説明

二軸配向ポリエステルフィルムおよびこれを用いた離型フィルム

【課題】 光学検査における不具合を容易に検出でき、オリゴマー析出量が極力少なく、例えば、液晶偏光板、位相差板等の液晶構成部材製造用、PDP構成部材製造用、有機EL構成部材製造用等、各種ディスプレイ構成部材製造用のほか、各種光学用途等に好適な二軸配向ポリエステルフィルム、およびそれを用いた離型フィルムを提供する。
【解決手段】 配向主軸の向きが11度以下であり、フィルムヘーズ値が10〜25%であり、少なくとも片側の表層を構成するポリエステルの固有粘度が0.65以上であることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム、および当該ポリエステルフィルムの片面に離型層を有する離型フィルムであり、当該離型層の剥離力が10〜100mN/cmの範囲であり、離型層の反対面の表層を構成するポリエステルの固有粘度が0.65以上のポリエステル層であることを特徴とする離型フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種光学検査の適合性に優れ、且つ離型層と反対面のフィルム表面のオリゴマー析出量が極力少ないポリエステルフィルムを用いた離型フィルムに関するものであり、例えば、液晶ディスプレイ(以下、LCDと略記する場合がある)に用いられる偏光板、位相差板等のLCD構成部材製造用、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略記する場合がある)構成部材製造用、有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELと略記する場合がある)構成部材製造用等、各種ディスプレイ構成部材製造用のほか、各種光学用途等に好適な離型フィルムを提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリエステルフィルムを基材とする離型フィルムが、液晶偏光板、位相差板構成部材製造用、PDP構成部材製造用、有機EL構成部材製造用等、各種ディスプレイ構成部材製造用等、各種光学用途等に使用されている。離型フィルム使用上の問題点として、離型層の反対面に析出するオリゴマーが製造工程内のロール、特に粘着加工を行なわれた後、偏光板と貼り合せるラミネートロールにおいて各種不具合を生じることが挙げられる。
【0003】
近年、IT(Information Technology)分野の躍進に伴い、LCD、PDP、有機EL等の表示部材製造時に使用される離型フィルムの品質向上と共に、生産性を阻害しないことも離型フィルムには要求されている。この観点からオリゴマーの析出に伴う各種不具合が顕在化する状況にある。
【0004】
上述の各種用途に対応するために、離型性に優れるだけでなく、フィルム表面の異物が極力少ないことが望まれる。すなわち、特に光を透過して見る、いわゆる視認性を重視する用途でもあるため、通常のフィルム用途では全く問題とならないフィルム表面の異物ですら大問題となるからである。
【0005】
例えば、液晶偏光板の製造工程を一例に挙げると、当該製造工程は、粘着剤層を介して離型フィルムと偏光板が貼り合わされてロール状に巻き取られる工程等からなるが、オリゴマーは粘着剤塗布後の乾燥工程を経て析出するものと考えられる。離型層の反対面に析出するオリゴマーは、液晶偏光板と粘着剤を塗布された離型フィルムとを貼り合せるラミネートロールにおいて、離型層の反対面に接しているロールにオリゴマーが転着し、ロールを汚染してしまう。汚染したロールを放置すれば、オリゴマーの脱落により異物が発生し、液晶偏光板に混入するなどの不具合が発生するため、ロールを清掃しなければならなくなり、生産性を阻害する場合がある。
【0006】
近年、生産性向上に伴う製造コストの低減を図ることを目的として、製造工程の高速化に伴い、特に乾燥工程における乾燥温度をより高く設定する傾向があり、上述のオリゴマーがより析出しやすく、ロールを汚すため生産に支障をきたす状況になっている。
【0007】
液晶偏光板の表示能力、色相、コントラスト、異物混入などの光学的評価を伴う検査工程においては、目視あるいは拡大鏡使用による欠陥品の流出防止対策が講じられているが、結晶化したオリゴマーが付着した離型フィルムを使用した場合、異物混入により不良品と判定され、製品歩留まりが低下する等の不具合を生じるという問題を抱えている。
【0008】
上述した異物問題だけでなく、液晶表示装置の構成部材等は、表示能力、色相、コントラスト等の評価のために、適時に検査を行うのが通例である。ところが、従来の二軸配向ポリエステルを基材として用いた離型フィルムは、異方性を有するため、光学的評価を伴う検査には支障となるので、検査に先立ち一旦この表面保護フィルムを剥離除去し、検査終了後にもう一度新しい表面保護フィルムを貼り直すことが行われる。新しい表面保護フィルムで貼り直すのは、表面保護フィルムが再貼着可能でも再貼着すると美麗さが損なわれるからである。
【0009】
上述の検査において、表面保護フィルムの剥離および再貼着は、工程に2工程を要し、極限までコストダウンが追求されるこの分野においては、大きな支障となる。
【0010】
上記の問題を解決する方法として、二軸配向ポリエステルの配向主軸の向きを偏光板または位相差板の配向軸の方向と実質的に同じにするか、90°となるように積層する方法が提案されているが、二軸配向ポリエステルフィルムを用いる方法では、配向主軸の方向を厳密に制御することが困難なことから、歩留まりが悪くなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−214355号公報
