説明

二色性色素組成物、これを用いた光吸収異方性膜、偏光素子及び液晶表示装置

【課題】液晶性を有し、高い二色性を有する色素を用いた光吸収異方性膜を提供する。
【解決手段】下記一般式(I)で表される、液晶性を有する二色性色素を少なくとも1種含有する二色性色素組成物、並びにこの組成物から形成された光吸収異方性膜。


(式中、Rは置換基を表し、Ar、Arはそれぞれ置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基もしくは芳香族複素環基を表す。Lはアゾ基、エステル基、イミノ基もしくはビニレン基を表す。nは1以上の整数であり、nが2以上の場合は複数あるArおよびLが同じでも異なっていてもよい。mは0〜4の整数であり、mが2以上の場合は複数あるRが同じでも異なっていてもよい。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二色性色素組成物、これを用いた吸収異方性膜、偏光素子および液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザー光や自然光を含む照射光の減衰機能、偏光機能、散乱機能、遮光機能等が必要となった際には、従来は、それぞれの機能毎に異なった原理によって作動する装置を充当していた。それ故に、それら機能に対応する製品も、それぞれの機能別に異なった製造工程によって製造されていた。
例えば、LCD(液晶素子)では表示における旋光性や複屈折性を制御するために直線偏光板や円偏光板が用いられている。OLED(有機エレクトロルミネッセンス素子)においても外光の反射防止のために円偏光板が使用されている。従来、これらの偏光板(偏光素子)にはヨウ素が二色性物質として広く使用されてきた。しかしながら、ヨウ素は昇華性が大きいために偏光素子に使用した場合、その耐熱性や耐光性が十分ではなかった。また、その消光色が深い青になり、全可視スペクトル領域にわたって理想的な無彩色偏光素子とは言えなかった。
【0003】
また、有機系の色素を二色性物質に使用する偏光素子が検討されている。しかし、これら有機系の色素においてはヨウ素に比べると二色性がかなり劣る程度の偏光素子しか得られないなどの問題点があった。特に、光の旋光性や複屈折性を表示原理に用いているLCDにおいて偏光素子は重要な構成要素であり、近年、表示性能などの向上を目的に新たな偏光素子の開発が進められている。
【0004】
その一つの方法として、ヨウ素を含む偏光素子と同様に、二色性を有する有機色素(二色性色素)をポリビニルアルコールのような高分子材料に溶解または吸着させ、その膜を一方向にフィルム状に延伸して二色性色素を配向させる方法が挙げられている。しかしながら、該方法では延伸処理等のプロセスに手間がかかる等の問題点があった。
そこで、最近では他の方法が着目されるようになってきたこの方法として、非特許文献1では、ガラスや透明フィルムなどの基板上に有機色素分子の分子間相互作用などを利用して二色性色素を配向させ、偏光膜(異方性色素膜)を形成している。しかしながら、該文献に記載の方法では、耐熱性の問題があることが知られていた。
【0005】
また、上記ガラスや透明フィルムなどの基板上に有機色素分子の分子間相互作用などを利用して二色性色素を配向させることは湿式成膜法により達成される。このような湿式成膜法で異方性色素膜が作製される場合、この色素膜に使用される色素には、色素分子の高い二色性の他に、湿式成膜法のプロセスに適した色素であることが要求される。湿式成膜法におけるプロセスとしては、色素を基板上に堆積、配向させる方法やその配向を制御する方法などが挙げられる。従って、従来の上記延伸処理を経る偏光素子に使用され得る色素であっても、湿式成膜法には適していないことが多くある。特許文献1〜3では、上記プロセスに適した材料が提案されているが、これらの材料では該プロセスに適してはいても、高い二色性を示すことができないという問題点があった。
【0006】
また、該プロセスに適した材料として、特許文献4では、(クロモゲン)(SOM)nで表される色素が提案されている。該文献では、数種類の二色性色素を組み合わせて無彩色を表しているが、この様に数種類の二色性色素を組み合わせて異方性色素膜を得た場合、異なる分子を混合するため分子配向が乱れてしまい、高い二色性を得ることは困難であるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−180052号公報
【特許文献2】特表2002−528758号公報
【特許文献3】特開2002−338838号公報
【特許文献4】特表平8−511109号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Dreyer,J.F.,Journal de Physique,1969,4,114.,“Light Polarization From Films of Lyotropic Nematic Liquid Crystals”
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、液晶性を有し、高い二色性を有する色素を用いた光吸収異方性膜、偏光素子および液晶表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記課題は、下記の手段によって解決された。
<1>下記一般式(I)で表される、液晶性を有する二色性色素を少なくとも1種含有する、二色性色素組成物。
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、Rは置換基を表し、Ar、Arはそれぞれ置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基もしくは芳香族複素環基を表す。Lはアゾ基、エステル基、イミノ基もしくはビニレン基を表す。nは1以上の整数であり、nが2以上の場合は複数あるArおよびLが同じでも異なっていてもよい。mは0〜4の整数であり、mが2以上の場合は複数あるRが同じでも異なっていてもよい。)
<2>前記一般式(I)で表される二色性色素が下記一般式(II)で表される<1>に記載の二色性色素組成物。
【0013】
【化2】

【0014】
(式中、R、RおよびRはそれぞれ置換基を表す。Lはアゾ基、エステル基、イミノ基もしくはビニレン基を表す。nは1以上の整数であり、nが2以上の場合は複数あるRおよびLが同じでも異なっていてもよい。m、m’及びm”は0〜4の整数であり、m、m’及び/又はm”が2以上の場合は複数あるR、RおよびRが同じでも異なっていてもよい。RおよびRが複数ある場合には、複数あるRおよびRがそれぞれ互いに結合し、環を形成してもよい。Rは水素原子または置換基を表し、Rと互いに結合して環を形成してもよい。)
<3>前記一般式(I)で表される二色性色素が下記一般式(III)で表される<1>に記載の二色性色素組成物。
【0015】
【化3】

【0016】
(式中、R、R、R、RおよびRはそれぞれ置換基を表す。Lはアゾ基、エステル基、イミノ基もしくはビニレン基を表す。nは1以上の整数であり、nが2以上の場合は複数あるRおよびLが同じでも異なっていてもよい。m、m’及びm”は0〜4の整数であり、m、m’及び/又はm”が2以上の場合は複数あるR、R及び/又はRが同じでも異なっていてもよい。R及び/又はRが複数ある場合には、それぞれ互いに結合し、環を形成してもよい。また、R、RおよびRは互いに結合して環を形成してもよい。)
<4><1>〜<3>のいずれか1項に記載の二色性色素組成物から形成された光吸収異方性膜。
<5><4>に記載の光吸収異方性膜を有する偏光素子。
<6><4>に記載の光吸収異方性膜、または<5>に記載の偏光素子を有する液晶表示装置。
<7>(1)支持体、または該支持体上に形成された配向膜をラビング処理する工程と、(2)ラビング処理した支持体または配向膜上に、有機溶媒に溶解した<1>〜<3>のいずれか1項に記載の組成物を塗布する工程と、(3)前記有機溶媒を蒸発させることにより前記組成物を配向させる工程を含む<5>に記載の偏光素子の製造方法。
<8>下記一般式(IIIa)で表される化合物。
【0017】
【化4】

【0018】
(式中、R、R、R、RおよびRはそれぞれ置換基を表す。Lはアゾ基、エステル基、イミノ基もしくはビニレン基を表す。n’は2〜10の整数であり、複数あるRおよびLが同じでも異なっていてもよい。m、m’及びm”は0〜4の整数であり、m、m’及び/又はm”が2以上の場合は複数あるR、R及び/又はRが同じでも異なっていてもよい。R及び/又はRが複数ある場合には、それぞれ互いに結合し、環を形成してもよい。また、R、RおよびRは互いに結合して環を形成してもよい。)
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、液晶性を有し、高い二色性を有する色素を用いた光吸収異方性膜、偏光素子および液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いる二色性色素は、液晶性を有しており、下記一般式(I)で表される。本発明において、「二色性色素」とは、方向によって吸収波長が異なる色素を意味する。また、「二色性」は、二色性色素組成物を光吸収異方性膜としたときの、偏光軸方向の偏光の吸光度に対する、吸収軸方向の偏光の吸光度の比で計算される。さらに、ここで言う液晶性とはサーモトロピック液晶性もしくはリオトロピック液晶性を表し、サーモトロピック液晶性においては、昇温あるいは降温過程において結晶相と等方相の間に1つ以上の中間相を有することを意味する。リオトロピック液晶性においては、水もしくは有機溶媒中において何らかの自己組織化力を持って相分離状態を有することを意味する。
【0021】
以下、一般式(I)で表される、液晶性を有する、二色性色素について詳細に説明する。
【0022】
【化5】

【0023】
式中、Rは置換基を表し、Ar、Arはそれぞれ置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基もしくは芳香族複素環基を表す。Lはアゾ基、エステル基、イミノ基もしくはビニレン基を表す。nは1以上の整数であり、nが2以上の場合は複数あるArおよびLが同じでも異なっていてもよい。mは0〜4の整数であり、mが2以上の場合は複数あるRが同じでも異なっていてもよい。
【0024】
上記一般式(I)において、R1およびAr、Arに置換してもよい置換基としては以下の基を挙げることができる。
アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、3,5−ジトリフルオロメチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、
【0025】
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは2〜6であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは2〜6であり、例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数2〜6であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数2〜6であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、
【0026】
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、メシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、メタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、無置換のウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12のヘテロ環基であり、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)が含まれる。
これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基を二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
【0027】
1で表される基としては、好ましくはアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子であり、特に好ましくはアルキル基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)である。mは0〜2が好ましく、0が最も好ましい。
【0028】
Arは、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基または2価の芳香族複素環基を表す。Arで表される芳香族炭化水素基としては、フェニレン基、ナフチレン基が好ましい。該フェニレン基、ナフチレン基が有していてもよい置換基としては、アゾ化合物の溶解性を高めるために導入される基、色素としての色調を調節するために導入される電子供与性や電子吸引性を有する基、または配向を固定化するために導入される重合性基を有する基が好ましく、具体的には、前記の通りである。好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、置換基を有していてもよいアシルアミノ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニルアミノ基、置換基を有していてもよいスルホニルアミノ基、置換基を有していてもよいスルファモイル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいスルホニル基、置換基を有していてもよいウレイド基、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0029】
アルキル基は、好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12である。該アルキル基に置換していてもよい基としては、アルコキシ基、アシルオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子などが挙げられる。
【0030】
該アルキル基に置換していてもよい基としては、重合性基であることも好ましい。重合性基としては特に限定されないが、重合反応は、付加重合(開環重合を含む)または縮合重合であることが好ましい。換言すれば、重合性基は付加重合反応または縮合重合反応が可能な重合性基であることが好ましい。
以下に重合性基の具体例を示すが、本発明はこれに限定されない。なお、式中、Etはエチル基、Prはプロピル基を表す。
【0031】
【化6】

