用して、アクリル酸の酸性ホモ重合により製造されるヒドロゲルを利用できる。適当な架橋剤はペンタエリスリトールトリアリルエーテル。ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、モノエチレングリコールジアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、グリセリントリアリルエーテル、ソルビトールをベースとするポリアリルエーテル、およびこれらのエトキシル化変形である。
【0043】
本発明の方法に使用できるベースポリマーを製造する有利な方法は、Modern Superabsorbent Polymer Technology、F.L.Bluchholz and A.T.Graham、Wiley−VCH、1998、77〜84頁に記載される。例えばWOA01/38402号に記載されるニーダー中でまたは例えば欧州特許第0955086号に記載されるベルト反応器上で製造されるベースポリマーが得に有利である。
【0044】
吸水性ポリマーは有利にポリマーアクリル酸またはポリアクリレートである。この吸水性ポリマーは文献に記載された方法により製造できる。0.001〜10モル%、有利に0.01〜1モル%の量で架橋コモノマーを有するポリマーが有利であるが、付加的に少なくとも1個の遊離ヒドロキシル基を有する多官能性エチレン性不飽和ラジカル架橋剤を使用するラジカル重合により得られたポリマーが最も有利である。
【0045】
親水性の高い膨張性のヒドロゲルは通常の重合法により製造する。ゲル重合として知られる方法による水溶液中の付加重合が有利である。この方法において、1個以上の親水性モノマーおよび場合により適当なグラフト基体の15〜50質量%水溶液をラジカル開始剤の存在で、有利に機械的混合なしに、トロムスドルフ−ノリッシュ効果(Makromol.Chem.1.169(1947))を利用することにより重合する。付加重合反応は0〜150℃、有利に10〜100℃の温度範囲で、気圧だけでなく、高圧または低圧でも実施することができる。一般に付加重合は保護ガス雰囲気で、有利に窒素下で行うことができる。付加重合は高エネルギー電磁放射線または通常の化学的付加重合開始剤、例えば有機過酸化物、例えばベンゾイルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、アゾ化合物、例えばアゾジイソブチロニトリル、および無機ペルオキソ化合物、例えば(NH、KまたはHを使用して開始することができる。これらは場合により還元剤、例えば重亜硫酸ナトリウム、および硫酸鉄(II)またはレドックス系と組み合わせて使用でき、その際還元成分は脂肪族および芳香族スルフィン酸、例えばベンゼンスルフィン酸およびトルエンスルフィン酸またはこれらの誘導体、例えばドイツ特許第1301566号に記載されるスルフィン酸、アルデヒドおよびアミノ化合物のマンニッヒアダクトである。50〜130℃、有利に70〜100℃の温度範囲の数回のポリマーゲルの後加熱によりポリマーの性能特性を更に改良することができる。
【0046】
得られたゲルを使用されるモノマーに対して例えば0〜100モル%、有利に25〜100モル%、より有利に50〜85モル%に中和し、このために通常の中和剤を使用することができるが、有利にはアルカリ金属水酸化物または酸化物であり、得に有利に水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム。または重炭酸ナトリウムである。
【0047】
中和は一般に水溶液として、または有利に固体として中和剤を混入することにより行う。このためにゲルを例えば肉用粉砕器を使用して機械的に粉砕し、中和剤を噴霧、分散または注入し、引き続き入念に混合する。均一化を行うために、得られたゲル材料肉用粉砕器に数回再び導入することができる。中和されたゲル材料を引き続きベルト乾燥機またっはローラー乾燥機で残留湿度が10質量%未満、有利に5質量%未満になるまで乾燥する。乾燥したヒドロゲルを引き続き粉砕し、濾過し、通常の粉砕装置はロールミル、ピンミルまたは振動ミルである。濾過したヒドロゲルの粒度は有利に45〜1000μm、より有利に45〜850μm、より有利に100〜800μm、特に100〜700μmの範囲である。
【0048】
本発明の後架橋した吸水性ポリマーAUL0.7psi値[g/g]は明細書の部分に記載された方法により測定することができ、有利に10より高く、特に15より高く、より有利に20より高く、特に25より高く、より有利に30より高い。
【0049】
表面後架橋の特性を確認するために、乾燥したヒドロゲルを以下に記載する試験法を使用して試験した。
【0050】
方法
遠心保留能力(CRC)