【特許文献2】特開2001−277455号公報
【特許文献3】特開2001−323141号公報
【特許文献4】特開2001−323142号公報
【特許文献5】特開2001−335649号公報
【特許文献6】特開平7−101026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、光学検査における不具合を容易に検出でき、オリゴマー析出量が極力少なく、例えば、液晶偏光板、位相差板等の液晶構成部材製造用、PDP構成部材製造用、有機EL構成部材製造用等、各種ディスプレイ構成部材製造用のほか、各種光学用途等に好適な二軸配向ポリエステルフィルム、およびそれを用いた離型フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記実状に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を有するフィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明の要旨は、配向主軸の向きが11度以下であり、フィルムヘーズ値が10〜25%であり、少なくとも片側の表層を構成するポリエステルの固有粘度が0.65以上であることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム、および当該ポリエステルフィルムの片面に離型層を有する離型フィルムであり、当該離型層の剥離力が10〜100mN/cmの範囲であり、離型層の反対面の表層を構成するポリエステルの固有粘度が0.65以上のポリエステル層であることを特徴とする離型フィルムに存する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、学検査における不具合を容易に検出でき、オリゴマー析出量が極力少なく、例えば、液晶偏光板、位相差板等の液晶構成部材製造用、PDP構成部材製造用、有機EL構成部材製造用等、各種ディスプレイ構成部材製造用のほか、各種光学用途等に好適な二軸配向ポリエステルフィルム、およびそれを用いた離型フィルムを提供することができ、本発明の工業的価値は高い。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明におけるポリエステルとしては、代表的には、例えば、構成単位の80モル%以上がエチレンテレフタレートであるポリエチレンテレフタレート、構成単位の80モル%以上がエチレン−2,6−ナフタレートであるポリエチレン−2,6−ナフタレート、構成単位の80モル%以上が1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレートであるポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート等が挙げられる。その他には、ポリエチレンイソフタレート、ポリ−1,4−ブチレンテレフタレート等が挙げられる。
【0017】
上記の優位構成成分以外の共重合成分としては、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分、イソフタル酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸およびオキシモノカルボン酸等のエステル形成性誘導体を使用することができる。
【0018】
また、ポリエステルとしては、単独重合体または共重合体のほかに、他の樹脂との小割合のブレンドも使用することができる。ポリエチレンテレフタレートにブレンドする樹脂の例としては、例えばイソフタル酸共重合体、シクロヘキサンジメチレンテレフタレート共重合体、ポリエチレングリコール共重合体等の各種共重合ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートおよび共重合ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
【0019】
ポリエステルフィルムへ易滑性を付与すると同時に、フィルムヘーズ値を調整する好ましい方法とし、ポリエステルフィルムに粒子を配合する方法を用いる。配合させる不活性粒子の種類、粒子径、含有量によりフィルムヘーズを調整することができる。
【0020】
ポリエステルフィルムに含有させる不活性粒子としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。 さらに、フィルム原料の製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
【0021】
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
【0022】
また、用いる粒子の平均粒径は、通常0.1〜5μm、好ましくは0.2〜3μmの範囲である。平均粒径が0.1μm未満の場合には、粒子が凝集しやすく、分散性が不十分となったり、フィルムヘーズを高くすることができなかったりすることがある。一方、5μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、後工程において種々の表面機能層を塗設させる場合等に不具合が生じる場合がある。
【0023】
さらにポリエステル層中の粒子含有量は、通常0.05〜5重量%、好ましくは0.003〜3重量%の範囲である。粒子含有量が0.05重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分であったり、フィルムヘーズを高くすることができなかったりすることがある。一方、5重量%を超えて添加する場合には、フィルムヘーズが高くなりすぎる傾向がある。