【0032】
重合性基としては、ラジカル重合またはカチオン重合する重合性基が好ましい。ラジカル重合性基としては、一般に知られているラジカル重合性基を用いることができ、(メタ)アクリレート基が好ましい。カチオン重合性基としては、一般に知られているカチオン重合性を用いることができ、具体的には、脂環式エーテル基、環状アセタール基、環状ラクトン基、環状チオエーテル基、スピロオルソエステル基、ビニルオキシ基などを挙げることができる。なかでも脂環式エーテル基、ビニルオキシ基が好適であり、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルオキシ基が特に好ましい。
【0033】
アルケニル基は、好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12である。該アルケニル基に置換していてもよい基としては、前記アルキル基に置換していてもよい基としてあげた基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
【0034】
アルキニル基は、好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12である。該アルキニル基に置換していてもよい基としては、前記アルキル基に置換していてもよい基としてあげた基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
【0035】
アリール基は、好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12である。該アリール基に置換していてもよい基としては、前記アルキル基に置換していてもよい基としてあげた基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
【0036】
アルコキシ基は、好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12である。該アルコキシ基に置換していてもよい基としては、前記アルキル基に置換していてもよい基としてあげた基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
【0037】
アルコキシカルボニル基は、好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12である。該アルコキシカルボニル基に置換していてもよい基としては、前記アルキル基に置換していてもよい基としてあげた基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
【0038】
アシルオキシ基は、好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12である。該アシルオキシ基に置換していてもよい基としては、前記アルキル基に置換していてもよい基としてあげた基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
【0039】
アミノ基は、好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは1〜12である。該アミノ基に置換していてもよい基としては、前記アルキル基に置換していてもよい基としてあげた基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
【0040】
アシルアミノ基は、好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは1〜12である。該アシルアミノ基に置換していてもよい基としては、前記アルキル基に置換していてもよい基としてあげた基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
【0041】
アルコキシカルボニルアミノ基は、好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12である。該アルコキシカルボニルアミノ基に置換していてもよい基としては、前記アルキル基に置換していてもよい基としてあげた基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
【0042】
スルホニルアミノ基は、好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12である。該スルホニルアミノ基に置換していてもよい基としては、前記アルキル基に置換していてもよい基としてあげた基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
【0043】
スルファモイル基は、好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12である。該スルファモイル基に置換していてもよい基としては、前記アルキル基に置換していてもよい基としてあげた基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
【0044】
カルバモイル基に置換していてもよい基としては、前記アルキル基に置換していてもよい基としてあげた基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
【0045】
アルキルチオ基は、好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12である。該アルキルチオ基に置換していてもよい基としては、前記アルキル基に置換していてもよい基としてあげた基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
【0046】
スルホニル基は、好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12である。該スルホニル基に置換していてもよい基としては、前記アルキル基に置換していてもよい基としてあげた基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
【0047】
ウレイド基は、好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12である。該ウレイド基に置換していてもよい基としては、前記アルキル基に置換していてもよい基としてあげた基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
【0048】
該フェニレン基または該ナフチレン基は、無置換もしくは、これら置換基を1〜5個有していてもよく、無置換もしくは、1〜2個有していることが好ましい。
【0049】
Arで表される芳香族複素環基としては、単環または二環性の複素環由来の基が好ましい。芳香族複素環基を構成する炭素以外の原子としては、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子が挙げられるが、窒素原子が特に好ましい。芳香族複素環基が炭素以外の環を構成する原子を複数有する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。芳香族複素環基として具体的には、ピリジンジイル基、キノリンジイル基、イソキノリンジイル基、ベンゾチアジアゾールジイル基、フタルイミドジイル基等が挙げられる。中でも、キノリンジイル基、イソキノリンジイル基が好ましい。
該芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、無置換あるいはメチルアミノ基等のアミノ基、アセチルアミノ基、アシルアミノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0050】
Arは、特に好ましくは、置換基を有していてもよい2価のフェニレン基である。Arの置換基としては、特に好ましくは、メチル基である。
nは、1以上の整数を表し、好ましくは1〜2の整数を表す。
【0051】
Arは、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
Arで表される芳香族炭化水素基としては、フェニル基またはナフチル基が好ましい。該芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアシルアミノ基、およびシアノ基等が挙げられる。なお、該置換基を有していてもよいアルキル基、該置換基を有していてもよいアルコキシ基、該置換基を有していてもよいアミノ基、および該置換基を有していてもよいアシルアミノ基の好ましい炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記Arがフェニレン基、ナフチレン基の場合に記載したものと同義であり、その好ましい範囲も同一である。
【0052】
芳香族複素環基としては、単環または二環性の複素環由来の基が好ましい。芳香族複素環基を構成する炭素以外の原子としては、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子が挙げられる。芳香族複素環基が炭素以外の環を構成する原子を複数有する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。芳香族複素環基として具体的には、ピリジル基、チオフェニル基、ピリドニル基などが挙げられる。
Arは、特に好ましくは、置換基を有していてもよいフェニル基である。
【0053】
1は、アゾ基(-N=N-)、エステル基(-C(=O)O-もしくは-OC(=O)-)、イミノ基(-CH=N-もしくは-N=CH-)またはビニレン基(-CH=CH-)を表し、-N=N-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-N=CH-が好ましく、-N=N-、-C(=O)O-、-N=CH-がもっとも好ましい。
【0054】
本発明で用いる二色性色素は、後述する実施例に記載の方法で算出した二色比(D)を例えば10以上に高めることができ、好ましくは(D)を20〜100とすることができる。
また液晶性については、好ましくは100〜400℃、より好ましくは150〜300℃で液晶相を示す。
前記一般式(I)で表される、液晶性を有する、二色性色素のうち、特に好ましいものは、下記一般式(II)で表される二色性色素である。
以下、一般式(II)で表される二色性色素について説明する。
【0055】
【化7】

【0056】
式中、R、RおよびRはそれぞれ置換基を表す。Lはアゾ基、エステル基、イミノ基もしくはビニレン基を表す。nは1以上の整数であり、nが2以上の場合は複数あるRおよびLが同じでも異なっていてもよい。m、m’及びm”は0〜4の整数であり、m、m’及び/又はm”が2以上の場合は複数あるR、RおよびRが同じでも異なっていてもよい。RおよびRが複数ある場合には、複数あるRおよびRがそれぞれ互いに結合し、環を形成してもよい。Rは水素原子または置換基を表し、Rと互いに結合して環を形成してもよい。
【0057】
式中、Rは前記一般式(I)におけるRとして説明した置換基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
2は前記一般式(I)におけるArの置換基として説明した置換基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。R2は、最も好ましくはメチル基である。
は前記一般式(I)におけるLとして説明した置換基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
【0058】
は前記一般式(I)におけるAr2の置換基として説明した置換基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
は水素原子または置換基である。置換基としては上記一般式(I)においてArと置換基として挙げたものと同義であり、好ましいものは置換もしくは無置換のアミノ基、アルコキシ基およびヒドロキシ基である。
nは、1以上の整数を表し、好ましくは1〜10の整数を表し、さらに好ましくは1〜3の整数を表す。
【0059】
また、前記一般式(I)で表される二色性色素のうち、下記一般式(III)で表される二色性色素が特に好ましい。以下、一般式(III)で表される二色性色素について説明する。
【0060】
【化8】

【0061】
式中、R、R、R、RおよびRはそれぞれ置換基を表す。Lはアゾ基、エステル基、イミノ基もしくはビニレン基を表す。nは1以上の整数であり、nが2以上の場合は複数あるRおよびLが同じでも異なっていてもよい。m、m’及びm”は0〜4の整数であり、m、m’及び/又はm”が2以上の場合は複数あるR、R及び/又はRが同じでも異なっていてもよい。R及び/又はRが複数ある場合には、それぞれ互いに結合し、環を形成してもよい。また、R、RおよびRは互いに結合して環を形成してもよい。
【0062】
式中、Rは前記一般式(I)におけるRとして説明した置換基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
2は前記一般式(I)におけるArの置換基として説明した置換基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。R2は、最も好ましくはメチル基である。
は前記一般式(I)におけるAr2の置換基として説明した置換基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
は前記一般式(I)におけるLとして説明した置換基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
【0063】
、Rで表される基としては、好ましくは水素原子、アルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基であり、特に好ましくは水素原子、アルキル基であり、最も好ましくはアルキル基である。
アルキル基は、好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは1〜12、最も好ましくは1〜6である。
アシル基は、好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは1〜12である。
【0064】
アルコキシカルボニル基は、好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12である。
アルキルスルホニル基は、好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12である。
【0065】
該置換基は、さらに置換基を有していてもよく、その置換基とは前記一般式(I)におけるArのアルキル基に置換していてもよい基としてあげた基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
nは、1以上の整数を表し、好ましくは1〜10の整数を表し、さらに好ましくは1〜3の整数を表す。
【0066】
また、RおよびRの一方もしくは両方がRと結合し、環を形成している場合も好ましい。この場合、環は5〜7員環が好ましく、5〜6員環がさらに好ましい。
【0067】
以下に一般式(I)で表される、液晶性を有する、二色性色素の具体例を挙げるが、本発明はこれに制限されるものではない。式中(*)はアゾ基との連結部位を示す。
【0068】
【化9】