この方法はティーバッグ中のヒドロゲルの自由膨張性を測定する。ヒドロゲル0.2000±0.0050g(粒度割合106〜850μm)を60×85mmのティーバッグに計量して入れ、引き続き閉鎖した。ティーバッグを過剰の0.9質量%塩化ナトリウム溶液(塩化ナトリウム溶液少なくとも0.83リットル/ポリマー粉末1g)に30分間配置した。その後ティーバッグを250Gで3分間遠心分離した。ヒドロゲルにより保持された液体の量を遠心したティーバッグを再び計量することにより測定した。
【0051】
圧力下の吸収性(AUL)0.5/0.7psi(3450/4830Pa)
AUL0.5/0.7psiを測定する測定セルはプレキシガラスシリンダー(高さ50mm、内径60mm)であり、その底面はステンレススチールメッシュのスクリーン(メッシュ幅36μm)を付着することにより形成された。測定セルは更に直径59mmのプラスチック板および重りを有し、重りはプラスチック板と一緒に測定セルに入れることができる。プラスチック板と重りの合わせた質量はそれぞれ960gおよび1344gである。AUL0.5/0.7psiを測定するために、空のプレキシガラスシリンダーとプラスチック板の質量をWとして測定し、記録する。引き続きヒドロゲル形成ポリマー0.900±0.005g(粒度分布150〜800μm)をプレキシガラスシリンダーに計量して入れ、ステンレススチールスクリーン底部できわめて均一に分配する。引き続きプラスチック板を入念にプレキシガラスシリンダーに入れ、装置全体を計量する。質量をWとして記録する。引き続き重りをプレキシガラスシリンダー中のプラスチック板に配置する。引き続き直径120mm、高さ10mmおよび多孔度0のセラミックフィルタープレートを直径200mmおよび高さ30mmのペトリ皿の中央に配置し、十分な0.9質量%塩化ナトリウム溶液を、液体の表面がフィルタープレートの表面が湿らずに、フィルタープレート表面と同じ高さになるように導入する。直径90mmおよび孔径20μm未満の円形濾紙(S and S589、Schwarzband Schleicher and Schuell)を引き続きセラミック板に配置する。ヒドロゲル形成ポリマーを有するプレキシガラスシリンダーに引き続きプラスチック板および重りを濾紙の上に配置し、60分間放置する。この時間の終わりに装置全体を濾紙およびペトリ皿から除去し、引き続きプレキシガラスから重りを除去する。膨張したヒドロゲルを有するプレキシガラスシリンダーをプラスチック板と一緒に計量し、質量をWとして記録する。
AULは以下のように計算する。
AUL0.5/0.7psi[g/g]=[W−W]/[W−W]。
【0052】
例1
LoedigeVT5RMKすき刃ニーダー(容積5リットル)に脱イオン水388g、アクリル酸173.5g、37.3質量%アクリル酸ナトリウム溶液2033.2g(100モル%中和)およびエトキシル化(EO15)トリメチロールプロパントリアクリレート(Sartomer(登録商標)SR9035、Sartomer社)4.50gを入れる。この最初の装入物を窒素バブルにより20分間不活性化する。過硫酸ナトリウム2.112g、アスコルビン酸0.045gおよび過酸化水素0.126gの薄い水溶液を添加し、約23℃で反応を開始する。反応が開始後、加熱ジャケットの温度を反応器の反応温度に調節する。場合により得られた壊れやすいゲルを空気循環棚中で160℃で約3時間乾燥する。これに続いて粉砕し、250〜85−μmに分級する。得られたヒドロゲルをその後表面後架橋する。ベースポリマーのAUL0.3psi値は17g/gであり、含水量は2.7質量%である。
【0053】
例2〜36
例1のベースポリマーにWaring実験用混合機中で架橋剤溶液を噴霧する。溶液の組成は使用されるベースポリマーに対して以下の用量を達成する組成である。二環式アミドアセタール0.10質量%、イソプロパノールまたは1,2−プロパンジオール1.5質量%、および水3.5質量%。湿ったポリマーを引き続き記載された温度で60分間乾燥する。
架橋剤1:5−メチル−1ーアザ−4.6−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン
架橋剤2:1−アザ−4.6−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン
架橋剤3:5−イソプロピル−1−アザ−4,6−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン
架橋剤4:5−ブチル−1−アザ−4,6−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン
架橋剤5:5−ブチル−1−アザ−3,7−ジメチル−4,6−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン
架橋剤6;5−プロピル−1−アザ−3,7−ジメチル−4,6−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン
架橋剤7:5−イソプロピル−1−アザ−3,7−ジメチル−4,6−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン
架橋剤8:5−エチル−1−アザ−4,6−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン
架橋剤9:5−エチル−1−アザ−3,7−ジメチル−4,6−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン
架橋剤10:5−プロピル−1−アザ−4,6−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン
架橋剤11:5−トリフルオロメチル−1−アザ−4,6−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン。
【0054】
前記例により製造したポリマーを試験し、結果を表1に記載する。
【0055】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水性ポリマーを後架橋剤で処理し、前記処理の間または後に、温度の上昇により前記ポリマーが後架橋し、乾燥することにより、吸水性ポリマーを後架橋する方法において、前記後架橋剤が式I
【化1】

(式中、R,R,R,R,R,R,R,RおよびRは互いに独立に水素、C〜C12−アルキル、C〜C12−アルケニルまたはC〜C12−アリールであり、その際C〜C12−アルキル, C〜C12−アルケニルまたはC〜C12−アリールはハロゲン置換されていてもよい)の化合物であることを特徴とする、吸水性ポリマーを後架橋する方法。
【請求項2】
後架橋剤が、RがC〜C−アルキル、C〜C−アルケニル、またはC〜C−アリールであり、R、R、RおよびRが互いに独立に水素であり、R,R,RおよびRが互いに独立に水素、C〜C−アルキル、またはC〜C−アルケニルであり、その際C〜C−アルキルまたはC〜C−アルケニルがフッ素置換されていてもよい式Iの化合物である請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記後架橋剤が1−アザ−4,6−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタンである請求項1記載の方法。
【請求項4】
後架橋される前記ポリマーがアクリル酸またはアクリル酸エステルから誘導されるかまたは水溶性ポリマーマトリックス上のアクリル酸またはアクリル酸エステルのグラフト共重合により得られた構造単位を有するポリマーである請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
不活性溶剤中の溶液として表面後架橋剤を使用する請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記不活性溶剤がグリセリン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオールおよび/または1,3−プロパンジオールの水溶液からなる請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記不活性溶剤が水または10〜90質量%の範囲のアルコールを含有する水と一官能性または多官能性アルコールの混合物である請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記後架橋剤を前記ポリマーの質量に対して0.01〜5質量%の量で使用する請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載の方法により得られる吸水性ポリマー。
【請求項10】
0.7psi(4830Pa)の圧力下で少なくとも15g/gの吸水性(AUL)により特徴付けられる請求項9記載の吸水性ポリマー。
【請求項11】
衛生用品および包装材料での請求項9または10記載の吸水性ポリマーの使用。

【公表番号】特表2007−500255(P2007−500255A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521425(P2006−521425)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007398
【国際公開番号】WO2005/019279
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】