【0024】
ポリエステル中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、ポリマーを重合する任意の段階において添加することができる。
【0025】
また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
【0026】
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には、上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
【0027】
本発明は、偏光板の異物や傷等の欠陥検出をさらに容易とするため、フィルムヘーズ値を10〜25%、好ましくは14〜21%の範囲とする。ヘーズ値が10%未満では、ポリエステルフィルムを光が透過する際の散乱光が少なく、検査性は良好であるが、ポリエステルフィルム表面に傷が存在した場合に、検査時にポリエステルフィルム表面の傷が目立ち、検体自身の欠点の検査が正確に行えなくなる。また、ヘーズ値が21%を超えた場合には、表面の散乱光が多く、検査で検出すべき欠陥が検出されず、好ましくない。
【0028】
また、本発明のポリエステルフィルムは、2層構造以上の積層構成が好ましい。中間層に添加する粒子の配合でフィルムヘーズを調整し、表層に添加する粒子の配合でフィルムの表面性を調整することができる。
【0029】
本発明は、フィルムに配合する粒子により、フィルムヘーズを調整するが、単層の場合は、フィルムヘーズを高くした場合に、粒子を多量に配合する等の方法を行うため、フィルム両面の表面粗度が大きくなりえる。
【0030】
表面粗度の大きなポリエステルフィルムを離型フィルムとして用いた場合に、偏光板の粘着材に離型フィルムを貼り合わされた時に、表面突起の影響で気泡を巻き込んだり、離型フィルムの表面が粘着材の表面に転写したりして、偏光板をパネルに貼り合せた時に、気泡ができることがある。
【0031】
本発明のポリエステルフィルムは、少なくとも片側の表層を構成するポリエステルの固有粘度が0.65以上であることが必要である。好ましくは0.70以上である。固有粘度が0.65未満であると、前述したフィルムヘーズを満足するために配合する粒子によりオリゴマーが析出しやすくなることを防ぐことができない。また、離型層の反対面の固有粘度が0.65以上であることも必要である。液晶偏光板と粘着剤を介して貼り合わされる離型フィルムは離型層側は粘着剤に触れ工程汚染を起こさないが、離型層の反対面が偏光板との貼り合せ工程のラミネートロールと直接に接触するためである。
【0032】
本発明のフィルム厚みは、通常10〜100μm、好ましくは20〜75μm、さらに好ましくは20〜50μmの範囲である。この範囲を超えた場合は、フィルムの取扱性が悪くなったり、製造コストが上昇したりすることがある。
【0033】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、配向主軸の傾きが11度以下、好ましくは9度以下である。なお、ここでいう配向主軸の向きとは、配向角と呼ばれるものであり、フィルム幅方向または縦方向に対する主軸の傾きを指す。配向主軸の傾きが11度を超える二軸配向ポリエステルフィルムを使用した離型フィルムでは、クロスニコル検査の際に、光漏れが大きく、異物や傷等の欠陥検出に支障をきたす。
【0034】
配向主軸の向きは、縦延伸における温度および延伸倍率、横延伸における温度および延伸倍率、および弛緩処理等の条件を変更することで調整することができる。
【0035】
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。
【0036】
すなわち、先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。
【0037】
次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸するが、その場合、延伸温度は通常70〜170℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。
【0038】
上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
【0039】
また、本発明においては離型フィルムを構成するポリエステルフィルム製造に関しては同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法とは、前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法であり、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来公知の延伸方式を採用することができる。
【0040】
ポリエステルフィルムの表面に塗布層を形成する方法は、特に制限されないが、ポリエステルフィルムを製造する工程中で塗布液を塗布する方法が好適に採用される。具体的には、未延伸シート表面に塗布液を塗布して乾燥する方法、一軸延伸フィルム表面に塗布液を塗布して乾燥する方法、二軸延伸フィルム表面に塗布液を塗布して乾燥する方法等が挙げられる。これらの中では、未延伸フィルムまたは一軸延伸フィルム表面に塗布液を塗布後、フィルムに熱処理を行う過程で同時に塗布層を乾燥硬化する方法が経済的である。
【0041】