【0069】
【化10】

【0070】
【化11】

【0071】
なお、上記本発明で用いる二色性色素のうち、下記の一般式(IIIa)で表わされる二色性色素は化合物として新規である。
【0072】
【化12】

【0073】
式中、R、R、R、RおよびRはそれぞれ置換基を表す。Lはアゾ基、エステル基、イミノ基もしくはビニレン基を表す。n’は2〜10の整数であり、複数あるRおよびLが同じでも異なっていてもよい。m、m’及びm”は0〜4の整数であり、m、m’及び/又はm”が2以上の場合は複数あるR、R及び/又はRが同じでも異なっていてもよい。R及び/又はRが複数ある場合には、それぞれ互いに結合し、環を形成してもよい。また、R、RおよびRは互いに結合して環を形成してもよい。
【0074】
一般式(IIIa)で表わされる化合物は、上記一般式(III)で表わされる化合物のうちのnが2〜10のものである。R、R、R、R、R、L、m、m’及びm”は一般式(III)におけると同義であり、好ましい範囲も同様である。n’は好ましくは2〜10の整数であり、より好ましくは2〜3の整数である。
【0075】
本発明における前記一般式(I)、(II)または(III)で表される二色性色素は、Journal of Materials Chemistry (1999),9(11),2755−2763等に記載の方法に準じて容易に合成することができる。
【0076】
前記一般式(I)、(II)または(III)で表される二色性色素は、その分子構造から明らかなように、分子形状が平板で直線性がよく、剛直なコア部分と柔軟な側鎖部分を有しており、液晶性、特にネマチック液晶性を発現しやすい性質を有している。さらに、分子の平面性が高いため強い分子間相互作用が働き、分子同士が会合状態を形成しやすい性質も有している。
【0077】
本発明に係る前記一般式(I)、(II)または(III)で表される二色性色素を含有する二色性色素組成物は、会合形成により可視の広い波長領域において高い吸光度を表すということだけでなく、この色素を含有した組成物がネマチック液晶性を有するため、例えば、ラビングした配向膜表面への塗布などの積層プロセスを経ることによって、配向膜上で高い秩序度で配向し、高次の分子配向状態を実現できる。したがって、本発明に係る前記一般式I)、(II)または(III)で表される二色性色素を含有する二色性色素組成物を光吸収異方性膜として使用すれば、偏光特性の高い偏光素子を作製することができる。
【0078】
本発明において、前記一般式(I)、(II)または(III)で表される二色性色素は単独で用いても良いし、二種以上を併用しても良い。或いはまた前記二色性色素とこれら以外の色素化合物とを併用しても良い。これらの例としては、前記一般式(I)、(II)または(III)で表される二色性色素以外のアゾ系色素、シアニン系色素、アゾ金属錯体、フタロシアニン系色素、ピリリウム系色素、チオピリリウム系色素、アズレニウム系色素、スクワリリウム系色素、ナフトキノン系色素、トリフェニルメタン系色素、及びトリアリルメタン系色素等を挙げることが出来る。
【0079】
本発明の光吸収異方性膜は、二色性色素を主成分として形成されている。本発明の二色性色素組成物における固形分中の二色性色素の含有量は70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。この二色性色素のうちの前記一般式(I)、(II)または(III)で表される化合物の含有量は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上が特に好ましい。ここで言う固形分とは、室温で液体の性状を示す溶媒以外の成分を指し、二色性色素のほか、各種添加剤や、室温で液晶性を示す物質なども含まれる。
さらに、本発明の二色性色素組成物における前記一般式(I)、(II)または(III)で表される二色性色素の含有量は特に制限されないが、70質量%以上が好ましく、80質量%以上が特に好ましい。
【0080】
[光吸収異方性膜を形成する二色性色素組成物]
本発明の二色性色素組成物には、前記の二色性色素の他に、これを溶解する溶媒や慣用の成分を添加・併用することができる。この添加剤の例としては、風ムラ防止剤、ハジキ防止剤、配向膜のチルト角(光吸収異方性膜/配向膜界面での二色性色素の傾斜角)を制御するための添加剤、空気界面のチルト角(光吸収異方性膜/空気界面での二色性色素の傾斜角)を制御するための添加剤、重合開始剤、配向温度を低下させる添加剤(可塑剤)、重合性モノマー、糖類、防黴、抗菌及び殺菌の少なくともいずれかの機能を有する薬剤等である。以下、いくつかの添加剤について説明する。
【0081】
(風ムラ防止剤)
二色性色素とともに使用して、塗布時の風ムラを防止するための材料としては、一般にフッ素系ポリマーを好適に用いることができる。使用するフッ素系ポリマーとしては、二色性色素のチルト角変化や配向を著しく阻害しない限り、特に制限はない。風ムラ防止剤として使用可能なフッ素ポリマーの例としては、特願2002−364034号公報、特願2003−129354号公報、特願2003−394998号公報、特願2004−12139号公報に記載がある。二色性色素とフッ素系ポリマーとを併用することによって、ムラを生じることなく表示品位の高い画像を表示することができる。さらに、ハジキなどの塗布性も改善される。二色性色素の配向を阻害しないように、風ムラ防止目的で使用されるフッ素系ポリマーの添加量は、二色性色素に対して一般に0.1〜2質量%の範囲であるのが好ましく、0.1〜1質量%の範囲にあるのがより好ましく、0.4〜1質量%の範囲にあるのがさらに好ましい。
【0082】
(ハジキ防止剤)
二色性色素の塗布時のハジキを防止するための材料としては、一般に高分子化合物を好適に用いることができる。使用するポリマーとしては、二色性色素と相溶性を有し、二色性色素のチルト角変化や配向を著しく阻害しない限り、特に制限はない。ハジキ防止剤として使用可能なポリマーの例としては、特開平8−95030号公報に記載があり、特に好ましい具体的ポリマー例としてはセルロースエステル類を挙げることができる。セルロースエステルの例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロースおよびセルロースアセテートブチレートを挙げることができる。二色性色素の配向を阻害しないように、ハジキ防止目的で使用されるポリマーの添加量は、二色性色素に対して一般に0.1〜10質量%の範囲であるのが好ましく、0.1〜8質量%の範囲にあるのがより好ましく、0.1〜5質量%の範囲にあるのがさらに好ましい。
【0083】
(配向膜チルト角制御剤)
配向膜のチルト角を制御する添加剤として、分子内に極性基と非極性基の両方を有する化合物を添加することができる。分子内に極性基と非極性基の両方を有する化合物としては、PO−OH、PO−COOH、PO−O−PO、PO−NH、PO−NH−PO、PO−SH、PO−S−PO、PO−CO−PO、PO−COO−PO、PO−CONH−PO、PO−CONHCO−PO、PO−SOH、PO−SO−PO、PO−SONH−PO、PO−SONHSO−PO、PO−C=N−PO、HO−P(−OPO、(HO−)PO−OPO、P(−OPO、HO−PO(−OPO、(HO−)PO−OPO、PO(−OPO、PO−NOおよびPO−CNならびにこれらの有機塩が好ましい例として挙げられる。ここで、有機塩としては、上記化合物の有機塩(例えば、アンモニウム塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等)の他、ピリジニウム塩等も好ましく採用することができる。前記分子内に極性基と非極性基の両方を有する化合物の中でも、PO−OH、PO−COOH、PO−O−PO、PO−NH、PO−SOH、HO−PO(−OPO、(HO−)PO−OPO、PO(−OPOもしくはこれらの有機塩が好ましい。ここで、上記各POは非極性基を表し、POが複数ある場合は、それぞれのPOは同一でも異なっていてもよい。
【0084】
Oとしては、例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30の直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数1〜30の直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基)、アルキニル基(好ましくは炭素数1〜30の直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基)、アリール基(好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基)が例として挙げられる。これらの非極性基はさらに置換基を有していてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールアゾ基、ヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が好ましい例として挙げられる。
【0085】
本発明では、二色性色素組成物塗布液等に配向膜チルト制御剤を添加し、配向膜チルト制御剤の存在下で二色性色素を配向させることで、配向膜側界面における二色性色素のチルト角を調整することができる。配向膜チルト角制御剤の添加量は、一般的には、二色性色素の質量に対して0.0001質量%〜30質量%であるのが好ましく、0.001質量%〜20質量%であるのがより好ましく、0.005質量%〜10質量%であるのがさらに好ましい。本発明では、特開2006−58801号公報に記載の配向膜チルト制御剤を使用することができる。
【0086】
(重合性モノマー)
二色性色素とともに重合性モノマーを使用してもよい。本発明に使用可能な重合性モノマーとしては、二色性色素と相溶性を有し、二色性色素のチルト角変化や配向阻害を著しく引き起こさない限り、特に限定はない。これらの中では重合活性なエチレン性不飽和基、例えばビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基およびメタクリロイル基などを有する化合物が好ましく用いられる。上記重合性モノマーの添加量は、二色性色素に対して一般に1〜50質量%の範囲にあり、5〜30質量%の範囲にあることが好ましい。また反応性官能基数が2以上のモノマーを用いると、配向膜と光学異方性層間の密着性を高める効果が期待できるため、特に好ましい。
【0087】
(重合開始剤)
二色性色素の配向状態を固定して光吸収異方性膜を形成するのが好ましく、上記の重合性モノマーの重合反応を利用して二色性色素を固定するのが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれるが、熱により支持体等が変形、変質するのを防ぐためにも、光重合反応が好ましい。光重合開始剤の例、光重合開始剤の使用量、および重合のための光照射エネルギーの値の各々は特開2001−91741号公報の段落[0050]〜[0051]の記載が本発明に適用できる。
【0088】
[偏光子の製造方法]
本発明の偏光子は、
[1]基板を直接、又は該基板上に形成された配向膜をラビング、又は光照射する工程
[2]該基板又は該配向膜上に、有機溶媒に溶解した前記色素組成物を塗布する工程
[3]前記有機溶媒を蒸発させることにより前記色素を配向させ偏光子とする工程
をこの順に含むプロセスにより製造することが好ましい。
【0089】
以下、各工程[1]〜[3]にしたがって、説明する。
[1]配向膜処理工程
(基板、又は当該基板上に形成された配向膜をラビング処理する工程)
上記した基板又は基板上に形成された配向膜をラビング処理するが、ラビング処理とは、後記詳述するように、当該基板等の表面を、綿布、脱脂綿等のバフにより一定方向に擦って、その方向に平行な微細な溝を形成する配向処理を行う操作であり、ここに色素を塗布することにより、最終的にその表面に配向状態で当該色素を吸着させる操作である。
【0090】
ラビング密度を変える方法としては、「液晶便覧」(丸善社発行)に記載されている方法を用いることができる。ラビング密度(L)は、下記式(A)で定量化されている。
【0091】
式(A) L=Nl(1+2πrn/60v)
【0092】
式(A)中、Nはラビング回数、lはラビングローラーの接触長、rはローラーの半径、nはローラーの回転数(rpm)、vはステージ移動速度(秒速)である。
ラビング密度を高くするためには、ラビング回数を増やす、ラビングローラーの接触長を長く、ローラーの半径を大きく、ローラーの回転数を大きく、ステージ移動速度を遅くすればよく、一方、ラビング密度を低くするためには、この逆にすればよい。
ラビング密度と配向膜のプレチルト角との間には、ラビング密度を高くするとプレチルト角は小さくなり、ラビング密度を低くするとプレチルト角は大きくなる関係がある。
【0093】
(当該基板上に形成された配向膜を光配向処理する工程)
[光照射]
本発明においては、基板上に形成した光配向膜に直線偏光又は非偏光照射を施し、光配向膜を製造する。
【0094】
本発明における直線偏光照射とは、前記光配向材料に光反応を生じせしめるための操作である。用いる光の波長は、用いる光配向材料により異なり、その光反応に必要な波長であれば特に限定されるものではない。好ましくは、光照射に用いる光のピーク波長が200nm〜700nmであり、より好ましくは光のピーク波長が400nm以下の紫外光である。
【0095】
光照射に用いる光源は、通常使われる光源、例えばタングステンランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、キセノンフラッシュランプ、水銀ランプ、水銀キセノンランプ、カーボンアークランプ等のランプ、各種のレーザー(例、半導体レーザー、ヘリウムネオンレーザー、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザー、YAGレーザー)、発光ダイオード、陰極線管などを挙げることができる。
【0096】
直線偏光を得る手段としては、偏光板(例、ヨウ素偏光板、二色色素偏光板、ワイヤーグリッド偏光板)を用いる方法、プリズム系素子(例、グラントムソンプリズム)やブリュースター角を利用した反射型偏光子を用いる方法、又は偏光を有するレーザー光源から出射される光を用いる方法が採用できる。また、フィルターや波長変換素子等を用いて必要とする波長の光のみを選択的に照射してもよい。
【0097】
照射する光は、直線偏光の場合、配向膜に対して上面、又は裏面から配向膜表面に対して垂直、又は斜めから光を照射する方法が採用される。前記光の入射角度は、前記光配向材料によって異なるが、例えば、0〜90°(垂直)、好ましくは40〜90である。
非偏光の場合、斜めから光を照射する方法が採用され、その入射角度は、10〜80°、好ましくは20〜60、特に好ましくは30〜50°である。
照射時間は好ましくは1分〜60分、さらに好ましくは1分〜10分である。
【0098】
パターン化が必要な場合には、フォトマスクを用いた光照射をパターン作成に必要な回数施す方法やレーザー光走査によるパターンの書き込みによる方法を採用できる。
[2]塗布工程
(配向処理した基板又は配向膜上に、有機溶媒に溶解した色素組成物の塗布液を塗布する工程)
上記配向処理した基板又は配向膜上に、有機溶媒に溶解した色素組成物の塗布液を塗布する工程である。
【0099】
[塗布溶媒]
本発明における偏光子は、前記色素組成物の塗布液を用いて形成する。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましい。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。炭化水素、アルキルハライド及びケトンが好ましい。2種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
【0100】
[塗布方式]
本発明の偏光子は、湿式成膜法により形成することが好ましい。具体的に、湿式成膜法としては、原崎勇次著「コーティング工学」株式会社朝倉書店、1971年3月20日発行、253頁から277頁や市村國宏監修「分子協調材料の創製と応用」株式会社シーエムシー出版、1998年3月3日発行、118頁から149頁などに記載の公知の方法や、例えば、色素組成物塗布液の配向処理した基板又は配向膜表面へ、通常の方法(例えば、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、スリットコーティング法、スリットアンドスピン法、ワイヤバーコーティング法、ロールコーティング法、ブレードコーティング法、フリースパンコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法、インクジェット法)により実施できる。なかでも本発明においては、配向の均一性及び組成物の使用効率の点からは、スリットコーティング法が好ましい。
【0101】
[スリットコーティング法]
スリットコーティング法の一例を挙げれば、例えば、何れか一辺の長さが800mm以上の基板に、当該基板との相対移動速度が50〜150mm/secの流延塗布機のスリットダイから、前記本発明の色素組成物を塗布して、前記基板表面に膜厚Lのウェット塗膜を形成する工程を行い、その後、必要な場合、ウエット塗膜に対してプリベークを行って溶媒を除去して膜厚Lのプリベーク塗膜を形成する工程を実施する。このとき、前記ウエット塗膜の膜厚Lは0.1〜20μmであることが好ましく、且つ、ドライ塗膜の膜厚Lは0.01〜2μmであることが好ましい。また、前記スリットダイの吐出口と基板表面とのギャップは50μm〜200μmの範囲である。
本発明の色素組成物を用いて、このような塗布方法をとることで、例えば、第五世代のガラス基板(1100mm×1250mm)を塗布する場合においても、配向均一性の高い偏光子膜を生産性よく形成することができる。
【0102】
塗布時の温度は、好ましくは0℃以上、80℃以下、湿度は好ましくは10%RH以上、80%RH以下程度である。
【0103】
また、湿式製膜法で色素組成物を塗布するときには、基板を加温してもよいし冷却してもよい。このときの基板の温度は、好ましくは10℃以上60℃以下である。上限を上回ると、以下詳述する減圧乾燥を行う前に配向が乱れて乾燥する恐れがあり、下限を下回ると支持体表面に水滴が付き塗布の障害になる恐れがある。湿式製膜法により塗布した偏光子を減圧乾燥するときに基板の加温を行ってもよい。このときの基板の温度は、好ましくは60℃以下である。上限を上回ると減圧乾燥を行う前に配向が乱れて乾燥する恐れがある。
【0104】
本発明においては、一方向に配向処理された基板又は配向膜上に、前記基板又は配向膜上の配向処理方向に対して平行でない角度で色素組成物を塗布して、偏光子を形成することができる。さらに、基板の縦又は横方向と略一致する方向に色素組成物を塗布することがより好ましい。これにより、配向欠陥がなく高い偏光度を持つ偏光子を形成することもできる。また、色素組成物の塗布後、必要な偏光角度を持たせるために基板を切り出す必要がなく、生産性が高い。
【0105】
[3]乾燥、配向工程
(前記有機溶媒を蒸発させることにより前記色素組成物を配向させる工程)
塗布に引き続いて行われる、前記有機溶媒溶液の塗膜から、当該有機溶媒を蒸発させることにより前記色素組成物を配向させる工程である。この場合、乾燥温度としては、好ましくは室温において自然乾燥することであり、塗布により形成された当該色素の配向状態を乱さない(熱緩和等を避ける)ようにするが好ましい。なお、減圧処理において、溶媒を蒸発させ、より低温で乾燥することも好ましい。
【0106】
ここでいう減圧処理とは、塗膜(偏光子膜)を有する基板を減圧条件下におき、溶媒を蒸発除去することを言う。このとき、偏光子膜を有する基板は高部から底部に流れないよう、水平にしておくことが好ましい。
塗布後、偏光子膜の減圧処理を始めるまでの時間は、短ければ短いほどよく、好ましくは1秒以上30秒以内である。
減圧処理の方法としては、例えば以下の様な方法が挙げられる。塗布液を塗布して得られた偏光子膜を、その基板とともに減圧処理装置に入れて減圧処理する。例えば特開2006−201759の図9や図10のような減圧処理装置を使用することができる。減圧処理装置の詳細については、特開2004−169975号公報に記載されている。
【0107】
減圧処理の条件としては、偏光子膜の存在する系内の圧力が、好ましくは2×10Pa以下、さらに好ましくは1×10Pa以下、特に好ましくは1×10Pa以下である。また、好ましくは1Pa以上、更に好ましくは1×10Pa以上である。通常、系内が最終的に到達する圧力が前記の通りであることが好ましい。上限を上回ると乾燥できず配向が乱れる恐れがあり、下限を下回ると乾燥が急速過ぎて欠陥が発生する恐れがある。
また、減圧処理時間は、好ましくは5秒以上180秒以内である。上限を上回ると配向緩和前に急速に偏光子膜を乾燥できず配向が乱れる恐れがあり、下限を下回ると乾燥できず配向が乱れる恐れがある。
【0108】
また、減圧処理する際の系内の温度は、好ましくは10℃以上60℃以下である。上限を上回ると乾燥時に対流が起こり偏光子膜に不均一性の発生の恐れがあり、下限を下回ると乾燥できず配向が乱れる恐れがある。
【0109】
色素組成物の乾燥後に配向させるとき、配向を促進させるために基板を加温してもよい。このときの基板の温度は、好ましくは50℃以上200℃以下であり、特に好ましくは70℃以上180℃以下である。この配向温度を低下させるために、色素組成物に可塑剤等の添加剤を併用してもよい。
【0110】
[配向、硬化]
非液晶性の重合性多官能モノマーを含む色素組成物から偏光子を形成する場合は、該色素を配向させた後、光照射(好ましくは紫外線照射)又は加熱、或いはこれらの組合せにより重合硬化を行なうことが好ましい。
【0111】
以上のようにして本発明の、偏光膜としての機能を有する素子(偏光素子)を形成することができる。この場合、さらに偏光子の表面に透明樹脂硬化層、粘着層、反射防止層等を形成してもよい。
【0112】
[透明樹脂硬化層の積層工程]
(前記偏光子膜上に、硬化性透明樹脂組成物を塗布し硬化させる工程)
上記偏光子膜上に、塗布溶媒を用いて硬化性透明樹脂組成物を塗布する。
【0113】
[塗布溶媒]
塗布溶媒としては、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。具体的には、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)等が挙げられる。中でもトルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エタノール及びブタノールが好ましく、特に好ましい分散媒体は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エタノールである。
上記溶媒の使用量は、硬化性透明樹脂組成物の固形分濃度が2〜50質量%となるように使用するのが好ましく、3〜40質量%となるように使用するのが更に好ましい。
【0114】
[塗布方法]
塗布液の塗布は、前記偏光子の塗布方法を採用することができる。
【0115】
[配向、硬化]
透明樹脂硬化層を形成する場合、硬化は、紫外線照射によって行なうことが好ましい。
【0116】
前記偏光子は、前記塗布法によって、例えば、カラーフィルター基板等の表面に、直接形成してもよい。また、以下に説明する転写材料を用い転写して形成してもよい。即ち、本発明の偏光子を用いた表示装置の製造方法の一例として、前記偏光子を、転写材料から転写して形成することを含む方法が挙げられる。転写材料を用いて偏光子を形成することにより、工程数を軽減して、簡易な方法で良好な表示特性の表示装置を作製することができる。
【0117】
以下、前記偏光子を、表示装置内に形成するのに有用な転写材料について説明する。
[転写材料]
本発明に使用可能な転写材料は、支持体と、偏光子とを少なくとも有する。さらに、偏光子に積層して少なくとも一層の感光性樹脂層を有しているのが好ましい。感光性樹脂層は、パターニング等の工程を経ない場合であっても、偏光子の転写を容易にし、有用である。また、例えば、支持体と偏光子膜との間には、転写時に相手基板側の凹凸を吸収するためのクッション性のような力学特性コントロールあるいは凹凸追従性付与のための層を有していてもよいし、また、偏光子の色素の配向を制御するための配向層として機能する層が配置されてもよいし、双方の層を有していてもよい。また、感光性樹脂層の表面保護などの目的から、最表面に剥離可能な保護層を設けてもよい。
【0118】
[偏光子膜]
転写材料が有する偏光子膜は、偏光性能に充分な光学特性を満足している必要はなく、例えば、転写される過程において実施される露光工程を通じて、偏光性能が発現又は変化して、最終的に偏光フィルムに必要な偏光性能を示すものであってもよい。
【0119】
[感光性樹脂層]
前記転写材料は、感光性樹脂層を有しているのが好ましい。前記感光性樹脂層は、感光性樹脂組成物よりなり、前記感光性樹脂層は、少なくとも(1)アルカリ可溶性樹脂と、(2)モノマー又はオリゴマーと、(3)光重合開始剤又は光重合開始剤系と、を含む樹脂組成物から形成するのが好ましい。
【0120】
(1)アルカリ可溶性樹脂
前記アルカリ可溶性樹脂(以下、単に「バインダ」ということがある。)としては、側鎖にカルボン酸基やカルボン酸塩基などの極性基を有するポリマーが好ましい。その例としては、特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭59−53836号公報及び特開昭59−71048号公報に記載されているようなメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等を挙げることができる。また側鎖にカルボン酸基を有するセルロース誘導体も挙げることができ、またこの他にも、水酸基を有するポリマーに環状酸無水物を付加したものも好ましく使用することができる。また、特に好ましい例として、米国特許第4139391号明細書に記載のベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体や、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマーとの多元共重合体を挙げることができる。これらの極性基を有するバインダポリマーは、単独で用いてもよく、或いは通常の膜形成性のポリマーと併用する組成物の状態で使用してもよく、感光性樹脂組成物の全固形分に対する含有量は20〜50質量%が一般的であり、25〜45質量%が好ましい。
【0121】
(2)モノマー又はオリゴマー
前記感光性樹脂層に使用されるモノマー又はオリゴマーとしては、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有し、光の照射によって付加重合するモノマー又はオリゴマーであることが好ましい。そのようなモノマー及びオリゴマーとしては、分子中に少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し、沸点が常圧で100℃以上の化合物を挙げることができる。その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの単官能アクリレートや単官能メタクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンやグリセリン等の多官能アルコールにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを付加した後(メタ)アクリレート化したもの等の多官能アクリレートや多官能メタクリレートを挙げることができる。
【0122】
更に特公昭48−41708号公報、特公昭50−6034号公報及び特開昭51−37193号公報に記載されているウレタンアクリレート類;特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報及び特公昭52−30490号公報に記載されているポリエステルアクリレート類;エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能アクリレー卜やメタクリレートを挙げることができる。
これらの中で、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。
また、この他、特開平11−133600号公報に記載の「重合性化合物B」も好適なものとして挙げることができる。
これらのモノマー又はオリゴマーは、単独でも、2種類以上を混合して用いてもよく、感光性樹脂組成物の全固形分に対する含有量は5〜50質量%が一般的であり、10〜40質量%が好ましい。
【0123】
(3)光重合開始剤又は光重合開始剤系
前記感光性樹脂層に使用される光重合開始剤又は光重合開始剤系としては、米国特許第2367660号明細書に開示されているビシナルポリケタルドニル化合物、米国特許第2448828号明細書に記載されているアシロインエーテル化合物、米国特許第2722512号明細書に記載のα−炭化水素で置換された芳香族アシロイン化合物、米国特許第3046127号明細書及び同第2951758号明細書に記載の多核キノン化合物、米国特許第3549367号明細書に記載のトリアリールイミダゾール2量体とp−アミノケトンの組み合わせ、特公昭51−48516号公報に記載のベンゾチアゾール化合物とトリハロメチル−s−トリアジン化合物、米国特許第4239850号明細書に記載されているトリハロメチル−トリアジン化合物、米国特許第4212976号明細書に記載されているトリハロメチルオキサジアゾール化合物等を挙げることができる。特に、トリハロメチル−s−トリアジン、トリハロメチルオキサジアゾール及びトリアリールイミダゾール2量体が好ましい。
また、この他、特開平11−133600号公報に記載の「重合開始剤C」も好適なものとしてあげることができる。
これらの光重合開始剤又は光重合開始剤系は、単独でも、2種類以上を混合して用いてもよいが、特に2種類以上を用いることが好ましい。少なくとも2種の光重合開始剤を用いると、表示特性、特に表示のムラが少なくできる。
感光性樹脂組成物の全固形分に対する光重合開始剤又は光重合開始剤系の含有量は、0.5〜20質量%が一般的であり、1〜15質量%が好ましい。
【0124】
[その他の層]
転写材料の、支持体と偏光子膜の間には、力学特性や凹凸追従性をコントロールするために熱可塑性樹脂層を形成することが好ましい。熱可塑性樹脂層に用いる成分としては、特開平5−72724号公報に記載されている有機高分子物質が好ましく、ヴイカーVicat法(具体的にはアメリカ材料試験法エーエステーエムデーASTMD1235によるポリマー軟化点測定法)による軟化点が約80℃以下の有機高分子物質より選ばれることが特に好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレンと酢酸ビニル或いはそのケン化物の様なエチレン共重合体、エチレンとアクリル酸エステル或いはそのケン化物、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニル及びそのケン化物の様な塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン共重合体、ポリスチレン、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル或いはそのケン化物の様なスチレン共重合体、ポリビニルトルエン、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル或いはそのケン化物の様なビニルトルエン共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル共重合体ナイロン、共重合ナイロン、N−アルコキシメチル化ナイロン、N−ジメチルアミノ化ナイロンの様なポリアミド樹脂等の有機高分子が挙げられる。
【0125】
転写材料においては、複数の塗布層の塗布時、及び塗布後の保存時における成分の混合を防止する目的から、中間層を設けることが好ましい。該中間層としては、特開平5−72724号公報に「分離層」として記載されている、酸素遮断機能のある酸素遮断膜を用いることが好ましく、この場合、露光時感度がアップし、露光機の時間負荷が減り、生産性が向上する。該酸素遮断膜としては、低い酸素透過性を示し、水又はアルカリ水溶液に分散又は溶解するものが好ましく、公知のものの中から適宜選択することができる。これらの内、特に好ましいのは、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの組み合わせである。
【0126】
前記熱可塑性樹脂層や前記中間層を、前記配向層と兼用することもできる。特に前記中間層に好ましく用いられるポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンは配向層としても有効であり、中間層と配向層を1層にすることが好ましい。
【0127】
樹脂層の上には、貯蔵の際の汚染や損傷から保護する為に薄い保護フィルムを設けることが好ましい。保護フィルムは仮支持体と同じか又は類似の材料からなってもよいが、樹脂層から容易に分離されねばならない。保護フィルム材料としては例えばシリコン紙、ポリオレフィンもしくはポリテトラフルオロエチレンシートが適当である。
【0128】
偏光子膜及び感光性樹脂層、及び所望により形成される配向層、熱可塑性樹脂層及び中間層の各層は、前記偏光子の塗布方法により形成することができる。二以上の層を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許第2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書及び原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。
【0129】
[転写材料を用いた偏光子の形成方法]
本発明でいう転写材料を基板上に転写する方法については特に制限されず、基板上に上記偏光子膜及び感光性樹脂層を同時に転写できれば特に方法は限定されない。例えば、フィルム状に形成した本発明でいう転写材料を、感光性樹脂層面を基板表面側にして、ラミネータを用いて加熱及び/又は加圧したローラー又は平板で圧着又は加熱圧着して、貼り付けることができる。具体的には、特開平7−110575号公報、特開平11−77942号公報、特開2000−334836号公報、特開2002−148794号公報に記載のラミネータ及びラミネート方法が挙げられるが、低異物の観点で、特開平7−110575号公報に記載の方法を用いるのが好ましい。その後、支持体は剥離してもよく、剥離によって露出した偏光子膜表面に、他の層、例えば電極層等を形成してもよい。
【0130】
転写材料を転写する被転写材料である基板については、特に制限されない。例えば、透明基板が用いられ、表面に酸化ケイ素皮膜を有するソーダガラス板、低膨張ガラス、ノンアルカリガラス、石英ガラス板等の公知のガラス板、或いは、プラスチックフィルム等を挙げることができる。被転写材料はまた透明基板上にカラーフィルター等の層が設けられたものであってもよい。また、被転写材料は、予めカップリング処理を施しておくことにより、感光性樹脂層との密着を良好にすることができる。該カップリング処理としては、特開2000−39033号公報記載の方法が好適に用いられる。尚、特に限定されるわけではないが、基板の膜厚としては、700〜1200μmが一般的に好ましい。
偏光子膜の上に粘着層を設けるのではなく、被転写材料の上に粘着層を設けておいてもよい。
[表示装置]
本発明の表示装置は、本発明の偏光子を少なくとも一つ使用しているものであれば特に限定されないが、具体的には例えばTN、STN、VA、ECB、IPS、又はOCBのモードの透過型、反射型、又は半透過型の液晶表示装置、OLEDなどがあげられる。特に好ましくは、本発明の偏光子を、基板の内面側に設置してなる(いわゆる、インセル偏光子)表示装置であり、最も好ましくは、カラーフィルター基板に積層してなる表示装置である。
【0131】
[光吸収異方性膜の特性]
光吸収異方性膜の厚さは、0.01〜2μmであることが好ましく、0.05〜1μmであることがさらに好ましく、0.05〜0.5μmであることが最も好ましい。
【0132】
本発明の二色性色素組成物塗布液を配向膜上に適用すると、二色性色素は配向膜との界面では配向膜のチルト角で配向し、空気との界面では空気界面のチルト角で配向する。本発明の二色性色素組成物塗布液を配向膜の表面に塗布後、二色性色素を均一配向(モノドメイン配向)させることで、水平配向を実現することができる。
二色性色素を水平配向させ、且つその配向状態に固定することによって形成された光吸収異方性膜は、偏光素子として利用することができる。
【0133】
一般的に、空気界面側の二色性色素のチルト角は、所望により添加される他の化合物(例えば、特開2005−99248号公報、特開2005−134884号公報、特開2006−126768号公報、特開2006−267183号公報記載の水平配向化剤など)を選択することにより調整することができ、本発明の光吸収異方性膜を適用する液晶表示装置の偏光素子として、好ましい水平配向状態を実現することができる。
また、配向膜側の二色性色素のチルト角は、前記した方法(配向膜チルト角制御剤等)により制御することができる。
【0134】
[チルト角]
本発明では、チルト角とは、二色性色素の分子の長軸方向と界面(配向膜界面あるいは空気界面)のなす角度を指す。配向膜側のチルト角を有る程度小さくし水平配向させることにより偏光素子として好ましい光学性能がより効果的に得られる。したがって、偏光性能の観点から、好ましい配向膜側のチルト角は0°〜10°、さらに好ましくは0°〜5°、特に好ましいのは0°〜2°、最も好ましくは0°〜1°である。また、好ましい空気界面側のチルト角は0°〜10°、さらに好ましくは0〜5°、特に好ましいのは0〜2°である。
【0135】
[支持体]
本発明に使用する支持体は透明であっても、着色等により不透明化した支持体であってもよいが、透明な支持体(透明支持体)であるのが好ましく、光透過率が80%以上であるのが好ましい。光学的等方性のポリマーフィルムを用いるのが好ましい。ポリマーの具体例および好ましい態様は、特開2002−22942号公報の段落番号[0013]の記載を適用できる。また、従来知られているポリカーボネートやポリスルホンのような複屈折の発現しやすいポリマーであっても国際公開WO00/26705号公報に記載の分子を修飾することで該発現性を低下させたものを用いることもできる。
【0136】
ポリマーフィルムとしては、酢化度が55.0〜62.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。特に酢化度が57.0〜62.0%であることが好ましい。酢化度、およびその範囲、並びにセルロースアセテートの化学構造は、特開2002−196146号公報の段落番号[0021]の記載を適用できる。セルロースアシレートフィルムを、非塩素系溶媒を用いて製造することについて、発明協会公開技報2001−1745号に詳しく記載されており、そこに記載されたセルロースアシレートフィルムも本発明に好ましく用いることができる。
【0137】
透明支持体として用いるセルロースエステルフィルムの厚み方向のレターデーション値、および複屈折率の範囲は、特開2002−139621号公報の段落番号[0018]〜[0019]の記載を適用できる。
【0138】
透明支持体として用いるポリマーフィルム、特にセルロースアシレートフィルムのレターデーションを調整するために、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物をレターデーション上昇剤として使用することもできる。芳香族化合物の好ましい範囲、および使用量は、特開2002−139621号公報の段落番号[0021]〜[0023]の記載を適用できる。このようなレターデーション上昇剤については国際公開WO01/88574A1号公報、国際公開WO00/2619A1号公報、特開2000−111914号公報、同2000−275434号公報、特願2002−70009号明細書等に記載されている。
【0139】
セルロースアシレートフィルムは、調製されたセルロースアシレート溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりを製造することが好ましい。ドープには、前記のレターデーション上昇剤を添加することが好ましい。調製したセルロースアシレート溶液(ドープ)を用いて、ドープの2層以上流延によるフィルム化もできる。フィルムの形成は、特開2002−139621号公報の段落番号[0038]〜[0040]の記載を適用できる。
【0140】
セルロースアシレートフィルムは、さらに延伸処理によりレターデーションを調整することができる。延伸倍率は、3〜100%の範囲にあることが好ましい。前記セルロースアシレートフィルムを延伸する場合には、テンター延伸が好ましく使用され、遅相軸を高精度に制御するために、左右のテンタークリップ速度、離脱タイミング等の差をできる限り小さくすることが好ましい。
【0141】
セルロースエステルフィルムには、機械的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するため、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、特開2002−139621号公報の段落番号[0043]の態様、および好ましい範囲が本発明に適用できる。
【0142】
セルロースエステルフィルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)や紫外線防止剤を添加してもよい。劣化防止剤については、特開2002−139621号公報の段落番号[0044]の記載を適用できる。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を挙げることができる。紫外線防止剤については、特開平7−11056号公報に記載がある。
【0143】
セルロースアシレートフィルムの表面処理、および固体の表面エネルギーについては、特開2002−196146号公報の段落番号[0051]〜[0052]の記載を適用できる。
【0144】
セルロースアシレートフィルムの厚さは、使用目的によって異なるが、通常5〜500μmの範囲であり、さらに20〜250μmの範囲が好ましく、特に30〜180μmの範囲が最も好ましい。なお、光学用途としては30〜110μmの範囲が特に好ましい。
【0145】
[光吸収異方性膜の用途]
本発明の光吸収異方性膜は、光吸収の異方性を利用し直線偏光、円偏光、楕円偏光等を得る偏光膜として機能する他、膜形成プロセスと基材や色素を含有する組成物の選択により、屈折異方性や伝導異方性などの各種異方性膜として機能化が可能となり、様々な種類の、多様な用途に使用可能な偏光素子とすることができる。
本発明の偏光素子は、(1)支持体、または該支持体上に形成された配向膜をラビングする工程、(2)ラビング処理した支持体または配向膜上に、有機溶媒に溶解した本発明の二色性色素組成物を塗布する工程、および(3)前記有機溶媒を蒸発させることにより前記二色性色素組成物を配向させる工程、により製造することができる。前記(1)〜(3)の工程の詳細については、前述の通りである。