また、塗布層を形成する方法として、必要に応じ、前述の塗布方法の幾つかを併用した方法も採用し得る。具体的には、未延伸シート表面に第一層を塗布して乾燥し、その後、一軸方向に延伸後、第二層を塗布して乾燥する方法等が挙げられる。
【0042】
ポリエステルフィルムの表面に塗布液を塗布する方法としては、原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されるリバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター等を使用することができる。
【0043】
本発明において用いる塗布液は、通常、安全性や衛生性の観点から水を主たる媒体として調整されていることが好ましい。水を主たる媒体とする限りにおいて、水への分散を改良する目的あるいは造膜性能を改良する目的で少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤は、主たる媒体である水と混合して使用する場合、水に溶解する範囲で使用することが好ましいが、長時間の放置で分離しないような安定した乳濁液(エマルジョン)であれば、水に溶解しない状態で使用してもよい。有機溶剤は単独で用いてもよいが、必要に応じて二種以上を併用してもよい。
【0044】
本発明において塗布層上に形成する離型層は、離型性を有する材料を含有していれば、特に限定されるものではない。その中でも、硬化型シリコーン樹脂を含有するものによれば離型性が良好となるので好ましい。硬化型シリコーン樹脂を主成分とするタイプでもよいし、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンタイプ等を使用してもよい。
【0045】
硬化型シリコーン樹脂の種類としては、付加型・縮合型・紫外線硬化型・電子線硬化型・無溶剤型等何れの硬化反応タイプでも用いることができる。
【0046】
具体例を挙げると、信越化学工業(株)製KS−774、KS−775、KS−778、KS−779H、KS−847H、KS−856、X−62−2422、X−62−2461、ダウ・コーニング・アジア(株)製DKQ3−202、DKQ3−203、DKQ3−204、DKQ3−205、DKQ3−210、東芝シリコーン(株)製YSR−3022、TPR−6700、TPR−6720、TPR−6721、東レ・ダウ・コーニング(株)製SD7220、SD7226、SD7229等が挙げられる。さらに離型層の剥離性等を調整するために剥離コントロール剤を併用してもよい。
また、上述のとおり、離型層中にアミノ基を有するシラン化合物を添加することもある。
【0047】
本発明において、ポリエステルフィルムに離型層を設ける方法としては、リバースロールコート、グラビアコート、バーコート、ドクターブレードコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。
【0048】
本発明における離型層の塗布量は、通常0.01〜1g/m2の範囲である。
【0049】
本発明において、離型層が設けられていない面には、接着層、帯電防止層、オリゴマー析出防止層等の塗布層を設けてもよく、また、ポリエステルフィルムにはコロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
【0050】
本発明における離型フィルムの剥離力は、通常10〜100mN/cm、好ましくは10〜50mN/cmの範囲である。剥離力が10mN/cm未満の場合、剥離力が軽くなりすぎて本来剥離する必要がない場面においても容易に剥離する不具合を生じる場合があり、一方、100mN/cmを超える場合には、剥離力が重くなりすぎ、剥離する際に粘着剤が変形し、後の工程で問題が生じたり、粘着剤が離型フィルム側に付着したりすることがある。
【0051】
また、粘着剤層または離型層の塗膜の乾燥および/または硬化(熱硬化、電離放射線硬化等)は、それぞれ個別または同時に行うことができる。同時に行う場合には、80℃以上の温度で行うことが好ましい。乾燥および硬化の条件としては、80℃以上で10秒以上が好ましい。乾燥温度が80℃未満または硬化時間が10秒未満では塗膜の硬化が不完全であり、塗膜が脱落しやすくなるため好ましくない。
【実施例】
【0052】
次に、実施例を挙げて本説明をさらに説明する。ただし、本発明は、その要旨を逸脱しない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例、比較例における物性の評価方法は以下のとおりである。
【0053】
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
ポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。離型層の反対面の固有粘度を測定する場合は、ポリエステルフィルムの表面から測定用サンプルを採取し、測定を行なった。サンプルの採取においては、ダイプラウィンテス社製SAICAS(Surface and Interface Cutting Analysis System)装置を用いた。
【0054】
(2)平均粒径(d50)
島津製作所製遠心沈降式粒度分布測定装置(SA−CP3型)を用いて測定した等価球形分布における積算体積分率50%の粒径を平均粒径d50とした。
【0055】
(3)配向主軸の向き(配向角)の測定
カールツァイス社製偏光顕微鏡を用いて、ポリエステルフィルムの配向を観察し、ポリエステルフィルム面内の主配向軸の方向がポリエステルフィルムの幅方向に対して何度傾いているかを測定し配向角とした。この測定を得られたフィルムの中央部と両端の計3カ所について実施し、3カ所の内で最も大きい配向角の値を最大配向角とした。