【0146】
本発明の光吸収異方性膜を基材上に形成し偏光素子として使用する場合、形成された光吸収異方性膜そのものを使用してもよく、また上記の様な保護層のほか、粘着層或いは反射防止層、配向膜、位相差フィルムとしての機能、輝度向上フィルムとしての機能、反射フィルムとしての機能、半透過反射フィルムとしての機能、拡散フィルムとしての機能、光学補償フィルムとしての機能などの光学機能をもつ層など、様々な機能をもつ層を湿式成膜法などにより積層形成し、積層体として使用してもよい。これら光学機能を有する層は、例えば以下の様な方法により形成することが出来る。
【0147】
位相差フィルムとしての機能を有する層は、例えば、特許第2841377号公報、特許第3094113号公報などに記載の延伸処理を施したり、特許第3168850号公報などに記載された処理を施したりすることによって形成することができる。
【0148】
また、輝度向上フィルムとしての機能を有する層は、例えば特開2002−169025号公報や特開2003−29030号公報に記載されているような方法で微細孔を形成すること、或いは、選択反射の中心波長が異なる2層以上のコレステリック液晶層を重畳することにより形成することができる。
【0149】
反射フィルム又は半透過反射フィルムとしての機能を有する層は、蒸着やスパッタリングなどで得られた金属薄膜を用いて形成することができる。
拡散フィルムとしての機能を有する層は、上記の保護層に微粒子を含む樹脂溶液をコーティングすることにより、形成することができる。
また、位相差フィルムや光学補償フィルムとしての機能を有する層は、ディスコティック液晶性化合物などの液晶性化合物をコーティングして配向させることにより形成することができる。
【0150】
本発明の二色性色素組成物を塗布して形成することにより、In-Cell型偏光子を製造することができる。この場合、二色性色素組成物の電気伝導度及び/またはナトリウムイオン濃度の値を一定値以下に抑えることにより、アクティブ駆動に適した高い電圧保持率(電荷保持特性)を有するIn-Cell型偏光子を得ることができ、ひいては駆動性能、表示性能に優れた前記In-Cell型偏光子を用いた液晶素子を得ることができる。
【0151】
本発明において、二色性色素組成物の電気伝導度は25mS/cm以下が好ましく、10mS/cm以下がより好ましく、1mS/cm以下が更に好ましい。このような範囲とすることで、電圧保持率の高いIn-Cell型偏光子を得ることが可能となる。なお、通常0.2mS/cm以上である。上限を越えると極性不純物の溶解性が高くなり好ましくない。
【0152】
In-Cell型偏光子用組成物の電気伝導度は、2電極法(セル)又は4電極法(セル)による電導度メーターなどにより求められる。具体的には、日本工業規格(JIS)のK0101:1998「工業用水試験方法」で規定されている電気伝導率の測定方法に準じた各種方法により測定することが可能であるが、ガード電極による測定精度の向上の観点から2電極法(セル)よりも4電極法(セル)が、印加電圧(電極間に発生する電位差)により偏在すると予想されるキャリアー(イオンなど)の電極近傍での諸現象を排除する観点から直流(DC)印加よりも交流(AC)印加による測定が好ましい。
【0153】
本発明の二色性色素組成物の電気伝導度は、上述のように、色素と、溶剤と、必要に応じて用いられる界面活性剤などの各種添加剤からなる混合物(溶液)である。この混合物を構成する各成分の化学種及び各成分に由来する不純物、特に極性成分やイオン性成分が、組成物の電気伝導度に寄与すると考えられ、これらの含有量を低減させることにより、電気伝導度を低減することが可能となると考えられる。
本発明の二色性色素組成物の電気伝導度を低減させる手法としては、例えば、特開2006−309185に記載されており、本発明に適用することができる。
【0154】
本発明において、二色性色素組成物のナトリウムイオン濃度は2500ppm以下が好ましく、1000ppm以下がより好ましく、100ppm以下がさらに好ましい。なお、その下限は通常10ppm以上である。上限を越えると、液晶素子(液晶層)への溶出、更には電気特性への悪影響があり好ましくない。ナトリウムイオン濃度を上記範囲内にするための手法としては、例えば、不純物を低減させる手法として上に例示した各種の手法を用いることができる。
【0155】
二色性色素組成物のナトリウムイオン濃度は、組成物中に存在する特定イオンの濃度に応答して電極電位が変化するイオン選択性電極と比較電極とを併用することにより求めることができる。具体的には、日本工業規格(JIS)のK0101:1998「工業用水試験方法」で規定されているナトリウム(イオン)の測定方法に準じたフレーム光度法、フレーム原子吸光法、イオンクロマト法等各種方法により測定することが可能であるが、比較的高濃度のナトリウムイオン量を直接的に測定可能であることから、日本工業規格(JIS)のK0122:1998「イオン電極測定方法通則」で規定されている測定方法に準じたイオン電極測定法が好ましい。更に、バッファー液によるpHの調整が不要なイオン選択性電極を用いたイオンメーターを使用する方が、pHによる解離状態の変化を抑止することができるため好ましい。
【0156】
前記光学異方性膜は、塗布法によって、例えば、偏光板用保護フィルム等の表面に、直接形成してもよい。また、以下に説明する転写材料を用い転写して形成してもよい。即ち、本発明の液晶表示装置の製造方法の一例として、前記光学異方性膜からなる光学異方性層を、転写材料から転写して形成することを含む方法が挙げられる。転写材料を用いて光学異方性層を形成することにより、工程数を軽減して、簡易な方法で良好な表示特性の液晶表示装置を作製することができる。
【0157】
以下、前記光学異方性層を、液晶表示装置内に形成するのに有用な転写材料について説明する。
[転写材料]
本発明に使用可能な転写材料は、例えば、特開2007−279705公報の図3(a)に示されるように、支持体と、光学異方性層とを少なくとも有する。前記公報の図3(b)に示されるように、さらに、少なくとも一層の感光性樹脂層を有しているのが好ましい。感光性樹脂層は、パターニング等の工程を経ない場合であっても、光学異方性層の転写を容易にし、有用である。また、例えば、前記公報の図3(c)に示す様に、支持体と光学異方性層との間には、転写時に相手基板側の凹凸を吸収するためのクッション性のような力学特性コントロールあるいは凹凸追従性付与のための層を有していてもよいし、また、前記公報の図3(d)に示す様に、光学異方性層中の二色性色素の配向を制御するための配向層として機能する層が配置されてもよいし、さらに前記公報の図3(e)に示す様に双方の層を有していてもよい。また、前記公報の図3(f)に示す様に、感光性樹脂層の表面保護などの目的から、最表面に剥離可能な保護層を設けてもよい。
【0158】
[支持体]
上記の転写材料に用いられる支持体は、透明でも不透明でもよく特に限定はない。支持体を構成するポリマーの例には、セルロースエステル(例、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート)、ポリオレフィン(例、ノルボルネン系ポリマー)、ポリ(メタ)アクリル酸エステル(例、ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリエステル及びポリスルホン、ノルボルネン系ポリマーが含まれる。製造工程において光学特性を検査する目的には、透明支持体は透明で低複屈折の材料が好ましく、低複屈折性の観点からはセルロースエステル及びノルボルネン系が好ましい。市販のノルボルネン系ポリマーとしては、アートン(JSR(株)製)、ゼオネックス、ゼオノア(以上、日本ゼオン(株)製)などを用いることができる。また安価なポリカーボネートやポリエチレンテレフタレート等も好ましく用いられる。
【0159】
[光学異方性層]
転写材料が有する光学異方性層は、偏光性能に充分な光学特性を満足している必要はなく、例えば、転写される過程において実施される露光工程を通じて、偏光性能が発現又は変化して、最終的に偏光フィルムに必要な偏光性能を示すものであってもよい。
【0160】
[感光性樹脂層]
前記転写材料は、感光性樹脂層を有しているのが好ましい。前記感光性樹脂層は、感光性樹脂組成物よりなり、前記感光性樹脂層は、少なくとも(1)アルカリ可溶性樹脂と、(2)モノマー又はオリゴマーと、(3)光重合開始剤又は光重合開始剤系と、を含む樹脂組成物から形成するのが好ましい。
【0161】
(1)アルカリ可溶性樹脂
前記アルカリ可溶性樹脂(以下、単に「バインダ」ということがある。)としては、側鎖にカルボン酸基やカルボン酸塩基などの極性基を有するポリマーが好ましい。その例としては、特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭59−53836号公報及び特開昭59−71048号公報に記載されているようなメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等を挙げることができる。また側鎖にカルボン酸基を有するセルロース誘導体も挙げることができ、またこの他にも、水酸基を有するポリマーに環状酸無水物を付加したものも好ましく使用することができる。また、特に好ましい例として、米国特許第4139391号明細書に記載のベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体や、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマーとの多元共重合体を挙げることができる。これらの極性基を有するバインダポリマーは、単独で用いてもよく、或いは通常の膜形成性のポリマーと併用する組成物の状態で使用してもよく、着色樹脂組成物の全固形分に対する含有量は20〜50質量%が一般的であり、25〜45質量%が好ましい。
【0162】
(2)モノマー又はオリゴマー
前記感光性樹脂層に使用されるモノマー又はオリゴマーとしては、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有し、光の照射によって付加重合するモノマー又はオリゴマーであることが好ましい。そのようなモノマー及びオリゴマーとしては、分子中に少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し、沸点が常圧で100℃以上の化合物を挙げることができる。その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの単官能アクリレートや単官能メタクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンやグリセリン等の多官能アルコールにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを付加した後(メタ)アクリレート化したもの等の多官能アクリレートや多官能メタクリレートを挙げることができる。
【0163】
更に特公昭48−41708号公報、特公昭50−6034号公報及び特開昭51−37193号公報に記載されているウレタンアクリレート類;特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報及び特公昭52−30490号公報に記載されているポリエステルアクリレート類;エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能アクリレー卜やメタクリレートを挙げることができる。
これらの中で、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。
また、この他、特開平11−133600号公報に記載の「重合性化合物B」も好適なものとして挙げることができる。
これらのモノマー又はオリゴマーは、単独でも、2種類以上を混合して用いてもよく、着色樹脂組成物の全固形分に対する含有量は5〜50質量%が一般的であり、10〜40質量%が好ましい。
【0164】
(3)光重合開始剤又は光重合開始剤系
前記感光性樹脂層に使用される光重合開始剤又は光重合開始剤系としては、米国特許第2367660号明細書に開示されているビシナルポリケタルドニル化合物、米国特許第2448828号明細書に記載されているアシロインエーテル化合物、米国特許第2722512号明細書に記載のα−炭化水素で置換された芳香族アシロイン化合物、米国特許第3046127号明細書及び同第2951758号明細書に記載の多核キノン化合物、米国特許第3549367号明細書に記載のトリアリールイミダゾール2量体とp−アミノケトンの組み合わせ、特公昭51−48516号公報に記載のベンゾチアゾール化合物とトリハロメチル−s−トリアジン化合物、米国特許第4239850号明細書に記載されているトリハロメチル−トリアジン化合物、米国特許第4212976号明細書に記載されているトリハロメチルオキサジアゾール化合物等を挙げることができる。特に、トリハロメチル−s−トリアジン、トリハロメチルオキサジアゾール及びトリアリールイミダゾール2量体が好ましい。
また、この他、特開平11−133600号公報に記載の「重合開始剤C」も好適なものとしてあげることができる。
これらの光重合開始剤又は光重合開始剤系は、単独でも、2種類以上を混合して用いてもよいが、特に2種類以上を用いることが好ましい。少なくとも2種の光重合開始剤を用いると、表示特性、特に表示のムラが少なくできる。
着色樹脂組成物の全固形分に対する光重合開始剤又は光重合開始剤系の含有量は、0.5〜20質量%が一般的であり、1〜15質量%が好ましい。
【0165】
[その他の層]
転写材料の、支持体と光学異方性層の間には、力学特性や凹凸追従性をコントロールするために熱可塑性樹脂層を形成することが好ましい。熱可塑性樹脂層に用いる成分としては、特開平5−72724号公報に記載されている有機高分子物質が好ましく、ヴイカーVicat法(具体的にはアメリカ材料試験法エーエステーエムデーASTMD1235によるポリマー軟化点測定法)による軟化点が約80℃以下の有機高分子物質より選ばれることが特に好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレンと酢酸ビニル或いはそのケン化物の様なエチレン共重合体、エチレンとアクリル酸エステル或いはそのケン化物、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニル及びそのケン化物の様な塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン共重合体、ポリスチレン、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル或いはそのケン化物の様なスチレン共重合体、ポリビニルトルエン、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル或いはそのケン化物の様なビニルトルエン共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル共重合体ナイロン、共重合ナイロン、N−アルコキシメチル化ナイロン、N−ジメチルアミノ化ナイロンの様なポリアミド樹脂等の有機高分子が挙げられる。
【0166】
転写材料においては、複数の塗布層の塗布時、及び塗布後の保存時における成分の混合を防止する目的から、中間層を設けることが好ましい。該中間層としては、特開平5−72724号公報に「分離層」として記載されている、酸素遮断機能のある酸素遮断膜を用いることが好ましく、この場合、露光時感度がアップし、露光機の時間負荷が減り、生産性が向上する。該酸素遮断膜としては、低い酸素透過性を示し、水又はアルカリ水溶液に分散又は溶解するものが好ましく、公知のものの中から適宜選択することができる。これらの内、特に好ましいのは、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの組み合わせである。
【0167】
前記熱可塑性樹脂層や前記中間層を、前記配向層と兼用することもできる。特に前記中間層に好ましく用いられるポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンは配向層としても有効であり、中間層と配向層を1層にすることが好ましい。
【0168】
樹脂層の上には、貯蔵の際の汚染や損傷から保護する為に薄い保護フィルムを設けることが好ましい。保護フィルムは仮支持体と同じか又は類似の材料からなってもよいが、樹脂層から容易に分離されねばならない。保護フィルム材料としては例えばシリコン紙、ポリオレフィンもしくはポリテトラフルオロエチレンシートが適当である。
【0169】
光学異方性層及び感光性樹脂層、及び所望により形成される配向層、熱可塑性樹脂層及び中間層の各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許第2681294号明細書)により、塗布により形成することができる。二以上の層を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許第2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書及び「コーティング工学」(原崎勇次著、株式会社朝倉書店、1971年3月20日発行、253頁)に記載がある。
【0170】
[転写材料を用いた光学異方性層の形成方法]
本発明でいう転写材料を基板上に転写する方法については特に制限されず、基板上に上記光学異方性層及び感光性樹脂層を同時に転写できれば特に方法は限定されない。例えば、フィルム状に形成した本発明でいう転写材料を、感光性樹脂層面を基板表面側にして、ラミネータを用いて加熱及び/又は加圧したローラー又は平板で圧着又は加熱圧着して、貼り付けることができる。具体的には、特開平7−110575号公報、特開平11−77942号公報、特開2000−334836号公報、特開2002−148794号公報に記載のラミネータ及びラミネート方法が挙げられるが、低異物の観点で、特開平7−110575号公報に記載の方法を用いるのが好ましい。その後、支持体は剥離してもよく、剥離によって露出した光学異方性層表面に、他の層、例えば電極層等を形成してもよい。
【0171】
転写材料を転写する被転写材料である基板については、特に制限されない。例えば、透明基板が用いられ、表面に酸化ケイ素皮膜を有するソーダガラス板、低膨張ガラス、ノンアルカリガラス、石英ガラス板等の公知のガラス板、或いは、プラスチックフィルム等を挙げることができる。被転写材料はまた透明支持体上にベタの光学異方性層等の層が設けられたものであってもよい。また、被転写材料は、予めカップリング処理を施しておくことにより、感光性樹脂層との密着を良好にすることができる。該カップリング処理としては、特開2000−39033号公報記載の方法が好適に用いられる。尚、特に限定されるわけではないが、基板の膜厚としては、700〜1200μmが一般的に好ましい。光学異方性層の上に粘着層を設けるのではなく、被転写材料の上に粘着層を設けておいてもよい。
【0172】
本発明の液晶表示装置は、本発明の二色性色素組成物を用いて製造された光吸収異方性膜または偏光素子の少なくとも一つを使用しているものであれば特に限定されないが、具体的には例えばTN、STN、VA、ECB、IPS、またはOCBのモードの透過型、反射型、または半透過型の液晶表示装置などがあげられる。
【実施例】
【0173】
本発明で用いる化合物の合成例を以下に示すが、これ以外の色素についても同様の方法で合成できる。尚、本文中「部」とは質量基準である。また、スキーム中のMeはメチル基を表す。
(合成例1)
二色性色素A−1の合成
4-アミノピリジン10.0部を85%リン酸水溶液100mlに溶解し、これを0℃に氷冷したものに対し、亜硝酸ナトリウム8.05部を5℃以下の温度を保ちながら少しずつ添加した。温度を保った状態で1時間程度攪拌し、ジアゾニウム塩の生成を確認した後に、N-フェニルアミノメタンスルホン酸ナトリウム塩22.2部をメタノール300mlに懸濁し、0℃に氷冷したものの中に5℃以下の温度を保ちながら少しずつ滴下した。滴下終了後、反応液を室温まで昇温し、そこにイソプロパノール200mlを滴下した。析出した生成物をろ過した後、ウェット結晶のまま水酸化ナトリウム12.7部を水320mlに溶かしたものの中に加え、1〜2時間還流させた。室温に戻した後に、生成物をろ過し、アセトニトリルで懸濁洗浄を行い、乾燥した。乾燥後、13.2部の化合物1が得られた。化合物1を5.80部85%リン酸水溶液58mlに溶解し、これを0℃に氷冷したものに対し、亜硝酸ナトリウム2.22部を5℃以下の温度を保ちながら少しずつ添加した。温度を保った状態で1時間程度攪拌し、ジアゾニウム塩の生成を確認した後に、N、N-ジエチルアニリン4.36部をメタノール116mlに溶解し、0℃に氷冷したものの中に5℃以下の温度を保ちながら少しずつ滴下した。滴下終了後、反応液を室温まで昇温し、そこに水116mlを滴下する。炭酸水素ナトリウムで反応液を中和したのち、析出した生成物をろ過し、水およびメタノールで洗浄を行い、乾燥した。乾燥後、6.84部のA−1を得た。A−1のN-メチルピロリドン溶媒中でのλmaxは519.9nmであった。なお、H‐NMR(CDCl)の詳細は、8.80(d,2H)、8.10(m,2H)、7.97(d,2H)、7.90(d,2H)、7.72(d,2H)、6.73(d,2H)、3.47(q,4H)、1.25(t,6H)であった。A−1は液晶性を有しており、240℃〜246℃の範囲でネマチック相が確認された。また、偏光顕微鏡での観察により二色性色素であることが確認された。
【0174】
【化13】

【0175】
(実施例1)
二色性色素A−5の合成
実施例1における化合物1、10.0部を85%リン酸水溶液100mlに溶解し、これを0℃に氷冷したものに対し、亜硝酸ナトリウム3.83部を5℃以下の温度を保ちながら少しずつ添加した。温度を保った状態で1時間程度攪拌し、ジアゾニウム塩の生成を確認した後に、N-フェニルアミノメタンスルホン酸ナトリウム塩11.3部をメタノール200mlに懸濁し、0℃に氷冷したものの中に5℃以下の温度を保ちながら少しずつ滴下した。滴下終了後、反応液を室温まで昇温し、そこにイソプロパノール200mlを滴下した。析出した生成物をろ過した後、ウェット結晶のまま水酸化ナトリウム6.0部を水150mlに溶かしたものの中に加え、1〜2時間還流させる。室温に戻した後に、生成物をろ過し、アセトニトリルで懸濁洗浄を行い、乾燥した。乾燥後、11.2部の化合物2が得られた。化合物2を1.00部85%リン酸水溶液10mlに溶解し、これを0℃に氷冷したものに対し、亜硝酸ナトリウム0.24部を5℃以下の温度を保ちながら少しずつ添加した。温度を保った状態で1時間程度攪拌し、ジアゾニウム塩の生成を確認した後に、N、N-ジエチルアニリン0.47部をメタノール20mlに溶解し、0℃に氷冷したものの中に5℃以下の温度を保ちながら少しずつ滴下した。滴下終了後、反応液を室温まで昇温し、そこに水20mlを滴下した。炭酸水素ナトリウムで反応液を中和したのち、析出した生成物をろ過し、水およびメタノールで洗浄を行い、乾燥した。乾燥後、1.22部のA−5を得た。A−5のN-メチルピロリドン溶媒中でのλmaxは536.8nmであった。なお、H‐NMR(CDCl)の詳細は、8.80(d,2H)、8.10(m,4H)、7.95−7.80(m,4H)、7.73(m,3H)、6.74(d,2H)、3.47(q,4H)、2.85(s,3H)、1.25(t,6H)であった。A−5は液晶性を有しており、235℃〜240℃の範囲でネマチック相が確認された。また、偏光顕微鏡での観察により二色性色素であることが確認された。
【0176】
【化14】