【0056】
(4)フィルムヘーズ
JISーK6714に準じ、日本電色工業社製分球式濁度計NDH−20Dによりフィルムの濁度を測定した。
【0057】
(5)フィルムの熱処理
A4サイズのケント紙と熱処理を行うポリエステルフィルムを合わせる。その際、離型層の反対面が外側になるようにゼムクリップ等で四隅をクリップし、ケント紙とポリエステルフィルムを止める。窒素雰囲気下、160℃のオーブンに前記ポリエステルフィルムを30分間放置し熱処理を行う。
【0058】
(6)熱処理後のフィルム表面オリゴマー量
上部が開放され、底辺の面積が250cmとなるように、熱処理後のポリエステルフィルムを折って、四角の箱を作成する。塗布層を設けている場合は、離型層の反対面が内側となるようにする。次いで、上記の方法で作成した箱の中に、DMF10mlを入れ3分間放置後DMFを回収する。回収したDMFを液体クロマトグラフィー(島津LC−7A)に供給してDMF中のオリゴマー量を求め、この値をDMFに接触させたフィルム面積で割って、フィルム表面オリゴマー量(mg/m)とする。DMF中のオリゴマー量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。標準試料の作成は、あらかじめ分取したオリゴマー(環状三量体)を正確に秤量し、正確に秤量したDMFに溶解して作成した。標準試料の濃度は、0.001mg/ml〜0.01mg/mlの範囲が好ましい。
液体クロマトグラフの条件は下記のとおりとした。
移動相A:アセトニトリル
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:三菱化学(株)製 MCI GEL ODS 1HU
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
【0059】
(7)離型フィルムの剥離力(F)の評価
試料フィルムの離型層表面に両面粘着テープ(日東電工製「No.502」)の片面を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットした後、室温にて1時間放置後の剥離力を測定する。剥離力は、引張試験機((株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行った。
【0060】
(8)実用特性
<クロスニコル下での目視検査性>
フィルム上に離型剤を塗布しドライヤー温度120℃、ライン速度30m/minの条件で得た離型フィルムの幅方向が、偏光フィルムの配向軸と平行となるように、粘着剤を介して離型フィルムを偏光フィルムに密着させ偏光板とし、密着させた離型フィルム上に配向軸がフィルム幅方向と直交するように検査用の偏光板を重ね合わせ、偏光板側より白色光を照射し、検査用の偏光板より目視にて観察し、クロスニコル下での目視検査性を下記基準に従い評価した。なお、測定の際には、得られたフィルムの幅方向に対し中央部と両端部の計3ヶ所から、それぞれA4サイズのサンプルを切り出して実施した。
「判定基準」
○:光干渉性無く検査可能
△:光干渉はあるが検査可能
×:光干渉があり検査不能
○および△のものが実使用上問題のないレベルである。
【0061】
<離型特性>
粘着層を有する積層フィルムより離型フィルムを剥がした時の状況より、離型特性を評価した。
○:離型フィルムが綺麗に剥がれ、粘着剤が離型層に付着する現象が見られない
△:離型フィルムは剥がれるが、速い速度で剥離した場合に粘着剤が離型層に付着する
×:離型フィルムに粘着剤が付着する
【0062】
<ロール汚染状況>
粘着層を有する積層フィルムを製造した際に、偏光板と貼り合せるラミネート装置において、離型層と反対側の面が接触するロールを目視観察し、オリゴマーによるロールの汚染状況を評価した。
○:製造後のロール表面に付着物が見られない。
△:製造後のロール表面に僅かに付着物が見られるが、製造上支障のないレベル。
×:製造後のロール表面に付着物が見られ、ロール清掃を必要とする。
【0063】
<ポリエステル(A)の製造>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム四水塩を加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェートを添加した後、重縮合槽に移し、三酸化アンチモン0.04部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、固有粘度0.60に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステルのチップ(A)を得た。この、ポリエステルの固有粘度は0.60であった。
【0064】
<ポリエステル(B)の製造>
ポリエステル(A)の製造方法において、エチルアシッドフォスフェートを添加後、平均粒子径0.8μmの合成炭酸カルシウム粒子のエチレングリコールスラリーを粒子のポリエステルに対する含有量が1重量%となるように添加した以外は、ポリエステル(A)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(B)を得た。得られたポリエステル(B)は極限粘度0.60であった。
【0065】
<ポリエステル(C)の製造>
ポリエステル(B)の製造方法において、添加粒子を、平均粒子径1.5μmの合成炭酸カルシウム粒子に、ポリエステルに対する含有量を、1重量%にした以外は、ポリエステル(B)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(C)を得た。得られたポリエステル(C)は極限粘度0.60であった。
【0066】
<ポリエステル(D)の製造>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム四水塩を加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェートを添加した後、重縮合槽に移し、三酸化アンチモン0.04部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、固有粘度0.45に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステルのチップ(D)を得た。このポリエステルの固有粘度は0.45であった。
【0067】
<ポリエステル(E)の製造>
このポリエステルチップを固相重縮合法にて固有粘度を上げた。予備結晶化槽にて170℃の窒素雰囲気化にて0.5時間処理した後、不活性ガスを流す塔式乾燥機を用い、200℃の温度下にて水分率が0.005%になるまで乾燥した。その後固相重合槽へ送り、240℃にて3時間、固相重合を行い固有粘度0.70のポリエステル(E)を得た。
【0068】
<ポリエステル(F)の製造>
ポリエステル(E)を製造する際、固相重合槽にて5時間固相重合を行い、固有粘度0.80のポリエステル(F)を得た。
【0069】
<ポリエステル(G)の製造>
ポリエステル(E)を製造する際、固相重合槽にて9時間固相重合を行い、固有粘度0.90のポリエステル(F)を得た。
【0070】
・ポリエステルフィルム−1
表層の原料としてポリエステル(F)70重量%と、ポリエステル(B)30重量%を混合し、中間層の原料として、ポリエステル(A)84重量%とポリエステル(B)16重量%を混合し、2台のベント付き押出機に各々供給し、290℃で溶融押出した後、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。次いで、100℃にて縦方向に2.8倍延伸した後、テンター内で予熱工程を経て120℃で5.1倍の横延伸を施した後、220℃で10秒間の熱処理を行い、その後180℃で幅方向に4%の弛緩を加え、幅4000mmのマスターロールを得た。このマスターロールの端から1400mmの位置よりスリットを行い、コアに1000m巻き取りし、ポリエステルフィルム−1を得た。得られたフィルムの全厚みは38μm、それぞれの層厚みは4μm/30μm/4μmであった。
【0071】
・ポリエステルフィルム−2
ポリエステルフィルム−1において、原料配合を表1に示す原料配合―2に変更する以外は、ポリエステルフィルム−1と同様にしてポリエステルフィルム−2を得た。
【0072】
・ポリエステルフィルム−3
ポリエステルフィルム−1において、原料配合を表1に示す原料配合−3に変更する以外は、ポリエステルフィルム−1と同様にしてポリエステルフィルム−3を得た。
【0073】
・ポリエステルフィルム−4
ポリエステルフィルム−1において、原料配合を表1に示す原料配合−4に変更する以外は、ポリエステルフィルム−1と同様にしてポリエステルフィルム−4を得た。
【0074】
・ポリエステルフィルム−5
ポリエステルフィルム−1において、原料配合を表1に示す原料配合−5に変更する以外は、ポリエステルフィルム−1と同様にしてポリエステルフィルム−5を得た。
【0075】
・ポリエステルフィルム−6
ポリエステルフィルム−1において、原料配合を表1に示す原料配合−6に変更する以外は、ポリエステルフィルム−1と同様にしてポリエステルフィルム−6を得た。
【0076】
・ポリエステルフィルム−7
ポリエステルフィルム−1において、縦方向の延伸倍率を2.9倍に変更する以外はポリエステルフィルムの製造−1と同様にしてポリエステルフィルム−7を得た。
【0077】
・ポリエステルフィルム−8
ポリエステルフィルム−1において、縦方向の延伸倍率を3.4倍、幅方向の延伸倍率を4.2倍に変更する以外はポリエステルフィルム−1と同様にしてポリエステルフィルム−8を得た。
【0078】
・ポリエステルフィルム−9
ポリエステルフィルム−1において、原料配合を表1に示す原料配合−7に変更する以外は、ポリエステルフィルム−1と同様にしてポリエステルフィルム−9を得た。
【0079】
・ポリエステルフィルム−10
ポリエステルフィルム−1において、原料配合を表1に示す原料配合−8に変更する以外は、ポリエステルフィルム−1と同様にしてポリエステルフィルム−10を得た。
【0080】
・ポリエステルフィルム−11
ポリエステルフィルム−1において、原料配合を表1に示す原料配合−9に変更する以外は、ポリエステルフィルム−1と同様にしてポリエステルフィルム−11を得た。
【0081】
【表1】

【0082】
実施例1;
ポリエステルフィルム−1に、下記に示す離型剤組成−Aからなる離型剤を塗布量(乾燥後)が0.1g/m2になるようにリバースグラビアコート方式により塗布し、ドライヤー温度120℃、ライン速度30m/minの条件でロール状の離型フィルムを得た。
・離型剤組成−A
硬化型シリコーン樹脂(KS−847H:信越化学製) 100部
硬化剤(PL−50T:信越化学製) 1部
MEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1) 1500部
【0083】
実施例2:
実施例1において、ポリエステルフィルム−1を、ポリエステルフィルム−2に変更する以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