【0177】
(実施例2)
二色性色素A−10の合成
N、N-ジエチルアニリンをN-エチルインドリンに変更した以外、実施例1と同様な方法で化合物A−10を得た。A−10のN-メチルピロリドン溶媒中でのλmaxは546.9nmであった。なお、H‐NMR(CDCl)の詳細は、8.82(d,2H)、8.11(m,4H)、7.85−7.70(m,7H)、6.46(d,2H)、3.60(t,2H)、3.30(q,2H)、3.08(t,2H)、2.85(s,3H)、1.23(t,3H)であった。A−10は液晶性を有しており、190℃〜260℃の範囲でネマチック相が確認された。また、偏光顕微鏡での観察により二色性色素であることが確認された。
【0178】
(実施例3)
二色性色素A−14の合成
4-アミノ安息香酸10.0部を2.8N塩酸水130mlに溶解し、これを0℃に氷冷したものに対し、亜硝酸ナトリウム5.53部を水20mlに溶解させたものを5℃以下の温度を保ちながら少しずつ添加した。温度を保った状態で1時間程度攪拌し、ジアゾニウム塩の生成を確認した後に、m−トルイジン16.3部をメタノール150mlに溶解させ、0℃に氷冷したものの中に5℃以下の温度を保ちながら少しずつ滴下した。滴下終了後、反応液を室温まで昇温し、水酸化ナトリウムで中和した。析出した生成物をろ過した後、アセトニトリルで懸濁洗浄を行い、乾燥した。乾燥後、13.2部の化合物3が得られた。化合物3、10.0部を塩酸16.3ml、酢酸40ml、プロピオン酸60mlの混合酸溶媒に溶解し、これを0℃に氷冷したものに対し、亜硝酸ナトリウム2.97部を水10mlに溶解させたものを5℃以下の温度を保ちながら少しずつ添加した。温度を保った状態で1時間程度攪拌し、ジアゾニウム塩の生成を確認した後に、N、N-ジエチルアニリン5.84部をメタノール150mlに溶解し、0℃に氷冷したものの中に5℃以下の温度を保ちながら少しずつ滴下した。滴下終了後、反応液を室温まで昇温し、そこに水116mlを滴下した。炭酸水素ナトリウムで反応液を中和したのち、析出した生成物をろ過し、水およびメタノールで洗浄を行い、乾燥した。乾燥後、11.0部の化合物4を得た。化合物4、1.00部を10mlのTHFに溶解し、メタンスルホニルクロライド0.28部を加え、これを−5℃まで冷却した。ここに0.32部のDIPEA(ジイソプロピルエチルアミン)を2mlのTHFに溶解したものを0℃以下の温度を保ちながら少しずつ滴下した。この反応液を、0.23部の4−ヒドロキシピリジンを5mlのピリジンに溶解したものの中に0℃以下の温度を保ちながら少しずつ滴下した。反応液を室温まで昇温し、水20mlおよびメタノール20mlを加えた。析出した結晶をろ過し、メタノールで洗浄を行い、乾燥後、0.64部のA−14を得た。A−14のN−メチルピロリドン溶媒中でのλmaxは525.3nmであった。なお、H‐NMR(CDCl)の詳細は、8.71(d,2H)、8.35(d,2H)、8.05(d,2H)、7.90(d,2H)、7.85(m,2H)、7.75(d,1H)、7.28(d,2H)、6.73(d,2H)、3.49(q,4H)、2.84(s,3H)、1.24(t,6H)、であった。A−14は液晶性を有しており、150℃〜237℃の範囲でネマチック相が確認された。また、偏光顕微鏡での観察により二色性色素であることが確認された。
【0179】
【化15】