【0084】
実施例3:
実施例1において、ポリエステルフィルム−1を、ポリエステルフィルム−3に変更する以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
【0085】
実施例4:
実施例1において、ポリエステルフィルム−1を、ポリエステルフィルム−4に変更する以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
【0086】
実施例5:
実施例1において、ポリエステルフィルム−1を、ポリエステルフィルム−5に変更する以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
【0087】
実施例6:
実施例1において、ポリエステルフィルム−1を、ポリエステルフィルム−6に変更する以外は実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
【0088】
実施例7:
実施例1において、ポリエステルフィルム−1を、ポリエステルフィルム−7に変更する以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
【0089】
実施例8:
実施例1において、離型剤組成―Aを下記に示す離型剤組成―Bに変更する以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
・離型剤組成−B
硬化型シリコーン樹脂(KS−774:信越化学製) 100部
硬化剤(PL−4: 信越化学製) 10部
MEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1) 1500部
【0090】
実施例9:
実施例1において、離型剤組成―Aを下記に示す離型剤組成―Cに変更する以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
・離型組成―C
硬化型シリコーン樹脂(KS−723A:信越化学製) 100部
硬化型シリコーン樹脂(KS−723B:信越化学製) 5部
硬化剤(PS−3:信越化学製) 5部
MEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1) 1500部
【0091】
比較例1:
実施例1において、ポリエステルフィルム−1を、ポリエステルフィルム−8に変更する以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
【0092】
比較例2:
実施例1において、ポリエステルフィルム−1を、ポリエステルフィルム−9に変更する以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
【0093】
比較例3:
実施例1において、ポリエステルフィルム−1を、ポリエステルフィルム−10に変更する以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
【0094】
比較例4:
実施例1において、ポリエステルフィルム−1を、ポリエステルフィルム−11に変更する以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
【0095】
<離型フィルム付き偏光板の製造>
偏光板に下記に示すアクリル粘着剤を、乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布し、130℃の乾燥炉内を30秒で通過させた後、離型フィルムを貼り合わせ、粘着剤を介して離型フィルムと偏光フィルムが密着された離型フィルム付き偏光板を作成した。フィルムの貼り合せ方向は、離型フィルムの幅方向が、偏光フィルムの配向軸と平行となるように行った。
・アクリル粘着剤塗布液
アクリル粘着剤(オリバインBPS429−4:東洋インキ製)100部
硬化剤(BPS8515:東洋インキ製) 3部
MEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1) 50部
各実施例、比較例で得られたフィルムの評価結果をまとめて下記表2〜4に示す。
【0096】
【表2】

【0097】
【表3】

【0098】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムおよびこれを用いた離型フィルムは、例えば、液晶偏光板用離型フィルムとして好適に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配向主軸の向きが11度以下であり、フィルムヘーズ値が10〜25%であり、少なくとも片側の表層を構成するポリエステルの固有粘度が0.65以上であることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項2】
請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルムの片面に離型層を有する離型フィルムであり、当該離型層の剥離力が10〜100mN/cmの範囲であり、離型層の反対面の表層を構成するポリエステルの固有粘度が0.65以上のポリエステル層であることを特徴とする離型フィルム。

【公開番号】特開2011−231263(P2011−231263A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104671(P2010−104671)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】