【0180】
(実施例4)
二色性色素A−18の合成
4-アミノ安息香酸10.0部を2.8N塩酸水130mlに溶解し、これを0℃に氷冷したものに対し、亜硝酸ナトリウム5.53部を水20mlに溶解させたものを5℃以下の温度を保ちながら少しずつ添加した。温度を保った状態で1時間程度攪拌し、ジアゾニウム塩の生成を確認した後に、N、N-ジエチルアニリン1.09部をメタノール150mlに溶解し、0℃に氷冷したものの中に5℃以下の温度を保ちながら少しずつ滴下した。滴下終了後、反応液を室温まで昇温し、そこに水116mlを滴下した。炭酸水素ナトリウムで反応液を中和したのち、析出した生成物をろ過し、水およびメタノールで洗浄を行い、乾燥した。乾燥後、21.0部の化合物5を得た。4-アミノピリジン5.00部を85%リン酸水溶液25mlに溶解し、これを0℃に氷冷したものに対し、亜硝酸ナトリウム4.03部を5℃以下の温度を保ちながら少しずつ添加した。温度を保った状態で1時間程度攪拌し、ジアゾニウム塩の生成を確認した後に、オルトクレゾール5.74部を5.0N水酸化ナトリウム水溶液に溶解し、5℃に氷冷したものの中に30℃以下の温度を保ちながら少しずつ滴下した。反応液に水220mlを加え、塩酸で中和し、酢酸エチルで抽出した。抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮後アセトニトリルで懸濁洗浄および乾燥後に、化合物6を3.80部得た。化合物5、1.00部を10mlのTHFに溶解し、メタンスルホニルクロライド0.38部を加え、これを−5℃まで冷却した。ここに0.43部のDIPEAを2mlのTHFに溶解したものを0℃以下の温度を保ちながら少しずつ滴下した。この反応液を、0.72部の化合物6および0.43部のDIPEAを5mlのTHFに溶解したものの中に0℃以下の温度を保ちながら少しずつ滴下した。反応液を室温まで昇温し、水20mlおよびメタノール20mlを加えた。析出した結晶をろ過し、メタノールで洗浄を行い、乾燥後、0.75部のA−18を得た。A−18のN-メチルピロリドン溶媒中でのλmaxは478.0nmであった。なお、H−NMR(CDCl)の詳細は、8.80(d,2H)、8.32(d,2H)、7.91(t,6H)、7.70(d,2H)、7.37(d,1H)、6.74(d,2H)、3.47(q,4H)、2.37(s,3H)、1.25(t,6H)であった。A−18は液晶性を有しており、降温時に170℃〜200℃の範囲でネマチック相が確認された。また、偏光顕微鏡での観察により二色性色素であることが確認された。
【0181】
【化16】

【0182】
次に実施例1〜4で合成した化合物を用いて光異方性膜を作成し、二色比、吸収極大波長、相転移温度を測定した。なお、以下の実施例中、上記各特性に関する測定は下記の通り実施した。結果を後記の表1に示す。
【0183】
<二色比>
二色比は、ヨウ素系偏光素子を入射光学系に配した分光光度計で光吸収異方性膜の吸光度を測定した後、次式により計算した。
二色比(D)=Az/Ay
Az:光吸収異方性膜の吸収軸方向の偏光に対する吸光度
Ay:光吸収異方性膜の偏光軸方向の偏光に対する吸光度
<吸収極大波長>
色素のN−メチルピロリドン溶媒中の吸収極大波長は、分光光度計UV−2550(島津製作所社製)で測定した。
<相転移温度>
相転移温度はDSC測定装置(セイコーインスツル社製)を用いた熱分析と、偏光顕微鏡を用いた目視観察により決定した。
【0184】
(実施例5)
クロロホルム98質量部に二色性色素(A−5)を2質量部加え、撹拌溶解後濾過して二色性色素組成物塗布液を得た。次に、ガラス基板上に形成しラビングした配向膜上に、前記塗布液を塗布し、この後、室温でクロロホルム自然乾燥した。配向膜としては、下記ポリビニルアルコールを使用した。
【0185】
【化17】

【0186】
得られた光吸収異方性膜における色素膜面内の吸収軸方向に振動面を有する偏光に対する吸光度(Az)、および色素膜面内の偏光軸方向に振動面を有する偏光に対する吸光度(Ay)とから求めた二色比(D)、極大吸収波長(λmax)、および相転移温度を表1に示す。上記色素は、ネマチック液晶性を有しており、且つ偏光膜として充分機能し得る高い二色比(光吸収異方性)を有していた。
【0187】
(実施例6)
二色性色素をA−10に変更した以外、実施例5と同様に光吸収異方性膜を作製した。
得られた光吸収異方性膜における色素膜面内の吸収軸方向に振動面を有する偏光に対する吸光度(Az)、および色素膜面内の偏光軸方向に振動面を有する偏光に対する吸光度(Ay)とから求めた二色比(D)、極大吸収波長(λmax)、および相転移温度を表1に示す。上記色素は、ネマチック液晶性を有しており、且つ偏光膜として充分機能し得る高い二色比(光吸収異方性)を有していた。
【0188】
(実施例7)
二色性色素をA−14に変更した以外、実施例5と同様に光吸収異方性膜を作製した。
得られた光吸収異方性膜における色素膜面内の吸収軸方向に振動面を有する偏光に対する吸光度(Az)、および色素膜面内の偏光軸方向に振動面を有する偏光に対する吸光度(Ay)とから求めた二色比(D)、極大吸収波長(λmax)、および相転移温度を表1に示す。上記色素は、ネマチック液晶性を有しており、且つ偏光膜として充分機能し得る高い二色比(光吸収異方性)を有していた。
(実施例8)
二色性色素をA−18に変更した以外、実施例5と同様に光吸収異方性膜を作製した。
得られた光吸収異方性膜における色素膜面内の吸収軸方向に振動面を有する偏光に対する吸光度(Az)、および色素膜面内の偏光軸方向に振動面を有する偏光に対する吸光度(Ay)とから求めた二色比(D)、極大吸収波長(λmax)、および相転移温度を表1に示す。上記色素は、ネマチック液晶性を有しており、且つ偏光膜として充分機能し得る高い二色比(光吸収異方性)を有していた。
【0189】
(比較例1)
アゾ色素を特開平11−305036号公報記載のアゾ色素No.(6)に変更した以外、実施例5と同様に光吸収異方性膜を作製した。
得られた光吸収異方性膜の二色比(D)、極大吸収波長(λmax)、および相転移温度を表1に示す。上記色素は、ネマチック液晶性を有していたが、配向膜上で結晶化がおこり、異方性を示さなかった。
【0190】
【化18】

【0191】
(比較例2)
アゾ色素を下記比較色素B−1に変更した以外、実施例5と同様に光吸収異方性膜を作製した。比較色素B−1は実施例3と同様の方法で合成できる。
得られた光吸収異方性膜の二色比(D)、極大吸収波長(λmax)、および相転移温度を表1に示す。上記色素は、ネマチック液晶性を有しておらず、まったく配向しなかった。
【0192】
【化19】

【0193】
(比較例3)
アゾ色素を下記比較色素B−2に変更した以外、実施例5と同様に光吸収異方性膜を作製した。比較色素B−2は実施例3と同様の方法で合成できる。
得られた光吸収異方性膜の二色比(D)、極大吸収波長(λmax)、および相転移温度を表1に示す。上記色素は、ネマチック液晶性を有しておらず、まったく配向しなかった。
【0194】
【化20】

【0195】
(比較例4)
アゾ色素を下記比較色素B−3に変更した以外、実施例5と同様に光吸収異方性膜を作製した。比較色素B−3は実施例3と同様の方法で合成できる。
得られた光吸収異方性膜の二色比(D)、極大吸収波長(λmax)、および相転移温度を表1に示す。上記色素は、ネマチック液晶性を有しておらず、まったく配向しなかった。
【0196】
【化21】

【0197】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表される、液晶性を有する二色性色素を少なくとも1種含有する、二色性色素組成物。
【化1】

(式中、Rは置換基を表し、Ar、Arはそれぞれ置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基もしくは芳香族複素環基を表す。Lはアゾ基、エステル基、イミノ基もしくはビニレン基を表す。nは1以上の整数であり、nが2以上の場合は複数あるArおよびLが同じでも異なっていてもよい。mは0〜4の整数であり、mが2以上の場合は複数あるRが同じでも異なっていてもよい。)
【請求項2】
前記一般式(I)で表される二色性色素が下記一般式(II)で表される請求項1に記載の二色性色素組成物。
【化2】

(式中、R、RおよびRはそれぞれ置換基を表す。Lはアゾ基、エステル基、イミノ基もしくはビニレン基を表す。nは1以上の整数であり、nが2以上の場合は複数あるRおよびLが同じでも異なっていてもよい。m、m’及びm”は0〜4の整数であり、m、m’及び/又はm”が2以上の場合は複数あるR、RおよびRが同じでも異なっていてもよい。RおよびRが複数ある場合には、複数あるRおよびRがそれぞれ互いに結合し、環を形成してもよい。Rは水素原子または置換基を表し、Rと互いに結合して環を形成してもよい。)
【請求項3】
前記一般式(I)で表される二色性色素が下記一般式(III)で表される請求項1に記載の二色性色素組成物。
【化3】

(式中、R、R、R、RおよびRはそれぞれ置換基を表す。Lはアゾ基、エステル基、イミノ基もしくはビニレン基を表す。nは1以上の整数であり、nが2以上の場合は複数あるRおよびLが同じでも異なっていてもよい。m、m’及びm”は0〜4の整数であり、m、m’及び/又はm”が2以上の場合は複数あるR、R及び/又はRが同じでも異なっていてもよい。R及び/又はRが複数ある場合には、それぞれ互いに結合し、環を形成してもよい。また、R、RおよびRは互いに結合して環を形成してもよい。)
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の二色性色素組成物から形成された光吸収異方性膜。
【請求項5】
請求項4に記載の光吸収異方性膜を有する偏光素子。
【請求項6】
請求項4に記載の光吸収異方性膜、または請求項5に記載の偏光素子を有する液晶表示装置。
【請求項7】
(1)支持体、または該支持体上に形成された配向膜をラビング処理する工程と、(2)ラビング処理した支持体または配向膜上に、有機溶媒に溶解した請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物を塗布する工程と、(3)前記有機溶媒を蒸発させることにより前記組成物を配向させる工程を含む請求項5に記載の偏光素子の製造方法。
【請求項8】
下記一般式(IIIa)で表される化合物。
【化4】

(式中、R、R、R、RおよびRはそれぞれ置換基を表す。Lはアゾ基、エステル基、イミノ基もしくはビニレン基を表す。n’は2〜10の整数であり、複数あるRおよびLが同じでも異なっていてもよい。m、m’及びm”は0〜4の整数であり、m、m’及び/又はm”が2以上の場合は複数あるR、R及び/又はRが同じでも異なっていてもよい。R及び/又はRが複数ある場合には、それぞれ互いに結合し、環を形成してもよい。また、R、RおよびRは互いに結合して環を形成してもよい。)

【公開番号】特開2010−106242(P2010−106242A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−199061(P2009−199061)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】